コードフリート -桜の艦隊-   作:神倉棐

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第玖話 横須賀へ

 

 

夏海が第六駆逐隊により救出され、それから漸く横須賀行きの機会が訪れたのはあれからほぼ1ヶ月後の事だった。

 

「おはようございます、沖田(・・)さん。昨夜はよく眠れましたか?」

「ああ、お陰様でね。若くなったからかこの1ヶ月は特によく寝れていたよ」

 

佐世保鎮守府正面玄関前、七海と沖田(・・)()もとい夏海は金剛型3()と共に立っていた。

 

「眼鏡を掛けるとまた変わった印象を受けますね」

「そうか?生前(?)は目が良い方だったからか結局は老眼鏡どころか普通の眼鏡すら掛けずに終わったからな。違和感ばかり感じるよ」

 

零の掛ける黒いフレームの眼鏡、それは零の正体が余りにも簡単に艦娘達にバレる事とその結果起こり得る最悪の事態を想定した(というかしてしまったという方が正しい)七海と明石が妖精さんと共に徹夜で開発した(アンチ)艦娘用認識阻害兵装(アイテム)である。ついでに言えばこの眼鏡には明石が気を利かせて細々とした色々と便利になる機能が仕込まれており、その部分を追加したが故に完徹する羽目になったのはご愛嬌。同じ理由で名前も御国夏海から沖田零に変えてあるがこれを考えたのは七海である。

 

「あと似合ってますよ?そのスーツ」

「ありがとう、流石にアノ第2種軍装を着る訳にもいかないからな」

 

そして今零が着ているのは元々着ていた海軍第2種軍装……ではなく黒いスーツである。元々ココに来るまで着ていた第2種軍装は弾け飛んだ鋼材や硝子の破片にその下にあった身体ごと裂かれズタボロの血塗れで真っ当に着れたものではなかった事や病院服の替えとして至急用意した海軍第3種作業服装数着しか彼の手持ちの衣服が無かった事から、横須賀に着て行く服が無い事に気付いた七海が2日前に鎮守府近くにある百貨店の紳士服専門店で悪目立ちしないよう色が濃過ぎず薄過ぎずな物を選んで買ってきた。零は顔も良く身長も高めな事や以前兄のスーツ選びを付き合わさせられた経験もあった為、1番の難題であったサイズ合わせについては作業服装の時と同様に例の第2種軍装をわざわざベッタリ付いていた血糊を洗濯し落として仕立て直したものから測ったものを無事採用できた事で本人が居らずとも案外選びやすかったのだとか。

尚、以前その話を聞いた零が何故わざわざ第2種軍装をそんなに丁寧に直したのかを七海達に聞いたところ曰く、「捨てるのも勿体ない気がする」かららしい。

 

「申し訳ありません、遅れました!」

「いえ、時間丁度なので大丈夫ですよ比叡。我々が少し予定より早目に集合していましたから」

 

そこに唯一この場に居なかった金剛4姉妹の次女(2番艦)比叡が走って現れる。彼女は軍統合司令本部の命により以前から予定されていた練習艦の戦艦枠での江田島への一時出向の為の出航準備をドックで行っていた為にこの場に居なかっただけであり別に彼女が時間に遅刻した訳ではないのだが、この場にただ1人だけ居なかったという事自体が彼女をそう思わせた様だ。

 

「比叡、報告を」

「はい。戦艦比叡、午前3時(マルサンマルマル)に第2ドックより曳船(タグ・ボート)の牽引により出渠、燃料弾薬等の物資搬入は先日に完了を確認しておりましたのでそのまま現在は第2埠頭に接岸。午前5時(マルゴーマルマル)までに各種出港前チェックリストを全てクリア、出航準備完了です」

 

とは言えこれも大切な仕事の一環である、七海により求められた報告を比叡は敬礼と共に報告、同時にその手に持っていた紙のリストを彼女に提出する。

 

「宜しい、午前6時30分(マルロクサンマル)の任務再開予定時刻には十分間に合います」

 

その報告に七海は懐に入れてあった懐中時計の蓋を閉じつつも満足気に目を通したリストを側に待機していた金剛に手渡した。

 

「では少し歩く事になりますがこのまま埠頭に向かいましょう…………少しお話しもありますし」

「……分かった」

「比叡は付いて来て。金剛、榛名、霧島…………少しの間頼みます」

「「「「はっ!」」」」

 

七海の提案を受けて零らは金剛ら3人の敬礼に見送られ、彼女を先頭にその後を零が続きそこから少し離れた最後尾を比叡が周囲の確認をしつつ埠頭へと道を進む。

 

「それで……話とは?」

「零さん……いえ夏海さんの今後についてです」

 

正面玄関から少し歩き、早朝で既に働き始めている妖精さんですらまだ居ない人気の無い埠頭前の倉庫街に差し掛かった頃、先程のやり取りに感じた嫌な予感を承知の上で零は七海に彼女があるという話について話すよう促した。

 

「横須賀での試験の結果次第では江田島に向かいそのまま提督になる知識を学ぶ事となる……と聞いたが違うのか?」

「いえ、大筋は変わらないと思います。しかし恐らく統合幕僚監部付きの戦略情報部(SIT)情報保全隊(ISC)、警備警察の統合軍監視班(PST)、政府の内閣情報調査室(CIRO)、皇室直属の秘匿諜報機関(IFSIS)…………あと御国グループ(ウチ)の諜報部からもですが接触は確実に有ると思います」

 

そしてどうやらその嫌な予感は当たったらしい。政府・警察・軍・皇室と国家権力の諜報部が勢揃いとは凄まじい事である……ってちょっと待て、ウチの諜報部ってなんだウチのって。かつて自分が当主だった時代に軍には兎も角、自己のグループ専属の諜報部なんて組織を組織した覚えはないので組織されたのは次代以降の当主(奈々里)によるものであろうと思うがいつの間に個人でそんな組織持っているのかと零は思う。が、しかし今重要なのはソコではない。

 

「転移者が持ち得る情報……特に転移前に居た世界における軍事や政治に纏わる情報を欲している、という事か」

 

国が転移者達を保護する上で国が得られそしてその彼らが持ち得る最大の利用価値とは、転移者本人ではなくその彼らが持ち得る本来ならば決して得られないはずの異世界の情報にある。政治家なら国家機密を、外交官なら外交機密を、軍人ならば軍事機密を、警察ならば警備機密を、一般人でも事件や災害が起こった日時くらいなら知っているだろう?他人が知り得ぬどころか本来自分が(後出し)知り得ぬ筈の情報を知っている事(ジャンケン)がどれ程恐ろしくも素晴らしい事なのか、ソレを駆使して敗戦の歴史をひっくり返したこの男(御国夏海)は誰よりもソレを理解している。

その零の溢したその言葉は正しかったようで、彼の前を歩く七海は確と頷いた。

 

「その際の対応次第では軍・政府・警察からその身柄を確保するもしくは排除する為に三つ巴の内部抗争が起きる可能性も無きにしもあらず、良くて江田島を飛ばして戦地や前線行きになる可能性も高いです」

「…………つまり余計な事は喋るな、そういう事か」

「……はい、その通りです。これから貴方には名も経歴も全てを偽って(沖田零という仮面を被って)生きて貰わなくてはなりません、これから先ずっと……」

 

あと50年……いやせめて戦時機密の公開された20年先の未来ならばおそらく彼が己の名も経歴も無理に偽る事なく生きる事ができる程彼に刻まれた汚名を雪ぐ事が出来ていただろう。だが今は2020年、20年後ではない。故に御国グループが総力を賭けても『御国夏海』と言う名の男を今すぐにでもこの天下を堂々と歩かせる事は不可能だった。

 

「……提督、中将、第1埠頭に到着しました」

「……ええ」

「……ああ」

 

話の最中は無言を貫き通した比叡の言葉で目指していた埠頭に辿り着いていた事に零と七海は気付く。多数の戦闘艦以外にもより多く大きな輸送艦や民間船が停泊した第1埠頭には3人の他に1人の男性と1人の女性が立っていた。

 

「御国提督、おはようございます」

「梅津大佐、西住少佐おはようございます」

 

白い海軍第1種軍装に身を包んだ高年の男性、梅津三郎(うめづさぶろう)海軍大佐がその隣に立つ深緑の陸軍第1種軍衣(平30制式軍衣)に身を包んだ女性陸軍士官と共に敬礼する。親子とも言える程歳が離れ階級も違い事から本来ならば七海の方が先に敬礼せねばならない関係だが七海を含めた特務階級はこれに当てはまらない。軍民問わず普通の人間ならば見えも意思疎通も出来ない妖精さんと対話する素質を持ち艦娘といわれる兵士とも兵器とも言い難い特殊な艦隊を指揮・運用する『提督』と言う存在は通常の階級ではあり得ない程強力な権限を保有しており着任最初の階級である特務少佐ですら通常の階級でいう大佐相当の権限を保有しているのだからその差は歴然としていると言えよう。当然これにも理由は有って『提督』という希少存在の保護の観点もあるがどちらかというと一個艦隊を指揮する存在が通常艦長とされる大佐より権限が低いのはどうかという所が大きい。ただ見方によれば完全なエリート街道であり依怙贔屓とでも言えそうであるが強権を持つ分通常より遥かに厳しい昇級試験と制約が課せられているのだからその辺りは普通に出世した方が楽かもしれない。

 

「そちらの御仁が例の『来訪者』の方ですかな?」

「はい、沖田零さんです」

「お初にお目に掛かります、日本国海軍第五戦闘護衛部隊兼本作戦艦隊旗艦、金剛型イージス巡洋艦艦長の梅津です」

「沖田零と申します。こちらこそ横須賀まで宜しくお願い致します」

 

金剛型イージス巡洋艦、帝国海軍を経て金剛の名を継承する3代目であり、日本海軍初のイージスシステム(AWS)搭載ミサイル巡洋艦にして米海軍以外が初めて保有したイージス艦でもある。日米太平洋間防衛協定に基づき昭和63年に供与、日本海軍向けに最適化され平成5年までに4隻が建造、後の愛宕型や摩耶型へと独自に発展改良(魔改造)されていく日本版イージス艦として最も本来の形に近いイージス艦でありその祖とも言える艦である。

そんな艦が横付けされたその面前にて梅津と零は互いに握手し合い挨拶を交わす、2人の実年齢と精神年齢が一致して居るからか直感的に互いに気が合いそうな事を確認しその握手は固かった。

 

「……では後の事は連絡通り西住少佐にお願いしておりますので自分はこれで」

「はい、御配慮感謝します大佐」

 

その後七海と幾つか細かい話し合いを行った後に、そう言って梅津大佐は再び敬礼すると隣に立っていた女性陸軍士官を置いて埠頭に横付けされている金剛へと戻った。因みに零が乗船する事となるこの輸送護衛船団の陣容は以下の通りである。

 

 

 

【南西諸島輸送作戦 新・東京急行(帰還中)】

▪︎輸送船団編成

中規模オイルタンカー×4隻

メンブレン型LNGタンカー×1隻

大型コンテナ船×1隻

三囲フェリー 南洋向日葵(沖縄↔︎東京)

金剛型戦艦2番艦 比叡(佐世保にて合流)

堺型強襲揚陸艦 堺(大神にて合流予定)

大隅型輸送船 大隅・下北・国東(佐世保にて合流)

 

 

▪︎護衛艦隊編成

第五戦闘護衛部隊(佐世保鎮守府所属)

金剛型イージス巡洋艦1番艦 金剛《旗艦》

村雨型汎用駆逐艦8番艦 曙

村雨型汎用駆逐艦9番艦 有明

秋月型防空駆逐艦1番艦 秋月

 

第一八駆逐隊(呉鎮守府所属、呉にて離脱予定)

陽炎型駆逐艦1番艦 陽炎

陽炎型駆逐艦2番艦 不知火

朝潮型駆逐艦9番艦 霞

朝潮型駆逐艦10番艦 霰

 

第六駆逐隊(佐世保鎮守府所属、一八との護衛交代)

特Ⅲ型/暁型駆逐艦1番艦 暁

特Ⅲ型/暁型駆逐艦2番艦 響

特Ⅲ型/暁型駆逐艦3番艦 雷

特Ⅲ型/暁型駆逐艦4番艦 電

 

 

 

この船団は満州油田と北樺太・ロシア・アメリカから産出された石油及び天然ガスの他に工業製品や化学薬品を南西諸島、特に沖縄に輸送する為の呉鎮守府の主導の遠征任務の実施中であったが護衛の為に佐世保鎮守府もまた戦力を提供しており現在、佐世保軍港に寄港している船団はその任務を半分終えて呉や横須賀を目指す航路の途中であった。そしてその帰還に合わせる形で元からあった陸軍の輸送と比叡の回航に便乗するように七海は夏海の横須賀行きを捩じ込んだのである。

 

「零さんには当初一度同じく手続きの為に横須賀まで向かう比叡に乗艦して貰うつもりでしたが、陸軍の方と話が付きましたので北熊本基地で新規錬成が行われていた陸軍の島嶼防衛特化機械化装甲部隊と共に輸送艦の大隅に乗艦して貰います。部隊長が士官学校の同期なので零さんについてもよろしくしていただけるよう頼んでおきましたので横須賀まで面倒が起こる事は恐らくないでしょう」

「済まない、迷惑をかける」

「いえ、お気になさらず。丁度タイミングが良かったと言うのが大きいですから」

 

七海はそう言うが零1人だけだからと言ってねじ込むのだって色々なところに頭を下げる必要が有ったはずである。そう思った零であったが実のところそうでもなく、元々零の護送手段は基地防空隊が置かれた鎮守府近くにある長崎空港から輸送機を使った空路か民間の新幹線を利用した陸路かこの輸送船団に便乗した海路の三択しかなかったので実際に七海(と大淀)がしたのは軍統合司令本部への連絡と輸送船団に居る来訪者の機密が開示された高官(梅津大佐)への事前連絡程度だったりする。

 

「そんな事よりも紹介します、陸海空統合軍学校67期生の同期、2年間同室だった……」

「お初にお目にかかります、日本陸軍第8師団麾下島嶼防衛特化部隊所属戦車隊隊長の西住まほ少佐です」

 

深緑の軍服を着た女性、七海の同期であると言う彼女は零に対し敬礼する。しかし当の零本人はそんな彼女の顔を見てほんの少しだが眉をひそめていた。

 

「少佐?にしては若過ぎる……失礼だが今」

「今年で25になります」

「25歳で少佐だと……」

 

そう特務階級でもない、通常階級において彼女の年齢は少佐になれるはずの年齢より遥かに下であったからである。だがその疑念に答えたのは七海であった。

 

「零さん、日本は深海棲艦の大侵攻により日本本土の目と鼻の先まで侵攻を受けたのは以前説明しましたのでご存知の筈です。そしてそれを防ぐ為に海軍は【大海戦】後に残った僅かな艦艇を全て動員し空軍も残る稼働機全てを注ぎ込んだ決死の防衛戦を展開した事も。それに陸軍もまた例外ではありません、陸軍は本土だけでなく南西諸島等の島嶼でも民間人避難の時間稼ぎの為に水際作戦を展開した事で失った人員は三軍の中でも随一、特に前線指揮を執っていた佐官以下全ての兵員の内7割が死傷、慢性的な兵員不足に陥りました。現在は士官候補生や若年士官の内特に成績良好者を戦時特例を無理矢理適用する事で昇格させ佐官・尉官不足を改善しましたがそれでもほぼ全ての階級において定員割れを起こしています。アメリカや中国では徴兵令の復活だけでなく日本も一部避難訓練の一環として全国高校の授業に軍事教練の取り入れなどしていますがそれ以上に他国では大量発生した孤児等の明らかに18歳未満であろう子供に対しても本格的に軍事教練を課して編成された少年兵まで正規軍に加えて軍事力を保っている世界情勢を見れば今の日本の現状(20代中頃で佐官であるの)はまだ随分マシな方なのです」

 

他国ではあまり有名ではないが【大海戦】に実施された日本本土防衛戦は【大海戦】により空母を含む多数の戦闘艦を大破撃沈され兵員が5万から4万まで激減した海軍と同じく多数の戦闘機が撃墜され5万から4万3千まで兵員を減らした空軍、即応予備戦力までもを動員した陸軍15万が全滅(・・)覚悟で挑んだ決死の一大作戦、所謂『決戦』である。しかも抱いた覚悟は壊滅(・・)ではなく全滅(・・)、全体戦力の3割消失が意味する壊滅ではなく10割即ち総員の戦死を覚悟したそれは文字通りの決死の決戦であった。それでも彼等がソレを実施したのは彼らには有ったからである。彼等には自らの命を賭してでも守りたいものが、遺したものが有ったからこそ彼等は死地へと向かい……そして死んで逝った。多くの島嶼が蹂躙され本土決戦の迫る沖縄本島防衛戦の最中に『再浮上』を遂げた『大和』以下十数隻の浮上組、後に艦娘と呼ばれる女性達の活躍により沖縄本島は深海棲艦の手中に堕ちる事はなく本土最終防衛戦は阻止されたが戦闘員以外の整備員や補給・衛生兵等の後方支援要員含む参加兵力23万の内8万が戦死、その中でも陸軍の戦死者が6万である時点でそれがどれほど多大な犠牲であるかが理解できよう。そして死ねずに大小様々の負傷を負った者はその3倍は居る、その中で再び軍務に就ける者は更に少なく結果三軍は前大戦をも上回る危機的な兵員……特に士官不足を引き起こした。それに一時「すわ徴兵令復活か」とも言われたが無理やり引っ張って来て数をかさ増しをしたところで優秀な兵士や士官は直ぐには育成できない事や艦娘と同時に妖精さんが現れた事で足りない兵員や整備士は航空機妖精や整備士妖精、航空機妖精の亜種である戦車妖精等により臨時で補填できた事もあり結果的に兵員不足が艦娘が少ない(いない)他国と比べて決定的なまでに深刻化しなかった事もあって代わりに実施されたのが戦時特例による優秀な尉官の佐官への昇進である。

 

「……そうか、そうだったな。失礼な事を申し失礼しました西住少佐」

「いえ、お気になさらず。初対面の方にはよくそう言われるもので」

「それでも、です」

「ではその注言、謹んでお受け取りしましょう。これから横須賀までの短い間ではありますがよろしくお願い致します、沖田さん」

「こちらこそよろしくお願いします、少佐」

 

その事を思い出した零は西住に対して謝罪する、一方その彼女の方は気にする必要はないと言うが零は譲らない。いつ何時も尉官佐官を問わず上官が舐められるのは絶対に避けなければならない事のひとつである、特に階級の割に若い者は尚更。何気にハンモックがあったとは言え山本五十六と共に少将までポンポン昇進し続けた零自身の体験談でもあるので尚更零は譲らず結局は西住が折れて謝罪を受け入れた事でこの一件は幕を下ろした。

 

「それではご招待します、我々陸軍が乗艦しております輸送艦大隅(おおすみ)に」

 

 

 

 

────2020年5月3日午前7時00分(マルナナマルマル)、第53次南西諸島物資輸送船団は横須賀へ向け佐世保を出航

 

 

 

一度は幕を下ろした筈の英雄譚が、再び幕を上げる日は近い

 




御国が沖田になった裏話
佐世保鎮守府提督の私室4月下旬某日

「……………」

テテテー♪テレレー♪テテテー♪テレレレー♪テレレー♪テテテー♪テーテーテー♪

「……………」

『波動砲……発射!』

ジュドーン

「やっぱり提督といえば『沖田』ですよね!」

以上



補足メモ
▪︎海軍平11制式軍装
白色をベースにした旧海軍第2種軍装をモデルとして1999年(平成11年度)に制定された日本国海軍の制服。第2種軍装の型をそのまま利用した第1種軍装が冬服で装飾を付けると第1種礼装に、第2種が夏服、第3種作業服装が戦闘服兼文字通りの作業着となる

▪︎陸軍平30制式軍衣
深緑色をベースとしたアメリカ陸軍をモデルとして2018年(平成30年度)に制定された日本国陸軍の制服。第1種軍衣が冬服で装飾を付けると第1種礼装に、第2種が夏服、第3種作業服装が戦闘服兼文字通りの作業着となる

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