超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第七十話 守護女神の帰還

大地を疾駆する二機のMG。パイロットに合わせた徹底的なチューンを施された双方の機体は、搭乗者の技術に加えて挙動をより滑らか且つ柔軟なものとするBMRシステムの支援も受け、機械とは思えない程機敏な動きを見せながら激突する。ラステイションと犯罪組織のエース同士による戦闘は、殺し合いでありながらもその動きによって演舞の様な魅力を放っていた。

 

「ちぃ……!」

「ぐぅ……!」

 

重剣と戦斧を介した機体の激突によって生じた衝撃に顔をしかめるシュゼットとアズナ=ルブ。ラァエルフには衝撃の拡散と吸収機構が存在しているとはいえそれにも限界はあり、高速で衝突する両者の機体はその衝撃を殺しきれずにいた。

 

(野郎、陸戦でT型に追従してくんのかよ…!)

 

弾かれる様に後退した両者は同時に重機関砲を発砲。それをスラスター移動で互いに避けた二機はそのままスラスターを吹かし、再び接近からの近接格闘を仕掛ける。

T型装備群はホバーシステムを始めとする各種装備を運用する事を目的とした装備だが、それ抜きにも陸戦…地上での戦闘をF型装備群よりも優位に進める為の仕様が施されている。対するアズラエル…改造型ラァエルフはあくまでF型の延長戦上にある機体であり、技術水準に大きな差がない以上陸戦を行うならば機体性能ではラァエルフ・トゥオートが一歩勝る。しかし現状では互角であり…その事実がシュゼットに不快感をもたらしていた。

 

「随分とうちの機体を乗りこなしてるじゃねぇか!テメェもしや、軍か技術屋の関係者か!?」

「…………」

「返答無しか…ま、俺が分からねぇって事は、少なくともうちのMG部隊にゃいなかったんだろうな!」

 

重剣での刺突を、機体を半身にする事で避けたアズラエルはそのままの動きで上段斬り。それをシュゼットはそのまま自機を加速させる事で半身になったアズラエルとすれ違う様にして避け、即座に振り向いて重剣を叩きつける。

対するアズナ=ルブはこちらもすぐに振り返ると同時にシールドをスライドさせる事で重剣を正面から受け、直後に引く事でシュゼット機の体勢を崩しつつ重機関砲の連射をかけた。しかし四脚形態でホバーを起動していたシュゼット機はアズナ=ルブが思っていた程は前のめりにならず、射撃も滑る様な機動で避けられてしまう。

 

(…っぶねぇ…にしても、この動き…まさかBMRシステムのリミッターを弄ってんのか…?)

 

ホバーの機動力を活かし動き回りながらシュゼット機は射撃を行うが、アズラエルは最小限の動きで弾丸を避けシュゼット機の後を追う。その動きはあまりにも無駄がなく……操縦桿とその周囲の機材だけではとても実現出来るものではない。改造によって別物レベルの機体となった訳ではなく、パイロットも人間であるならば…BMRシステムの出力上限を上げ、操縦能力と範囲を拡張している以外にあり得ない、とシュゼットは結論付けた。本来なら安全を確保出来る域までにリミッターがかけられている、BMRシステムが理由であると。

 

「隊長!わたしが援護を…」

「要らん!っつーより止めとけ!」

「下手に援護したところで邪魔になるだけ、ってこった。こっちはオレ等が相手するんで頼みますよ隊長!」

「おうよ、任せときな!」

 

ホバーを切って通常形態に戻るシュゼット機。止まったと見るやアズラエルはロケットランチャーを抜いて射撃を撃ち込むが、それをシュゼット機は頭部機銃で迎撃。続いて真上に跳躍し、上方から弾幕射撃を浴びせていく。

 

「上に跳ぶか…」

「そぉら、シールドだって受け続けりゃ壊れちまうぜ?」

 

脚部と背部のスラスターを噴射し滞空するシュゼット機は、重剣をラックライフルに持ち替え重機関砲の反動で機体を揺らしながらも射撃を続行。それを初めはシールドで防御していたアズラエルだったが…反動で射角がズレた瞬間、スラスター全開で飛翔した。

アズラエルは一気に距離を詰める。重機関砲からラックライフルに切り替え放たれた射撃を鋭くも滑らかな動きで避け切り、左右合わせて二発のみ頭部機銃を発射する。だが、その弾丸が向かうのは……シュゼット機とは全く違う、明後日の方向。

 

「んな……ッ!?」

「その反射神経の良さが仇となったな…!」

 

実力や経験の低い人間は無意識に情報を取捨選択し、不要と判断したものは認識出来なくなるものだが、逆に実力のある人間は余裕がある為に多くの情報を取り入れてしまう。その性質を逆手に取ったのが、アズナ=ルブの策だった。

ほんの僅かに意識を弾丸へと奪われたシュゼットは、その隙にラックライフルを持つ機体の右腕部を蹴りで弾かれる。そして振り上げられるアズラエルの戦斧。ベースであるキラーマシンの重戦斧に比べれば軽いそれも片手武器としては十分な威力を持っており、防御の間に合わないシュゼットはそのまま胴体部を斬られるか左腕部や重機関砲を犠牲するかの二択を迫られる。……そう、アズナ=ルブは思っていた。

 

「……へっ、だよなぁ…空中機動なら自分に分があるって思うよなぁッ!」

「な…貴様……ッ!」

「悪いが俺は…追い詰められると燃え上がるタイプなんだよッ!」

 

戦斧が振るわれるその瞬間……シュゼット機はアズラエルへと突進した。アズラエルが間近に迫るこの状況では最早、正面以外のどの方向へ向かおうと戦斧の攻撃範囲から逃れる事は不可能だったが…唯一正面だけは距離の縮む速度が増す為にアズナ=ルブの目算は大いに狂い、戦斧が届くよりも先に双方の機体は衝突した。

一気に高度の下がっていく二機のMG。そのまま地面に激突すればどちらの機体も相当な被害となる事は明白だったが、落下の勢いに邪魔されアズナ=ルブはシュゼット機を振り払えず、シュゼットもまた早期に離れればその瞬間攻撃を受けると分かっている為に離れない。

いつ離れるか、相手が離れる瞬間はいつなのか。危険を察知しアラートがけたたましく鳴る中シュゼットとアズナ=ルブが行なっているのは……そんな駆け引きだった。

 

「……ッ!」

「……──!」

 

シュゼット機が離れたのは、離脱が不可能になるか否かが決まる、本当に境目ギリギリの瞬間。半ば転がる様に右へとシュゼット機は離れ、アズラエルもシュゼット機が動いたのとほぼ同時にスラスターを吹かしこちらも右へと転がっていく。

二機の落下とスラスターの噴射によって捲き上る砂煙。双方奥歯を噛み締めながら揺れる機体を立ち上がらせ、視界不良の中センサーを頼りに敵機を捕捉し…跳ぶ。

跳躍と同時に吹かしたスラスターの噴射により晴れる視界。その中でラックライフルのブレードによる斬り上げを狙うシュゼット機と、戦斧による袈裟懸けを仕掛けるアズラエル。両者が相手を視認した時には既にお互いを武器の届く範囲に捉えており、ブレードと戦斧が唸りを上げて敵へと走る。己が刃が敵を斬るか、敵の刃が自機を斬るか。数瞬先には分かるその攻防に全神経を集中させ、そして……

 

 

 

 

──その刹那、アズラエルの眼前を重粒子の光が駆け抜けた。

 

「何……ッ!?」

「……!そこだぁぁぁぁッ!」

 

駆け抜けた光芒によって僅かに緩んだアズラエルの動き。無論その横槍はシュゼットにとっても想定外のものであり、驚きはしたが…それでもやはり、立ち直りは彼の方が一瞬早い。時間にすれば一秒にも満たないその一瞬も、エース同士の戦いにおいては莫大な意味を持つのであり……その一瞬の間でシュゼット機の重剣が、アズラエルの戦斧を弾き飛ばした。

 

「ぐっ……!」

 

牽制の頭部機銃を連射し後退するアズラエル。その牽制はシュゼット機へ向けてのものだが勿論先のビームはシュゼット機から放たれたものではなく、一撃、また一撃と同様の射撃がアズラエルへと撃ち込まれる。

 

(この出力に口径…資料にあったロングレンジタイプか?…だとしたら……)

 

功を焦ればチャンスは即座にピンチへ変わる。そう考え深追いはせずに操縦桿を握り直したシュゼットは、アズラエルを警戒しつつも視線をビームの発生源へと移す。そうして目にしたのは……

 

「…へっ、やっぱりか……援護感謝するぜ、メイジンさんよ」

 

背部と外膝部に大小計四基のコンテナを備えた、新たな装備のラァエルフだった。

 

「感謝など不要だ、少佐。奴は元々私が取り逃がした機体なのだからな」

「逃げ切る前に追い付いてるんだから取り逃がしたとは違うんじゃねぇか?…まぁそれはともかく…お前がここに来たっつー事は、特務隊はここに増援として入るのか?」

「いや、特務隊としては別の部隊の追撃に当たっている。奴の追撃は…私個人の意思だ!」

 

シュゼット機やアズラエルにも劣らぬ推力で一気に距離を詰めた、特務隊のラァエルフ。メイジン、とシュゼットから呼ばれた彼は背部のコンテナへ大型の重粒子砲を格納すると同時に両膝部のコンテナから素のラックライフルを引き抜き、二丁拳銃を彷彿とさせる構えでアズラエルへと迫っていく。

ラステイション国防軍MG部隊の中で独立した立場を有する特務隊。その中でもトップの実力を持ち、試作装備の運用を任されたのが彼…特務隊長、メイジン・タカナシだった。

 

「ちぃ…まさか追い付いてくるとは…!」

「悪いが、私は諦めるのが好きではないものでな…!」

 

二丁のラックライフルによる射撃をアズナ=ルブは捌きつつ、散発的に重機関砲での反撃を狙う。威力、射程、連射性の全てにおいて重機関砲はラックライフルを上回るがその分反動は大きく、取り回しもサイズ故に劣っている。よって単純な比較では距離が開けば重機関砲が、縮まればラックライフルが有利になるのであり……今は、ラックライフルが有利となる距離だった。

全くありがたくない乱入を受け、アズナ=ルブは思考を巡らせる。今しがた現れた敵機はこの戦場での部隊長に引けを取らぬ実力者であり、現段階でも五分五分な以上一対二となれば勝ち目はほぼない。そしてもし仮に自爆覚悟の特攻を仕掛け、相討ちに持ち込んだとしても、所詮相手は一軍人。その相手を倒したところで、一体どこまで今の流れに影響を及ぼせるだろうか。

 

(…私とて、おいそれと命を捨てるつもりはない…ならば、この辺りが引き際か…)

 

鋭角的な機動で攻め立てるメイジンに加え、シュゼットもまた機体を高機動形態へと可変させアズラエルの背後に回り込む。その動きから二人がまだまだ継戦可能である事を、続いてモニターに表示されている火器の残弾を確認したアズナ=ルブは……決断する。

 

「各員!既に大勢は決した!もしまだ体制への反抗心があるならば、女神に異を唱える覚悟があるのならば、退け!」

 

通信を味方に限定し、アズナ=ルブは声を上げる。射撃を回避し、近接格闘を防ぎながら自陣に撤退を呼びかける。

 

「あ、あんたは…退くってそりゃないですよ!ここまで戦ったんです、最後まで一矢報いてやらなきゃ気が済みません!」

「一矢報いて、気が済んだところでどうなる!今退くのに徹すれば、多少なりとも組織としての力は残る!そうなればまだ、逆転の可能性は失われない!君達の望みはここで女神でもない者に蹂躙される事なのか?違うだろう!」

「だとしても、今の戦力では…」

「ならば無人機とモンスターを盾にするのだ!殿は私が務める、さぁ行け!」

「……っ…退くぞ!アタイに続け!」

「え…いや、この車両運転してるのはリンダさんじゃなくて俺…」

「うっせェ!いいから行くぞ!」

 

アズナ=ルブの呼びかけに不満を持つ者もいた。しかし敗走には慣れている代理指揮官リンダがその呼びかけに同意し動いた事で構成員は皆撤退を開始する。それに気付いたMG部隊は撤退阻止に動こうとするが……

 

「そうはさせんさ…!」

「ちっ、厄介な事を…無理に敵陣突破はしようとするなよ!横に並んだキラーマシンに突っ込みゃビームで即座にお陀仏だからな!」

 

交戦で多くの数を失ったキラーマシン。しかしまだ一応の隊列を組めるだけの機数は残っており…シュゼットの言う通り、胸部重粒子砲による一斉射撃は強力な制圧射撃と化していた。

その動きを受け、MG部隊は左右に散開。中でもメイジン機はすぐに右腕部の武装をラックライフルからロングレンジタイプとは別の重粒子砲に持ち替え、キラーマシンの頭部を撃ち抜く体勢を取ったが、先程の邪魔と言わんばかりにアズラエルから放たれたロケット弾が襲いかかる。

 

「さぁ、今暫く見せてもらおうか。ラステイションが誇る新型装備の性能とやらを」

 

キラーマシン隊の中心に立ち、重機関砲とロケットランチャーを持つ機体の腕部を左右に広げてMG部隊を見据えるアズナ=ルブ。最早戦術的にも戦略的にも敗色濃厚な戦況であったが……彼の目は、まだ死んではいない。

 

 

 

 

『女神様方の帰還に、敬礼っ!』

 

往路と同じく帰路も特に問題は起きず、無事プラネテューヌへと戻った私達。開いた扉へ我先にとネプテューヌが走り、外へと出た瞬間……出迎えの職員さん達が道を作る様に並び、一斉に敬礼のポーズを取った。

 

「……何これ、すっごいデジャヴなんだけど…」

「おー!わたし達の帰還に何かしらあるとは思ってたけど、これはわたしもびっくりだよ!いやー、気分は正に神聖ブリタニア帝国第九十九代皇帝だね!」

「それもデジャヴだよ…パロディ含めてこれは第六十一話でやったネタだって…」

「え、そなの?」

 

人数的に乗り切れないからと陸路で戻った皆が天丼を狙って吹き込んだのか、それとも思考がちょっと似通っていたのか。とにかくネプテューヌ達は概ね驚いた様子を見せていたけど、ギョウカイ墓場突入前に似た様な光景を見たメンバーにとっては「えぇー……また…?」…って感想しか出てこなかった。

 

「よく分からないけど、歓迎されてるんだからいいじゃない。ほら、さっさと降りましょ」

「あ、うん…」

 

ノワールに促され、ネプテューヌに続いて降りる私。その後も公務とはちょっと違うという事で皆は順不同で降りていって、律儀に敬礼を続けてくれている職員さん達の間を通ってプラネタワーの中へ。

 

「たっだいまー!プラネタワーの皆ー!我らが女神、ねぷねぷ様が帰ってきたよー!」

「お、お姉ちゃんテンション高いね…」

「そりゃ当たり前だよ、久し振りに帰ってこられたんだもん。あ、そうそう皆!わたし達を助ける時のネプギアは凄かったんだよ?ほら褒めてあげて褒めてあげてー!」

「えぇっ!?そ、そんな事されても恥ずかしいよ…」

「…ほんっとにテンション高いわね、ねぷ子は…」

『あはははは……』

 

きゃっきゃと嬉しそうに騒ぐネプテューヌを見て、私達は苦笑い。元々ネプテューヌはハイテンションガールではあるけど…ここまでテンションが高い事なんて滅多にない。それこそあるとすれば、限定高級プリンを手に入れたり何らかの事情で仕事をしなくて済んだり人数の多さ故に中々集まらない私達パーティーが集合出来たりした時位……って、あれ?…案外そういう機会多い…?

…と、そこで私達が集合したり帰還したりすると気を見計らってやってきてくれる教祖、イストワールさんが今回もまた姿を現す。

 

「……お帰りなさい、ネプテューヌさん。お帰りなさい、皆さん」

「あ、いーすんただいまー!…あれ?いーすん絵文字は?わたしが居ない間にイメチェンしたの?」

「ね、ネプテューヌさんは変わってませんね…一言目位絵文字無しで…と思っていましたが、そういう事なら……お帰りなさい、皆さん\(^o^)/」

「…ふっ、イストワールも守護女神の帰還は喜ばしい様だな」

 

いつもの語尾について触れられたイストワールさんが選んだのは、笑顔で両手を挙げてる絵文字。それについて私達の中では一番イストワールさんと交流のあったマジェコンヌさんが軽くからかうと、イストワールさんは少しだけ恥ずかしそうな表情を浮かべた。

 

「こ、こほん。わたしの絵文字の事はどうでもいいんです。…ギョウカイ墓場で起こった事については通信機で聞きましたが、改めて…守護女神の皆さん、お身体は大丈夫ですか?(´・ω・)」

「えぇ。治癒魔法のおかげで一応は大丈夫よ」

「私もよ。けど暫くは休ませてほしいわね。流石に少し寝た程度じゃ回復しきれないわ」

「治療もしっかりと受け直さなければいけませんわね」

「わたしは怪我関係なしに休みた「それならば安心です、ネプギアさん達もご苦労様でしたm(_ _)m」ちょっ!?わたしは!?わたしはスルーなの!?」

「いえ、ネプテューヌさんは見るからに元気そうでしたので…(ー ー;)」

 

ここ最近イストワールさんがいる時の話は真面目な雰囲気が強かったけど…ネプテューヌがいる今は、ご覧の通り。…ほんと、ネプテューヌはボケとギャグの申し子だよね…。

 

「でしょ?前作前々作に比べてギャグの少ないOPも、わたしにかかればギャグの溢れる明るい作品になるのだ!」

「うん、確かに地の文読みとメタ発言のダブルアタックをいとも簡単に入れてくるネプテューヌは流石だよ…」

「なんかよくわからないけど…すごい…!」

「…ラムちゃん、わたしもよくわからないけど…あれば多分、あこがれちゃだめ…」

「そうよラム。あの方向性で進んだら最後、立派な女神にはなれなくなるわ」

「そうそう…ってそれは酷くない!?ブランだけじゃなくロムちゃんまで言うの!?」

「…がっつりdisられたな、ネプテューヌよ」

 

女神候補生の中で唯一姉でもあるロムちゃんにまで言われて流石にちょっとショックな様子のネプテューヌ。けれどネプテューヌがボケまくるのと同じように、しれっとネプテューヌを弄っていくのも私達パーティーの様式美。何ならその懐かしさに少し微笑んでしまう私達だった。

 

「それで、この後はどうするですか?ナースのわたしとしては、ねぷねぷ達にかけた治癒魔法が切れる前にすぐ治療を受けてほしいですけど…」

「あ、それにはアタシも賛成です。お姉ちゃん達余裕そうな顔してますけど、絶対本当は疲れきってる筈ですから」

「ユニ、貴女……」

「…そうですね。わたしも個人としてはそれに賛成します。……ですが…ネプテューヌさん達守護女神とイリゼさんには、まだやって頂かなければいけない事があります」

 

私とネプテューヌ達を案じてコンパとユニ、それに皆が私達に治療と休養を勧めてくれる。……でも、私は分かっていた。イストワールさん達と共に作戦の立案を行った私は…この戦いの勝利を完全なものとする為の、最後の仕上げが残っているって。

 

「…皆さん。現在各国の軍と有志が犯罪組織壊滅の為戦闘中なのは知っていますか?」

「それは機内で聞きましたわ」

「ならば説明は不要ですね。…皆さんには、これから帰還の表明と戦っている方々への鼓舞を行なってもらいたいのです」

「…それは、ここでかしら?」

「はい。機材は既に整っています。…正しくは突入前に行った機材をそのままにしておいた、ですが…」

 

ブランの質問に答えるイストワールさんは、先程からもう絵文字がなくなっている。さっきはそこを指摘したネプテューヌも、イストワールさんの真剣さを感じ取って茶化したりはしない。

 

「…ねぇいーすん、それってわたし達が出ていくのは駄目なのかな?帰ってきたよー、って言うだけより実際姿を見せて一緒に戦った方が効果は大きくない?」

「それはその通りだと思います。しかし、ネプギアさん達を含め今の女神の皆さんは戦えますか?万が一にもやられてしまった場合は味方にとってはマイナス、犯罪組織にとってはプラスの結果となってしまいますし…何より、戦闘中に治癒魔法が切れた時はどうするおつもりで?」

「あ、そっか……」

「…分かった、私は引き受けるわ。国民達が頑張っているなら、女神の私が休む訳にはいかないもの」

 

少しだけ考えて、ノワールがまず了承。それに続いてネプテューヌベールブランも頷いて、残るは私だけという形に。そうなれば当然、視線は私に集まっていく。

 

「…イリゼさんも、それで宜しいですか?」

「勿論です。立案まで関わった作戦を投げ出すつもりなんてありませんから」

「では、皆さんお願いします。それと、着替えが終わりましたらこちらを」

『……?』

 

そう言って示されたのは、一本のボトル。一瞬何なのか分からな買ったけど…そのボトルのラベルを見て気付く。

 

「え、これって……ワインですか?」

「そうです。これを放送中治癒魔法が切れた際の保険として飲んでおいて下さい」

「ワインが保険?…いーすんさん、それは一体…」

「あぁ…アルコールで痛覚が麻痺して気分が高揚していれば、多少の痛みは無視出来る…という事ですわね」

「もし放送中、わたし達が苦しみだしたら聞いている者は不安になる…そういう事ね、イストワール」

「…すいません、無理をさせる手段を強要してしまって」

「気にしなくていいんだよ、いーすん。確かに提案したのはいーすんだけど…やるって決めたのはわたし達だもん。そうでしょ?皆」

 

イストワールさんに優しい声をかけたネプテューヌは、くるんと回って私達の方を向く。やっと帰還出来たところなのに…なんて感情を欠片も感じさせない、ネプテューヌの顔。そんなネプテューヌの言葉を受けた私達は……皆揃って、しっかりと頷いた。

 

「それじゃ、帰還後一発目のお仕事、皆頑張ろー!」

「あら、ネプテューヌが仕事頑張ろうなんて珍しい事言うわね。治癒魔法で頭も良くなったのかしら」

「ふふっ。まあこれは早ければ早い程国民も安心しますし、早く着替えると致しましょう」

「着替えといえば、他にも服はあるのかしら…流石に血でベタつく服をまた着るのは勘弁なのだけど…」

 

先導するイストワールさんに続いて歩くネプテューヌ達。私もその後を追いつつ、放送にて言う内容を考える。……この戦争は、私達が私達の意思で起こしたものなんだから…女神として言うべき事、伝えるべき事はきちんと言わなきゃ。

 

(…それに、私達の為に戦ってくれてる事への感謝も言いたいし、ね)

 

数分後、用意された部屋へと到着した私達はそこへと入り、女神化してドレス姿に。そうして私達は……女神としての言葉を伝える為、放送機材のある場所へと向かうのだった。




今回のパロディ解説

・「〜〜見せてもらおうか〜〜性能とやらを」
機動戦士ガンダムに登場するキャラの一人、シャア・アズナブルの代名詞的台詞の一つのパロディ。この戦闘、人も機体もロボ(ガンダム)作品パロだらけなんですよね。

・神聖ブリタニア帝国第九十九代皇帝
コードギアス 反逆のルルーシュの主人公、ルルーシュ・ランペルージのR2終盤での地位の事。作中でもいいましたが、第六十一話の天丼ネタを行ってみました。
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