元よりマスター適正だけはないという特殊すぎる才能を持った彼女は、なけなしの271回目のサーヴァント召喚に挑戦するがーーー。
遥か遠い未来の王との邂逅により、彼女の運命は大きく変わってゆく。
皆は境ホラは好きかい?
僕は義康が好きさ。
いいよね義康は、イジリたいし甘えたいし傍に居て欲しいし剣とか武神の操縦とか教えて欲しいし一緒に里見を復興したいし本当に義康が好きなんだよ僕は。
……あれ、もしかしてキモい?
ーー人理継続保証機関フィニス・カルデア。
国連主催の施設であるその施設は、2016年以降の観測が不可能となってしまった未来を守るためのものであり、アニムスフィア家の所有する研究施設でもある。
その一画、守護英霊召喚システム・フェイトを用いて重要な儀式が進められていた。
現カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアのサーヴァント召喚である。
彼女は魔力回路の質や量において一流と評されてはいるが、サーヴァントの召喚に必要なマスター適正が皆無という、一種の呪いのような極端にすぎる特性を持っていた。
マスター適正がなければ、カルデアにおける最重要プロジェクトの人理修復に必要なレイシフトそのものが不可能であり、それをよしとしなかって彼女が、駄目元で召喚を行っているのである。
試行回数は約270回……、そのことごとくが失敗し、彼女の無惨な有り様には周囲の職員でさえも呆れていた。
「も、もう一回だけでもいいでしょ!? 次は出来るかもしれないわ!!」
オルガマリーはそう言いつつ、手に握りしめた星晶石を身やる。
サーヴァントの召喚には、星晶石と呼ばれる特殊な触媒が必要であり、彼女は270回分のそれを消費しきっていた。
手元に残ったのは残り一回分のもので、これが実質的な最後の挑戦になっていた。
「いいかいオルガ? 泣いても笑ってもこれが最後だからね」
システムフェイトとオルガマリーを強化ガラスで仕切られた観測室から見つつ言うのは、カルデアの顧問としてオルガマリーを補佐するレフ・ライノールである。
最も信頼するレフから告げられ、オルガマリーは召喚の儀式を行う。
儀式と言っても、システムフェイトに向かって星晶石を突きだすぐらいしか方法がないのだが、彼女は胸中でひたすらに祈っていた。
(お願い、誰か、誰か来てよ。誰でも良いから助けてーー)
すると、彼女の願いが通じたのだろうか、召喚陣から火花が舞い散り、光の輪が三つ現れた。
「遂に所長がサーヴァントを引き当てた!?」
「おお、やっと我々も休めるぞ……!」
オルガマリーの召喚に付き合わされた職員達が歓声を上げる中、コンソール上のモニターに観測されたデータに驚愕した一人のスタッフが、オルガマリーを見つめるレフに言葉をかけた。
「ライノール教授、システムフェイトからの魔力反応に異常が……」
「何? ……よく見せてくれないか?」
そう言うとスタッフの一人が、オルガマリーとの間に仕切られた強化ガラスに観測状況を巨大な観測された召喚陣と周囲の魔力反応を確認し、驚愕する。
オルガマリーとシステムフェイトの周囲には通常よりも遥かに濃い濃度の魔力が満ちており、まるで神代と同等と言うべきそれは、本来のサーヴァント召喚では先ず有り得ないものだ。
「危険だオルガ、今すぐ中止しろ!!」
ガラス越しのオルガマリーに、レフはスピーカーを通じて警告する。
しかし、彼の警告もとうに遅く、異常なまでに満ち満ちた魔力が奔流を描き、眩い閃光が司会を奪った。
強化ガラスに大きなヒビが無数に入り、モニターも含めた全てが砕かれ、彼女とシステムフェイトの観測を不可能にさせた。そして急速に光が終息すると、オルガマリーの悲鳴が見えぬ向こうから聞こえた。
「オルガ!? ーースタッフは至急所長の安否確認に迎え!!」
レフの発言に、周囲のスタッフが迅速に動き、オルガマリーの元へと急ぐ。
一度廊下へ出て、直ぐに隣の部屋へと入る馴れた行程を今は鬱陶しく感じた。
「所長、ご無事ですか……!?」
薄暗い部屋の中では、先ずシステムフェイトの召喚用サークルの前で腰を抜かしているオルガマリーが見え、その先の召喚用サークルの中で立つ姿が見えた。
スタッフが身構えると、サークルに立つそれは右の手を翳し、言葉を作った。
「あれ、俺って確かホライゾンに朝飯作ってた筈なんだけど、ここ何処よ!?」
サークルの中にいる彼の問いかけに、オルガマリーが答えた。
「こ、ここは人理継続保証機関フィニス・カルデアよ。……失礼だけど、貴方はサーヴァントよね?」
恐る恐る問い掛けたオルガマリーに、それは妙なポーズをしながら答えた。
「サーヴァント……て、何だよそれ? 俺は葵・トーリって言うんだけど?」
んー?顎に手を当てて考え込むサークルの中の男、トーリは暫しの後、思い出したかのような調子で言葉を作った。
「あー、あれか!? 何か知らねえ記憶とかあるんだけど、世界救うんだって?」
「え、えぇ……世界というか人理だけど」
「よっしゃ、世界救うってんなら任せとけよ。俺は何も出来ねぇけど、俺の仲間ならやれるからよ!」
……こうして、何の因果からかオルガマリー・アニムスフィアは一人のサーヴァントを召喚した。
本来ならば有り得ぬそれは、しかし人理修復の旅路を大きく変化させていくのであった。
CLASS:ライダー
真名 :葵・トーリ
マスター:オルガマリー・アニムスフィア
性別:男
ステータス:筋力E 耐久E+ 敏捷E 魔力E 幸運B+ 宝具EX
属性:混沌/善
クラススキル
・ 対魔力:なし
ライダーのスキルによって無効化、及び最低ランクに変貌している。
・騎乗:なし
ライダーの固有スキルによって無効化。元より無いものなのだが。
固有スキル
・字名『不可能男』:A
アーヴァンネーム、インポッシブル。
聖連(聖譜連盟の略称)によって名付けられた、字で体を表すもの。
運動においても勉学においても悪い成績だからこそ、彼は武蔵の総長兼生徒会長の立場に位置付けられた。
クラススキルを無効化し、サーヴァント本人の全体的なスペックをダウンさせる傍迷惑な謎スキル。
・カリスマ:B
軍団を指揮するのに不可欠な天性の才能。人々を惹き付ける才能でもあり、ランクBは一国の王として充分なもの。
人の感情や考え、そして彼らに何が出来るのかといったことへの洞察に優れた彼は、彼らのやりたいことが出来るように場を整え行動することに長けており、皆の願いを叶える優しい王様の証左でもある。
※FGOでは御約束の味方全体に3ターン攻撃力アップ
・ボケ術式:B+
性格には神道アマテラス系に連なる芸能系術式の一つ。
他者からの物理的、又は術式的攻撃を『漫才やコントにおけるツッコミ』として変換し、その結果を『観客にウケるリアクション』という形に矯正する、云わば因果を曲げる特殊スキル。
代演として常日頃からお笑い系の神を喜ばせるために芸を奉納し続ける必要があり、全裸であったり女装であったり奇声を上げるなどといった行動は、芸人として神へ見せる芸能である。
故に、彼は敵からの攻撃を無効化、若しくは著しい威力の減衰によって並々ならぬ耐久力を得ている。
※FGOでは3ターンのターゲット集中と1ターン無敵(確率)に3ターンのダメージカット(絶対)のミニマシュ。
・創作術式:A+
彼だけが保有する名称不明の術式。
芸能伸ウズメ系ミツバとの上位契約と共に可能となったもので、感情伝播を基本として応用したもの。
その効果は『自分の持ち得る物を他者へと分け与える』というものであり、『喜』の感情を常に奉納し続けることによって発動する常時発動型スキル。
後述の宝具との連動によって真価を発揮するが、『一瞬でも哀しみの感情を得れば、そのまま死亡する』という非常にリスクの高いもので、ライダー以外に使用できるものは先ずいない。
※FGOでは自身の持っている一部効果を味方全体に付与(例えば回避状態だと味方全体に回避付与が出来るが、デバフがかかっているとそれも付与してしまう使いどころの難しいスキル)。
宝具
・『武蔵の王と愉快な仲間達』(全竜よ、王の元に集え)
ランク:EX 種別:対軍(対城)宝具 レンジ:1~99
最大捕捉:1000
武蔵副王権限として、準バハムート級航空都市艦「武蔵」を召喚し、彼と共に戦った武蔵や他の教導院に所属さていた者達を現界させる大規模宝具。
ライダーが指揮していた総長連合及び生徒会や3年梅組を中心に武蔵アリアダスト教導院や旧三河戦士団を始め、里見や他勢力のメンバーも確率的(ほぼ強引に)参加できる。
マスターを含めて武蔵に乗り込めば最強クラスの空中要塞へ変貌し、宝具未展開の場合でも武蔵のメンバーが現界し、戦闘やその他雑事を行うことが多々ある。
武蔵副王権限により、上記の創作術式との連動でほぼ無限ともいうべき流体(この場合は魔力)を仲間に供給できるため、聖杯大戦やFGOのような仲間サーヴァントがいる場合には最高クラスのサポートを行える。
※FGOだと味方全体にマイターンHP&NP回復と各種ランダムバフを与えるギャンブル型マーリンになる。
此処まで書いてたら途中で頭の中で、宇宙と交信できたよ、oh majestic!!
ほぼ一発ネタだけど何かのリクエストとかもっと続けてほしいとかあったら感想欄にコメント宜しく(露骨な誘導)