とある邪なる左側《Fall en Diaboli》 作:まん丸のお肉ん
――夢を見た。
昨日つちみかどを背負って寮に戻ったら大事になってた。火災報知器鳴らしたうえ、しっかり燃え後も残ってたのだから無理もない。
野次馬を押し退けて敷地に入ろうとしたら有名な女子校の制服を着たツインテールの
エレベーター前まで行くと知った顔の少女が清掃ロボに乗ってそこにいた。
つちみかどの妹のまいかだ。
まいかは清掃ロボから降りて、代わりにつちみかどを清掃ロボに乗っけて自室に向かった。
その後、2階に置いてきたコンビニ袋を回収――なんて考えが甘かった。
2階に行くとそこにはちりも水滴も、ルーンの張り紙さえ残ってなかった。あの清掃ロボの仕業だろう。俺の夜食ぇ……
諦めて部屋に戻り空腹のままベッドに突っ伏して気付けば夢の中だった――
寝返りを打ったのか目を覚ますと真っ白な天井が視界に入る。
目覚めが良い。確かにそう感じ、どんな夢を見たのか思い出す為にもう一度目を瞑る。
――
――手を差し伸べ、助けてくれた
『なに超ダサい事してんですか?』
俺より背の低い少女は自分より背の高いガキ大将を倒し、こう言ったんだ。
『今度は私の事を超守ってくださいね』
ニッコリ笑ったその少女の笑みを俺は覚えてる。
見た夢の記憶はそこで途切れてた。
「あぁ、またかー」
懐かしい気持ちにもう少し浸りたいが今日は予定がびっしりだ。主に仕事なのだが……。
上半身を起こすと右腕に痛みが走った。昨日の傷を手当てし忘れていた。痛い。
消毒をしないで大き目の絆創膏を貼った後、スマートフォンを開くと、昨日かみじょーから電話が来てたらしい。が、それは無視してアレイスター宛にメールを打った。
内容は、今晩尋ねる。とだけ。
返信は待たずに仕事内容の書かれたメールを開く。
集合場所は第一一学区。仕事内容は物資搬入時と運搬中の護衛らしいが、貨物は間違いなく極秘の物だろう。なんせ、ただの貨物なら
黒いTシャツ、黒いスキニージーンズに着替え、黒いリュックにタンスの中からフェイスマスクと鴉の頭蓋骨のような仮面、フードの付いた黒いマントを突っ込み集合場所へ向かった。
------
第一一学区のゲートを通ったトラック1台の中型トラックは2台の黒い車に挟まれながら走行している。聖耶は後ろの車の助手席にいた。
『えー、一つ質問なんすけどいいすかー?』
仮面の内側に付いたマイクを通った聖耶の声は内蔵されたエフェクターを通り、外側に付いた小型スピーカーから平坦な声となって出力された。
「言える事にも限りがあると思うけど、なんだい?」
返事をしたのは右後部座席で足を組んで座るスーツ姿の男だった。
『なんで
男は足を組み直し、
「一番は評判かな?仕事の失敗がない事で評判だからね」
愉快な口調で返事をした男は、その質問の意図を詮索しなかった。
(失敗がないってのわ、アイツが完璧主義だからだろうなー)
そんな事を考えながら聖耶は周囲の警戒を再開した。
トラックは目的地の第七学区の高層ビルに囲まれた研究所に到着した。ここに来るまでにこれと言った襲撃もなく、依頼を受けた聖耶と黒づくめにTレックスの頭蓋骨のような仮面を着けた高身長の人間は車を降り、スーツの男と対面する。
「今日はありがとう。お金は後日入金しとくよ」
スーツの男は笑みを浮かべそう言った。
『入金されなかったらまた来るよ?』
平坦な声で高身長の人間は懐に忍ばせていた大振りの銃を抜き出して告げた。
「リーパー相手にそんな怖い事出来ないよ!!」
高身長の人間とスーツ男はハハハッ!!と大きく笑いあった――
直後、スーツ男の後ろ。研究所で爆発が起きた。
高身長の人間はスーツ男を押し退け、研究所に吸い寄せられるように移動し、聖耶はトラックに近付く影がないか警戒する。
「噂には聞いてたけど、本当に居たのね」
スーツ男の居る方から声が聞こえた。振り向くとピンク色のワンピースを着た茶髪ロングヘアーの女性とピンク色のジャージを着た黒髪の少女がそこに居た。聖耶はすかさず左手のグローブを外そうと右手でグローブを握る。が、昨日の出来事を思い出す。
(むやみに魔術使ったらまたつちみかどにばれちまうかもなー)
グローブから手を放し、懐から拳銃を取り出し話しかけてきた茶髪の女性に銃口を向ける。
「変な仮面被って顔隠してリーパーの皆さんは陰キャラなんですか?」
彼女の言葉を無視して聖耶は引き金を引いた。銃弾は一直線に彼女の額へ放たれたが、それは寸前で消滅した。言葉通り、跡形もなく消えた。
円形の閃光が彼女の目の前で浮遊している。銃弾の消滅はその閃光が原因だろう。円形の閃光は球体に変化し、2つ3つと増殖すると、一直線に聖耶へ襲い掛かった。
近くに居たスーツ男を突き飛ばすと同時に聖耶も回避するが、マントの縁が微かに溶けていた。
『おっさんわ隠れてなー』
転んだスーツ男は立ち上がり、トラックの影に隠れる。
聖耶は仮面内のマイクの設定を変えて無線で仲間に声が届くようにする。
『レックスー、外に2人だー。中にわ何人いるー?』
『直ぐ分かるからちょっと待ってな』
レックスからの返事の直後、ガシャン!!という音と共に研究所の窓が割れ、そこから2人で1つの影とそれを追うレックスの姿があった。3人はそれぞれ仲間の付近に着地し、金髪碧眼の少女を抱えたフードを被った人物は敵と対面した所で彼女を下ろし口を開く。
「あれが噂のリーパーですか。その名にたがわぬ超不気味な仮面ですね」
その言葉使いに聖耶は耳を疑った。声は少し変わっているが単語に「超」とつける人物を聖耶は1人しか知らない。もしかしたら偶然かもしれない。しかし彼はそんな事を考えるよりも先にフードの中の顔を直視した。
『まさかあの夢を見た日に再開するなんてなぁ』
普段の脱力感のある口調ではない。
その言葉は無線を通じてレックスの耳に届いていた。
『レイブン、今は相手に集中しろ』
『心配はいらねぇ。この場の誰も殺させねぇ』
聖耶は4人に向かって走り出す。対する茶髪の彼女は先ほど繰り出した閃光を同じように放つ。
その閃光を正確に避けながらも確実に距離を詰める聖耶の目の前にフードを被った彼女が立ちふさがる。
「麦野には超近付けません」
まただ。そんな事を考えた聖耶の反応が遅れた。
少女の右ストレートが仮面に突き刺さる。仮面は半分割れ、聖耶の半面があらわになる。
見かねたレックスは能力を使い聖耶はこちらに引き寄せる。
『少し落ち着け。お前らしくないぞ』
『俺らしくない、ねぇー」
半壊した仮面の外と内から声が混じり、口調が戻り始める。
彼女の前だからかなー、と呟き一息つき、再び口を開く。
『ここは任せるわー」
その言葉に答えるようにレックスは能力を行使し地面を軽く踏むと、周囲にあった瓦礫やトラック、相対する4人が重力を無視し宙に浮いた。
書いてるうちに長くなりそうだなって思ったので区切りの良いところで切りました!
余談ですが
とある3期決定ってことでかなりウキウキしてますb
感想、アドバイスなどありましたらコメントよろしくお願いします!!