問題児たちが異世界から来るそうですよ?―笑う自由人―   作:カゲショウ

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剣士「皆さんいかがお過ごしですか? 天野剣士です。今回も『天野剣士の駄弁りコーナー』を優雅にお送りします(キリッ)」
リリ「あの、もう喋っていいですか?」
剣士「まさかリリちゃんまでオレが紹介する前に喋るなんて……。まぁいいや、可愛いので許す」
リリ「あ、ありがとうございます?」
剣士「それでは紹介します! 第六回のゲストは"ノーネーム"年長組のリーダー的存在、表情と同じくらい感情を表す狐耳と二本の尻尾が特徴的で可愛らしいリリちゃんです!」
リリ「今日はよろしくお願いします!」
剣士「さて今回はゲストがリリちゃんということで語るべき話題を徹夜で考えて――これてないんだけど」
リリ「これてないんですか!?」
剣士「何かここに居れば思いつくかなって」
リリ「何か思いついたんですか?」
剣士「すみません何も思い浮かばなかったです」
リリ「あ、あははは……」
剣士「だがしかし! オレは絶対に最高の時間をリリちゃんにプレゼントしてみせる! リリちゃんがくれたあの味噌汁と同じくらい最高の時間を!」
リリ「剣士様……。ありがとうございます、お気持ちだけでも十分嬉しいです!」
剣士「ということでリリちゃん、今回は『私は誰でしょうゲーム』をやろう」
リリ「私は誰でしょうゲーム……ですか? 何ですかそれは」
剣士「このゲームは出題者がある物、または人物の特徴を一つずつ提示していって回答者がそこから答えを導き出すゲームなんだ」
リリ「わぁ、なんか面白そうです!」
剣士「よし、なら問題! 私は誰でしょう!」
リリ「天野剣士様です!」
剣士「あぁ……うん、そうなんだけど。リリちゃん、今のはこのゲームを始める時の常套句みたいなやつで問題じゃないんだ」
リリ「え? そうなんですか? ……うぅ、恥ずかしいです///」
剣士「あはは、まぁ最初はそんなもんだよ。それじゃ再開するね?」
リリ「は、はい! 今度は気を付けます!」
剣士「それじゃ、私は誰でしょう? 『私は小さいです』」
リリ「小さい、ですか? う~ん……」
剣士「焦らなくて大丈夫だよ。次、『私は"ノーネーム"に居ます』」
リリ「"ノーネーム"に居る小さい……人?」
剣士「お? 近づいてきたね。次いくよ『私はいっつも大きめのローブを着ています』」
リリ「ローブ……。あ、ジン君だ!」
剣士「正解! よくできました」ナデナデ
リリ「えへへー♪」
剣士「それじゃ今回はここまで! リリちゃん、今日はどうだった?」
リリ「はい! とっても楽しかったです!」
剣士「それは良かった。さっきのゲームは他の子達にしてあげるといいよ。きっと盛り上がるよ」
リリ「はい!」
剣士「それでは今回はここまで! 次回は白夜叉ことヤっさんが……あれ? 逆だっけ? ま、いっかそれでは本編をどうぞ!」


12話 一悶着ありました

「後はここをこうやって……っと。ほら」

「わぁ! スゴいです剣士様!」

「更にこうすれば……」

「あ、完成ですね!」

「貴方達は何をやってるんですか?」

いきなり襖が開いたかと思ったらテンちゃんが立っていた。

「お仕事ご苦労さん。逆廻達は何処に?」

「客間の方に案内しました。それよりさっきの質問に答えてください」

因みに説明しとくと、逆廻達は部屋が散らかってたのでテンちゃんの粋な計らいで部屋を移し、オレとリリちゃんはバレないように廊下の隅で待機している状態だ。もっとも逆廻とヤっさんにはバレてると思うけど。

「何って……ルービックキューブだけど」

そういって手に持っていたルービックキューブをテンちゃんに差し出す。それを受け取ったテンちゃんは観察するようにいろんな角度から見た後、難しい顔をして眉をよせた。

「…………どうするんですか、これは?」

「あ、テンちゃんも知らないんだ」

さっきまでリリちゃんに教えてたけど、箱庭にはないのかな?

一応言っておくがルービックキューブとは立方体でそれぞれ面が幾つかの四角に別れており、それぞれの色事に面を揃えていくパズルゲームで暇潰しには持ってこいのあれである。まぁ、大体の奴は中々揃えられずに飽きるんだけど。

「という物なんだ。分かった?」

「だいたい理解できました。つまり立体パズルのようなものですね」

「うん。そういうこと」

「あれ? 今、剣士様一言も喋ってないですよね?」

ホントだ。何で分かったんだろう? マジで心のなか読まれてる? それならテンちゃんの悪口言えないじゃん。

「どうしましたか?(ジロッ)」

「いえ、何も……」

目付きが変わった。あ、もうテンちゃんの悪口言うのやーめよっと。

『いやだ』

テンちゃんの悪口を言わないと決めた瞬間明確な否定の声が聞こえてきた。声質からして男のものだが聞き慣れない声なので恐らくは先にこの店に来ていた男だろう。名前は確か……ルイジアナだっけ?

「ねぇ、テンちゃん。あの久遠より物分かりの悪そうないけすかないイケメンの名前って何だっけ?」

「け、剣士様? 笑顔で悪口を言うのはどうかと思いますよ?」

はっ! いけないいけない、あんな我が儘そうなお坊ちゃんを見るとついイラッとしてしまう。え? 逆廻にはしないのかって? まぁそこは責任がとれるかどうかの違いだな。アイツはどうやってもとれそうにない。

「貴方は……先程も言いましたが、あそこに座っているチャラくてウザくて親のおかげで今の地位にいるだけの七光りのクズ野郎は"サウザンドアイズ"の傘下のコミュニティ、"ペルセウス"のリーダーのルイオス様です。それくらい一度で覚えてください」

「剣士様より凄い悪口言ってる!?」

どうやらテンちゃんもあのルイオスってのは嫌いらしいな。逆に好きって言う奴はかなり稀少だと思う。

『あ、貴方という人は…………!』

『しっかし可哀想な奴だよねーアイツも。箱庭から売り払われるだけじゃなく、恥知らずな仲間の所為でギフトまでも魔王に譲り渡す事になっちゃったんだもの』

うん、言い方がなんかウザいな。自分が上の立場だと思ってるからだろうが一応お前の目の前に座ってる奴等はお前の数倍強いと思うぜ?

「にしても、ルイオスが言ってる『アイツ』って誰のこと? 話の流れから吸血鬼ってのだけは分かったんだけど……」

「多分ですけどレティシア様のことだと思います」

「レティシア? 誰それ?」

「私たち"ノーネーム"の仲間です。前に魔王に襲われたときに拐われたんですけど……」

「つまり現状では元・仲間って言い方が適切なわけだ」

「……」

おや、リリちゃんが俯いてしまった。まぁ、あの"ノーネーム"の雰囲気からすると、というか仲間を全員取り戻す気満々な黒ウサギ達にとっては離れていても仲間なのだろう。元・仲間という言い方が気に入らないというのも頷ける。

しっかし、吸血鬼か……。そういえばジン君が"フォレス・ガロ"の本拠に生えてた異形な木を見て"鬼化"って言ってたけどそれと関係あるのか?

『取引をしよう。吸血鬼を"ノーネーム"に戻してやる。代わりに、僕は君が欲しい。君は生涯、僕に隸属するんだ』

『なっ、』

『一種の一目惚れって奴? それに"箱庭の貴族"の箔も惜しいし』

「……へぇ」

随分と面白い取引を持ちかけてくるじゃないか、このクズは。ここ最近クズとの遭遇率高いな、オレ。

『"黙りなさい"!』

久遠の言葉が響き、それと同時にルイオスの下顎が強制的に閉じられる。あれって舌出した状態だったら噛みきれそうだな。

「おっと、それより準備しないと」

中腰になっていつでも戸を開けられるようにしておく。

『貴方は不快だわ。そのまま"地に頭を伏せてなさい"!』

わぉ、久遠節全開ですね。ルイオスも徐々に頭を下げ始めてーーん? "徐々に"?

『おい、おんな。そんなのが、つうじるのはーーーー格下だけだ!、馬鹿が!!』

久遠のギフトを打ち破ったルイオスがギフトカードを取り出し、光と共に鎌が現れる。そしてそのまま鎌を振り下ろそうとする。させないけどな!

「喧嘩両成敗!」

襖を勢いよく開き、バケツを水を撒くように振る。

「「っ!?」」

バシャッという水音をたてて頭から水を被る……久遠が。

「……」

髪からぽたぽたと雫が滴り落ち、怒りを限界まで堪えたらこんな顔になるんだぁと感心するほど凄い形相をしていた。

「…………これはどういうことかしら?」

顔は笑顔に戻ったが額に青筋立ってますよ、久遠さん。

「ほら、昔から喧嘩両成敗って言葉があるでしょ? そこの七光りの坊っちゃんに喧嘩ふっかけた久遠に叱るべき制裁をくだしたまでだよ」

「貴方ねぇ……」

ピクピクと口角が痙攣してるように動いてる。マジで面白いが顔にださないようにしないと怒られる。

「お、おい、お前! 何だこれは!」

ルイオスが鎌を振り上げた状態で固まっているーーというより鎖で床と天井に固定されている状態で声を荒げる。

「何って……話聞いてた? 喧嘩したので仲裁したまでですよ。もっとも、貴方は肉体的に危害を加えようとしたから手荒な方法をとらせてもらったがな」

「先に手を出したのはその女だろ!」

「だから久遠はびしょ濡れになってるだろ? そんなことも分からないのかよ」

「っ! コイツ……ッ!」

ギリッとオレまで聞こえるくらいの歯ぎしりをしてオレを睨む。そんな顔しても全然怖くないね。久遠のほうが百倍おそろ「剣士君?」すいません何でもないです。

「あの、剣士さん? 一つ宜しいでしょうか?」

若干遠慮ぎみに手をあげる黒ウサギ。

「何だよ黒ウサギ。今リリちゃんの教育上宜しくなさそうな奴の説教をしてるんだけど」

「何で此処にその子が居るのかも問いたいところですが、もっと重要な事がありますのでそちらから聞いても宜しいでしょうか?」

「しょうがないなぁ……。一つだけだぞ?」

「ありがとうございます。それではお伺いしますがさっき飛鳥さんに水を掛けたのは喧嘩を止めるためですよね?」

「そうだけど」

「なら――――黒ウサギにまで水を掛けることは無いですよね!?」

髪とウサミミを逆立ててキレる黒ウサギ。その体は黒ウサギが言うように久遠程ではないが少しばかり濡れていた。

「ついノリでやりました」

「あ、そうなんですか。それならしょうがなくないです! このお馬鹿様!!」

ノリツッコミした流れで怒られた。まったく、黒ウサギは元気だなぁ。

ま、水かけたのは事実だけどオレも本当にノリだけでぶっかけた訳じゃないけどね。

「なぁ黒ウサギ、さっきの取引に応じるつもりならやめとけ。最期に泣きを見るのはお前自身になるぞ」

「ど、どういうことですか」

さっきまでの怒りは何処へ行ったのやら、急に険しい顔つきになる。

「あのさ、話聞いてたらやれ自己犠牲が生き甲斐だの仲間のためだの言ってるけど、そんなの無意味だからやめろよ」

「……黒ウサギは"月の兎"です。もしそれで誰かが助かるというならこの身を差し出すことだっていといません」

あぁ、ダメだ。このウサギは何にも分かっちゃいない。仲間を助け出すために取引に応じる事が必ずしもいい話で終わるわけではないことに気付いてない。

「…………はぁ」

「な、何ですか、そのため息は」

「いや、駄ウサギが一匹いるなと思ってさ」

「だ、駄ウサギってなんですか! 黒ウサギは"月の兎"の生き方にならってーー」

「自己犠牲ってか? 何それ超ウケないんだけど」

「な……ッ!?」

狼狽して目を見開いてオレを見る。

「いいか黒ウサギ。お前がしようとしていることは自己犠牲でも何でもない。ただの自己満足だ」

ビクッと黒ウサギの体が跳ねる。

「自分が犠牲になれば仲間の吸血鬼は解放される。そうすればルイオスの言う"恥知らずな仲間"じゃなくなる。…………得られるモノはたったこれだけなんだぜ?」

「……何が言いたいんですか」

「つまり、さ」

一度言葉を区切って息を吐き、大きく吸い込んで出来る限り真面目そうな顔を作る。

「その後はどうすんだよ。コミュニティの財源は? 子供たちの明日の食料は? それに仲間の吸血鬼はコミュニティ再建を聞いてギフト渡してまで来た人情の厚い奴なんだろ? それなら解放された後にお前を助けにルイオスに喧嘩吹っ掛けるかもしれないだろ」

「ッ!!」

「誰も助かってないじゃんか」

その言葉を聞いた黒ウサギは黙って俯いてしまった。誰も助からない自己犠牲などただの自己満足に過ぎない。別に黒ウサギの自己犠牲精神を止める訳ではないが、其処のところは履き違えてほしくなかった。

「以上、天野剣士のお説教を終了する」

「「「………………は?」」」

黒ウサギ、久遠、ルイオスの三人が途端に間抜け――もとい気の抜けた顔になる。因みにさっきから喋ってない逆廻とヤっさんはというと、ヤっさんは真剣な表情で聞いてたが逆廻はニヤニヤしてやがった。

「ヤっさん、ちょっと良いかな?」

「なんだい、今度は私に説教か?」

「違うよ。ちょっと頼みたいことがあるんだ」

「暇潰し一日で手を打とう」

「黒ウサギ一日着せ替えで」

「良かろう。その依頼引き受けた」

「ありがと。それで頼みってのは"フォレス・ガロ"本拠の一角に白い石碑みたいなのがあるから取り壊されないようにしてほしいんだけど」

「ふむ。それくらいなら簡単だな。手配しておこう」

「流石ヤっさん。助かるよ」

お互いに軽く笑いあうとオレはリリちゃん達の居る方へ歩き出す。が、大切なことを思い出して首だけ黒ウサギ達の方へ向ける。

「ルイオスの手枷なんだけど外すの怠いから誰か外しといてね。それじゃ、サヨナラ七光りのお坊っちゃん」

それだけ言い残してリリちゃんの手を引いて店の出口へ向かう。

「あの、皆さんを待たなくていいんですか?」

「良いんだよ。どうせ最期に決断するのは黒ウサギなんだ、オレ達がアレコレ言っても無駄だし。それに……」

「それに?」

「黒ウサギはリリちゃん達を簡単には見捨てないさ。きっととびきり面白い答えを出す。……でしょ?」

「……はいッ!」

ひょコン! と狐耳が立つ。ナニコレ新しい、そして可愛い。

というわけで、オレとリリちゃんは黒ウサギ達を置いて一足早くコミュニティに戻ることにした。

 

 

 

□■□■□

 

 

 

『"ノーネーム"の皆様へ

これから暫く旅に出ますが、逆廻も一緒なので探さなくても大丈夫です。

謹慎くらってる黒ウサギ達と違って自由の身なのでゆっくりと旅をしますが五日以内には戻ってくるつもりです。

それではお体に気を付けて。

P.S. オレは反省なんてしていない  天野剣士』

「「「…………」」」

「あ、あははは……」

一枚の紙を覗き込んで黒ウサギ、飛鳥、耀の三人は固まり、そのそばではジンが頭を抱えリリが苦笑している。

昨日の"ペルセウス"との諍いの翌日、本来なら謹慎状態の三人は部屋から出でこれないのだが、剣士の部屋に置いてあった置手紙をリリが見つけて緊急に招集されたのだった。

十六夜と剣士の二人は昨日の一件で特に争いを起こしたというわけではないので謹慎処分を下さなかったが、こんなことになるなら二人にも謹慎を言い渡しておくべきだったとジンは今更ながら心の中で後悔する。

「あの問題児の御二人は……ッ!」

怒りのために髪の色が徐々に緋色に変化していく黒ウサギ。手に持っている手紙も力強く握られてるためかクシャクシャになっている。

「お、落ち着いて黒ウサギ。別に何か問題を起こしたってわけじゃないでしょ?」

「これから何か問題を起こすかもしれないじゃないですか! 十六夜さんなら多少の良識はあるかもしれませんが剣士さんは不安すぎます!」

「そ、それは……否定できないけど……」

なだめているジンは黒ウサギの正論(?)に説き伏せられ言葉を失う。飛鳥と耀も気まずそうに顔を伏せている。

「皆様、きっと大丈夫ですよ。剣士様は良い人ですから」

「リリ……」

剣士の事で不安に包まれる中でリリだけがそれを否定していた。

「剣士様は優しい方です。初めて会った時だって水を運ぶのを助けていたただきましたし、昨日だってお墓を作っていましたし……」

「お墓? それってどういうこと?」

"お墓"という単語に反応して耀がリリの言葉を遮るように問いかける。

「? 皆様ご存じないのですか?」

「知らないわね。そもそも誰のお墓よ」

「えっと、確か"フォレス・ガロ"のリーダーさんのお墓でした」

『!?』

その場にいるリリ以外の全員が驚愕する。無理もない、そもそも"フォレス・ガロ"に喧嘩を売ったのはガルドが外道で我慢ならなかったからだ。それなのにガルドの墓を作るということが四人には疑問でしかない。

「なんか……剣士らしい?」

「何で疑問形なのよ。……まぁ、言わんとしていることは分かるけど」

飛鳥と耀は今までの剣士を重ね合わせて納得していた。黒ウサギはまだ驚いたままだが二人同様に今日の剣士の態度を思い出し、釈然としないが納得する。

「まぁ、御二人とも基本的に何か問題起こしても自分で何とかするくらいの力はあるからあまり心配することは無いんじゃないかな」

ジンの『あまり』という部分に少なからず不安が残っていることを示してはいるが全員頷き合う。

 

あれから四日後、剣士と十六夜が旅行(?)に出た日を含めると五日後。この日は雨だった。

黒ウサギは自室の窓際に座りながら窓の外をじっと見ていた。何故こんなことをしているのか。それは、四日前に和解できるかと思われたが、頑なに自分の意見を曲げようとしない黒ウサギと飛鳥、耀、ジンの第二回目の論争が始まったのだ。結局のところ再び謹慎をくらってしまい、こうして窓の外を眺めているというわけだ。

この光景を剣士が見ればバカにするかもしれない、と黒ウサギは想像の中で自分のことをバカにしてくる剣士に少し苛立ちを覚える。

それからしばらくすると、コンコンと控えめなノック音が響く。

「はーい、鍵もかかってますし中には誰もいませんよー」

「……。入ってもいいという事かしら?」

「そうじゃないかな?」

飛鳥と耀の声だ。しかし二人とも元々入る気満々だったのか黒ウサギの言葉をまともに受け取ろうとしない。というか黒ウサギの声がした時点で入る気だった。

「あら、鍵がかかってるわ」

「ん………ホントだ。こじ開ける?」

「はいはい、開けます開けます! 御二人はもう少しソフトというかオブラートにですね」

「まぁ、待て。こういうのはこじ開けるのが楽しいんだよ」

「逆廻……。その話乗った!」

「じゃあ、まず私から」

バキンッ!

「オブラァァァァァト!」

「「五月蠅い」」

黒ウサギの叫びを飛鳥と耀の二人が一蹴する。

「そんじゃ、次は俺だな」

ドガァン!

「い、十六夜さん! 今まで何処に、って破壊せずに入ってこれないのでございますか貴方達は!」

「だって鍵かかってたし」

「あ、なるほど! じゃあ黒ウサギが持っているドアノブは一体何なんですこのお馬鹿様!」

手に持っていたドアノブを投げつける黒ウサギ。十六夜がそれをかわすとドアノブが"ドアに"ぶつかる。

「!?」

「ラストォォオ!」

ガチャ

「普通に入ってくるんですか!?」

「いや、ドアってそんなもんだろ?」

入ってくる前の掛け声に反し、至って普通に入室した剣士に何故か驚く黒ウサギ。前の三人の派手な登場のせいで身構えた分その反動は大きかった。

「……剣士、その風呂敷は何?」

耀の視線が剣士と十六夜がそれぞれ持っている風呂敷へと向く。

「ん? あぁ、これね」

そう言って風呂敷を目線の高さまで掲げる。

「お土産だぜ。退屈してそうなお前らへのな」

ヤハハ、と笑いながら十六夜が風呂敷を近くのテーブルへと置くと包まれていたものが姿を現す。

「! こ、これは……!」

黒ウサギが口を両手で押さえながら今までで一番驚いた顔をする。そんな黒ウサギの反応に気を良くしたのかニヤニヤと笑っていた二人がハイタッチをする。

「貴方達、これはどうしたのかしら?」

「勿論説明する。だけどその前に一つだけいいか?」

「何?」

剣士が深呼吸をして佇まいを正す。そしてそれをした意味があるのかないのか再びヘラヘラした顔に戻り、軽い口調で言い放つ。

「オレ、レティシアを助ける気はないから」

「「「…………へ?」」」




更新遅くなりましてすみません。
最近は春休みになり「沢山書けるー!」と思っていたのですが、宿題の多さと別の二次創作に時間を割かれて予想以上に遅れました……。
さて、今回は剣士が最後に爆弾発言しましたね。
え? なんでかって? 次回書きます(多分)
とまぁ、もうそろそろ一巻終了です。急いで二巻買ってきます。
それと問題児の短編集の時系列が解る人がいたら教えてください。お願いします。
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