超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第十一話 初めての友達

潮の風を感じる、ラステイションのとあるダンジョン。言うまでもなく今回は討伐クエスト及び、犯罪組織の調査が目的だけど…まだまだ私達は成熟したとは言い難い少女五人。気持ちの良い風と匂いを感じた私達は、少し浮ついた気分になっていた。

 

「ここはバカンスに良さそうな場所だね。…モンスターがいるけど」

「適度に整備されてるからそれも良さそうですね。…モンスターがいるですけど」

「今の時期は日差しが強過ぎないのも良いわね。…モンスターがいるけど」

 

思い付いた感想を続けて述べていく私達三人。風で髪がいい感じになびくのも気分が良いし多分良い絵にもなる。…アイエフ以外は油断してるとパンチラの危険性があるけど。

 

「…ユニさん、ここが整備されてるのって何か理由あるの?」

「えー…っと、確かここは新しい交易路にする計画があったのよ。けど、犯罪組織のせいかモンスターが増えちゃって、今は計画が止まってるの」

「そうなんだ…あれ?じゃあ今回の討伐対象って、その増えたモンスターなの?」

「違うわ、というかそれなら今日の朝じゃなくてずっと前から討伐要望出るでしょ」

「あ、それもそっか」

 

私達より数歩後ろの方で会話しているネプギアとユニ。昨日の私の言葉を意識しているのか、教会から出て以降ネプギアはユニに積極的に話しかけている。先程からクエスト関連の事だったり仕事関係の事だったりと、とても華のある会話ではなかったけど…普通に会話出来る様になったのは良い傾向に思える。

 

「…ネプギアとユニ、このまま仲良くなれるかしら……」

「うーん…お互い社交性に難がある訳じゃないし、悪いイベントでもなければ仲良くなれるんじゃない?」

「悪いイベント、です?」

「うん、例えば…不注意からネプギアがユニにぶつかって、そのまま押し倒して胸揉んじゃうとか」

「それは…前のねぷねぷとイリゼちゃん、ノワールさんの出来事ですね…」

「そんな事もあったわね。…というか、それはむしろ良いイベントなんじゃない?イリゼもノワールもネプテューヌ大好きじゃない」

「ぶ……っ!?な、ななな何の話かなっ!?」

 

思いもしないタイミングで、思いもしない方向からぶっ込まれた超鋭い指摘に私はテンパる。ば、バレれた!?

 

「ど、どうしたのよイリゼ…顔が一瞬で赤くなったわよ…?」

「こ、これは私の開発中の隠し芸!それで何の話かなっ!?」

「隠し芸!?…何のも何も、貴女達は仲良しでしょ?違った?」

「え、や…違ってはないけど……」

「だったら何よあの反応は…」

「……なんでもないです…」

 

怪訝な表情を浮かべているアイエフを見て…気付く。私の勘違いに。アイエフの言う大好きは、あくまでlike的な意味である事に。……わ、私早とちりさん過ぎる…。

 

「ふぅん…まぁいいわ。もし何か調子悪いなら言いなさいよ?さっきも何か暴走してたし」

「う、うん…気を付ける……」

「…でも、ほんとに仲良しさんですよね。わたし、ちょっとジェラシーです」

「…あー、その…そんなジェラシー感じなくても大丈夫だよ?」

 

コンパは別に、本気でやきもちを焼いてる訳じゃないと思う。少なくとも、声音からはそう感じる。…でも私は、その言葉を聞いて…アイエフとコンパが二人して『自分達よりも』というイントネーションで、そんな事を言うものだから……つい、続けてしまう。

 

「…だってさ、二人とネプテューヌは私の始まりだもん。コンパに、アイエフに、ネプテューヌに見つけてもらったから、私は今ここにいる。三人と冒険に出たから、今の私がある。だから、そりゃ二人にとっては私はネプテューヌ大好きに見えるかもしれないけど…私にとっては、二人も大好きな友達だよ」

 

私にとってネプテューヌは特別な存在。コンパもアイエフも大好きだけど、それとはまた別の気持ちを抱く相手。……でも、二人以上とかネプテューヌ以下とか、そんな事はない。そんな事はないし、大切な人達に順位を付けるのなんてしたくない。これを八方美人と言うならそれでもいい。八方美人上等、だって私は本気で皆大切だって思ってるだから。……って、なんかどこぞのハーレム王さんみたいな思考してるね私。

 

「…よくそんな事、面と向かって言えるわね…」

「うっ…い、言いたかったんだからいいの…!」

「ほんと、イリゼも女神だからかどっかズレてるわね…でも、ありがと」

「わたしも大好きですよ、イリゼちゃん」

「…うん」

「……なんか、ちょっと憧れるよねああいうの」

「…こういうのがきっと、お姉ちゃん達の強さの一つなんでしょうね」

 

アイエフは苦笑い混じりの、コンパは優しげな微笑みを私に向けてくれる。そんな微笑みを見て、私は思う。私はネプテューヌ達を助ける為に戦う訳だけど、同時に今いる皆を守る為にも戦っているんだって。…そういうところは、前の旅と変わってないんだよね。前と変わらない、あの時から変わらない、私の信念。私が守りたいのは、こういう風景なんだから。

…なんて、少しナイーブな気持ちになっていた私。そんな私を現実に引き戻したのは、アイエフの言葉だった。

 

「……っと、イリゼ。気持ち切り替えてくれるかしら?」

「へ…?」

「あそこ、モンスターの集団がいるわ」

 

その一言で、私は意識が切り替わる。アイエフの指差す先に目を凝らすと、そこには一体の大型鳥類モンスターと、数十体の水棲系、両生類系モンスター。大型モンスターを中心にして集まっているその様子は、まるで……

 

「…集会、してるみたいです……」

「あの大きいのがリーダーかな…」

「その線はあり得るね。人影は……」

「…少なくとも、近くにはいません」

 

近くの白い塀の裏に隠れ、モンスターの様子を伺う私達。ユニはスナイパーライフルのスコープを使って周辺を監視。その結果を教えてくれる。…スコープって便利だね。

 

「あの親玉っぽいのは今回の討伐対象ね…ここから狙撃出来るかしら?」

「出来ます、けど…一撃で倒すなら、女神化した上で急所を狙い撃つ必要がありますし、背を向けられている今はそれも難しいです。…人間サイズのGNスナイパーライフルとかあれば別ですが」

「じゃあ、無理に狙撃を狙うのは止めておこうか。数が多いしまずは集まってるのを蹴散らして……」

 

そこまで言って、私は一度言葉を止める。上下関係のある集団ならば、それが人であろうとモンスターであろうと上の立場の相手…もっと言えば指揮を取るトップを落とすのが戦いの基本。けど、それを素直にやらせる組織なんていないし、トップ以外を無視していれば横槍を入れられる事は間違いない。だから私はまず集団の方を蹴散らそうと思ったけど…そこで一つ、作戦としても交流としても中々良さそうな案を思い付く。

 

「…イリゼさん?」

「…いや、二手に分かれようか。私とコンパ、アイエフで群れの相手、ネプギアとユニは女神化して討伐対象と空中戦…でどう?」

「どうって…まぁ、私は別に構わないけど…」

「アタシとネプギアで大型の相手、ですか?」

「空が主戦場の敵には同じく飛べる女神が相手した方がいいし、二人は遠隔攻撃をメインで出来るから、飛び回られても対応出来るでしょ?」

「それは分かりますけど…それはイリゼさんも同じでは?イリゼさんは火器こそないですが、その分アタシ達より機動力が高いですし…」

「…んー…もしや、ユニはネプギアと組みたくない?」

「えっ……そ、そうなの…?」

「そ、そういう事じゃ…」

「ならいいね?行くよ!」

 

言うが早いか私は突撃。私の意図を理解していてくれたコンパとアイエフも私に続き、三人まとめて集団に突っ込む形となる。

三人同時の強襲を受け、モンスターの群れは動揺。その間に私達はとにかく攻撃を仕掛けて、群れの方が戦闘態勢に入る前に少しでもダメージを与えていく。さて、ちょっと強引な流れになっちゃったけど…二人なら、上手くやってくれるよね。

 

 

 

 

「なんて強引な……ネプギア!もうこうなったら二人でやるわよ!」

「う、うん!前は任せて!」

 

三人一丸となって飛び出していったイリゼさん達。コンパさんとアイエフさんは付き合いの長さのおかげかイリゼさんの意図を汲み取ったみたいだけど…わたしとユニさんはまだ今の言葉だけで全て理解出来る程には至ってない。……けど、イリゼさん達が突っ込んじゃったらもうやるしかないよ!もうっ!

 

「まずは一撃…ッ!」

 

わたし達は二人同時に女神化。わたしは飛翔し、ユニさんは塀を台にライフル…X.M.B.を構えて大型鳥類モンスター…大怪鳥ってところかな…を狙い定め、狙撃。わたし達に気付いて騒ぎ出したモンスターに反応し、振り返ろうとしていた大怪鳥の背中を撃ち抜く。

 

「やぁぁっ!」

 

先制攻撃を受けてよろめく大怪鳥。そこへわたしが肉薄し、狙撃に続く形で一閃。更に背中を傷付ける。

 

「ピッ…ィィィィイイイイイイッ!!」

「わっ、とと……!」

 

大怪鳥が体勢を整える前に畳みかけよう…と思ったわたしだけど、流石にそれは許してくれない。大怪鳥は一気に上昇、それによって発生した風圧でわたしはよろけてしまう。

 

「ネプギア!アタッカーはアタシがやるわ!アンタはとにかくそいつを引き付けて頂戴!」

「け、結構速いよ!撃てるの!?」

「撃てるから言ってんのよ!狙われ易い役割を任させたんだから、これはアタシに任せなさい!」

「……!…うんっ!」

 

距離が開いてるから、わたしとユニさんは互いに叫び合う。そうして叫んで、ユニさんの言葉を聞いて…気付く。今までわたしはお姉ちゃんやイリゼさん達の様な、目上の人とばかり組んで戦っていた。だから基本は指示に従うだけだったし、わたしはあまり危険な役目を負う事はなかったけど…今は違う。わたしの後衛になっているのは、わたしと連携してるのは、対等な立場のユニさん。そんなユニさんにわたしは『前は任せて』と言ったんだから、ユニさんからすれば自分と対等な相手に危険な役割をさせてるのと同じ事。……そりゃ、ユニさんだって任せた分の事は何かしたいって思うよね。だって、わたしならそう思うもん。──なら、

 

(わたしも、ユニさんに任せる事は任せて、任された事を完遂しなきゃ…っ!)

 

敵を寄せ付けまいと翼を大きくはためかせるモンスターに、わたしは喰らい付く。押し返そうとする風に踏ん張って、風の弱い位置へと捻る様な機動で滑り込んで、近距離から射撃を撃ち込む。とにかく近付き続ける事を目的にしてるから、あんまりダメージにはなってないかもしれないけど…それでいい。その間に、何度もユニさんが狙撃を当てていてくれてるから。

 

「このまま、ペースは渡さない……ッ!」

 

離れてくれ、と言わんばかりの翼での鋭いはたき。それを察したわたしは力を抜き…翼に先行する様に発生した風を利用する事で下がって、攻撃を回避する。

その瞬間、またユニさんの正確な狙撃が大怪鳥を撃ち抜く。もう何発も狙撃を当てていて、わたしもわたしでそこそこ攻撃しているおかげで、大怪鳥の勢いは初めより明らかに落ちていた。もう少しで倒せる、そんな状況。でも、そんな状況だからこそわたしとユニさんはほんの少しだけど油断してしまって……大怪鳥に、起死回生の一手を打たせてしまった。

 

「ピィイイイイイイイイイイッ!!」

「なッ!?しまっ……!?」

 

くるり、と空中でお腹を空、背中を地上へと向けた大怪鳥。それと同時に大怪鳥は全力で羽ばたき、わたしを吹き飛ばす。

風を受けただけだから、わたしにダメージはない。けど、吹き飛ばされて大怪鳥から引き離されてしまった。そして、わたしを吹き飛ばした大怪鳥はすぐさま反転して、ユニさんの方へと向かう。やっぱり大怪鳥にとってはわたしよりユニさんの方が脅威らしかった。

 

(……っ…この距離なら、ユニさんは対応出来るかも…)

 

大怪鳥とユニさんの間には結構な距離が離れていて、一瞬で詰められるとは思えない。それにユニさんも後衛担当とはいえ女神なんだから、回避位出来てもおかしくはない。それに、もしかしたら回避だけじゃなくてカウンターも出来るかもしれない。

 

 

────けどッ!

 

「行かせ……ないッ!」

 

翼を広げ、飛ばされた方向にM.P.B.Lを振るって勢いを殺し、その後すぐに全速力で大怪鳥を追う。進路の先に見えるユニさんは、飛んで避けるつもりだったのか、わたしの動きに驚いた様な表情を浮かべている。そんなユニさんに、わたしはアイコンタクト。伝わるかどうか分からないけど、それでも視線に意思を乗せる。…こいつはわたしが止める、って。

だって、それがわたしの役目だから。ユニさんがわたしに任せてくれた、役割だから。わたしはまだ戦闘のプロには程遠いけど、それでも分かる。仲間と信頼関係を築くのは、自分が相手を信用するだけじゃなくて、相手にも信用してもらえる様に動かなくちゃいけないって。──だからっ!

 

「────ユニちゃんッ!」

 

近距離まで入った大怪鳥は、スピードはそのままに右脚を前に出し、鉤爪を使った飛び蹴りの体勢になる。もうその間は僅か。そうして大怪鳥が更に距離を詰めて……ユニさんに届く刹那、わたしが割って入る。

 

「……ーーッ!?」

「……!今だよッ!」

「……っ…!えぇ!これで決めるわッ!」

 

大怪鳥の脚をM.P.B.Lで受け止め、声を上げるわたし。次の瞬間、後ろから凛とした声が聞こえて…わたしの頭上を、銃声を響かせながら弾丸が駆け抜ける。

ズドン、と大怪鳥の頭を撃ち貫く弾丸。その瞬間、大怪鳥の脚からの圧力が消えて、大怪鳥は地に落ちる。地に落ちて、一度だけ鳴いて……消滅した。

 

「……ふぅ、倒せた…」

 

M.P.B.Lを下げ、着地しながらわたしは嘆息。なんだかんだ攻撃を受ける事は無かったけど…素早くて厄介な相手だった。やっぱり飛ぶ敵は大変だなぁ……あ。

 

「…ユニさん、ごめんね。わたしが最後まで引き付けてなきゃいけなかったのに…」

 

結果的になんとかなったけど、最後にわたしは接近を許してしまった。だから、もしかしたら少し怒ってるのかも…と思っておずおずと振り返ったわたしだったけど……

 

「……やるじゃない、ネプギア」

 

ユニさんは、楽しげな笑みを浮かべていた。……え?

 

「お、怒ってないの…?」

「はぁ?怒る?」

「だ、だってほら…ユニさんって周りにも自分にも厳しそうだし、わたしのミスに怒ってるのかもって…」

「あのねぇ…別にアタシは攻撃受けてないのよ?そりゃ確かに一度は抜かれてたけど、すぐフォロー入ってくれたじゃない。アタシが言うのも何だけど…ネプギアの動きは上出来だったと思うわ」

 

お互いに女神化を解除した後、ユニさんは腕を組みながらわたしを評価。更にそこからユニさんは…ちょっと目を逸らしながら、言う。

 

「…それに、ほら…アタシも一回か二回、あんまりダメージにならない所に当てちゃったし…」

「…そう、だったの…?」

「え、気付いてなかったの…?」

「う、うん。わたしは何か考えがあってそうしてたのかと……へぇ、ユニさんもミスしたりするんだ…」

「うっ…あ、アタシだってミス位するわよ!悪い!?」

「ううん、むしろ良いかも…」

「良い?…何よ、アタシが思ったよりしょぼくて安心したっての?」

「そ、そうじゃなくて…その、それなら一緒に頑張れるなって思って…」

「一緒に……?」

「うん、わたしもユニさんも女神候補生でしょ?だから…一緒に頑張ろうよ、ね?」

 

話してる内に、わたしは気付いた。そういえば、わたしは今までずっと『友達』と呼べる人がいなかったって。お姉ちゃんの友達とか、先輩とか、そういう人はたくさんいるけど、こうして話せる人は殆どいなかったって。だから一緒に頑張れるかもって思ったら、途端に嬉しくなった。嬉しくなって、つい期待を込めてユニさんを見つめてしまう。

(その後のユニさん曰く)純真そうな目で見つめたわたし。それを受けたユニさんは戸惑った様な、一瞬なんて返せばいいか分からない様な表情を浮かべて、そして……

 

 

 

 

「……ユニちゃん、でいい…」

「え……?」

「呼び方…ほら、さっきユニちゃんって言ってたでしょ?」

「あ……そう言えばあの時、そう言ったっけ…」

「ユニさん、じゃ他人行儀でちょっと嫌なのよ。アタシだってアンタを呼び捨てにしてるんだから、ネプギアも…その…ユニちゃんって、呼んでくれればいいから…」

「ほんと!?いいの!?」

「い、いいからいいって言ってるのよ!」

「そ、そっか…えへへ、ユニちゃん…ユニちゃんかぁ…」

「な、何度も言わなくていいわよ…」

「うん。それじゃあ…これから一緒に頑張ろうね、ユニちゃん!」

「……えぇ、宜しく頼むわネプギア」

 

右手を差し出すわたし。ちょっと照れくさそうな顔で、その手を握ってくれるユニちゃん。わたしはそこから左手でもユニちゃんの手を握って、上下に振る様に握手。それを受けたユニちゃんは更に少し顔を赤くしてたけど…わたしの手を振り払ったりはしないでいてくれた。

 

 

 

 

────ふふっ、お姉ちゃん。わたし今日、初めて友達が出来たよ。




今回のパロディ解説

・どこぞのハーレム王
生徒会の一存シリーズの主人公、杉崎鍵の事。別段イリゼがハーレム作ろうとしてる訳じゃありません。杉崎は恋愛的な意味で、イリゼは友情的な意味での考えですからね。

・GNスナイパーライフル
機動戦士ガンダム00に登場する機体、ガンダムデュナメスの武装の一つ。ユニはこれのパイロットの台詞言ったりもしますからね、00への造詣は深いかもしれません。
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