祭りってのは、終わったらそれでお終いだ。…って言うと、当たり前ってか無意味な重複になるが、祭りは終わってしまえば、数日後か数週間後か……或いは、翌日には元の通りに戻ってしまう。一時的な、その時だけの時間だと言わんばかりに、元々の状態に戻されてしまうのが、祭りというもの。
けど、そんなものだろう。常にある、日常的なものじゃないからこそ、祭りは特別なものとして輝くんだろう。だから終わって、祭りの前の状態に戻ったとしても、何ら悲しむ事も、ましてや困る事もない。…そう、思ってたんだが……。
「おはよ、千㟢くん」
「あー、千㟢じゃん。あんた相っ変わらず登校遅いわねー」
「んぁ?…あ、おう…おはよう…」
文化祭の翌週。振り替え休日明けの朝、俺がクラスに入ると、同じく調理を担当していた内の二人から、声…ってか、挨拶をかけられた。
「…何だその顔」
「人の顔だ。後人付き合いの基本は挨拶からだぞ?」
「うっ……おはよう、千㟢…」
一瞬キャッチミスしてしまった言葉のボールを取り直し、挨拶を返した俺。続いて席に座ると、開口一番御道が妙な事を言い出してきたものだからいつもの調子であしらい、鞄から荷物を出していく。
「…で、俺の顔が何だって?」
「変な顔してたって話…まぁ、理由は大方分かるけど…」
「そうなんだよ…実は登校中、焼き飯の対義語は冷や飯だって熱弁してるおっさんがいたもんで…」
「何その突っ込みどころ満載のおじさん!?え、そんな人いたの!?」
「いや、嘘だぞ?」
「だろうね…反射的に突っ込んじゃったけど、んな訳あるか感半端ねぇもん……」
普通に話しても問題はないが、一先ずボケを一つ投入。…反射的に突っ込むって、御道も結構筋金入りだよなぁ…。
「……まぁ、なんだ。まだ挨拶されるんだな、って思ってな…」
「そりゃまぁそうでしょ。文化祭終わったって関係性が切れる訳じゃないし、元からクラスメイトな訳だし」
どうも気付いてるようだし、なら隠してもしょうがねぇか…と思いつつ話を戻すと、返ってきたのは至極ご尤もな言葉。…が、んな事は俺だって分かってる。
「…けど、だから何だって訳でもないよな。そりゃ、文化祭の準備から当日までで色々話したし、料理する上で協力したりもしたが、ぶっちゃけそれって文化祭ありきな訳で」
「淡白な事言うね…」
「実際そうだからな。…あの二人はクラスメイトで、同じ調理担当だったが…それ以上でもそれ以下でもねぇし……」
嫌いな訳じゃないが、話すのも苦じゃないが、だからってどうこうする訳でもない。多分用事がなきゃ、少なくとも現状俺は自分から話しかけたりしないと思う。そんな相手に、挨拶をかけられたら…そりゃ勿論、挨拶を返すし愛想笑いだってするが……それ以上、俺はどうしたらいいもんなのか、それとも何もしなくていいのか。それがどうにも飲み込めなくて…だから、変な顔をしていたんだろう。
「まー…身も蓋も無い事言うと、こういうのって止め時がよく分かんないもんだからね。ほら、年賀状も殆ど合わない相手でも、いざ止めるってなると『うーん…』ってなるでしょ?」
「あー……でもそれは面倒臭さの方が勝って、書かなくなったりするもんじゃね?」
「…言われてみると確かにそうだ…け、けどニュアンス的には伝わった…よね?」
「…んまぁ、一応は…」
「なら良かった……それに、文化祭ありきったって、終わったら文化祭をやったって事実そのものが消える訳じゃねぇし、過去とか思い出って形で文化祭の事は残るんだから、一つや二つ続くものがあったって、それは別におかしくないって、俺は思うけどな」
別に、そこまで深い話にしようと思ってた訳じゃない。挨拶をされた、ただそれだけの事だった片付ける事も出来た。……だが、思ってもみないような言葉が御道の口から発されて…その考え方は悪くない、と俺は思った。
(…一つ二つ続くものがあったって、それは別におかしくない…か……)
言われてみれば、考えてみれば、それは当然の事。元通りに、元々の状態になるって言っても、それはあくまで会場の話。それに御道の言う通り、戻るっつーのは文化祭そのものが無かった事になるんじゃなくて、文化祭を経た上で、またそれ以前の状態に戻す…つまりはその流れの中には、確かに文化祭が残っているんだって事。だったら、文化祭の中で変わった何かが、変わったままでいるのはごく自然な事で……
「…捻くれてるんだな、俺って……」
「え、今更…?」
──意外な時に、意外な形で、今の自分の性格というか、在り方というか……そんな内面の部分について、改めて気付く俺だった。
*
……と、朝の段階じゃ些か冷めた、だが穏やかな気持ちになっていた俺なんだが……結構デカめの変化が、まだ今日という日には潜んでいた。
「あ、妃乃の卵焼き美味しそう…一個ちょーだい!」
「一個頂戴って…さっきポテトの肉巻きあげたわよね?まだ欲しいって言うなら、代わりに何か出しなさいよ」
「じゃあ、バランあげる!」
「要らないわよ!なんで仕切りで交換出来ると思った訳!?食べ物を出しなさいよ!」
「えー、でも超竜軍団長だよ?」
「それは竜騎将さんの方でしょうが…!」
「…二人共、よく少年漫画のネタが出てきたね……」
軽快にボケる綾袮と、怒り気味に突っ込む妃乃。それに苦笑いをする御道。何らおかしくない、いつも通りのやり取りと光景。
そう、このやり取り自体は至って普通。特筆する点もない。……それが、昼の時間に、弁当を囲みながらでなかったのなら。
(どうしてこうなった……)
頭を抱え…はしないものの、なんだか俺はそんな気分に。…いや、理由は分かっている。ってか、当事者だから知っている。
つい先程、具体的には昼休みに入った時に、文化祭の実行委員からアンケートを求められた。それ自体は全員が書くものだったが、更に追加で感想やら意見やらを提出しなきゃいけないらしく、その対象として選ばれたのが、集客の要となっていた妃乃と綾袮に、生徒会の観点をという事で声をかけられた御道に、調理担当からも一人という事で……まさかの俺。どうも、当日は俺が色々回してくれた(調理担当メンバー談)かららしいが…それはもう「マジか…」と思った。
で、昼食を食べながらで構わないって事で俺達は弁当を囲みつつ質問に答え、昼食より先にアンケートが終わり……後はもう、ご覧の通り。
「ちぇー……いいもーん、顕人君のミニハンバーグ貰うもーん」
「ちょっ、さも当然かのように箸伸ばさないでよ!?やらんぞ!?」
「…………」
「無言でバランを差し出しても駄目!…っていうか、ミニハンバーグなら綾袮さんの弁当にも入ってるでしょうが…!」
今度は御道が狙われたようで、わーきゃー言ってる声は続く。因みに、弁当の内容が同じである事が周りに知られる事を防ぐ為か、最後の部分は小声になっていた。…他人の弁当なんて、それこそ一緒に食べてる奴のを見るかどうか位なんだから、そう気にする必要もないと思うけどなぁ…。
「…どの時間も元気だなぁ、ほんと……」
「でしょう…?私、この子と十年以上も一緒にいるのよ…?」
「…苦労してんな、妃乃も……」
本来憩いの時間だというのにげんなりしている妃乃の言葉に、同情する俺。綾袮が何か言ってくるかと思ったが……綾袮はミニハンバーグをもぐもぐしてて、特に聞いていないようだった。
「ふはぁ…ところでさ、顕人君と悠耶君っていつも二人で食べてるよね。もっと大人数で食べようとは思わないの?」
咀嚼し、飲み込み、茶を飲んで一息吐いた綾袮からの、何気ない質問。それを受けた俺と御道は、一度顔を見合わせそれぞれ答える。
「別にそうする理由もないしな」
「んー…大人数が嫌って訳じゃないけど、俺的にはどっちでもいい…みたいな?」
「ふーん、男の子ってそういうとこ冷めてるよね」
これが男全体の傾向なのかはさておき、確かに昼食を一緒に食べる相手へ熱を入れているつもりはない。対して綾袮…それに一緒に食べている妃乃は、普段もっと大きいグループで弁当やら購買の商品やらを囲んでいる訳だから、まぁその差が気になったんだろう。
「綾袮さんは食事中、もうちょっと落ち着いた方が良いと思うけどね」
「えー、でも静かな食事って息苦しいものだよ?緊張感あったりもするし…」
「あぁ…確かにね……」
『…緊張感……?』
御道の返しで変わる話題。綾袮の言葉に妃乃は理解を示し、逆に俺と御道は訊き返す。息苦しくて、しかも緊張感のある食事って一体なん……
「…って、あー…そうか、会食とかそういうのか……」
聞いた瞬間は分からなかったが、数秒経ってその意味に気付く。妃乃も綾袮も霊装者界における権威者の人間。となれば、名のある人物や家系の人間が集まる食事会に参加する事も当然ある訳で……そんな場での食事は、どんなに料理が良かろうと楽しくは食べられねぇよな…。
「…そういうのって、テーブルマナーとかも意識しなきゃいけないんだよね?」
「しなきゃいけないっていうか、私や綾袮にとってはきっちりマナーに沿って食べる方が慣れてる感じね。普段はそんなに指摘されないけど、小さい頃からそう習ってきたんだもの」
「そうなんだ…って、ん…?…綾袮さん、いつもは普通に…それこそマナーなんか感じさせない食べ方してるよね…?」
「あぁ、綾袮は順応性高いし、きっちり切り替えてるんじゃない?そういうとこだけは器用だし」
「ふふん、よく分かったね妃乃。でも、『だけは』って部分は余計じゃないかなー?」
「あー、そうね。器用なのは下らない事としょうもない事全般に言えるものね」
「そうそう下らない事しょうもない事にかけてはピカイチ…って、それは結構酷くない!?」
……この会話からはとてもそんな感じはしないが、目の前の少女二人はそういう世界で暮らしてきて、生まれてからの時間を考えれば、そっちの方が長いんだ。…そう考えると、中々に不思議な組み合わせだな、とも思った。生まれ変わってる俺に、普通からはかけ離れた生活をしてきた妃乃と綾袮に、普通そのものの生活を送ってきた御道。そんな俺等が、こうして弁当を囲んでいるというのは…本当に、不思議なもんだ。
「…千㟢、また変な顔になってるぞ」
「ほんとね、凄く変な顔じゃない」
「上手く表現出来ない辺りも、ほんと変な顔だよね」
「お前等……」
と、人がしみじみ考えていたというのに、随分とまぁ酷い言いよう。とはいえ、一対三じゃまともにやり合える訳がないと思った俺は、小さい嘆息を一つして……
「…ま、コーヒーなんかと同じで、ある程度年月を重ねなきゃ変にしか思えないものは世の中にそこそこあるからな」
『む……』
時間という干渉出来ない要素を持って、悦に浸ってやるのだった。…そんな事言ってる時点で大人っぽくはない?いーんだよ、大人なんて元からはっきりとした基準なんざないんだから。
*
結局のところ、昼食はただ昼の時間にいつもの面子で集まったという以上のものは生まれなかった。一応は周りからの目を気にしてこれまでそうしてこなかった事を行った、って意味じゃ大きな変化ではあるが……逆に言えば、それだけの事。午後はいつも通りに授業を終え…本日も俺は帰路に着く。
「はー…少し前まで『夏休み終わったのにまだ暑いのかよ…』とか思ってたのに、気付けばもう風が冷えてるんだもんなぁ…」
寒風吹き荒む…とまでは言わないものの、もう気温は完全に秋や冬のそれになっている。…もう少ししたら、ストーブ出そうかねぇ…。
「そうね。…肌のケアには気を付けないと…」
「ですね。荒れてからじゃ遅いですし」
…と、俺は暑さやら寒さやらそのものを意識している一方、緋奈と妃乃は肌の事が気になっている様子。言うまでもないとは思うが…だよなー、とか言ってその会話に同意するような事は、俺には出来ない。…ってか……
「…ちょっと前まで、日焼けがー…とか言ってなかったか?」
「うん、言ってたよ?」
「……季節ごとに肌を気にするのは、女子にとって普通なのか…?」
「当たり前じゃない。肌が一切刺激を受けない季節なんてないんだから」
「いやそりゃそうかもしれないが…」
さも当然のように返してくる二人に、何だか俺はタジタジ気分。くぅ、こういう時に御道や茅章がいてくれれば、アウェーにならずに済むってのに…。
「つか、そういう事ならストーブ出すのは止めとくか?使ったら確実に乾燥するぞ?」
「加湿器使えばいいじゃない。勿論安い物じゃないけど、乾燥する事でダメージ受けるのは肌だけじゃないし」
「まぁ、そうだな…しっかしほんと、そこまで気にする事かねぇ…俺は特に意識してないが、毎年そんなに肌荒れはしてないぞ?」
「分かってないわね悠耶。日焼けもだけど、肌のダメージは積み重ねなのよ?今は良くても、十年二十年経ってから影響が出てくるって事もあるんだから」
やれやれ、と呆れ顔をしつつ言う妃乃。まぁぶっちゃけ分かってないってかそもそも考えてなかった訳だし、未来の事言われちゃ返しようがない訳だが、前提として俺は二人のスタンスを否定するようなつもりはない。つまり、何が言いたいかって言うと……
(…女は大変だなぁ……)
こういう事である。男にも男なりに大変な事はあると思うが、やっぱ俺は男でよかったわ、うん。
「…あ、ところでお兄ちゃん。あの後、ちゃんと依未ちゃんを送ってあげた?」
「あー、勿論ちゃんと送ったぞ。…気になるのか?」
「うん。なんていうか、あの子…色んな意味で華奢な感じだったから…」
俺が黙って会話が途切れたからか、打って変わって緋奈が全然違う話を口にする。
それを聞いて、俺は少し驚いた。依未が外見的に華奢なのは誰だって分かる事だが、声音や口振りからして、緋奈は内面に対しても言っている。どこまで気付いたのかは分からないが…昨日一日、それも限られた時間で外見以上の事に気付いたのなら、それはやっぱり凄いと思う。
「…なぁ緋奈。一つ、頼みがあるんだが……」
「うん、いいよ」
「おう、ありがとな」
「……え、通じたの!?今内容一言も言ってないわよ!?何も聞かずに返した答えで悠耶は納得したの!?ど、どんだけ兄妹愛が深いのよ貴方達は!?」
「はっはっは、よせよ照れるじゃないか」
「えへへ……」
「…何なのよこのシスコンとブラコンは……」
……とまぁ、一回兄妹芸で大いに妃乃を驚かせてその反応を楽しみ、改めて俺は緋奈に頼む。
「話を戻して…頼み事をしてもいいか?」
「だからいいよ。…依未ちゃんと仲良くしてやってほしい、って事でしょ?」
「…ほんとに分かってたんだな……すまん」
「…お兄ちゃん、それは良くないよ」
「…良くない?」
迷いもなく了承してくれた緋奈へ、感謝の念も込めて「すまん」と言った俺。だがそれに返ってきたのは、咎めるような緋奈の言葉。意味が分からず、俺が訊き返すと、緋奈は頷いて言う。
「だって、ここでお兄ちゃんが謝っちゃったら、わたしは嫌々、頼まれたから仕方なく依未ちゃんと仲良くするって感じになっちゃうでしょ?…例え本人がいなくても、そういう風にするのは良くないって、わたしは思うよ」
「…そういう事か……そうだな、緋奈の言う通りだ。緋奈には俺の頼みどうこうじゃなく、普通に依未と仲良くしてやってほしい」
「それなら心配はないよ。元々お兄ちゃんに頼まれなくても、そのつもりだったからね」
言葉と思いは別のものであると同時に、言葉を思いの両方があって、初めて相手に意味が伝わる。だからこそ、意図が伝わろうと選ぶ言葉も大切にするべきなんだと、緋奈は俺に伝えてくれた。そんなの、当たり前の事だが……当たり前過ぎて、逆に俺は失念していた。…だから、指摘してくれた事を、そのおかげで訂正出来た事を俺はありがたく思っているし…続く言葉も含めて、俺は緋奈が誇らしかった。シスコン云々とかじゃなく、もっと純粋に、兄として、家族として誇りに思った。
「…悠耶って、案外世話焼きなのね」
「……はい?」
誇らしさで胸が温かくなっていた俺へ、不意に投げ掛けられた妃乃の言葉。世話焼き……世話焼き?
「…世話焼きって、俺がか?」
「えぇ。色々あるとはいえ依未ちゃんの事をかなり気にかけてるみたいだし、緋奈ちゃんに対しては言うまでもないし、前に顕人に食器の仕舞い方を教えてたりしたじゃない」
「食器の仕舞い方って…よく覚えてんな……」
聞き間違いか、或いは人違いなんじゃないかとも思ったが、世話焼きとはほんとに俺の事らしい。そりゃ確かに、緋奈の世話なら幾らでも焼くつもりだし、依未だって協力すると心に決めたし、御道の件もその通りだが……
「…これは世話焼きって言うのか…?」
「言うでしょ。まぁ別に貴方がそう思わないってならそれでもいいわよ。私はそう感じたってだけだもの」
「そうかい…緋奈はどう思うよ?」
「うーん…否定する事はないと思うよ?世話焼きって、卑下するような事でもないし」
「んまぁ、そうだな。…けど、俺が世話焼きねぇ……」
俺を世話焼きだとする妃乃の言う事は分かる。緋奈の言う通り、世話焼きってのは言う側が皮肉の意図を込めていない限り、そう卑下するようなものでもない。けどそれと、俺が納得出来るかどうかは別で……どうにも、しっくりこないんだよなぁ…。世話焼きって、この俺がだぜ?
「…まぁ、いいか。つかほんと寒いな今日は」
「今日は予報でも寒いって言ってたね。明日からはまたちょっと暖かいみたいだけど」
「そういやそんな事言ってた気もするなぁ……よし、決めた。今日は鍋にしよう」
どっちでもいいや。そんな投げやりな結論に辿り着いた俺は、その流れのまま(?)今日の夕飯を鍋に決定。何鍋にするかは…スーパーで具材見つつ決めりゃいいか。
「へぇ、なら今日は世話焼き高校生の悠耶さんが全部やってくれるのかしら?」
「何だその神の使いみたいなのは…」
「そっか、今日は準備から細々とした片付けまで、全部お兄ちゃんがやるんだね。頑張って!」
「いや待て、まだ俺は何も……」
「頼むわね、悠耶」
「頼んだよ、お兄ちゃん」
「……へいへい…」
なんと勝手な妹と同居人だろうか。鍋にしようと言っただけでこうなるなんて、なんと理不尽なのだろうか。……とか何とか思ってみたが、そう思ったところで何かが変わる訳でもなし。反論するにも一対二で、加えてまぁ物凄く嫌って訳でもなかった俺は、呆れながらもその場で了承。そして二人と共に、帰路の道すがらスーパーに寄る。
「……物事は終わっても、そこで生まれたものは続く…ってとこか…」
「……?お兄ちゃん、何の話?」
「や、独り言だ。気にすんな」
そこでふと、普段の会話…という繋がりから昼の事を、更には朝の事も思い出す俺。
文化祭は終わった。何と言おうと、もう文化祭は過去のもの。終了したもの。だが御道の言う通り、行事は終わっても残るものはあるし、続くものもある。そしてそれがどうなるのかは、今後次第。……そんな事を、朝と昼の何気ない出来事で今日俺は感じるのだった。