「顕人さん、一つお願いがあります」
「お願い?」
夏休みが明けてから、少し経った。毎日休みだった夏休みから、月から金まで学校のある日々に戻ると、どうしても最初の内は違和感のようなものを感じてしまう。
けれど今年は、あまりそれを感じなかった。…いや、正確に言えば感じていたけど…それ以上の違和感がまだ残っていたから、夏休み明けの違和感はあまり気にはならなかった。で、その違和感が何かと言えば…そんなのは、説明するまでもない。
「私、料理の手伝いがしたいんです」
「へぇ、手伝い……うん?」
夕方(と言ってもまだ外は明るいけど)、リビングにてラフィーネさんが黙々と体感型ゲームをする中で、フォリンさんはそんな事を言ってきた。その言葉に、早速「あれ?」と思う俺。
「…手伝いって普通、お願いされるものであってするものじゃなくない…?」
「でしょうね、手伝いは相手を助ける行為ですし」
「なら、どういう事?」
「それはですね…有り体、でしたっけ?…に言えば、料理の練習がしたいんです」
「あぁ、そういう…」
自分から手伝いを頼むなんて、普通に考えたらまずやらない事。それの意味が分からない俺だったけど、返答を受けてすぐに納得がいった。手伝いという形での練習をしたいのなら、頼み込むのも何らおかしい事ではないから。
「でも、ちょっと意外だよ。フォリンさんは料理を普通に出来るタイプかと思ってたし」
「全く出来ない訳ではありませんよ?…ただ、私がこれまでしてきた料理は素材を食べられるようにする事ばかりで、美味しくする料理は殆どしてきませんでしたから」
「そっか…そういう事なら構わないよ。俺としても、手伝ってくれるなら助かるからね」
例え野菜を切るだけ、食材を混ぜるだけだとしても、手伝ってくれる人がいるのはありがたい事。手伝ってくれる事自体が、気分的に嬉しいんだから。その思いで俺は頷き、今から作る予定だった料理を説明した。
勿論、頼みを受けた理由の中には、フォリンの話した『事情』に対する思いも含まれている。それは、可哀想だから許可してやろう、なんて傲慢な考えじゃない。ただ単に、フォリンさんのささやかな望みの力になれるのなら、俺は手を貸したいと思っただけ。
「じゃ、早速始めようか」
「はい。…あ、ラフィーネ。ラフィーネも一緒にやりますか?」
「…ん、いい。今、いいところだから」
「はは…ラフィーネさんならまぁ、そう言うよね…」
フォリンさんが声をかけると、ラフィーネさんはこちらを一瞥した後ふるふると首を横に振った。…こっちは完全にイメージ通りだなぁ…。
「まずは…っと、一番最初は食材の確認だね。途中で足りない物に気付いても、料理ってその場から離れられない事もある訳だし」
「何事も準備が大事、という事ですね」
説明を噛み砕いて復唱するフォリンさんに頷いて、夕食作りスタート。フォリンさんが手を洗っている間に包丁とまな板を用意し、その隣に野菜を配置。
「野菜を切る事は出来るよね?」
「えぇ、その位でしたら問題なく」
「なら、これお願いね。サイズは…食べ易い大きさなら、一つ一つの大きさが多少違っても大丈夫」
俺の指定に首肯し、フォリンさんは切り始める。自分で言った通り切る技術はしっかりしていて、俺が口を出す要素もなし。…と、思ったけど……ただ一点、日本人なら大概小中学校の家庭科で習うような事が出来ていなかった。
「…ストップ、フォリンさん」
「あ、はい。何か不味かったでしょうか…?」
「不味いっていうか…野菜に添える方の手は丸めた方がいいよ。所謂猫の手、ってやつなんだけど」
「猫の手…ですか…?」
伝わるかな?と思ってよく言われる表現を口にすると、フォリンさんはきょとんとしながら両手を軽く丸めて掲げ、何だかそのまま「にゃあ」と言いそうなポーズを取った。……あ、どうしよう可愛い…。
「……顕人さん?」
「…あ……こ、こほん。うん、手はそんな感じ。指を丸めて壁っぽくした方が、指を切っちゃう危険性が低い…って事だよ」
「了解です。しかし猫の手とは、顕人さんも可愛らしい例えをするんですね」
「い、いやこれは俺が考案した例えじゃないんだけどね…昔から言われてるやつだし…」
邪念を振り払い説明すると、すぐにフォリンさんは猫の手で再開。よく見たら、ただ切ってるだけでも絵になるなぁ…などと懲りもせずまた始まった変な思考を今度こそ止めて、俺も料理に取り掛かる。
「切ったのはこのボウルに入れておいてね。後分からない事があればすぐに言ってくれていいから」
「分かりました。…すみません、手伝いと言いつつ手間が増えてしまって…」
「気にしないでよ、これ位。教える手間を含めても分業出来る事の方が大きいし、そもそもそんなに手間でもないし」
言葉のやり取りをしつつも、俺は細切れ肉に薄力粉をまぶす。…そういや、俺もこっちに来たばかりの頃はちょいちょい母さんに電話して訊いてたなぁ…料理本やネットのレシピじゃ、説明はあってもこっちから質問が出来ない訳だし。
「切り終わりました。次はどうしますか?」
「お、速いね。じゃあピーマンも…と、言いたいところだけど……」
「……?」
「…うん、種取りもあるしピーマンは俺がやるよ。代わりにこの肉揉んでくれる?こんな感じでさ」
肉の揉み方を近くで見せて、フォリンさんと立ち位置交代。同時に「フォリンさんは料理の勉強がしたいんだから、出来るだけ色んな事をさせてあげた方がいいか…」と、完成までの流れを頭の中で練り直す。
「…種は、そのまま調理してはいけないんですか?」
「いや、そんな事はないよ。種とわたには栄養があるって話もあるし」
「では、何故?」
「まぁ、苦かったり見栄えだったりの問題だね。後確か、腐ってるかもしれないから安全の為に…ってのもあったと思う」
「……思う…?」
「はは、これは母さんとかネットの受け売りだよ。多少慣れてきたとはいえ、まだまだ俺も発展途上だからね」
そっか、手順や技術だけじゃなく知識も教えなきゃ料理の練習にならないよなぁ…と、話しながら気付く俺。同時にまだ未熟な自分が教えている事に若干のおかしさを感じつつも、ピーマンの種取りを進めていく。
野菜の準備が終わり、肉も程よく揉めたところで、料理は『切る』から『炒める』に移行。料理はここからが本番と言える。
「大事なのは炒める順番だよ。火の通り易さとか、食材に含まれてる水分とかを考えないと、片や生焼け片や黒焦げ…なんて内容になりかねないからね。…やってみる?」
「は、はい。……あの、タイマー用意していいですか?」
「タイマー?あぁ、別にそこまできっちりしなくても、時計見て大体で決めればOKだよ」
「順番はきっちりする必要がありながら、こちらは大体でいいんですか……?」
「いや、勿論適切な時間から十分十五分ズレる…とかは駄目だよ?でも逆に十秒十五秒じゃ速かろうと遅かろうと大した差にはならないから、『今○○分の所に長針があるから、△△分の所に行くまでかな』位の感覚でやっても大丈夫だって事。言い換えるなら、約何分…の『何』の部分が合っていれば問題ないって事だよ」
多くの人の例に漏れず、正確に時間を図ろうとしたフォリンさんは、分かったような分からないような顔をしながらも頷いてくれた。…まぁ、大体でも大丈夫って思えるようになるのは、結局のところ経験だからね。
「さて、と…ここからは並行でスープも作るよ。と言っても、スープはほんとに具材と調味料入れてかき混ぜるだけの簡単なものだけど」
「簡単に作れるのは良い事では?それで味や栄養に問題があるなら別ですけど」
「そうだね。っていうか、家庭料理なんて基本どう楽をするかだと思うよ。だってその道のプロでもなきゃ、お金取る訳でもないんだからさ」
そうこうしている内に、料理を始めてから数十分が経過。完成へと近付くにつれて、良い匂いもフライパンや鍋から立ち込め始める。
「後は……あぁそうそう、ご飯の炊き忘れに注意しようね。後は盛り付けるだけ、って時に気付いた時なんかもう……」
「…実体験なんですね」
「はは……」
「たっだいまー。顕人君、今日のご飯は…ってあれ?フォリン?」
「お帰りなさい、綾袮さん」
かかる時間の殆どが放置で済むが故に忘れ易い白米の危険性を話す中、今日も元気に綾袮さんが帰宅。早速フォリンさんが手伝いをしている事に気付いたようで目を丸くしていたけど、その後すぐ綾袮さんはラフィーネさんの…というか、ゲームの下へ行ってしまった。
「ラフィーネ、ご飯まで勝負だよ!」
「…望むところ」
「……普段の食器洗いもそうだけどさ、フォリンさんだけだよ…こうして自分から色々やってくれるのは…」
「いえいえ、料理も洗濯も顕人さんがやってくれているんですから、褒められるべきは顕人さん自身ですよ」
「…フォリンさん……」
手伝う気ゼロの二人に軽く呆れていると、フォリンさんから微笑みと共に労いの言葉をかけられて、思わず俺はうるっとしてしまった。…フォリンさん、良い子過ぎる……。
「…よし。今日の夕飯はもうすぐ完成だけど…今後も料理の練習したいなら言ってくれて構わないからね。俺も極力協力するからさ」
「ありがとうございます、顕人さん。その気持ちに応えられるよう、頑張りますね」
「うん。…っと、もういいかな」
気を見計らって味見をしてみると、どちらも中々いい感じ。という訳で、作っていた肉野菜炒めと卵スープが完成し……
「フォリンさん、肉野菜炒めの盛り付けお願い出来る?お皿は棚のあそこにあるやつね。ほら二人共、せめてお茶淹れる位はしてくれるー?」
「えー……まぁ、お願いしてくれるならやるのも吝かじゃないけどね!」
「あそう、じゃあお願いしますわー」
「うわー、心全然籠ってない…でもいっか。ラフィーネ、ゲームの片付けお願いね。お茶はわたしが淹れるから」
「ん、分かった」
本日の宮空宅に、夕飯の時間が訪れた。決して豪華という訳ではない、でも普段とは少し違う夕食の時間が。
「頂きまーす!…うん、やっぱり出来立てっていいよねぇ…」
「へぇ、じゃあ出来立てと冷えちゃったのとはどう違うか具体的に言える?」
「温度!」
「いやそりゃそうだけど、俺が訊いてるのはそっから先……」
「が違う!」
「誰が文章の続きを言えと!?そっから先ってそういう意味じゃないよ!」
コメディ調のやり取りをしながら食べる俺と綾袮さん。これはまぁいつも通りの流れで、黙々と食べるラフィーネさんもいつも通り。けれど普段なら穏やかな表情で会話に参加するか、俺と綾袮さんのやり取りに耳を傾けつつ食べているフォリンさんは今日、あまり食事を口につけずにそわそわとしていた。
「…フォリンさん?どうかした?」
「…いえ、その…私、手伝いとはいえこの料理を作った訳じゃないですか…」
「うん、そうだね」
「だから、その……美味しいと思ってもらえているか、気になってしまって……」
あぁ、そういう事か…とフォリンさんの回答を聞いて、俺は納得。確かに料理をしたのなら、出来が…特に自分が食べてどうかより、他の人が食べてどう思ったかが気になってしまうのは当たり前の事。俺だって料理を始めてから暫くは毎回気になったし、今だって初めて作る料理を出す時は内心ドキドキしてしまう。多少は慣れてる俺もそうなんだから……フォリンさんだって気になるに決まってるじゃないか。
「なーんだ、それならそうと言ってくれればいいのに…。だいじょーぶ、どれも美味しいよ!いやむしろ、普段顕人君が一人で作るご飯よりも美味しいかもしれないね!」
「おいこらそれは……いや、いいか…こほん。俺も美味しいと思うよ、フォリンさん。野菜も丁度良いサイズに切れてるしね」
「そ、そうですか…それなら、良かったです…」
俺と綾袮さんの「美味しい」という言葉を受けて、安心したような顔を浮かべるフォリンさん。…別に具体的な事を言われなくても、一言でも、「美味しい」って言ってもらえるだけで…作った側は、安心出来るんだよね。
「……ラフィーネ」
「…うん」
「ラフィーネは…どう、ですか…?」
小さく胸を撫で下ろしたフォリンさんは、それから視線を隣に座るラフィーネさんへ。ラフィーネさんが応答すると、今度は少し不安そうな顔になって姉を見つめる。
一番どうだったか訊きたかったのは、ラフィーネさんに対してなんだろう。一目でそれが分かる顔をしたフォリンさんへとラフィーネさんは向き直り、箸を離した右手を上へ。その動きに視線がつられる中、ラフィーネさんは右手をフォリンさんの頭へ置いて……言った。
「…よく出来てた。フォリン、えらいえらい」
「……ラフィーネ…」
小さな子供に向けてやるような、フォリンさんにはミスマッチにも見える褒め言葉。頭を撫でつつえらいえらいなんて、それこそお手伝いをした子供を褒めるような賞賛の仕方。……でも、フォリンさんは幸せそうな顔をしていた。安堵と歓喜と幸福の混ざった、見ているこっちまで心が穏やかになりそうな笑顔を浮かべていた。
「…嬉しそうだね。フォリンも、ラフィーネも」
「だね。…ほんとに良かったよ、手伝いを拒否しなくて」
綾袮さんの言う通り、嬉しそうなのはラフィーネさんも同じ。フォリンさん程はっきりとじゃないけど、小さな笑みだったけど……凄く穏やかで温かな、自然な笑みをフォリンさんに見せていた。…もしかしたら、フォリンさんは…ラフィーネさんに自分の料理を、美味しい料理を食べてほしくて練習したいと思ったのかもしれない。
「ラフィーネ、今度は一緒に手伝いませんか?料理するのって、結構楽しいですよ?」
「それはいい。わたしは食べるのに専念するから」
「もう、面倒な事はすぐそう言って逃げるんですから…」
「フォリン、日本には適材適所って言葉がある。…わたしがしてるのは、そういう事」
「適材適所って…それっぽい事を言っても、私は誤魔化されませんからね?」
それからもロサイアーズ姉妹は、姉妹らしい…かどうかともかく、仲の良いやり取りを続ける。そんな姿を見ていて俺は……ふと、全然関係ない事を思い出した。
「…あ、そういえばさ綾袮さん。篠夜依未さん…って、知ってる…よね?」
「……?知ってるけど…顕人君こそ何で知ってるの?……まさかナンパしたの!?」
『ナンパ…?』
「ぶっ!?し、してないよ!早とちりにも程があるわ!」
ジョークなのか本当に勘違いしたのかは分からないけど、とんでもない言葉をぶっ込んでくる綾袮さん。加えて結構大きい声で言ったせいで二人にも「え、顕人(さん)がナンパ…?」みたいな顔をされて、俺はかなり慌てる羽目に。
「そうじゃなくて…千㟢から頼まれたんだよ。綾袮さんに、篠夜依未って人について知ってる事があるか訊いておいてくれって」
「あー、そうなの。…なんで悠耶君が?」
「何か色々あるらしいよ。で、何か知ってる?口振りから察するに、プロフィールに乗っけるようなものより一歩進んだ事を知りたいっぽいんだけど…」
半ば呆れ口調で話の路線を戻すと、綾袮さんも分かってくれた様子。…最初からこう言えば良かった……。
「うーん…プロフィールよりも、って言われると難しいかなぁ。依未ちゃんとは別に仲悪い訳じゃないけど、あまり会う機会がないから…」
「そっか、ならまあ仕方ないね。千㟢にはそう伝えておくよ」
「うん、お願いね。…でも、色々かぁ…何があったんだろ…」
「さぁ?そこまでは聞いてないから…」
プロフィール以上の事を知りたがってる以上、それなりに深いか込み入った事情があるんだろうけど…特に俺は言われてないし、訊きもしなかった。千㟢に限って、まさか篠夜って人に恋愛方面での興味がある…とかじゃないだろうし、それこそナンパとかでもないだろうし。
「…顕人君って、意外と悠耶君には淡白な面があるよね。学校じゃいつも話してるし、休みに遊んだりもしてるのに」
「そう?男同士の交友関係なんてこんなもんだと思うよ?」
「ふぅん…わたしだったら気になる事は訊くのにな〜。特に妃乃だったら、根掘り葉掘りで徹底的にね」
「うん、綾袮さんの場合それ半分弄ってるよね?」
「あ、分かっちゃう?」
綾袮さんが妃乃さんに食い気味で質問しまくる姿はあまりにも容易に想像出来て、思わず苦笑いを浮かべてしまう。そこから脱線したり、故意に勘違いしたり、挙句自分の話をしたりするんだろうなぁと考えると、やっぱり男同士の一歩置いた関係は楽だよなぁ…。
「…綾袮さんも、大概妃乃さんの事好きだよね」
「まー、幼馴染だからね!それに妃乃もわたしの事大好きみたいだし?わたしとしては無下に出来ないな〜って感じかな!」
「…それ、本人が言った事?」
「あはは、素直じゃない妃乃が言う訳ないじゃん。でもわたしには分かるからね!何せ幼馴染ですから!」
「うん、まぁ…そっすね……」
…良いか悪いかは別として、ここまで断言出来るのは凄いと思う俺だった。……返す言葉は思い付かなかったけど。
「ふふーん。……でも、ほんとに男の子って皆そんなものなの?」
「大体はそうだと思うよ?…でも、まぁ…千㟢に関しては、元々過去の事で一枚壁作ってた節があったからね。今となっては関係ないんだけど、だからって別に付き合い方を変える必要もないしさ」
「あー、そっか。そりゃ隠すよね、信じてもらえないだろうし」
「そういう事。それに……」
「それに?」
もしお互い気不味い関係だったのならともかく、別に不満を感じてる訳でもないんだから、わざわざ変える必要はない。…なんて言いはしたけど、実際には少し違う。実際には…特に変えようとも思わなかったし、気にもしなかったから、これまで通りの関係である。ただ、それだけの事なんだよね。
そしてそこにはもう一つ、理由があったりもする。それを俺は言いかけたけど……
「…いや、やっぱいいや」
「えー、言いかけたなら言ってよー。気になるじゃん」
「些細な事だから気にしないでよ。それより綾袮さん、ラフィーネさん。フォリンさんを見習って皿洗いしてくれたりは……」
「それは出来ない相談かな!」
「わたしは姉だから、見習われる側」
「…………」
「あはははは……」
欠片も手伝ってくれるつもりのなさそうな二人の返答と、その反応に苦笑するフォリンさん。俺はそんな二人に肩を落としつつも、予想通りといえば予想通りだから、まぁ分かってたけどね…と内心で呟きつつも思う。色んな意味で欲望とやりたい事に忠実な綾袮さんと、我が道を行くラフィーネさんと、基本はしっかりした子のフォリンさん。…うん、それはいつも通りで、だからこそある種の安心感すらあるんじゃないかって。
──奥へと踏み込んだ、何もかも取っ払った話がしたいなら、その時は皆に話せばいいんだから。…俺が言いかけて止めたのは、そんな言葉だった。