双極の理創造   作:シモツキ

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第二十四話 懐かしの武装

「…そういえば、綾袮さんの大太刀はかなり希少なものなんだよね?」

 

用事を済ませ、外に出る為に双統殿の廊下を歩く俺と綾袮さん。その中で、ふと気になった事を口にする。

 

「そうだけど…急にどうしたの?」

「いや、今日武装の話したからその事思い出してね。ええと、天之尾羽張だっけ?…と同じ素材の武器って、他には誰が持ってるの?」

「あれ?話してなかったんだっけ?同系統ってなると、妃乃の持ってる天之瓊矛がそうだよ?」

「き、聞いてないよそれは…てか俺、その天之瓊矛っての見た事ないし…」

 

てへへ〜、と頭をかく綾袮さんを前に俺は軽くげんなりする。確かに質問に対する回答としてはなんらおかしくないけど……説明としちゃ雑過ぎる…。

 

「天之瓊矛はわたしが天之尾羽張を受け継いだのと同じ様に、時宮家で代々使われて続けてる武器なんだ。まあ別に、わたしや妃乃の家系じゃなきゃ使えないって訳じゃないけど」

「なら、使おうと思えば俺にも使えると?」

「うん。でも並の霊装者じゃ性能を発揮しきれないし、使いこなすには相応の実力が必要になるんだけどね」

「ハイスペックなんだし、そりゃそうか…他には?」

「他?…んーとねぇ、確かどっかの支部にも使い手がいて、未加工の原型状態なのも協会で保管されていて、後は……どうだっけ?」

「どうだっけ?って…それに答えられる様なら俺はそもそも質問しないから…」

 

戦闘中は真面目でしっかりしてるのに、戦闘以外ではこの有り様な綾袮さん。それはそれで親しみ易いし、同居のおかげでそれにも大分慣れてはきたけど…もうちょっとマシになってくれないかねぇ、ほんと…。

なーんて思ったところで地下通路に繋がるエレベーターの前に到着し、俺は考えるまでもなくボタンをプッシュ。するとその数秒後にエレベーターの一つが開いて、それに乗ろうとした俺と綾袮さんは…………

 

『あ……』

 

──千嵜と時宮さんと鉢合わせした。エレベーターの外と、エレベーターの中とで鉢合わせした。

 

「あら、偶然ね…」

「偶然だね。なになに?わたしを待ち伏せてたの?」

「エレベーター内で待ち伏せる奴がどこにいるのよ…っていうかそも、綾袮を待ち伏せなきゃいけない理由がないっての」

「えー、幼馴染みなんだから一つ位理由思い付いてよ」

「何なのよその訳分からない要求は…」

 

開いた瞬間こそ全員で目を丸くしていたものの、綾袮さんと時宮さんは協会内で鉢合わせする事自体に慣れているのかすぐに落ち着きを取り戻し、ボケる綾袮さんと突っ込む時宮さんという普段のやり取りを開始する。……が、俺と千嵜はそうはいかない。こうして協会で会うのは初めてだし、何より……俺は千嵜がここにいる理由が分からない。

 

「……千嵜、お前…所属しないんじゃなかったの…?」

「あー……まぁ、色々あってな…」

 

驚きも隠さずに俺が訊くと、千嵜は後頭部をかきながらそう返してきた。い、色々って…返答が抽象的過ぎる…。

 

「悠弥、貴方話してなかったの?」

「そりゃま、別に所属した…なんて自慢でもなんでもないからな…」

「自慢じゃなくてもそれは教えてくれてもよかったのに…」

「言ったらお前、何故かって訊くかもしれねぇし訊かなくても気にはなるだろ?」

「だからって隠し通せるものでもないでしょ。そんなんだから悠弥は顕人位しか友達いないのよ」

「余計なお世話だ…」

「そして今回の件がきっかけで、俺という友人も失うのだった」

「え?…マジ?」

「いや冗談」

「おい……」

 

エレベーター前でそんなやり取りを交わす俺達。ここは霊源協会本部・双統殿という大仰な場所ではあるものの…面子が面子だからか、雰囲気は学校のクラス内の様だった。

 

「…まぁ、いいや。どうせぼかした表現したって事はあんま話したくないからだろうし、突っ込んだ質問はしない事にするよ」

「…悪いな」

「構わないよ。……というか、割と俺は千嵜に説明されてない事多い気が…」

「か、重ねて悪いな…」

「二人も中々妙な友達関係だねぇ…ところでさ、二人は何しに来たの?」

「晶仔さんに用があるのよ。と言っても用があるのは私じゃなくて悠弥だけど」

『へぇ……え、そっちも?』

 

返答を聞いた俺と綾袮さんは、考えてる事が同じだったらしく声がハモる。…そういや、確かここで検査をしたのも同じ日だったな…そっちに関しては襲われた日が同じで、両方その足でここに来たんだから当たり前っちゃ当たり前な訳だけど…。

 

「偶々なのか、園咲さんが合わせたのか…でもどっちにしろ、それならここで時間取らせるのは不味い?」

「不味いって程急いでる訳じゃないが、どれ位時間がかかるか分からねぇしまったりは出来ないな」

「なら俺達は帰るとするよ。綾袮さんもそれでいいね?」

「いいよー、話なら学校でも出来るしね」

「じゃ、お先に失礼」

 

という事で俺と綾袮さんはエレベーターに乗り、千嵜と時宮さんは暫く前の俺達宜しく技術開発部へと足を向ける。……にしても、これは予想外だったなぁ…。

 

「…綾袮さんは千嵜の事知ってた?」

「あ、うん。わたしは妃乃から聞いてたよ」

「だから特に驚いてなかった訳か……世の中、何があるか分からんものだね…」

「そうだね。でも何でも分かってる、刺激も意外性もない世の中よりは分からない方がわたしはいいかな」

「…そりゃまぁ、ね」

 

そうして、今度こそ俺達は双統殿を後にし家へと戻るのだった。

 

 

 

 

園咲さんから電話がきたのは(かかってきたのは時宮の携帯にだが)、帰宅してから暫くした辺り…そろそろ夕飯を作るか、と思っていたところにだった。

いつもより手早く夕飯を作り、いつもより早く夕飯にした俺達は適当な理由を緋奈に話して家を出て、真っ直ぐに双統殿へと向かった。そして、これまで同様の流れで地下通路に入りエレベーターで上がって……御道と宮空と鉢合わせした。

 

「…偶然って、いつ起こるか分からんもんだな…」

「当たり前でしょ、いつ起こるか分かってたら偶然じゃないもの」

「そういう事を言いたいんじゃないんだよ…」

 

別にあの二人と会いたくなかった訳ではないし、御道には何が何でも知られたくなかった訳でもない。……が、こういう偶然って形で明らかにするのはどうもいい気分じゃないんだよなぁ…機会が向こうからやってきてくれる分、楽っちゃ楽だが。

 

「…ま、過ぎた事は仕方ないわよ。それより今の事を教訓にした方が賢明だと思うわ」

「…教訓?」

「えぇ、偶然によって隠し事が露わになる事もあり得るって教訓よ。…今の私達には、重要な教訓でしょ?」

 

それは、確かにそうだ。そんなの当たり前の事ではあるが…普段は当たり前過ぎて、気を付けてる筈が抜かってしまう様な事でも一度身をもって知れば気を付けられる様になる。そういう意味では教訓というのも頷けるし、教訓の為の犠牲も小さいものだったからある意味で今回の事は幸運とも言える。……物は言いよう、な気もするけどな。

 

「…園咲さんの用事、あんまり長くならなきゃいいんだけどなぁ」

「大丈夫じゃない?悠弥に見せたい物があるって話だったし、数十分位で済むと思うわよ?」

「見せたい物ってのが映画とかだったらどうするんだ」

「どうもこうも貴方と晶仔さんはそんな仲良い友達みたいな関係じゃないでしょうが…」

「いや分からんぞ?園咲さんがそこまで仲良くない相手に映画を勧めるタイプの人間かもしれないからな」

「どんなタイプよそれ、っていうかそれならそれで貴方よりずっと前から晶仔さんと面識がある私が知ってる筈だっての」

 

廊下を歩きながらその場で思い付いたボケをポンポンと放っていくと、時宮は無視せず律儀に突っ込んでくれる。…突っ込み気質なのかマメな性格なのかは知らんが(恐らくその両方という可能性が一番高い)、ボケてる身としてはありがたいなぁ…。

 

「ま、映画云々は冗談として…何なんだろうな。前にやった検査の結果に何か誤りでもあったんだろうか…」

「さあ。どうせ晶仔さんに会えば分かるんだし、無理に捻り出さなくてもいいでしょ」

「気になるんだよ…その通りではあるけどな」

 

そうして歩く事数分。技術開発部とかいうそのまんまな名称の部署へ到着した俺達は挨拶しながらそこへと入る。

 

「失礼しまーす。園咲さんはいらっしゃいますかー?」

「フランクな言い方ね…そこの貴方、部長呼んでもらえるかしら?」

「あ…はい。少々お待ち下さいませ、妃乃様」

 

初めに俺が言ったところ、何人かがこちらを向いてくれたものの「えーと…」って感じの反応を示してくれたものの、えーと止まりだった。続いて時宮が言うと、声をかけられた一人が深くお辞儀をして園咲さんを呼びに行った。……えぇ、なにこの差…不特定多数に言うのと、一人を名指しで言うのとでは確かに違うんだろうが…。

 

「…お嬢様はお得ですね……」

「は?…なにを言いたいのかはよく分からないけど、貴方は碌に知りもしない相手にフランクに声かけられたら普通に返せるの?」

「……俺、やっぱコミュ力に難があるんだな…」

「ちょっ、こんな所で落ち込まないでよ…」

 

時宮に皮肉を言ってみたところ、ぐうの音も出ない返答をされてしまった。…別に悔しくはないさ、ただ……そんな事にも気付かなかった自分自身が残念でな…。

…と、落ち込む事数十秒。我ながらすぐに立ち直ってしまい、どのタイミングで普段の様子に戻ろうか…と考えていたところで園咲さんがやってきた。

 

「よく来てくれたね、悠弥君、妃乃君。…丁度入れ違い、というところかな」

「丁度…あぁ、御道達の事ですか」

「その通りだよ。彼にも見せたい物があって、先程その用事を済ませたという事さ。…さて、着いてきてくれるかな?」

 

そう言った園咲さんは廊下へ。…って事は、俺に見せたい物は技術開発部で作った新装備…とかじゃないのか?……少なくとも本当に映画だった、ってパターンはないと思うが。

 

「晶仔さん、行き先はどこなの?」

「装備の保管庫だよ。物が物だけに、適当な所には置いておけないからね」

「適当な所には置いておけない、ですか…」

 

装備の保管庫、という事は装備…武器か何かなんだろうが、それが分かっただけじゃ気になる気持ちが収まる訳もなく、むしろ今度はどんな装備なのか…という疑問が生まれてくる。

 

「……まさかなんかの条約に引っかかる物とかじゃないですよね?」

「私の首が飛ぶ様なものではないさ。何せ、時宮家の当主様直々に頼まれて用意したものだからね」

『へ……?』

 

同時に驚きの声を上げる俺と時宮。宗元さんが依頼して、俺に見せたいって……え、何?マジで何?聞けば聞く程疑問が強くなるってどういう事?

なんて思う事数分。園咲さんに案内されたのは、保管庫というには些か豪華な部屋だった。

 

「え…ここって……」

「……さ、これだよ」

 

この場所について何か知っているのか、時宮は怪訝な様子。そんな中、ある装備群の前で足を止めた園咲さん。あぁ、やっとご対面だ…と思いながら、その装備へと目を向けた俺は……絶句した。

 

「な────ッ!?」

 

直刀に、短刀に、刀の柄らしき物に、突撃銃に、拳銃。何も知らない霊装者からすればなんて事ない、二つの刀に二つの銃に刀の柄。…けど、俺は知っている。覚えている。馴染みがある。だって、これは……

 

「……悠弥?」

「…園咲さん、どうしてこれが?」

「当主様が保管していたらしい。理由までは詳しく聞いていないから、気になるなら当主様の方に聞いてくれるかな」

「保管も宗元さんが、か…」

「保管?え、なんの事?ちょっと、どういう事よ?」

「あぁ…これは彼の装備なんだよ」

「これが悠弥の新装備として用意された、ってのは分かってるわ。そうじゃなくて、どうしてこの装備にお祖父様が関わるのかっていう……」

「そうじゃないんだ。彼の装備というのは……」

 

 

 

 

 

 

「──昔の俺が、転生する前の俺が使ってた装備…って事だ」

 

例え何年前の事でも、文字通り自身の剣であった武器の事は見間違いようがない。ただそれでも完璧には覚えていないのか、俺の記憶の中にあるものと今目の前にあるものとでは細部に違いがあるものの……これが俺の使っていたものだという事は、感覚的に理解出来ていた。

 

「…そっ、か…そうなの、だからこの部屋だったのね…」

「なんだその含みのある言い方は…」

「ここは、お祖父様が部隊長だった時の戦友や部下の装備が飾ってある部屋なのよ。貴方ならちゃんと見れば分かるんじゃない?」

「…言われてみると、確かに見覚えのある装備ばっかりだな……」

 

見回してみれば、ここにあるのはどれも使い込まれて年季の入った物ばかり。そして、昔の俺の先輩や宗元さんの同僚が使っていた様な気がする物も沢山あった。

 

「……宗元さんは、こうして俺等の装備を残していてくれたのか…」

「解体してリサイクルしてない辺り、思うところはあるんでしょうね。…ところで晶仔さん、見たところこれだけは年季が入ってないどころか新品に見えるんだけど…」

「見える、ではなく実際に新品だよ。正確にはリメイクだけどね」

「あ…だから多少違いがあったのか…」

 

時宮への返答は、同時に俺の疑問へと回答にもなっていた。リメイク版、という事を踏まえてもう一度装備を見直してみると…確かに、感じていた細部の違いというのは傷やすり減った後の有無である事に気付く。…そら、リメイクしたならそういう部分は未使用の綺麗な状態になってる筈だよな。

 

「では、そろそろ説明に入ろうか。使い方は説明不要だろうけど、何をどうしたかは元の持ち主に説明しない訳にはいかないからね」

「何をどうしたか、ですか?」

「何をどうしたか、だよ。まず直刀と短刀だが…刃はほぼ完全な流用だ。勿論打ち直してあるし、柄や鍔は同じデザインの別物なのだがね」

「刃の素材が同じ、ってところですか…でも何か違う様な…」

「それは悠弥自身の問題じゃない?転生直前と今とじゃ違う身体なんでしょ?」

「あ、そうか……」

 

感覚や知識は前世のものを引き継いでいても、身体は完全に別物。そうでなくても手に取る事で伝わる重さや握り心地は筋肉量や手のサイズによって感じ方が変わるんだから、言われてみれば昔と全く同じ…なんてそっちの方があり得ない。更に言えば、柄は使っていくうちに握り跡が付いたり表面がすり減ったりして手に馴染むものである以上、新品状態のこれと昔とで同じ感覚というのは絶対無い。……要は、昔と同じ感覚では扱えないって事だよな。まぁ昔だって、新品で使い慣れてない状態のこれ等を使い続ける事で俺が慣れていった訳だが。

 

「次はこの二丁の銃だね。開発技術が第三次大戦の時点で一定の完成に達し、単純な上位下位の関係から発展・派生の関係へと移っていった近接実体武装と違って銃火器はそれから現代までてかなり進化しているから、先程の二本の様にそのまま流用…という事は出来なかった」

「…その割には、変化らしき変化が見られませんが…」

「そう。構造は変えざるを得なくなったから、代わりに外装の再現に力を入れたのさ。中身を別物にしつつ、外見を変えない…というのには苦労させられたよ」

「な、なんかすいません…」

「これも仕事の内、君が気にする事はないよ。…それでは最後にこれだね」

 

置かれていた五つの武器の内、残ったのは後一つ。……正直その最後の一つは武器と言っていいのか微妙な状態だが…「端材で作ったんだ、格好良いだろう?」なんて事ではない筈。幾ら天然な園咲さんでもそれはないだろう、うん。

 

「…悠弥君、これの元がどんな物だったかは覚えているかな?」

「あ、はい。これは…というよりこれも直刀でした。…まぁ、最後の戦いでへし折れてしまいましたが…」

「え、何?って事は悠弥、貴方生意気にも二刀流なんてしてたの?」

「状況によりけりで、いつも二刀流してた訳じゃねぇよ。後、今の俺はともかく前の俺は時宮に生意気呼ばわりされる筋合いはねぇっての…」

 

本来刀で二刀流する場合は、二本とも短めの刀を使うのが一般的(そもそも二刀流は一般的な技術じゃないが)だが、霊力付加で強化されてる霊装者にとっては関係のない話。……だからなんだって話だけどな。

 

「それは悪かったわね。…で、その折れた刀をどうしたの?折りたたみナイフみたいな構造に作り変えたとか?」

「いいや。他の武装との兼ね合いを考えて、これは収束刀…ビームソードにしてみたよ。これは根本から変える形になってしまったけど…駄目だったかい?」

「あー…駄目かどうかって話なら、何してくれても構いませんよ?そりゃ、俺の装備が残っててそれをリメイクしてもらったってのは感銘を受けましたが、少し前までは自分の装備の事なんて完全に忘れてた位ですし」

「それならば良かったよ。後は、これ等の運用データと感想を今後貰えれば私は満足かな」

「あ、俺が使う事前提なんですね…まぁ使いますけど…」

 

折角用意してもらった物を無下にするのは気が引けるし、万人用に作られた量産品より元々使ってた武器のリメイク品の方が戦う上でもプラスになるのはほぼ確実。…つー訳で、ありがたく使わせてもらうとするかな。十分なデータ取れる程戦闘する羽目になるのは嬉しくないが。

 

「…それじゃ、受理させて頂きますね」

「お祖父様が残していてくれて、晶仔さんが貴方の為にリメイクしてくれた武器なんだから、乱雑に扱うんじゃないわよ?」

「へいへい…。…にしても、そっか……」

「……悠弥?」

 

一つ一つ手に持ち、構えてみたり軽く振ってみたりする俺。最初はぽけーっと前に使っていた時の事を思い返してみていただけだったが……段々と、懐かしい気持ちになっていく。

 

「……世の中、見方が変われば感じ方も変わるもんだな…」

「…はい?いや、それはそうかもだけど…何よ急に」

「思ったんだよ。前の…転生前の俺は家族の事や一般常識なんざ碌に知らないのに戦闘の知識と技術だけは一丁前にある、不幸な奴だと思ってたが……今振り返ると、不幸な『だけ』の奴じゃ、なかったんだな…って」

「……そう…なら、それが分かってよかったじゃない」

「あぁ。本当にありがとうございました、園咲さん」

 

頭を下げ、宗元さんにも礼を言いに行った後に帰る俺と時宮。昔の俺は持っていないものばかりだったが、仲間や尊敬出来る人物というのは確かに居た。俺はそれだけで幸せ…なんて思える様な殊勝な人間ではないが、それでも……不幸なだけの奴、と考える事だけは絶対にしないでおこうとその時思った。

……でもまさか、そう思ったきっかけが武器とは…ほんと世の中何が起こるか分からないもんだな。

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