超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress 作:シモツキ
犯罪組織と犯罪神及び四天王の調査・封印の為ギョウカイ墓場へと向かったネプテューヌ達守護女神とネプギア達女神候補生。正直私やイストワールさん達は再封印の成功を、悪くても調査完遂をネプテューヌ達がしてくると思って帰りを待っていたけど……プラネテューヌに帰ってきたのは、打ちのめされた様子のネプギアただ一人だった。
ネプギアから話を聞いて、私達は何があったのかを知った。数日経っても数週間経ってもネプテューヌ達が帰って来ない事、深部を埋め尽くさんばかりにいた筈のモンスターがまるで進軍を開始しない事、何よりも教会のシェアクリスタルからネプテューヌ達のシェアエナジーが減り続けている事からネプテューヌ達の敗北と、ネプテューヌ達がただやられた訳ではない事を理解した。
その時から、私達と教会は動き出した。公にはそれまで通りに振る舞いつつも、極秘裏に対犯罪組織活動を開始した。犯罪組織を完全にクロと認定し、犯罪組織にも国民にも気付かれぬ様にしながら出来る事を進めていた。
そして、対犯罪組織活動は……今日、次の段階へと移行する。
*
一切整備の手の届いていない、ギョウカイ墓場の大地を歩く四人の少女。それは、ある目的の為に深部へと向かう私達だった。
「…もうすぐ深部だよ。三人共大丈夫?」
「あ、はい…わたしは大丈夫です…」
「身体的には大丈夫よ。これがギョウカイ墓場なのか…って結構驚きはしてるけど」
「わたしもです…変なのがいっぱいあるです…」
先頭を歩いていた私は、負のシェアの密度が特に濃くなる深部の直前で一度止まって皆の方を振り向く。
この任務の同行者…ネプギア、コンパ、アイエフの三人は皆、私に比べると若干表情が曇っていた。ネプギアは当然の反応だし、私やネプギアと違ってギョウカイ墓場に入るのが初めてな二人も曇ってしまうのは無理のない事。それに……二人にとっては私達女神より、数段精神的負荷が大きいんだよね。ここに満ちる負のシェアのせいで。
「…もう一度手、握る?」
「あ…その心配は要らないです。さっきぎゅってしてもらったばっかりですし、まだまだ精神的な余裕はあるです」
「私もよ。というか…イリゼの方こそ大丈夫なの?イリゼに手を握ってもらったコンパが精神汚染されてない以上イリゼ自身も大丈夫なんだろうけど…」
「うん。私は女神化は出来ないけど、女神じゃなくなった訳じゃないからね。女神の力の防護フィールドは私もコンパもしっかり機能してるよ。…女神のっていうよりシェアのフィールド…シェアで繋がるフィールド……」
「イリゼ、それその内オレンジの女神の技っぽくなるから女神の力のでいいわ…」
裏天界同様…どころか裏天界より負のシェアが濃い場所だから、当然私とネプギアはコンパとアイエフの手を握って二人が汚染されない様にしていた。ちゃんとした女神に握ってもらったアイエフとコンパとで差がない事を見る限り、この能力に関して私は一切減衰してない…と見ていいみたいだね。
「じゃあ、最後にもう一度確認しておこっか。ネプギア、イストワールさんと連絡取れる?取れるならここで一度報告もしておきたいんだけど…」
「えっと……やっぱり無理、みたいです…すいません…」
「気にしなくていいよ。ここより密度低い場所でネプテューヌが行なった時だって無理だったんだから」
負のシェアのせいで連絡が取れないというのも裏天界の時と同じだった。……まぁ、それはともかくとして…ネプギアが終始沈んでるのはちょっと不味いかな…これが災いする様な事がなければいいけど…。
「こほん。今回の目的は簡単。ネプテューヌ達守護女神四人の状態確認と、持ってきた装置の設置だけ。勿論ネプテューヌ達を助けられるならそれに越した事はないけど…」
「それはあくまで出来たらの話。救出は二の次三の次、でしょ?」
「ねぷねぷ達は助けたいですけど…無事脱出する事を最優先にするって約束したですからね」
それは、私達にこの任務を依頼したイストワールさんの言葉だった。無理はするな、というのは今までもよく言っていたけど…それまでと今回とは意味合いが違う。取り敢えず安定している状態と、既に『守護女神』という重要な人間が失われ、分かり辛い形ではあるけれど『劣勢』になっている状態とでは、人が減る事のダメージが違い過ぎる。だから私達……特にネプギアは、残された『女神』であるネプギアは絶対に相手の手に落ちてはいけない人間だった。
「…ネプギアもいい?……一応年長者である私達が候補生のネプギアに色々任せるのは申し訳ないけど…」
「…分かってます。わたしも……女神、ですから…」
私の言葉にネプギアは頷いた。…けど、前は緊張と憧れを含んで言っていた筈の『女神』という単語は、今は不甲斐なさと申し訳なさを含んでいる様に聞こえた。……だったら…ううん、だからこそ……
「……行くよ、皆」
私達は深部へと足を運ぶ。
きっと、ここから先では戦闘になる。その時要になるのはネプギアだけど……いつ折れてしまうかも分からないネプギアに、もうこれ以上の重荷は追わせられない。ネプギアは今の段階でもやれる事をやっている。コンパもアイエフも自分の力でやれる限りの事をしている。だから……私も、私のやれる事を──役目を、義務を果たす。
*
ギョウカイ墓場に再び行く、という話が出た時、その場にわたしが呼ばれたのは少しでもギョウカイ墓場で上手く立ち回るのに必要な情報を話す為だと思っていた。だけど、それは違った。
どうして、とわたしは思った。確かにわたしは女神化すればイリゼさんやコンパさん、アイエフさんとは比べ物にならない力もスピードも出る様になるし、空だって飛べる様になる。でも……それだけ。お姉ちゃんから、誰よりもわたしの事を知ってる人から『役立たず』と見捨てられたわたしがいたってなんの意味もない。
なのに、皆さんはわたしが必要だと言った。それがいつまで経っても納得出来なくて、ずっと考えているうちにギョウカイ墓場に着いた。ギョウカイ墓場について、あの時の事を思い出してずっと沈んだ気持ちでいたら、ギョウカイ墓場の深部……思い出したくもないあの場所に、いつの間にか着いていた。
『……っ!』
お姉ちゃん達の姿が見えた瞬間、イリゼさん達は駆け出していた。よく分からない結界の中で縛られているお姉ちゃん達の元に走っていた。……それを、わたしは複雑な気持ちで見つめていた。
こんな事を言うとわたしが薄情な人だって思われるかもしれないけど……実はわたしは、お姉ちゃんに会いたくなかった。どんな顔をして、なんて声をかければいいか分からなかったし、それ以上にまた何か言われるんじゃないか、もっと失望させてしまうんじゃないかと不安だったから。
でも、お姉ちゃんの姿を目にした時…胸がきゅっと締め付けられる様な思いになった。そして、わたしは気付いた。……怖かったけど、苦しかったけど…それでも、心の奥ではお姉ちゃんに会いたかったんだって。
だから、わたしは動けなかった。お姉ちゃんに会えた嬉しさ、自分が変われていない事への負い目、あの時役に立てなかった後悔、そしてまた否定されるんじゃないかという恐怖。それらが混ぜこぜになって、どうしていいか分からなくて……
「…やっと来たか…待ちくたびれたじゃねぇかぁぁぁぁああああッ!!」
────その瞬間に、その人は現れた。
「……っ!やっぱり監視がいた…!」
「お、おっきいです…!」
「感動の再会を邪魔しないでよ…ッ!」
どう見ても隠れられる様なサイズじゃないのに、マリオシリーズのボスキャラの如くどこからか跳んできて、地面へと降り立つ四天王の一人。あれは確か、ベールさんが戦っていた…!
「感動の再会ぃ?はっ、そりゃ悪かったな…だがこっちもただ観賞してる訳にゃいかねぇんだよ、諦めるこったな」
「ちっ…ちょっと無茶言ってもいいかしらイリゼ!」
「私一人で時間稼ぎしてくれって事でしょ分かってる!」
「ま、任せたですよイリゼちゃん!」
わたしが立ち竦んでいるその間に、イリゼさん達は動き出していた。コンパさんとアイエフさんは今回の目的…調査装置の設置の為に左右に跳んで、イリゼさんはバスタードソードを手に四天王の一人へと走る。
にぃ、と笑って手にしたハルバートらしき武器を振るう四天王。それをイリゼさんは跳躍する事で避け、更にハルバートの柄を蹴って再度跳躍する事で頭上へと舞い上がった。そしてそのまま上段斬りを仕掛けたけど…四天王はハルバートから離した左腕で防御。それどころか左腕を振るってイリゼさんを吹き飛ばしてしまう。
「あぐ……ッ!」
「オイオイ、そんな攻撃じゃあ擦り傷にもならねぇぜ?」
力も体重も違い過ぎて、瓦礫の山へと吹き飛ばされたしまったイリゼさん。四天王が砂煙もまだ消えない瓦礫の山とその中のイリゼさんへ向かおうとした時……わたしはやっと動き出した。人としての力しか出せないイリゼさんが戦ってて、女神化出来るわたしが見てるだけなんて……何やってるのわたしは…!
「わ、わたしが相手です…!」
「おっと、テメェは確かプラネテューヌの女神候補生だったな…少しは楽しませてくれよなああああッ!」
女神化して進路上に割って入るわたし。対する四天王はわたしを目にすると嬉しそうな声をあげて突進してきた。
(勝たなきゃ…わたしが皆を守らなきゃ……!)
避けたらイリゼさんが轢かれるかもしれないと思ったわたしはM.P.B.Lを構えて突撃。同時に光弾を放つ事で迎撃を試みる……けど、光弾もわたしも弾かれて宙を舞ってしまった。
「……っ…まだまだ…!」
翼を広げて姿勢制御しつつ、痛みの大きさで身体の状態を確認。特に外傷がないと分かったわたしはその場でM.P.B.Lを構え直して空中からの射撃を敢行する。
それをそれまでと同様鎧で弾く四天王。でも流石に鬱陶しくなってきたのか一度体勢を低くして……一気にわたしのいる高度まで跳び上がった。
「な……ッ!?」
「なんだよその気の抜けた戦い方は……それであのプラネテューヌの守護女神の妹かよッ!」
「きゃああああああぁぁっ!」
鈍重そうな見た目からは想像出来ない程の跳躍に度肝を抜かれたわたしは防御がやっとで、身体は地面へと叩きつけられてしまう。
一瞬息が詰まり、その後咳き込む。ガシャリと鎧の音を立てながら着地した四天王はまだまだ余裕そうで……わたしの方は、もう身体に幾つも傷が出来ていた。……やっぱり、無理なのかな…わたしが守らなきゃいけないのに、わたしは弱くて役立たずだから、また皆の足を引っ張るだけなのかな…。
また、逃げたあの時の様に折れそうになるわたしの心。でも……そこで、わたしは気付く。
「……あ…」
わたしの視界に映ったのは結界の壁。わたしが叩き付けられたのは結界のすぐ近くみたいだった。そして顔を上げたわたしは──お姉ちゃんと、目が合った。
「あ……あ、ぁ……」
「…………」
「お……お姉、ちゃん…わたし……わたしは……」
お姉ちゃんを近くで見て、お姉ちゃんと目が合ったわたしは上手く言葉を言えなくなった。何を言えばいいか分からない。思い付いた言葉もすぐ消えてしまう。それでも何とか言おうとしたのに、口が上手く動かない。どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよ────
「……ネ…プ、ギア…………」
「……元気で…良か、った……あの、時は……お姉ちゃん…酷い事、言って…ごめん…ね……」
「……──ッ!!」
それは、蚊の鳴く様な小さな声。掠れてて、普通じゃ聞き取れない様な、弱々しい声。でも、わたしには聞こえた。申し訳なさそうな…でも、心の底から安心した様な、お姉ちゃんの声が。
嗚呼、嗚呼…わたしは泣きそうになる。自分が嫌われた訳じゃなかった事に…自分が、こんなにも想われていた事に。
「お姉ちゃん…お姉ちゃん……っ!」
もう、負い目とか恐怖とかはどうでもよかった。あの時力になれなくてごめんねって、もっと強くなるからねって言いたかった。頭を撫でて、ぎゅーって抱き締めてほしかった。また、今までの姉妹に戻りたかった。でも……
「…ぁ…ぇ……?」
結界の側により、結界の壁に触れた瞬間……すとん、とわたしは膝をつく。触れた瞬間に、力が抜ける様な感覚があった。
それでももう一度触れるわたし。けど、結果は同じだった。力が抜けるだけで……お姉ちゃんに触れる事は、叶わない。
「そん、な……」
「なーにしてんだ候補生。敵に背を向けて無視とは、随分と余裕じゃねぇかよぉ…?」
後ろから聞こえてくる、四天王の声。その声を聞いた時……やっと、わたしは気付いた。お姉ちゃん達は、傷だらけだって事を。
顔も、胴も、手も足も、全身に切り傷と痣があるお姉ちゃん達。プロセッサはもう防具としてはほぼ崩壊していて、お姉ちゃん達が何か細工したのか普段とは違う形状になっている。そして、お姉ちゃん達の下には血溜まりが出来ていて、顔は血の気が全然なくて……目の奥の光は弱々しく、遠目に見たら虚ろな瞳だった。
そんな状態で、乱雑にコードで縛られて吊るし上げられているお姉ちゃん達。……普通の人なら、どう考えたって死んでいる状態。
……お姉ちゃんが、大切なお姉ちゃんが、大好きなお姉ちゃんが、友達と一緒にそんな酷い状態で、この最悪の環境で監禁されている。それは、誰のせい?誰が、お姉ちゃん達にこんなにも事をした?…そんなの、決まってる……
「……よくも…」
「ぁん?」
「よくも、よくもよくもよくも…よくもお姉ちゃんをぉぉぉぉおおおおおおおおッ!!」
ギョウカイ墓場に来てからずっと心の中でぐるぐるしていた感情。それが、この瞬間全て怒りと憎悪へと変化した。
M.P.B.Lを拾い、地を蹴って突貫するわたし。それを見た四天王がハルバートを構えた瞬間……シェアエナジーをM.P.B.Lへとドライブ。怒りのままに、憎しみのままに引き金を引いてビームを叩き込む。
近接格闘を仕掛けると思い込んでいた四天王に襲いかかるビームの柱。直撃し、爆炎が上がる中…わたしは更にシェアエナジーを注ぎ込んで、引き金を引いたまま第二射へと入る。
爆炎の中へ飛び込む第二射。続けて第三射。第四射。第五射。余力も、時間当たりのシェア配給も無視してわたしは撃ち続ける。
こんなの愚策でしかない。四天王の姿は爆炎で見えないんだから当たってるかも分からないのに、エナジーを垂れ流すかの様な射撃を続けるなんて、普段のわたしなら絶対しない。だけど、業火の様な感情に頭を支配されていたわたしはそんな事をまるで考えていなかった。
「はぁ……はぁ……、……っ!」
急激なシェア消費で立ちくらみの様な症状が起こるわたし。それでも頭を叩いて、また引き金を引こうとして……
「──へっ、やってくれるじゃねぇかよおおおおおおッ!」
「……ッ!?」
視界が、ブレた。わたしは殆ど水平に跳ね飛ばされて……結界の壁に、直撃した。
全身を襲う倦怠感。力が抜けていく様な感覚。それと同時に感じる、心の奥からの不快感と恐怖。……気付けばわたしは地面に落ちていた。
「か…はっ……」
「威勢は認めてやるよ。その激情も俺は嫌いじゃねぇ、だがな……それだけじゃ、俺には敵わねぇんだよッ!」
「……っ…」
拳を握り締めて、手をついて上半身を起こす。わたしが全力で、奴の言う激情に任せて攻撃した四天王は……未だ、損耗の一つも見えない姿だった。
…いや、よく見れば鎧が何箇所か灼かれて爛れている。どうやら完全な無傷じゃないみたいだったけど……それでも、乾坤一擲の猛攻の結果はあまりにも無残なものだった。
「……っ…!」
「残念だったな。ま、世の中強ぇ奴が勝って弱ぇ奴が負けるっつー単純な作りなんだ。お前もこれからそっちに加えてやるよ。よかったな、姉妹揃って同じ場所に居られて」
ゆっくりと近付いてくる四天王。わたしは必死に身体を動かして、M.P.B.Lにシェアエナジーを送るけど……もう、心の中では分かっていた。この四天王には、勝てないって。そして同時に、こうも思ってしまった。──お姉ちゃんとまた一緒に居られるなら、それもいいんじゃないか、と。
わたしの目を見て、四天王は何故か詰まらなそうな様子を見せる。…ごめんね、お姉ちゃん…わたし、また無理だったよ……せめて、わたしが捕まる間にイリゼさん達が逃げられるなら…それで、きっと十分…………
「────そうは、させない」
わたしの前に、四天王の前に……イリゼさんが、立ちはだかった。
*
私が吹き飛ばされた先にあった瓦礫は、幸運にも強度の低い物の集まりだったおかげで重症を避ける事が出来た。けど情けない事に私はその瓦礫に埋まってしまい、暫く四天王ではなく瓦礫と格闘する羽目になっていた。
やっとこさ出た時、私が目にしたのは見た事もない様な形相のネプギアが、一心不乱に爆炎へビームを放つ姿。それに一瞬圧倒され、しかもビームと爆炎のせいで近付けず…私が戦線復帰したのは、ネプギアが捕まる寸前だった。
「い、イリゼ…さん……?」
「ごめんねネプギア、奴の相手を一人でさせて。…よく頑張ったね」
「に…逃げて下さい……わたし達じゃ、敵わない相手なんです…このまま皆捕まっちゃったら……」
「ううん。さっき言ったでしょ?そうはさせない、って」
背中越しに話す私とネプギア。彼女の方は見ていないけど…訳が分からない、って顔をしてるのは容易に想像出来る。
「そうはさせない?…この状況で割って入る辺り、テメェの威勢も中々のもんだが…聞いてなかったのかよ?それだけじゃ勝てねえってのをよ」
「聞こえていましたよ?だから…威勢だけでも、激情に囚われてる訳でもないって事です」
「はぁ?何言ってんだテメェ…?」
訝しげに私を見る四天王。
ネプギアの言う通りだった。こいつ相手では、私達四人がかりだったとしても勝つのは厳しい。勝てたとしても、こっちもほぼ全滅する可能性が高い。
四天王の言う通りだった。威勢は自信を奮い立ててくれるし、激情は視野狭窄に陥るけどそれのおかげで出る力もある。…でも、私と四天王の間にはその程度じゃ決して覆せない程の差がある。
……けど、二人は一つだけ勘違いしていた。と、言うよりも誤認していた。
「すぅ、はぁ……」
「…………」
「ネプギア、それに四天王。教えておくよ。私の行動原理は、私の正義は、私の大事な人と大事な人が守りたいものを守る事。それが、女神として絶対に譲らない、私の思い」
「そいつはご大層なこったな。だがよ、その思いは力があって初めて成立するもんだろ?……絵空事抜かしてんじゃねぇよ、元女神…ッ!」
「……元、女神?」
元女神。力を失った原初の女神の複製体。それが皆の私に対する認識で、それは確かに間違ってはいない。だけど、それはこれまでの事。人として生きていく事を選んだ私の肩書きに過ぎない。
もう一人の私は言っていた。私は女神でなくなった訳じゃないって。私は、私達女神は知っている。女神は奇跡の担い手で、女神に不可能なんてないって。そして何より……私は一度、力を取り戻していた。今は遠く離れた大事な友達を守る為に、力を合わせる為に、共に在るべき場所へと戻る為に、女神として戦っていた。
ここには、あの時の本はない。もう一人の私が残してくれた力のラインも機能不全を起こしたまま。だとしても…私が女神である事は、原初の女神の残した希望である事は、今も昔も変わっていない。だったら……
「────侮るなよ、犯罪神の従者。見縊るなよ、当代の女神候補生。私はもう一つの原初、もう一振りの女神の始祖。この私が、二度と力を振るえない訳などなかろう。過去の存在である訳がなかろう。私は女神、オリジンハート。今再び己が思いを貫く為、守るべきものを守る為に、望む世界をその手で描く為…………私はもう一度、空へと…私が在るべき希望の元へと、舞い上がるッ!!」
私が、女神化出来ない理由なんてない────ッ!
収束する光。空へと駆ける二条の光。溢れんばかりの思いの力。そして……光が収まった時、そこには────女神の姿を纏った、原初の女神の複製体が存在していた。
今回のパロディ解説
・オレンジの女神の技
原作シリーズに登場する女神の一人、オレンジハートこと天王星うずめ及びシェアリングフィールドの事。彼女が出てくるのは…まぁ流石にまだまだ先です。
・マリオシリーズ
その通り、マリオシリーズの事。マリオシリーズに関わらず、どっかからワープして来たのかと言いたくなる(画面外からの)登場って多いですよね。ある意味様式美?