超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress 作:シモツキ
イリゼさんに後押しされてから数分後。わたし達は行った事が無かったせいでちょっぴり手間取ったけど…無事ロムちゃんとラムちゃんの部屋前に到着した。
「ここ、だよね…?」
「職員がそうだって言ったんだからここで合ってる筈よ」
「それじゃあ「待った」…へ?」
別に迷ってる訳じゃないけど…事が事なだけに不安や緊張もあるし、そういうものは抱えている時間が長くなればなる程大きくなるから善は急げの精神でわたしは扉に手をかけようとして……ユニちゃんに止められる。
「へ?ってねぇ…ネプギア、アンタ策はあるの?」
「……策?」
「あるないどころか考えてすらいなかったって顔してるわね…思いのぶつけ合い、感情の対話ってなら確かに策を弄すればいいって訳じゃないけど、一筋縄じゃいかない相手に無策で突っ込むのは愚の骨頂でしょうが。第一、相手は二人なのよ?最後の一押しは二人まとめて…ってならともかく、最初から二人同時に話そうだなんて無茶もいいところよ?」
「……えっと…」
「えっと?えっと何?」
「返す言葉もないです…」
ユニちゃんの言う事は、完全にその通りだった。もしユニちゃんがいなかったら、わたしはこのまま入って門前払いになっていたかもしれないと思うと…正直、かなり情けない。うぅ、わたしって感情が先行した場合になる視野狭窄の度合いが普通より高いのかな…。
なんて事を考えてちょっとテンションが下がるわたし。するとそんなわたしの様子を見たユニちゃんは呆れた表情で溜め息をついて…
「…なら、まずはロムの方からよ。少なくともロムはネプギアにそこそこ心を開いてるみたいだし、すぐに追い出される事はない筈よ。それにロムからラムの事を聞ければ、その後のラムも少しは楽になるでしょうし」
「わ、分かった。でも、どっちかと話すにしても、二人一緒にいるんじゃ……」
「それはアタシに任せなさい。どれだけ出来るかは分からないけど…それなりの時間はラムを部屋から連れ出していてあげるわ」
そう言ったユニちゃんは自信気な笑みを浮かべて、両開きの扉の前に立った。そこから扉を確認する様に一瞬止まった後…わたしを扉の横へと引っ張る。
「わっ、とと……」
「ほら、アンタはここにいなさい。アタシはこっちの扉を開いてラムを連れ出すから。…そうすれば、扉が壁になってネプギアの姿は見えなくなるでしょ?」
「…わたしは無策で突っ込みかけてたのに、ユニちゃんは冷静に順序も案も考えていたなんて…や、やっぱり凄いよユニちゃん!クレバーだよ!」
「べ、別にこんなの褒められる程の事でもないわよ…後大声出して気付かれたら意味無いでしょうが…」
ユニちゃんはクレバーなだけじゃなく、謙虚でもあった。わたしの中でユニちゃんの株、絶賛上昇中だよ!
…と、いう事でわたしはその場に立ち、ユニちゃんが入室するのを待つ。そしてユニちゃんはわたしが見る中、扉をノックして……
「…頭、少しはクールになったでしょ?」
「……!」
ふふん、と小悪魔みたいな笑みを浮かべて部屋に入っていった。その顔を見た瞬間、これまでのやり取りの裏には『わたしの頭がきちんと働く程度にクールダウンさせる』という意図があった事に気付く。しかもユニちゃんはわたしにお礼を求める事なく入っていって……どうしよう、今日のユニちゃん凄く格好良い…。
「…って、ユニちゃんにときめいてる場合じゃない……」
今のロムちゃんとラムちゃんの状況認識と、入るタイミングの見定めの為に耳をそばだてるわたし。すると……歓迎ムードの全然感じられない声が聞こえてくる。
「誰だと思ったら…とつぜんなんのよーじよ!」
「な、なにしにきたの…?」
「…酷い出迎えね…あーこほん、今日はアンタ達にお願いがあってきたのよ」
『お願い?』
(お願い……?)
二人の反応に呆れ気味の声を出すユニちゃん。でも、次の瞬間……ユニちゃんの雰囲気が変わる。
「そうお願い。……アタシ、ラムの強さに感動したわッ!」
(え……感動!?ゆ、ユニちゃんが他人の強さに感動!?)
「アタシとネプギアの二人を相手にしても物怖じしないメンタル、積極的に攻めるスタンス、魔法を次々と放てる実力…こんなの、感動しない訳ないじゃない!」
「な、何よ急にほめだして…」
「褒めるなんてものじゃない、心からの叫びよ!あの瞬間アタシは思ったわね、ラムって最強なんだ…って」
「わたしがさいきょー…?…ふ、ふーん。少しは分かってるじゃない…」
「でしょ?だからお願いがあるの!ラム…いやラムさん、いやいやラムお姉さん!アタシに戦いの手解きをして下さい!」
「ら、ラム…お姉さん……!?…も、もう一度言ってみて…」
「え…ら、ラムちゃん…?」
「ラムお・ね・え・さ・ん」
「よーしユニ!わたしに…おねーさんについて来なさい!」
「はい、宜しくお願いします!」
(つ……釣れたぁぁぁぁああああああああッ!?)
ユニちゃんを連れ、ラムちゃんは声だけで分かる位意気揚々と部屋から出てくる。ユニちゃん、ラムちゃんの一本釣りだった。…いやラムちゃんどんだけ『お姉さん』ってワードに魅せられてるの!?某甘い飲み物と名前が同じ人並みの反応だったよ!?……まあ少しは分かるけどね!わたしもロムちゃんに『おねえちゃん』って言われて魅せられかけたけどね!
「ら、ラムちゃん…?どこ行くの…?(わたわた)」
「ちょっと外でおしえてくるだけよ!ふふーん、なんたってわたしはおねえさん!そんけーしてくれる人を見てあげるのも必要よね!」
「あ……ほ、ほんとに行っちゃった…」
開いた扉を壁にしてるから正確な状況は分からないけど…どうやらロムちゃんはぽつんと置いてかれちゃったみたいだった。…まさか連れ出すんじゃなくて自発的に移動させるなんて…っていうか、ここまで身体(というかプライド)投げ打ってまでやってくれたのに失敗したら、わたし絶対ユニちゃんにボコボコにされるよね…い、色んな意味で頑張らないと…。
「えっと、まずは……」
「へ……?」
扉は片方開いたままとはいえ、突然入ったらロムちゃんを驚かせちゃうと思ってわたしもまず扉をノック。すると不思議そうな声がした後足音が聞こえて……ひょっこりとロムちゃんが顔を出した。
「あれ、ネプギアちゃん…?」
「…こんばんは、ロムちゃん」
「う、うん…こんばん、は…」
「…えと、お部屋入ってもいいかな?」
「んと……うん(こくり)」
扉の淵に手をかけて首を傾げてるロムちゃんに挨拶して、わたしは中へ。全体的に暖色系で可愛らしい部屋は、正にロムちゃんとラムちゃんの部屋…って感じだった。
「今、ラムちゃんと何してたの?」
「絵本、よんでたの…」
そう言ってロムちゃんはカーペットに置かれていた絵本を持ち上げ、胸の前で持ってわたしに見せてくれる。ふふっ、絵本なんて可愛いなぁ…じゃなくて、本題本題……。
「…って言っても、ユニちゃんの言う通りただ突っ込んだら大変な事になるだけだよね……」
「……?」
「あ、ううん。こっちの話」
早かれ遅かれ本題には入らなきゃいけないけど…いきなり言ったらショックを受けるに決まってるんだから、順序を追って話さない訳にはいかない。えっと、まずは関係ない話で雰囲気を…そうだ、丁度いいのがあった。
「ねぇロムちゃん、読んでたのってどんな絵本?」
「えっと…おひめさまが出てくるの」
「お姫様?へぇ、人魚姫とか白雪姫とか?」
「えっとね、おやゆびひめ」
「そっか。おやゆび姫かぁ…ツバメさんが出てくるお話だっけ?」
「ううん、出てくるのはハギタ…」
「あ、そっかハギタかぁ……は、ハギタ?」
聞き慣れない名詞につい聞き返してしまうわたし。あ、あれ?おやゆび姫にハギタなんて出てきたっけ?というかそもそも、ハギタって何……?
「うん。ゴーとか、ギャーってなくんだよ…?」
「ご、ゴーとかギャー?…ハギタって怪物か何かなの…?」
「そう、かいじゅう。さむーい所にいるから、わたしもラムちゃんもちょっと気持ちわかる…」
「寒い所にいる怪獣ハギタ……」
「おやゆび姫とハギタが戦うのは、名シーン。わたしもラムちゃんも、そのシーン好き…(わくわく)」
「そ、そうなんだ…悪いんだけどロムちゃん、ちょっとその絵本貸してくれないかな…?」
絵本を抱えたままどんな本かロムちゃんは教えてくれる……けど、わたしはそれを全く理解出来ない。というか、今のところそれが絵本だとすら思えていない。そんな状況にたまらずわたしは絵本を受け取り、実際に読んでみようとする。本題からは外れてるけど…これは気になるよ!確認しなかったら絶対後で引っかかるもん!
ええっと、タイトルは『おやゆび姫VS怪獣ハギタ 南海の大バトル』……って、
「えぇぇぇぇ!?じ、実在したの!?これ実際にあったの!?」
「ふぇ……!?」
「あ……お、驚かせちゃってごめんね。…でもまさか、絵本がこれだったなんて……よく買ってもらえたね…」
「う、うん…『ほんとにあったのね…逆に興味を惹かれるわ』とかで、かってくれたの…」
「そうなんだ。誰が?」
「それはおね……ぁ…」
「……!」
──その瞬間、またあの空気になった。ロムちゃんは、またあの表情を浮かべた。……ロムちゃんは、その時『お姉ちゃん』と言いかけていた。…そっか…自分でも、言わない様にしてるんだ……。
「あ…ぅ、えと…えと……」
「ろ、ロムちゃん…え、えとさ!ロムちゃんってほんとラムちゃんと仲良いよね!」
「……う、うん…」
ロムちゃんの狼狽する様子を見て、わたしは咄嗟に話を切り替える。話術に長ける人なら今の瞬間に本題に入るんだろうけど…わたしにそんな話術はない。
「仲良いのって、やっぱり双子だから?」
「それは…わかんない…気付いたら、なかよしだったから…」
「そっか…確かラムちゃんが妹で、ロムちゃんがお姉ちゃん──あ…ッ!」
「…ネプギアちゃん…?」
「へ……?…あ、あれ……?」
不思議そうな顔をしているロムちゃんに、今度はわたしが軽く狼狽する。
今、わたしは間違いなく『お姉ちゃん』と言った。けれど、ロムちゃんはそれに反応しなかった。…これって、どういう事…?前にわたしが言った時は、凄く切なそうにしてたよね…?……いや、でも待って…そう言えば…。
「……ロムちゃんって、ラムちゃんに『お姉ちゃん』って呼ばれないの?」
「うん、そうだけど…」
(……やっぱり…)
今のやり取りで、わたしは一応だけど確信する。思い出してみれば、ユニちゃんがラムちゃんへお姉さんと言った時は無反応だったし、ラムちゃん自身お姉さんと言っていた。そして、ロムちゃんもペンを探してた時にわたしをお姉ちゃんって呼んでいた。それはどれも『姉』を彷彿とさせる言葉にも関わらず、反応しないという事はつまり……ロムちゃんとラムちゃんは、姉の入る言葉全般ではなくブランさんを指す『お姉ちゃん』をのみ拒絶してる可能性が高いと言える。
(だったら、もしかしたら…わたしの思った通りなら……)
もしのべつ幕なしに拒絶してるなら、それはきっと感情の…心の反応。でも、ブランさんを指す時のみ拒絶してるなら、それは文脈や話している対象からブランさんかどうかを判別してるって事で、心の反応の前に頭のフィルターを通ってるんだって考えられる。……なら、ロムちゃんもラムちゃんも…わたし達が思っている様な状態では、ないのかもしれない。
「……ごめんね、ロムちゃん」
「ほぇ…?どうしてあやまるの…?」
「わたし、ロムちゃんを勘違いしてた。…だから、誤魔化しなんてしないで話すよ」
「ネプ、ギア…ちゃん…?」
「すぅ、はぁ……よし」
「……ロムちゃん、お姉ちゃんを助けよ?わたし達と一緒に、お姉ちゃん達を…ブランさんを、助けようよ」
「……っ…!」
ロムちゃんの正面に座って、ロムちゃんの手を握る。わたしの思いを伝えたくて、ロムちゃんに直に触れる。
瞬間、びくりと肩を震わせたロムちゃん。……けれど、今度は逃げようとしない。それはわたしが手を握ってるから?…違う。だって、手を振り解こうとはしてないもん。
「…分かるよ。わたしだって、あの時は凄く辛かったもん。辛くて情けなくて、今の自分が嫌になっちゃったもん。……酷いよね、あそこまで言うなんて」
「あ、あの時なんて…知らない…」
「……でも、あそこでお姉ちゃん達がああ言ってくれなきゃ、わたし達は逃げる事も出来なかった。…これってさ、お姉ちゃんがわたし達を逃がしてくれた…って事じゃないかな」
あの時のわたし達は半ば我が儘で着いてきて、感じた事もない恐怖に冷静さを失っていて、とても足手まといになる自分達は逃げた方がお姉ちゃん達の為になる…って事が理解出来ていなかった。そんなわたし達を最短で逃がす為…一秒でも早くわたし達に安全な場所に行ってもらう為にお姉ちゃん達はキツい言葉を使った。…そういう事、なんだよね…。
「……わたしね、お姉ちゃんを助けたいんだ。あの時助けてくれたから、とか国には守護女神が必要だから、とかもあるけど…一番は、やっぱりお姉ちゃんが大好きだから。お姉ちゃんが大好きで、お姉ちゃんとの日々が楽しくて、それを取り戻したいから助けるの。…それはきっと、ユニちゃんも同じ」
「…わたしは……」
「聞かせて、ロムちゃん。ロムちゃんが、今どう思っているのか…お姉ちゃんを、どう思っているのかを」
わたしは、きちんと聞いておかなきゃいけない。受け止めなきゃいけない。ロムちゃんが秘めようとしている部分に触れてるんだから、見ないでいようとする部分を引っ張り出しているんだから、その分きちんとロムちゃんと向き合わなきゃいけない。
……っていうのは、ほんとは建前。本当は…
「…友達として、ロムちゃんが抱えてるもの……わたしにも、背負わせてよ」
「……──ッ!」
「…わたしは…わたし、は……」
「……わたしも…会い、たいよ…おねえちゃんに会いたい…また、おねえちゃんとラムちゃんとあそびたい…やだよ、このままおねえちゃんと…おねえちゃんと、なかなおり出来ないなんて…やだよぉ……」
肩を震わせて、声を震わせて、それでも凍らせていた思いを声に、言葉にしてくれたロムちゃん。わたしは、そんなロムちゃんの小さな肩を、ぎゅっと抱きしめた。
*
「…少しは落ち着いた?」
「…うん……(ぐすっ)」
あれからロムちゃんは、思いを全部吐き出してくれた。辛くて辛くて、寂しくて寂しくて、それでもお姉ちゃんが帰ってきてくれなくて、だからブランさんの事を考えないようにしていたんだって。ラムちゃんと示し合わせて触れないようにしたんじゃなくて、お互いに自然とそういう事にしたんだって。
「…ほんとはね、わかってたの。こんな事しても、意味ないって…」
「意味無い…なんて事はないと思うよ。きっと、二人にはそれが必要だったからしたんだと思うもん」
「…ネプギアちゃんは、やさしいね…」
「友達だもん。当たり前だよ」
落ち着いてきたロムちゃんは、少しだけどすっきりした様な顔をしていた。…やっぱり、抱えてるのは辛いよね。
「友達だから、当たり前…」
「うん。わたしはロムちゃんの力になりたいし、ロムちゃんと一緒に頑張りたい。ロムちゃんは?」
「…うん、わたしも…わたしも、ネプギアちゃんの力になりたい…」
「ふふっ、ほらね?こういう感じに思えるのが友達なんだよ」
「…じゃあ、ネプギアちゃん……ネプギアちゃんは、ラムちゃんとも友達に、なってくれる…?」
「え……?」
わたしを見上げるロムちゃん。そんなロムちゃんの言葉に、わたしは一瞬反応に困ってしまった。…それって、一体……?
「…わたし、だめだめなの」
「だめだめ…?」
「わたしは、ラムちゃんのおねえちゃん。だから、ラムちゃんが困ってたら助けてあげたいし、わるい事したら、おこらなきゃいけない。……でも、わたしはラムちゃんにひっぱってもらってばっかり…」
「そ、それは…性格の問題もあるんじゃ…」
「それでも、わたしはおねえちゃん。こわがりで、よわむしで、なきむしのだめだめだけど…おねえちゃん、なの…ラムちゃんは、大切ないもうとなの…」
「…もしかして、ラムちゃんと一緒にわたし達と戦ったのも……」
「……(こくり)」
ルウィーに来た日の、ロムちゃんラムちゃんとの戦い。あの時ロムちゃんはあんまり乗り気な様子じゃなくて、わたし達はそれが疑問だったけど…やっと分かった。あれは、ロムちゃんなりにラムちゃんのお姉ちゃんをしようとしていたんだ。薄々勘違いなのかもと思っていたけど、自分じゃラムちゃんにきちんと説明する事も納得させる事も出来ないから、せめてお姉ちゃんとしてラムちゃんを肯定してあげようとしていたんだって。…間違ってるかもしれないのにそれを指摘せず、ただ肯定するのは決して良くない事だと思うけど……ロムちゃんの気持ちは、否定なんて出来ない。ラムちゃんの事を思う、姉のロムちゃんの思いは本物だって断言出来る。だって…今のロムちゃんの目は、お姉ちゃんがわたしを見る目と似ているんだから。
「…ネプギアちゃんは、やさしい。こんなわたしでも友達になってくれる位、やさしい。だから…」
「…代わりに、ラムちゃんを助けてほしい…って事?」
「うん。おねがい、ネプギアちゃん…わたしの事は、だめだめだって思っていいから…ラムちゃんを助けてあげて…ラムちゃんの力に…ラムちゃんの、友達になってあげて…」
これまでわたしがロムちゃんの手を握っていたけど…今度はロムちゃんがわたしの手を握る番だった。小さくて、わたしより華奢な、ロムちゃんの手。柔らかくて、温かな、ロムちゃんの思い。
ロムちゃんは、わたし達やミナさん達が思ってる様な子供じゃなかった。勿論、大人って訳じゃないけど…わたし達は、必要以上に子供扱いしていたんだった。だから、わたしは……決める。
「……それは、聞けないかな」
「え……っ?」
「ロムちゃん、友達だからって何でも聞ける訳じゃないよ?友達でも嫌な事は嫌だし、無理な事は無理だもん」
「そ、そんな…でも、わたしじゃ…ラムちゃんは……」
「嫌なものは嫌だよ、ロムちゃん。だから諦めて。わたしは……」
「──わたしは助ける為じゃなくてわたしがなりたいから友達になるし、ロムちゃんの事をだめだめだなんて思えないし…ロムちゃんがラムちゃんの力になれないなんて、絶対思わない」
また、ロムちゃんの瞳に涙が浮かぶ。でも…それは悲しさからくるものなんかじゃないってわたしにも分かる。だからその涙を指で拭ってあげて、頭を撫でて…手を伸ばす。
「諦めちゃ駄目だよロムちゃん。ロムちゃんだって凄く優しくて、凄く妹思いで、きっとブランさんにも負けない位お姉ちゃんであろうとしてるんだから、諦めちゃ駄目だよ。…だから、一緒に頑張ろうよ。わたしも協力するから、さ」
「……っ…うん、うん……っ!」
握られた手。その手は小さいけど…小さくても確かに感じる。ロムちゃんの力を。ロムちゃんの、思いを。
わたしは立ち上がる。ロムちゃんは立ち上がる。わたし達は手を取り合って、共に立ち上がる。
わたしはロムちゃんの思いを知れた。ロムちゃんを理解する事が出来た。優しくて、ちゃんと自分で物事を考えて、わたし達が思ってるよりずっと頑張っているロムちゃんと分かり合う事が出来た。だから……わたしの手を取ってくれたロムちゃんの、友達であり仲間であるロムちゃんの力に絶対なるって…心に、誓った。
今回のパロディ解説
・某甘い飲み物と名前が同じ人
ご注文はうさぎですか?の主人公、ココアこと保登心愛の事。なんとなく候補生四人の中ではラムが一番姉と呼ばれたい欲求がある気がします。姉が二人いる訳ですしね。
・おやゆび姫VS怪獣ハギタ 南海の大バトル
クレヨンしんちゃんシリーズに登場する絵本の一つの事。絵本自体も突っ込みどころ満載ですが…そもそもこれは伝わるのでしょうか?超マニアックなネタな気がします。