双極の理創造   作:シモツキ

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第七十三話 予定一つ立てるにも

豪華な設備…がある訳ではなく、一般生徒には入るのも躊躇われている…という事もなく、まぁ個性的と言っても常識の範囲内に留まっている生徒会執行部役員が使う、生徒会室。その中で会長が、パクリ名言でも何でもない普通の報告を口にする。

 

「…って訳で、基本夏休み中はここで作業してもらう事はあっても全体で集まるって事は基本無し。けど何かあった場合は呼ぶかもしれないから、そん時は宜しく!」

『はーい』

 

席から立つ事もなく言う会長に、役員はパソコンで作業したりカレンダーで日程確認したりしながら生返事。それに会長は「ゆっるいなぁ、相変わらず…」みたいな顔をしているけど、別に何か言ったりはしない。…割と普通なんだよな、現実の生徒会って。

 

「じゃ、後は各々流れ解散で。夏休み明けすぐに生徒会としての活動もあるから、それの確認だけは頼むぞー」

「会長はこの後残ります?」

「いいや帰る!俺はもうこなすべき仕事はこなしたからな!」

「そ、そうっすか…」

 

言うが早いか会長は鞄を手に。…この人、仕事はきっちりやるし、カリスマって程じゃないものの人望もある人物だけど…なんだろうね、この微妙に感じる会長らしくない感は。

 

「あ、じゃああたしも帰ろっと。最後に出る人、窓の閉め忘れに気を付けてね」

「オレはこれだけは済ませとくか…家だとやってもどっかいっちゃうそうだし…」

 

会長と同じく仕事が済んでいたり、済んでなくても家で片付けられるものだからと終えたり、キリのいいところまで進めたり…それぞれで判断しながら、一人、また一人と生徒会室から去っていく。春や秋なら残って駄弁る事もあるけど…今はそんな事しようと思う季節じゃない。余程話したい事があるならともかく、そうじゃないなら雑談よりクーラーで冷えた家に帰る事の方を優先するよね。

そうして人が減っていった結果、残ったのは俺を含めた二人だけに。

 

「…大変そうですね。手伝いましょーか?」

「いやいいよ。自分が休んで溜まった仕事は、出来る限り自分で片付けたいし」

 

横の方から聞こえた声は、後半にいくに連れ横から前に。顔を上げてみると、案の定声の主は人のいない俺の向かいの席へと移動していた。

移動によって仄かに揺れているあまり長くはないポニーテールは、青みを帯びた紫。こちらを見ている瞳は、素直そうな印象を受ける薄緑。涼しげ…ではないものの、表情からは然程暑さを気にしていない様子が見て取れる。

 

「真面目ですねぇ、先輩は」

「真面目ってか、自分の都合で溜まった仕事を誰かにやってもらうのは、その相手に申し訳ないだけだよ。慧瑠はそうじゃないの?」

「いや別に。サボりとかならともかく、事情があって休んだなら仕方ないって自分は思いますし」

「あ、そう…うーん、これは真面目とは違うと思うんだけどなぁ…」

 

溜まってしまったのは、霊装者絡みで休んだ時の分の仕事。だから依瑠の言う通り、仕方ない事ではあるんだけど…代わりに仕事をやらなきゃいけなくなった人からすれば、そんなの知ったこっちゃない話。そう考えると申し訳ない…と思ってしまう俺は、異端なんだろうか…。そんな事を彼女…慧瑠こと天凛慧瑠に言われて思う俺。

 

「適当に流さず考えてる時点で、先輩は真面目なんだと思いますよ」

「…真面目って、そんな安いもんだっけ?」

「真面目と優しいは安いもんでしょう、それをピンからキリまで取り揃えてるのが人類ですし」

「ふ、深いね…」

 

真面目と優しいは突き止めれば幾らでも上があるし、逆に明確な基準がなくて曖昧なものだから、不真面目で非情な人間が言ったって一応は成り立ってしまう。…なんて事を即応的に答えられてる慧瑠もまた、結構真面目なんじゃないだろうか…。

 

「自分はなんとなーく思った事を言っただけですよ。それより先輩、先輩は夏休み旅行行ったりするんです?」

「旅行?…うーん、旅行っていうか出かける用事はあるけど…何故に?」

「ほら、『夏休み=遠出する』みたいなイメージってあるじゃないですか。でも自分はあんまりそういう事しないんで、ちょっと訊いてみたくて」

「へぇ……てか、仕事に集中させてよ…」

「おっと、これは失礼しました。ではどうぞどうぞ」

 

とても一日じゃ終わらない量…なんて事はないけど、今やってるのは別に面白い仕事でもないからさっさと終わらせたい。そういう思いで集中させてくれるように頼むと、すんなり慧瑠は頷いてくれた。……んだけど…

 

「……あの、依瑠さん…すっごい視線が気になるんですが…」

「あ、それ自分の視線ですね」

「うん、だろうね。この場じゃ慧瑠以外あり得ないもんね。…そうじゃなくて、止めてほしいんだけど…」

「止めろって…それじゃ暇になるじゃないですか。見慣れた部屋の中眺めても面白くないですし」

「…帰るという選択肢は…?」

「万が一先輩は誰かに手伝ってほしくなった際、誰もいないのは可哀相かと…」

「あのねぇ……」

 

会話がなくなった代わりに、そこそこ近い距離からの視線が超気になってしまった。普段は意識すらしない視線でも、一度気になってしまうと中々に厄介なもの。はっきり言えば…雑談より集中力削がれる……。

 

「…はぁ、じゃあいいよ黙ってなくても…会話とセットなら視線はあまり気にならないし…」

「それならお言葉に甘えて…と言いたいところですけど、別に話題がある訳でもないんですよね……定番の恋バナでもします?」

「それ修学旅行とかお泊まり会の定番だし、基本異性とするものじゃないでしょうに…」

「あー、そうですよねー。先輩って好かれるタイプではあってもモテるタイプじゃないですし」

「会話が噛み合ってねぇ…」

 

地味に酷い事をさらっという我が後輩。俺の言葉を聞いていなかったのか、わざと聞いていないような回答をしたのか…いや、これ絶対後者だな…。

 

「…っていうか、なんなの好かれるけどモテないって…いや分かるけどさ。要は友達としては…って事でしょ?」

「えぇ。先輩って、砂糖みたいなものなんですよ」

「砂糖?」

「女性って大体甘いもの好きじゃないですか。でも、だからって砂糖をそのまま食べる人は殆どいないですよね?…つまり、そういう事です」

「…悪かったな、そのまんまな男で…」

「いやいや、悪いとは言いませんよ?砂糖をそのまま食べる人だって世の中にはいますし、砂糖は色々混ぜて手を加えれば多くの人に好かれるものになるんですから」

「あそう…それになんて返せばいいか俺は分からないよ…」

 

綾袮さんのようにぶっ飛んでる訳じゃなく、ラフィーネさんのようにどう接したらいいか迷う訳でもないけど、どうも慧瑠は掴み所がないというか、何とも言えない気分になる事が時々ある。…てか、よく考えたら俺今、「今のまま好いてくれるのは特殊な人だけ」って言われてない…?表情からするに、そんな意図は一切ないんだと思うけど…。

 

「別に無理に返してくれなくてもいいですよ?何も真面目な話してるんじゃないですし」

「じゃ、適当に聞き流してもいい?」

「それが仕事を進める上での最適な選択なら、どーぞ」

「あ……しまった全然手を動かしてなかったぁぁ…」

「…集中出来ないのは、先輩側にも何か問題あるんじゃないですかね……」

 

…なんて話しながら仕事をしていた結果、飽きなかった事と引き換えにまあまあな時間がかかってしまった。…何やってんだか、俺……。

 

「ふぃー…やっと終わった…」

「お疲れ様です。これで心置きなく喋れますね」

「そうだね…ってそれ目的にしてないから!俺帰るからね!?」

「えー…まあいいですけど」

 

そんなに俺と話したかったのか、と一瞬思ったものの、反応からして残念そうには思えない。多分そういうネタだったんだろう。

そう思って荷物を鞄にしまい、立ち上がる俺。そこから俺は扉の方へ向かうが…慧瑠は何故か座ったまま。

 

「……?帰らないの?」

「あ、自分まだ荷物の片付けしてないんで」

「話してる暇あるなら先に片付けなよ…っていうか、話しながらも出来たでしょう…」

「あはは、そうですよね。返す言葉もないです」

「…俺、先に帰るからね。お疲れ様」

「はい。さっきも言いましたけど、お疲れ様です、先輩」

 

苦笑いで肩を竦める慧瑠は、あまり気にしている様子がない。まぁ片付けなんて時間のかかるものじゃないし、誰かに迷惑かけてる訳でもないんだからそこまで気にする必要もないんだけど…ほんとに、慧瑠は掴み所がない。

もう千嵜も綾袮さんも帰っているだろうから、今日の下校は俺一人。でもだからって何か思う事もなく、慧瑠との会話を適当に思い出しながら帰路に着く俺だった。……さぁて、今年の夏休みはどれだけ休みを満喫出来るかな。

 

 

 

 

「顕人君!わたしは夏休みの予定を立てたいと思います!」

「……はい?」

 

夕飯の準備中、後ろから謎の宣言が聞こえてきた。唐突過ぎてびっくりなんだけど…俺に対して言われてるんだよね?名前呼ばれたし…。

 

「思います!思っています!」

「……ど、どうぞ」

「どうぞ、じゃないよ!わたしが一人で考えるとでも思ってるの!?」

「なんで俺はそんな強い口調で言われてるの…確かに一人で考えるつもりならわざわざ俺に宣言する必要もないだろうけどさ…」

 

綾袮さんの調子にはそこそこ慣れた俺だけど、発想にはまだ慣れていない…というか、妃乃さんすら翻弄されるんだから、多分完全に慣れる事なんて出来っこない。

 

「…で、なんでまた急に?…いや明日から夏休みだし理由は分かるけど…綾袮さんって、予定をしっかり立てるタイプだっけ?」

「ううん、わたしはその時その時を大切にするタイプだよ」

「いいように言い換えてるなぁ…だったら何故に?」

「いやー、去年は予定を立てずに夏休みを過ごしてたら、いつの間にか夏休みが終わりかけてたからね。折角の休みがそれじゃ勿体ないじゃん?」

「あぁ、そういう…(理由が完全に小学生だ…)」

 

一度中断していた夕飯の準備を再開しつつ、会話も続行する俺。完全に背を向けて話す形になるけど…仕方ないね。

 

「顕人君はそういう経験ないの?」

「俺?…そりゃまぁあるけど…休みに関わらず、人生って何でもそんなものじゃない?何かが始まった時は長いなぁと思うけど、終わってみればあっという間に感じてしまうって風にさ」

「そんな達観した意見言わないでよ…それはもうちょっと歳を重ねてから言うべき言葉だよ…」

「正直、夏休みはだらだらと過ごしたいです」

「もうちょっと活気ある事言おうよ!?え、何!?さっきから顕人君は中年のおじさんにでも乗り移られてるの!?」

 

確かに我ながら若々しさのない発言したなぁとは思っていたけど、まさか『中年のおじさんに乗り移られてる』なんて言われるとは…。…ちょっとショック。

 

「…乗り移られてる云々は別として、一片も後悔しないなんて無理だと思うよ?欲求なんて再現なく生まれるもんだし」

「でも、何となく過ごすよりは後悔減らせると思わない?」

「…まあ、そらそうだね。それで綾袮さんは、俺にどう協力してもらいたい訳?」

「んー…全部予定立ててくれたら、綾袮嬉しいな〜♪」

「じゃあ、まずは家事分担の予定から…」

「悩んだり困ったりした時助言を貰えると嬉しいかなっ!」

 

綾袮さんの調子良い言葉へ冷静に返すと、彼女はさっさとおふざけを引っ込めてくれた。…ウインクとかして一撃KO狙ってたのかもしれないけど、現在俺が見えてるのは切ってる最中の野菜なんだよなぁ…。

 

「…じゃ、決まってるところから話してみてよ。動かせない予定とかもあるでしょ?」

「はーい。えっとぉ…」

 

…という事で、予定構築開始。俺は手が離せないから当然予定を記録する事は出来ないけど、幾ら綾袮さんだってそれは分かってる筈。それに綾袮さん自身が助言を、って言ったんだからその心配をする必要はない……と、思う。

 

「…で、後は前に話した若手の集まりのやつかな。顕人君もここには予定入れないでよ?」

「はいはい分かってるよ。…結構多いね、動かせない予定」

「仕方ないよ、霊装者は夏季休業入れるような仕事じゃないし」

 

一通り聞いた後の、感想がまずこれ。動かせない予定が多ければ多い程、休み全体での自由が効き辛く予定も……って、

 

「…んん?…ねぇ綾袮さん。今思ったんだけど…夏休みの間にしたい事の中には、お祭りみたいに時期が限定されるものもあるよね?」

「あ、うん。あるね」

「なら、仕事と被ってない日にその限定される事柄嵌め込んでいけば、それだけでそこそこ予定が完成しない?動かせないのも一日二日じゃないんだし」

「…言われてみると、確かに…少し考えてみるから、ちょっと待ってて」

 

そう返した綾袮さんは、それから暫し沈黙。何か書いてる感じの音は聞こえないから、恐らくメモかカレンダーのアプリを使っているんだと思う。…まずは迷う余地のないもの、続いて選択肢が限られてる(ように見える)ものから片付ける…案外、予定作るコツってパズルと似通っているのかも。

 

「……うーん…」

「…何か困るところでもあった?」

「困るっていうか…ブレイク直後の芸人さんみたいな予定になっちゃった。ほら」

「……おおぅ…」

 

数分後、綾袮さんが差し出してきた携帯を見ると、確かに最初から最後までぎっしり予定が入っていた。…何というか、まぁ……。

 

「……欲張り過ぎじゃね?」

「ですよねー…」

 

幾ら予定が空いていたって、やたらめったら詰め込めばいいってものじゃない。予定は無理のないものにしなきゃ立てても意味がない…って、いうか……

 

「…入れたのって、全部やりたい事なの?」

「…正直に言うと…微妙……」

「微妙なのまで入れたらそりゃこうなるよ…」

「だよね…わたしも途中でそう思ったんだけどさ、一旦やれるだけやってみたくて…ほら、ブレインストーミング的な感じで」

 

途中でそう思ったなら軌道修正しなさい、とかブレインストーミングはちょっと違うでしょう…とか色々思ったものの俺はぐっと堪え、クールさの維持に努める。…何せ今は料理中ですからね…。

 

「だったら微妙なのは抜いてみなよ。それで物足りない予定なったら、抜いたのを一つずつ吟味してみたらいいじゃん」

「はーい。しかし顕人君は予定考えるの慣れてるねぇ」

「これ位そんな凄くもないと思うけど…というか、綾袮さんこそそんなに予定立てるの下手で大丈夫なの?」

「あ、それは問題ないよ。真面目に立てようと思えば一人で立てられない事もないし」

「へぇ……は?」

 

綾袮さんの返答をさらっと流しかけて……手を止める俺。え、何?この人今、真面目にやれば出来る的な事言った?言ったよね?つまり今は不真面目に予定立ててるって事?…やる気があれば一人で出来る事を、俺を巻き込みふざけてやってると……?

 

「…舐めてんだったら俺もカチンとくるなぁ…」

「な、何!?急にドスの効いた声出して何!?突然は怖いよ!?」

「おう言ってる事が分かりませんかねぇ綾袮さんよぉ…」

「肉を切った包丁持って振り向くのは止めて!?ちょっ、怖いから!肉片と血が付いた包丁はほんとに怖いんだって!」

 

低めの声で包丁持ったまま振り向くと、ほんとにビビってるのか流石の綾袮さんも数歩後退っていた。

 

「…あのさぁ綾袮さん。料理中は話しかけんなとは言わないけどさ、一人で考えられるなら一人で考えてよ…俺に訊けるからって適当にやられちゃ俺にも不満が残るから…」

「あ、あー……そっか、そういう事…ごめんね顕人君、嫌な気持ちにさせちゃって。…でも、そういう事じゃないの」

「…そうなの?」

 

包丁持って振り返ったからって、別にこれで制裁を与えてやろうなんて思っちゃいない。だから不満を抱いたんだって事を口にしつつ包丁をまな板に置くと綾袮さんは謝ってくれて、それから俺へと目を合わせてくる。

 

「折角の休みを楽しみたいから、その為に予定を立てようとしてる…っていうのは、分かってくれてるよね?」

「それは勿論」

「…だからだよ。楽しむ為の予定なら、立てる時も楽しみたいもん。一人で真面目ーにきっちりした予定を立てるなんて、楽しくないもん」

「…じゃあもしや、これまでの短絡的に感じられた部分は……」

「…うん、大体はわざと。…ほんとごめんね、ちゃんと考えてくれたのに」

 

わざと短絡的に考えるとは?…と思うものの、綾袮さんなら何となく出来るような気もする。そして何より……予定作りまで楽しもうなんて、何とも綾袮さんらしいじゃないか。『何』って字が多いのはさておきとして、綾袮さんはいつも通りの平常運転。ただ、内容が今回はちょっと特殊だったってだけの事。

 

「…全くもう…そのペースだと、これまでずっと振り回されてきた妃乃さんがその内ギブアップして離れちゃうかもよ?」

「あっはっは、まっさかー。…………」

「……綾袮さん?」

「……ぐすっ…そんな事ないもん…ヒメは一緒にいてくれるもん…」

「そんなに!?うわぁごめん!根も葉もない事言ってごめんね!」

 

撃墜でもされたのか、というレベルで下落を起こした綾袮さんのテンションに目を剥く俺。…愛されてますね、妃乃さん……。

 

「うぅ…うん?顕人君はギブアップしないの…?」

「俺?俺は単に名前出さなかっただけだけど…うーん……」

「…………」

「…これからもお手柔らかに、ね?」

「あ、はい。気を付けます……多分」

「多分かい…」

 

結局いつも通りの結論に辿り着く俺と綾袮さん。多分という点が非常に引っかかるけど…まぁ、それが綾袮さんだもんね。

とまぁ本題からはブレブレなものの、予定作りと夕食作りは進む。…っとそうだ、少しとはいえ手を止めちゃってたし、さっさと切り終えないとなぁ……。

 

「ふっふ〜ん。楽しい事考えると楽しくなるよね〜。お祭り花火にバーベキュー。あ、海とかも勿論行きたいかな!顕人君顕人君、顕人君って海とプールどっち派?」

「え?…海、プール…水着……」

「……?そりゃそうだね。着衣水泳は流石に勘弁したいし」

「……おっと」

「おっと?なんかあったの?」

「あはは。指切っちゃった」

「えぇぇ!?何爽やかに指ぱっくりさせてんの!?あ、あんまり深く切ってはいないみたいだけど…気を付けなきゃ駄目だよ!?」

 

俺は指を軽く切ってしまい、綾袮さんはそんな俺の様子に突っ込んでくる。…そんな他愛ない事をしていた、夏休み目前のある日でした。……なんでこのタイミングで指を切ったかは…分かるよね、きっと。

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