超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress 作:シモツキ
ネプギア達が立ち去ってから数十秒。去る直前にネプギアから壮絶な勘違いをされた私達はネプテューヌ同様かなり冷や汗をかいたけど…それも落ち着き今はしみじみとした雰囲気になっていた。
「機内はまだ状況聞くので手一杯でしたし、その後は倒れてしまいましたし…久し振りに皆とゆっくり話せましたわね」
「えぇ。皆が元気そうで安心したわ」
「私もよ。…入院中の私達が心配する、ってのも変な話だけど」
私も皆も一週間振りの再会、って意味では同じだけど…それ以前は毎日の様に一緒にいた私と、救出された後少し話しただけでそれより前は随分と長い間離れ離れだった皆とじゃやっぱり感じ方に大きな違いがあって、特に妹のいる三人はかなり感慨深い様子だった。
「最初の戦いの時は、まだまだわたしが守ってあげなきゃいけない妹って感じだったのに…随分しっかりした子になっちゃったなぁ…」
「うちは元々しっかりしてたけど…でもやっぱり、前とは芯の強さが変わってる気がするわ。…成長、したのよね」
「…ありがとう、イリゼ。わたしの…わたし達の妹が成長出来たのは、貴女のおかげよ」
「え……わ、私…?」
女神候補生の四人が成長したというのを近くで見てきてよく知っている私は、その言葉にうんうんと頷いて……そこで突然お礼を言われて驚いた。あ、あれ?今そういう流れだっけ…?
「何驚いた顔してるのよ。貴女が女神としてユニ達を導いてくれたからこその成長なんだから、私達が感謝するのは当たり前でしょ?」
「いや、それは…確かに私は色々教えたけど、成長はあくまで四人のやる気と努力あっての事だよ?」
「でもイリゼが先生をしてあげた事には変わりないでしょ?」
「それだって、あの戦闘がなければそれまで通り皆が教えてただろうし…」
「…イリゼ、三人は姉として純粋に感謝しているのですから、謙遜せず受け取ってあげてはどうでして?その方がお互い気分がいいと思いますわよ?」
「…そうだね…うん。でも、やっぱり一番は皆が頑張ったからの成長であって、私はそのお手伝いをしただけって事は覚えておいてあげて。皆の為に、さ」
『それは分かってるから大丈夫』
「その反応はないんじゃないかな!?そこはもう少し私に優しくしてくれてもいいんじゃないかな!?」
衝撃的な返答をされた私。この三人ほんとに私に感謝してるの!?…という視線をベールに向けてみたら、ベールは苦笑いしていた。……いや分かってるよ、これがうちのパーティーにおけるネタの一つだって。これも私達にとってはじゃれ合いの一種だって。…けど分かってたって、言われた瞬間は「はぁ!?」って思うよね…。
「さて、それじゃあ次は何して遊ぶ?」
「…ネプテューヌ、この後教祖さん達が来るって話もう忘れたの?」
「あ、そうだっけ。……じゃ、お休みなさーい」
『…………』
「…ねぷぅ…ねぷぅ……」
「…イリゼ、ネプギアは今後も貴女が指導してあげた方がいいんじゃないかしら」
「そうね。前も言ったけどネプテューヌに任せたらネプギアの将来が心配よ」
「い、いや冗談だよ…わたし野比家の息子じゃないんだからここまで早くは眠れないって…」
この後また人が来る以上本格的に遊ぶ訳にはいかず(コンパにも怒られたし…)、寝るのは論外という事で私達は雑談を続行。そうして十数分程した頃、病室の扉がノックされた。
「皆さん、失礼しますね(・ω・)ノ」
「あ、この声はいーすんだね。いらっしゃ「お姉様ぁぁぁぁぁぁっ!!」……おぉぅ…」
「え、ちょっ…きゃあっ!?」
開いた扉から現れたのはイストワールさん……と思いきや、一番最初に入ってきたのはチカさんだった。言葉を遮られたネプテューヌが軽く呆れる中、なんとチカさんはベールの下へと飛び込んでいく。
「お姉様お姉様お姉様!お姉様、お会いしたかったですわっ!」
「うっ……わ、わたくしも…会いたかったですわ…」
「本当ですか!?う、うぅぅ…あ、アタクシ…またこうしてお姉様と会えて、感無量ですわ……」
「そ、そうですの…うぐっ……」
飛び込みそのまま抱き着いてきたチカさんを、ベールは呻きながらも受け止める。私も皆に抱き着いたしその気持ちは分かるけど……チカさん、上見てあげて下さい…ベールが「き、傷が…治りきってない骨が…」みたいな顔してますよ…(因みにこの時、ネプテューヌは似た様な経験でもしたのか凄い同情的な顔をしていた)。
「…ご無事で何よりです、ブラン様」
「わたしがいない間ルウィーを守ってくれてありがとう、ミナ。……ハンカチ、必要かしら?」
「い、いえ…持っていますので大丈夫です…」
「元気そうじゃないか、流石は女神だね」
「当然よ。……ユニや皆ともだけど、貴女ともまた会えて良かったわ、ケイ」
「珍しい事を言うものだね。…でも、僕もだよ。……お帰り、ノワール」
差し出されたブランの手を握った後眼鏡を外して涙を拭くミナさんに、一見普段通り…に見えるけどほんの少し頬が緩んで嬉しそうな表情を浮かべているケイさん。帰還時に会ってるイストワールさんは三人よりも落ち着いていたけど、それでもネプテューヌや私達が元気だった事に安心してくれているように見える。これまでチカさん以外私達の前では平然としていた教祖さん達だけど……やっぱり四人も、私達と思いは同じだったんですね。
「皆さん、わたし達の前にネプギアさん達がいらっしゃったと思いますが、ゆっくりお話出来ましたか?(´∀`)」
「出来ましたよ。ネプテューヌ達も楽しそうでしたし」
「それは良かったです。皆さん…特に女神候補生の四人はまだまだ子供ながら姉を助けたい一心でここまで頑張ってきたんです、これからもお見舞いに来たら優しくしてあげて下さいね(^∇^)」
「はーい、でもその心配は要らないよ?わたし達だってまだまだいっぱい話したいんだもん」
「……わたくしには関係の薄い話ですわね…はぁ…」
「お、お姉様にはアタクシがいますわ!もう毎日来ますので、目一杯アタクシと話して下さいまし!」
「いや、それでは連日リーンボックスが女神も教祖も不在という状況になってしまうのですけど…」
教祖四人の目的は仕事関連…とは聞いていたけど、四人だって守護女神を大切に思う人達の一人。だから暫くの間会話の内容はネプギア達の時と同じような雑談で、本題に入るのはその数十分後だった。……その間ちょっとだけ私は疎外感があったけど…仕方ないよね。私は国を持ってないし、久し振りの再会って訳でもないんだし。
「さて…雑談はこの位にしようか。本題を疎かにする訳にはいかないからね」
「…そうね…お姉様、宜しいですか?」
「構いませんわ。先程ブランも言いましたけど、これからは前のように日々話せるんですもの」
「それでは、本題をば。まずは皆さんが幽閉されてから今に至るまでの経緯ですね。社会情勢や政治的動向をまとめた書類を用意しましたので、そちらに目を通して頂けますか?(´・ω・)」
「……ねぇいーすん、わたし眠くなってきちゃった」
「勉強出来ない子供ですか…イリゼさん、イリゼさんには暫く不要な説明が続くので、その間ネプテューヌさんが寝ないよう隣で突っついてあげて下さい(-_-;)」
「お任せを。よいしょ、っと…」
イストワールさんから頼まれた私はベットから車椅子に移動し(一応一人で移動出来るんだけど、教祖さん達が手伝ってくれた。…イストワールさんはふとした拍子に潰れちゃいそうだから遠慮したけど)、ネプテューヌのベットの隣へ。現在ネプテューヌはとんでもなく嫌そうな顔で書類を見ている。
「うー…入院中の人にこんな物を読ませるなんて…」
「国の長が何言ってるの…守護女神として知っておかなきゃ不味いって事は分かってるでしょ?」
「そうだけどさぁ…イリゼ、読み聞かせしてくれない?出来れば昔話風で且つハートフルな感じに」
「無理だし嫌だよ。そんなのむしろ昔話をエキサイティングにしちゃうネプテューヌの領分だし」
「むむ…仕事に関してイリゼは厳しい……」
恨めしそうな視線をネプテューヌは向けてくるけど…そこで仕方ないなぁ、と目を瞑ってあげる私じゃない。……けど、迅速に進める為には何かしらしてあげた方がいいのも事実。…うーん……。
「…よし、じゃあクイズ形式にしよう」
「クイズ形式?」
「うん、きちんと知っとくべき部分を三択にするからネプテューヌは答えて。それならただ読み込むよりはやる気出るでしょ?」
「三択かぁ…まあ提案までしてくれたんだし、ちょっとは頑張ろうかな」
学びにおいてやる気を出してもらうには、学びたいと思ってもらうか楽しいと思ってもらうかするのが手っ取り早い。と、言う訳で後者を狙ってクイズを提案したんだけど……まさかネプギア達への指導の知識が、姉のネプテューヌに対しても役立つなんて…。
「こほん。じゃあまずざっくりしたところから…四人が捕まってから…というか犯罪組織が台頭して以降、電子機器産業の経済成長はどうなったでしょう?」
「えと、三択だよね?じゃあ上がった、下がった、変わらなかったのどれかって事?」
「そうだよ、さぁどれでしょう?」
「うーん……ボケられそうな問題でもないし、ここは機嫌取りの為に正解しておこっかな。下がったんだよね?」
「発言の内容が大変引っかかるけど……正解、流石にこれは問題にするまでもなかったかな」
違法ツールマジェコンの登場で、従来の電子機器は軒並み向かい風を受ける結果となった。幸いマジェコンはコピーや改造が売りのツールだから最先端技術が持ち味のプラネテューヌは比較的被害が少なかったんだけどね…と私は補足を入れる。…幸い、って言ったって信次元全体で見れば何にも幸いじゃないんだけどさ。
「じゃ、次。犯罪組織が勢力拡大する中で各教会が取った行動は次の内なんでしょう。1、犯罪組織に対する禁止令を取った。2、調査をしつつ暫くは手を出さなかっ「2!」早っ!?これ早押しクイズじゃないよ!?…正解してるけどさ!」
「あ、2で正解だったんだ…これはわたしの幸運さが成した技だね」
皆を待たせちゃいけないと即二問目を出したところ、ネプテューヌはややトリッキーなボケを突っ込んできた。しかも正解してきた。……まだ二問目で、可能性の域を出ないけど…
(…もしかしてネプテューヌ、やる気無い様に見せて実は真面目に考えてる…?)
いやいやそんな馬鹿な…と一瞬思ったけど、すぐにその発想の切り捨てを踏み留まる。思い返してみれば、ネプテューヌは不真面目だけど相手が真剣な時にはおふざけを早々に切り上げて真面目に話を聞いてくれるし、国や国民を大切にする気持ちは他の三人にも負けていない。…だとすれば、今回の事も真面目に考えてたっておかしくはないのかもしれない。始め嫌そうだったのはその『早々に切り上げる最初のおふざけ』だったのかもしれないし、ひょっとすると始めから真面目にするのはキャラ的に恥ずかしい…って思ってたのかもしれない……そう、今の私は思っていた。
「…これは、私もしっかり選択肢考えないとだね。えー…教会はネプテューヌ達の救出と犯罪組織の撲滅を目的とした作戦を、いくつかのフェイズに分けて計画しました。そのフェイズ数は4、5、6の内いくつでしょう?」
「いくつか?…うーん、ちょっと待ってね…すぐ答え言っちゃ駄目だよ?」
「いいよいいよ、ちゃんと考えて」
「わたし達を実際に助けるのが、多分一つのフェイズだよね…で、旅もフェイズの内の一つで……」
指折り数えて正解を導き出そうとするネプテューヌ。その様子はネプテューヌのあどけない容姿と相まる事で頑張って考えてる感が増し、自然と私もその姿に期待してしまう。そして考える事十数秒。私が見つめる中ネプテューヌはぱぁっと表情を輝かせ、すっと左手を上へと挙げる。
「…ふっ、遂に導き出せたよ」
「うん、だと思ったよ」
「…イリゼ、フェイズがいくつあると思ってるの?」
「う、うん?それは私が訊いた質問…」
「……35億」
「はい!?」
ネプテューヌが口にしたのは、三つの中にないどころかどう考えたってあり得ない桁の数字。更にネプテューヌは余裕綽々な表情を浮かべ、その瞬間私の抱いていた期待は一気に疑惑へと転化していく。ま、まさか…まさかネプテューヌ……
「ガーディアン!」
「え……ゔぃ、ヴィーナス…?」
「パープルねぷ子!and O!」
「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
頭を抱えて叫ぶ私。皆が唖然とする中、私は数分前の私を猛烈に責める。何が「実は真面目に考えてる…?」だよ!この子普通にふざけたよ!?考えてたのは正答じゃなくてパロディだったよ!?下手すると三番落ちすら狙ってたよ!?あーもう…物事を好意的に捉えてばっかりも問題だね!
「…イリゼ?」
「……次大ボケ挟んだら頬のガーゼ引っぺがすから…」
「怖っ!いきなり怖っ!でも小ボケなら許してくれるという節を入れる辺り優しっ!」
普段なら止める事も視野に入れる(というかそれを口にする)けど、クイズを提案したのは私なんだから一応の責任は持たなきゃいけない。…って考えるところも私は駄目なのかなぁ…と思いつつ、ちょっとげんなりしながらクイズを進める。すると脅しが効いたのか、私の心情に気付いてくれたのか、その後ネプテューヌは時折小ボケを挟む位に留めてくれて、何とか私は重要な情報を全て伝える事が出来た。…『くれて』って表現は何か違う気もするけど……。
「……やっと終わった…」
「お、お疲れ様イリゼ。後で私のチョコレートあげるわ…」
「じゃあわたしはリラックス出来るエッセイを…」
「確か気が休まる紅茶があった筈…」
「み、皆……」
書類をネプテューヌに渡し、手の甲を目元に当てて上を向いていると、ノワールベールブランが物凄く気を遣ってくれた。それを受けちらりと周りを見て見ると、イストワールさんは「分かります、その気持ち分かります…」と言いたげに頷いていて、他の教祖三人も目線で私にお疲れ、と言ってくれている感じがする。……ほんと、何なんだろうねこの状況…。
「…な、なんかごめんねイリゼ…」
「謝る位なら徹頭徹尾真面目にやってくれないかな…」
「その場合わたしがわたしじゃなくなっちゃうんだけど…」
「それは確かに…って危なっ!?なんか今普通に認めかけちゃったよ!?…ネプテューヌめ……」
「いやいや今のは狙ってないよ!?わたしの素直な意見だよ!?」
「素直な意見が罠になるって滅茶苦茶タチ悪いじゃん…もういいや、イストワールさんお待たせしました…」
「あ…はい。ネプテューヌさん、わざわざイリゼさんが手伝ってくれたんですから、今後の話もちゃんと聞いて下さいね?( ̄^ ̄)」
「はーい」
とっくに書類へ目を通し終えた三人に追い付く事で、やっと本題が再開。書類の内容への補足とその周辺情報を説明する形で話は進んでいって、途中ラステイションでのMG強奪やルウィーでの施設制圧作戦などの軍事的な出来事も入ってくるイストワールさんの説明。そうしてそれが一通り終わった後は、各国での個別の話となった。
「…という事で、マジェコンはやはりルウィーが一番流布されてしまった様です。現在は犯罪組織のテロ認定と崩壊によって多数は破棄されていると思いますが、完全撲滅まではもう暫くかかると見た方がよいかもしれません」
「そう…工場の方は?多数生産されているなら、生産工場もある筈よね?」
「えぇ、既に何ヶ所からは押さえております。…が……」
「今押さえた工場で全て、とは断定出来ないという事ね。分かったわ、ミナ」
「まだ憶測の域を出ないけど、ユニの聞いた情報通りならマジェコンの生産はブレイブ・ザ・ハードが主導している可能性が高い。その事は頭に入れておいてもらえるかな?」
ネプテューヌ達四人の質問も交えながら、説明は続く。もしここで話を聞いてるのが女神候補生だったらロムちゃんラムちゃんはぽかーんとしてしまっているだろうし、ネプギアやユニも説明の説明が必要になった可能性が高い。でも行政の中心である守護女神四人組にはそんな事一切無くて、不安だったネプテューヌもしっかりと説明を理解している様子。そのおかげで説明は滞りなく進み、話は最後の…一番重要で、一番知っておかなきゃいけない部分へ近付く。
「これからは対犯罪組織、から対犯罪組織『残党』という形になりますが、そちらの細かな部分は皆さんが退院して以降に詰めていく事とします。今のペースならば退院もそう遠くないらしいですし、皆さんの場合あまり話すと責任を感じてその身体で活動してしまうかもしれませんからね(-_-)」
「はは…言われちゃったね皆」
「これについてはイリゼさんもですよ?」
「う……ですよね…」
「退院までの間はアタクシ達がきっちりやりますから、お姉様はきっちり休んで下さいね?」
「え、えぇ…(その言葉を信じていいものかしら…チカは優秀とはいえ、さっき毎日来ると言ってましたし…)」
戦力を大きく減らしたであろう犯罪組織が大規模な反撃を起こす可能性は低く、四天王も今は立て直しに奔走している筈。仮に動いたとしても今のネプギア達なら撃退するだけの力は十分にある…そう判断して教祖の四人は話を詰めるのを後に回したんだと思う。
そして、その話も済んだところで教祖さん達は一度目を合わせ、今日一番の真剣そうな表情を見せる。
「……では、最後…犯罪組織壊滅作戦に関しての事です」
「あれ?その話はさっきしなかったっけ?というかいーすんが話してくれたよね?」
「はい。ですがお話ししたのは概要と各国での成果、事後処理内容に費用等の事で、最も必要な事はまだ言っていませんから」
「最も必要な事?」
「……この戦いにおける死傷者数、です」
『……っ…』
目を伏せ、低く静かなトーンでイストワールさんは言った。それを受けて、守護女神の四人はそれが身内の事であるかの様に、苦しそうに眉をひそめた。
死傷者数。死んでしまった人と、怪我してしまった人の数。…それが、知っておかなくてもいい話な訳がない。
「……心の準備は、宜しいですか?」
「…えぇ、構いませんわ」
「…イリゼさんも、宜しいですね?」
「大丈夫です。作戦を立案した時点で、その覚悟はしていましたから」
「分かりました。……まず負傷者数ですが、重傷者は768人で、内232人が軍人や有志の方。軽傷者は正確な数字が出せないので推定になりますが…犯罪組織側も含めて1000人を超える可能性が高いです」
『…………』
「……そして、死者数は…593人、内106人がこちら側です。これは作戦当日及び昨日までの残党討伐で確認された人数なので、今後増える可能性は十分にあると思っていて下さい」
……聴き終えた私達は、誰一人言葉を返せなかった。すぐに言葉を返す気には、なれなかった。
分かっていた。一人も死なずに済む訳がないって。人と人との戦争なら、その規模に比例して大怪我を負ったり死んだりしてしまう人が出てきてしまうって。…全部、分かっていた。分かっていて、進めた。だから……
「…報告ありがとうございます、イストワールさん。出来れば軍人と有志それぞれの数、各国別の死傷者数もまとめて書類にして頂けますか?この事は出来るだけ詳しく知っておくべきだと思いますから」
「え?…あ、はい…分かりました…」
「それと、出来る限り私の慰安訪問を計画しておいて下さい。多少ならオーバーワークになっても構いませんので」
「……イリゼ…?」
死傷者数の事を飲み込み、後の事を考える私。…そんな私は、皆から驚きと戸惑いの混じった視線を受けていた。隣にいるネプテューヌは、それに加えて私を心配しているような声音で呼んでくる。
別に、死傷者の事をどうでもいいと思ってる訳じゃない。どうでもいいなんて、これっぽっちも思ってない。……ただ、私は…死傷者が出るって分かってたから、覚悟を決めていただけ。
「……皆、これは私達がきちんと直視して、理解して、受け入れなきゃいけない事だよ。必要な事だったとしても、作戦に一切関わっていなかったとしても、見なくていい理由にはならないんだから。…これは、この戦いで傷付いた人達は、ネプテューヌを、ノワールを、ベールを、ブランを助ける為に傷付いた人達だから。イストワールさんと、ケイさんと、チカさんと、ミナさんと……何より、私の立案し実行に移した作戦の中で死んでいった人達だから。……言うまでもない事だと思うけど、これは忘れないで」
「……イリゼ…大丈夫、なの…?」
「大丈夫、って?」
「いや、だって…さっきいーすんも言ったじゃん、わたし達は責任感じて云々って…」
「…あぁ、その事なら大丈夫だよ」
責任を感じて、無理に背負い込んでいるんじゃないか。…ネプテューヌが言いたいのは、きっとそういう事。それならば、問題ない。…そんな事を、問題にしちゃいけない。……だって…
「──私は、この作戦の代表者だよ?…全部受け止めて、その上でこれまで通り…ううん、これまで以上に女神として振る舞う決意は、とっくにしてあるよ。……だから心配しないで。私は、大丈夫だから」
そう、この事を後悔なんてしちゃいけない。やらなきゃよかったなんて思う事は、死傷した人達の頑張りを否定する事だから。嘆いてなんていられない。それで留まっていたら死傷した人達の努力に報いない事だから。……私は、女神の力を失った存在ではなく、最近取り戻した存在でもなく、今のゲイムギョウ界を守護する女神で在らなきゃいけない。国がなくても、守護者でいなければならない。それが……
────戦争を先導した者の、責務だから。
今回のパロディ解説
・のび太君
ドラえもんシリーズの主人公、野比のび太の事。彼は寝るまでに一秒かからないんですよね。…というか、パロディなので解説はしましたが…皆知ってる可能性高いですね。
・昔話をエキサイティングにしちゃう
原作シリーズのドラマCDの内の一つ、ネプテューヌとロムが姉妹だったら…のネタのパロディ。ネプテューヌなら書類ですら面白おかしく改変出来る…かもしれません。
・35億、「ガーディアン!」「〜〜ヴィーナス…?」「パープルねぷ子!and O!」
お笑い芸人、ブルゾンちえみさんの代名詞ネタのパロディ。二人という事で、withではなくandにしてみました。勿論二人は服脱いだりしてませんよ?