問題児たちが異世界から来るそうですよ?―笑う自由人―   作:カゲショウ

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剣士「どうもこんにちは、天野剣士です。今回も『天野剣士の駄弁りコーナー』をゆるっとお送りします」
耀「します」
剣士「今回もオレが紹介する前にゲストが喋りましたが一応紹介します。第二回のゲストは無表情の裏には夢と野望とその他色々詰まっている動物語翻訳機春日部耀さんです」
耀「飛鳥に聞いてたけど本当に酷い紹介だね」
剣士「でも事実だろ?」
耀「あんまり否定できない」
剣士「それならばオレの足を踏んでいる足をどけようか」
耀「嫌」
剣士「······理由を聞こう」
耀「そこに天野が居るから?」
剣士「人を山みたいに言うな。しかも疑問形で」
耀「今日はどんな話題があるの?」
剣士「スルーかよ······。まぁ良い、ちなみに今回は特になにも考えてない」
耀「予想は出来てた」
剣士「それ久遠にも言われた」
耀「どうするの?」
剣士「さぁ? とりあえず何か喋ってれば良いんじゃない? 駄弁りコーナーだし」
耀「なら質問がある」
剣士「答えられる範囲なら答えるぞ」
耀「第三話でガルドに使った鎖は消えたのに何で白夜叉の手枷は消えなかったの?」
剣士「まだ本編でオレのギフト知らないのに随分メタな質問するね」
耀「ここは自由って聞いたから」
剣士「誰に?」
耀「作者」
剣士「後で殴っとこ。それで質問の答えだけど、第七話でヤっさんが言ってたように完璧じゃなきゃ基本自然消滅するんだ。あの時はとっさに使ったからギフトの力が残留した······これで良いか?」
耀「そう、実はあんまり興味がなかった」
剣士「なら聞くなよ」
耀「それともう一つ」
剣士「何?」
耀「天野はロリコン?」
剣士「おっと、もうすぐ本編が始まるな」
耀「ねぇ、天野」
剣士「今日はここまで! 次回のゲストは知能派問題児の逆廻十六夜だぜ」
耀「天野ってば」グラグラ(肩を掴んで揺らす音)
剣士「それでは本編をどうぞ!」
耀「天野」
剣士「ちょっとあっちで話し合いをしようか」


08話 ノーネームに着きました

目が覚めたオレの頭のそばに手紙が一通置いてあった。

辺りを見回してもヤっさんの部屋には誰も居らず、差出人を確認するためにその手紙を開いた。

『黒ウサギには悪いと思うが、私はおんしとおんしのギフトが気に入った。良かったら"サウザンドアイズ"に入ってくれんかの? もし入ってくれるのならば手厚い歓迎をしよう。

白夜叉』

「ヤっさん······」

ヤっさんからのサプライズに胸を打たれたオレはヤっさんの手紙を······

「シュート!」

クシャっと丸めて投げ捨てた。

「何をしとるんだおんしは!」

「あ、ヤっさん」

居たのか。

襖を思いっきり開けて登場したヤっさんは何故か怒っていた。

「まぁまぁ、落ち着こうぜヤっさん」

「原因の小僧が何を言うか······」

「なん······だと······」

オレが原因だって? ············駄目だ思い当たる節が一つもない。

「人の勧誘をあんな形で断られれば誰だって怒るわ」

「あ、あれドッキリとかじゃないんだ」

「おんしは私をなんだと思っておる······」

「よう······元魔王」

幼女と言いそうになったのは秘密だ。

「············」

ヤっさんの無言の圧力が恐い。どれくらい恐いかと言うと久遠に逆廻の性格足した位恐い。え、解りにくいって? 生憎これ以上の表現は思いつかないよ(笑)

「············」

「マジですみませんでした」

何故だろう、ヤっさんから何処かのお嬢様と同じモノを感じるよ······。

「ハァ······まぁ良い。次からは気を付けてくれ」

「心に刻んでおきます」

こうしてオレは何を怒られたのか解らぬまま謎の約束をさせられた。

ヤっさんは満足そうに頷くと数歩オレに歩み寄り腰を下ろした。

「それで先程話なのだが······」

「幼女って言いそうになったこと?」

「その話は後で詳しく聞くが、その前のことだ」

地雷を自ら踏み抜くとは思わなかった。

「無理を言っておるのは重々承知しておる、それでもおんしにここ、"サウザンドアイズ"に入ってほしい」

そう言うとヤっさんはオレに頭を下げた。

オレだってこの行為の意味が解らないほど馬鹿ではない。元とは言え魔王が、それも一つのコミュニティの長が頭を下げる時、それは本気の時だ。

上に立つ人間は例えどんな時でも安易に頭を下げるべきではない。今まで見てきた連中も······どんなにゲスイ奴でも頭をほいほい下げる奴は居なかった。

「ヤっさん······」

だからここでふざけてはいけない。真面目にそして自分の気持ちを偽らず答えるのが頭を下げたヤっさんに対する礼儀だ。

「ゴメン、オレは"サウザンドアイズ"には入らない」

「……理由を聞いても良いか?」

食い下がるヤっさん。半睨みなので少し怖いが気にしないようにする。

「約束をしたからね、"ノーネーム"に入るって。だからオレは"サウザンドアイズ"には入らない」

"契約書類"に書かれたことを破ってはいけないように、誰かとの"約束"も破ってはいけない。それはオレが昔から決めている絶対的なルールの一つで、オレを『人間』にしてくれた"アイツ"との約束。

「……そうか」

暫くの沈黙の後、ヤっさんがふっと小さく笑う。

「本当に残念だよ、黒ウサギのほかに良い暇潰しができたと思うたのに」

「断って良かったと心から思うよ」

さっきまでのシリアスな雰囲気を返してくれ。

ヤっさんはオレを見ながらカカカと笑っている。しかしその笑いは何処か残念がっている様にも見えた。

…………ま、ちょっとだけなら良いか。

「ヤっさん、オレは"サウザンドアイズ"には入らない。だけど……」

一度言葉を区切って、ゆっくりとヤっさんに言い聞かせるように言葉を続ける。

「暇な時は呼べば良い。そうすれば何時でも暇潰しの相手になってあげるからさ」

オレは自由だからな、と言葉の最後に付け加える。なるべく微笑んでみたのだがきっとオレの顔は何時ものようにヘラヘラと笑っているだろう。どうしても格好付かないのがオレだからな。

ヤっさんは暫し呆然とした後、声を上げて笑い出した。……微妙に傷つく。

「その時は棺を用意しておけよ、小僧」

「マジっすか……」

呼ばれた時は遺書でも書いておこう。

心の中であんなことを言うんじゃなかったと激しく後悔しながらヤっさんの部屋を後にする。

「……」

意地の悪い店員さんが現れた。

「今、随分失礼なことを考えましたね?」

心を読まれていた。久遠といい店員さんといいこの箱庭では人の心を読むのが当たり前なの?

「はぁ……まぁ良いです。今回は何もしないでおきます」

それは遠回しに次やったら容赦しないという宣言なのだろうか。

オレが脳内で『箱庭で逆らってはいけない人リスト』を作成していると、店員さんはおもむろに着物の袖口から一枚の紙を取り出した。

「何それ果たし状?」

「そう思いたいならそれでも良いですが」

「冗談ですスミマセン」

冗談が通じない人って大抵恐いよね。店員さんとか店員さんとか、後店員さんとか。

「貴方のコミュニティの本拠までの地図です。どうも貴方は置いて行かれたようなので念のためにどうぞ」

「店員さん……」

なんて良い人なんだろう! 久遠と同じ扱いをしていて御免なさい、今度からは親しみを籠めて『テンちゃん』と呼ぼう。

「ありがとう、テンちゃん!」

「気持ち悪いです。二度とその名前で呼ばないでください」

本気で嫌がられた。きっとオレはこの時の汚物を見るようなテンちゃんの目を忘れないだろう。

「と、とりあえずありがとう。また来るよ」

そう言ってオレは店の前から立ち去った。

「……次来るときは閉店ギリギリで来ないでくださいね」

「……了解です」

やっぱり何だかんだ言いながらもテンちゃんは良い人だな。後で逆廻達に教えてやろう。

そう思いながらオレは空が明るいうちに黒ウサギ達の下に辿り着けることを祈りながらテンちゃんに貰った地図を開いた。

 

 

 

□■□■□

 

 

 

「天野はまだ帰って来てないの?」

耀が十六夜とジンにそう問いかけたのは、もう太陽も沈んで辺りが夜の闇に包まれた頃だった。

「ああ、姿どころか気配すら感じてないぜ」

十六夜はソファに座ったまま大袈裟に肩を竦めた。その正面に座るジンは行儀良く座ったまま疲れ切った顔をしている。

正直、今日は色々有り過ぎたのだ。特に十六夜の今後の作戦のことや明日のガルドとのギフトゲームのことで頭は破裂寸前になっているので疲労が心身を蝕み今すぐにでも倒れそうだ。

しかし彼も一コミュニティのリーダー。今はコミュニティの……しかもこの世界に招いたばかりの仲間が未だに帰って来ていない状況で一人倒れるわけにもいかず、どうにか意識を保っている状態だ。

「先程白夜叉様の所に確認に行って来たのですが剣士さんは何時間も前に店を出たとのことでした……」

しゅんと俯く黒ウサギ。恐らく十六夜達がギフトカードを貰った嬉しさについ剣士を置いて来てしまったことを悔いているのだろう。

「ここの近辺を探してみたけれど剣士君どころか人影一つ無かったわ」

飛鳥がそう言うと全員唸りながら考え込む。

「……おい黒ウサギ」

十六夜が鋭い目つきで黒ウサギを見る。それに若干怯えつつも「な、なんでしょう」と返事をする。

十六夜は間を開けて、確認するようにゆっくりと黒ウサギに問いかけた。

「アイツは此処の場所知ってんのか?」

「…………………あ」

黒ウサギから冷や汗がだらだらと流れ落ちる。それを見た十六夜、飛鳥、耀の三人は深くため息を吐いて三人同時に口を開いた。

「「「駄ウサギめ」」」

「うぅ……今回は反論できないのデス……」

更にしゅんとなる黒ウサギ。それを見ていたジンは苦笑していた。

暫く部屋の中を沈黙が支配する。十六夜は退屈そうに、飛鳥は少し苛立って、黒ウサギとジン、そして耀は心配そうに剣士の到着を待っている。

「あれ? この音……何だろう」

耀が不意にそう呟いた。十六夜達も耳を澄ましてみると、微かにチリンチリンという高い音が聞こえてきた。

「これは……自転車のベルか?」

十六夜が呟くとその音が止んだ。

五人は先の襲撃未遂のこともあり少し警戒を強めた。

「ちょっと見てくる」

耀はそう言って扉の方へ向かいドアノブに手を掛けようとした瞬間、扉が独りでに開いた。

「ただいま」

ソコには擦り傷を作ってボロボロの格好をした剣士が立っていた。

 

 

□■□■□

 

 

 

オレが部屋に入ると春日部達が集まっていた。

……何、この状況? オレ以外の皆が一つの部屋に集まっている……まさか!

「オレが居ない間に皆で遊んでいた……!?」

「違う」

春日部に即刻否定されてしまった。なんだ、遊んでなかったのか。

「まったく何処に行ってたんですかっ!? 皆さん心配してたんですよ!」

黒ウサギがウサミミを逆立てて怒っている。本当は黒ウサギ達が置いて行ったことが原因なんだけどあえて黙っておこう。

「それで、結局何処に行ってたんだよ。話を聞く限りでは此処から"サウザンドアイズ"までには居なかったらしいじゃなねぇか」

逆廻がソファにもたれ掛りながら聞いてくる。うん、コイツは微塵も心配してないな。寧ろ心配してたら怖い。

「話せば長くなるが……聞くか?」

「良いから早く話しなさい」

何か相当機嫌悪いですね、久遠さん。

まぁ? 話せと言われたら話さないわけにはいかない訳だから、機嫌の悪い久遠を放置して話すことにした。

「迷子になってました(テヘッ)」

「知ってたから早く続き話して」

春日部さんも若干機嫌が悪いようだ。

「実は"サウザンドアイズ"を出る時に地図を貰ったんだけどそれがどうも地域の人向けのヤツらしくてさ、箱庭の右も左も解らないオレは此処と反対方向に進んでいたわけだ」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 地図って誰から頂いたんですか? 白夜叉様は渡している風ではなかったんですが……」

話の途中で黒ウサギが割り込んできた。全く、早く話せば良いのかどっちなんだよ。

「店の前にいた店員さんだよ」

「「「…………え?」」」

「マジかよ……」

場の空気が凍った。

「て、店員さんってあのウサギ達を門前払いしようとした方ですか?」

「うん。その店員」

四人があり得ないものを見る目になった。そんなに驚くことか?

「えっと、続けてもいいか?」

「え、ええ、お願いするわ」

何故久遠はこんなにも動揺しているのだ。

「そしてオレはずっと歩いていくうちに気付いたんだ。近くの人に聞けばいいと!」

「普通は最初に思いつくことだがな」

「正直自分も間抜けだと思ったよ……」

それに気付いたのは日が沈みかけた時とは言わない。

「それで日が沈み始めたので急ぐために自転車を作ったんだが……いかんせん初めてだから上手く乗れなくて時間だけが過ぎていった……」

「自転車を作った? それはどういうことだ」

逆廻が目を細めて問いかける。そういや逆廻の前ではギフトを使ってなかったな。

「そこのお嬢様の視線が怖いから詳細を省くが、自転車はオレのギフトで作った」

それだけ言うと逆廻は「ふーん」と言ってからオレから視線を外した。後で詳細を説明しないといけないパターンだな。

「話を戻すけど、何度やっても自転車に乗れないオレは絶望したよ。オレは自転車には乗れないのかって……」

「今更だけど歩いて来た方が早かったんじゃないかしら」

「そんな時……アイツがオレの前に現れたんだよ」

「アイツって……"フォレス・ガロ"のメンバーですか!?」

ジン君が焦った様子で尋ねる。他の人達も神妙な面持ちで見守る中、オレは静かに言葉を続けた。

 

「そう、アイツに…………マイクに出会ったんだ!」

 

「「「………………誰?」」」

ジン君、黒ウサギ、久遠がさっきまでの表情から一変して結構間抜けな表情になった。

笑いが込み上げてきたが笑うとお嬢様に怒られることが目に見えているので何とか堪えて話を続ける。

「マイクは見知らぬオレに手を差し伸べてくれたんだ。自転車の後ろを支えて補助に徹してくれた……」

その時のことが鮮明に脳内に映し出される。

「夕闇に染まる街の中で何度失敗しても手を差し伸べてくれて、諦めかけてきた時は殴ってオレに諦めることの惨めさを教えてくれた……。そのかいあって日が沈みきった時に自転車に乗れるようになったんだ」

その時のマイクの笑顔をきっとオレは忘れることはないだろう。

マイクとの思い出に浸っていると久遠がどうしようもないモノを見る目でこっちを見ているのに気付いた。

「……どうかしたか?」

「結局貴方はどうやって此処に辿り着いたのよ」

「マイクに道を聞いて自転車で廃墟街で少し迷子になりつつ辿り着きました」

「…………はぁ」

何か久しぶりに久遠のため息を聞いた気がする。全然嬉しくないけどさ。

「この……お馬鹿様!!」

「何でっ!?」

スパ――――ンという音と共に頭に激痛がはしる。このハリセンの威力……パワーが上がってやがる!

顔を上げると、怒りのためか髪の色が緋色に変わった黒ウサギがハリセンを片手に立っていた。

「あんなに皆さん心配したというのに何をしてたんですか貴方は!!」

「いや、だからマイクと――」

「黙らっしゃい!!」

おおぅ、黒ウサギさんが本気で怒っておられる……。

「そうだよ"剣士"」

黒ウサギに説教されていると春日部が背後から声を掛けてきた。……何故か名前呼びで。いや、良いんだけどさ。

一体どういう心境の変化なのか考えていると、オレの近くに来て真直ぐとオレの目を見ながら言葉を紡ぐ。

「本当に心配したんだから、ちゃんと反省してね」

「あ、はい」

優しく諭す様に語りかける春日部に何も言えず、口が勝手に了解していた。

それからは色々とあった。久遠と黒ウサギに説教+駄目だしをされたり逆廻にオレのギフトのことを聞かれたり、春日部からは特に何もなかったがリリちゃんと感動的な再会をした時にどこか不機嫌そうにしていたのは何故だろうか?

何はともあれ、箱庭に来てからの初めての夜が更けていった。

――――明日のガルドとのギフトゲームのことを思い出したのは翌朝のことだった。




今回は全然進みませんでした……
ガルドとのギフトゲームは次回となりました。次回で終了するかはわかりませんが……
それと補足ですが今回出てきたマイクはわかっているとは思いますが時々出てくる"アイツ"とは無関係です。
では次回もどうかご覧ください。
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