戦艦、不知火は結く 作:pqrsman
やはりてーとくの予想通りになりましたか。さて、私の仕事は不知火さんと赤城さんが和解できる環境を用意することですね。
「不知火さん、赤城さん。お二人はまだ歩けますか?
厳しいようなら肩をお貸ししてあげて下さい。
入渠をしなければ敵が攻めてきた時の戦力を大きく失われることになりますからね。」
「赤城、腹部や内臓の損傷は大丈夫ですか?」
「ええ。有り難うございます。不知火さん。そちらこそ機銃の弾倉は貫通していますか?」
「問題ありませんよほぼ艤装に当てていますので。まあ傷なんてつきませんよ。機銃如きでは、ね。」
「そうですよね。私も腹部に副砲ならともかく貧弱な拳ではそこまでダメージは受けていませんから。」
「お二人とも何を言っているんですか・・・大破状態でおふざけが言えるなら入渠は必要はありませんよね?では、出撃をお二人でして頂きましょう。」
「すみませんが大淀さん、それは勘弁して下さい・・・」
「悪ふざけが過ぎました。申し訳ありません、大淀。」
「では入渠施設に行きますか。付いて来て下さいね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
入渠施設、通称「風呂」にて
「不知火さんと赤城さんには高速修復剤の許可は出ておりませんので、ゆったりと入っていて下さい。」
「ええっ!?いったいどのくらいの時間になるのか提督は解っていらっしゃるのですか?」
「『艦隊の溝やら亀裂を修復するのにはそのくらいの時間は必要だろう。』と仰っていました。」
「はっ!そういうことだったのですね・・・すべて提督はお見通しだったというわけですか・・・」
「当然ですね。指揮に従わないなど言語道断ですから。」
「不知火さん。私はまだあなたを認めたつもりはありませんよ!」
「はい。こういうことですので、さっさと入渠して下さい。」
「あの、大淀、ドッグは一つしかないのですが・・・」
「ああ、ほかのドッグは第六駆逐隊の皆さんが占拠してしまっているので・・・」
「まさか、じゃあ、なんでこんな静かなんですか?」
私がふと視線を向けると眠りこけている電ちゃんと響ちゃんがいました。
暁ちゃんと雷ちゃんは必死に眠気に抗っているようでした。
暁ちゃんが寝言で、
「レディーはお口を開けて寝たりなんていうさらりーまんみたいなことはしないんだからぁ・・・」
と言っていました。なんで、見た目が中学生くらいの女の子がサラリーマンの実態を知っているんでしょうか。
というかです。一つのドッグに二人は入れない筈じゃ・・・
「その辺は抜かりなく。夕張さんに頼みました。演習時や訓練の時は大丈夫です。多分。」
「なんか怖いんですが・・・」
「資材は二人分入れたので問題はありません!」
そんなメガネが曇った状況で力説されても反応に困ります・・・
いざこざはありましたが、どうにか落ち着きました。
しかし、やっぱり浴槽は狭いですが、不知火さんの体はとてもすべすべしていますね。
まるで駆逐艦のよう・・・
「赤城、どうかしましたか?胸をじろじろ見て・・・」
「いえいえ、何でもありませんよ。ただ、肌がきれいだなと思いまして。」
「そうですか。赤城の肌もとても艶がありますがね。何ですか、そこに何か詰めているんですか?」
不知火さんは私の胸を指差して聞いてきました。そんなことを言われてもなにも詰めていませんからね・・・
すると、不知火さんは自分の胸に手を当てて溜息を吐きました。こ、これは。悩みごとの合図ですね!
「不知火さん、悩みがあるなら言って下さいね。相談に乗りますから。」
「元凶に何を言っても解決はしませんよ・・・」
一体どういうことでしょうか?そういえば、不知火さんは第一艦隊の旗艦になることをどう思っているのでしょうか・・・
「不知火さん。あなたは提督に旗艦を任せられたときどういった思いを抱いたのですか?」
「ふーむ・・・やはり感謝ですね。自分の力を信頼してくれたという安堵もあるかもしれませんが。」
「周りの人々のことは特に何も思わなかったのですか?」
「ええ。不知火が出来ることは司令官の信頼に応えるために全力で命令を遂行するだけです。
それ以外のことに今の不知火が時間を割けることはありません。まだまだ弱いのですから・・・」
「つまり、周りを見下しているといったことはないのですね?」
「そんなことをしている余裕はありませんよ。己の精進に使う方が余程建設的です。
ここに着任する以前、鎮守府で言われた言葉ですが、『死後には名誉は輝き富は朽ちるが研鑽のみがたった今から輝く』というものです。」
「まるで、提督の言葉みたいですね・・・」
そうでしょう。”一周目の”司令官の言葉ですから・・・
こうして、赤城はわだかまりが解消され、不知火が旗艦になることを快く認めることになった。
司令室にて
「順調だな、大淀。」
「ええ。てーとくは流石です。」
「次の障害は誰かな?まあ、不知火になら心配は無用だろうしな。」
若干、ドッグの件にはダメ出しがあるかもしれないですね・・・
まあ、しらぬい!