双極の理創造   作:シモツキ

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第二百話 失意の中、誘う招待

 綾袮さん達が富士山に行ってから、二度目の調査が始まってから、一日が経った。昨日の夜かかってきた電話じゃまだ「これだ」ってものは見つかっていないらしくて、恐らく明日…つまり今日もまだ帰ってこない様子なんだとか。

 まあ、それは仕方ない。何せ富士山は広いんだから。前回よりも、人数が少ないんだから。その上で、どこにあるか分かっている物を取りに行くとかじゃなく、まずどこにあるのかを探し出すところからやるとなれば……楽に終わる筈がない。それは俺自身、一度目の調査に参加したから分かっている。

 帰ってくるのは明日か、明後日か、更に先か。…何にせよ、俺は待つだけだ。参加していない俺には、その力のない俺には…待つ事しか、出来ないんだから。

 

「…お、何だ今日は卵が安いじゃん。助かる助かる」

 

 学校帰り、最寄りのスーパーに立ち寄った俺は、買い物カゴを手に店内を回る。今家にどの程度食材が残っているかを思い出し、それに合わせて食材や調味料等をカゴの中に入れていく。

 今日は平日。普通に学校のある日。だから綾袮も千嵜も妃乃さんも休んでいて、その理由の方は協会が上手い事誤魔化してくれている…んだと、思う。

 

「後は……あぁそうだ、ピーナッツバターも残り少ないんだったな」

 

 そうして買い物を終えた俺は、スーパーを出て家へと帰る。当然中には誰もいないけど、それでも習慣…というか普段の癖で、「ただいま」と言ってから家に上がる。

 

「ふぃー…今日も疲れた……」

 

 取り敢えず買った物を仕舞って、手洗いうがいもして、リビングにあるソファに座る。身体を沈み込ませるようにどかりと座り、のんびりと吐息を漏らす。

 普段はゆっくりするよりも前にやる事がある。ゆっくりしてる時間なんてない…って訳じゃないけど、一度ゆっくりしようとすると中々やる気を取り戻せないから、先にするべき事をある程度でも片付けておかないと、後々慌てる事になってしまう。……でも、今は俺一人。夕飯やら何やらが遅れたって問題はないし、食べるのも俺一人だから内容も簡素。だから忙ぐ事なく、疲労をソファへ押し付けるが如く身体を任せ…ふぁ、と一つ小さな欠伸。

 

(…今頃、綾袮達は何してるんだろうなぁ…って、調査に決まってるか…。…ラフィーネも、フォリンも、問題なくやれてるといいんだけど……)

 

 天井をぼんやりと見つめながら、考える。考えるというより、想像する。今は離れた場所にいる、綾袮達の事を。心配はないけど…やっぱり、気になる。

 とはいえ、だからと言って連絡は出来ない。それは言うまでもなく、任務中だから。邪魔になるのは悪いし、そもそも出るかどうかも分からない。

 

「…まあでも、大丈夫か…うん、きっと大丈夫だよ…皆俺より、ずっと経験豊富なんだから…」

 

 全く誰が誰に心配してんだ。相変わらず俺は心配性だなぁ。…そんな風に思い直しながら、俺は自嘲気味に笑う。…あぁ、やっぱり俺は、待つのは苦手だ。信じていても不安になるし、不安とまでいかなくたって気になるし、しかもそんな自分を客観視して呆れてしまう俺もある。ほんと…待ってるだけは、向いていない。

 

(…ほんと、なんでこうなっちゃったんだろうな、慧瑠…)

 

 力を失っていなければ、今も霊装者であったのなら、こうはならなかった。今日もまた、そう思ってしまう。無念さが心の中に染み出してきて、嘗てのように慧瑠へそんな気持ちを打ち明ける。

 もう何回、こんな思いを抱いたか。何度抱こうとこの思いが薄れないのは、解決する事も、思いが風化する事もなく、変わらないまま俺の心に残り続けて、燻り続けているからだ。

 そうこうしている内に、段々と眠くなってくる。心の中で燻る鬱屈した気持ちを忘れられる、睡魔に身を任せての眠りは何とも魅力的で、けど今寝てしまうとこの後予定していた事が色々と狂ってしまう訳で、今寝る訳にはいかない。でも眠いのも事実だから、ちょっとだけ目を閉じていようかななんて考えて……

 

「……ん、ぁ…?…あっ……」

 

……気付いたら、寝ていた。緩ーく、ほんと緩ーく寝落ちしていた。

 その事に気付いた、というか目が覚めた俺は、慌てて跳ね起き時間を確認。けど幸いにも、俺が寝ていたのは数十分。これなら取り敢えずは許容範囲。

 

「あっぶねぇ、やっぱ睡魔って恐ろしいな……」

 

 霊装者だろうとなんだろうと日々の生活のどっかしらで苛まれ、時に問答無用で意識を刈り取っていく存在、睡魔。三大欲求の中でも制御のしようがない、色んな事をしたい人や忙しい人に程牙を剥く、無情な力。それに一杯食わされた俺はやっちまったなぁと思いつつ、ソファから立って台所へ向かう。

 寝るならもっとしっかり寝たいし、半端な睡眠は時間を無駄にした感が凄いけど、もう二重の意味で起きてしまった事は仕方ない。それよかさっさと夕飯を作る方が、よっぽど前向きで建設的。普段よりも少し遅れてしまったけど、今からだったらまだ皆を待たせる事なく夕飯の支度を……

 

 

……って、何言ってんだ俺は…。皆は今日も、富士山だっての…昨日に引き続き、今日も俺一人だっての…。

 

「……ほんと、何やってんだろうな、俺…」

 

 無駄に慌てたせいか、気の重い疲労感がやってくる。急ぐ気どころか夕飯を作る気そのものすら失せてしまい、買い置きのカップ麺と冷蔵庫の残り物だけでいいか…って気分に変わっていく。

 

「…こんな筈じゃなかった…こんな筈じゃ、なかったのに……」

 

 ソファではなく食卓の椅子を引っ張り出し、腰を落とすようにして座り込む。

 一年前まで、俺はこんな世界があるだなんて知らなかった。そういう世界への憧れを、夢を抱いて…けれど抱いているだけの、ただそれだけの学生だった。それがあの日襲われて、助けられて、この世界と自分の事を知って…あぁ、何度も思い返しても、それからの一年は刺激的で、輝きに満ちた日々だった。辛い事や苦しい事もあったけど、それでも心踊る日常だった。幸せだった。

 少し前、三人共任務で家にいなかった時、帰ってきたラフィーネは俺に、寂しくなかったかと訊いてきた。その時はそんな事ないと、なんて事ないと答えた俺だけど…今はこの家が、広く感じる。いつもよりずっと、酷く広いように感じる。寂しいとは違う…虚しい思いが、シミの様に心へ広がる。

 

(…これが、ずっと続くのか…これからもずっと、俺はずっと…ずっと、このままで……)

 

 綾袮達は、その内帰ってくる。今後ずっと、俺一人の家になる訳じゃない。けど失った俺の力は、霊装者じゃない俺は、きっとこれからも変わらない。ずっとこのまま、煌びやかな舞台をその袖から見つめるだけの日々になって、今日の様に一人となる事もそれなりにはある…そんな毎日が、俺の日常になっていくんだ。

 そしてそれを、いつか俺は認めてしまうのかもしれない。無念な気持ちを、捨て切れない夢を抱えたまま、それでも慣れて、受け入れて、完全にただの人に戻るのかもしれない。嫌だ。そんなのは絶対に嫌だ。…だとしても、現実は…俺が歩む、これからの未来は……

 

「……っ…!」

 

 不意になった、チャイムの音。当たり前といえば当たり前の、突然の音が示す来客。それを聞いた俺は深い思考の沼から浮き上がり、渦巻いていた気持ちを一度押しやって玄関に向かう。

 

「はーい、空いてますよー…」

 

 玄関の鍵は掛けていない。けど空いていても家の人間が来るまで待っている人は普通にいるし、開いていると言っても反応がない事からして、多分今回の来客もその類い。

 宅配便か、協会の人か、それ以外の誰かしらか…まあそれは、開けてみれば分かる事。強盗だったら困るけど、それだって開けてみなきゃ分からない訳で、さてどなたでしょうなんて考えながら俺は玄関の扉を開き……

 

「お久し振りですね、御道顕人」

「な……ッ!?」

 

──そこにいたのは、俺を待っていたのは、BORGの霊装者…ウェインさんの秘書という肩書きを持つ女性、ゼリア・レイアードさんだった。

 目を見開く。絶句する。…そうならない訳がない。その人物は…俺の予想を遥かに超えた、想像絶する相手だったんだから。

 

「突然申し訳ありません。少々お時間、宜しいですか?」

「…どう、して…貴女が、ここに……」

「ご招待です。ウェインから、貴方へ向けての」

 

 訳が分からない。あまりにも訳が分からな過ぎる。そう俺が茫然とし、何とか質問を絞り出せば、ゼリアさんは眉一つ動かす事なく、平然と俺の問いに答える。ウェインさんからの招待だと、俺の動揺を他所に言う。

 

「招、待…?何を、言って……」

「驚くのも無理はありません。…して、どうでしょう?」

 

 招待に応じるのか、拒否するのか。その二択を迫る、ゼリアさんの瞳。真っ直ぐ俺を見つめる、ただ見られているだけなのに後退りしてしまいそうになる、静かながらも鋭いその眼光に、俺はたじろぎ…そこで漸く、頭も回り始める。

 ゼリアさんは、ウェインさんからの招待と言った。けれどまず、俺とウェインさんは気軽に会うような関係じゃない。つまりこれは、招待という名目の、別の目的がある可能性が高いって事。…でもそれを、俺に向けて行う理由がどこにある?綾袮の様な実力もなければ、ラフィーネやフォリンの様に元々の関係がある訳ではない俺に…予言された霊装者だと言ったって、今はもうただの人間に過ぎない俺に、招くだけの価値があると?

 分からない。ただ少なくとも、俺を人質に…というのはないだろう。ウェインさんにはそれを必要としないだけの立場が、ゼリアさんには実力があるんだから、そんな事をしても手間になるだけ。

 

「…何が…ウェインさんは、俺に一体…何を……」

「それに関しては、彼自身の口から聞くのが一番かと。ただ一つ、言える事があるとすれば……ウェインは、貴方に興味を持っているのです」

「……っ…!?…興味……?」

 

 色々と考える。思い付く限りを想像する。…けれどやっぱり分からない。どれも違うか、しっくりとこない。だから俺は、自ら突き止める事を諦め…ゼリアさんへと、訊く。俺に何をしたいのか、何をさせたいのかと。

 それに返ってきたのは、「興味を持っている」という言葉。依然として具体性のない、想像の余地があり過ぎて逆に分からない…ただ一つ分かるのは、それが「条件に合う誰かの内の一人」ではなく、完全に俺一人へと向けた招待だという事。

 

(…怪しいにも程がある。いきなり訪ねてきた時点で、ここを知ってる時点で怪し過ぎる。普通に考えれば、この招待に応じるなんて論外だ。…論外に、決まってる……)

 

 詰まる所の目的は分からない。一方で、俺とゼリアさん、ウェインさんは実質敵の様な関係性。その相手からの招待に、ほいほい乗るなんてどうかしてる。…分かってる。そうだ、そうに決まってる。…だけど……

 

「…付いていけば、良いんですか…?」

「えぇ、ご案内させて頂きます」

 

 それでも俺は、その招待に応じていた。何か報酬を提示された訳じゃない。強いられた訳でもない。なのにそれでも、俺が応じたのは、応じてしまったのは……今の俺が、『普通の世界』に取り残されてしまったように感じていたからかもしれない。その事で、知らず知らずの内に俺の心には隙間が出来ていて…もう霊装者ではない俺に、だとしても『興味』を持ってくれている事に、縋りたかったのかもしれない。

 

「さぁ、どうぞ」

 

 家の鍵を掛け、付いていく形で敷地から出ると、すぐ近くに車が停められていた。ゼリアさんが開けた後部座席に座ると、ゼリアさんは逆側に回って車内に入り、鏡越しに運転手へ目配せ。それを受けた運転手は車を走らせ、どこかへと向かっていく。

 

「…あの、ゼリア…さん」

「何でしょう?」

「この事を、連絡しても…?」

「構いませんよ。但し荒事となった場合は、対処をさせて頂きます」

 

 多分、ゼリアさんに脅しの意思なんてなかったんだと思う。ゼリアさんはただ、訊かれた問いに答えただけ。けれどそれだけでも、あからさまな脅しよりずっと緊張をさせる何かがあって…結局俺は、「これから少し出掛ける」という、具体性のないメッセージだけを綾袮へと送った。これじゃ何かあっても助けてもらえないし、危機管理が甘い(付いて行ってる時点でそうだけども)と言われても仕方ないけど…それで良い。メッセージを送った時、俺の心の中にあったのはそんな思い。

 

「…………」

 

 走る車内、静かな空間、俺が目を向けるのは窓の外。これから何があるのかは分からない。来て良かったと思うか、後悔するかも全くの謎。ただそれでも、不安はあっても…俺は降りようとは、一度たりとも思わなかった。

 

 

 

 

 車で移動する事、数十分から数時間。数十分と数時間じゃ結構空いてるけど…そういう表現になってしまうのは仕方のない事。何せ緊張して、あまり時間を確認出来なかったんだから。

 

「さぁ、どうぞ」

 

 そうして到着したのは、結構お高そうなホテル。言われるがままに付いていくと、案内されたのは上層階のある部屋で、ゼリアさんはそこの扉の前を開ける。

 これは入れ、って事なんだろう。今も緊張はしていて、というか強まっていて、実は心臓バクバクだけど…今更躊躇ったってどうにもならない。だから俺は、深呼吸をし…扉をノック。返事が聞こえたところで扉を開き、その部屋の中へ。

 

(お、おぉ…やっぱ広い……)

 

 外観同様豪華さを、何より広さを感じさせる部屋の作り。まず俺はそれに気を取られて、視線を動かしながら中を進み…そして廊下に当たる場所を抜けたところで、視界に入る男性の姿。

 

「お待たせしました、ウェイン」

「ああ。良く来てくれたね、御道顕人クン」

「え、あ……は、はい…」

 

 待っていた男性、ウェイン・アスラリウスさん。タブレット端末で仕事か何かをしていたウェインさんは、俺達が近付いて来た事で振り向き、ゼリアさんの言葉に首肯。それから俺に目をやって、にこやかに笑い…その表情に驚きつつも、何とか俺も挨拶を返す。

 

「招待に応じてくれた事、それをまず感謝するよ」

「い、いえ。…………」

「…どうしたんだい?僕に何か、聞きたい事でも?」

「それは……」

 

 一見すれば物腰の柔らかい、綾袮のお父さんである深介さんに近いような印象を抱くのが、ウェインさんという人。けれどそれは表面的な、表情や言葉使いだけを見た場合に抱く印象であって…実際は真逆。深介さんは穏やかな中にも深みや頼もしさがあって、健全な精神と実力を兼ね備えた事による雰囲気なんだなと思うけど、ウェインさんは底知れない。深いではなく、そもそも『底』があるのか、あるとしてその底にあるのが常人のそれなのかすら分からない…深淵を覗いているような、同時に深淵から覗かれているような、そんな感覚を抱かされる。

 そのウェインさんから問い掛けられ、一度俺は口籠る。その雰囲気に気圧され、一度言葉に詰まってしまった。…けど、俺には疚しい事なんてないし、もう来るところまで来てしまった。なら躊躇う事はないと気持ちを持ち直し、改めてウェインさんの目を見やる。

 

「…どうして、自分を…俺を、招待したんですか…?」

「うん?ゼリア、説明しなかったのかい?」

「えぇ、控えておきました。貴方の言う事には、少々理解出来ていない部分もありましたので」

「あぁ…そういう事なら、それを訊くのは当然の事だ。けれど折角招待したというのに立ち話では申し訳ない。そこに座ってくれるかな」

 

 よく分からない部分があったから説明しなかった。秘書の立場からすれば問題がありそうな発言をゼリアさんはあっさりと言い、ウェインさんもそれならば仕方ない程度に言葉を返す。…どうもこれが、二人にとっての普通らしい。

 そしてそんなやり取りを経て、俺は今ウェインさんが座っている席の逆側を指定される。それに従い着席すると、ゼリアさんは部屋に備え付けられていたティーセットを手に取り、これで紅茶を淹れていく。

 

「先に少し言うと、僕は一度、君とゆっくり話してみたくてね。君に対して、興味を抱いていたと言ってもいい」

「…どうして、俺に……」

「まあ、そう急がないでほしい。それと…聞いたよ、御道顕人クン。君の身に起きた、力の喪失の事を」

 

 どうして。再び俺が口にしたその言葉に対し、ウェインさんが切り出したのは能力の事。

 別にそれは、驚きはしない。むしろ、安堵感すらあった。今の俺に、もう霊装者としての力はない。それを認識した上で、「興味がある」と言ってくれているのだとしたら…つまり、今の俺にも特別な価値があるって事だから。

 

「あの、どこでそれを?」

「独自の情報網、と言っておこうかな。気になるかい?」

「…いえ、大丈夫です」

 

 どうやって知ったのかは気になるけど、訊かない方が良さそうだ。そう思った俺は首を横に振り、代わりに待つ。ウェインさんが、本題に入るのを。

 そんな俺の意図を察したのか、薄く笑みを浮かべるウェインさん。その表情は、これまでよりもどこか純粋なもののように見えて…俺がその事を感じる中、ウェインさんは話し始める。

 

「…顕人クン。君は今の世を…この世界を、どう思う?」

「……へ?」

「僕はね顕人クン。今の世界を、あまり快くは思っていない。今の世は、歴史的に見れば悪くないのかもしれないが…普通だ、あまりにも普通だ。言い換えるなら、面白くない。つまらない」

「……っ…面白く、ない…つまらない…?」

「妙な事を言っていると思うかい?だが、僕は本気だ。本気でそう思っている。本気でそう思ってきた」

 

 初めの問いは、質問というより話し始める切り口だったらしい。意外且つ漠然とした問いに俺が戸惑うのを他所に、ウェインさんは話を進め…いや、語る。自分の考えを、自分の思いを。

 いきなりこんな事を言われたら、誰だって混乱する。大の大人が言うとなれば、一抹の不安も覚える。けれどそれは、普通の場合。普通の感性を持っている場合で……ある一点において、ある思いにおいてだけは、俺はそれに当たらない。

 普通である、それが故に面白くない。つまらない。その言葉は、その感情は、俺にとって凄く響く、心を揺さぶられる思い。あぁ、まさか、もしかしたら。期待にも似た、驚愕混じりの思いが俺の心の中から湧き上がる中……ウェインさんは、言う。

 

「顕人君、僕は昔から憧れていたんだ。夢見ていたんだ。普通ではない世界を、非日常を。僕が今の立場に…いや、自分が霊装者であると知る前、少年だった頃の僕はずっと…ね」

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