問題児たちが異世界から来るそうですよ?―笑う自由人― 作:カゲショウ
白夜叉「いや、黒ウサギからおんしがコーナーを早々に終了させる恐れがあると聞いたからな。先手を打たせてもらった」
剣士「あっはっは。オレがそんなことするわけ無いだろ? まったく、あの駄ウサギ後でヤっさんに送りつけてやろう」
白夜叉「では楽しみにしておくとするか」
剣士「という事で第七回のゲストは東側の"階層支配者"で限りなく幼女に近い変態の白夜叉様ことヤっさんです」
白夜叉「この異世界人たちには一度礼儀というものを教えたくなるな」
剣士「でも、間違ってないでしょ?」
白夜叉「否定はせん」
剣士「それは良かった。……さて、今回はゲストがヤっさんという事で特別企画を用意しました!」
白夜叉「計画性ゼロと言われてたおんしが話題を用意しているとな!?」
剣士「えー、ヤっさんの反応に心が大変傷つきましたがこのコーナは短いのでスルーします」
白夜叉「つれないのう」
剣士「文句なら作者にどうぞ。それでは今回用意した特別企画! 題して『教えてヤっさん! 段ボールハウスの作り方講座』!」
白夜叉「私一切関係ないな!?」
剣士「今回はお手軽に引っ越しができる快適なマイホーム、段ボールハウスの作り方をご紹介します」
白夜叉「しかも教えるのは私ではないだと!?」
剣士「まず段ボールを用意します。枚数に指定はありませんが、少なすぎず、多すぎずがベストですね」
白夜叉「ギフトを使って段ボールを出すとは……。宝の持ち腐れとはこのことか」
剣士「次にハサミ、またはカッターを用意して段ボールを一直線にします」
白夜叉「もう何もツッコまん。絶対に突っ込まんぞ……」
剣士「完成です」
白夜叉「段ボールハウスじゃない!?」
剣士「アレンジを加えればもっと素敵な布団が作れます」
白夜叉「もはやハウスじゃない……だとう……っ!?」
剣士「あ、そろそろ本編始まるや」
白夜叉「ほとんど何も話さず終了するコーナーは初めてだぞ小僧……」
剣士「まぁまぁそう言わずに。次回のゲストは"サウザンドアイズ"の店で働いてるテンちゃんこと店長です」
白夜叉「今度は間違えんかったな」
剣士「裏で練習し――何でもないです。それでは本編をどうぞ!」
白夜叉「……(努力、か……)」
「さて、理由を話してもらおうかしら」
「その前にオレを椅子に縛り上げた理由を聞いてもいいか?」
現在オレは黒ウサギの部屋で何故か椅子と仲良く縛られて問題児三人+駄ウサギに囲まれている。
因みに何故こんな状況になったかというと、仲間の吸血鬼――レティシアを助けないと言ってそのまま部屋を去って自分の部屋で寝ようとしたところを春日部に組み伏せられ、久遠と黒ウサギの連係プレイによって今の状況になっている。
……それはもう見事な連携で、逃げ出す隙がまったくありませんでした。
「人間の体は自然と恐怖――危険から逃れようとするから縛り付けておくのはしかたがない」
「言い直してもあんまり緩和されてませんよ春日部さん。というかオレに何をするつもりだ」
「何って拷も――事情聴取をするだけよ? 他には何もしないわ」
「そうか、なら二人とも今その手に持っている刃物をゆっくりテーブルの上に置くんだ。アンダスタン?」
「……Sorry.I can't understand Engrlish」
「ペラペラじゃん! めっちゃ英語喋れるじゃん!」
「剣士君、少しは黙ったらどう? 貴方は今の状況が理解できてるのかしら?」
「理解できてるから十分な説明を求めてるところだろうが」
理解と納得は必ずしも同じとは限らない。
そもそも縄で縛られた位じゃオレの行動は制限できるはずもないのだが、唯一の出入り口に逆廻と黒ウサギという最終兵器が二つも仁王立ちされてたら逃げる気も失せるというものだ。
「剣士君、貴方の返答次第では無傷で解放されるのよ。ならここは協力的に情報を交換するべきではないかしら?」
「こちらから提供できる情報はあっても、こっちは聞きたいことが一つも無いんだが……」
「小さな女の子が良く遊んでいる場所の情報はどうかしら?」
「いらん。というか何回も言わせてもらうがオレはロリコンじゃない!」
何故、こんな誤解が広まったのやら……。皆目見当もつかないな。
「なら三毛猫の喋ってる内容。日常会話編」
「なんか三毛猫とはこう……魂で通じてる気がするからいい」
「そんじゃ、黒ウサギのスリーサイズでどうだ」
「教えません!! というか何で知ってるんですか!?」
「ハッ」
「鼻で笑われた!?」
そんな知ってても役に立たなそうな情報など知っても無意味だ。
何処かの変態どもに情報を売れば高値で買うかもしれないが面倒くさいのでいいや。
「何だよ、お前ら結局たいした情報持ってないじゃん」
「剣士君にバカにされると無性に腹が立つわね……」
「やーい、バーカバーカ。脳なし―」
「春日部さん、そこの果物ナイフ取ってくれるかしら?」
「マジスイマセンでした。自分調子乗ってました」
「あら、謝るのが速いわね。……チッ」
「おい、仮にもお嬢様が舌打ちするんじゃありません」
「良いから早く言いなさい。でないと……春日部さん」
「ボッコボコにしてやんよ」
「分かった。分かったから顔面寸止めシャドーはやめようか」
ただの拳のはずなのに何故か前髪が揺れるほどの風圧を感じるよ。
オレは佇まいを正すと(縄で縛られてるのでそんなに変わらないが)ため息を一つつき説明する。
「いや、だってオレ行く必要ないじゃん。あの七光りのバカ息子倒すのぐらいは逆廻一人で十分だし久遠と春日部の力があればそこらへんの奴らなんて相手にならないだろ」
「おいおい、俺達が喧嘩を売るのはその坊ちゃんを含めたコミュニティ全員なんだぜ? さすがに戦力がたんねぇよ」
「黙れバトルジャンキー。そんな戦力差を覆すのが楽しいんだよ的な顔してるじゃん」
「ヤハハッ、当たり前だろそんなこと」
「もしかしたら万が一のことがあるかもしれないじゃない。何事も保険を打っとくべきだとは思わないかしら」
「だるい。だからヤダ」
「えい」
「おふっ!?」
可愛らしい声と共に放たれた殺気を帯びた春日部の拳は正確にオレの鳩尾へと入り、思わず変な声が出てしまった。
…………マジで痛い。というか苦しい。
オレは若干せき込みつつも逆廻の方を向く。
「つか逆廻。お前にはちゃんと話しただろうが」
「え? お前あれマジで言ってたのか? だったら少し引くぞ……」
「うるせぇよ……」
「あら、十六夜君には教えたのに私達には教えてくれないのかしら?」
「こっちにも色々事情があったんだよ。察してくれ」
正直逆廻に引くとか言われからではないが、元々話すつもりはなかった。
ガルドがあんなになったのはレティシアが原因だったからなどとこいつらには話すことはないだろうな。
勿論レティシア自信を憎んだり恨んだりしている訳ではないが、悪いことをした奴には罰が必要と思っただけだ。
それにこいつ等がいれば絶対負けることがないから助けることもできるだろう。それならばオレは今回の一件に関しては極力関与しない、そう決めたのだ。
「……はぁ。分かったわ、剣士君は今回のゲームは参加しなくてもいいわ」
「え? マジで? ラッキー」
「その代りゲームが終わるまで謹慎処分よ。それでもいいかしら?」
「もち、ろ……んん?」
謹慎処分? それってあの人に密室から一歩も出るなと命令して自由を奪う、非人道的なあれ?
「そんな、オレから自由を奪うなんて……。正気かお前らっ!?」
「正気よ。それとも貴方もゲームに参加する?」
久遠が不敵な笑みを浮かべて問いかける。くそっ、挑発しやがって……っ!
「オレは……オレは…………っ!!」
□■□■□
「………………………………暇だ」
オレはベッドの上で体を投げ出して天井を見つめていた。
部屋を出たい。この狭い世界から抜け出して外の広い世界を気の向くままに歩きたいという衝動に駆られるが我慢する。
いつもなら本能の赴くままに行動するオレがこんなことをしている訳は至って単純で、あの後オレが此処に残ることに決めたからだ。
最初は一日位部屋でゆっくりするのもいいかもしれないと思っていたが、久遠の条件をのみ初めて嵌められたことに気付いた。
「"ゲームが終わるまで"とは言っていたけど"ゲームが始まって終わるまで"とは言ってなかったもんな……」
久遠が言うには「明確なスタートを決めていないから今からでも問題ない」とのことで、もちろんオレもそれなら別に今からじゃなくても良いではないかと反論したのだが、説明(武力)によってオレの意見は弾圧されてしまった。
チラリと扉の方を見ると二人の子供が城の衛兵よろしく手を後ろに組んだ状態で仁王立ちしている。
そう、これこそがオレが現在暇な原因である。
この子供たちはオレが部屋から逃げ出さないようにするためのいわば番人であり、ここに閉じ込めておくための枷でもあった。
何故そうなのかと言うと、これもまた久遠の汚い作戦――もとい策略で曰く、「ロリコンの剣士君には子供に暴力は振るわないでしょ」とのことだった。
……いやいや久遠よ。普通は子供に理由もなく暴力は振るわないから。それとロリコンじゃないから。
まぁ、そういう訳で罪のない子供たちを押しのけてまで外に出ようとも思っていないのでこうして部屋にいるわけだが……暇すぎて死にそうだ。
「ひーまーだー。何か事件でも起こらないかなー。なるべく平和的なやつ」
「そう簡単に事件は起こりませんよ」
「リリちゃん」
オレの独り言に返事をしてくるとは……まぁ、暇はつぶせそうだしいい話相手になるよな。
「でも数日も部屋に軟禁されてたら流石に暇にもなるよ。番人の子達も逆廻に何吹き込まれたか知らないけど遊んでくれないし……」
「十六夜様にですか? 確かに剣士様とは何があっても遊び相手にならないようにと言われてますが、飛鳥様が皆にそう言ってたと思いますが……」
「ああ、なるほどね……」
あの腹黒お嬢様め、帰ってきたら覚えてろよ。ぎったんぎったんのぼっこぼこにしてや――られるからやめておこう。
「そういえばリリちゃんはどうして此処に?」
行き場のない怒りをどうにか心の奥底にしまいこんでリリちゃんに問いかける。
すると「そうでした」と耳と尻尾をピンッと立てる。
「実は旧館の天井に大きな穴が開いてしまいまして、私達だけでは危険ですので手伝ってもらいたいのですが……」
「旧館ってリリちゃん達が寝泊まりしてる所だよね? 何でまた」
「えっと、実は屋根の補強のために作業をしてたのですが思っていたより屋敷の老朽化が進んでいたみたいなんです。それで私達の重さに耐えられず……」
子供の重さに耐えられなかったって……建物として大丈夫かよ。
「それで、怪我したりとかは?」
「あ、はい。皆怪我はありません」
「そっか。それなら良かった」
安堵のため息と共にほっと胸をなでおろす。
しかしこれは結構重大な案件じゃないか? 今回は怪我がなくて済んだけど次もそうだとは限らないし、屋敷全体の耐久性もガタがきてると見たほうがいいかもしれない。
こういうのはジン君や黒ウサギに相談した方がいいけど、生憎二人と問題児三人衆は喧嘩の訪問販売に行ってていない。どうするべきなんだ……。
「うーん……。建物とかだと一部分を別の物とすり替えるってのが難しいからなぁ……」
「あの、剣士様?」
「よし、建て直すか」
「…………はい?」
■□■□■
「あぁ……疲れた」
「だ、大丈夫ですか?」
現在オレは目に蒸しタオルをのせて旧館前の地面に寝転がっている。その傍らにリリちゃんが心配そうに座っている。
何故こんな事になっているのかと言うと、端的に言えば"解析眼"を酷使したからだ。
"解析眼"は使うことによって対象物の様々な情報を把握し、脳に保存する代わりに長時間の使用、連続して使用すると目に激痛を伴う実に不便なギフトだ。今回は屋敷の構造を調べるために使用したのだが、別館とはいっても以外に広く全ての構造を把握するのに三十分かかった。
オレが痛みを感じない限界時間は十分なので、もちろんそんな長時間使うとそれなりの激痛が目を襲うわけで今に至るわけだ。
「あの、剣士様。別館の方はどういった状況なんですか?」
「あー……正直に話すと結構ヤバイ感じだな。今のままだと崩壊するところもあるし」
「そんなに危険な状態なんですか!?」
「半分冗談だ」
「むぅ~……」
はっ! リリちゃんが頬を膨らませてこちらを睨んでる可愛い光景がそこにある気がする! くっ……見れないのが凄く悔しい……っ!!
「剣士様、ふざけないでください」
「ごめんごめん。でも、あんまり状態が良くないのは確かだよ」
ゆっくりと状態を起こして蒸しタオルを取る。その時には既にリリちゃんが頬を膨らませてなかったのが心残りではあるが説明を続ける。
「屋根もなんだけど壁も柱もちょっと危険かな」
「そうですか……。うちのコミュニティはあんまりお金ないし……どうしよう」
暗い表情でうつむくリリちゃん。まぁ、普通は建物ひとつ建て替えるってなったらそんな顔になるよねー。
オレはそんなリリちゃんの肩にポンと手を置いて穏やかな声で話し掛ける。
「リリちゃん」
「何ですか?」
パチンッ(指を鳴らす音)
「建て替え終わったよ」
「はい。……って、ええええええ!?」
目を限界まで開いて驚くリリちゃん。その際に尻尾が点に向かって真っすぐ伸びて毛が逆立っているのだが、これもこれで面白い。
もちろん理由だってわかっている。ついさっきまで目の前にあったのはボロボロの木造の別館だったのに、いきなり屋敷と同じ(もしかしたらそれ以上に)位新しい白い壁でできた建物が目の間に現れれば大体驚く。驚かないのは問題児三人+ヤっさんくらいだろう。
「え? 剣士様、これは……。え?」
「とりあえずリリちゃんは一度落ち着こうか」
ぐるぐると目と尻尾を回すリリちゃんの肩に手を置いて落ち着かせる。
数回深呼吸をしてリリちゃんが落ち着いたのを確認して、ゆっくりと状況を説明する。
「簡単に説明するけど、オレのもう一つギフトで空間から物質を生み出すギフトがあってそれを使って今までの別館と同じ構造で新しい資材を使って作ったんだ。壁とかは屋敷の物を流用したから問題ないよ」
「え、でもそれなら消えるんじゃないんですか? 前に貸してもらった台車はコミュニティに着くと勝手に消えたんですが……」
「大丈夫だよ。構造は元のままにして良い資材を使ってるけど記憶の中にある完璧なものだからギフトが残留して消えたりしないよ」
そこまでの説明で何となく理解したのか困惑の表情から歓喜の表情に変わっていった。
「ありがとうございます、剣士様!!」
そう言って深く頭を下げるリリちゃん。よほど嬉しかったのか二本の尻尾が勢いよく左右に揺れている。
「いいって。今回は黒ウサギ達がいなかったから現場判断でしただけだし」
「でも屋根の修理だけではなく別館丸ごと改修してくれたのは本当に嬉しいです!」
「そこまで喜んでもらえると、こっちも嬉しいよ」
そう言ってリリちゃんの頭を撫でる。本当はこんな面倒くさい作業は二度としたくないと思ったのだが、満面の笑みでこちらを見上げるリリちゃんを見ると偶にならやってやらなくもないか、と思った。
この後はコミュニティの子供達全員で新しくなった別館の掃除、および点検をした。
問題はなく、子供達もリリちゃんのように喜んでくれていたので働いたかいがあったな。子供たちの笑顔のために頑張りますっ!
久しぶりの投稿です
前回の展開から無計画に進めてきた結果がこれなので二巻の話からはプロット作ろうと思いました。それはもう、心から。
次回は一応一巻完結の予定です。次回を楽しみにしてくれている人がどれだけいるか分かりませんが次回をお楽しみに(笑)