俺の幼馴染が壊れた   作:狸舌

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大変遅くなり申し訳ないです・・・。

しかも苦手な会話回。
かなり読みにくいと思いますが、読んで頂けると嬉しいです。


そして、皆さんいつも感想ありがとうございます。
とても励みになっており、こうして投稿できたのも皆さんの感想のおかげです!
なかなか感想をお返しできず、どの口で言うのかというところですが、必ず返信はいたしますのでこれからもよろしくお願いいたします!


繋がりと暗がり

[神野編5]

 

 

 

「・・・・・」

「・・・・・ええと」

「・・・なんだ?」

「せっかくお隣さんなんだから少し話でもどうかなぁ、って思っ・・・コワいコワい!目が怖いよ!」

「貴様のようなヤツレ顔、俺は知らん。初対面なのだから自己紹介でもしたらどうだ、平和の象徴」

「ヒドイッ!」

「倒した敵に足元をすくわれたあげくに隠し通すべき姿まで晒した愚か者なら知っているぞ。オールマイトとかいう今世紀最大のペテン師だ」

「ホントにヒドイッ・・・けど」

「・・・・」

「・・・うん、そうなんだ。この姿だけは絶対に隠さなきゃいけなかった、平和のためにもヒーローを目指す少年少女達のためにも」

「・・・・」

「退院許可が出たよ。遅すぎるくらいだけど・・・明日、正式に記者会見をすることにした」

「・・・ッ貴様」

「あの弾は以前、緑谷少年を狙ったものと同じだった。個性を一時的にだが使用不能にする。今じゃ個性自体は元に戻ったけど、急な解除は体にはけっこう効いたみたいだ」

 

「だからどうしたッ!まさか、まさか貴様ッ――――!!」

 

「・・・・」

 

「やめるなどッ、この俺の前で口にするつもりでいるのではあるまいな!?そんな事は許されんッ!!

 

「うん。嘘をついていたことも、隠していた事も頭を下げてしっかり謝って。もっと頭を下げてみんなにお願いするよ」

 

「貴様はッ!!」

 

「もう少し、みんなのヒーローでいさせてほしいって」

 

「・・・・む」

 

「もちろんこんなヒョロヒョロじゃみんな不安になる、当然さ。それでもみんなが許してくれるなら僕はまだ一人のヒーローとしていたいんだ」

 

「・・・・・」

 

「だから君に、これからも隣を走って欲しいんだ轟君」

 

「・・・よくもそのような事を・・」

 

「オールフォーワンは逮捕された。ヴィラン連合もスピナーが逮捕され戦力は削いだ。だが・・・私のこの姿が世間に公表された以上、すでに平和の象徴としての抑止力は弱まっている。私だけでは・・・護りたいものを護りきれ無いかもしれない、だから」

 

「それ以上弱音を口にしたらいかに貴様だろうと許さんッ」

 

 

「もとより貴様の横など走った記憶は無い。俺は俺の道を走ってきたつもりだ」

 

「・・・うん」

 

「たまたま道が重なる。今がその時かなど知らんが、弱音を吐いている暇があるならさっさと走れ。次の世代に追いつかれるにはまだ早い」

 

 

 

 

 

「・・・あと、貴様に君付けされる筋合いはない。気味が悪いから呼び捨てにしろ」

 

「と、轟君・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緊張で気持ち悪くなってきた。

 

同室にあのオールマイトがいるよお母さん!エンデヴァーも居るし、この部屋にNo.1とNo.2ヒーローが居るんだ!

 

 

サインをっ、サインをもらいたい!

 

 

 

 

「イズク、リンゴがむけた」

 

「っ、あ、ありがとうとどろ・・・」

 

「焦子でいい。この部屋にはもう一人余計に轟がいるからややこしい」

 

「!?で・・・でも、それは」

 

女の子を呼び捨てにしたことなんて無い・・・・無い、はず。

こういうときって、呼び捨てが正しいんだろうか。それともやっぱり『ちゃん』とかつけたほうがいいのかな。

窓際のベッド二つに居た憧れのヒーロー2人の話に集中してたら、こんな難問が降ってくるなんてっ!?

 

(『まぁまぁ、落ち着け。この選択肢、ちょーっと思春期には難しく見えるだろうが俺からすりゃあ海の上を歩くより簡単よぉ』)

 

・・・最近、頭のなかに声が聞こえてくるのに少し慣れてきた。

えっと・・・あなたは?

 

(『ぁー・・・んなことより目の前の問題に集中しろ!死んでも知らねぇぞ』)

 

死ぬの!?

さ、さすがにそれは大げさなような

 

(『選択肢ってのは馬鹿に出来ねぇんだ。言葉一つで冥界に落とされたり、夜明けが流れ作業になったり頭を撃ち抜かれたり星座にされたりすんだよ!』)

 

ぜんぜん理解できなかったけど、すごい危ないってことは分かった。

ところで、この人の声だけすごくノイズみたいなのが聞こえるのはどうしてだろう。

 

「イズク?・・・あの、もし呼ぶのが嫌だったら・・・」

 

轟さんがすごく落ち込んでる!?

い、急がないといけないけどっ、でも呼び捨ては・・・っ。

 

(『そのために俺が来たんだ!復唱しろ、いいな?』)

 

わ、わか・・・・痛っ、ノイズが凄いことになってる。

一瞬だけど頭が割れそうな痛みと・・・女の人の声が・・・。

 

 

(『えー・・・コホン。ショウコ・・・君の剥いてくれたリンゴも良いが、俺が今食べたいのは真っ赤に熟れたリンゴよりも、甘酸っぱい君の体を―――』)

 

 

「焦子、君の――――」

 

 

 

言えないよ!

なんだか続きも聞こえてきたけど、あんまり意味の分かってない僕でも言ったら凄い空気になるのは分かるっ。

 

なんて危ない・・・

 

 

「よ・・・呼んでもらえると思ってなかった。う、ううん・・・ちょっとは期待してたけど・・・」

 

さっきまで剥いていたリンゴよりも顔を赤くした轟さんの顔が目の前にあった。

普段は雪みたいに白い肌が赤くなって、綺麗な目も少し潤んでるような・・・。

 

あれ、もしかして僕・・・っ。

 

「ち、違うんだ!轟さん、僕っ・・・」

 

 

そ、そんなに悲しそうな顔をさせたいわけじゃないのにっ。

きっと僕も今、顔が同じように真っ赤になってるんだろう、ものすごく熱い。

 

 

(『おっ、上手くいったな!それじゃあ報酬の話だけど、こんど体を少し貸してくれ!行きたいところがあるんだよ』)

 

(『ふーん、どこに行きたいの?』)

 

(『よく聞いてくれた!この世界にはよ、キャバクラとか言うお金を払うだけで女の子と話せるところがあるみたいじゃねぇか!行くしかないだろコイツは!)

 

(『へー・・・そんなに逝きたいんだ』)

 

(『久しぶりに張り切っちゃうな!いやぁ、俺の体じゃないから誰にも咎められないし、ありがた――――』)

 

 

 

(『ん?』)

 

 

 

(『ダーリン、浮気?』)

 

(『ぉ・・・ぉぉぅ。チガウヨー、キャバクラは女の子と少し話すだけだから・・・セーフ?』)

 

(『あの子を口説いたこと怒りに来たんだけど・・・きゃばくら?もそういう所だったのね!』)

 

(『墓穴ほった!!なんで選択肢間違えたの俺!?』)

 

(『やっぱりダーリンに広い世界はダメね。一緒に海の底にもぐろう・・・永遠に』)

 

(『嫌だぁ!!お前ら女神の永遠って永遠より長いもんきっと!何言ってるか分かんないと思うけど俺だってわか――――』)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・焦子、さん。でも良いかな?」

 

「っ、いいよ!うん、名前呼んでくれるだけですごく・・・うれしい」

 

 

 

「えっと・・・」

 

「・・・・リンゴ、食べる?」

 

「あっ、ごめん!せっかく剥いてくれたのに・・・もちろん食べるよ!」

 

いつの間にか頭の中の声は聞こえなくなってた。

だから、目の前に居る焦子さんの声が凄く近くに聞こえる。

 

白くて細い指がフォークでリンゴを刺す。

そのままこっちに差し出される手に、受け取ろうと僕も手を伸ばして。

 

 

 

すれ違う。

 

僕の手を避けて、焦子さんが差し出したリンゴが僕の口の前に近付いて。

 

 

「あ・・・あーん・・・はダメ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し冷えたリンゴの味を感じる余裕は今の僕にはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

「甘酸っぱいなぁ!父親公認・・・って言うにはすこし複雑そうな表情だね!娘にボーイフレンドが出来そうでちょっと複雑な親ごこ―――」

 

「そうではない!あの中途半端な娘をもらってくれるならありがたいぐらいだッ。彼ならむしろこちらから何度でも頼みに行くのもやぶさかではない」

 

「なら・・・」

 

「しかし、あの状況でもう一人女の子を抱き着かせているのは少しどうかと思っただけだ。彼はもう少し身持ちが固いと思ったが・・・」

 

「・・・・ぇ?」

 

「あの少女。以前調べた彼の身辺情報には無かった筈だが・・・」

 

「と、轟君?この部屋には僕達と緑谷少年、君のお嬢さんの方の轟君しか居ないと思うんだけれど・・・」

 

 

 

 

 

 

「居るじゃないか。さっきからこっちを見て笑ってる金髪の少女が・・・。額に変わった形の穴が開いているがあれは個性か?」

 

 

「な・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナニソレ恐い!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[家庭訪問]

 

 

 

「・・・もう少し、重い空気になるかと思ってました。彼女のバックグラウンドを考えるとあんなに・・・」

 

「まさか轟君が家ではあんなに立場が弱くなってるなんてね。寮の話だって完全にお母さんの一声で決まったし」

 

黒塗りの車を運転する相澤の横で、オールマイトが感慨深そうに何度も頷く。

入院していた轟の母が退院して今は一緒に暮らしていることは二人とも知っていたが、入院の経緯も知っていただけにあそこまで力関係が逆転しているとは思ってもいなかった。

 

だが、悪い空気には感じられなかった。

エンデヴァーが少し行き過ぎた発言をして、奥さんがたしなめるが・・・エンデヴァーの考えに沿った答えから逸れることは無い。

上手くかみ合っているとでも言うのだろうか。

 

とても穏やかな空気が流れていた気がする。

 

「轟は変わりました。最初はクラスメイトの名前も憶えてなかったみたいですが、今じゃクラスの相談役になってるみたいです」

 

「HAHAHA!彼女はすごく穏やかな空気を持ってるからね、聞き上手そうだし・・・お父さんに似て真面目だから真剣に向き合ってくれそうだ」

 

 

 

今回の事件、そしてUSJ襲撃。

ヴィランの襲撃に対して雄英は生徒を護るため、全寮制の検討を進めている。

 

今回はただの家庭訪問ではなく、全寮制に関しての説明と説得も兼ねていた。

 

だからこそ、意外なほどに好意的な返事が得られていることは相澤としても少し意外だった。

 

 

 

 

「ただ、次は少し難しいかもしれませんね」

 

「・・・そうだね。一人娘を浚われて、命の危険に晒したんだ言い訳のしようもない。・・。だから、伝えようじゃないか。今度こそ僕達が責任をもって護りきることを―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうぞどうぞ!全寮制なんて毎日出久君と一緒に居られるんですから、止めてもしっぽ振って行くと思いますよ」

「何言ってんだクソババァ!!ぶっ飛ばすぞッ!つぅか放せ!」

 

 

「あの・・・本当によろしいんですか?」

「もちろんですよ!会見の時の言葉を聞いて、不器用なこの子の言葉の上っ面だけじゃなくてちゃんと中身も見てくれてるんだなって、私もダンナも嬉しかったんです」

 

「出久君にぞっこん過ぎて周りが何にも見えなくなって、家に居る時は他の事なんて全然喋らなかったこの子が最近はクラスメイトのこともたまに喋る様になりました。雄英さんに入って、この子も成長してます・・・だから、こちらこそこれからもうちの子をよろしくお願いします」

 

「―――はい。責任を持って、お嬢さんをお預かりします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信じてもらえるというのは、本当にありがたい。だからこそ、今度こそ期待に応えなければいけないね」

「・・・はい」

 

 

「次は・・・彼のお宅か」

「はい。父親は・・・現在も行方不明で、今は母親と二人暮らしとのことですが」

「ああ・・・あの事件だね。私も驚いたよ、彼の父親があの人だったなんて」

 

 

「異端ヒーロー『フォーリナー』・・・彼が姿を消したのは、緑谷が生まれたその日だったようです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オ・・・オールマイト!よ、ようこそいらっしゃいました!」

「お忙しい中、出久のために時間を割いてくださりありがとうございます。どうぞ、こちらへ」

 

ガチガチに緊張している緑谷に対して、その隣に立っていた女性は落ち着いた様子で二人へ頭を下げた。

ほっそりとしているが、やつれているという印象は無い。

 

優し気な目元は緑谷に似ており、親しみやすい空気を感じる。

 

 

 

だからこそ、オールマイトは妙な違和感を感じていた。

 

「あ、ごめんなさい出久。お母さん、お茶の準備忘れてたわ。先生を待たせちゃダメだから、いれてきてもらっていいかしら?」

「え?ぁ・・・・うん」

 

リビングへ案内され、椅子へ座った辺りでその違和感の正体に気付く。

落ち着き過ぎているのだ。

 

一人息子が大きな危険にさらされた危機感、怒り、他にも様々な感情を今日会った保護者の方々から感じていたが緑谷母からはそういった感情の波が全く感じられない。

 

 

相澤が全寮制に対して説明を改めてした時も、その柔和な笑顔は変わらない。

 

 

「はい。出久がヒーローを目指す以上、危険を避け続けることは出来ませんから・・・先生方が守っていただけるならこれ以上安心できる場所はありません」

「そう言っていただけると・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですが・・・もし、万が一・・・億が一。出久に何かが起きて・・・この子がこの世界から消えたとしたら。私は貴男方を・・・世界を許すつもりはありません」

 

 

静かな声。

決して大きくはないその声に、オールマイトの体に怖気がはしる。

先ほどまで少年に似ていたと感じていたその目が、今は逆にひどく恐ろしいものに感じる。

 

「夫がこの世界から姿を消して私に残るのはこの子だけとなりました」

 

声が。

声が徐々に大きく反響していく。

 

「この子は消えさせません。消えることは許されません。世界が許さなくても」

 

 

 

 

 

 

 

 

「信じさせててくださいね 全てを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呆然としていたのはどれほどの時間だったのか。

 

「お茶持ってきました!」

 

「ぁ・・・ああ、ありがとう緑谷少年!」

 

呑まれていた。

独特の、いや異質な雰囲気に呑まれていた。

 

緑谷から湯呑を受け取ったオールマイトは、隣に座る相澤へチラリと目を向ける。

その頬を伝う汗から、先ほど感じた感覚は自分だけが感じたものではないと再認識する。

 

 

なんとか、ぎこちないながらも口元に笑顔を浮かべ一つの疑問を口にする。

 

彼の個性を知り、父親が誰であるか知った時に感じた疑問。

書類上で確認し答えを知り、すぐに頭の片隅からは消えたはずのそれがどうして今になり浮かんだのか。

 

なぜ、本人に聞こうと考えたのかオールマイト自身も分からないまま―――

 

 

 

「・・・急でな質問で不躾ですが・・・お母様の個性はどのような物でしょうか?書類で拝見した限りでは『引きつける』個性とのことでしたが」

 

「ええ。その通りですよ、『質量』の大きなものは引き寄せられないとてもとても非力な・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()を『引きつける』個性ですよ」

 

 

 




ざ・〇〇〇ルーム



????「さて、少しばかり予定が伸びたがようやく行動に移す時が来たようだな」

????「あ?いきなり何言ってんだ」

????「勇ある者の成長は力だけでは成しえない。此度の戦いでこやつも一人前のケルトの戦士となるために自分に足りないものを自覚したようだ」

????「なおさら分かんねぇよ!そもそもあの坊主が目指してんのはヒーローとか言うヤツだろ?」

????「ケルト出身の英霊を数えてみろ、私の考えはそう的を外れてはいないはずだ」

????「・・・はぁ。つまり言いてぇところはアレか?」

????「ああ」

????「奴をケルトの戦士に仕上げるぞ」
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