超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第百五十八話 未来へ繋ぐ最後の一歩

思えば、前の皆はほんとに未熟だったと思う。自分にまるで自信がなかったり、逆に自分の力量を見誤っていたり、思考も技術も洗練されていなかったり、人と国の守護者を担えるだけの覚悟や意思がなかったり……それが前の女神候補生だった。私は守護女神の四人の未熟な頃を知らないから、尚更候補生の四人が劣っているように見えた。

私は四人を導いた。犯罪組織に対抗する為に。守護女神の四人を取り戻す為に。だけど導く私の心の中には、四人を『繋ぎ』として見ていた面があったかもしれない。本当に強い、心から信頼する四人を取り戻すまでの、女神の繋ぎとして。

旅の中で、四人は期待通りに…いや、期待以上に成長した。私の指導を、候補生同士の交流を、旅の中の経験を、紡いでいった繋がりを力に変えて、どんどんどんどん強くなっていった。…いつしか未熟だなんて言えない程に。これぞ女神だと、胸を張って言える程に。

そして今、女神候補生は皆の信じる思いを受け取って、守護女神にすら託されて、大輪の花の様に咲き誇った。その輝きで悪意の神の猛威を超えて、その光で滅びの道を塗り替えて──未来を希望で明るく照らす。

 

「…………」

 

沈黙に包まれるギョウカイ墓場の最深部。一瞬前まで激戦を繰り広げていた新旧パーティーメンバーの皆も、軋む身体を起き上がらせた私と守護女神の四人も、最後の一撃を任せたユニ、ロムちゃん、ラムちゃんも、全員が一点を見つめている。ゲハバーンを真っ直ぐに振り抜き、犯罪神を斬り裂いた、ネプギアの姿を。

着地姿勢のまま止まっていたネプギアが、静かな時間の後、ゆっくりと前傾姿勢の身体を直す。私達が見つめる中、ネプギアは数歩後ろに下がって振り向いて……

 

「……勝ちましたよ、皆さん」

 

……にこり、と勝者の笑みを皆へ向けた。勝ったんだという思いに、平和を取り戻せたんだという歓喜に溢れた、ネプギアの笑み。それを見た私達は息を飲んで……喜びと安堵が爆発する。

 

「やった…やったやったやったぁっ!やるじゃないネプギア!今のはすごかったわッ!」

「ネプギアちゃん、おつかれさま…!(ぎゅっ)」

「はは、元気ねアンタ達は…と、言いたいところだけど…流石にこればクールじゃいられないわよねっ!」

「わぷっ!?ちょっ、み、皆!?」

 

真っ先に反応を見せたのは、満面の笑みのロムちゃんとラムちゃん。二人はネプギアに突っ込んでいって、勢いそのままに左右から飛び付いていく。それを見たユニは肩を竦め、いつも通りに冷静でちょっと斜に構えた態度を……と思いきや、二人と同じようにネプギアへ突進。三人から飛び込まれたネプギアは驚いて、よろめいて……でもすぐに表情は笑みへと戻る。

 

「…やった、のね……?」

「はい…はい、そうですよあいちゃん!ギアちゃん達が、倒したんです!」

「ふふ……ネプテューヌ達もだが、候補生もまた…大したものだな」

 

後ろから聞こえる声は、歓喜と安堵が半々といったところ。ちらりと後ろを見てみれば、もう一体の犯罪神が動きを止めて消滅を始めている。見ている途中でネプギア達を評していたマジェコンヌさんと目が合うと…彼女はこちらも大丈夫だ、とばかりに頷いてくれた。

 

「…ほんとに倒しちまったな。わたし達の妹が、犯罪神を」

「えぇ。守護女神の私達じゃなく、女神候補生のユニ達が」

「…一層羨ましくなってしまいましたわ。あんな素敵な妹達のいる、貴女達が」

「ふふっ、そうね……わたしの自慢の妹よ、ネプギアは」

 

地面へ腰を下ろした状態のままの四人だって、笑顔を浮かべている。でもその笑みは穏やかなもので、感慨深そうに候補生四人を見つめている。

 

「……ここまで来たんだね、皆は…」

 

皆の様子を眺め終わって、もう一度ネプギア達へと目を向けた時、ふとそんな言葉が口から溢れた。…多分私の表情や声音は、ネプテューヌ達守護女神組と同じ。勝てた事に対する喜びも、誰も失わずに済んだ事への安堵もあるけど…ネプギア達を見ていると、それ以上に温かな気持ちが胸の奥から湧いてきた。

 

「ネプギアちゃん、どう上げ…してあげる…!」

「あ、そうね!やってあげるわ!」

「え、まさか三人で?…いや女神だし空高く打ち上げる事も出来るだろうけど…」

「う、うん。それだとわたし、ザ・ギャラクシーのボール並みに飛んでっちゃうから胴上げはやらなくていいよ皆…それより皆さん、大丈夫ですかー?」

 

三人で胴上げという中々スリリングな提案を口にしたロムちゃんラムちゃんへ苦笑いで返答しつつ、ネプギアはぱたぱたとこちらへ駆けてくる。その後を追って三人も来てくれて、心配してくれる四人に対し……私達は言った。

 

『それは勿論……背中がとんでもなく痛い(ですわ)…』

「だ、だよね!あんな勢いで地面に落ちたら痛いよね!ロムちゃんラムちゃん、まだ治癒魔法使う余裕ある…?」

 

妹や後輩の手前、余裕綽々の雰囲気を醸し出しながら立ち上がりたいところだったけど、実際のところ余裕なんて全然ないんだから仕方ない。…そういえばジャッジと戦った時も思い切り打ち付けられたし、私は墓場で全力出すと背中を打つジンクスでもあるのかな…。

 

「もう、お姉ちゃんも皆さんもあんな事するから…でも凄かったです。犯罪神の全力を凌ぎ切るなんて…」

「残念だけどあれは凌ぎ切った訳じゃないわ。正直正負での対消滅とは違う何かが起きた感じもあるし、それに……」

「わっ、ノワールさんのけん…おれてる…」

「ノワールやネプテューヌ、イリゼはまだマシな方だろ。わたしとベールなんか……」

『あー……』

 

ひょい、とノワールが見せた大剣は、折れてるどころか中程から先が完全に消失してしまった状態。私の長剣やネプテューヌの大太刀も似たようなもので……でもブランの言う通り、私達はまだマシな方だった。だってブランの戦斧やベールの大槍は、刃部分が完全に無くなってただの棒と化してるんだから。

そう、折れたんじゃなくて無くなった。岩や鉄に思い切りぶつけてもそっちが切れてしまう程の強度を持つ私達の武器が、まるで切り取られたように。

 

「皆さん、背中見せてもらえますか?わたしじゃきちんとは治せなくても、状態を軽くする位は…」

「助かりますわ、ネプギアちゃん。…けれど、であればわたくし達より先にコンパさん達の方に回ってあげて下さいな」

「そうだね。負担は向こうの方が大きかっただろうし、皆の治癒を優先してあげて」

 

私達がそう促すと、ネプギア達はこくんと頷き皆の方へ。四人は皆と合流した瞬間それはもう褒めちぎられて、なんか治癒どころの騒ぎじゃない感じになってたけど…そんな光景もまた、安心に繋がる。

 

「……あの四人が、倒したのよね」

「何よネプテューヌ。信じられない?」

「まさか。…でも、変わらないのね。犯罪神を倒すにまで至っても、ネプギア達は」

 

念の為武器を修復する中、不意に呟いたネプテューヌ。また感慨深そうにするネプテューヌの言わんとする事は…私達にも、よく分かる。

 

「…ずっと変わらないよ、ネプギア達は。勿論何も変わってない訳じゃないけど、根っこの部分は今も同じ」

「…それって、凄い事よね」

「そうでもねぇだろ。…わたし達だって、同じだしな」

「ですわね。今のわたくし達は互いに信頼する仲間ですけど、殺し合っていたあの頃と何か本質が変わった訳ではないんですもの」

 

人も女神も日々変わっていくもので、成長だってその内の一つ。でも変わらないものもあって、その中には自分が自分である為に失っちゃいけないものもある。…四人はそれを無くしてないから、成長した今も四人のままでいるって事。

 

「本質、か…その点で言えば、犯罪神も哀れよね。悪意に生み出されて、世界を滅ぼす為だけの存在とされて、にも関わらず長い歴史の中で何度もそれを否定する人達の思いを受けた、その時代の女神に討たれるなんて」

「…何かが違えば、自分も同じ立場にいたかもしれないって考えると…確かに色々思うところはあるな」

 

それからふと話に出たのは、犯罪神の事。私達女神は勿論の事、四天王だって人間味溢れていた(というか元人間との事)し、負のシェアの女神と化していたマジェコンヌさんだって、自分の意思で戦っていた。

でも、犯罪神には目的はあっても、動機はあっても、本来その根底にある筈の衝動がない。空っぽで、空虚で……それこそ犯罪神は、現象でしかない。元からそういう存在なのか、それともそう変質してしまったのかは分からないけど……犯罪神の在り方は、ある意味虚しいなって私は思う。

 

「とはいえ、犯罪神が厄災である事は事実。哀れであろうとなんであろうと、やる事は変わりませんわ」

「やる事……あっ…え、えぇそうね。ベールの言う通りよ。皆、封印…いける?」

((今、まさか封印の事を忘れて……?))

 

…とても真面目な雰囲気だけで取り繕い切れるレベルじゃないうっかりをかましたネプテューヌはともかくとして、今すべきなのは同情じゃない。相手が対話の通じる、思いのある存在ではなく、正にどこぞの厄災みたいな存在だからこそ……封印をしなきゃいけない。

 

(…なんて格好付けても、私はただ見てるだけなんだよね……)

 

犯罪神に対して行われる封印は、守護女神同士でやる事を前提としたもの。私が加わったところで、封印は強固になるどころか不協和音を起こしてしまう。

 

「イリゼ、念の為警戒を頼むわよ。封印の最中に邪魔が入られるのは勘弁だもの」

「うん、任せて。四人も気を付けてね」

「気を付けるも何も、これからするのは封印よ?勿論集中はするけど、気を付けなきゃいけない事なんて……」

 

だから私に出来るのは、封印の邪魔を排除する事と、成功を祈る事。やっと犯罪神を倒せたんだから、最後の最後で台無しになんてしたくない。

やり取りと私達の雰囲気で気付いたのか、ネプギア達や皆の視線もこちらへ集まってくる。その中で私がノワールの言葉に頷きつつ声をかけると、ネプテューヌは肩を竦めて…………

 

 

 

 

 

 

──ギョウカイ墓場が、揺れた。

 

「……い、今…地面が…」

 

一瞬にして和気藹々とした雰囲気が霧散した直後、そう言葉を漏らすネプギア。

確かに今、墓場が揺れた。でも、これは地震とは違うような気がする。今のは、振動は振動でも、何か鼓動の様な……

 

「……──ッ!?嘘、でしょ……?」

『え……?』

 

その直後、愕然とした表情をユニが浮かべる。明らかに今し方の揺れに対するものとは違う、目を見開いたユニの形相。それに触発されるように、背筋を伝う嫌な感覚を確かめるように私達がゆっくりとその視線の向かう先へと目をやると……そこには、負のシェアエナジーの核があった。崩壊した犯罪神の身体から露出した、闇色の塊そのものが。

 

「…あれは、何……?」

 

…そんな言葉が、私の口から零れた。あれが負のシェアの塊だって事は分かる。恐らく犯罪神が撃破された事がトリガーになったんだって事も推測出来る。でもそこから先が分からない。分からないからこそ、私達は驚きで動けなくて……次の瞬間、波紋の様な衝撃波がその塊から放たれた。

驚きで動けなかった私達だけど、物理的な脅威を認識した事で反射的に後方へ跳躍。一方塊は私達を拒絶するが如く、衝撃波やシェアの光弾を放ち続ける。

 

「……っ、ほんとに何が起こってるの…!?ネプちゃん達、何か分かる…?」

「わたしにもさっぱりよ…ネプギアの一撃は、確かに犯罪神を斬り裂いた筈なのに…!」

「…そうだ、イストワールさんなら…!イストワールさん、こちらのモニタリングは出来てるんですよね!?何か分かりますか!?」

 

マベちゃんに訊かれる私達だけど、当然私達だって分からない。でもそこで私は教祖さん達がモニタリングをしてる筈な事を思い出し、送信オンリーにしていたインカムを切り替えてイストワールさんへと呼び掛ける。……が、何故か返答がない。

 

「……イストワールさん…?」

「…あ……すみませんイリゼさん。…はい、大凡ですが状況は分かっています…」

「……?」

 

おかしいなと思ってもう一度呼び掛けると、今度は一拍置いて声が返ってくる。けどその声は上の空というか、何か別のものに意識が移っているというか、どうも思ったような反応じゃない。

皆と共に安全確保の為に更に少し下がりながら、小首を傾げる私。するとイストワールさんも気が逸れていた自覚はあるのか、私に皆もインカムを送受信モードへ切り替えるよう言ってほしいと伝えた後、静かな声で話し始める。

 

「…皆さんは今、最も危険且つ過酷な戦いの場にいます。ですから、この戦い以外の一切は気にしなくていいよう、わたしは言いました」

「あ、はい…確かにいーすんさんはそう言ってましたね……」

「…ですが、事態は変わりました。伝えない訳にはいかない事態が、発生しました。……心して聞いて下さい」

 

 

 

 

「……負のシェアの柱。あれに近いシェアの奔流が、キョウカイ墓場から漏れ出しています」

 

……心して聞いてほしいと、イストワールさんは言った。言われたから、私達は身構えて聞いた。…それでも、聞いた瞬間私達は背筋が凍り付いた。目の前で起きている事と、今イストワールさんが言った事。この二つは、無関係な訳がない。

 

「負のシェアの柱って…確か、前の……」

「…あぁ、前大戦とでも言うべき戦いの末期に現れたあれだ」

「そっか…新パーティーの皆は、あの時わたし達と一緒に行動してた訳じゃないんだったね…」

 

ぽつり、と呟いた5pb.にMAGES.が答えて、それからサイバーコネクトツーが思い出したように見回す。そして皆の視線が新パーティー組の方へと集まる中、私達は気付く。どちらかといえば新パーティー組に属すであろうマジェコンヌさんが、酷く青い顔をしている事に。

 

「…マジェコンヌ、大丈夫かい?体調が悪いなら、あたしが肩を……」

「いや、大丈夫だ…それよりイストワール、それに対し私達は何をすればいい。まさか、放っておいて大丈夫なものではないだろう…?」

「……えぇ、一刻も早く対処するべき存在です。放置すれば、信次元全体が大きな被害を被る事は間違いないでしょう」

 

新パーティー組ファルコムの言葉に大丈夫だと返しつつ、マジェコンヌさんは話を進める。

…分かっていた。マジェコンヌさんの顔色の悪さは、罪の意識に苛まれているからだって。だけどマジェコンヌさんは、慰めや気遣いを望んでいる訳じゃない。それが分かっているからファルコムも私達もそれ以上は言わず、イストワールさんも話を続ける。

 

「でも、ここで起きてる事だって放置していいものじゃないよね?アタシ達、どうすればいいの?」

「大丈夫です、REDさん。予想の付いている方もいると思いますが……この現象は、十中八九皆さんの目の前で起きている事態が原因ですから」

「…つまり、こっちの問題を何とかすれば、漏れ出している方も解決出来るって事かにゅ?」

 

はい、とブロッコリーの解釈を肯定するイストワールさん。

何を達成すれば解決出来るか、それはたった今分かった。イストワールさんの口振りからして、一人…或いは教祖間での推測によるものみたいだけど、落ち着いて分析してる余裕なんてない以上、今出来る事をやるしかない。そして、何を達成すれば…が分かったのなら、次に確認すべき事は当然一つ。

 

「じゃあ、どうすれば何とかできるの?あれぶっとばしちゃえばいいの?」

「そうですよ、ラムさん」

「え……わ、分かり易いのはありがたいですけど、ほんとにラムの言った方法でいいんですか…?」

「はい。今そちらで起こっているのは、犯罪神が完全覚醒の直前でゲハバーンという特異な力によって討たれた事による、負のシェアの暴走とでも言うべきもの。それ故非常に不安定な状態の筈なので、強い力を叩き付ければ暴走状態は崩壊すると思われます」

 

負のシェアの暴走。不安定な状態。そう言われて私達女神も、塊が確固たる存在ではなく、今にも爆発しそうなギリギリの存在である事に気付いていく。

それは言うなれば、負のシェアの神たる犯罪神の後処理。後に残った物ですら次元規模の被害を及ぼすなんて、やっぱり犯罪神は脅威極まりないけど……それだけなら、勝ち目は犯罪神そのものよりもずっとある。

 

「…であれば、やる事は単純ですわね。封印前にもう一踏ん張りしなくてはならなくなりましたけど、ただ全方位に攻撃を撒き散らしているだけならば……」

 

迎撃の嵐を抜けて、塊に強力な一撃を叩き込む。その意思の下、武器を構え直して狙いを付ける私達。…けど、その時……

 

『■■■■■■ーーーーッ!!』

 

──形容し難い咆哮が、墓場の最深部に響き渡った。いつの間にか塊の後ろには負のシェアの靄の様な物が出来ていて、左右に分かれた靄の内片方は人の身体の様に変わり、もう片方は体積を増して……それは、犯罪神へと変貌を遂げる。

 

「…おいおい、冗談だろ……?」

「そんな…まさか、犯罪神が不完全な状態の自分を作り出したのと同じように……」

「…あれも、元の姿二つを作り出したって事…?」

 

乾いた声を漏らすブランに続いて、鉄拳ちゃんと旧パーティー組ファルコムがそう呟く。

私達が散々疲弊して、危険も冒して、それでやっと倒した犯罪神と、その犯罪神が生み出したもう一方の犯罪神。塊と塊の放つ攻撃自体は、何とかなりそうなものだったけど……それに二つの犯罪神が加わるとなれば、一撃を与える難度は跳ね上がる。…何とかなりそうというレベルから、無理かもしれないというレベルにまで。

…けど、それでも……二つの犯罪神を突破して、迎撃も超えて、その先で一撃放つ事が困難だったとしても……

 

「……やるしかない…そうだよね、皆?」

 

長剣の斬っ先を塊へ向けたまま、私は皆にそう問いかける。ここまで来たんだから、本当に後一歩で望んだ場所まで辿り着けるんだから、困難だってだけで諦めてなんかいられないよね、って。そして、私の言葉に対する皆の答えは……言うまでもない。

 

「…大きい方は、もう一度私達が相手をするわ。それでいいかしら?」

「はい、お願いします!じゃあわたし達でもう片方の犯罪神を相手するから、お姉ちゃん達があれを……」

「…いいえネプギア。突破するのは貴女達よ」

『え……?』

 

ケイブの言葉にネプギアが答え、ネプギアの言葉にはネプテューヌが答え、私と守護女神の三人は頷いて…候補生の四人は、驚いたように目を瞬かせる。

 

「わ、わたし達が…なの…?」

「えぇ、だって言ったでしょ?…託したわよ、って」

「……わたしたちで、いいの…?」

 

驚くネプギア達に向けて、ネプテューヌは小さくウインク。それから僅かな間の後、ロムちゃんがもう一度聞いてきて、私達はそれに揃って頷き……その瞬間、候補生の空気が変わった。でもとか、わたし達じゃ…なんて言葉は、一言足りとも出てきそうにない雰囲気に。

 

「…うん、わかった。まかせて…!」

「ある意味これはアタシ達がさっき倒し損ねたようなもの。だったら確かに、アタシ達がやらなきゃいけないわよね」

「…皆さん。犯罪神は、頼みます」

「もうへとへとだけど…さいごまでやってやるんだからっ!」

「ふふっ、全員良い顔してるじゃない。…きっちり犯罪神は抑えててあげるから、任せて頂戴」

 

犯罪神を倒した時の輝きを再び宿らせた四人に、ノワールがまず答えて、私達も微笑みを返す。それから私達は、ネプギア達より一歩前へ。

私達がやるのは、道をこじ開ける事。障害となる二つの犯罪神を、何としても押し留める事。それは容易な事じゃない。私達女神だっていつまで出来るか分からないし、パーティーの皆にはまた多大な負担を負わせてしまう事になる。…でも皆、心の中で決意を燃やしている。私達が見ているのは、敗北じゃなくて勝利の未来。抱いているのは……後一歩で届くハッピーエンドへの、純粋な願い。

 

「皆、今度こそこれが最後の戦いよ。犯罪神は絶対に押さえるから、ネプギア達が絶対に最高の一撃を叩き込んでくれるから、後少しだけ頑張りましょ。……皆で帰る為に、また皆で気兼ねなく笑い合う為に……行くわよ、皆ッ!」

 

その言葉を合図に、私達は地を蹴り、空を舞う。私達の願いは、皆同じ。私達が辿り着きたいのは、同じ場所。だから、皆で…誰一人欠ける事なく笑い合える世界を結末にする為に……私達は、駆ける。




今回のパロディ解説

・ザ・ギャラクシー
イナズマイレブンシリーズに登場する技の一つの事。後衛の女神候補生とはいえ、女神は女神ですからね。三人がかりですし本当に物凄く吹っ飛んでしまうでしょう。

・どこぞの厄災
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドに登場するラスボス、厄災ガノンの事。長い歴史の中で何度も復活する、思いなき存在…設定だけなら割と似てるんです。
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