超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第百三十七話 見えない心の底

箱詰め状態で運搬されて、状況変化と同時に空へと舞い上がって、プラネテューヌから離れて、そこから来た道を急いで戻って。作戦とあれば最前線に出るか、戦況に合わせて指揮を取りつつ動き回るかが基本だったわたし達にとっては、ここまで普段とは違う意味で楽じゃない展開だったから、実を言えば敵を前にした瞬間わたしはほんの少しほっとしていた。ここからは普段通りに戦える、って。

けれどネプギアにも言った通り、ここまでは交戦の為の準備に過ぎない。本当に安堵出来るのは、作戦を完遂して安全も確保してからの話で……四天王と刃を交えている今は、まだ安心なんてしていられない。

 

「背中を気にした方がいいんじゃないかしらッ!」

 

翼を広げ、遮る物の一切ない空を飛び回る。自分の限界を試すようにアクロバット飛行を繰り返すのは面白いものだけど、背後に大鎌を携えた強敵が迫るとなれば面白がってなんかいられない。…勿論、戦闘の中で感じるヒリヒリは嫌いじゃないけど。

 

「あぁ気にしているさ、どう貴様の背中を斬り裂いてやろうかとな……ッ!」

「あら、もしかしてさっきの一撃を気にしてるの?」

「……抜かせ…!」

 

肌で感じた危険に従い左へとロールをかけた次の瞬間、わたしの横を斬撃が駆け抜けていく。珍しく挑発に乗ってきたのか、それとも最初から今のタイミングで放つつもりだったのか。…何れにせよ、一つでも判断をミスれば致命傷になり兼ねない。でもそれは……マジックも同じ。

斬撃が通り過ぎた直後、それを追うように光弾が何発も同じ場所を走る。二種類の直進する攻撃がほぼ同じ軌道を通ったという事はつまり、それ等はほぼ同軸上から放たれたという事。

 

「ちッ……」

 

その射撃が視界に入るのと時を同じくして、マジックからのプレッシャーが乱れる。けれどそれもその筈。だってわたしがマジックに追われているように、マジックもネプギアに追われているんだから。

片方が囮となって背後を取らせ、もう一人が味方を追う敵の背後を取る。そんな旧軍の戦闘機やうちのMGで行われる戦法を、現在わたし達は仕掛けていた。

 

(焦りは禁物よ、わたし。わたしがマジックを引き付けている限りは、ネプギアが一方的に仕掛けられるんだから)

 

そう自分に言い聞かせながら、わたしは付かず離れずの飛行を続ける。

わたしもマジックも推力で無理矢理飛んでる訳じゃないから、マジックには振り向いてネプギアに狙いを変えるって選択肢もあるし、一度離れて立て直す選択肢もある。けど、同時に今安易に振り返ればその瞬間速度の乗ったネプギアに肉薄されるし、わたしもその場で方向転換出来るんだから、振り向いたり離れようとすれば即座にネプギアと挟撃をかけるだけの事。……出来る事が多くても、それを選べるかどうかは別の話なのよね。

 

(…とはいえ、このままじゃ自分が抜きん出て消耗してしまう…なんて事はマジックだって分かってる筈。なら、そろそろ……)

 

自分が不利な戦況に、いつまでも黙って付き合う人なんかいない。そう考えたわたしの思考を示すように、数秒後突如感じていた視線が消える。

 

「……っ!これは…!」

「お姉ちゃん!ループ!」

「そういう事ね…ッ!」

 

視線が消えた後すぐに聞こえてきた声で、わたしはマジックが宙返りを行った事を理解。ならばとわたしはインメルマンターンをかけて極力速度を維持したまま反転すると、そこには背後を取ろうとするマジックと、取られまいと振り返りつつ引き撃ちを始めるネプギアの姿。

列を作るように飛んでいた事もあって、引き撃ちを行うネプギアは自然とこちらにやってくる。ネプギアとマジックの位置を確認したわたしは…すれ違うように、ネプギアの前へ。

 

「つれないわね、もう少し付き合ってくれないかしらッ!」

「はっ、逃げ回っていただけの奴がそれを言うか…ッ!」

 

ネプギアの撃ち込んだ光弾の後を追うように二人の間へ割って入り、回避を始めるマジックの先へ刃を走らせる。光弾を右に避けた先で大太刀の強襲を受けたマジックは、寸前のところで大鎌の柄を立てて防御。次の瞬間振り出された左脚の蹴りを、次はわたしが右脚を立てて防御。

 

「お姉ちゃん、耐えてッ!」

「そのつもりよッ!」

 

後ろからわたしを飛び越える形でマジックの後ろに回ったネプギアが、腰の捻りを加えた横薙ぎを放つ。となれば当然マジックはそちらの対応に当たろうとするけど、そこでわたしは足の甲と脛で左脚を挟み込み、大太刀による左からの圧力も強めて自由を奪う。それで奪える自由なんて、せいぜい一瞬だけど…その一瞬で、ネプギアのM.P.B.Lはマジックに届く。

 

「やぁぁぁぁッ!」

「小賢しい……ッ!」

 

阻まれた一瞬で迫られたマジックは反転を諦め、障壁を展開。文字通りの壁となった障壁が斬撃を阻み、M.P.B.Lを身体を押し留める。

今の一瞬で判断し、行動に移し、尚且つわたしの攻撃も変わらず受け止め続ける。その動きは流石四天王と言ったところで、ネプギアと連携しても一筋縄ではいかない相手。……そう、一筋縄『では』いかない相手。

 

「残念だけど、本命はこれよッ!」

 

障壁で防ぐ為意識をネプギアに向けた隙を突いて、わたしは右手を大太刀から離しそのまま手刀。一見本命らしき攻撃を陽動に使う事で、意識の逸れた相手へ本命をぶつける。その意図に沿って突き出した右手は、鋭さを持ってマジックの喉元へと伸び……手首を、掴まれた。

 

「おっと……勝ちを焦ったな、パープルハート」

 

わたしの右手首を掴んだのは、大鎌から離れたマジックの左手。わたしが右手を攻撃に移した瞬間、大鎌からの圧力が弱まった瞬間、マジックもまた左手を離して防御に回していた。

いや、それだけじゃない。手首を掴まれてから一秒と経たずに、プロセッサに包まれた手首に異常な熱さが伝わってくる。そして、それは言うまでもなく……マジックの魔法。

 

(…ほんとに、マジックには動揺がないわね。もしそれが犯罪神への信仰心によるものだとしたら、マジックの精神は間違いなく脅威。…でも……)

 

貰った、とばかりに口元を歪ませるマジック。確かに耐えて、凌いで遂に一撃与えられるとなれば笑みを浮かべたくなるのも無理はない。積み重ねた成果が出そうになれば、口元が緩んでしまうのは無理もない。だからこそ……わたしもまた、笑みを浮かべた。

 

「──勝ちを焦ったわね、マジック」

「な……ッ!?」

 

顔に向けて開いた右手。その手の平に輝く、シェアの光。わたしの言葉の意味を理解したマジックは首を横に傾けるも……もう遅い。

光は刃へと形を変え、小さなエクスブレイドとなってマジックの頬を斬る。それは背中の傷以上に戦闘には影響しない傷だけど…表面張力の如くギリギリのところでわたし達の攻撃を防いでいたマジックにとって、その衝撃は致命傷。それを示すようにネプギアを押し留めていた障壁が割れ……マジックの背に、二つ目の傷が刻まれた。

 

「悪いわね、手刀が本命だなんて嘘を吐いて」

 

弾かれたように下降していくマジックを見やりながら、握られていた手を軽く振るう。本命と見せかけた陽動…と見せかけた本命。わたしがやったのはただそれだけの事。駆け引きに勝ったというだけの話。…一筋縄ではいかないなら、何本でも縄を用意すればいいってね。

 

「…お姉ちゃん、手首は大丈夫?」

「問題ないわ、ダメージならマジックの方が負っただろうし」

 

…とはいえ、わたしだって無傷じゃない。手首のプロセッサは張り直さなきゃいけないし、軽度だけど火傷もしてる。大太刀を振るう上での軸は右手な以上、もしもっと手首をやられていたら……かなり不味かったと思う。

 

「…次はどうする?もう積み重ねるだけの連携じゃあまり通用しないと思うけど…」

「そう、ね……」

 

連携はわたし達だけが出来るアドバンテージ。ましてやわたしとネプギアでなら、今やった以上の連携だって不可能じゃない。けどマジックももう十分わたし達の連携に感覚が慣れている筈で、完璧に対応されるとまでは言わずとも、連携頼りでいくのは軽率というもの。それに……

 

「…やってくれたな……」

 

距離を取ったマジックは、頬から下へと伝う血を手の甲で拭う。不快そうな、けれど瞳に冷静さを失っていない顔で。

 

(…何かしら、マジックのこの余裕は…まさか犯罪神に習ってマジックも第二形態になったりするんじゃないでしょうね……)

 

揺るがない信仰心が自信に繋がっているのだろうとしても、この余裕には違和感を覚える。むしろ信仰対象からの命なら、何としても達成しなきゃ…という焦りを感じたっていい筈なのに、マジックからは全く感じられない。実はこのマジックはロボットだったというならともかく……いや、これまで感じていた殺気をロボットが発する訳ないわね。

 

「勝てば良し、負けても役目を終えた役者は退場するのみ…ってスタンスってだけなら、精神的には楽だけど……」

「……お姉ちゃん?」

「独り言よ。それよりネプギア、優勢が崩れないようじっくりと…なんてのは、あまり良くない気がするわ」

「うん、わたしもそう思う。…一気に勝負を決める?」

 

こちらの出方を伺っているのか、或いは多段連携で動きを制限された先程の二の舞にならないようカウンターを狙っているのか、即座に踏み込んでくる気配はない。そしてそれを利用し会話を交わす中で、ネプギアが提案を口にする。

ネプギアの提案は一理ある。仮に隠し球があったとしてもそれを使う前に倒してしまえば問題ないし、全体の状況的にも早めに決着を付けられるなら、それに越した事はない。でも……もしマジックの余裕が、わたしの想像しているものとは違っていたとしたら?

 

「…その前に、一度探りを入れてみたいわ。付き合ってくれる?」

「勿論。お姉ちゃんが気になるなら、何度でも」

「ありがと。じゃあ…いくわよッ!」

 

頼もしい返答をネプギアから貰ったわたしは、構え直して突撃を開始。飛んできた魔法をきりもみ回転で避けつつ距離を詰め、その勢いのまま刺突をかける。

 

「貴女、前より多少は強くなったようだけど…こんなものなら、大した事はないわねッ!特撮の再生怪人にでもなったつもり?」

「大した事ないのなら、今すぐに倒してみたらどうだ。出来るのだろう?」

 

突き出された大太刀に対し、マジックは擦り上げ技の様な動きで無効化しつつ反撃に転じてくる。それをわたしは得物を離し、大鎌の刃を白刃取りする事によって受け止めた。

 

「…当たり前だけど、刃の幅が広いと止め易いわね…!」

「それが、どうした…ッ!」

 

止めたわたしはこのまま柄を掴んで奪取を…と思ったのも束の間、マジックもまた大鎌を離して鋭い爪で引き裂きにかかってくる。その攻撃をわたしは後退して避け、同時に掴んだままの大鎌を投棄。

下がるわたしと、追うマジック。向きの関係で距離を開けるのは困難だけど…そこに上空からの射撃が降り注ぐ。

 

「ナイスアシストよ、ネプギアッ!」

 

マジックが光弾に進路を阻まれ止まった瞬間わたしは前方に加速し、射撃が止むと同時に回し蹴りを叩き込む。その攻撃自体は腕で防がれるも、そのまま脚を振り抜き横へと飛ばす。そして飛ばした先にあるのは……ネプギアからの、強力な光芒。

 

「その程度で、我を倒そうなど…ッ!」

「逃がしません……ッ!」

 

光芒に突っ込む寸前となったマジックはわたし達に似た翼を広げて勢いを殺し、激突を回避。一方ネプギアもそれは見越していたようで、照射を続けて光芒をマジックへと近付けていく。

ビームの柱の圧力は、通常の射撃の比ではない。だからマジックが離れようとするのは分かっていたし、エクスブレイドで挟撃をかけようとわたしは待機していた。けど、マジックが回避先に選んだのは……わたしの方。

 

「こう近付けば、貴様を巻き込みかねない射撃は無理だな…ッ!」

「ぐっ……その思い切りの良さは、評価して…あげるわッ!」

 

離れる暇もなく超至近距離にまで詰められ、そのままショルダータックルを受けてしまうわたし。そこからマジックはわたしから離れず、ならばとわたしも拳を握り締めて肉弾戦に移行。同時に今のわたしの意思を視線に乗せ、僅かな時間で上を向いて上空のネプギアへと送る。確かにこの距離じゃネプギアからの支援射撃は受けられないけど……これならこれで、目的を進めるだけよ…ッ!

 

「さっき、貴女ネプギアの射撃をその程度でって言ってたけど…貴女こそこの程度で勝つつもりだったのかしら…ッ!」

「詰まらん挑発は止めろ、パープルハート…!」

 

捻りを入れた右腕を突き出し、返しの手刀を前腕で逸らし、そこから左腕で放った肘打ちを交差した両腕で止められ、一瞬だけ離れて互いに蹴撃。距離を詰めたままの打撃戦は、身体能力が幅を効かせる戦いで……強化されてる分、マジックの攻撃はわたしの腕や脚に響いていく。

 

「挑発じゃなくて事実を述べているだけよ。…あぁそれとも、貴女はタイミングでも伺ってるのかしら?これなら勝てるって油断して勝負を決めようとしたわたし達に、奥の手をぶつけるタイミングでも…ッ!」

 

打撃と打撃をぶつけ合う中で、わたしは気を見計らって余裕の根拠へと踏み込んだ。この言葉を受けて、マジックはどんな反応をするか。どんな表情をし、どんな言葉を返してくるか。…投げかけた言葉のボールの跳ね返り方で、真意を見極めるのがわたしの目的。だからこそ表情がよく見えて、且つ落ち着いて考える余裕の出来ない肉弾戦は多少キツくても都合のいい展開で、わたしは目論見通り投げかける事に成功した。そして……

 

「……さぁ、どうだろうな。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。さて…答えが分からぬのなら、貴様はどうする」

(……ッ!これは……)

 

それまでと変わらない、マジックの冷めた声音の返答。でも…ほんの一瞬、返答の前に沈黙があった。まるで動揺を感じさせない声音だけど、肉弾戦の最中としては若干落ち着き過ぎていた。その沈黙と、緊迫感からつい出てしまう語尾の強調がなかった事から……わたしは、確信する。

 

「どう?…愚問ね、どうであろうと…貴女を倒す事には変わりないわッ!」

「何……ッ!?」

 

クロスチョップに見せかけて両の二の腕を掴んだわたしは、痛み分け覚悟で思い切り頭突き。流石のマジックもこれは予想外だったようで諸に直撃し、でもわたしもわたしで視界が歪み、掴んだ二の腕を無意識に離してしまう程の鋭い痛みが頭に走る。

やはり互いにダメージを負う形となり、マジックは衝撃で、わたしは反動で意思とは関係なしに後退する。そこからの立て直しもほぼ同時(若干攻撃側だったわたしの方が早かったけど、距離が開いていたから意味は無し)だったけど…そこで再び光弾がマジックへと襲いかかった。

 

(ほんとに、状況に合わせた動きが上手くなったわね…!)

 

額から流れる血を左手の親指で軽く拭い、ネプギアが邪魔をしている内に大太刀の回収をと下降するわたし。同じくマジックも避けながら回収に動くものの、当然回収はわたしの方がずっと早い。

 

「ここで攻めてもいい、けど……っと」

 

超低空飛行から大太刀を拾い、そこから上昇。ここまでの攻防で自分でも気付いていない怪我や負荷が身体にないか確認しつつ、わたしが向かったのはネプギアの隣。

 

「お待たせ、ネプギア」

「探りはもういいの?」

「大丈夫よ。…余裕の根拠かどうかは微妙だけど……多分、マジックには切り札があるわ」

 

射撃を続けるネプギアに、あのやり取りの中で感じた回答を口にする。勿論わたしは心を読む超能力がある訳じゃないし、直感と経験で導き出した答えだから、絶対とは言えないけど……戦いっていうのは、そういうもの。極力絶対に近付けるべきではあるけど、絶対じゃなきゃ駄目なんて言っていたら勝てはしない。

 

「だったら、やっぱり……」

「えぇ、勝負をかけるわ。切り札を切る前に倒せれば勿論いいし、そうじゃなくても……」

「いつ来るか分からない切り札を気にして攻め手で二の足を踏むより、こっちから引き出した上で打ち勝つ方が安全だ…でしょ?」

「よく分かってるじゃない。でも、もう一つ理由があるわ」

「もう一つ?」

 

言葉を交わす中で遂にマジックは大鎌を回収し、ネプギアの射撃を斬り払ってこちらへと向かってくる。そんな中、わたしは右手で持つ大太刀をマジックに向けつつ、左手の人差し指を立てて……言った。

 

「受け身でビクビクしながら戦うより、堂々と正面から悪を討つ。…そっちの方が、ずっと女神らしいって事よ!」

「お姉ちゃん……うんっ!」

 

姉妹で微笑み合って、それから二人同時に行動開始。肉薄の次の瞬間にはネプギアが大鎌を受け止め、差し込むようにわたしは刺突。避けたマジックへ、ネプギアは蹴りで追撃。その間にわたしは背後に回り、その動きの流れで横薙ぎを仕掛ける。

 

「ふん、作戦会議は済んだのか?」

「おかげさまでね。少しならわたし達も待ってあげるから、貴女も犯罪神に懺悔したらどうかしら?また負ける事になってすみません、ってッ!」

「あぁ、伝えておこう。傲慢な女神の、愚かな語録としてな…ッ!」

 

裏拳の容量でマジックは振り向きざまに拳をわたしの両手にぶつけ、それによって斬撃を止める。けれど片手で止め続ける事は無理だと分かっているのか、一瞬止めた時点で身を翻し横へと回避。対してわたし達は、離れるのは許さないとばかりにその後を追い、二人で矢継ぎ早に攻撃していく。

これまでより攻撃に重点を置いた、わたし達の連携。その攻撃でわたし達は、隠す事なくマジックへと伝える。このまま勝負を付けてやると。

 

「プラネテューヌを潰させたりはしません!貴女にも、犯罪神にもッ!」

「それは願望か?それともそう言わねば士気を保てないのか?」

「いいえ、宣言ですよ。女神は卑怯な手なんか使わず、正々堂々と正しさを貫くっていう、宣言ですッ!」

「……ち…ッ!」

 

攻撃に言葉を乗せて、ネプギアが攻め立てる。マジックは最初の言葉にこそ嘲笑うような台詞で返したけど、次の言葉を聞いた瞬間顔を不愉快そうに歪ませ、舌打ちを漏らす。

それは、最初はマジックにとって自分が手を下すまでもなかったネプギアが、気の弱そうに見えたネプギアが、自分に対してここまで強く言い切ってきた事に不快さを感じたからかもしれない。ネプギアの言葉が、遠回しに犯罪神を愚弄していたからかもしれない。でも、どちらにせよ…このタイミングでマジックを不機嫌にさせたのは、作戦的にはベストな行動。もし狙ってやったなら褒めてあげたいし、狙わずしての結果ならそれはそれで凄い事。

 

(…まぁ、ネプギアには言葉による心理戦なんてやってほしくないけど……これは姉のエゴってものよね…!)

 

わたしだって言葉で相手を揺さぶる事はあるし、立派な戦術の一つなんだから、それをわたしが止める権利なんてない。それより今は勝つ事、プラネテューヌを守る事が大事。そしてその為に……このまま一気に追い詰める…!

息を合わせ、動きを合わせ、絶えぬ連携を叩き込む。言葉を交わす事も、動きの確認をする事もない。だって時々目を合わせて、後はお互い相手の動きを予想すれば……それでわたしとネプギアの連携は成り立つんだから。

 

「覚悟なさいマジック。このままわたしが…わたしとネプギアが、もう一度犯罪神の下へと送り返してあげるわッ!」

 

そしてわたし達は、更に連携を深めていく。ラストスパートをかけるように、速く、鋭く、正確に。もし作戦が失敗すれば、わたし達はかなり消費した状態で次のチャンスを探さなくちゃいけなくなるけど……成功させてしまえば、問題ない。

わたし達は、全力を発揮して追い詰めていく。故に、この戦いの決着は……もう、近い。




今回のパロディ解説

・「〜〜役目を終えた役者は退場するのみ〜〜」
カードファイト!! ヴァンガードGZの登場キャラの一人、邪神司教ガスティール(日野アルテ)の台詞の一つのパロディ。負の神への狂信という意味で、マジックは似てますね。

・再生怪人
特撮及びアニメや漫画等で登場する、文字通り再生した怪人の事。再生怪人は弱い事が多い…という事を皮肉った訳ですね。勿論それ以上の意味はありません。

・「こう近付け〜〜無理だな…ッ!」
機動戦士ガンダムの主人公、アムロ・レイの台詞の一つのパロディ。もし相手にしているのがネプ姉妹ではなく、ハマーンだったら…まぁ、撃たれますよね。
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