問題児たちが異世界から来るそうですよ?―笑う自由人― 作:カゲショウ
十六夜「ヤハハ、そんなにビビんなよ」
剣士「どうしてゲストの皆さんは紹介前に喋るのか解りませんが紹介します。"ノーネーム"一の問題児で黒ウサギを困らせるのを趣味とする性悪快楽主義者の逆廻十六夜さんです」
十六夜「二人から聞いてはいたが本当に酷い紹介をするんだな……ちょっと拳で語ろうぜ」
剣士「非常口開放!」バンッ(非常口を開ける音)
十六夜「まぁ、待てよ」ガシッ(オレの肩を掴む音)
剣士「やめろ、放せ!」
十六夜「冗談だ、早く始めようぜ」
剣士「お前の冗談は冗談に聞こえないからやめろ……」
十六夜「ヤハハハ! 断る」
剣士「急に真顔になるな怖い。と言うことで今日の話題は……」
十六夜「無いんだろ?」
剣士「当たり前だ」
十六夜「なら今回は黒ウサギの弄り方……はテンプレ過ぎて面白くねぇ。"ノーネーム"の奴等をどう弄るか話そうぜ」
剣士「逆廻、お前………………天才か?」
十六夜「当たり前だ、十六夜様だからな」
剣士「最初は誰にするんだ?」
十六夜「やっぱりお嬢様からだろ。これは推測だが、黒ウサギの次に弄りがいがあるのはお嬢様だ」
剣士「久遠か……。弄り方によっては死を招くな」
十六夜「俺がそんなへまをすると思うか?」
剣士「いや、思わないね」
十六夜「だろ? それで弄り方だが、あえてストレートに誉めるってのはどうだ?」
剣士「いや、久遠は本物のお嬢様だから誉め言葉なんて聞き飽きてるんじゃないか?」
十六夜「いいやきっとストレートにずっと誉め続ければだんだん赤面してくると思うぜ。お嬢様って言っても中身はしょせん女だ、誉められて悪い気はしないはずだ」
剣士「成る程、流石逆廻だな! 早速弄りに行こうぜ!」
十六夜「おう! 一緒にニヤニヤしようぜ!」
剣士「今日はここまで。次回はあの弄られ担当の黒ウサギだぜ! それでは本編をお楽しみ下さい!」
十六夜「おい、早く行くぞ!」
剣士「ああ、今行く!」
※弄りに行った彼らは成功はしたものの仲良く怒られました。
暖かな朝日が射し込み瞼の裏の黒い世界を白に変える。
「ぅうーん……」
その変化と共にオレは目を覚まし……その三秒後に寝た。
あ、何かいつもと違って寝床がふわふわしてて気持ちいい。これなら何時までだって寝続けられるな。
「おやすみ……」
そう小さく呟くとオレは再び意識をシャットアウトした。
「剣士、起きて」
しかしそれは聞き慣れない声と共に強制終了させられた。
布団という大事な睡眠の友を盗られ渋々起きたオレの前には、ショートカットの少女がオレの戦友(布団)と思わしき物を手に立っていた。
…………誰だっけ?
「どちら様?」
「怒って良いかな?」
何故貴女は手刀を構えているのですか?
「よし落ち着こう。安易に人は傷付けるべきではない」
もしかして知り合いかな? ……うーん狐耳が生えた割烹着が似合う子しか思い出せない。
「えいっ」
「何故に!?」
時間切れになったのか脳天に少女がチョップする。超痛い。だけど目が覚めたよ……。
「……おはよう、春日部」
「おはよう、剣士」
満足そうに頷く春日部。まったく、名前を少し忘れただけで脳天チョップは勘弁してほしいよ。
「朝ごはんが出来てるから早く来た方が良いよ」
「あー了解了解……」
「じゃないと私が剣士の分も食べるから」
「三十秒で支度を済ませよう」
恐らく春日部は本気でオレの分の朝食も食べるだろう。しかも罪悪感さえも抱かずにむしゃむしゃと……それだけは絶対阻止せねば!!
割りと本気で危機感を感じたオレは急いでベッドから飛び起きて近くにかけていたブレザーを羽織って部屋を出た。
「っ! 準備が早かったね」
「一日の大事なエネルギーを奪われたらたまらんからな」
「……そう」
それだけ言い残すと春日部はその場から駆け出した…………全力で。
「あ、ちょっ!?」
「いただきます」
走りながら確実にオレの朝食を奪う事にしたのか手を合わせてる!?
「させるか!」
少し遅れてオレも走り出す。春日部との距離は五メートル程度だ、絶対追い付いてやる! 朝食のために!!
「オレは…………無力だ……」
朝食の並べてあったであろう広間にオレは四つん這いになって自分の無力さを嘆いていた。
「ご馳走さま」
春日部が綺麗に平らげた皿を見ながら手を合わせている。
「……ご愁傷様」
久遠が哀れみの視線をオレに向ける。やめろよ、泣いちゃうだろ?
結果から言えば、オレの朝食は春日部の胃の中に納まることとなった。
何故そんな事になってしまったの。オレが春日部に追い付けなかったからではない、寧ろ数秒もかからず春日部に追い越すことができた。
だがオレはそれが春日部の罠だということに気が付かなかった。
そもそもオレはこの本拠の間取りを知らない。だから何処に向かえばいいのか解らずただ直進していた。
暫くして春日部が来ないことを疑問に思ったオレが振り向くと、そこには春日部の姿はなく誰もいない空間が広がっていた。そこでオレは遅ればせながら春日部に嵌められたことに気が付くのだった。
そのあとは急いで引き返してひと部屋ひと部屋確認して回り、やっと辿り着いた時には丁度春日部が最後の一口を食べる瞬間で今に至るわけだ。
あの時の悲しみと絶望感はランキング上位に入るくらい凄かった……。
「剣士」
悲しむオレの側に春日部が座り込み、優しい口調で声を掛けてきたので顔を上げる。流石に悪かったと思ったのか?
「美味しかったよ」
「――――っ! ――――――っ!!」
悲しみは、声にはならなかった。
「か、春日部さん? 流石にやりすぎじゃ……」
久遠が流石にやり過ぎと判断したのか理由を問いかける。それに春日部はその場から少し頬を膨らませて拗ねたような顔をした。
「だって剣士が……」
「剣士君が?」
「どちら様? って……」
「…………はぁ」
手のひら返しで久遠がオレに非難の視線を向ける。そこでオレは気付いた、この場に味方が居なくなったことに。
「寝起きだったから仕方ないだろ!?」
精一杯弁解をするが久遠からは非難ので、春日部からは怒った目で睨まれたままでオレが罪人であるような雰囲気は消せない。
一応言っておくがオレはどちらかというと被害者だ!
「あの~……」
弁解を続けていると背後からいい臭いと共に可愛らしい声が聞こえてきた。
振り向くとそこには料理を乗せたお盆を持ったリリちゃんが立っていた。
「リリちゃんどうしたの? もしかして止めをさしにきた?」
もしそうならばオレはこの先誰も信用できなくなりそうだ。
「ち、違いますよ!」
二本の尻尾をパタパタと振って慌てて否定するリリちゃん。何だろう、心の傷が癒されていく……。
「え、えっと、剣士様はさっき耀様に朝食を盗られたようでしたので少ないですが代わりをご用意しました」
そう言ってリリちゃんは手に持っていたお盆をテーブルに置く。よろよろと近づいて見るとそこには小さいながらも綺麗な形をしたおにぎりと沢庵、美味しそうな湯気を発てている味噌汁が置かれていた。
「リリちゃん……」
「ご、ごめんなさい! やっぱり少ないで――」
「ありがとうっ!!」
「ひゃわっ!?」
天使が……天使がここにいる!
「あ、ああああああああああの、剣士様!?」
「ちょ、ちょっと貴方は何してるのよ!?」
久遠とマイエンジェルリリちゃんが何故か凄く動揺してる。
「何って、お礼を言ってるだけだが?」
「抱き締めたままだがな」
「え?」
ホントだいつの間にかマイエンジェルを抱き締めてたよ。
「あー、ごめんねリリちゃん。凄く嬉しくてつい……」
「い、いえ! 大丈夫です!」
何が大丈夫なのか凄く気になる。それと顔を真っ赤にして両手と二本の尻尾をブンブン振る姿が凄く可愛い。
「えっと、それじゃあこれは食べていいのかな?」
「あ、はい。少ないかもしれませんがどうぞ!」
「ありがとう。それじゃあ、いただきます」
まずはおにぎりを……うん、絶妙な塩加減で美味しいな。
「…………はっ! 意識が飛んでた」
「頭が痛いわ……」
味噌汁は……おお、出汁がきいてて美味い!
「本当にありがとうリリちゃん。これで一日頑張れるよ」
「いえ、私こそ剣士様のお役に立てたのなら嬉しいです♪」
上機嫌な笑みを浮かべるリリちゃん。ああ、守りたい、この笑顔。
「この調子で今日のギフトゲームも頑張ってください」
「……………あぁ」
スッカリワスレテタ。
「今日のギフトゲーム、心配になってきたわ……」
久遠が頭を押さえている。体調不良なら部屋で休んでた方がいいぞ。
「ま、大丈夫だろ」
そう言ってオレはおにぎりの最後の一口を口にほうりこんだ。
□■□■□
「帰っても良いですか?」
"フォレス・ガロ"の本拠に着いた開口一番のオレの台詞。
「ダメよ」
予想どうり久遠に切り捨てられたよ。あーあ、帰りたい。帰ってリリちゃん達と遊びたい。
「何だよ、緊張でもしてんのか?」
逆廻がからかうように笑う。いや、緊張はしてないんだけどさ……。
視線を逆廻から目の前の本拠に向ける。そこは"ノーネーム"の廃墟街とは別の意味で人が住んでるのか疑いたくなる位木々が生い茂っていた。
「…………。ジャングル?」
「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ」
「いや、虎以外のやつも居るだろ」
多分だけど。
「剣士さんの言う通りです。"フォレス・ガロ"のコミュニティ本拠は普通の居住区だったはず…………それにこの木々はまさか」
ジン君が木々に手を伸ばして何かを確認する。……ちなみに"解析眼"で軽く調べたらこの木は普通の木じゃなかった。
まるで生き物かのように脈を打ち、よくは解らないが胎動のようなものも見てとれた。本当今までの常識とか関係ないな、箱庭ってところは。
「やっぱり――――"鬼化"してる? いや、まさか」
「ジン君。ここに"契約書類"が貼ってあるわよ」
久遠の目線の先には確かに羊皮紙が門柱に貼られていて今回のギフトゲームの内容が記されていた。
『ギフトゲーム名:"ハンティング"
・プレイヤー一覧:天野 剣士
春日部 耀
久遠 飛鳥
ジン=ラッセル
・クリア条件:ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
・クリア方法:ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は"契約"によってガ
ルド=ガスパーを傷つける事は不可能。
・敗北条件 :降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 :ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。
"フォレス・ガロ"印』
………………あのバカ野郎っ!
「ガルドの身をクリア条件に…………指定武具で打倒!?」
「こ、これはまずいです!」
ジン君と黒ウサギが悲鳴にも似た声を上げる。
……この時「何故?」と聞けなかったのはオレがそれ以上にこのゲームの危険性、いや、このゲームの異常性を理解できたからだろうか。
「このゲームはそんなに危険なの?」
「いえ、ゲームそのもは単純です。問題なのはこのルールです。このルールでは飛鳥さんのギフトで彼を操る事も、耀さんと剣士さんのギフトで傷つける事も出来ない事になります……!」
そこなのか? このギフトゲームで問題なのは本当にそこなのか?
「……どういうこと?」
「"恩恵"ではなく"契約"によってその身を守っているのです。これでは神格でも手が出せません! 彼は自分の命をクリア条件に組み込む事で、御三人の力を克服したのです!」
違うだろ。問題なのはオレ達の力を克服したことじゃないだろ。
「すいません、僕の落ち度でした。初めに"契約書類"を作った時にルールもその場で決めておけばよかったのに……!」
確かに今回はそれをしなかったからこんなルールができてしまった。だけどジン君、君が謝るべきなのはオレ達じゃないだろ……!
「敵は命がけで五分に持ち込んだってことか。観客にしてみれば面白くていいけどな」
…………"面白くていい"、だと?
「……面白くないね、こんなの」
「剣士、どうしたの?」
オレの呟きが聞こえていたのか春日部が怪訝な顔をして声を掛けてくる。流石春日部だな、五感が鋭いなおい。
「別に、なんでもないよ」
「本当に?」
「体調が優れないのなら休んでてもいいのよ? 寧ろ色んな意味で心配だからそうして頂戴」
最後の一言がなかったら久遠に感動してたところなんだけどな。
でも、こんなところで悩んでても仕方ないな。何とかガルドと話をつけてみよう。そして"誰も死なずにすむ"ゲームをやり直せばいい。
「ああ、本当に何ともない。寧ろ何ともないから今すぐ帰りたい」
「そう、ならゲームを始めましょう」
いや、無視ですか。オレの帰りたい発言は華麗にスルーですか。
「…………」
「どうされましたか? 十六夜さん」
「いや、何でもない。ちょっと気になることがあっただけだ」
こっちを見ながら言っても説得力皆無ですよー、逆廻さーん。
「それはそうと、さっさと終わらせてくれよお嬢様」
「気軽に言ってくれるわね……条件はかなり厳しいわよ。指定武具が何かも書かれていないし、このまま戦えば厳しいかもしれない」
厳しい表情で"契約書類"を覗き込む久遠。
なぁ、久遠。お前のその眼差しはガルド=ガスパーを殺すことに対しての後悔なのか? それともこのゲームを挑んだことに対しての責任なのか?
「だ、大丈夫ですよ! "契約書類"には『指定』武具としっかり書いてあります! つまり最低でも何らかのヒントがなければなりません。もしヒントが提示されなければ、ルール違反で"フォレス・ガロ"の敗北は決定!この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも!」
「大丈夫。黒ウサギもこう言ってるし、私も頑張る」
「……ええ、そうね。むしろあの外道のプライドを粉砕するためには、コレぐらいのハンデが必要かもしれないわ」
手を握って励ましあう女子三人。おーおー、三人とも仲がよろしいことで。その近くでは逆廻とジン君が何か話してるし……。あれ? もしかしてオレ今一人ぼっち?
――――こうしてこのゲームはそれぞれ思惑を持って始まった。
□■□■□
オレ達四人が門を潜ると閉まった門に木々が絡みつき退路を塞いだ。あーあ、これでこのゲームをどうにかするまで出られなくなった。
「それにしても薄気味悪いところだな、ここは」
光さえも遮断してしまう程の密度で葉が生い茂ってるし、道はこの木の根っこでもはや原型とどめてないし……正直本当に気味が悪い。
「それには剣士君に同意だわ。こんな薄気味悪いところ初めてよ」
「それに光さえも遮断してるので何処からガルドが襲ってくるかわからない分、余計に恐ろしいです……」
若干緊張気味の久遠とジン君。そんな二人にさっきから鼻をクンクンとしていた春日部が助言する。
「大丈夫。近くには誰もいない。匂いで分かる」
「あら、犬にもお友達が?」
「うん。二十匹ぐらい」
何故その数の人間の友達がいないのか、甚だ疑問である。
「詳しい位置は分かりますか?」
「それは分からない。でも風下にいるのに匂いがないのだから、何処かの家に潜んでる可能性は高いと思う」
民家か……この状況じゃ探しにくいよな。
「ではまず外から探しましょう」
久遠の提案に頷く二人。確かに戦力を分断せず、危険を最小限に抑えるのはいい作戦だ。
だけど相手はあのガルドだ。どんな汚い手を使ってくるか分からない以上一か所に固まって一網打尽……になるかは別として一気に襲われる可能性があるというのも捨てきれない。
「隊長、提案があるのですが」
「却下よ」
「実は――って、まだ何も言ってないじゃん」
「ごめんなさい。でも貴方の提案はいまいち不安だわ」
「理由を聞こうか」
「貴方の今までの行動が答えだと思うけれど」
否定……できない……っ!
久遠に論破されて悔しがっていると、久遠はやれやれといった様子で肩を竦めた。
「わかったわよ。それで? どんな素敵な提案をしてくれるのかしら」
「より迅速に敵を捕捉するために二手に分かれることを提案します!」
オレの提案に久遠は手を口元に添え、しばし考え込んだ後に「そうね」と言って顔を上げた。
「剣士君の言うことも一理あると思うわ。そうなると組み分けは……」
「私と剣士は別々の方がいいよね」
「そうですね。耀さんと剣士さんが主戦力ですから二人が一緒だと僕たちが危険になると思います」
そうそう、主戦力のオレと春日部を別々に――って、え?
「いやいやいやいや、ちょっと待ってくれよ」
「あら、何か不満でもあるのかしら?」
いや、不満も何もそれ以前の問題なんだが……。
「何でオレが主戦力としてカウントされてるんだよ」
「白夜叉の所で自分は強い宣言してたじゃない」
「確かにしたけど……。オレ基本スペックは普通の人間と同じだぞ?」
「嘘」
否定が早いですね、春日部さん!
だけど実際オレは逆廻や春日部とかと違って身体能力はずば抜けて高いわけでもなく、ヤっさんの時もほとんど反射神経をフルに使って戦っていたようなものだ。だからギフトが通じないとなってる今は主戦力どころか足手まといだ。
しかし、この二人の目がオレの言葉を全然信じてない事を明確に語ってるしなぁ……どうすればいいんだよ。
「あの……」
上手い説得の仕方を考えているとジン君が遠慮がちに声を掛けてきた。何? オレを助けてくれるの?
「剣士さんの言うことが本当ならば飛鳥さんと剣士さん、僕と耀さんに分けたらどうでしょうか?」
考えられる中で一番最悪なカードを提示してきた……だと。
いや、確かにその分け方は戦力的に最善かもしれないよ? 実際この中で一番強いの春日部だし、ガルドに使えなくても足止めとかならオレはできるし理に適ってる。
だけどな、ジン君。オレが久遠と組むともれなく説教がついてくるんだよ? そんなのオレが逃げ出さないわけ無いじゃないか!
「そうね、戦力的には妥当な分け方ね。いざとなったらジン君は春日部さんが連れて逃げればいいし……」
ヘイ、ミス久遠、君はそれでいいのかい? 幸せ逃げ出しコースで満足なのか?
「うん。私もそれでいいと思う」
春日部、お前もか。お前もオレに久遠の説教をくらえと言うのか!
くっ、やはりここは本人が言うしかないようだな!
「オレは反対だ」
「……何故かしら?」
おおぅ、久遠の目が凄く怖い。だけどオレは負けない、オレの心の安寧のために!
「だって久遠怖いもん」
「剣士君、ちょっとそこになおりなさい」
「すいませんでした」
やはりオレは久遠には逆らえない運命なのか……っ!
こうしてオレ達は二手に分かれて捜索することになった。ペア? もちろん久遠様とだよ。
「……」
「いや~それにしても家があんなになってるだなんて恐ろしいなあ」
「……」
「ガルドって実は強いのかもしれないな。気を引き締めていこうぜ」
「……」
「あ、あの~久遠さん?」
「……」
…………気まずい!
さっきから久遠が何も喋ってくれないよ! オレのせいだってことは分かってるんだけど正直息苦しい!
あーあ、こんなことになるなら言わなきゃよかったよ。久遠さん、マジすいませんでした。なので何か喋ってください。
「…………はぁ。そんなに気にするんだったら最初から言わなければいいのよ」
「久遠!」
やっと久遠が話しかけてくれた!
「まったく。そもそも貴方がおかしなことをしなければ私だって怒らないわよ」
「あ、はい。おっしゃる通りでございます」
話しかけてくれたかと思えば説教だったか……。まあいいや、これでさっきのことが水に流せるのなら甘んじて受け入れよう。
「それにしてもここは広いわね。探すのも一苦労だわ」
「え? ああ、うん。そうだな」
まさかもう説教が終わるは思ってなかったから変な声が出てしまったよ。
腰に手を当ててため息を吐く久遠は口では疲れたと言っているがその目は何が起こるかわからないこのゲームを楽しんでいるように見えた。
「なぁ、久遠」
だからオレは聞きたくなった、
「このゲームは久遠にとって楽しいか?」
このゲームの異常性をこのお嬢様が理解しているのかを……。
「ええ、楽しいわ。こんなの元の世界じゃできないもの」
「……そうか」
そうだよな、オレ達がやってるのはあくまで"ギフトゲーム"という競技みたいなものなんだ。楽しまなくちゃ意味がないんだよな。
…………たとえそれが誰かの命を奪うゲームだとしても。
「ところで剣士君、貴方は何処にガルドがいるか心当たりないかしら?」
ウキウキしているのが伝わってくる。本当に純粋にこのゲームを楽しんでいるんだな、久遠。
「さぁ? あそこの屋敷の中にでもいるんじゃない?」
止めるのは酷かもしれない。楽しんでるならそれでいいじゃないか。心の中でガルドを殺すことを容認する声が聞こえる。
「屋敷……そうね、行ってみましょう」
「へいへい」
どうしたらいいのか考えがまとまらないままオレは久遠に連れられて屋敷へと歩いて行った。
すいませんガルドと戦ってません。
今回は前半が長すぎて結局二つに分けることとなりました。後編で必ず終わられて見せます!