【東方】<八雲梗>【九尾伝】   作:甘味料

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本当に最近は人外娘を本気で可愛いと思うようになってしまいました。前々から三次元に興味がなくリア充もなんとも思わなかったんですが人外が好きだってことに最近気づくとは・・・・・・(といってもそこまでハードなのはNGです)。



第二刻:運命の干渉者

 梗が佐助と駄弁っている頃、焔は一人で人間の里を歩いていた。魂魄組の青年達に絡まれて以来、一人で出歩いたりしたりしなくなったはずの彼女が何故こうして里を歩いているのかというと寺子屋の友達から遊びに来るように誘われたのだ。集合場所は人間の里にある今で言う公園のようなものだ。

 橙に声をかけて一緒に行こうとしたのだがどうやら先に行ってしまったらしく断ることもできなかったので渋々一人で行く事にした。正午を回った休日の里は人でにぎわっている。大人の人だかりにあちらこちらに流されやっとの思いで人ごみの外に出る。そして周りの景色からどちらに進むべきかを判断してから人ごみの中に入っていく。その行程を繰り返していたのだが……。

 

「……迷った」

 

 どうやら見た事の無いところに出てしまったようだ。辺りを見渡してもどちらに行ったらよいのか見当もつかない。気がつけば人気も少ない場所に来ていて知っている人もいない。

 人に道を聞こうにもまだ初見の人間との会話に慣れていない焔はなかなか話しかけられない。半泣きになりながら道の真ん中にいて道端の店の人達に話しかけようとするも途中でやっぱり諦めては他の店で挑戦する。そして道を行ったり来たりしている内にどんどん時間は流れていった。

 

「ど、どうしよう……」

 

 今頃、みんなは楽しく遊んでるんだろうな、なのになんで私だけこんなことに。なんて思いながらも結局焔は誰にも話しかけられなかった。

 ついに焔は道端にへたり込んでいた。唇を震えさせながら必死に涙が出るのをこらえていた。疲れてしまい、立つのもつらくなってきたが約束を守らなくてはという強い意志でなんとか腰を上げる事が出来た。

 そして、今度こそ人に道を聞こうと躍起になって立ちあがったとき、焔は通りかあった人とぶつかってしまった。焔がぶつかった衝撃で後ろにバランスを崩しながらさがる。そして顔を上げてみるとぶつかったのは若い青年のようだった。

 

「あっあの……その、道に迷って……」

 

 せっかくキッカケができたのでこの勢いでこの青年に道を聞こうとしたがそこまで言いかけたところで梗に言われた事を思い出した。

 

「(はっ、自分からぶつかったら先に謝らないと)ご、ごめんなさい」

 

 そう言って、焔は深々と頭を下げた。青年が頭を上げてくれといたので頭を上げ、青年の顔を上目で覗き込むと、青年は髪の毛と目の色は橙色をしていた。

 その青年は怪しい様子は無かったが、表情をこれといって変えることは無くただ焔の反応を待っていた。

 

「道……だっけ」

 

 青年の声掛けで焔は自分が何をしようとしていたかを思い出す。そして、道を青年に聞こうとしたのだが先に青年のほうが口を開いた。

 

「まあ、道ぐらい教えてあげられると思うんだけど、ちょっと僕も君に聞きたい事が合ってね」

「……?」

 

 不意を突いた発言だったので一瞬、焔は口を空けてポカーンとしてしまった。そして、青年の言った言葉を頭の中で反響させ彼の質問に自分が答えられるか不安になる。しかし、その不安は一瞬で吹き飛ぶことになった。

 

「何で君、妖力持ってるの?」

 

 不安は一瞬で恐怖へと形を変えた。それは人にぶつかってしまった時の対処法同様に梗に言われた事だった。

━━━見知らぬ奴がお前の妖力に感づいたらそいつは危ないと思え。深くかかわらずに距離をおけ━━━

 

「よ、妖力?」

「とぼけなくてもいいよ、君が奴じゃなければ僕は君に手は出さないから」

 

 焔の額に緊張と恐怖のせいで汗が流れる。幻想郷の人物について梗から教えられた時、この男の顔は無かった。そして、自分の妖力に気付いている。彼から逃げ切れるだろうか。

 

「ねえ、君……」

「<煙符(えんふ):黒煙目くらまし>。!」

 

 青年が話しきる前に焔はスペルカードを発動させた。二人の間に札を叩きつけるとその札から勢いよく黒い煙があがり青年の視界を奪う。その隙に焔は後方に飛び距離をとる。青年が煙そうに黒煙をはらう。

 

「何? 君、自分が狙われてる自覚でもあるの? イキナリ正解引いたかな? 龍(ろん)に大したことないって聞いてたけどこんな子供だとは、紫もおしまいだな」

「な、なんの話だ!?」

 

 恐怖を押さえなんとか声を絞り出す。二人の距離は10m弱ほど離れているが焔が思うにあの青年ならこの距離を一瞬で詰められるのだろう。

 

「別に言う事に得は生じないね、むしろリスクを生みかねない。どうせこれから死ぬんだから」

「!?」

 

 「死」という言葉が焔に圧倒的な重圧を感じるこの重圧はあの時に感じたものと同じ……。

 焔は札を構え、妖力を使用し炎を発生させ臨戦態勢に入る。

 

「まあ、死ぬ結論は多分確定してるからあんまり抵抗はしないでくれよ、無駄な抵抗ほど得を生まないリスクは無いからな」

 

 そう言って青年が地を蹴って焔に急接近する。それを焔は炎の壁を発生させ止める。

 その壁を青年が妖力を乗せた拳で破壊すると、青年を黒い煙がまた襲った。

 

「っち、またあの技か」

 

 青年が腕で口元を押さえもう片方の手で煙をはらっている間に焔は青年に背を向けで走り出した。

 

「餓鬼が、手間をかけさせるんじゃねえ」

 

 煙をはらい終わった青年がオレンジ色の妖気を解放し、焔を追う。その差はどんどんつまり焔はすぐに追いつかれてしまった。

 焔の行く手を阻むように進行先に立ちふさがる青年。焔がどちらに逃げようか左右を見渡していると、青年の右蹴りが焔の頭にヒットした。

 蹴り飛ばされた焔は道の端にある木箱の山に激突した。木箱が壊れ木くずが舞う。ゆっくりと木箱の山に近づいた青年はその上でぐったりしている焔の胸倉を掴み持ち上げた。

 

「糞餓鬼が、煙い煙を巻きあげやがって、しかも気を失ってやがる。こいつが奴かって確認もとれねえじゃねえか、おい起きろ!」

 

 そう言って青年はもう片方の手で焔の頬を殴った。道端に落ちた焔はその衝撃で目を覚まし殴られた頬を押さえながらフラフラと立ち上がった。やっとの思いで立ち上がると目の前には青年が立ちはだかっていた。

 

「まあ、いいや、別に屍にしちまっても後から龍に確認とればいんだ。そいういことで死ね」

 

 青年が拳を振りかざし、焔の顔面めがけて放つ。焔は死を覚悟し目をつむったが拳の衝撃は伝わってこなかった。

 恐る恐る目を開けると青年の腕が誰かの手に掴まれていて焔に当たる寸前で止まっていた。その手の主のほうを向くと狐目をした見慣れた服装の青年が鋭い目つきで青年を睨んでいた。

 

「ったく、絶対安静とか一時ながら患者を戦場にかりだすとはとんだ(やぶ)医者だな」

 

 梗がまだ動く右手で青年の腕を握っていた。左腕は垂れさがっていて動く様子はみられなかった。梗の様子を見ていると、誰かに抱きあげられ体が軽くなる感じを焔は感じた。辺りを見るとそこには茶髪の軽そうな表情をした青年がいた。

 

「さて、不知火焔ちゃんだったかな? ここは危ないから安全なところに行くよ」

「え? なんで焔の名前を」

「へへへ、お兄ちゃんは魔法使いだからね~なんでもお見通しなんだよ~」

 

 子供に使うきまり文句のようなもので青年は焔に向かって白い歯で笑みを浮かべた。そんな彼に梗が声をかけた。

 

「おい、そこのロリコン忍者。さっさと焔を安全なところに連れてけ」

「あんだよ、左腕不随。この佐助さんをロリコンと申すか! 俺は世の美しい女性達を心から愛しているのだよ! なのに幼女だけを付け回す卑猥なロリコンを俺を同一s」

「あ~! わかった、わかった! わかったから早く行け!」

「う~い」

 

 そういって佐助は焔をお姫様だっこしたまま長屋の瓦の上を風のように駆けて行った。

 梗は青年と再び向かい合う。

 

「さてと、ウチの焔が何かしでかしってんなら謝るがそういう訳じゃないんだろ?」

 

 梗がそういうと青年は焔とぶつかったときのような無関心な表情を浮かべた。

 

「あいつは焔っていうのか人違いだったな謝るのは俺のほうだったな、。すまない。」

「ん!? ああ、いや、あいつのことだから大丈夫だよ」

 

 予想外の反応に梗は肩透かしを食らったような感覚になった。今回は話の分かる相手で助かると思ったのだが、今回の相手も結局癖のある相手のようだった。

 

「ところで、君からは彼女より強い妖力を感じる。なら、調べた方がいい!」

 

 その言葉と同時に梗の顔に拳が飛んできた。それを梗は右手だけで受け止め、力を受け流しながら青年の横に回った。

 

「いきなり何しやがる!」

「いや、屍になってても目標(ターゲット)なら問題ないって龍が言ってたから」

「何言ってんだ、分かるように説明しろ!」

「これから死ぬ運命(さだめ)にある奴に言う義理はない!」

 

 今度は青年の右足が梗めがけて跳ね上がった。回避しようにも左腕が邪魔で梗はその蹴りを左足で受け止めた。青年の足を押し返し梗が反撃に出る。

 右の拳に意識を集中させ右足で踏み込みみぞおち辺りに拳を放つ。青年がそれを回避するために後方へ下がろうとしたときだった。彼両足の筋が痺れさがるのがワンテンポ遅れ梗の突きを回避する事が出来なかった。

 

「<幻武:三掌連(さんしょうれん)>!」

 

 みぞおちに入った初弾に間髪いれずに二段目、三段目の衝撃を叩き込む。後方にさがりかけたために完璧に入らなかったとはいえ三掌連を受けた青年は後方に吹き飛んだ。

 青年が着地し体勢を整えようとするところに梗は踏み込み追撃の突きを放つ。先の展開から回避することが困難だと悟った青年は自分の前で腕を交差させ防御しようとするが梗の突きは軌道を変え青年の体を捉えた。

 

「<幻武:幻掌(げんしょう)>。まだまだ!」

 

 梗が右手を地面に突き逆立ち蹴りで青年を空中に吹き飛ばす。

 

「<幻武:龍起(りゅうき)>。」

 

 蹴りあげられた青年は放物線をえがき焔が飛び込んだ木箱の上に落ちた。墜落とほぼ同時に跳ね起き体についたごみをはらう青年に大きなダメージは見られなかった。

 

「体の反応を邪魔する神経毒入りの黒煙か、あの餓鬼が姑息な真似をしやがって……」

 

 青年が怒りの感情を露わにし顔をしかめる。その様子を梗は距離を置きつつも構えたまま見る。

 

「しかし、幻想郷(ここ)にもこれほどの奴がいたとは。てっきりスペルカードとかいうごっこ遊びしかできない連中だと思ってんだが左腕不随でここまでやれるのか。お前の相手をすると任務に支障をきたしそうだ」

「何を言ってるか分かんねえがとりあえずしばらく再起不能になってもらう!」

 

 そう言って梗が飛び出す。妖力を乗せた拳で青年を突くつもりだおそらくあの技は虎波だろう。しかし青年は何故か不敵な笑みを浮かべた。

 

「リスクの高い運命を引いたようだだが問題ない。原因が運命ならなんとでもなる。さあ、運命はたった今塗り替わるのだ!」

 

 青年がそう言い指を弾いた。そしてその異変に気づけたのは青年を含め、梗、焔、佐助の四人だけだった。梗は自分が青年に向かっていたはずなのに体が動かなくなっていた。

 

(こっ、これは一体、どういう事だ)

 

 青年の動きも完全に停止している為に一方的に攻撃される心配は無かった。そして、体は動かなくとも考える事や、言葉を発することはできるようだった。不意に青年が口を開く。

 

「僕の名は「ラリー・パラノクス」。本来は無関係な人に名前なんてものは教えないんだけどね、もう君には教えても何の問題もないからね。どうかな? 運命の奴隷になった気分は?」

「運命の……奴隷?」

「ああ、いいかい? 分かってないみたいだからそれも教えてあげるよ。運命ってのは常にいくつか用意されているんだ。それが誰かのきまぐれによってその運命の中からひとつが選出されこれまでの過去や今、これからの未来をつくるんだ。ここまで大丈夫かな?」

「何を言いたい?」

 

 梗は気付いていた。自分達を含め周りの全ての物の動きが停止している事に。音どころか風も吹かない。情景の変化しない刺激の無い空間で話せるのはどうやらここでは梗とパラノクスという青年だけの様だ。

 

「僕はその運命を選ぶ権限を持っているんだよ。僕は【時間を巻き戻す】ことができる。時間が巻き戻れば運命はまたそこから動き出す。でも結論をしっている僕はその運命に干渉できる。つまり、変えられるのさ。どうだいわかったい?」

「理解はしたが信じてはいない」

「信じない? 今それが目の前で起こっているのに? まあ、せっかく数少ない運命の干渉者に選ばれたんだ、もうひとつ教えてやろう。この時間の逆流を体感できるのは巻き戻る時間の中で僕に関わった者だけだ。それいがいの者の時間も巻き戻るが彼らはそれに気付けない。なぜなら彼らには全く同じ運命が待っているんだからね」

 

 そこまで言うとパラノクスは勝ち誇った表情を浮かべる。梗は状況を打開しようと思考を巡らせるが能力の使用はおろか指一本も動かない。

 

「ここまで君に事細かに説明したのはこの後の警告を快く承諾してもらうためだ。僕に関わらないでくれ、君は僕にとってリスクでしかない。仮に近づこうとしても僕は能力で何度でも君を遠ざける事が出来る。無駄な事に労力を浪費させないでくれ。それでは……」

 

 

「時は巻き戻る」

 

 突如として体が勝手に動き出したかと思うとさっき青年と梗の戦闘をなぞり逆再生していく。どうあがこうとも過去をなぞる自分の動きを制御できない。そして、佐助が焔を連れて逃げたところまで時間は巻き戻った。茫然とする梗に背を向けるとパラノクスは歩き出した。

 

「実は僕が今、幻想郷(ここ)にいるのにはある訳があってね。ある人物を消さなきゃいけないんだ」

「ある人物?」

「八雲紫。僕の主を昔封印した妖怪らしい。主は紫の始末だけが目的だが場合によっては彼女の式、八雲藍と八雲梗。八雲の姓を根絶やしにすると言った」

 

「!?」

 

「僕は、手始めに八雲梗という妖怪を探しているんだ。くれぐれも邪魔はしないでくれ」

 

 そう言い放ちパラノクスは再び歩き出した。小さくなる彼の背を梗はただ眺めることしかできなかった。

 




時間を巻き戻す能力を持つ敵、ラリーパラノクス。てか、梗くんを放置してるけど主人から何か言われるんじゃないの? てな訳で今回はここまで、次回をお楽しみにして頂けると幸いです!。
    
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