超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第八十五話 尋問は女神総出で

守護女神の奪還以降、女神は全員プラネテューヌに滞在していた。それは守護女神の四人が回復しきらない内に各地へ分散してしまうのは危険であり、こちらから攻勢をかける場合は集まっていた方が動き易いという判断がされていたから。

でも、戦況は膠着状態となった。既に犯罪組織が犯罪組織『残党』となった時点でこの表現は些か間違っているけど…とにかく軍や有志が会敵せずに戻る事や、残党による被害報告がない日が多くなってきた。そんな中で国の長であり象徴…そして信者にとっては待ち望んでいた存在である守護女神が、ずっと本国を不在にしているというのは宜しくない……そういう実情を考慮し、守護女神及び女神候補生は自国へ帰還するという事になった。

……と、いうのが私達が散々待たせた会議にて話された事。その会議中私達五人がずっと集中出来ずにいたのは…言うまでもないよね、はは……。

 

「明日で皆は帰っちゃうのかぁ…寂しいね、ネプギア」

「うん…でも、他国の国民さん達はやっぱり皆さんが自分の国にいてくれた方が安心すると思うもん。仕方ないよ」

「むー、ネプギアが大人になってる…」

「い、いやこういう事に関してはお姉ちゃんが捕まる前から変わってないと思うけど…」

「そうだっけ?…にしても、タイミング悪いよねぇ…」

 

先頭を歩くネプテューヌとネプギア。その後ろを着いて行く私達女神組。私達は現在、プラネタワー内にある諜報部管理下の一室へと向かっている。

 

「ロム、ラム、貴女達は来なくてもいいのよ?」

「いーの、ロムちゃんが来たいって言ってるんだから」

「うん…明日はかえらなきゃだから、もうちょっとネプギアちゃんたちといっしょにいたいの」

「正直わたしは行きたくないなぁ…行っても楽しくなさそうだし…」

「なら行かなくてもいいんじゃない?その場合諜報部の人に『他国の女神様は来るのに内の守護女神様は来ないのか…』って思われるでしょうけど」

 

何故私達が諜報部管理下の一室へ向かっているのか。それはこれから行う事の結果次第では、有益な情報が得られるかもしれないから。それはわざわざ女神がやらなきゃいけない訳でもないんだけど…直接情報を得たいという事で、皆が来る流れとなった。

プラネタワーの中を歩く事数分。目的地へ到着した私達は、場所が場所だから入っても大丈夫か確認を……しようと思っていたけど、ネプテューヌはノックもなしに開けてしまった。

 

「やあやあやってるかね?」

「と、突然何者だ…ってネプテューヌ様!?」

「そ、それにネプギア様と各国の女神様まで…」

 

行きたくなさそうだった様子は何処へやら。ネプテューヌがベテラン刑事みたいなノリで開けると、そこには取り調べ室の様な部屋が広がっており…そこでは諜報部所属の二人ともう一人……否、もう一匹がいた。

 

「げっ、女神が来たっちゅ…」

「げってアンタ…イリゼさん、やっぱアタシこんな奴にちゃんとした扱いは必要ないと思います。保健所連れてくのが妥当じゃないですか?」

「保健所!?お、オイラをなんだと思ってるんだっちゅか!?」

「害獣」

「ストレートに酷いっちゅね!…止めろっちゅ…とあるクマが保健所は警察より危険だって言ってたんだっちゅ…」

「どこの世界に生きてるの…ワレチューが太々しいのには同意だけど、保健所送りにしたら取引の反故になるからね。特務監査官として適当な事は出来ないよ」

 

ギョウカイ墓場で私達が倒した汚染ワレチュー。その中から出てきた(解放された)ワレチューを、私達は当初の予定通りプラネテューヌへと連行した。で、気絶していたワレチューはその後目を覚まして、けれど尋問を受けても全く口を割らず、埒があかないと色々対策を講じられた末に今へと至るのです。

 

「…で、なんだっちゅか。女神が来たってオイラは喋ったりしないっちゅよ」

「貴様…女神様、私もこいつは保健所送りが適切ではないかと思います」

「そう焦りなさんな新人君。悪いねぇ、うちの部下は少し血気が過ぎるんだ」

「え、あ…ネプテューヌ様……?」

「出た、ネプテューヌの刑事ネタ…」

 

さっきのノリといい今の台詞といい、どうも今のネプテューヌは刑事の気分のようだった。…えぇはい、諜報部の方々含めた全員で温かい目をしてますよ、今。

妙に手慣れた動きで椅子に座るネプテューヌ。ネプテューヌの中じゃ確固とした刑事像が出来てないのか、ベテラン刑事的発言をした次の瞬間にはどこからか取り出したデスクライトをワレチューの顔に当てる。

 

「うわっ、眩しいっちゅ…」

「吐いちまえば楽になるぞ…?」

「なんなんっちゅかそのキャラは…そんな事されたって話す気にはならないっちゅ」

「えー…じゃあ仕方ない。諜報部員さーん、カツ丼注文してー」

「え……鼠に豚肉を…?…いや私もカツ丼注文は一回してみたかったですけど…」

「でしょでしょ?だからカツ丼の出前を…」

「お姉ちゃん、それだとコンパさんを呼んだ意味が…」

「コンパちゃん!?コンパちゃんが来るんだっちゅか!?」

 

私達と違ってネプテューヌを敵としか思っていないワレチューは、そのノリを冷ややかに流していたけど…コンパの名前が出た瞬間、身を乗り出す程の反応を見せた。…だよね、こうなると思ってたよ……。

 

「うわー、話には聞いてたけど…これは相当こんぱにお熱だね…」

「当然だっちゅ!あんなに可愛らしいコンパちゃんを好きにならないなんてあり得ないっちゅ!」

「あーうん、可愛いって事には同意するよ?…まぁそういう事だから…いでよこんぱ!後あいちゃん!」

「何言ってんのよネプテューヌ…そんなドンピシャなタイミングで二人が来る訳が……」

「お待たせしましたです〜」

「ちょっとねぷ子、私をおまけみたいに言うんじゃないわよ」

『あった!?』

 

まるで本当に召喚をするかのように右手を掲げるネプテューヌに対し、ノワールがいっそ前振りみたいな突っ込みを入れた瞬間……ほんとに呼ばれていたコンパと、コンパを呼びに行ったアイエフが部屋の中へと入ってきた。

 

「……?皆さん、どうかしましたか?」

「な、何でもありませんわ…えぇとコンパさん、コンパさんは呼ばれた理由を…」

「聞いてますです。ネズミさん、お身体は大丈夫ですか?」

「こ、コンパちゃんがオイラの心配を…も、勿論だっちゅ!この通りピンピンしてるっちゅよ!」

「ふふっ、それなら一安心です。それじゃあネズミさん、ねぷねぷ達の為にお話して下さいです!」

「はうぁっ……!」

 

屈託のない笑みを見せるコンパ。その笑顔は私達からしても心の和む素敵なものなんだから、コンパにお熱なワレチューにとっては平然と受け流せる訳がなく……胸を撃たれたみたいに仰け反っていた。…キューピッドの矢でも刺さったかな…?

 

「コンパちゃんの笑顔…コンパちゃんの笑顔…コンパちゅあんの笑顔……」

「…話して、くれるですか?」

「話すっちゅ!さぁ何でも訊けっちゅ!」

「ひ、豹変が凄い…こほん。じゃあ…ギョウカイ墓場にこれといって戦力が配置されていなかったのは何故?」

 

女神組全員とアイエフの予想通り、ワレチューはころっと落ちた。それはもう、いっそ清々しい程に。全くもってそれは呆れてしまう事だったけど…それより今は情報を引き出さないとね。

 

「戦力?…あぁ…それは分からないっちゅ」

「分からない?しらばっくれるならコンパには帰ってもらうわよ?」

「ほ、ほんとだっちゅ!墓場周辺の情報収集を頼まれて、それを終えて帰ってきたら皆居なくなってたんだっちゅ!」

「…そういえば、そういう旨の発言を墓場でもしてた気が……」

「あの時はまだアタシ達に気付いてなかったみたいだし…お姉ちゃん、多分これは合ってると思う」

「そう。となると…敢えて知らされてなかった可能性があるわね」

「敢えてだとすれば、状況も加味して…目的は犯罪神の力の実験、ってところかしら。こちらの突入が知られていたとすれば、返り討ちにするつもりもあったのかもしれないけど」

 

知らされていなかった、という情報を元に、ノワールとブランは早速推測を立て始める。当の本に…本鼠であるワレチューはぽかんとしていたけど、知らされていなかった身なのだからそれは仕方のない事。

 

「まぁ、実際のところがどうなのかは後々検証するとして…ネズミ、現状での残存戦力と今後の動向を洗いざらいに話しなさい」

「残存戦力と動向?それなら……はっ!?お、オイラは今まで何を…」

「あ、正気に戻った…あいちゃん、やっちゃったね」

「え、私のせい!?」

「あ、危ないところだったっちゅ…まさか仲間の情報までべらべら話しかけるとは…」

 

ぶんぶんと首を振り、意識をはっきりさせるような素振りを見せるワレチュー。正気に戻った理由がアイエフなのかどうかはともかく…流石にそこまでワレチューも単純じゃないって事なのかもね。

 

「仲間って…アンタ悪党の癖に何言ってんのよ」

「悪党…確かにそうかもしれないっちゅね。けどオイラ、悪党とはいえ仲間や友達を売る事は出来ないっちゅよ」

「悪党の癖に義理堅いなんて…え、これまさか改心からのパーティーインフラグ?こんなネズミがパーティーインなんてわたしやだよ?」

「なんでさっきからこの女神はふざけてるんだっちゅ…とにかくオイラは仲間の情報を言うなんて事は断じてないっちゅ。諦めるっちゅね」

『…………』

 

 

 

 

「……こんぱ、説得してあげて」

「はいです。ネズミさん、平和の為に協力して下さいです!」

「オイラ平和と平和を愛するコンパちゃんの為に尽くすっちゅ!まずは元々ギョウカイ墓場にいた戦力っちゅ!」

 

上機嫌で仲間の事をべらべら喋る犯罪組織構成員。……前言撤回。ワレチューは単純だった。そして数分後、粗方情報を話し終えたワレチューはまた正気に戻り……落ち込んでいた。

 

「やってしまったっちゅ…やってしまったっちゅぅぅ……」

「あぅ、ネズミさんがしょんぼりしてるです…」

「流石にこれは気にする事ないよコンパ。今のはワレチューの自爆だもん」

「それより次は動向ですわ。戦力の情報からして貴方は幹部格ではないようですけど、それでも少しは聞いているのでしょう?」

「……オイラにこれ以上仲間を売れと言うっちゅか?…既にオイラは話してしまった情けないネズミ…だとしても、これ以上落ちぶれる訳にはいかないっちゅ!」

『…………』

 

 

 

 

「……先生」

「……?何が先生なのかは分からないですけど…話してくれれば対策が立てられて、沢山の人を救えるんです。だからネズミさん、もうちょっとだけお願いするです!」

「世の為人の為に活躍してこそネズミというもの!四天王の考えてる事は知らないっちゅけど、残党内じゃゲリラ戦を仕掛けようって話になってるんだっちゅ!あんまり成功する気はしないっちゅけどね!」

 

意気揚々に残党内での方針をべらべら喋る犯罪組織構成員。さっきは気にする事ないって言ったけど……ここまで単純だとちょっと哀れだった。…ああはなりたくないね…。

それから十数分後。意気込んでは喋り、落ち込んではまた喋りと最早狙ってやってるんじゃないかと思う位ワレチューはべらべらと喋り続け……結局私達が訊きたい事は全部話してしまった。

 

「ちゅぅぅ…オイラは…オイラって奴は……」

「ね、ネズミさん…」

「すっごい元気になったりおちこんだりいそがしいネズミだね、ロムちゃん」

「うん、ふしぎ……」

 

皆が呆れたり哀れんだりする中、本気で心配してあげてるのはコンパただ一人。後ロムちゃんラムちゃんはもう飽きてる感じだった。

 

「恋に流され、女神の卑劣な罠にまんまと嵌められ、仲間を叩き売り……はは、オイラなんてネズミ界の汚点、面汚しだっちゅ…」

「ネズミさん、物凄く落ち込んじゃってるです…もしかしてわたし、酷い事しちゃったですか…?」

「いやいや、こんぱは何も悪くないよ?ほいほい喋ったのはワレチュー自身だし」

「でも、罠に嵌めたって感じは確かにあるかも…これって、思いを利用した形なのかな…」

「おっと、こんぱに続きネプギアまで…うーん、わたしが優しい女神だから、周りの人も自然と優しくなっちゃうのかな?」

「はいはいそうですねー。…功績者であるコンパが気を落としちゃうんじゃ悪いし、ここは一つ何とかしてあげますか」

 

ネプテューヌの発言を軽く流しつつ、私ベールブランへ視線を送ってくるノワール。その視線で意図を理解した私達は、数秒思考した後ワレチューの側へ行き……耳元で囁く。

 

「そう気落ちする事はないわ。貴方は仲間を売ったんじゃない、仲間の身を案じてわたし達に情報を託してくれたのよ」

「な、仲間の身を案じて…?」

「面汚しだなんて自身を卑下なさらないで。貴方に口を割らせる為に女神が総出で来たのですから、むしろ大したものだと誇っていいのですわよ?」

「オイラは、誇ってもいい…?」

「というかそもそも、愛の為に喋ったんでしょ?恋した相手の為に全てを投げ打つなんて、男らしくていいじゃない」

「男、らしい……」

「コンパは心配してるよ?…仲間思いの心、女神を相手取っても引かない気概、愛に燃える男気を持つ、ワレチューをね」

「……ふ、ふふ…ふふふふ…」

 

ワレチューは囁かれる毎にワードを反芻し、少しずつ声のトーンが上がっていく。そして締めである私の言葉を聞き終えたところで彼は笑い出し……カッ、と目を光らせた。

 

「そうだっちゅ!オイラは嵌められたのではなく、全て自分の意思で選び取ったんだっちゅ!どうせこれも策略の内だろうっちゅけど、乗ってやるっちゅよ!コンパちゃんを心配させる訳にはいかないっちゅからね!」

「わぁ、ネズミさんが元気になったですぅ!」

「安心してほしいっちゅ、コンパちゃん!オイラは特性『ふくつのこころ』のワレチューっちゅ!」

「みたいですね。イリゼちゃん達も、ネズミさんを元気にしてくれてありがとうございますです!」

「ふふっ、この位なんて事ないよ」

 

ぱぁっ、と顔を綻ばせてくれたコンパに、私達は安堵。良かった良かった、やっぱり優しいコンパには落ち込んでほしくないもんね、と一仕事終えた充実感の中で、私達は微笑み合うのだっ──

 

「…おねえちゃん、えがおこわい…」

「わ、わらってるのにこわい…」

「何を言ってたのかは聞こえなかったけど…人身掌握、だよねきっと…」

「…やっぱり、女神としてやっていくにはそういう力も鍛えなきゃいけないのかしら…」

 

…………気付いたら、候補生組から複雑そうな顔で見られていた。…あれ、おかしいな…なんだか物凄い勢いで充実感が萎んでいく……。

 

『……はぁ…』

「あ、あれ!?今度は四人が落ち込んじゃったです!?」

「四人は身を削って元気を出させたんだよ…身を削る事になるって分かってなかった辺り、自爆とも言えるけど…」

「よかったわね、ねぷ子は誘われなくて」

「うん、一瞬ハブられたかと思ったけど…こういう展開ならむしろ助かったよ」

 

候補生の四人は複雑そうにしていて、ネプテューヌとアイエフは肩をすくめてて、諜報部の方はそもそも私達のノリに着いてこれてなくて……結果、私達を慰めてくれる人は誰もいなかった。…という訳で仕方なく、私達は傷の舐め合いでモチベーション復旧に勤めるのだった。

 

「あ、そのシーンは見てて悲しくなる感じだったから飛ばさせてもらったよー」

「お姉ちゃん、それは基本視点担当の人が地の文でフォローするやつだよ…」

「そういうルールって訳じゃないからだいじょーぶ!…で、ワレチューどうするの?」

 

紆余曲折あったものの、何とかワレチューへの尋問を終えた私達。となれば当然話はワレチューの処遇についてへ移っていく(別にこれはここで話さなきゃいけない事でもないけど)。

 

「色々話したんだから、減刑を望むっちゅ!司法取引を要求するっちゅ!」

「ネズミの癖に司法取引なんて生意気な…プラネテューヌはモンスターへ対して裁判権を適用させていたかしら?」

「え、えっとねぇ…ちょっと待ってね、思い出すから…」

「ネプテューヌには聞いていないわ。ネプギア教えて」

「あ、はい。解釈にもよりますけど、現行法では基本害獣の一種としての扱いなので適用されないと思います」

「よく覚えているのね。ロム、ラム、ネプテューヌ、ネプギアを見習うのよ?」

『はーい』

「はーい…って、わたしお姉ちゃんだよ!?妹を見習えと!?……いや今の流れだと言われても仕方ないけどさ!」

「…という訳だから、普通に考えたら司法取引以前に殺処分でしょうね」

「そ、そんな…あんまりだっちゅ、あんまりだっちゅうぅぅぅぅ!」

 

ブランの容赦ない言葉にワレチューは戦慄。普段物静かで声にもクールさが籠っているブランの言う『殺処分』は、結構ほんとに怖かった。

 

「何とかならないっちゅか!これはあまりにも非人道的だっちゅ!」

「鼠が人道を語るとは…しかしそうは言われても、貴方の語った事は正直そこまで有益じゃなかったし…」

「近況が分かったのだけはよかったけど、全体的に言えば捕縛した基地司令クラスの方が有益な情報持ってたものね」

「が、がーん…終わるんだっちゅか…?オイラはここでTHE・ENDなんっちゅか…?」

「……あ、わたくしのところである仕事について頂けるのでしたら助けてあげても宜しくてよ?」

「ほ、ほんとっちゅか!?それはどんな仕事だっちゅ!?」

「それはまだ公言出来ないので…ごにょごにょごにょ…」

「ふむふむふむ……ってそれは仕事じゃなくて実験動物だっちゅ!も、モルモットにする気っちゅか!?」

 

一瞬表情を輝かせたワレチューだったけど、それが保っていたのはものの数秒だった。…多分モンスター研究に関する事だね…確かに知性があって人の言葉も話すワレチューは研究対象としては逸材だろうけど…。

そんなこんなで話は進行。私達は半ばふざけてた面もあったけど、実際単なるモンスターとも人とも言えないワレチューをどう裁くかは問題であって、最終的には特例として扱うか法を考え直すかの二択…というかなり真面目な形に落ち着いた。

 

「どっちの選択をするにしても手続きとか複雑だし、何れにせよ流れで決める事ではなさそうだね」

「ですね。お姉ちゃん、一先ずは保留にするのがいいんじゃないかな?」

「そうみたいだね。と、いう訳でワレチューは保留!諜報部員さん、ワレチュー連れてっちゃって!」

「畏まりました。さあこい鼠!」

「い、嫌だっちゅ!殺処分だけじゃなく檻の中も嫌だっちゅ!ネズミなのに豚箱連れて行かれるのは嫌だっちゅー!」

「あ、またブタさん出てきた…」

「ブタばこってなーに?ふでばこのしんせき?」

「う、うぅぅ……ならせめて!これだけは言わせろっちゅっ!」

「わ、わわっ!?」

 

諜報部の方が両側からワレチューを掴み、連行すべく扉の方へ。その中でラムちゃんが子供らしい質問を口にし、それにブランが答えるという和やかなシーンで今回の話はお終い……になると思いきや、二人を振り切りワレチューはコンパの前へと迫った。

まさかコンパを人質に?と一瞬で意識を切り替える私達。けれどそんな私達の雰囲気にも気付かず、或いは何としてもチャンスを逃したくないという気持ちが強かったのか、ワレチューは大きく息を吸い込んで……

 

「こ、コンパちゃん!オイラ決して胸を張れるような事はしてこなかったっちゅけど、コンパちゃんへの気持ちだけは本物だっちゅ!だからコンパちゃん…オイラと、オイラと…オイラと結こ……」

『あぁ!?』

「あーっ!だ、誰っちゅか今ガラの悪い声でオイラのプロポーズを邪魔したのは……って、な、何で守護女神四人と+αが女神の姿になってるんだっちゅ!?」

「こんぱにプロポーズ?なら、わたし達五人を力でねじ伏せる位の覚悟は出来てるんでしょうねぇ?」

「なんでそうなるんだっちゅ!?え、ちょっ、待つっちゅ!オイラは女神とやり合える程の力はない……ちゅうぅぅぅぅうぅぅっ!!?」

 

──こうして、コンパにプロポーズを行おうとしたワレチューは私達の逆鱗に触れ、ぼっこぼこにされるのでした。お終い。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……しっかし今回は実質ワレチューで一話使っちゃったね。誰得回かな?」

「それは皆が思ってる事だから言わなくていいよ!っていうか久し振りに出てきたねこの終わり方!」




今回のパロディ解説

・とあるクマ
ギャグマンガ日和シリーズに登場するキャラ、クマ吉くんの事。司法的に捕まる動物のトップと言えば勿論彼。ワレチューは軽犯罪で捕まった訳じゃないですけどね。

・「〜〜けどオイラ、悪党とはいえ仲間や友達を売る事は出来ないっちゅよ」「……オイラにこれ以上〜〜いかないっちゅ!」
それぞれ原作の続編(V及びRe;birth3、VⅡ及びVⅡR)におけるワレチューの台詞。台詞だけじゃなく、捕まってコンパに言われて喋る…という展開自体がパロディなのです。

・ふくつのこころ
ポケットモンスターシリーズに登場する特性の一つの事。実際に持ってるのはにげあしとかあくしゅうとかでしょう。特ににげあしは本当に持ってる気がします。
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