超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第百五十一話 開く道、その先へ

最終決戦の地であるギョウカイ墓場へ突入するパーティーメンバーは、四ヶ国に分かれている。その私達が一度どこかに集まってから墓場へ、というのはどう考えても二度手間で、また突入メンバー以外も見送りはしたいけど何かとやる事があるという事で、私達は一度墓場の前に集まり、そこから作戦を開始するという事になった。

 

「ふぅ……皆はほんとに元気だなぁ…ふふっ」

 

合流地点へと向かう飛空艇の倉庫から、皆のいる客室(勿論教会の私有機体だから、一般客が乗ったりする事ないんだけど)に私は戻る。携帯をしまいながら座席に座ると、早速ベールの視線が私へ。

 

「ご機嫌ですわね。お相手は彼氏でして?」

「ぶ……っ!?か、かか彼氏!?い、いな、いないよ!?私そういう相手はいないんだけど!?」

「いやそれはいる人の慌て方ですわよ…冗談ですわよ冗談。というかここにきて突然彼氏が登場したら、流石に荒れると思いますわよ?」

「だったら言わないでよそんな事……」

 

開幕後三百字足らずでとんでもない爆弾質問をされ、声が裏返ってしまう程テンパった私。一瞬で頬が熱くなって、一時的にだけど言語能力にまで影響を及ぼされてしまった。あぅぅ、か、彼氏だなんて…それに、私は……こ、こほん…。

 

「…あ、でも男の人って点は間違ってないよ?」

「え……そ、そうなんですの?」

「うん。相手は一人じゃなくて、私を信仰してくれる人達とのスピーカー通話だけどね」

 

まだちょっと頬の熱は引いてないけど、ベールの発言は何一つ合ってないって訳でもない事に私は気付き、それを口に。

 

「イリゼを…あぁ、わたくし達の救出作戦時に力を貸してくれたという方々でして?」

「そう、その人達だよ。出発前にまず集まってもらえるよう連絡して、さっき集まったって事でまた電話したんだ」

 

電話の相手の事を話しながら、先程までしていた賑やかな会話を思い出す。

案の定というかなんというか、決戦に向かっている事を話したら皆また手を貸してくれると言ってくれた。でも今回は奪還作戦の時以上に何があるか分からないし、今は新旧両パーティーがいるからと私はしっかり断り…代わりに皆からエールを貰った。思いを力に変える女神にとっては最高の贈り物である、頑張ってという皆の気持ちを。

 

「…頑張ろうって気持ちになるよね。信仰してくれる人からの応援を受けると」

「えぇ、何だかんだ言ってもやはりそれが一番力になりますわよね。わたくし達女神にとっては」

「それはネトゲや腐女子趣味よりも?」

「当たり前ですわ。…いや勿論趣味もわたくしの活力の源ではありますけど…信仰者からの思いは別格ですもの」

 

肩を竦めながら、でも目は真剣な様子でベールはそう答える。…思いが一番というのは、別に女神がシェアあっての存在だからって訳じゃない。そうじゃなくてもっと純粋に、思ってくれる人の願いに応えたいという思いが、私達女神の原動力になっている。

 

「…だからといってあまりにも割に合わない無茶をするのは、どうかと思うがな」

「…割に合うのですわ。少なくとも、わたくしにとっては」

「……そうか」

 

そんな話をする中、不意に会話へ入ってきたのはエスーシャ。含みのある…恐らくはベールが私に仕事を頼んできた事に関係する言葉をエスーシャは発し、ベールは返答しつつ微笑んで……返答を受けたエスーシャは、簡素な返しをしながらもほんの僅かに笑みを浮かべていた。

ギルドの支部長であるエスーシャがここにいるのは、なんと見送りをしたいからとの事。多分それも一週間の間であった何かによって、ベールとの絆が深まったからなんだろうけど……それを差し引いても、いつもなら「興味ないね」の一言で片付けそうなあのエスーシャが見送りに来るなんてね…。

 

「……イリゼ、何かわたしに言いたい事でも?」

「ううん、何でもないよ〜」

 

エスーシャからの問いかけを受け流すように、私は視線を窓の外へ。合流地点は、もう眼下に見え始めている。

 

(…今度こそ、終わらせよう…皆で、この戦いを)

 

ほんの僅かに間に合わず、一度失敗した再封印。その後また戦いがあって、その前も沢山沢山…ネプテューヌ達が負けた最初の戦闘から、マジェコンヌさんとの戦いにも劣らない数多くの激突を重ねてきて、やっとそれが終わろうとしている。やっと平和を取り戻しかけている。だったら、相手がどんなに強い相手だとしても負ける訳にはいかないし……負けるつもりも、毛頭ない。

 

 

 

 

合流地点は、突入口より少し離れた荒れ地。墓場の近くのせいか緑はまばらにしかなくて、でも墓場の眼前よりは大分危険の少ない地域。そこに各国から飛んできた四機の飛空艇が止まっている。

 

「皆ーお待たせー!ほらほら、待たせてるんだから早く降りなきゃ駄目だよ!」

「ま、待たせてるって…時間ギリギリになったのは、ネプテューヌさんが移動手段を間違えて一人で飛んでいってしまったからではないですかー!ヽ(*`Д´)ノ」

「もー、ねぷねぷはいつもお茶目なんだから〜」

 

着陸したプラネテューヌの機体から、賑やかな声とそれに対する怒りの声が聞こえてくる。それと共に降りてくるのは、女神の二人にイストワールさん、プラネテューヌでマジックの足止めに奮闘してくれた皆にビーシャ……って、あれ?

 

「…黄金の第三勢力(ゴールドサァド)、全員集合…?」

 

私達と一緒にエスーシャが来ていて、ビーシャも今降りてきている。そしてここには、ノワールとにっこにこで話すケーシャと、ブランをからかうシーシャもいる。……え、まさか全員見送りに?

 

「ネプギアちゃん、げんきだった…?」

「うん、元気だったよ。皆もしっかり休めた?」

「もっちろん!あ、でもトリックとたたかうとき手伝ってくれた人たちに「おつかれさま〜」って言いに行ってあげたりもしたのよ?ふふん、えらいでしょ!」

「アタシは…うん、まぁちょっとハプニングもあったけど…万全の状態よ」

『ハプニング?』

 

降りた皆も私達に合流し、突入メンバーが全員揃う。決戦を前にして…と言うには些か賑やか過ぎる状態だけど、私達はそれでいい。それが私達というものだから。

 

「…こほん。最後となったわたしが言うのは少々気が引けますが……全員、お集まりのようですね」

 

ゆっくり見回して欠員がいない事を確認した後、口を開くイストワールさん。既にイストワールさんは顔文字を使わない真剣モードで、それに頷く私達も表情を引き締める。

 

「皆さん、これが最後の戦いです。犯罪神の再封印はそのまま終結へと繋がり、逆に今再封印出来なければ、恐らく犯罪神は完全覚醒を果たしてしまうでしょう。そうなった場合、仮に皆さんが全員生還したとしても……最悪の結末を迎えてしまう可能性が、十分にあります」

『…………』

「故に、この戦いに出し惜しみはありません。知っての通り、各国の軍は領内ギリギリまで展開し、ギルドにもクエストという形で有事の際に対応する人員を確保してもらいました。ですが…皆さんのする事は単純です。ギョウカイ墓場に突入し、犯罪神を倒し、再封印する。…それで、全て解決です」

 

ぼかしたりはぐらかしたりせず、失敗した場合の可能性もイストワールさんは言う。その上で単純に、作戦もへったくれもない言い方で「すべき事」を言葉に表す。…もう、ここまできたら小細工なんて意味がない。あの時と同じように……相手のいる場所に乗り込んで、全力で倒す。ただ、それだけの事。

 

「ですから皆さん。何も気にせず、何も心配せず、犯罪神を再封印してきて下さい。それ以外は全て瑣末事であり……それ等は全て、わたし達が片付けるとお約束します」

 

イストワールさんが締め括りに選んだのは、普段の彼女らしからぬ自信あり気な言葉。…それは私達を奮い立たせようとしているから?……違う。それは、私達を信じてくれているからこその言葉。それが伝わっているからこそ、聞いた私達もほんのり口角を釣り上げる。

 

「いいねいーすん!そう言われたら、わたし達も恰好悪い結果になんか出来ないよね皆!」

「だね。じゃあ行こう!……の、前に…」

 

ばっと振り返ったネプテューヌに返答し、一度考えているのとは別の事を口にしてから皆へ目配せ。視線に乗せたのは、「それぞれで言っておきたい事、あるよね」って思い。それに女神の皆は軽く頷き、見送ってくれるイストワールさん達の下へそれぞれ移動。

 

「…行ってくるわね。ケイ、ケーシャさん」

「はい!ノワールさん、ユニさん、ご帰還をお待ちしてますからね!」

「…えぇ。だけど…ケイ、イストワールはああ言ったけど、相手が相手だから何が起こるか分からないわ。だから最悪の事態を想定した備えも……」

「断る」

「え……こ、断る?断るって貴女、一体何を考えて……」

「僕は無駄な事はしたくないんだ。君達が、今の君達が向かうというのに最悪の事態に備えてなんて……無駄以外の何だと言うんだい?」

「…言うじゃない、ケイ。だったら……前言撤回よ。完璧な勝利を収めて帰ってきてあげるから、祝いの準備を整えておきなさい」

「だね。じゃ…犯罪神に教えてきてあげるわ。ラステイションの女神の、強さってやつを」

 

不敵に笑う、ラステイションの女神と教祖。初めはそれに驚いていたケーシャも、つられるように同じ笑みを浮かべる。

慢心なんて、したってマイナスの効果しか生まない。信頼とか確率とか関係無しに、万が一への備えはしておくべきもの。…けどノワール達を、揺るがない自信と心の強さを持つ彼女達を見ていると思う。あれは慢心でも、不用心でもなくて……最適で最善の選択なんだろうって。

 

「お姉様、決して無理は、決して無茶は、決して危ない事はしないで下さいまし…!」

「前者二つはともかく、最後の一つまで止められてはそもそも戦闘出来ませんわよチカ……安心しなさいな。無傷で勝利、というのは流石に不可能でしょうけど…わたくしはきちんと帰ってきますわ」

「約束、約束してくれまして…?勿論アタクシはお姉様が負けるなどとはこれっぽっちも思ってませんけど、やはりいざ戦いに向かうお姉様を見ると……」

「…ベールは見た目とは裏腹に粘り強く、そして頑固の域に到達する程意志の強い女神だ。そのベールが帰ってくると言った以上、それは約束するまでもない事さ。…そうだろう?ベール」

「よく分かっているではありませんの、エスーシャ。…わたくしはわたくしの道をここで終えるつもりなどありませんわ。ですからチカ、貴女は……最高の紅茶とお茶菓子を用意して待っていなさいな」

「……承りましたわ、お姉様。けれど、これだけは言わせて下さいまし。…お姉様の事を誰よりも想っているのはアタクシで…エスーシャが述べた事など、言われるまでもない事なのですわッ!」

「…あー、うん……興味、ないね…」

「はは……まぁ、いつものチカらしい姿を見られて良かったですわ。では、いつも通り…勝って帰ってくると致しましょうか」

 

三者三様に真剣な表情を見せる、リーンボックスの女神と教祖、それに支部長。ベールの締めの言葉に、二人は力強く頷きを返す。

相手を信じていたって、心配になる事はある。むしろ全幅の信頼を置ける程想っている相手だからこそ、失いたくない気持ちが生まれて心配に繋がる。だけど、例え心配は消えなくても……大丈夫だって思わせる力も『信じる』にはあるって、三人のやり取りを見てると改めて思う。

 

「紆余曲折あったけど、これでやっとけりを付けられるわね。…行ってくるわ、ミナ、シーシャ」

「がんばってくるね…!(ぐっ)」

「どうやってたおしたか教えてあげるから、たのしみに待っててね!」

「…頼もしいです、ブラン様は勿論…ロム様も、ラム様も。…待っていますよ。皆様のお帰りと、当代のルウィーの女神の強さが証明される瞬間を」

「なら期待してて、ミナちゃん!すっごいつよさなんだって、しょーめーしてきてあげるから!」

「ちゃんとただいまって言うから、かえってきたら…おかえりなさい、って言ってね。ミナちゃん」

「…全く、本当に頼もしいね。だったら、楽しみにさせてもらうわ。三人が如何にして活躍したかの話を」

「ふふっ、信頼に応えるのも女神の務め。ましてやそれが二人からのものなら……全身全霊で、期待を遥かに超える結果でもって応えさせてもらうわ」

 

心に余裕と穏やかさを抱いた顔で話す、ルウィーの女神、教祖、支部長の五人。そこに消極的な感情はなく、五人の表情は笑みへと変わる。

期待は時に重荷になる。期待されていない方が、精神的には楽だったりする。だって期待されたら、失敗出来ない理由が増えるから。…でも、今のブラン達のように期待に応えなきゃ、じゃなくて応えたいって思いを抱けるのなら……それは重荷ではなく力になると、私は知っている。

 

「…行ってきます。そして、勝ってきます」

「ゲイムギョウ界を破滅なんてさせません。わたし達で、皆で平和を取り戻します!」

「もう、二人は堅いなぁ…でも、わたしも同じ気持ちだよ。…信じててね、いーすん、ビーシャ」

「勿論だよ、ねぷねぷ!イリゼもネプギアも、きちんと帰ってこなかったら違約金を請求しちゃうんだから!」

「おおぅ…流石ビーシャ、すぐお金に絡める…因みにさ、いーすん。わたし達が勝てるかどうかっていーすんには分かるの?」

「いえ、わたしはあくまで記録者であり、未来の事は分かりません。……が、長い歴史を…そして貴女達の在り方を見てきた、個人としてのわたしは知っています。皆さんなら……負ける筈がないと((o(^∇^)o))」

「いーすんさん…ふふ、また一つ負けられない理由が増えちゃいましたね」

「うん、でもそれは私達の背中を押す力にもなってくれる。だから、ちゃんと帰ってこよう。私達の帰還を、待ってくれる皆の下へ」

 

真剣にしながらも朗らかに頬を緩ませる、プラネテューヌの女神と教祖、支部長に…私。この温かな雰囲気もまた、私達に勇気をくれる。

勝てるかどうかなんて分からない。思ったより楽に倒せるかもしれないし、為す術なく蹂躙される可能性だってある。…だとしても、どれだけ不確定要素があろうとも、私達が全員で勝って帰ろうとする思いは変わらない。そしてこの気持ちがあれば……きっと、大丈夫。

 

「…いよいよ出発ね。皆、やり残した事はない?」

「あら、それはもしやゲームの定番である『ラストダンジョン突入前や前の場所には戻れなくなるイベント開始前の確認』を意識してるのでして?」

「意識してるっていうか、実際前者は当たってるんじゃない?…これから最終決戦に向かうんだから」

 

それぞれで言いたい事を言った私達は、内心で勝利への思いを燃やしながら再集合。集まったところでブランが確認を入れ、そこへベールとノワールが反応。…確かに、シチュエーション的には正にそれ、って気がするね。

 

「よーし!それじゃあ皆、ちょっくら犯罪神倒してくるよーっ!」

「あぁ。だが、その為にはまず尖兵との戦闘は避けられないようだ」

 

右手を突き上げ、ネプテューヌは元気良く音頭を取る。それに私達も乗り、いざ墓場へ……と言いたいところだけど、その前には厄介な障害がある。…マジェコンヌさんの指摘した、墓場前をうろつくモンスターという障害が。

元々ギョウカイ墓場は負のシェアの影響かモンスターが寄り付き易い。けど今は犯罪神が集めたのか、それともより密度の高い負のシェアによって自然と集まったのか、モンスターがまるで墓場の防衛部隊のようになっている。その中には汚染モンスターもそれなりの数がいて、軽く一捻り…という訳にはいかない。

 

「はぅ、早速大変そうです…」

「そうね。でもここ以外の突入口は大概もっと危険か骨が折れるし、戦わない訳にはいかないわ」

 

コンパの言う事には同意だし、アイエフの見立ては正確なもの。

そうするしかないんだから、迷う必要もなければまったりやるような場面でもない。それが分かっているから私達は臨戦態勢に入りかけて……

 

「…いいや、その役目はわたし達に…否、我々に任せてもらおうか!」

 

その瞬間、後ろから芝居掛かった、されどやる気と意思に満ち溢れた声が聞こえてきた。

私達の動きを止めた声は、言うまでもなくビーシ……プレスト仮面のもの。けれど、その声と共に私達の前へと出たのは、彼女だけじゃない。

 

「この程度、最も重要な役目を持つノワールさん達の手を煩わせるまでもありません」

「そうそう、これは突入しない人間の役目ってね。…けど相手はあの数だ。確実な勝利なんて見込めない」

「そんなの興味ないね。…確実でなかろうと、目的を果たして生き残ればいいだけの話さ」

 

闘志に満ち溢れた顔で並び立つのは、見送りの為に来た筈の黄金の第三勢力(ゴールドサァド)。なのになんで突然、しかも全員揃ってと一瞬私達は驚いたけど…すぐに気付く。突然ではなく、こうなる事を予想して四人は着いてきたんだと。偶々ではなく、最初から示し合わせていたんだと。

 

「…という訳なので、ここの戦闘は任せて下さい!すぐに倒れるようにしてみせます!」

「ケーシャ、それに貴女達……」

「気持ちはありがたいわ…でも、駄目よ。シーシャ達だって、支部長としての役目がこれからあるでしょう?」

「勿論だ。だが、それは状況に合わせて臨機応変に対応すれば問題ない」

「いえ、しかし貴女達…そうしてくれればわたくし達も体力を温存出来るのは事実ですけど……」

 

四人の意図を理解は出来た。でも、急に言われたって即OKを出せる程の気持ちはまだ追い付いていない。それにノワールとベールは何やら別の気がかりがあるようで……

 

「…その、大丈夫ですの…?頬と、首は……」

「見ての通り、心配する必要はない」

「……本当ですの?」

「……本当の事を言うと、まだちょっと痛い。…が、戦闘に支障が出る程ではないんだ。…信じてくれないか?」

「ケーシャも大丈夫?…貴女だって……」

「私はこれでも作戦遂行が可能かどうかの判断力を身に付けています。その上で、大丈夫だって判断したんです」

「…そうなら、私は強くは言わないけど……」

「まぁ、信じてくれないか皆の者。…わたし達だって、皆と気持ちは同じだもん。だから…出来る事を精一杯やりたいんだ」

 

心配する二人に大丈夫だ、としっかりした声でエスーシャとケーシャは返す。ノワールとベールはそれを無理に止める気はないようで、でも私達全員がこのまま任せてしまっていいのかという思いを持っていて……だけどプレスト仮面は言った。私達に背を向けたまま、プレスト仮面かビーシャか分からない状態で……彼女の本心を。彼女達の、思いを。

支部長の四人と私達は、旅をした事がない。個々での付き合いはともかく、全体としての付き合いは正直薄い。でも私達は知っている。四人が信頼に足る人物で…今の四人の思いは、その言葉通り私達と同じなんだって。…だから、私達は四人の言葉を……肯定する。

 

「…さて、では始めようか。勝利の為の、露払いを」

「えぇ。…ケーシャ、目標の制圧を開始する…!」

「あっ、先言われた…ならば、ビーシャ!未来への道を切り開くッ!」

「ふっ……見せてやろうじゃない、黄金の第三勢力(ゴールドサァド)の実力ってやつを!」

 

啖呵と共に動き出す四人。開幕の号砲とばかりにプレスト仮面がバズーカを叩き込み、突撃をかけたシーシャが殴打で蹴散らし、開いた穴をエスーシャの剣撃が広げ、閉じようとする動きをケーシャが射撃で押し留める。凡そ即興とは思えない、そして余程の信頼がなければ成り立たない連携を……四人はさも当然かのように繰り広げる。

 

「あれが、黄金の第三勢力(ゴールドサァド)の力……」

「凄い…けど、あのペースで戦うのは……」

 

かなりの勢いでモンスターが撃破され、それに私達は息を飲み、ネプギアとユニが感嘆の声を漏らす。けど、ネプギアが漏らした声はそれだけじゃなく……またその懸念も、間違っていない。

明らかに初手から全力な四人の動き。あの調子ならまず負ける事はないと思うけど、同時にあれが永遠と続く訳がない。ならどうするつもりなのかと私達に一瞬不安がよぎった時……更に予想外の動きが起こる。

 

「……では、わたし達もやるとしましょうか」

「えぇそうね。黄金の第三勢力(ゴールドサァド)だけにいい思いはさせませんわ!」

「確かにね。このまま見てるだけじゃ、教祖の名折れだ…!」

「いきましょう皆さん。戦うべきは…今ですっ!」

 

ばっ、とまたも私達の前に出る四つの影。今度は私達が止める間もなく、その四人が戦闘を開始する。

前衛二人に合流するようにそちらも前衛二人が走り、ケイさんが斬り裂き、チカさんが突き穿つ。後衛二人とは別方向からの援護をすべく、イストワールさんが魔力弾をばら撒き、ミナさんが薙ぎ払う。そして二組の四人による全力攻撃により、出来上がる一つの道。

 

「……!い、いーすん達まで……」

「へぇ、いいね!黄金の第三勢力(ゴールドサァド)と教祖の共闘なんて、燃えるじゃない!」

「さぁ、行って下さい皆さん!わたし達もこの後やるべき事を果たします!」

「い、いいんですかイストワールさん…!」

「いいも何も、もう状況は動いたんです!これがわたし達の選んだ、未来への道です!皆さんのすべき事は…何ですかッ!」

「……ッ!…分かりました…行こう、皆ッ!」

 

私達の心は届く、思いの込められたイストワールさんの言葉。皆の力強く戦う姿が、その先へ懸ける思いが、私達の胸に伝わってくる。だったら、私達のやる事なんて一つしかない。皆の思いに応える方法なんて、分かり切っている。

振り向いた皆の瞳に灯るのも、皆と同じ色の光。誰にも、どこにも迷いはない。全員が全員を信じていて……だからこそ、私達にはやるべき事がある。

頷き合い、一斉に地を蹴る私達。切り開かれた道を通り、真っ直ぐに前へと突き進む。……私達が向かうのは、ギョウカイ墓場。そこで、私達は犯罪神と戦い……絶対に、勝つッ!




今回のパロディ解説

・「〜〜ちょっくら犯罪神倒してくる〜〜」
プロレスラー、棚橋弘至選手の有名な台詞の一つのパロディ。この軽い感じが逆にいいんですよね。ネプテューヌなので、GO!ACE!ならぬGO!NEP!…でしょうか。

・「〜〜ビーシャ!未来への道を切り開くッ!」
機動戦士ガンダム00の主人公、刹那・F・セイエイの名台詞の一つのパロディ。でもこれだと剣持ってる方がそれっぽいですね。駆逐の方は原作でも言っていますが。

・「〜〜黄金の第三勢力(ゴールドサァド)だけにいい思いはさせませんわ!」
機動戦士ガンダム 逆襲のシャアにおけるネオ・ジオン軍の兵の台詞。特に名前のある訳でもないモブの発言が印象に残るって、実際かなり凄い事ですよね。
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