超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第四十四話 触れ合いの中で分かる事

ネプギア達が出演したライブは、大盛況の内に幕を閉じた。勿論出演者はネプギア達だけじゃないし、出演者だけでライブが成り立つ訳でもないけど…それでもやっぱり、盛況となった理由の一つにはネプギア達の存在があると、贔屓目無しに私は思う。…途中現れた不審者達は…丁重にお帰り頂いた。「うるせぇ!いいからやっちまうぞ!」みたいな事言って仕掛けてくるタイプじゃなくて、「ちっ…いいよ悪かったな、あばよ」みたいな事言って帰ってくれる人達でほんと良かった…。

で、今私達は……

 

「みてみてロムちゃん!チョコフォンデュがあったの!」

「え…どこどこ…?」

「偶には色々気にせず甘いもの食べるのもいいわね」

「色々?……太ったの?」

「太ってないわよ!いや確かに気になる事の中に体重は入ってるけど!」

 

リーンボックスの高級ホテルで開かれている、スイーツバイキングに来ていた。

 

「…でも、私達まで良かったの?今回の依頼はライブに出演する事で、その依頼を請け負ったのはネプギア達四人なんだよ?」

「良いんですよ。報酬目当てで依頼受けた訳じゃないですし、わたし達だけで行くのも気が引けますもん」

 

今日のスイーツバイキングはライブの出演者やある程度のスタッフさん達限定の貸し切り状態で、出演していたネプギア達はともかく(というか、むしろこっちにも来て下さいと頼まれていた)、自主的に警備に協力していただけの私達は来ていいのかどうか怪しいところ。でもそこで、わざわざネプギアが私達も来ていいか訊いてくれた事で私達にも声がかかった…というのがここまでの経緯。スイーツバイキングという、女の子にとってのご褒美を頼んでもいないのにお膳立てしてくれたネプギアには感謝せねばなるまい…。

 

「それに、ライブの主催サイド的には元から来てもらって構わなかったみたいですよ?イリゼさん達が警備に当たってくれなかったら、不審者の件がもっと大事になってただろうから…って事で」

「あ、そうなんだ。不審者の存在は偶然だし、大事にならなかったのはあの人達が言葉だけで帰ってくれたおかげでもあるのに…」

「それでも感謝してる、って事ですよきっと」

「それもそっか…うん、それなら私も気兼ねなく食べられるかな」

 

無理言って来ている(と考える)のと、ウェルカムな中来ているのとでは箸(フォークだけど)の進み方が全然違う。そして今回が後者である事に一安心した私は、心のままにケーキやら果物やらをお皿に乗せて至福のスイーツタイムを……

 

「…ねぇちょっと」

「むぅ?」

 

丁度ケーキを口に運んだところで話しかけられた私。誰だろう…と思って声がした方を向くと、そこにはチョコフォンデュを手にしたロムちゃんラムちゃんがいた。

 

「…お、おはなしが…あります」

「お話?……あ、このプチシュー欲しいの?」

「ちがうわよ、プチシューはさっき食べたもん」

「そうじゃなくて…まじめな、おはなし…」

 

普段二人は私に話しかけてくる事なんて殆どないし、私も女神候補生全員に話をする事はあっても二人に限定して話をする機会はあんまりなかったから、まずは「お皿の上の物についてかな?」なんて思った私だけど……どうやらそうじゃないみたい。

 

「そっか…真面目なお話って?」

「…リーンボックスでやることおわったら、もう四つのくに全部まわったことになるのよね?」

「うん、厳密に言うとプラネテューヌでは活動してないけど…プラネテューヌは旅に出る前から色々やってたからね。四ヶ国を回る旅はここが最後だよ」

「じゃあ…おねえちゃんたち、たすけに行く…?」

「それは…えーっと、ね……」

 

ロムちゃんとラムちゃん、二人の双眸が私を見上げる。その問いからは、その瞳からは、姉との…ブランとの日々を早く取り戻したいという思いがひしひしと伝わってくる。

二人は、本当に真剣だった。それはもう、きっと最初は話しながら食べようと思っていたであろうチョコフォンデュの存在も忘れてしまう位には。二人に忘れられたチョコフォンデュは、たらりとマシュマロから棒へとそのチョコを伸ばし、そのまま二人のちっちゃな手へ──

 

「って、二人共チョコ垂れてる垂れてる!一回置くか食べるかしようか!じゃないと手がべとべとになっちゃうよ!?」

「わわっ!?ぼうまでフォンデュになってる!?」

「手べとべと、やだ…!」

 

私の声で気付いた二人は慌ててチョコフォンデュを口に放り込み、その後棒をお皿へと手放した。……せ、セーフ…。

 

「もう、二人共持ってる物忘れちゃ駄目だよ?」

「う、うん…それで、どうなの?」

「……うん、えっとね…勿論、次の大きな目標はブラン達の救出だよ。けど…まだ、すぐ助けに行く訳じゃないの」

「…そう、なんだ……」

 

ネプギア以外の候補生にも協力してもらえる様になって、シェアも犯罪組織台頭前にはまだ劣るものの、ある程度の回復が出来た。……はっきり言って、奪還に最低限必要な戦力にはもう達しているというのが今の状況。だけど、まだ奪還の前にすべき事も待つ事もあると私は思っている。だって、守護女神四人を奪還すればそれで万事解決…とはいかないから。

 

「……ごめんね、二人共」

 

幾ら女神候補生と言っても、二人はまだまだ子供。二人にとってそれは望んでいない回答だったんだろうな…と思った私は、深く考えず二人に謝ってしまう。でも……それは、私が二人の事をよく分かっていない事の証明でしかなかった。

 

「…ごめんって、何がよ?」

「え……?」

「わたしたち、何もいやなことされてないわよ?むしろ安心した位だし」

「うん。すぐじゃないなら、安心…」

「え?え?」

 

怪訝そうな表情を浮かべるラムちゃんと、安堵の声を漏らしたロムちゃん。私は二人が不満そうな様子になるんじゃないかと思っていたから…つい、身を乗り出して訊き返してしまった。

 

「……それ、本心…?」

「……?…うん…」

「…二人は、早く助け出したいから訊きに来たんじゃないの?」

「はぁ?わたしたちはいつ行くかききに来ただけよ?あんまり短いと、もっとつよくなれないもの」

「強く……?」

 

予想とは違う反応が続いて動揺する私へ、二人は何を言ってるんだろう…みたいな顔付きのまま言葉を返してくる。

 

「そうよ、だってたすけに行ってもかえりうちになったら台無しでしょ?」

「つよくなれば、おねえちゃんをたすけられるかのうせい…上がるから」

「……っ…そっ、か…うん、そりゃそうだ…そうだよね…」

『……?』

 

仮にまたネプテューヌ達の元へ行けても、返り討ちになるようじゃ意味がない。強くなれば、障害の排除も上手くいくから助けられる可能性が上がる。それは当たり前の事で、誰だって分かる事。……なのに、私は二人がそれも分からない程子供だって勝手に思っていた。

 

(…いや、違う…私は二人を過小評価してたんじゃなくて…それが過去のものだって事に、気付いてなかったんだね…)

 

ロムちゃんもラムちゃんも、ネプギアやユニとの触れ合いによって変わった。それが今まで持っていなかったものを得たのか、封じ込めていたものを再び手にしたのかは分からないけど…間違いなく、変わっていた。……それを気付きもしないで、候補生達を導こうなんて…自分の至らなさを思い知らされるね。

 

「…二人共、私に師事するつもりはある?」

「しじ?…えっと、じゃあジュース取ってきて」

「そっちじゃないそっちじゃない…私が特訓相手になってあげようか、って事」

「…イリゼ、さんは…魔法、つかえるの…?」

「ううん、確かに魔法の先生役は出来ないけど…敵役なら出来るよ?」

「…それは悪いはなしじゃなさそうね。イリゼはおねえちゃんがみとめるじつりょくだし、相手にとって不足なしかも」

「うん…動かないまとより、すばやいまとの方が…くんれんに、なる…」

(あ……私は師匠とか先生ポジとしては見られてないんだ…)

 

二人が向上心豊富なのは大変良い事だけど……私を『ブランが認める実力者』って思ってくれてるなら、もうちょっと目上の人として扱ってくれないかなぁ…。

 

「…まぁ、今はいっか。訓練となれば本気で相手するから、二人も頑張るんだよ?」

「…くんれんの時は、こわくなる…?」

「うーん……少なくともネプギアとユニにそういう感じの事を言われた経験はないかな」

「なら…えと、よろしくおねがいします(ぺこり)」

「ふふん、わたしたちのコンビネーション、イリゼにやぶれるかしら?」

「ならそのコンビネーション、楽しみにさせてもらうね。それじゃ話はこの位にしようか、折角のスイーツバイキングなんだしさ」

 

私がそういうと、二人はスイーツが並んでいるテーブルに向かって走っていった。ほんとに二人はいつも元気一杯。

 

「スイーツは逃げないんだから、走らないでー…って言っても、二人の耳には届いてないかなぁ…」

「届いてないでしょうね。物理的じゃなくて、認識的に」

「だよね……ってわぁぁ!?ゆ、ユニいつの間に!?」

「あ……す、すいません。来たのは今さっきです…」

 

独り言にまさかの返答が来てビビる私。丁度ロムちゃんラムちゃんと入れ違いになる形で私の所に来ていたらしい。わ、私に気付かれずこの距離にまで来るなんて…まぁ、殺気や敵意があったら本能的に気付いてただろうけど。

 

「そ、そう…次からは視界に一度入ってから言ってくれると嬉しいかな…」

「気を付けます…それで、二人と何を話してたんですか?」

「リーンボックスでの活動が終わったらすぐ姉を助けに行くのか、って質問されたからそれに答えてたんだよ。後半は違う話になってたけどね」

「…すぐ助けに行くんですか?」

 

ぴくり、と眉を動かした後ユニは、二人と同じ問いを口にする。当然私は二人に話したのと同じ内容を答え、ユニはそれを頷きながら聞いてくれた。お分かりの通り、ユニは冷静に『まだすぐ助けに行く訳じゃない』…という事を受け止めている。

 

「……分かりました。功を焦れば隙が生じる…って事ですね」

「それもあるし、助けたからって犯罪組織が消える訳じゃないからね。…ユニは今すぐにでも助けに行きたい?」

「…気持ち的には、勿論そうですね。けど、それは軽率な行為だって分かってますから」

 

ユニは、私達がラステイションに来る前からずっと冷静に、犯罪組織に対して現実的な対処を行なっていた。生まれてからの時間は他の三人と変わらない筈なのに、ここまで大人なのは生まれ持った性格なのか、ノワールの教えの結果なのか……何れにせよ、私はユニが理性的なおかげで色々と助かっている。これが自分の感情を上手く出せない…とかなら問題だけど、候補生同士で話してるところを見る限り、その心配はなさそうだしね。

 

「…でも、助けるってなったら一気呵成に進めるから準備は万端にしておいてね?」

「勿論です。……それで、なんですけど…一つ訊いてもいいですか?」

 

さっきの双子と同じ様に、真剣な表情でそういうユニに私は頷く。……一瞬、ユニにもプチシューが欲しいの?と訊いてみようかと思ったけど、なんかそうしたらユニからの信頼がちょっと落ちそうだったから止めた。…まだまだ私は適切なボケを思い付く能力も、物怖じせずボケる度胸も足りないみたい…。

 

「…どうぞ」

「はい。…前から気になってたんですけど…やはり、もう少し犯罪組織に対しては厳しく対処した方がいいんじゃないですか?」

「…ユニは、厳しく対処した方がいいと思ってるの?」

「はい。…あ、いや一緒に旅して『やっぱりネプギアの思想は甘過ぎる』って思ったとかじゃないですよ?」

 

ネプギアの甘さは短所ですけど、短所と長所は表裏一体ですからね、とユニは付け加える。

 

「個人とか、その場その場のレベルじゃなくて、もっと大局的に見ると…その……」

「…規制や制裁が緩いから、犯罪組織をのさばらせてしまってる…って事?」

「ストレートに言えば、そうですね。そりゃ、厳し過ぎる規制や制裁は第三者やライトな支持層からも批判されるんでしょうけど…」

 

あくまでアタシの個人的な考えですよ?…というニュアンスを込めたユニの意見は、特に間違ってはいない。それどころかむしろごもっともと言える考えで、実際法や民意に添う形で犯罪組織の取り締まりを強化する術は確かにある。でも…今はそれをしていない。出来るけど、していない。

 

「…犯罪組織は大きい上に一筋縄じゃいかない相手だからね。半端に取り締まったところで捕まえられるのはきっと末端の人間ばかりになるだろうし、本格的に動けない以上いたちごっこにしかならないのが関の山なんだよ」

「そうかもですけど、何もしないよりは意味があるんじゃ…」

「何もしないのも意味があるんだよ。…ユニなら、分かるんじゃないかな?」

「…何もしない、意味…?」

 

何もやらないよりはいい…というのは色々な場面、色々な創作で使われる言葉だけど、それはいつでも通用する言葉じゃない。どんな事だろうとやろうとすればその分の時間を消費する事となるし、スタミナを消費する事にだってなる。もし何か組織を動かすなら資金やら設備を使わなきゃいけない事にだってなる。時間、なんてのは言い出したらキリがないけど……世の中何にも消費せずに何かを進める事なんて不可能なんだから。それに…何もしないのは、何も選択しなかったんじゃなくて、動かないという選択を取ったとも言える。

 

「……力の温存、犯罪組織の油断を誘う…後は、チャンスを待つ…とかですか…?」

「そう、ざっくり言えばそういう事だよ。…今教会は、犯罪組織を壊滅させる為の準備を、策を着々と進めてる。決して日和ってる訳でも対応を後回しにしてる訳でもなくて、規制や制裁が緩いのも理由があるの。だから、大丈夫」

「…なら、教会はアタシ達にも詳しく教えてくれればいいのに…」

「余計な事で頭悩ませなくて済む様に…っていう配慮だよ、それは。私だって詳しい部分はイストワールさん達に任せてるから、策の全容を知ってる訳じゃないし」

「よ、余計な事って…でも、そういう事だったんですね。それなら納得です」

 

私の説明は悉く細かい部分が抜け落ちているけど…それでもユニは納得してくれた。それは多分、今の緩い対処にもきちんと理由があると私が説明したから。ユニの不安が私の言葉で撤回されたから。…ほんと、ユニの理解の良さは姉譲りだね。

 

「…ユニ。ロムちゃんラムちゃんは勿論、ネプギアも少し感情に流され易い部分があるから、これからもストッパー役を頼むよ?」

「任せて下さい。ガンナーは味方の動きを見れるのが長所の一つですからね」

 

そう言ってユニは得意げな表情を浮かべて、私の所から去っていった。ユニの持つお皿はもう空になってたから、双子同様またスイーツを取りに行ったんだと思う。

 

「……珍しく、候補生四人と立て続けに話したなぁ…」

 

長らくお皿の上で待機していたプチシューを口に運びながら、ふと考える。ネプギアは住んでいる場所が同じだから、これまでにも色んな事を話したし人となりもよく知っている。そのネプギアと比較すると…多少は仕方ないとはいえ、やっぱりユニ、ロムちゃん、ラムちゃんと接する機会が少なかったんだよね、私。……三人は、私をどこまで信頼してくれてるんだろう…。

 

「……って、今それを考えてたらスイーツバイキング終わっちゃうか」

 

それを考えるのも大切だけど……折角のスイーツバイキングなんだから、甘いものを堪能するのも大切。そう思って私は立ち上がり、新たなスイーツを取りにいくのだった。さてと、二人の持ってたチョコフォンデュ美味しそうだったし、私も貰いに行こうかな〜。

 

「えー、申し訳ありませんが、現時点をもってチョコフォンデュは終了しました。バイキングはまだ時間がありますので、皆様は今暫くご堪能を」

 

────嘘ぉ…。

 

 

 

 

「いい?今すぐではないとはいえ、お姉様を助けに行くのは貴女達なの。油断も慢心も厳禁よ?」

『は、はい……』

 

リーンボックスでの活動も終わりとなり、出発の時となった。…チカさん、見送りしてくれるのは嬉しいですけど…ネプギア達が気圧されてますよ…。

 

「まぁ、あまり気負わないで下され。女神とは常に余裕を持って優雅であればこそ、ですぞ」

「いい事を言うね、イヴォワール。そう、胸も女性が優雅な立ち居振る舞いをすればする程魅力を増すというものさ」

「だが同時に、優雅な立ち居振る舞いでなければ魅力が減るという訳でもない。胸の魅力の発揮方法は、一つではないのだ」

「あぁ、そうだね兄者」

「あんた等は何をしにここにいるのよ…」

 

チカさんの他にも、イヴォワールさんと兄弟の二人も見送りに来てくれた。……けど、イヴォワールさんはともかく兄弟の二人は…ほんとに、何しに来たんだろう…後珍しく男の人が多い…。

 

「え、えっと…取り敢えず、皆さんお世話になりましたです」

「…どっちかって言うと、お世話になったのはアタクシ達だけどね」

「そ、そんな事ないですよ。というかわたし達がした事は、全部女神として当たり前の事ですから」

「そうそう、ひとだすけをしてこそ女神よね」

「それに、アタシ達も色々助けられたもんね。そういえば、ケイブはいないの?」

「呼んだかしら?」

「あ、いた!…ってあれ?」

 

REDの声に反応したのは、いつの間にか来ていたケイブ本人。来てくれたんだ、と思ってそちらを向くと……何故か、そこには5pb.さんもいた。

 

「あ、えっと…お、おはようございます…」

「おはようございます…何故5pb.さんがここに?」

「それは、その…」

「…5pb.、私から言ってもいいけど…」

「…ううん、ちゃんとボク自身で言うよ。…すぅ、はぁ…」

 

どういう訳かもじもじとしている5pb.さん。それを気にしてケイブが何かを代弁しようとしたけど…5pb.さんは首を横に振る。そして、私達が何の事だろうと気にする中……

 

「ぼ、ボクも皆さんに協力させて下さいっ!」

『……へ?』

 

……パーティー加入の申請を口にした。…し、シンガーさんが何故…?

 

「えと、5pb.さん…理由を教えてもらえますか?流石に今の言葉だけじゃ何とも…」

「…ボクは、リーンボックスの為に…ベール様不在のリーンボックスを守る為に歌ってたんです。でも、頑張っても現状維持がやっとで……ボク自身も、行き詰まりを感じながらも『ただのシンガーがこれだけ出来れば上等だよね』って心のどこかで妥協してたんです。でも…」

「…でも?」

「あの日、ボクはネプギアさん達の歌う姿を見ました。あの時はボクも出演しなきゃだったから、考える余裕はなかったけど…それでも、凄いって思ったんです。殆ど即興状態なのに請け負って、役目を完遂して、その上であれだけの声援を…本職じゃないのにあれだけ人の心を動かした皆さんの姿に感動したんです。……シンガーとして、ちょっと嫉妬しちゃう位には」

「し、嫉妬なんて…」

「そうですよ、あれはまぐれですって」

「まぐれでも、人の心を動かした事には変わりないよ」

 

ネプギアとユニが謙遜するけど、5pb.さんは首を横に振る。最初はケイブの陰に隠れていた彼女は、話していく中で少しずつ身体を陰から出し、口ぶりもしっかりしたものに変わっていった。

 

「…きっと、皆さんがあんなに輝いていたのは、妥協なんてせずに、よりよい結果を目指してたからです。ボクにはそう思えました。だから……ボクも、リーンボックスの為に…もっと多くの人へ、世界中の人へ、妥協無しに歌を届けたいんです」

「…それは素晴らしい事だと思います。でも、私達の旅は…」

「大丈夫です、ボクも少しは戦えますから」

「…ケイブ、そうなの?」

「えぇ、かなり独特な戦い方だけど…足手まといにはならないと思うわ」

 

ケイブがそういうなら、戦闘能力的な問題はないと思うし、思いをこうも熱弁されたら無下には出来ない。そうなると後は、皆の意見だけど……皆の顔を見たら、わざわざ訊くまでもない事は明白だった。だから、私は皆を代表して……告げる。

 

「…分かりました、そういう事なら……宜しくね、5pb.」

「は…はい!こちらこそ宜しくお願いします!」

「良かったわね、5pb.。それじゃ、私も気を引き締め直して今後とも協力させてもらうわ」

「うん。…って、私も?」

「えぇ、そうですよね?」

「うちには候補生がいないから、その代わりの同行者…という事よ。リーンボックスの面子的な問題もあるから、貴女達は特命課に迷惑が…なんて思わなくていいわ」

 

…という事で、5pb.の加入とほぼ同時にケイブの同行続行も決定した。……あ、という事は遂に今回のパーティーも二桁に?

 

「…賑わいが更に大きくなりそうだなぁ…」

「辛気臭いよりはいいんじゃない?…っていうか、5pb.は事務所的な問題はないの?事務所に所属しているのかどうかは知らないけど…」

「あ、それに関しては各国不定期ツアーって事になってるので…」

「そ、それが理由として成り立つんですね…芸能人凄いです…」

「あはは…さて、じゃあ行こうか」

 

二人共同行の準備は出来てる…という事で、私達は出発。チカさんにイヴォワールさん、兄弟の二人に見送られながら私達は次の目的地へと向かう。

遂に揃った女神候補生。前回の旅より速いペースで突破した、パーティーメンバー二桁の壁。そうして確かにパーティーとしての賑やかさを増した私達は、リーンボックスを後にするのだった。




今回のパロディ解説

・「〜〜わたしたちのコンビネーション、イリゼにやぶれるかしら?」
ポケットモンスターシリーズに登場する双子、フウとランの台詞の一つのパロディ。ロムとラムなら名前的に、ゼクロムとレシラムを使ってきそうですね。

・〜〜女神とは常に、余裕を持って優雅であればこそ〜〜
Fateシリーズに登場する家系、遠坂家の家訓のパロディ。ベールはこの台詞似合いそうな気がしますね。趣味方面は優雅どころか完全に俗物的って感じですが。
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