【東方】<八雲梗>【九尾伝】   作:甘味料

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第参章開幕・・・もう、幻想郷で自分のオリキャラがやりたい放題してるだけだな・・・。原作はどこいった。(まあ、6、7割オリジナルの残り東方になってる・・・かな?)



第参章:凶靭なる刃
第一刻:殺気溢れる布石


「準備はよろしいでしょうか。」

 

「ああ、そっちの好きなタイミングで来てもらって構わない。」

 

その日、梗は白玉楼に足を運んでいた。庭師である魂魄妖夢と手合わせをする約束をしていたからだ。

 

お互いの主人が旧知の仲ということもあり、昔からふたりはよく仕合をしていた。人間と妖怪の基本的身体能力の差から梗自身、人間の剣士と仕合っても全く修行にならない。そのため、定期的に冥界に訪れ、こうして妖夢と対剣士の修行を行っていた。

 

「では、いきますよ・・・。」

 

そう言って妖夢が刀を構える。刀と言っても、流石に普段から使っている。楼観剣・白楼剣を使うわけにはいかない。そんなものでもし斬られたら、梗といえどひとたまりもない。その為、手合わせをする際、妖夢はその両剣と同じ長さの木刀を用いる。ようするに、本気で仕合って切ったらまずいから木刀を使っているわけである。

 

 

 

妖夢が地面を蹴り梗に接近する。

 

<人智剣:天女返し>

 

左手の白楼剣の代わりの短剣を使い切り上げを仕掛ける。梗は後ろに下がりかわすが、間髪いれずに右手の楼観剣の代わりの長剣から切り下げが繰り出される。

 

それを梗は妖夢から見て左側に踏み込みながら回避する。これで、梗の攻撃が妖夢に届く間合いになった。

 

「今度はこっちの番だぜ。」

 

右足で踏み込んだ状態から梗が右の突きを繰り出す。妖夢は左腕で防御しようとするが、突きがあり得ない方向に軌道を変え、左腕の防御をかわす。

 

「!。」

 

妖夢は左に避け、その突きを回避する。

 

「<幻武:幻掌(ゲンショウ)>。ひじ関節を外して突きの軌道をかえ、相手の防御を掻い潜る技だ。お前に使うのは初めてだったか?。」

 

「ええ、始めてみる技ですね。」

 

「だとしたら、初見でかわすなんて、流石だな。」

 

「それは、どうも。でも、まだ手合わせの途中ですよっ!。」

 

そう言って、妖夢が再び、仕掛ける。双方の剣を使った、容赦のない斬り付けが繰り出される。梗は必要最小限の動きで攻撃を避けるが、まるで、別々の生き物のように襲いかかる剣の動きに苦戦する。

 

「そこです!。」

 

体勢を崩した梗に妖夢が短剣で下段斬りを仕掛ける。体勢を崩した梗は手で体を跳ね上げ、下段斬りをかわすが、体が宙に浮く形となった。

 

「隙ありっ!。」

 

それを見逃さず、妖夢が長剣を梗の頭に振り落とす。

 

 

 

[バキィィィ]

 

 

 

 

 

勝負あり、と思いきや、仕合は意外な展開となった。

 

「え・・・?。」

 

梗を捉えたはずの刀は途中で刀身が真っ二つに折れていた。当然、梗に斬り付けは当たらず、梗がそこから反撃にでる。

 

宙に浮いていた左手を再び地面につけ、逆立ち蹴りを放つ。

 

「ッ!・・・・・・。?。」

 

妖夢が目を開くと梗の足は妖夢の目の前で止まっていた。

 

「<幻武:龍起(リュウキ)>。寸止めだ。」

 

「・・・参りました。」

 

こうして、今日の仕合は終わった。

 

 

 

 ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

 

「刀を折られたのは初めてか・・・?。」

 

「ええ、しかも、木刀とはいえ素手でへし折られるとは。

 

ふたりは白玉楼の縁側で一服をしながら先の仕合の反省をしていた。妖夢自身、仕事は庭の整理と主への剣術指南なので、一日中、暇が無いというわけではない。ふたりは、お茶を挟んで、縁側に腰掛けていた。

 

「あんな、刀の対処法があったとは・・・。」

 

ふたりが話し合っていたのは先ほど、妖夢の木刀をへし折った梗の技だった。それは相手の斬り付けに対応する技で、相手が斬りつけてきたときに刀の平地を手刀で挟みこむ。一見、白刃取りと同じに思われるが、この技は刀を挟むときに左右の手を少しずらして挟む。それによって、高速の手刀で挟まれた刀身はたたき割られる、というものだ。

 

「あれが、幻武が長き歴史のなかで出した対刀の答え・・・。」

 

「まあ、そんなところだ。」

 

妖夢は、手を体の後ろにつき、楽な姿勢をとった。

 

「また、負けちゃったな~。」

 

「まあ、お互い、確実に成長してると思うぜ。」

 

「そのはずなんだけどな・・・。梗さんに最近、全然勝ってない気がするな~。ついこの間まではもっと、いい勝負が出来ていたはずなんだけど。」

 

「そんな事はないと思うけどな。妖夢の成長は俺が直に感じてるわけだし。なんにせよ、まだ、お互い半人前なんだ。こうやって、困ってるぐらいが丁度いい。」

 

「梗さんは、いつもどんな思いで修行をしてるんですか。」

 

 

妖夢が、梗のほうを見て問う。梗も妖夢の顔を見た後、また前を向いて少し考えた後、何気ないひとりごとのようにつぶやいた。

 

 

 

「我武者羅に・・・かな。ただ、自分の主人を守れるぐらい強くないたいの一心で、我武者羅に修行してるんだろう・・・。」

 

「我武者羅・・・。」

 

「そういうことだ。じゃあ、邪魔したな。また機会ができたら連絡するよ。」

 

そう言うと、梗は飛び上がり、白玉楼の塀を越えていった。

 

 

「主人を守るために我武者羅に・・・か。」

 

白玉楼の庭で妖夢はただボーッっと考えていた。

 

 

 

 

 

その日の夜。白玉楼の主である、西行寺幽々子は庭のほうから聞こえる声で目を覚ました。

 

「誰かしら・・・。」

 

そういって、縁側に出てみると・・・。

 

「あらあら・・・誰に触発されたのかしら・・・素直なんだからウフフ・・・。」

 

そこには滝のような汗を額に流しながらひたすらに剣を振る妖夢の姿があった・・・。

 

 

 

 ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

 

それは、天気の良い日のことだった。何故か梗はマヨヒガに待機していた。左膝をちゃぶ台につき、左手の上に顔をのせ、右の人差し指でちゃぶ台をリズミカルに叩きながら誰かを待っている様子だった。

 

「なんで、こんなことに・・・。」

 

梗が何故、マヨヒガで誰かを落ちつかない様子で待っているのか、その真相を語るには、今日の朝にさかのぼることになる。

 

 

 

 ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○

 

 

 

「今日の迎えはいらない?。」

 

「そう。」

 

突然、焔がそんな事を口走った。なんでも、橙や寺子屋の友達と一緒に帰りたいらしく。梗の手を借りずに自分達だけで帰ってみたいんだとか。

 

「別に問題ないが、大丈夫なのか?。」

 

「大丈夫!。マヨヒガまでの帰り道は把握してるから問題ない!。」

 

「まあ、変な奴に絡まれるんじゃないぞ。それじゃ、出発するか・・・。」

 

そうして、梗は焔を寺子屋に送って行ったわけだが、案の定、帰りが心配になり、落ちつかない様子で焔を待っていた。

 

梗の聴力をもってすれば、焔がいま、何をしているかなんて簡単にわかるのだが、梗自身、聞き耳をたてるのはよくないと思い、ただ心配に焔を待っていた。

 

「いや・・・でも、状況を把握するぐらいはセーフか・・・?。」

 

焔を心配する考えが、梗の意志をぐらつかせる。

 

「いや、焔が大丈夫って言ったんだ、これぐらい信じないと・・・。」

 

聞き耳をたてる一歩手前でなんとか踏みとどまる。そんなことを繰り返していくうちに梗の精神力はすり減っていった。

 

「うぅ・・・・・・。」

 

ちゃぶ台に額をつけ梗はうなだれていた。やっぱり、焔のことが心配である。いつも橙に過剰な愛をそそぐ藍の気持ちがほんの少しだけわかった気がした梗だった。

 

「・・・・・・。」

 

我慢できずについに聴力を使用する。それでも、多少のためらいがあるのか、ゆっくりと聞こえる範囲を広げていった。すると。

 

「ん?。こっち(マヨヒガ)に足音が向かってる。」

 

その足音はまだ数キロ先から聞こえてきた。マヨヒガに向かっているということだけで、かなり該当する者は絞れる。梗は足音の主が誰かを考える。

 

「走るリズムと音の近づき方から、大体の歩幅と身長はわかる・・・。この歩幅だと間違いなく、焔か橙のどっちかだろう。肝心なのはそのどっちなのかだ。足取りのリズムからして走ってるな。この足音はあいつが走るときの音だから足音の主は橙だな。」

 

橙も焔と一緒に帰っているはずだったので、梗はそこからさらに橙の様子を探る。

 

「走ってることはわかったから何故走ってるかだな。心臓の鼓動は・・・。これは何か、恐怖を感じた時か焦っているもしくは急いでいる時の鼓動。息の様子からもどうやら俺に何かを伝えたいらしいな。焔に何かあったと考えて間違いないだろう。」

 

そこまで、探ると梗は聞き耳をたてるのをやめ、大きなため息をついた。

 

「変態のやることだろ、こんなの・・・。」

 

 

結局、後悔はあったらしい。

 

 

 

 

十数分後、梗のいるマヨヒガの屋敷に橙が飛び込んできた。

 

「梗様!。」

 

「焔がどうした。」

 

橙に背を向けたまま梗が問う。

 

「焔ちゃんが・・・怪しい人達につかまって・・・。」

 

「・・・そうか、橙。」

 

「はい。」

 

「お前は自分の屋敷に帰ってろ。」

 

そう言うと、梗は屋敷の玄関を出て、里のほうに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はわわ・・・。」

 

「おい、譲ちゃん。黙っててもなんも起こらないんだよ・・・。」

 

焔は3人の人間の青年達に絡まれていた。何があったのかはわからないが、青年達は焔に、いかつい眼を飛ばしていた。

 

普通に考えれば、妖怪である焔が彼らに負けるわけはないのだが、彼らの気迫に完全に圧倒され、声もまともに出ない様子だった。

 

「いつまで、黙ってんだよ!。」

 

青年のひとりがひときわ大きな声で、怒鳴り付けた時だった。

 

「なんか、大変なことになってんな・・・。」

 

聞き覚えのある声が焔の耳に響いた。焔が後ろを振り返ると声の主はやはりそこに立っていた。

 

「梗~!。」

 

焔は泣きながら梗のほうに走っていき飛び付いた。

 

「なんだテメェ?。そいつの保護者か?。」

 

怒鳴り付けた青年が梗に尋ねる。

 

「まあ、そんな所だが、こいつがなんかしたのか?。」

 

「ああ、そいつのほうからぶつかってきたってのにそいつったら、ごめんなさい。の一言も言えねえんだよ!?。」

 

くだらないことで、絡まれたもんだと思いつつ梗は焔に質問する。

 

「焔、お前、謝んなかったのか?。」

 

「あやまったよ~!。ちゃんとごめんさい。っていった~!。」

 

焔は泣きながら、梗に訴える。顔を梗の服にこすりつけて、足をバタバタさせながらの弁明だった。

 

「ふ~ん。・・・やっぱり、言いがかりかよ。」

 

「あ!?。」

 

梗の言葉に青年達が過剰に反応する。

 

「なんだよ。テメェ俺らが嘘ついてるって言いてえのかよ!?。」

 

「そうゆうことだ。」

 

「ふざけんなテメェ!。」

 

「お前らに嘘なんて少なくとも一生早い!!。」

 

梗が青年以上の声で怒鳴りつける。すると、頭に血ののぼった青年のひとりが梗に襲いかかってきた。

 

「この野郎!。」

 

 

[ドスッ]

 

青年の拳をかわしてみぞおちに突きを一撃

 

「うっ・・・。」

 

鈍い音と共に青年が倒れる。勿論、手加減してある。もし、本気で殴ったりなんかしたら、体に穴があいてしまう。

 

「こいつ!。」

 

ふたりめの青年も梗に向かってくる。さっきの青年より心得があるようで、それっぽい構えから突きを放ってきた。それでも、梗を捉えられるわけはなく、一人目と同じようにみぞおちへの突き一撃で倒れた。

 

「やめろ。」

 

梗が三人目がかかってくるのを制止しようと声をかけるが。

 

「うるせえ!。このまま引きさがれるかってんだ!。」

 

そう言って、三人目は腰の刀を抜いた。

 

「うぉぉぉ!。」

 

三人目の青年は刀を振り回すが、妖夢との仕合で鍛えている梗がかわせないはずもなく、次々と避けられていく。

 

「きぇぇぇぇ!。」

 

渾身の力で、刀を振り下ろす。が、振り下ろした刀の刀身は折られていた。

 

青年が辺りを見渡すと、そばに欠けた刀身の先が落ちていた。

 

「対刀術<幻武:刃折牙(ジンセツガ)>。」

 

青年が梗のほうを向くと、梗の拳が顔面に迫ってきていた。

 

「ひぃっ。・・・あれ?。」

 

「寸止めだバカ。今度からは相手みて喧嘩を売る事だな。」

 

梗はくるりと向きをかえると、焔のところに歩み寄った。

 

「ほら、帰るぞ。焔。」

 

「う、うん。」

 

焔は涙で真っ赤になった目をこすりながら返事した。

 

梗が焔と帰ろうとした時、青年が声をあげた。

 

「覚えてろよ!。テメェ、魂魄組に喧嘩売って生きてられると思うなよ!。」

 

そう言って、青年は倒れているふたりをよそに逃げていった。

 

「魂魄・・・組・・・?。」

 

梗は、焦りの表情を隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところかわって、ここはある、陽の届かない部屋、その中は非常に殺気に溢れている様子だった。そこにあの青年が駆け込んできた。

 

「ようき様!。」

 

青年はひとりの男の後ろに正座した。男は刀の手入れをしている様子で、背を向けていて、表情を青年のところから見ることはできない。

 

男に向かって青年は先ほどの出来事を話した。

 

 

 

「なるほど・・・。」

 

「そうなんですよ!。だからあいつを今すぐにでも・・・。」

 

 

 

「お前、なんで、逃げてきたんだよ。」

 

「へ・・・?。」

 

「お前が、ここにいるってことは、そいつから逃げてきたからだよな?。逃げてくるような奴は次も勝てねえし、そんな奴はウチにはいないはずだが・・・?。」

 

「そ・・・それは。」

 

青年の表情がだんだんと青ざめていく。

 

「ちっ、違うんです!。これには・・・!。」

 

「何が違うんだ!。ああん!?。」

 

男が立ち上がり、青年を上から睨みつける。その顔はとても不健康そうな顔をしていて、瞳は白目の部分が黒く、眼球は血の色に染まっていた。灰色の髪は所々よごれていて、侍のような服も所々破け、汚れていた。

 

「そ・・・それは・・・ええ・・・と。」

 

殺される・・・確実に殺される。その恐怖から青年の顔に大量の汗が噴き出す。男の顔を見られない。

 

「やっぱ、無能だわお前。」

 

「え・・・?。へ・・・・。」

 

「お前みたいな奴はイラネ。死ね。」

 

そういって、男は手に持っていた刀を振りかざした。

 

 

 

 

 

青年の断末魔が辺りいっぱいに響き渡った。

 

 




ようき様の字はあくまで平仮名です、まだ漢字では表記しません。原作キャラ久々に出した気がする。もう、そういうもんだと割り切ってこれからも読んでいただけると幸いです。
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