コードフリート -桜の艦隊-   作:神倉棐

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推敲と時間を掛け過ぎてなんか変な感じがするので後日再調整します。


第陸話 この平成……平成であって平成ではないらしい

 

 

「起きたかい、中将?」

 

4月の朝はまだ冬が抜け切っていないからか少し肌寒い、ただだからこそ暖かい布団の気持ち良さを十二分に堪能出来る訳だが悲しかな自分は軍人。体に染み付いた50年分位の習慣の所為で午前6時(マルロクマルマル)頃に目を覚ますと枕元に銀髪の少女がいた。

 

「……ん、ああ、起きたが……響、だったかな?」

「うん、私が響だよ。特Ⅲ型(暁型)駆逐艦2番艦の管制制御中枢体(メンタルモデル)なんだ」

 

銀髪の少女──控え目に言っても間違いなく美少女なのだが失礼ながらさっき目を開けた時には一瞬お化けかと思った──もとい響はそう言って少し嬉しげに微笑む。そしてそんな彼女はベッド横の丸椅子に腰を掛けると錨のマークの入ったその水兵帽を両手で弄びながら俺の顔を見ていた。

 

「……どうした?さっきから俺の顔ばかり見て?何か付いているのか?」

「いいや、ちょっと懐かしくなって。こうして中将と真っ直ぐ向き合うのはこの姿になってから初めてだから」

 

そう言って響は少し恥ずかしげに答える。ただ「懐かしい」と彼女は言ってくれたが俺からすればつい最近まで響(艦時代のだが)と作戦に従事していた為に余りその実感は沸かない。だがあの海戦(坊ノ岬沖海戦)から此処(平成)に飛んできた俺からすれば最近の事でも沈まず70年もの月日を実際に体感した彼女にとってそれは間違いなく過去の事(昔の話)であり、そしてそれは彼女が、彼等(・・)が刻んで来たかつての記憶なのだ。故に、俺はそんな彼女に、彼等の思いを、その意志を継いだ彼女が数多の犠牲を彼等に強いた、強いてしまった自分の事をそうやって懐かしみ好意的に接してくれる事に感謝する事しかできない……いやそれ以外の感情は彼女達への冒涜に他ならない。

 

「そうか………」

 

だから、俺は口に出さずとも彼女に感謝した。

 

「………と、わざわざ見に来てくれたのか?」

「うん。それに昨夜遅くに台湾沖近海に出現していた2個深海棲艦戦闘艦隊を迎撃する為に出撃していた第1高速戦闘艦隊と第2機動艦隊が帰投。現在入渠、休息中だけど万が一彼女達と中将が鉢合わせして正体がバレて拡散しないように私達第六駆逐隊が護衛兼無理したりしないかの監視役を務める事になるから……まあ事情(来訪者の事)はみんな知ってるけど事実(その正体)は私しか知らないから実質中将の側にずっといる事になるのは私なんだけどね」

 

と俺のふとした疑問に響は自分の役割と現状について説明する。彼女の話によるとやはりと言うかなんと言うか自分の存在は現状バレるとよろしくないらしい。ま、公式には遥か昔(半世紀も前)に死んだ筈……怪我の状態からみて大和特攻直後の爆発沈没の直前に此方へ転移?転生?したらしいがそんな人間が現れれば大問題になるのは当たり前ではあろうが。あと序にだが何故か肉体が20代、それも全盛期の頃まで若返っている事に関しては事務実務仕事が楽になる嬉しさ半分、そして自分が本当にあの時に死ねなかったという(まだ生きねばならないという)その突きつけられた現実(願い(呪い)にも似た幻想)に虚しさ半分の微妙な表情を浮かべる。

 

「……大丈夫かい、中将?」

 

そんな俺の極僅かな反応にも機敏に察する、察せさせてしまった響は心配そうな顔で俺の顔を見る。ああ……悔しいものだ、悲しいものだ。こんな幼い姿をした少女に、(彼女)に乗っていた彼等にそんな心配を、不安を抱かせてしまったのだから。

 

……指揮官(大人)失格だな、()

 

本当にそう思う。

 

 

指揮官たる者、

常に冷静であり

現実を直視し

如何なる場合であろうと動揺してはならず

例え後方で指揮する事はあろうとも

最後は誰よりも最前線にて戦わねばならない

 

 

それが軍人が成すべき理想、届かぬ現実。

数万もの将兵と数多もの艦の命運を預かる(勝利を、生きる事を、そうあれと願われた)指揮官たる(ホンモノになれなかったニセモノの)()()体現した(魅せた)奇跡(希望)そのものである。

故にそんな自分がソレを否定してはならない、違えてはならない。その理想(奇跡)はもう自分だけのものでは無くなったから。

 

「ん、ああ。何でもない。……ところでその第1艦隊と第2艦隊の編成は?」

 

だから俺は「問題ない」と響に答え、その気を反らせる為に気になっていたこの佐世保鎮守府が保有する2つの艦隊についての話題を振った。

 

「ん、第1高速戦闘艦隊は旗艦金剛を中心とした比叡・榛名・霧島の4隻の戦艦と白露・村雨2隻の駆逐艦にて編成された水上打撃艦隊、それに第2機動艦隊は旗艦赤城を中心とする天城・隼鷹・鳳翔4隻の空母と晴風・夕立2隻の駆逐艦にて編成された航空機動部隊だ」

「………ん?と言う事はこの鎮守府に巡洋艦はいないのか?」

「ああ。生憎と現代の日本もあの時よりは大分マシとは言え資源が乏しくてね。少ない各種資源から……所謂『低コストレシピ』で建造されてしまうから圧倒的に新たに建造される娘は駆逐艦が多いんだ。それにもし巡洋艦クラスが建造出来ても絶対防衛網の敷き終えた今は此処みたいに本土防衛の要所よりも深海棲艦との海域奪還を掛けた戦線の最前線に優先に配備されるから」

 

それに、駆逐艦なら燃料弾薬費はそんなに嵩まないし万が一にも備えて防衛出動の備えの為だけど戦艦・空母部隊は(すぐに資材を食い潰す金食い虫だが)最低限残しとかないといけないからね。と響は零す。ただだからと言って巡洋艦無しで対潜対空部隊を編成するのはそれはそれでどうなのかと聞くとその時は現海軍のイージス巡洋艦を中心に索敵はイージス艦が、攻撃は艦娘のいる艦艇がと役割分担をして対処しているのだという、しかし俺はそれに成る程と納得した。昨日受けた説明の中で確かに深海棲艦に対して現代兵器では傷付けられないとあった、だが探知出来ない訳ではないのだ。深海棲艦の占領下にある海域では無理だが奪還し制海制空権を確保した海域であるならばレーダーにはちゃんと映るしソナーでの聴知可能、艦艇には効かずとも砲と機銃それにミサイルも装甲の薄い艦載機程度ならば撃墜出来る。幾ら改善に努めたとはいえ第二次大戦時代の物と平成の物を比べればそんなもの比べるべくもなく平成の方が精度は高い、『大海戦』を経て現状日本が保有する戦闘可能な艦艇数は僅かとなってしまっているがそれでもそれらが全て廃艦にされる事もなく海軍が未だ2013年以前とほぼ同じだけの規模練度を誇る事が出来ている理由はそれである。

 

「これまたなんとも……とんでもない未来になってしまったものだな」

「うん、これからはきっと誰も傷付かない……私みたいに家族を失う人なんていない、些細な幸せを幸せだって思えるそんな中将が願ったような優しい平和な世界になるってそう思ってた」

「……響」

 

ポツリと無意識に呟いてしまった、そんな独白の様な呟きに響はそう応える。

 

……そう言えば言ったな、そんな理想(夢物語)

 

絶対に有り得ない、自分のかつていた未来ですら希望論と理想論だと鼻で笑われる、笑われてしまう様なまだ未来がより良いものになる筈だと信じられる無垢な子供が零す余りにも優しく愚かな夢。だが、俺はあの日あの時彼等の前で語ってみせた。死なせたくなかった、死んで欲しくなどなかった。彼等に何人彼等の帰りを待つ者が居ると思う?帰ってきて欲しい、死なないで欲しいと願う者が居ると思う?両手両脚その全ての指を足そうが足りる訳がない。そして死なせた私がどれだけ苦しむと思う?自分の作戦の、指揮の犠牲になった艦や将兵は物言わぬ“駒”なのではない、真っ当な戦争が無ければ畳の上で家族に囲まれ死んで逝けたただの人間なのだ。そんな彼等が私に、俺に言うのだ。「ありがとうございました」と、「貴方の指揮の下で死ねて光栄でした」、「貴方の為に死ねて幸せでした」と沈み逝く艦と共に死に逝く彼等が俺に向けて笑いながら、敬礼して死んでいくのだ。そんな彼等を見てなんとも思わない訳がない、後悔しない訳がない。だがそんな事が赦される時など既に過ぎ去った遥か過去のもの、今ではない。

だから、それだからこそ俺はそんな彼等にそんな馬鹿げた理想を語るしかなかった。そこに居た大半が死に逝く、そんな彼等にせめて彼等が守ったその未来に希望を持って欲しかったから。

 

「でも中将、私はこんな未来も嫌いじゃないよ?だってまた家族(暁や雷、電)に会えたから。この姿を得られたから。艦の時には希薄だった感情を、告げられなかった言葉を得られたから。それに、また中将に会う事が出来たから」

 

彼女は微笑みながらそう言った。その表情からしてそれは本心から、心の底からそう思っているのだろう。

そして彼女は告げる。彼女が抱いた(彼等から受け継いだ)、その決意(約束)を、

 

「大丈夫だよ中将、今度こそ最後まで絶対に私が貴方を守り切って見せるから」

 

 

 ❀ ✿ ✾ ✿ ❀ 

 

 

「……と、いう感じです」

「死んだと思ったら生きてて目を覚ましたら70年後の未来でしたとは俄かには信じ難いが………証拠(カレンダーやタブレット)を見せられては信じない訳にもいかないな」

 

目覚めてすぐの色々な混乱は有ったものの何とか場の鎮静化を成功させ。あと仕事サボってこの部屋に集結していた妖精さん一同を部屋から追い出した後にこの見た目が十分に麗し気な女性3人組を前にして行われたのはより詳しい本人確認と現状の説明であった。

 

「それに君が妹の……奈々里(ななり)のひ孫でしかも海軍士官とは………」

 

現実とは小説より奇なりとも言うがまさか自分の妹の子孫が軍人になりしかも海軍に入っていたという事に俺は驚いた。枢木家や朱雀の事を考えれば、入っても陸軍に入るだろうと思っていたし、そもそも自分が昔軍に入ると言った時にあれ程嫌がった妹が孫に軍人になる事をよく許したものだとも思う。

 

「……よく許して貰えたものだ。少なくとも、君の様な女性が軍人になりたいなど絶対に許してくれなさそうだったんだが」

「……はい、昔はよくそれで大お祖母様に怒られ考え直すよう説得されました。でも曽祖父様……朱雀大お祖父様が遺言で好きにさせてあげなさいと言ってくれたおかげでなんとか許して貰いました」

「朱雀がか?あの頃では珍しくいつ見てもしれっと奈々里に尻に敷かれていたあの朱雀がそんな事をか……」

 

朱雀と奈々里は許嫁で、歳の差もありある意味政略結婚で結ばれたに近い2人だが初恋相手同士で相思相愛だったからか常に夫婦円満で家庭を持つ人の幸福を体現したかの様な夫婦であったが、奈々里が当時の日本では珍しい程活発かつ行動力の高い女性でありしかも並みの男よりも遥かに芯が強かった為に許嫁であり夫であった朱雀は完璧に尻に敷かれ兄であった俺もなかなかに苦労したものである。だがそれこそが彼女の魅力であり彼女が愛される原点、当時とすれば異端であろうと本当の意味で彼女を見る事の出来る者からすれば何よりも好かれ愛される1種の天性のカリスマである。ただだからこそ、俺(シスコンではあったが)は兎も角入り婿の朱雀はあまり頭が上がらなかった訳だが、そんなアイツがちゃんと最後まで妥協せずに奈々里を説得し切った事に俺は少し驚く。

 

「あの朱雀がか……」

「大お祖父様とえっと、あの……夏海さんは……」

「『夏海』と呼んでくれて構わない、戸籍上俺は死人だし死人に階級なんか有って無いようなものだからな」

「えっ……それはそれで……問題があるような気がするのですが……、……夏海さんは大お祖父様と確か同い年だったと聞いていますが」

「ああ、そうだ。朱雀は陸軍に入ったがな、あそこの家は代々陸軍に軍人を輩出しているから慣例通りにという訳だ。陸海軍の連携や関係改善の為にもよく会っていたし、親友だからな」

 

この世界に転生して友人や知人、共謀者や共犯者は多く居るがその中でも数少ない親友としての付き合いがあったのは枢木 朱雀(スザク)を入れても両手の指で事足りる人数しか居ない。その中でも、朱雀は血の繋がる家族を除けば特別に分類される人物だった。

 

「と、そういえば君は朱雀か奈々里のどちらかと言えば奈々里似だな。瞳の色もだが芯の強さも、その真っ直ぐさもな」

「あの、その、ありがとうござます」

「でも七海提督はどちらかと言えば御国中将似だけどね」

「そうだろうか?……と言うかそれよりも君は一体?あの小さい妖精みたいな存在からは『響』と呼ばれていたが」

「あ、自己紹介がまだだったね。特Ⅲ型駆逐艦暁型2番艦の響だよ。再編第2艦隊に同行し中将が大和と共にエセックスを道連れに連合国米海軍機動部隊を殲滅した後は大和他沢山艦の乗員を救助した後晴風や雪風、天城さんと共に後退に成功したんだ」

 

俺に飛び込んだ後はずっとベッドの隣に立っていた彼女は自分は響だと名乗り、頭にのっていた水兵帽を胸に置いて微笑む。最早大半が薄れ擦り切れてしまった前世の記憶であるが忘れた訳ではないしモデルとなった実物を見れば「ああ、この艦が」程度にはよく思い出していた為に見て分からない訳ではないが、艦娘の存在の説明を受けたもののどの娘がどの艦の艦娘かの説明を受けた訳ではない為1発でそれを当てては不審にしか思えないので敢えて確認として彼女達の名前を確認する。

 

「それとさっきから会話に全く参加していない其方の桃色の髪の女性は?」

「はっ、はい!聯合艦隊所属工作艦 明石です‼︎ちゅっ、ちゅ中将閣下とはトラック泊地以来ですが、よっ、よろしくお願い致します!」

「そんなに畏まられても困るんだが……明石」

「は、はっ!」

「大戦時トラックでは君や江口大佐、福沢大佐達には何度も助けられた。だから今一度言わせてくれ、ありがとう助かった」

「っ!はいっ!」

 

やたら緊張し畏まってガッチガチに敬礼と自己紹介をする明石の姿に俺は俺が何をしたというんだとも思うが……若干心当たりがない訳ではないので敢えてその事は口にしない。ただ最後に、自分が中央に戻らねばならず南方を離れてすぐ米軍の大規模攻撃によりトラックは壊滅、明石も沈没してしまった所為で言えなかった思いを、感謝を代わりに彼女に伝えた。

 

「では一先ず先に夏海さんのこれからについてお話ししたいのですが、よろしいですか?」

「お願いする」

 

そして今度は話すタイミングを伺っていた七海により夏海の今後についての話へと内容は切り替わった。

 

「はい、では今後の夏海さんの予定ですが、まず明石の見立てでは全治3週間程ですので怪我が完治次第横須賀まで飛んで貰います」

「横須賀に?」

「はい、横須賀には陸海空統合軍学校がありますのでそこで一般常識及び艦隊指揮官の適性試験を受けてもらう予定です。試験結果次第ではそのまま軍学校に残って軍事知識を最初から習得してもらう事にもなりますが、恐らく夏海さんならば通過(パス)出来ると思います」

 

横須賀陸海空統合軍学校、前世で言う防衛大学校と似た教育機関でありこの学校に入った者は2年間士官候補生としての知識・技術教育を受けそれから個人の意思及びその成績から日本各地に存在する士官学校へと配属、そこで更に2年より専門的な知識・技術を習得する事で漸く卒業、晴れて少尉としての階級を得る事が出来る。

これは最もお金が掛かり共通する基礎的な部分を学ぶ学校を1つに纏める事で軍人育成に掛かる資金予算の節約の意味もあるが大戦初期の陸海軍上層部の仲の悪さを反省に今後その様な軋轢を無くす為の意味合いもあるらしい。

 

「試験を無事通過出来ましたら次は江田島に移ってもらい海軍士官、特に艦娘達を指揮する『提督』としてより専修的な知識・技能を習得してもらう事になっています」

「江田島、と言う事は海軍兵学校か」

「はい、今は改名して【海洋技術専修士官学校】という名前に変わっています。夏海さんもここで海軍軍人としての知識を学んだんですよね?」

「ああ、俺からすれば40年前だがそうなるな」

 

ただ俺からすれば40年と少し前だが現在からすれば100年以上も前の話である。更に本音を言えばあの学校で学んだ事(操艦、砲術等は兎も角有事マニュアル等は特に)など実戦では殆ど使えなかった事ばかりではあったが、それは時代の推移の速さ(戦場における花形の変化)と俺が海軍将官としては型破りな存在でもあった所為でもある。

なので今の時代に合った知識や技術を得られるのであらば学校に通ってみたいと思ってしまうのは少し贅沢なのかもしれない。

 

「そして最後にですが、夏海さんの存在は正直に言ってこれまでの事例から考えてもとても異端因子(イレギュラー)な存在です。対応と処置を間違えれば日本だけでなく世界を巻き込む大混乱を巻き起こしかねない程に」

「は、はい、正直な話軍や政府に情報が漏洩する程度ならまだマシと考えるべきです。もしこれが他の艦娘に漏れでもしたら……最悪内乱ですね、良くて中将を旗頭にしての軍事クーデターだと思われます。4日で日本制圧出来そうな点が全く笑えませんが」

「ちょっと待て、なんでそんなに物騒なんだ。……取り敢えずこっちが気を付ければ身体が若返ってるから早々簡単には気付かれない筈………」

「中将、言ったら悪いけど中将は老けにくい体質みたいだから私みたいに関わりの深い娘だったら分かる人はすぐ分かるよ」

「…………」

 

正直1㎜も笑えない明石の推測に気休めにもならない事をぼやいた俺だったが「実際私は一目見てすぐに中将だって気付いたからね」と言う響の言葉に見事に撃沈する。基本的に彼女達は人に害をなそうとはしないし害そうなどとは思ってもいないが彼女達はただの『兵器』ではなく確固たる自我を持つ『兵士』に近い存在である。その上『艦娘』という特殊な存在上深海棲艦と同等とは言わないが同じ位人類の現代兵器が通用しにくい存在な上に人よりも遥かに優れた身体能力を保持している為正直反乱なんて起きた日には日本だけで無く人類は成す術もなくその軍門に下るしか方法が無い。唯一の対抗策は彼女達(艦娘と妖精さん)に認められた提督が持つ絶対命令権(艦隊勅令)だけであるが、実の所拒否できない訳でもない為に期待は出来ない。

 

「……至急妖精さんに頼んで特別に艦娘限定で効く認識阻害用のアイテムを作って貰います」

「お願いするわ、大至急で」

 

再確認した……寧ろしてしまったとも言える事の重大さから明石が大急ぎで医務室を後に工廠に向かい七海は頭が痛そうにその額に手を当てる。俺もまた「あ、夕焼けが綺麗だな……」と現実逃避に走ってしまう中、響は……

 

「なるようになるさ、中将だからね」

 

と、何処か確信した様子でそんなよく分からない事を言って微笑んでいたのだった。




本来『勅令』とは国家の主権たる天皇が出せるものですが、この際あんまり深く気にしないで下さい。


そして最後に、

響のヒロイン力は世界一チィィイイぃイっ!

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