双極の理創造   作:シモツキ

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第百九話 本当に守りたいのは

時間が経つにつれ、後悔ばかりが募っていった。もっと他に言い方があったんじゃないか、もっと冷静に話すべきだったんじゃないか、そうすればこうはならなかったんじゃないか…考えるつもりなんざないのに、勝手に出てきて思考を占領していく。

 

「……でも、俺だって好きで怒鳴った訳じゃねぇよ…二人があんな事しなきゃ、緋奈がもう少し俺の言葉を聞いてくれりゃ…」

 

呟きながら、双統殿の廊下を歩く。ここでやらなきゃいけない事なんてもうないが、今は真っ直ぐ帰る気にもなれない。

俺は後悔している。けどそれは言い方や態度に対してであって、主張には何も後悔していない。いやそもそも、後悔する要素がない。これは俺が貫きたい意思で、兄として貫かなきゃいけない意思でもあるのだから。

 

「…くそ、二人に顔合わせ辛ぇ……」

 

今は当てもなく廊下を彷徨っているが、いつまでもそうしている訳にはいかない。一瞬ここ、或いはどっかに泊まる事も考えたが…んな理由で外泊とか、子供かっつーの…。

そんな事を思いながら、やり切れない思いを抱えながら、歩く事数十分。気付けば俺は、何度か足を運んだ事のある場所に来ていた。

 

「……偶然も三度続けば必然…なんて言うが…なんか因果でもあんのか…?」

 

一瞬とはいえ負の感情全てが吹き飛ぶ程驚いた俺。何故かと言えば……ここはこれまでにも二度『偶然』訪れた場所で、今回もまた『偶然』だったから。

 

「…………」

 

とはいえ負の感情はすぐに戻ってくる。必然並みの偶然が起きた程度で完全に晴れる程、俺の精神は単純じゃない。……今回は、音が漏れてたりしなきゃ部屋の外に出てたりもしねぇのか…。

 

…………。

 

……………………。

 

 

 

 

「……何してんだ、俺…」

 

それから数十秒後。俺は、例の部屋の扉をノックしていた。何か用事があった訳じゃないのに、気軽に遊びに行く関係でもないのに、何故かトントンと。

 

「……どちら様…って、うわっ…」

「会って早々うわって…酷いなおい…」

 

ノックした以上は立ち去る事も出来ず待っていると、少ししてから扉が開いて部屋の主…篠夜が部屋から顔だけを出した。…で、俺を見るや否やご覧の反応である。

 

「誰だっていきなり変な奴に押し掛けられたらうわって位言うっての……それに、今回はあんた酷い顔してるし…」

「誰が変な奴だ失礼だな……てか、酷い顔…か…」

 

反応についてはともかく、言われて初めて自分が酷い顔をしている事に気付く。勿論鏡はここにないが……篠夜が嘘を吐いてるって事はないだろう。うわっ、を誤魔化したくて言ったんだとしたら、何故前半でストレートな発言をしたんだって話になるしな。

 

「病気?だったら良い葬儀屋紹介してあげるから、早く行くといいわ」

「勝手に殺すんじゃねぇよ、病気でもねぇし…ほんと性格ひん曲がってんな」

「あんたに言われたくはないわよ」

「別に俺じゃなくても誰かしらは言うと思うけどな」

「…うっさい、用事がないから帰ってくれる?」

 

ぎろり、と不愉快さに満ちた目で睨んでくる篠夜。その目を見て、今のは弄りを超えた単なる悪口になっていた事に気付く。…つっても、活字じゃ差が分からねぇよな。声音とか言い方とか、そういうのは表現し切れねぇし。

 

「…悪ぃ、今の言葉は訂正する」

「…どこまで?」

「誰かしらはって部分だ」

「あ、そ…」

 

幾ら先に煽ってきたのは篠夜とはいえ、だからといって悪口が正当化される訳じゃない。ましてや今の悪口は、篠夜本人への不満ってより俺の中の鬱屈した気分が作用したようなもので……って、そうか…俺今、篠夜に八つ当たりしてたんだな…。

 

「…………」

「…何?一応訂正は受け取ったけど、あたしは別にここに居ていいとは言ってないわよ?」

「そうかい、じゃ…ほら、一歩隣に移動したぞ」

「そんなピンポイントの話はしてないっての……ほんとに用がないならどっか行ってくれない?部屋の前に人が立ってちゃ気が休まらないんだけど」

「なら、用があるならいいのか?」

「……用事がある訳?」

「いやない」

「はぁぁ!?ほんとに何なのよあんた!前もその前もそうだったけど、今日は特に鬱陶しいわねッ!」

 

ぐわっとキレたかと思えば、乱暴に扉が閉められて会話終了。今日も今日とて、篠夜と俺は普通の会話を殆どしないのだった。

 

…………。

 

……………………。

 

………………………………。

 

「……待って、ほんとに…本当に何なの…?流石にそろそろ怖いから、何かあるなら言ってくれない…?」

 

何をするでもなく、ただ不動で部屋の前に立ち続けていたら、暫くした後また扉が開いて、篠夜が顔を出してきた。今度はちょっと、怯えた様子で。

 

「別に用事なんてねぇよ、本当に。…ただ……」

「…ただ?」

「…何でもねぇ、忘れろ」

「……はぁ…誰かと何かあった訳?」

「……っ!」

 

自分でもよく分からないが、何かを言いかけた俺。それを誤魔化そうとすると、篠夜は嘆息し……俺の顔を覗き込むようにして、そう言った。

 

「……何で分かった…」

「やっぱ何かあったのね…別に分かってた訳じゃないわ。ただ何かありそうだったから、それっぽい事言っただけ」

「…カマかけたのか……」

 

見抜かれたのか…と驚いた俺だったが、言われてみれば確かに篠夜の言葉は適当な占い並みに漠然としていて、何も具体性がない。要は『誰かと何か』という誰に訊いてもそれなりの確率で当たりそうなものを、勝手に俺が勘違いしただけであり……こんなのにも気付けない辺り、相当俺も参ってるんだな……。

 

「ふん、悩みがあるけど中々言い出せなくて、でもどうにもならないから他人の部屋の前で突っ立ってるなんて、あんたって案外小心者なのね」

「理由が分かった途端に態度デカくなりやがったな…さっきまでビビってたくせに」

「うっ…び、ビビってないわよ、警戒してただけ」

「へいへい……」

「…………」

「…………」

「……え、話さないの…?」

 

篠夜は相変わらずの生意気っぷりだが、三度目ともなれば流石に慣れる。おまけに今の俺は弄る気分でもない訳で、見栄を適当に流すと沈黙が訪れ……篠夜から驚き混じりにそう訊かれた。…話さないの?って……

 

「何故篠夜に話さなにゃならんのだ…」

「そ、それは……ならいいわよ話さなくたって。っていうかあたし、さっきからずっとあんたにどっか行ってほしいだけだし。しっしっ」

「俺は野良犬か…」

 

扉から顔しか出してない少女が「しっしっ」と追い払おうとするのは何とも不思議な光景だったが、そんなのほんとにどうでもいい事。

口振りから考えるに、動機はどうあれ篠夜は俺の悩みを聞く…というか、俺が話し始めるものだと思っていた様子。そんなつもりは無かったから俺はそれを否定した訳だが……じゃあこのまま立ち去ったとして、どうなるというのか。俺の中で燻る鬱屈した気持ちは、時間が解決してくれるのか?…んな訳はない。そんな軽い悩みじゃない。…だったら、俺は……。

 

「……俺が話したら、聞いてくれんのか?」

「へ?……まぁ、話したら帰るって条件だったら、聞いてあげてもいいけど?」

「そうか……まぁ、結局は家族間の、多分どこにでもある喧嘩の話なんだがな…」

 

そうして俺は、今日あった事と、今日の事に纏わるこれまでの事を篠夜に話した。流石に出来事全てをじゃないが、きちんと伝わる程度にはしっかりと。…篠夜はそれを、黙って聞いていた。一言も口を挟まず、聞く事に徹していた。

話しながら俺は、ふと思った。ノックしたり、部屋の前に突っ立っていたのは、誰かにこれを話したかったから…聞いてほしかったからなのかもしれないと。この階に来たのは偶然だと思うが……この二つは多分、無意識の行為。

 

「……んでムシャクシャしながら歩いてる内に、この階に辿り着いて…後は、知っての通りだ」

「ふぅ、ん……」

 

五分か、十分か、それ以上か。時計を見てないから何とも言えないが、それなりの時間俺は話していたと思う。その話を俺はここに辿り着いたという部分で締め括り…そこで篠夜も、声を発した。言葉だけなら淡白な、けれど含みを感じさせる声音で。

 

「…随分と過保護なのね、兄っていうか保護者じゃない」

「当たり前だ。両親はもういないんだからよ」

「え?…そうなの…?」

「ん?言ってなかったか?」

「初耳よ……ならごめん。今の発言が不愉快だったなら撤回するわ…」

「別に構わねぇよ。保護者って言われても不快じゃないしな」

 

例の如く、親がもう死んでると言うと大概はこんな流れになる。…言わなきゃ回避は出来るんだが、言わない場合ただのシスコンだと思われかねないんだよな…。

 

「そう…で、えーっと…男ってこういう場合、解決法を聞きたいんだっけ?」

「んぁ?…まぁ、良い解決法があるなら聞きたいが……」

「良いも何も、不味い言い方や態度を取った事なんて謝るしかないでしょ。そこに理由はあったとしても、正当性なんてないんだから」

「…それが出来るなら苦労はしない……」

「じゃ、電話かメールで謝れば?」

「…情けなくね?面と向かって言えないからって電話かメールだなんて……」

「だったら面と向かって言えっての…ちっ、やっぱあんた面倒臭い……」

 

見た目歳下の少女に舌打ちされて面倒臭いとも言われた俺だが、今回ばかりは何も言い返せない。…分かってんだよな…普通に謝るのが一番だって事も、俺がうだうだしてるって事も…。…けど、仕方ないじゃないか。頭で分かってたって、気持ちはそう簡単には変わらないんだから。それに……

 

「…確かに荒い言い方や態度をした事に、正当性はねぇよ。けど、俺だって好きであんな言い方した訳じゃねぇ……緋奈が分かってくれりゃ、一言で済んだ話だったんだ…」

「…そんな簡単な話じゃないでしょ、人と人の話し合いって」

「赤の他人ならな。でも俺と緋奈は兄妹だ。…これまでは、もっと分かってくれたんだよ…」

 

言い方や態度で後悔している俺だが、鬱屈した気持ちの根元にあるのは、緋奈の不理解に対する不満と疑問。何故分かってくれないんだって、緋奈に対してもぶつけた思い。

 

「…………」

「…やっぱ、分からないんだろうな。戦う事の辛さも、普通の生活の有り難みも、普通に慣れてると…」

「…そうね、結局人は自分の経験でしか語れないもの」

「だよな…でも俺は嫌なんだよ。緋奈に平和に…普通の生活で、普通に幸せを感じてほしいんだよ。なのになんで伝わらねぇんだよ…なんで分かって、くれないんだよ…」

「……ふん、ならもっと話してみればいいじゃない。あんたはそれを、自分の考えを疑ってないんでしょ?」

「…何だよ、その言い方……」

 

段々と俺は、自分の思いを吐露する形へと変わっていった。それに途中までは気付かなくて…気付いたのは、篠夜が棘のある言い方をした瞬間。何だと思って見てみると…いつの間にか篠夜は、不愉快そうな顔をしていた。

 

「何だよも何も、そこまで意思が決まってるならあたしに言う事なんてないもの。っていうか結局、あんたは意見や助言を求めてる訳じゃないでしょ?…最も、この話はあたしから切り出したようなものだけど」

「…そんな事はねぇよ。上手く理解してもらえる方法があるなら、俺はそれを是が非でも聞きたい」

「確かにそれはそうかもね。でもそれは過程、手段の話でしょ。結論ありきの相談に、一体何の意味があるっての」

「結論ありきって…当たり前じゃねぇかそんなのは。緋奈はこれまで通りに暮らす方がいいに決まってる。そこは譲れねぇし、そこを譲ったら誰も幸せになんてならねぇよ。だから……」

「あーはいはい、だからそのまま押し倒せばいいじゃない。それで幸せになれるんでしょ?」

「……っ…お前なぁ!篠夜にとっては赤の他人だろうがよ、俺にとっては大事な妹なんだよ!緋奈には幸せになってほしいんだよ!確かに話に乗ってくれた事には感謝してるが、そういう言い方される覚えは……」

 

嫌味っぽく、神経を逆撫でするような言い方に段々と怒りが再燃する俺。いつもならイラっとするだけで終わっていたであろうそれも、ムシャクシャした気持ちの前では火種同然。後から思えば情けないが、そんな篠夜の言動で遂に俺はキレて……

 

「──じゃあ、聞かせてよ。あんたの思う幸せが、妹さんの…緋奈さんにとっての幸せなの?緋奈さんの幸せは……あんたが決めるものなの?」

「……──っ!」

 

……俺は、言葉を失った。篠夜の、真っ直ぐな…それでいてどこか、悲しそうな瞳と言葉で。

 

「あんた、何度も何度も言ってたわね。普通に、平和に、幸せにって。その気持ちまで否定するつもりはないけど…それは緋奈さんから聞いた言葉なの?その思いを聞いて、あんたはなら…って霊装者の世界から遠ざけようとしていた訳?」

「…それは……」

 

言葉に詰まった俺へ、次なる問いが投げかけられる。けど俺は答えられない。また言葉に詰まってしまう。

 

「……やっぱりね。…押し付けじゃない、そんなのは。相手の気持ちも聞かないで、これが良いんだ、これが正しいんだって自分の考えを押し付けて、それを相手が受け入れないと間違ってるだの理解が足りないだの言って否定する。ああ言えばこう言う、って言葉あるでしょ?客観的に見ればその言葉を使った側も使われた側の人の言い分にどうこう言ってる癖に、それに気付かないから出てくる言葉。……それと同じなのよ、今のあんたは」

「……緋奈が理解してない、出来ない立場にあるのは事実だろ…篠夜は緋奈が分かってるって言いたいのか…?」

「そうじゃないわ。でも、理解してなくたってそれを理由に押し付けていい事にはならないし、家族は強制じゃなくて納得で決めるものでしょ?…ねぇ、あんた…あんたは本当に、妹の事を思ってるの?本当は…自分の中の不安や恐れを鎮めたいだけなんじゃないの?」

 

いつの間にか嫌味な雰囲気も消えていて、表情もまた悲しそうな篠夜。一方の俺は…愕然としていた。

そんな事はないと思いたい。自分が緋奈に選択を押し付けていたなんて、俺が不安を感じなくて済むよう緋奈を霊装者から遠ざけようとしていたなんて、考えたくもない。……だが、篠夜は勿論自分に対しても断言は出来なかった。…俺にとって緋奈は大切な妹であると同時に、俺が手に入れた『普通の幸せ』の象徴で、それが失われる事は本当に恐ろしいから。だから、意識的な面はなかったとしても…無自覚レベルでもしてなかったとは、言い切れない。

 

「…………」

「…また、酷い顔になってるわよ」

「誰のせいだと……いや、自分のせいだな…言われた事を否定し切れない、俺自身のせいだ…」

「……さっきも言ったけど、あんたの気持ちまで否定はしないわ。むしろ、妹思いの兄だって思ってる。…皆、そうなのよ。相手を心配する、大切に思う気持ちがあるから、自分が押し付けてるって事に、その中に自分の心を守ろうとする意思が混じってる事に、気付けないのよ……」

「篠夜……」

 

俺の心は、鬱屈したまま。だが今は、怒りや後悔よりも、罪悪感が募っている。

もしかしたら篠夜の指摘は、全くの的外れかもしれない。俺は押し付ける事なく、緋奈を大事に思う気持ちだけで言っていたのかもしれない。…けどそれは、『かもしれない』だ。普段からあんだけ緋奈の保護者面しておいて、兄として云々…と沢山言ってきて、それで緋奈から兄としての信頼を受けてきた俺が、断言出来ないなんざ……その時点で、本当に間違っていたのはどっちかなんてはっきりしている。

 

「……駄目だな、俺は…確かに思い返せば、俺は…全然、緋奈の気持ちを聞いてねぇじゃねぇか……」

「…じゃあ、やる事はもう決まってるんじゃない?少なくとも、関係ない相手と話してる場合じゃないでしょ?」

「…話してくれると、思うか?」

「さぁね。でも、あんたの話した事に嘘偽りがないなら…今からでも話してくれる位には、きっと信頼されてると思うわ」

 

自分は関係ない相手。…そう言いつつも篠夜は、俺の背中を押してくれた。思わず情けない事を言った俺を、嘲る事なく真剣に。……本当に、駄目だな俺は。だが…だったら尚更、これ以上ここでうじうじしてる訳にはいかねぇ。

 

「…世話かけたな、篠夜。面白くもない話に付き合わせちまったし、怒りもしちまって。…でも、助かった。感謝するよ」

「……別に…まぁ、でも…感謝してるって言うなら、これは貸しにしておいてあげる」

「あぁ、この借りはちゃんと返す」

 

目を逸らし、ほんの少し気恥ずかしそうにする篠夜の言葉に俺は首肯。仲が良い筈でもない俺へこれだけの事をしてくれた恩には必ず報いると心に決めながら、俺は廊下を歩き出す。

 

「……あ、そういえば…」

「ん?どうかしたか?」

「…いや、今はやっぱいい。別に急を要する事じゃないし」

「そうか……なら、次の機会にな」

 

そう言った後、「え、また来る気…?」とでも言われるかと思ったが、そんな言葉は一言も飛んでこなかった。…が、まぁこれに関しては『借りを返す』という約束があるからだろう。

俺はその場を後にする。目的地はまだ決まってない。それはこれから聞いて決める。

 

「……すぅ…はぁ…よし」

 

携帯を取り出し深呼吸。これは気持ちの切り替えであり、恥ずかしながら感じている緊張の緩和手段。…まさか、こんな事で緊張するなんて思っていなかった。だが、緊張するって事はそういう事なんだろう。……俺はまだ、人としても兄としてもまだまだなんだ。

 

(まずは謝るんだ。感情的に怒鳴った事を、俺の気持ちばっかり押し付けた事を。そして、それを許してくれるなら…緋奈の気持ちを聞いて、願いを受け止めて、それで二人で……いや、三人で決めるんだ。これから…どうしていくのかを)

 

俺は間違えた。兄として、家族として未熟だった。だが俺は、親父とお袋に育てられる中で教えてもらった。悪い事をしたら謝る事と、間違えた事はそのままにせず、ちゃんと次に繋げる事を。

それを実践するのが、今なんだ。家族に教えてもらった事を家族関係で役立てる…なんて何の因果か知らないが、もし両親がいつか兄妹喧嘩をする事を見越してそう教えてくれたのなら、俺の両親は本当に凄い人達だったと思う。……つってもまぁ、これは兄妹喧嘩に関わらず大概の事に言える教えなんだけどな。

──そんな事を考えながら、俺は家族へ…緋奈へと電話をかけた。

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