超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress 作:シモツキ
最終決戦の前に、不安要素は減らしておきたい。でも決戦で十全の力を出せるよう、無理のない生活を送らなきゃいけない。その条件の中で、六日が過ぎた。
いつどこで操られた人が出てくるか分からないから、ゆっくりお昼寝…とかまったりハイキング…とかは出来ないけど、負担にならないよう仕事もセーブしてるから、暇な時間は毎日それなりにある。そんな余裕はあるけど心置きなくはいられない日々を過ごして……遂に今日は、決戦前最後の日。
「うーん…ここはこのままでもいいけど、もうちょっと通電性を上げた方が便利かな」
床に座って、床に並べた部品を手元の機械へ嵌めては外して、外しては嵌めて色々試すわたし。多分もう、これを始めてから数十分は経っている。
「…あ、でも一概に通電性を高くすればいいってものでもないよね…市販の充電器はどうだったっけ……」
一度機械を置いて、立ち上がる。パーツを踏ん付けちゃわないないように気を付けながら部屋の趣味棚まで移動して、そこから分解用の充電器を引き出す。けどそのままの状態じゃ確認のしようがないから、分解して部品を取り出そうとすると……そこで部屋の扉がノックされた。
「ネプギアー、いるー?」
「いるよー」
「じゃあお邪魔して…っと、また充電器開発をしてたんだね」
ノックの後すぐ聞こえてきたお姉ちゃんの声にわたしが返すと、お姉ちゃんは早速中へ。そうなってから「はっ!お姉ちゃんの場合、勢いよく入ってきて部品踏んじゃうかも!」…と思ったわたしだけど、そんな事はなく普通の速度で入ってきてくれた。…ほっ……。
「うん。でも今は開発ってより調整かな。もう大分大詰めのところまできたし、今はわたし一人しかいないし」
「そっかそっか。……ここに広がってるのって、全部機械の部品なんだよね?」
「そうだよ?」
「じゃあ、探せばテム・レイの回路があったり……」
「し、しないよ……」
きらりと目を光らせて床の部品を見回すお姉ちゃんへ、わたしは呆れ気味に突っ込みを返す。…でも、こんな瞬時に冗談を思い付くのは凄いよね…わたしもこういう思考の柔軟さは見習わないと…。
「…で、お姉ちゃんどうしたの?何か用事?」
「あ、うん。おやつに丁度良い時間だし、プリンをネプギアと一緒に食べようと思って来たんだー」
「え?…あ、もうそんな時間だったんだ…」
ひょい、と二つのプリンとスプーンを見せてくれるお姉ちゃん。でもわたしはそれより「おやつに丁度良い時間」という言葉が気になって、時計を見てみると確かにお姉ちゃんの言葉に間違いはない。
(今日は午前でお仕事終わりにして、お昼の後すぐ始めたから…経ってたのは数十分後どころじゃなかった……あはは…)
趣味に熱中すると時間を忘れるのは誰にでもある事だけど、やっぱり没頭し過ぎていた事に気付くと自分で自分に呆れてしまう。…もしお姉ちゃんが来なかったら、最悪夕ご飯までやり続けてたかも……。
「美味しそうでしょ〜。…と思ったけど、もしかして邪魔だった?」
「ううん、そんな事はないよ。一緒に食べよっか」
わたしは時間を忘れる位機械の…女神候補生の皆で作ってる充電器の調整をしてたけど、別に何が何でもこれをやりたい訳じゃない。だからお姉ちゃんの質問に首を横に振って、わたし達は二人で共用の部屋へと移動した。だって部品が広げられたままの部屋じゃ、ゆっくりとは食べられないもんね。
「今は冷蔵庫から出したてで冷えてるからね!早く食べよー!」
「だね。頂きまーす」
プリンのフィルムを開けて、スプーンを持って、わたし達はプリンを一口掬い上げる。特に示し合わせた訳でもないけど、わたし達は二人同時に口の中へ。そしてその瞬間広がる、柔らかな甘さ。
「ん〜!美味しい!今日も今日とてプリンは美味しい!」
「この冷え具合がまたいいよね。…ん、美味し…♪」
お姉ちゃんが持ってきたのは、市販のプリン。確か市販の中じゃ高い方だったとは思うけど、別に高級菓子店とか有名な老舗店でしか取り扱ってないようなものじゃない。勿論国の長なんだから、買おうと思えばそういうプリンも普通に買えるんだけど……
「はふぅ、この適度なまろやかさは市販品だからこそだよね!やっぱりプリンに貴賎なしっ!」
「うんうん、貴賎の使い方はちょっと違う気もするけど、食べ物って高ければいいってものじゃないよね」
「そう、そうだよネプギア!三ツ星シェフの作った料理でも、食べ慣れてない人には美味しく感じられないってドラマでも言ってたからね!」
複数セットでもそこそこ高いプリン一個分にも満たない程安いものから、こんなの普通の人は買わないよ…と思う程高いものまで、お姉ちゃんは万遍なく好きだった。多分、お姉ちゃんはプリンそのものが好きなんだと思う。
ほっぺにプリンの欠片を付けながら力説するお姉ちゃんは、とっても可愛……じゃなくて、いつものお姉ちゃんらしさ100%。…でも、ほんとにただわたしとプリンを食べたかっただけ…なのかな?
「…お姉ちゃん、もしかして別の用事もあったりする?」
「ほぇ?わたし別の用事がある感じだった?」
「そんな事はないよ?…でもほら、今日って最後の一日でしょ?」
「…月が落ちてくるまで?」
「いつから一週間が三日になったのかな…そうじゃなくて、明日は決戦って日に誘われたから、おやつは口実で別の目的があったりするのかなー…って思ったの。…わたしの勘違いだった?」
大方プリンを食べ終えたところで、わたしはお姉ちゃんに抱いた疑問をぶつけてみる。すると最初お姉ちゃんはきょとんとした顔をしていて、でも感じた事を口にしてみると…すっと伏し目がちになって、お姉ちゃんは頷いた。
「そっか……うーん、別に隠す事でもないし…話しちゃってもいいかな」
「え、と…それって……」
「ネプギアの思った通りだよ。おやつは誘う為の理由で…ほんとはネプギアが緊張してるかもって思って来たんだ」
視線を戻しながら肩を竦めて、本当の理由を話してくれるお姉ちゃん。…って事は、わたしの為だったんだ……。
「でも、その必要はなかったみたいだね。ネプギアが元気そうで、お姉ちゃんは安心しました」
「そ、そうかな?わたし、これでも緊張してるよ?」
「けど別に趣味の機械弄りが手に付かなかったり、プリンが喉を通らなかったりはしてないでしょ?」
「それは、まぁ……(プリンは調子悪くても喉通るんじゃないかな…)」
安心した、と笑顔になるお姉ちゃんだけど、むしろそれにわたしは困惑してしまう。確かにパフォーマンスに影響が出そうな程の緊張はしてないけど、緊張とは無縁(に見える)なお姉ちゃんに比べれば絶対緊張してる筈で、そのお姉ちゃんに言われるのはどうしても違和感がある。…あ、でもこれだとお姉ちゃんが悪いみたいになっちゃう……お、お姉ちゃんは何も悪くないですからね!…って、わたしは何を言ってるんだろう…。
「なんか釈然としないって顔だね。…あ、もしかして緊張解すという名目でマッサージしてほしかったとか?さてはネプギア、過去にノワールを下着姿にしてしまったわたしのマッサージ技術をどこかで聞きつけたんだね?」
「いやそういう訳じゃ……ノワールさんを下着姿に!?えぇ!?何そのマッサージ!?い、イケない雰囲気を感じるよ!?」
「……体験してみる?」
「う……きょ、今日は止めとくよ…それにマッサージなら、むしろ決戦後に受けたいし…」
さらっと出てきたとんでもない発言に、わたしはワンテンポ遅れて全力突っ込み。その後伺うようなお姉ちゃんの問いかけを受けた時には、色々思いながらも一先ず遠慮。…き、気になるけど…色んな意味で気にはなるけど……っ!
「あ、そう?ならこれは置いとくとして……ゲハバーンはちゃんと持ってる?どっかに置きっ放しになってたり、包丁の代わりに使ってたりしない?」
「そんなどっかの名刀みたいな扱い方はしてないよ…でもどうしてゲハバーン?」
「いやー…それは、ほら……」
マッサージは置いといてゲハバーンという、かなり謎の急転換に首を傾げるわたし。どういう事だろうと思って訊いてみると、お姉ちゃんは少し口籠って……
「…ゲハバーンをわたしに渡してくれても大丈夫だって言ったら、ネプギアはどうする?」
思ってもみなかった事を口にした。…その意図は分からない。分からないけど……真っ先に思い浮かぶ事が、一つ。
「……わたしじゃ、不安…?」
「そ、そういう事じゃないよ?不安がどうとか、ネプギアがどうとかって事じゃなくて……」
「…じゃなくて……?」
「…思ったんだ。犯罪神への切り札であるゲハバーンは、やっぱり守護女神が担わなきゃいけないんじゃないかなって。それを女神候補生のネプギアに任せちゃうのは、守護女神としてもお姉ちゃんとしても良くないんじゃないかなって」
わたしが力不足だから。それがわたしの頭に浮かんだ理由だけど、お姉ちゃんはすぐに否定してくれて…それから意図を話してくれた。
言ってる意味は分かる。わたしも女神として…という思いを抱く事はあるから、きっとそういう時のわたしと同じ気持ちなんだと思う。それに優しいお姉ちゃんの事だから、わたしの不安を少しでも減らしてくれようとする思いもあるんだと思う。……だけど、
「…それはさ、どうしても…かな?」
「……嫌、って事?」
「嫌、っていうか……ごめん、ほんとはちょっと嫌。だって、皆わたしならって任せてくれたんだもん。お姉ちゃんの言う事も分かるけど…わたしの子供みたいな気持ちと、お姉ちゃんの責任感とじゃ比較にならないっていうのは分かってるけど……すぐには、渡せないよ…」
「……そっ、か…」
ふるふると首を横に振って、わたしはお姉ちゃんの言葉に嫌って伝える。…おふざけとか、ちょっとした事でなら、これまでにも沢山嫌だと伝えてきた。真面目な話でも、それは不味いんじゃないかと思った時には素直にそれを言えるようになった。でも……こんな形で否定なんて、滅多にした事ない。だって、相手はお姉ちゃんだもん。
けど、わたしは嫌だと言った。それは、これに素直に従うのはユニちゃん達がわたしにかけてくれた言葉を蔑ろにする行為だと思うから。皆の思いを蔑ろにするのは、お姉ちゃんから力不足だって思われる事以上に嫌だから。
「…我が儘言ってごめんなさい。だけど、それでも……」
「…いや、いいよネプギア。…そうだよね…ネプギアだって、もう押し付けられたなんて考えたりしないんだもんね……」
申し訳ないという気持ちを持って、でも退こうとは微塵も思わないで、わたしはわたしを見ているお姉ちゃんを見つめ返す。するとお姉ちゃんはわたしの言葉に返答した後、小声で呟いて……それからお姉ちゃんが浮かべたのは、にっこりとした笑顔。
「…うん、こっちこそごめんねネプギア!ネプギアの言う通りだよこれは!皆がネプギアを信じて、わたしもネプギアに任せて、それをネプギアが受け止めたんだから、むしろ渡さないのが正解だよきっと!…あはは、珍しく真面目な事考えたせいで空回りしちゃったね、わたし」
「…ありがと、お姉ちゃん。でも空回りなんて事はないと思うよ?だってさっきのお姉ちゃん、正に『格好良い守護女神』って感じだったもん」
「…そうだった?」
「そうだったよ。それに犯罪神はわたし一人でも、お姉ちゃん達守護女神だけでもなくて皆で倒すんだから、誰が持つかはあんまり関係ない……って、あ…これは言っちゃ不味かった…」
「う、うん…それだと結局任せてくれた皆の気持ちが台無しになっちゃうね……」
肩を竦めた笑顔でお姉ちゃんはわたしの思いに納得してくれて、その後珍しく自虐。だけどわたしはお姉ちゃんが空回りしていたなんて欠片も思っていなくて、すぐに肯定的な感想とフォローを……したら、思わぬ形で失言してしまった。これにはお姉ちゃんも呆れ気味の苦笑い。
「うぅ、やっちゃいけないうっかりをしちゃった……」
「だ、大丈夫だよネプギア。今の発言は適当な気持ちからくるものじゃないって分かってるから」
「そう…?…じゃあ、そういう事だからわたしに任せて。一緒に戦うんだから女神の務めを果たしてないなんて事はないと思うし…いざって時は、言ってくれた通りお姉ちゃんに託すつもりだもん。…無理だって思ったら、渡してもいいんだよね?」
「それは勿論。…なら、気負わないでねネプギア。わたしもサポートするし、託されたらきっちりわたしが決めるから」
お姉ちゃんはわたしの言葉に力強く頷いてくれて、それでこの話はお終い。いざって時の話は決して後ろ向きな思いからくるものじゃないけど、やっぱりお姉ちゃんが付いていてくれるっていうのは心強い。
ゲハバーンをわたしが託されたのは、あんまり自覚はないけどわたし(とお姉ちゃん)がパーティーの中心で、わたしはここまでの旅の中心でもあるから。お姉ちゃんや皆はそう思っていてくれて、わたしならって託してくれた。…それは重い責任。重い重い重要な役目。けど……今のわたしはそれを、責任であると同時に力でもあると感じられる。皆が、皆の思いがわたしの翼だって……今は言える。
「よーし、それじゃあ明日100%どころか1000%位の力を出せるように、秘蔵のプリンを開けちゃおっかなー!」
「え、秘蔵のプリン?プリン二つ目&秘蔵って、大判振る舞いだね…」
「いやー、ほんとは全部終わった後食べるつもりだったんだけど、それだと死亡フラグっぽくなっちゃうじゃん?」
「た、確かに……っていやそれはないと思うよ!?『わたし、この戦いが終わったら秘蔵のプリンを食べるんだ…』は、流石に死亡フラグとしては弱いんじゃないかな!?」
凄いそれっぽい顔で言うお姉ちゃんと、それに一瞬納得しかけてから突っ込むわたし。絶対冗談だ…と思いたいところだけど、結構お姉ちゃんってフラグとかお約束に重きを置いてるし、意外と狙ってないところでもネタ発言をしたりするから、判別するのは楽じゃない。…ただでも一つ、言える事があるとすれば……お姉ちゃんとの会話で、わたしは更に心に余裕が出来たと思う。だから…頑張ろうね、お姉ちゃん。
*
「って訳でさ、わたしとした事がネプギアにとってプラスにならない事言っちゃったんだよね。あれはほんとに駄目駄目だったよ…」
「それはそれは……でも全くもって駄目って事はないんじゃない?ネプギアも空回りとは思わないって言ってくれたんでしょ?」
「それはそうだけど…」
ネプギアと一緒にプリンを食べて、明日の事でお話しして、それから暫く雑談した後部屋からわたしは出た。その後のわたしはバルコニーまで移動して……今はイリゼと電話中。
「納得いかない、って声だね。…ネプギアの前では立派なお姉ちゃんでいたかったの?」
「む、そう言われると否定したくなるけど…そうかも……」
「…普段あんなにだらしない姿見せてるのに?」
「うっ……」
自分は自分、ゴーイングマイウェイが一番!…なわたしだけど、わたしだって憧れてくれるネプギアの前では格好良くいたい。だからそういう意味じゃ、イリゼの言う事は否定出来ないかなぁ…と思っていたら、かなり痛いところを突かれてしまった。……あ、あれだもん。敢えてだらしない姿を見せる事で、ネプギアに守護女神の妹としてのプレッシャーを感じさせないっていう気遣いだもん…。
「…でも、ほんとに気にする事はないと思うよ?ネプギアは良い面悪い面両方合わせた上で、ネプテューヌに憧れてるんだからさ」
「…じゃあ、やっぱあれはイリゼも駄目な部分だったと思ってるんだ…」
「それはまぁ、ね。守護女神の責務を軽んじるつもりはないけど、私にとって友達や仲間への信頼は本当に大切なもので、重要なものだから」
「そっか…ごめんね。それを無下にするような事言っちゃって」
「気にしないでよこれ位。私は無下にされたなんて思ってないから」
友達や仲間への信頼は本当に大切。そうイリゼは言ったけど、その思いはわたしだって同じ。だからそんなつもりじゃなくても、その意識はなくてもそれを否定してしまったのは内心ショックで、ネプギアとのお話しが終わった後もそれがわたしの心に引っかかっていた。
イリゼは気にする必要ないと言ってくれるけど、わたしもそれだけで心がすっきりする程単純じゃない。けどもやもやした気持ちのままじゃいけないってのも分かってて、何とかしなきゃと思っていると……
「……あのさ、ネプテューヌ。もしかして…ちょっと緊張してる?」
「へ……?」
…思いもしない言葉を、わたしはイリゼにかけられた。当然思ってない言葉だったから、ついきょとんとしちゃうわたし。
「いや、私の勘違いかもしれないよ?けど、ネプギアがもう女神として胸を誇れる位成長してるのは知ってるでしょ?」
「それは…うん」
「なのにネプテューヌは結構本気で心配して、しかも普段なら言わないような事言っちゃって、今もそれを気にしてるんでしょ?…だから、ネプテューヌもちょっと緊張してて、だから調子が狂ってたんじゃないかなって」
「…わたしが、緊張で……」
「…違った?」
「…ううん、完全にかどうかは分からないけど……それは確かにあるかも…」
推測を聞いて、それから自分自身を省みて…イリゼの言葉が、わたしの中にすとんと入った。わたしだって失敗出来ない事や大一番の勝負だったりする時は緊張するし、明日は最終決戦なんだから緊張したっておかしくない。自分じゃ気付いていなかっただけで、今のわたしはちょっと緊張していた……そう考えたらしっくりくるし、それだけでもちょっと胸のもやもやがすっきりした。
「やっぱりね。…で、ネプギアの緊張を解すっていう体で話をして、その中で自分の緊張も解そうとしたって感じじゃない?」
「……イリゼ、リーンボックスに行ってる間に
「いやこれが合ってるかどうかは知らないし、目覚めてもいないよ……でもそれなら尚更気にする事はないじゃん。だって緊張なんて誰でもするものだし、多少の緊張は集中力の向上に繋がったりもするんだから」
「そう、だね……うん、何だかそう考えたら凄くそんな気がしてきたよ!ありがとねイリゼ!やっぱりイリゼに話して正解だったよ!」
イリゼが言った事が正解かどうかは分からないけど、それっぽい事は確かで、心に大切なのは合ってるかどうかよりも納得出来るかどうか。そして、納得出来たわたしの心は、一気にすっきりとしていった。……え?今誰か「やっぱ単純じゃん」とか言った?…むむむ、単純じゃないんだもんねー!せめて純粋な心を持ってるとか言ってよね!
「うん、ネプテューヌの力になれたのなら何よりだよ。…とはいえ緊張の度合いはネプギアの方が大きいだろうし、明日まで気にかけてあげてね?」
「もう、そんなの言われなくても分かってるよ。わたしはネプギアのお姉ちゃんなんだから。さて、それじゃ……っとイリゼ。最後に一ついいかな?」
「ん、なぁに?」
わたしは問題ないけど、イリゼは今出先だったらしいから、長話は避けた方がいい。そう思って切ろうとしたわたしだけど、一つ大切な事を思い出して、それをわたしは口にする。
「…前みたいな事は…一人で負のシェアの柱に飛び込んだ時みたいな事は、もうやらないで。イリゼの気持ちは分かるけど…あんな事は、もう止めて」
「……ごめん、ネプテューヌ。それは出来ないよ。私も良くないとは思ってるけど…私は救えそうな人や大切な人があんな目に遭ったら、きっとまた同じ事をしちゃうと思うから」
「…ま、イリゼはそう言うよね。だったら…せめてわたしにも声をかけてよ。手伝ってって言ってよ。それだけは、約束してくれないかな?」
「…うん、それは約束するよ。一人じゃ出来ないかもしれない事でも、二人なら…皆でなら、出来るかもしれないもんね」
……最後に言ったのは、あの時の事とこれからの事。仲間としての、友達としての思い。一度はそれを拒否されちゃったけど…本当に約束してほしいと思ったお願いは、しっかりとした回答を返してくれた。…これなら大丈夫だと思う。だって、友達や大切な人の為って部分じゃ絶対にブレないのが…イリゼだから。
明日は決戦。勝って再封印すれば信次元に再び平和が戻るし、負ければわたし達も信次元もバットエンドで終わる戦い。でも、わたしは信じてる。皆となら、希望と絆を束ねた力なら、きっと犯罪神に勝って……またハッピーエンドを、迎えられるって。
今回のパロディ解説
・テム・レイの回路
機動戦士ガンダムの登場キャラの一人、テム・レイの作った回路の事。それを付ければ充電器の性能も向上……はしないでしょう。というか、まず使えません。
・「〜〜三ツ星シェフ〜〜ドラマ〜〜」
Chef 〜三ツ星の給食〜の事。具体的には第一話のシーンですね。まぁ食べ慣れてる云々無しでも、値段は味のみで決まる訳ではないので、高い=美味しいではないですね。
・どっかの名刀
千年戦争アイギスに登場するキャラ、鬼切の使い手ヒバリの持つ刀、鬼切の事。ゲハバーンで料理とかゾッとしますね。具材に何使ったんだって恐ろしくなりますね。
・皆が、皆の思いがわたしの翼
マクロスFrontierの主人公、早乙女アルトの名台詞の一つのパロディ。色々言われてる台詞ですが、どっちかではなくどっちも大切にしようとする姿勢は素敵だと思います。
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金色のガッシュ!!に登場する能力の一つの事。イリゼがこれを持っていたらどうなるでしょうね?…まぁ、清麿同様恐らくしょうもない展開で失ったりする気がしますが。