「最近うちの同居人の様子がちょっとおかしいんだが」
「はぁ?」
「同ちょ」
「うっさいわボケ」
ある日の放課後、千嵜が激しく意味の不明な事を言い出してきた。しかも元ネタに合わせて略してきやがった。……なんだコイツ。
「お前、今日は突っ込みも地の文も冒頭から辛辣だな…もしかして機嫌悪い?」
「いきなり意味の分からん事を言われてしかもそれを略されたら誰だってこういう反応するわ…多分」
「いや誰でもはしないだろ…まあいいや、おかしいんだが」
「……俺にどうにかしろと?」
「出来るなら頼もうと思う」
「いやいやいや…」
実情がさっぱり分からない相談(まずこれは相談なのだろうか…?)に対し、即どうにかしよう!…とは流石に言えない。っていうかまず、ちゃんとした説明が欲しい。だってほんとに意味分からないし。
「えーと…妃乃さんに何かあったの?又は何かしてるの?」
「どっちかって言うと前者だな」
「はぁ…で、具体的には?」
「さぁ?」
「…そういや依留ちゃ…天凌さんから集会の進行表確認頼まれてたな…今日の内にやっておくか…」
「待て待て御道。友人と生徒会活動でお前は生徒会活動を取るのか?」
「取るよ、現状おかしいのは誰よりもまず千嵜なんだから」
「今日マジで辛辣だな…真面目に話すから聞いてくれ」
誰のせいで辛辣な対応になってると思ってるんだ…と言おうと思ったけど、千嵜が先んじて反省した為言うのは保留。真面目に話すという言葉を信用し、俺は椅子に座り直す。
「あー…先に言っておくが、別に俺はふざけてやろうと思ってさっき『さぁ?』って言った訳じゃないんだ」
「じゃ、どういう理由で?」
「なんつーか…何となく変なんだよ、何となく」
「何となくって…よくそれで他人に話そうと思ったね…」
誰だって間違う事は避けたいし、確証のない話をするのは自信がいるもの。それが趣味やふと思った事程度ならまだしも、誰かの事を『何となく変な気がする』と言うのはそれなりに抵抗を感じるようなものだと思うんだけど…千嵜はそういう感性を持っていないんだろうか。……俺を信頼して何となくレベルの事でも話してくれた、とかなら悪い気はしないけど。
「同じ家に住んでるからどうしても気になっちまってな…このままだと気になる気持ちが態度に表れて、それで妃乃に怪しまれるとかありそうだから御道に話を持ちかけた…って訳だ」
「ふぅん…なら最初ボケたのは?」
「それは小粋なジョークだとでも思ってくれ」
「そうですか……何となく変って言われてもなぁ…」
俺も何となく変だとか、何となく気持ち悪いだとか思う事はあるけど、それを的確に言語化するのは難しい。だから何となくって表現自体は別に否定しないけど……それだと言える事も限られてくるんだよね。何せ『何となく』は、第三者にとってはその中身が全く見えてこない言葉なんだから。
「…一番手っ取り早いのは本人に訊いてみる事だと思うよ?」
「それが出来るなら相談を持ちかけたりなんてしねぇっての」
「ですよねぇ…じゃ、最近妃乃さんを怒らせるような事した?」
「してない…と思う。勿論断言は出来ないが…」
「だったら千嵜、ここのところ奇行を繰り返してたりは?」
「俺がヤバい感じで引いてたって可能性か?……ないと信じたい」
怒らせてないかどうかを断言出来ないのはまぁ仕方ないが…奇行に関しては自信を持ってないと言えなきゃ駄目だろう千嵜…。
と、それはさておき更に俺はありそうな線を考える。人の様子が何となく変になる理由なんて幾らでも思い付くけど…現実的に、ってなると一気に難しくなる。何せ考える上での条件が一気に増えるからね。
「ふーむ…やっぱり妃乃さんの事だし、真面目な考え事とかかねぇ…」
「一般相対性理論についてとか?」
「いや相対性理論についてかどうかは知らないけど…というか『真面目な考え事=一般相対性理論』っていう発想はちょっと馬鹿っぽい…」
「うっせぇぶっ飛ばすぞ」
「知性の品格が欠片も感じられないね!?一般相対性理論言ってた千嵜はどこ行ったし!」
理論もぶっ飛ばすもネタとして言ってるんだろうけど…それでも発言の落差が凄かった。因みに勿論相対性理論について考えてる人は馬鹿、なんて言いたい訳じゃないので悪しからず。
「…まぁ、今聞いた情報からじゃ確証のないざっくりとして可能性しか挙げられないよ。もう少しどう変なのか、とか変になるまでの経緯とかが分からなきゃ」
「だよな…悪い、面倒な話しちまって。またなんか分かったら改めて話すから、その時は頼む」
「あいよ、早めに理由が分かるといいね」
立ち上がり、鞄を持つ俺。今後千嵜が推理に役立つ情報を得られるかどうかは分からないけど…妃乃さんは知り合いだし、これは乗りかかった船。出来る限りは協力したいものだよね。
「そういや、今日妃乃さんは?」
「あー、なんか帰りにどっか寄るって言ってたな。どこに寄るのかは覚えてないが」
「…今度出かけた時に後をつけてみたら?何か分かるかもよ?」
「見つかった場合が怖いんだが」
「あ、それもそうか…」
立場はどうあれ千嵜は男で妃乃さんは女なんだから、尾行がバレたら不味いのは明白な事。しかもその中で変に思ってた事までバレる可能性高いし…我ながら下策だったなぁこりゃ。相手が綾袮さんなら散々からかわれるのと引き換えに上手く誤魔化せるかもしれないけど。
「妃乃がアホなら尾行してもバレないんだろうけどなぁ…」
「そんな事言ったってしょうがないでしょうに…」
「分かってるっての。んじゃあな」
「うーい」
今後どうなるかは分からないが、どうなっていくかは千嵜次第。だから俺は考える上で有益そうな情報を千嵜が得られる事を祈りつつ、自宅……ではなく進行表確認の為に生徒会へと向かうのだった。
*
魔人らしき存在に忠告を受けたあの日以降も、私に対する視線は続いていた。この視線がただ見られているだけのものじゃなく、『監視』の為のものだって知って以降は鬱陶しく感じてしょうがなかったけど…耐えるしかない。じゃなきゃ相手の油断を誘えないんだもの。
「ふぅ…やっぱり定番に外れはないわね…」
とあるお店から出る私。と言っても別にこのお店は魔人や霊装者に関わりがあるとかじゃない、本当に普通のお店。…ただ寄りたかったから寄っただけよ、ここは。
「…そろそろ、日焼け対策も必要かしら」
既に一日の中で一番暑い時間帯を過ぎたにも関わらず、太陽はまだ日向と日陰がくっきりと分かれるレベルの日光を放っている。これから更に日が強くなるんだから、日焼け止めのストックも確認しておかないと…。
「…………」
そんな事を考えながら、私はゆっくりと歩く。概ね自宅の方向へ、でも最短ルートは通らずゆっくり帰る。…帰りたくない訳じゃない。ゆっくりなのには、ちゃんとした理由がある。
(どこまで私の推測が合っているかは分からない…でも、ここで釣れてくれれば……)
極力感情を顔に出さないように、何の気なしに歩いてるように振る舞って、その時を待つ。もしかしたら空振りに終わるかもしれないけど…やるだけやってみる。そして、そんな思いを抱きながら十分程歩いていると……
「…探るのが駄目なら、自ら足を運ばせよう…そういう魂胆ですか」
(──来た…ッ!)
……前回とは違う、けれど同じ何かを感じる少女が私の前へと現れた。
「…魂胆なんて、そんな…私は散歩をしていただけよ」
「…………」
「…って、流石にこれはバレるか…そうよ、一方的に見張られてるだけなのは気に食わないもの」
少女が現れたのは、丁度道路に私以外の人がいなくなった瞬間。前回の事から考えても、これは恐らく偶然じゃない。…一般人なんて魔人からすれば危険でもなんでもないでしょうに…やっぱり慎重派なのかしら…。
「貴女の気は知りません。大人しくするならよし、そうでなければ…と言った筈です」
「外をうろつくのも駄目なんて、そっちは中々神経質なのね」
「…口は慎んだ方がいいと思います」
「そうね、頭の中に留めておくわ」
淡々と話していく少女に対し、私は辛口を叩きつつ考える。ただ会話するんじゃ何の意味もない。上手く情報を引き出して、逆に魔人には間違った認識を与える事が出来なきゃ、楽でもない選択肢を取った甲斐がない。
(…雰囲気が違うわね……今回は、ちゃんと話してる…?)
前回と違って、今回は言葉のキャッチボールが成立している。それに今会話している少女と比べると、前の女性は『言わされている』感じがあったような気がする。一方的に言うだけで、言わされている感じのあった前回と、会話が成立していて、本人が考えて言っている感じの今回。その違いが意味するのは、一体なんなのか。
「…一つ、訊いてもいいかしら?」
「…何でしょう」
「どうしたら、私への監視を止めてくれる?」
「……それはお答え出来ません」
「不親切ね」
「…………」
沈黙を貫く少女。元々素直に答えてくれるとは思ってなかったし、反応も予想から大きく離れるようなものじゃなかったけど……この瞬間私は、何か違和感を感じた。何かが気になる。魔人の全容に関わる、何かしらの手掛かりが今のやり取りの中であったような気がする。…けど、それが何なのかまではまだ分からない。
「嫌なものなのよ?一方的に見張られてるんだもの、気が休まらないわ…」
「ならば、こちらの要求を忠実に遂行する事です」
「そうしていれば、監視はその内止めてくれると?」
「…お答え出来ないと言った筈です」
目元に手を置き、残念そうに身体を反転。少女が見る中私は気取られないよう全力で『普段の私』を演じながら、少女に向けて本気の霊力探知をかける。手を置いたのも、相手に背を向けたのも、その為の演技。
大概の魔人は力ある霊装者と同じように探知の目を逃れる事が出来て、その技能の持ち主が能力を一切使っていない時に探知で発見するのは至難の技。でも、それは力を内側で制御し切っている状態ならばこそであって、少しでも能力を行使している状態なら…力を外側へ発揮している状態なら、その技能に競り勝つ事は不可能じゃない。そしてこれまでのケースを全て考えうる限り……今魔人が能力を行使している可能性は、間違いなくある。
(気付かれればそれでお終い…でも危ない橋を渡る位しなきゃ何も得られない……例え直接戦闘をしてなくても、魔人は魔人って訳ね…)
ここに殺気はない。武器の振るわれる音も、命の危機も無いけど……戦闘中にも何ら劣らない駆け引きは、確かにあった。…いいじゃない…これ位の緊張感があった方が私もポテンシャルを発揮出来るってものよ…!
「…貴女、前回の人とは違うのね。それとも前回とは違うように見せてるのかしら?」
「そのような事を答えるとでも?」
「ほんと秘密主義ね…けど、貴女は答えなかった。だからそれはそれで情報になるわ、ありがと」
「…………」
「ここは適当にでも言葉を返すのが正解よ。じゃなきゃ焦って口を噤んだって事が丸わかりだもの」
全力で探知をかけながらも、少女へ心理戦を仕掛けていく。策を巡らせている緊張感の中でこの二つを両立させ、その上で平然を装うのは相当な集中力を要する事だったけど……私が両親から受け継いだ才覚と、ずっと培ってきた経験が、それを実現させていた。
あくまで会話はダミーとして、でもそのダミーでも極力情報を引き出そうとしながら、本命の探知を続けていく。気を見計らって少女に向き直り、そして……
「素っ気ないし、まるで質問に答えないし…はぁ、そっちが私を信用してない事はよく分かったわ」
「信用に値するかどうかは、貴女の決める事ではありません」
「そうね、信用するかどうかは相手が決めるものだものね。…けれど、信用しない事が互いにとって賢明な選択なのかしら?賢明な選択こそが、お互いの利益となる筈でしょう?」
「そうでしょうね。…賢明な選択をして頂けるのを、期待しています」
さっきの私のように背を向け、そのまま歩いていく少女。それは距離を開ける為のものではなく、立ち去る為のもの。…結局少女は、最後まで淡々とした、他人事の様な雰囲気で話す人間だった。
少女の姿が見えなくなってから数十秒。完全に立ち去ったのだと判断したところで私は…大きな溜め息を吐き出す。
「……うぅ、疲れた…」
疲労を隠そうともせず肩を落とす私。ここは普通の路上だからないけど、椅子かソファがあればそこへと腰を下ろしたいものね…。
「こんな事になるなら、もう少し考えて探索をするべきだったわね…今更言っても後の祭りだけど…」
たられば話程無意味な思考もそうそうないけれど、無意味だって分かっていてもそういう『もしも』を考えてしまう。そうした場合はそうした場合で何かしら厄介事があるかもしれないのに、たらればで考えた結果をベストかの様に思ってしまう。それは、誰でも変わらない。
「……でも、見方を変えれば別の魔人の早期発見に繋がったとも言えるわよね…」
過去を後悔してしまうのは、どうしようもない人の性。だから大事なのは後悔するかどうかじゃなくて、後悔した後どうするかどうか。その後悔を糧に出来るか、後悔の中に良かった部分を見つけられるかどうか。そして私は、いつまでも後に引きずるタイプじゃない。
「……よしっ」
下がっていた肩を持ち上げて、私は家へ向かって歩き出す。もう私に嘆こうなんて気持ちはない。既に私は先を、これからの駆け引きの事を考えている。
(まだ先端の毛一本程度だけど……それでも尻尾は掴んだわよ、魔人)
今後の対魔人プランを頭の中で構築していく私。私の頭の中には……ほんの僅かだけど確かに少女から感じた、魔人の力のイメージが残っていた。
*
「うーん…」
今日のお夕飯の時、顕人君は悠弥君から妃乃について相談を受けた、という話をしてくれた。義理を重んじる(タイプな気がする)顕人君が話のネタにしたくてこれを話してくれたとは思えないし、多分それはわたしなら何か知ってるんじゃないかと考えたからだと思う。……でも、わたしは力になれなかった。
「妃乃が、かぁ……」
うろうろー、っと部屋の中を歩き回るわたし。元々妃乃は頭の中でごちゃごちゃと考えるタイプで、だからその思考がピークレベルになると雰囲気なんかもちょっと変わったりするんだけど、それは家族や幼馴染みのわたしならばこそ分かる事。でもわたしが知らなくて、悠弥君が気付いたって事は…普段のそれは違う、って事だよねぇ…。
「何があったんだろう…それか、何かをしようとしてるのかな…?」
妃乃の考えてる事が一体なんなのか想像するわたし。何かサプライズを用意してるとか…はないね。そういう件ならわたしに話振ってくるだろうし。で、病気や怪我を隠してる…なんてのもないよね。妃乃って基本はしっかりしてるから隠すのが正しい選択ではないって分かる筈だし。…だとしたら…まさか悠弥君に恋とか!?
「……っていやいや、それこそ一番ないって!妃乃が恋してその相手へ態度がおかしくなっちゃうなんて、全くもって想像出来ないもんね!」
なんか妃乃にも悠弥君にも失礼な事言っちゃった気がするけど…ほんとに想像出来ないんだもーん。妃乃ってば自分の恋愛に関して話す事なんてまず無いし。
「…でもそうなるとほんとになんなんだろ…政治的な事だったらやだなぁ……」
協会における派閥だとか政治論争なんて、わたしからすればなんにも魅力を感じられない。『宮空家の娘』という立場の恩恵は間違いなく受けてるんだから「面倒だから知りませーん」なんてスタンスは流石に取らないけど…それでもやっぱり極力避けて通りたいよね。…あ、そうだ。おかー様とおとー様に何か知らないか訊いてみようかな?
…と、わたしが思った瞬間ポケットの中で鳴る携帯。誰かな〜と思って画面を見てみると、そこに出てたのは妃乃の名前だった。
「わ、凄いドンピシャなタイミング…」
居留守なんて使う理由がないから勿論出るわたし。元々今考えてた事は今日顕人君から聞いたものだし、この件に関する話かも…と思う中、珍しく妃乃は一方的に話を進めてくる。
「綾袮、今日という今日ははっきり言わせてもらうわ」
「あ、うん。……え?何?妃乃早速ご立腹…?」
「貴女はいつも私を素直じゃないとか面倒な性格してるとかうざったいとか言うけど、私からすれば貴女が単純な思考をし過ぎてるのよ」
「い、いやあの…妃乃さん……?」
常日頃からわたしは妃乃をからかってるし、妃乃の中で鬱憤が溜まってたとしてもそれはおかしな話じゃないけど…こんな問答無用で怒ってくるレベルに溜まってたの?っていうか、わたしうざいとは一言も言ってないよ?わたしは妃乃を幼馴染み兼親友と思ってるんだから。
「綾袮はいつも単純で短絡的だから分からないんだろうけど、私はちゃんと理路整然とした思考をしてるのよ。単純思考は別に否定しないけど、自分基準で考えるのは止めてくれる?」
「い、いや待ってよ妃乃…話が読めないし次々と酷くない…?」
「酷いも何も事実でしょう?」
「いや何割かは事実だけどだとしても酷いって!…そんなに怒ってたの?それなら謝るけど…」
「謝れば良いって思ってるならそれは大間違いよ。反省して、考え直して、次に繋げる位は最低限してくれなきゃ腹の虫が収まらないわ」
「…幾らわたしに非があるとしても、そこまで言うのはないんじゃない?」
妃乃はいつもなら怒ってもどこか温かみを持っていてくれたのに、今日はそれを全然感じない。それ位怒ってるんだ、って事かもしれないけど…それにしたってこんな言われ方をしたら、わたしだって素直に聞こうとは思えない。そこまで言うならわたしだって、って気分になるんだもん。
……でも、妃乃は止めない。
「私はずっと不満を持たされてたんだから、これ位言う権利はあるわ。そっちだって非があるって分かってるなら黙って聞きなさいよ」
「権利って…黙って聞けって…そんな事言うならわたしだって怒るよ?第一わたしに直してほしいならこんな言い方する必要ないよね?」
「何よ、私に説教する気?…はぁ、言えば直るかと思ったけど、これは私の見込み違いだったみたいね…」
「……っ!ヒメっ!」
失望した。そう言いたげなヒメの言葉が聞こえた瞬間、わたしは頭に血が上った。ヒメが…ヒメがそんな人だとは思ってなかったよ…!幾らわたしとヒメの間柄だって、やっていい事と悪い事が──
「とにかく!…私は発言も行動も考えて行ってるんだから、安直に受け取るのは止めて頂戴。ちゃんと考えて、なにが真実なのかきちんと見極めなさいよね。それだけよ」
「────ッ!……あ…も、もう切ってる…」
携帯から聞こえるのは、通話を終了した時のあの音。妃乃は宣言通りはっきり言って、言いたい事だけ言って、それだけよって言葉通り切ってしまった。
持っていた携帯を机に置いて、ゆっくりと息を吐くわたし。こんな事を言われるとは思わなかった。こんな事になってるとは思わなかった。…全く、もう……
「……今ので妃乃の真意に気付けるのなんて、わたし位なんだからね?」
妃乃が本当に伝えたかった事は何か分かったわたしは…相変わらずわたしより頭が良くて、でも不器用な幼馴染みの事を思って口元を緩ませるのだった。