超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第百二十二話の終盤付近を、一部編集致しました。ワンシーン増えただけなので今後の展開を見る上で必要不可欠という訳ではありませんが、少なからず触れる事もあると思うので出来れば見て下さるとありがたいです。


第百二十四話 心を癒す四人のケーキ

絶望感な状況を何とかする為に会議をしている中で、女神候補生の四人が揃って口にしたお願い。一目で分かる、真剣で本気なお願い。それは……ケーキ作りを手伝ってほしいとの事だった。

 

「…えっ、と……今日、何かお祝いあったんだっけ…?」

 

私にとって候補生の四人は、女神の後輩であり同時に教え子。四人のやりたい事、頑張りたい事は応援してあげたいし、これまでそうしてきた。…けど…流石にいきなりケーキ作りを手伝ってと言われたら、そういうスタンスでも困惑してしまう。

 

「いえ、お祝いじゃないんです。でも、お姉ちゃん達の為のケーキです」

「…甘いもので頭の回転をよくしてほしい、って事?」

「ううん、ちがう…」

「あまいものじゃなくてもいいんだもんね。ケーキがいいかなって思っただけで」

 

お祝いでなければ、糖分補給の為でもない。…なら何故今、こんな時に?…というのが私の感想。そんな事するな、と言う気は毛頭ないけど……今は状況が状況なんだから。

 

「だったら、どういう理由?」

「それは……すみませんイリゼさん。今はまだ、言えないんです」

「言えない?…まさか詐欺か何かに引っかかってはいないよね?」

『いやいやいや……』

 

ゆっくりと首を横に振って答える事を否定するユニに、ふと碌でもない事へ巻き込まれたんじゃないかと勘繰る私。…けど、お金貸してくれならともかくケーキを要求してくる詐欺というのも意味不明な話。こういう事では……多分ない。

 

「…前言撤回。詐欺云々は違うんだろうけど…理由はちゃんと言ってくれないかな?」

「言ったらいみなくなっちゃうからダメ!」

「意味が無くなる…?」

「正しくは、イリゼさんの場合半減しちゃうですけど…とにかくそういう事なんです。お願いします」

「……お願いってさ、内容にもよるけど相手の時間や労力を提供してもらう事だよね?だから対価を用意しろとは言わないけど、今のまま手伝えっていうのは…」

「図々しい。…それは分かっています。でも…それを分かった上で、なんです。……お願いします、イリゼさん」

 

ラムちゃんの言葉とユニの訂正で、理由は分からずとも話してくれない理由は分かった。…けど、私の口から衝いて出たのは、少々意地の悪い言葉。道理は通っていると思うけど、私基準では間違いなく意地が悪い。…そう分かっているのに、口にしてしまったのは…まだ私が会議での心情を、引き摺っているから。

でも、ネプギアは…皆はまた頭を下げてきた。そこにあるのは、意地の悪い言葉にへこたれないだけの意思と……イリゼさんならきっと、という私への信頼。私がいつも皆に向けていて…向けてもらえると、本当に嬉しい思い。そんな思いを四人が向けてくれているのに……私の反応は、それでいいの…?

 

『…………』

「…………」

『…………』

「……ちょ、ちょっと待ってて…!」

 

そんなんじゃ手伝えないという気持ちと、応えてあげたいという気持ち。そのどちらもあって、迷って……そこで私は、タイムを取った。四人に待ってと伝えて、猛スピードで自室へ急行。そして……

 

「ライヌちゃん!ちょっとごめんね!」

「ぬ、ぬらっ!?」

「ライヌちゃん、むぎゅー…っ!」

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

……はふぅ…♪

 

 

 

 

「お待たせ皆。…いいよ、手伝ってあげる!」

 

マイナスの気持ちを、ライヌちゃんを抱き締める事で癒した私は、戻って四人のお願いを聞き入れるのだった。…この時、今度は四人がきょとんとした顔をしてたなぁ…。

 

 

 

 

イリゼさんは、初めいつもより厳しい雰囲気があったけど、どこかに行ってそれから戻ってきた時には雰囲気もいつものイリゼさんに戻っていた。その後すぐイリゼさんは指導役を引き受けてくれて、早速わたし達はケーキ作りを……する前に、材料の注文をする事になった。だって、買いには行けないもん…。

 

「イリゼさん、全員手を洗いました」

「うん。今回に限らず、料理をする時はまず手を洗う事が大切だからね?」

 

プラネタワー内の食堂の一つ、そこの厨房でわたし達はイリゼさんの前に並んだ。調理台の上に置いてあるのは、わたし達がそれぞれ作るケーキの材料。

 

「で、確認だけど…四人は何のケーキを作るつもり?」

「モンブランよ!だっておねえちゃんの名前ににてるもん!」

「モンブラン…すてき…(きらきら)」

「へぇ、そういう理由で…って、あぁ…だからモンブランが懐かしかったんだ…」

『……?』

「あ、ううん気にしないで。ネプギアとユニは?」

「わたしは苺のケーキです」

「アタシはブルーベリーケーキですね。…三種類も一度に作れますか…?」

 

食堂の設備は、当然だけど家庭用よりずっと一度に沢山の調理を行えるようになっている。それ位ユニだって分かっている筈で、だとすればユニが心配しているのは私の負担の問題。でも、それは……

 

「ふふっ、心配ご無用だよ。私、お菓子作りに限定すればそこそこ得意だからね」

「それはネプギアから聞きましたけど…二人程包丁や火を使わせるのは危なそうな子もいますし…」

「む…それってわたしたちのこと?」

「あーりんクッキングで、おべんきょうしたもん…」

「それ包丁も火も使わないやつじゃない…アイドルのクッキングってならせめてクッキンアイドルとかにしなさいよ、見た目的にも……」

 

今やお菓子作りが趣味の一つである私にとって、この程度の事問題な……ってあれ!?これ私のアピールタイムじゃなかったの!?なんか全然違う話になっちゃったよ!?…まぁいいけど。

 

「よし、それじゃ早速始めようか。皆、昨日言った通り基本は自分達でやるんだよ?分からなかったり手を貸してほしかったりしたら、その都度頼んでくれていいからさ」

「じゃあ、ぜんぶわからなかったら…ぜんぶ、おしえてくれる…?(うわめ)」

「もう、仕方ないなぁ……って、それは流石に駄目だよ!?あ、危なっ!危うくロムちゃんに甘々な約束しちゃうところだった…」

「あー、おしい。ざんねんだったね、ロムちゃん」

「ざんねん…でも本気じゃないから、だいじょうぶ…」

「本気でそのつもりだったら困るよ……」

 

…なんてロムちゃんなりのボケ(…だよね…?)があった後、ケーキ作りを開始。各々調べたレシピに沿って、何かしらの目的の為のケーキを作っていく。

 

(ネプギアとユニ…は、常に見てる必要なさそうだし、何かあれば自分から訊きにきてくれるよね。だったら……)

 

腕を組んで使っていない台に軽く寄りかかりながら、私はロムちゃんとラムちゃんの方へと目をやる。

やっぱり不安なのはこの二人。勢い良く包丁振り下ろして指ザクゥッ!…とか、空焚きしちゃってあわや火事!…とかほんとにありそうでちょっと怖い。…基本は自分達で、って言ったけど…適宜アドバイスして、場合によっては本当に包丁や火を使わない調理法を教える方がいいかもね。

 

「えーっと、切るときはネコの手だったよね?」

「うん。気をつけてね」

 

色々想定しつつ見ていると、すぐに二人は包丁を手に。でも叩っ斬るような感じはなく、二人で確認をし合いながら進めている。…二人がきゅっと軽く手を握って食材に当ててる姿は、ちょっと可愛い。

 

(…不安はあるけど、過干渉も良くないか。料理には慣れてなくても、刃や火の危険性はよく分かってるだろうし……)

「…あの、イリゼさん」

「ん?どうしたの?ユニ」

 

暫く二人の事を考えていたところで、すぐ近くから私を呼ぶ声。何かなと思って反応すると、そこにはボウルを手にしたユニの姿。

 

「こんな感じに今泡立て器で混ぜたんですけど…もう少しやった方がいいですか?」

「そう、だね…ちょっと貸してくれる?」

「あ、はい」

「こういうのは数値的な表現がレシピにないから難しいよね……うん、このままでもいいと思うよ?でも、もう少しやるとふわっと感が増すかな」

「ふわっと感、ですか…ありがとうございます。もう少しやってみますね」

 

ボウルと泡立て器を受け取り、軽く混ぜた私は見た目と手の感覚を元にアドバイス。この中じゃユニが一番論理的というか「何となく」を避けるタイプだし、多分この後もこの系の質問来るんじゃないかなぁ…。

 

(…なんか、いいかも……)

 

取り敢えずは自分で、でも私に頼るばかりではなく時には候補生同士で意見を出し合ったり、同じ食材を使う場合は分担したりで協力しながら完成を目指す四人。全員で仲良く、和やかに料理する姿はとても今の状況と合っているとは思えない。……けど、大変な時は大変そうな顔をして、楽しくも何ともない事をしなきゃならないなんてルールはない訳で、私や守護女神の四人よりずっと精神衛生が出来ているとも言える。意識して精神衛生してるって事はないんだろうけど…意識せず出来るのも、それは一つの力だよね。

 

「…ふぅ、後は焼くだけ…イリゼさん、焼いている間にしておいた方がいい事ってありますか?」

「ん、あるよ〜。食器を用意しておくとか、逆に使い終わった物を洗っておくとか、後は盛り付けの……と、思ったけど……」

『……?』

「……まずは、ゴミの片付けから始めようか…」

『あっ……』

 

オーブンにケーキのスポンジを入れ、くるりと振り向いたネプギア。ここまで特に問題なく進めていた四人だけど…調理台を見てみれば、そこには出しっ放しとなった砂糖や空になった卵のパック等がそこそこな面積を占領中。

 

「こ、このアタシがこんなミスを犯すなんて…」

「あはは…まぁでも料理慣れしてないとついやっちゃう事だし、気にする事はないと思うよ?私も前はよくやってたし」

「むぅ…おりょうりでもお片づけしなきゃいけないなんて…」

「皆で分けてやれば簡単だよ。だからぱぱっとやっちゃお?」

 

料理…特に○○分温めるとか、とろみが出るまで煮込む(今回それをするケーキはないけどね)みたいな時間の気になる行程があると、つい意識が目の前のものに割かれて他がおざなりになってしまう。ゲームと違って基本不可逆だから、尚更これは慣れるまで上手くいかないんだよね。

ネプギアが音頭を取って、四人は焼いている間に片付けを実行。言葉通りに片付けを分担した事で、あっという間に調理台は綺麗な状態へ。そして……

 

「上手く手首のスナップを利かせて…」

「とりゃー!とりゃりゃりゃりゃりゃーっ!」

「ら、ラムちゃん…!そんな、らんぼうにしたら……き、きれいな形になった…!?」

「後は、この苺を乗せれば…出来たっ!」

 

調理台に並んだ、三種類のケーキ。決して完璧という訳じゃない…でも中々上手く出来ていて、何より四人の頑張りが詰まっている、手作りケーキ。

 

「はふぅ…わたしたちも、できたよ…?」

「ふぅん、結構綺麗に出来てるじゃない」

「ユニこそ、まぁまぁおいしそうだと思うわよ?」

「それじゃ、後は形が崩れないように…っと、その前に……」

 

お互い完成したケーキを見合って、達成感と安心感からか四人は笑顔に。それを見て私も心の中でほっと一息吐くと、ネプギアはケーキを保管用のケースに入れようとして……その手を下ろした。何だろうと思って見ていると、三人も同じように個人作業を止め、四人並んで私の方へ。

 

「…えーと、講評を言えばいいのかな?だったら……」

「いえ、そうではなく……イリゼさん」

「は、はい」

『…お(忙・いそ)がしい中、ありがとうございました!』

 

私が軽く戸惑う中、代表するようにネプギアが私の名前を口に。その真面目な様子に私は敬語になってしまい、そのまま四人を見つめていると……四人は全員揃って、元気な声でそう言った。言って、ぺこりと頭を下げて…顔を上げた時の四人は、にっこりとした笑顔。それを見た、私は……

 

「……ぷっ…!」

『え……?』

「あっ、ご、ごめんね四人共…!べ、別に四人を馬鹿にしてる訳じゃないの!ただ、四人が顔にクリームを付けたままそんな事を言うから……」

『クリーム?……あっ…!』

 

一体どのタイミングで付けてしまったのか、仲良く顔の一部を美味しそうな感じにしてしまっていた四人。私が慌てて謝罪しつつそれを伝えると、四人はまず不思議そうな顔をして、それからそっと顔を触って……クリームの存在に気付いた四人が発したのは、本日二度目の『あっ』だった。

 

「……まぁ、何にせよ…お疲れ様、四人共」

 

ちょっと恥ずかしそうにしながら慌てて顔を拭く四人を見ながら、私は微笑んでそう伝える。結局理由は教えてもらえなかったけど…いいよね、それ位は。

 

 

 

 

……と思っていたら、その数時間後に私は守護女神の四人と一緒に呼び出された。

 

「一体何なのかしらね。わたくし達を揃って呼び出すなんて…」

「さあ。私も何も聞いてないわ」

 

呼び出されたのは、とある部屋の前。ここは広くも狭くもない部屋で…あんまり使う機会のない部屋だから、私も詳しい事は分からない。

 

「にしても、急な呼び出しね。まだ会議をしていたのに…」

「まあまあ、取り敢えず入ってみようよ。ネプギアー!来たよー!」

 

自国に戻れないどころか外にも出られない私達に出来る仕事なんて限られていて、時間が余っているからって遊び呆けられるような状況でもないから、専ら私達がしているのは顔を付き合わせての会議。昨日その最中に私が呼ばれたように、今日はイストワールさんに四人が呼んでいると呼ばれて…ここへ来た。

私含めた四人が困惑気味な中、ネプテューヌだけはどんな形であれ空気が変わった事にほっとしているのかいつも通りのテンション。そのテンションのまま、指定された部屋の扉を開け……

 

『いらっしゃいませ、(ご主人様・ごしゅじんさま)ー!』

 

──中で私達を迎え入れてくれたのは、四人の可愛らしいメイドさんだった。

 

「ねぷっ!?な、な、何これ!?」

『メイド、です(って・ですの)…!?』

 

一番早く入ったネプテューヌが真っ先に驚きの声を上げ、続けて私達もメイドさん……ではなく、その格好をしたネプギア達に驚愕の表情を浮かべる。…この時、私とネプテューヌ、ブランはシンプルに驚いていたけど…ノワールとベールは、ちょっと違う系統の驚きを見せていた気もする。

 

「こちらに、席をご用意しております。どうぞ、おかけになってお待ち下さい」

「い、いや…ちょっと、先に説明してほしいんだけど…」

「…サプライズ、パーティー…?」

「えへへー。おねえちゃんたちずっとぴりぴりしてたから、わたしたちでこっそり考えたの!」

 

リボンがちょっとネコミミみたいになっているユニに案内されて、私達は部屋中央の円形テーブルへ。よく見れば四人のメイド服も完全に一緒ではなく、ネプギアは胸元のリボンが赤、ロムちゃんとラムちゃんはちょっと大人っぽさを感じさせる黒と細部での違いがあり、部屋もメイド喫茶を意識した飾り付けが施されている。そして、極め付けは……ラムちゃんの言葉と、それに続いて運ばれてきた三種類のケーキ。

 

「…そっか…四人が作ってたのは、この為だったんだ……」

「はい、そうなんです。わたし達はまだまだ未熟だから、今起きてる事態に…状況打破の為の策を練っているお姉ちゃん達の力にはなれません。でも、直接力になる事は出来なくても、こうしてお姉ちゃん達を癒して、間接的に力になる事は出来るんじゃないかって思ったんです。こうして一時でも気の抜ける時間があれば、リフレッシュ出来るんじゃないかって。だから、皆さん……わたし達の気持ち、受け取って下さいっ!」

 

三種のケーキと切り分け用の包丁、フォークとお皿を置いて一度席から離れる四人。そこから四人は並んで、この企画と私にケーキ作りのお手伝いを頼んだ理由を教えてくれた。その言葉を受けて、私達はハッとする。

 

(…私達、そんなに雰囲気を外へと持ち出してたんだ…四人はそんなに私達を…今の状況の事を、真剣に思ってたんだ……)

 

プラネタワー全体が重い空気になってはいけないと、マジックからの要求については一部の人を除いて口外する事を避け、会議も会議室以外ではやらないようにしていた。…でも、四人がここまで手の込んだ企画をしたって事はつまり、少なくとも四人には分かるレベルで外へ持ち出してしまっていたって事。それに、私達は会議に参加させるのが四人にとって大きな負担になると思って呼んでいなかったけど……それは少し、間違いだったのかもしれない。だって、四人だって女神で…こんなにも今の状況を、なんとかしたいと思っていたんだから。自分達の力を分かった上で、私達の雰囲気も状況も良い方に変えられる手段を考え実行してくれたんだから。

 

「そうだったんだ…うぅっ、ネプギアも皆もありがとー!」

「これは、受け取らない訳にはいかないね…うん。これは私の弟子が皆に向けてしてくれた事なんだから、受け取らないなんてさせないよ?」

 

驚いて、言葉を失って……それからふわりと表情が緩む。これ以上の説明も、言葉も必要ない。ここには後輩の、ネプテューヌ達三人にとっては妹の用意してくれた憩いの場があるんだから、ならもうそれを満喫する以外の選択肢は存在しないよ。

 

「お、お姉ちゃん。このケーキ、アタシが作ったんだけど…どうかな?」

「へぇ、ユニが…うん。綺麗に出来てるじゃない」

「…これは、モンブラン…よね?」

「わたしたちが作ったの。お名前、にてるでしょ…?」

「ちょっとかたくなっちゃったところもあるけど、味にはじしんがあるのよ?」

「そう…ありがとう、二人共。切る前に、記念に撮ってもいいかしら?」

「あ、そうよユニもまだ切らないで!写真に収めておくから!」

「これはわたしからだよ。…プリンの方が良かった?」

「ううん、ネプギアが作ってくれたケーキを比較対象に出来る訳ないじゃん!ネプギアが作ってくれたなら、例えガラクタで作った焦げパンでも大喜びだよ!」

 

四人が作ったケーキはそれぞれ一人分じゃない…というかケーキは一人分だけ作る方が難しいものだから、一人一切れずつ食べるだけの大きさは十分ある。でもやっぱり自分の妹が作ったケーキが一番気になるみたいで、ネプテューヌは苺のケーキ、ノワールはブルーベリーのケーキ、ブランはモンブランにばかり目がいっている。…一方、ベールはと言えば……

 

「はぁ…微笑ましい光景と言いますか、皆さん良い妹をお持ちで羨ましいと言いますか……今に始まった事ではありませんけど、こういう席だと妹がいない事が尚更寂しく感じますわ…」

「はは…でもほら、四人共私達全員を思って作ってくれたんだから、あんまり落ち込まずに楽しめば……」

「あの、ベールさん、イリゼさん。実はこの三つの他に、ティラミスもあるんです。これはお二人を思って作ったんですが…良かったら、食べてもらえませんか?」

 

この中では一番背が高いのに、どこか小さくなってしまったような雰囲気のベール。その姿に私が苦笑いしつつ、励ましの言葉をかけていると……新たにネプギアが、ティラミスを持ってこちらへ来た。それに対しベールは勿論、私はベールとは少し違う理由で目を丸くする。

 

「え、てぃ、ティラミス?ティラミスって、私がいた時には作ってなかったよね?まさか、私がいなくなってから急いで…?」

「ふふ、実はこのティラミス、途中までコンパさんに作ってもらったんです。で、イリゼさんを見送った後四人で完成まで進めたので、半分はコンパさんの作ったティラミスなんですけど…その分、味は保証されてますよ?」

 

ある筈のないケーキに私が驚く中、ネプギアはちょっと肩を竦めながら種明かしをしてくれる。確かにコンパが協力していたなら、ここの飾り付けなんかをしていたとしても間に合ったって何もおかしくない。でも、私やベールの事まで考えていてくれたなんて…くぅ、気の利く四人なんだから…!

 

「嬉しいですわ四人共!わたくしの為に作って下さるなんて…四人の心を掴むどころか、むしろ四人に掴まれてしまいそうですわ…!」

「わたくし達の、為ね。…でも、これって謂わば私の先生と弟子の合作だよね……うぅ、ちょっと私感動かも…」

「…さっきも思ったけど、四人は女神や戦闘においての弟子であって料理の弟子ではないのよね…?」

「まぁね。でもこの際それは瑣末事でしょ?」

 

いつものように自分達は余りもの組かな…と思っていたところでの登場だったからこそ、目をキラキラとさせて喜ぶ私とベール。ブランに表現を少し突っ込まれたけど、それは本当に瑣末事。だって…ってその理由は少し前にも地の文で言ったね。ならもういっか。

それから四人は紅茶も用意してくれて(運ばれてきた瞬間ベールの目がほんの少し光った。…気になるよね、紅茶好きのベールなら)、私達は四人の用意してくれた時間を満喫。ケーキを楽しむ事は勿論、会議の事は一旦忘れて、九人で和気藹々と談笑を交わす。仲良く、楽しく、気楽な気持ちで。

……こんな事をしていたって、状況は何も変わらない。むしろ、刻一刻と犯罪神の完全覚醒は近付いている。でも…ここ数日の間で、今が一番楽しい時間だった。これがどんな形で今後に繋がっていくかは分からないけど……こんなにも楽しく幸せな時間を用意してくれた四人に、私達は感謝の気持ちで一杯だった。




今回のパロディ解説

・あーりんクッキング
ももクロChan〜Momoiro Clover Z Channel〜内のコーナーの一つの事。これを参考にした場合、途中でロムラムワールドが展開されるのかもしれませんね。

・クッキンアイドル
クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!の事。何故ユニがこれを…?とも思いますが、ユニは原作シリーズでプリキュアパロの作品を見てる旨の台詞があるので、あり得るかと。

・ガラクタで作った焦げパン
シャイニング・アークで登場するパンの一つの事。色んなパンが登場する訳ですが、食べ物でないガラクタをパンにしてしまうのは最早料理ではなく錬金術の域ですね。
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