月桂樹の花を捧ぐ   作:時雨オオカミ

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 ※ 好きなシチュエーションとそれに続けるための説を選んで詰め込んでいます。
 ※恐らく全ての事件がオリジナルになります。


しかしなにもおこせない

 全部、全部ぼくが悪かったんだ。

 ぼくがあの子にあんなことさえ教えなければ…… そうすれば、こんなことにはならなかったんだろう……

 

 だから懺悔をさせてほしい。今、この瞬間に。

ごめん…… ××。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、(るい)。なんかいいゲーム知らない?」

 

 下校している最中、唐突に言い始めたのはそう、きみだった。

 

「うんと、推理物だけど…… ダンガンロンパなんてどうだろう? 今世界的に人気が出てるからCMとかでも知ってるかもしれないけど」

「あー、そういえばそんなCMあったわね。分かった。調べてみるわ」

 

 ダンガンロンパ。

 クローズドサークル物のデスゲームを描いた作品。

 超高校級と呼ばれる、プロ顔負けな才能を持つキャラクター達が学園はたまた無人島などに閉じ込められ、コロシアイを強要させられる推理アクションゲームだ。

 昔の全盛期と呼ばれていた頃はアニメの3までで、それ以降は同人サークルみたいな個人も含め、様々な会社が関わりずっと続いている大作である。某有名RPGなんて目にならないくらいの作品で溢れかえり、世にデスゲーム物の映画やアニメを流行らせた元凶とまで言われているすごい作品だ。

 それを知らないだなんて彼女も大概世間に疎い。

 けれど彼女は興味の出たものについてはとことん追求する性質だと分かっているので、概要と名前さえ教えておけば勝手に調べてプレイするのは間違いない。

 

 

 ―― そう、ぼくはそんな彼女の行動力を舐めていたのかもしれない。

 

 

「聴いてよ(るい)! すごいのよ!」

「はいはい、おはよう幸那。で、調べたんだろ? ダンガンロンパ。どう? 面白かったでしょ」

「勿論! でも泪も知らない新情報があると思うわよ?」

「そりゃあ、すごいね。果たしてぼくが知らないってのはどんな情報? 新作ゲームの情報でも見つけてきたのかな?」

 

 彼女の瞳はまるで恍惚としていて、ぼくは少し引いていた。そんなに嵌るとは思っていなかったから。

 だから答えを焦いてしまったのだろうな。聞かなきゃ、よかったんだ。

 

「泪は、裏番組って…… 知ってる?」

「…… うん? なんだいそれ」

 

 そんなことは初耳だった。

 

「あのねあのね? ダンガンロンパには裏番組があるの。そこではね、なんと、リアルの人を使ってコロシアイをするの! そしてその様相で面白かったものをそのままキャラクターに卸して、ゲームを作っているんですって!」

 

 なんだそれは。

 都市伝説染みたそんな話をぼくが信じるかといえば、そんなことはない。

 彼女…… 深帰(みかえり)幸那(ゆきな)はそれでもキラキラとした目でぼくを見つめていた。

 

「なんの冗談だ? それ」

「裏番組は他の視聴者の紹介がないと入れないの。アタシもとある掲示板から入れるようになったんだけど…… アンタもほら、見るわよ! アタシの家に来てよね!」

「あ、ちょっと待ってよ幸那! いたっ、痛いって!」

 

 そこで見たのは、最悪なリアルフィクション。

 そしてそれに熱狂的なファンとしてコメントをしている幸那の姿。

 ぼくは気分が悪くなってすぐに帰ってきてしまったけれど、その次の日彼女に会ったとき、もう運命は動き出してしまっていたんだ。

 

「はあ!? なんでぼくの書類まで出しちゃったの!?」

「いいじゃない、一緒にコロシアイに参加しましょうよ!

 

 彼女の瞳は狂気に染まっていた。

 ぼくが彼女を変えてしまった。そんな罪悪感に駆られて必死に止めたものの…… 彼女はぼくの分の書類まで送りつけてしまったのだ。よって、オーディションに自分も参加しなければいけないということで……

 

「なんでぼくのまで出しちゃったんだよ……」

「だってだって、リアルなぼくっ娘なんてそうそういないじゃない?アピールポイント多いしアンタならきっと受かるわよ!」

 

 ぼくはそんなことを気にしているわけじゃない。

 そもそもぼくがこんな一人称なのは母さんのせいなのに、好きでこうなったわけじゃないのに…… 幸那はそんなことも忘れてしまったのか?

 

「きみが受けるのはいいけど、ぼくは絶対に受けないからね。後で断りの電話を入れて来るから…… しばらくそっとしておいてくれ……」

「んー、分かったわよぉ」

 

 仕方ないとでも言うと思った?

 流石のぼくでも生き死にが関わって来る物に惰性で参加してあげるほど優しくはない。だから幸那には悪いけれど、一人で行ってくれ。

 

 喧嘩別れのようにその場から去り、家に帰ったぼくはすぐさま断りの電話を入れたのだけれど……

 

「受けるだけでも…… 受けてみませんかね?」

 

 そんな煮え切らない返事と断ることは許さないとでも言うような不思議な威圧感を受け、電話をガチャ切り。

 何が何でも行くものか、とオーディションをサボる決意をした瞬間だった。

 

 けれど、ぼくは舐めていた。

 勿論彼女のことを舐めていたのもそうだが、ぼくは裏番組という社会の闇を舐めていたのだ……

 

「なんで…… ?」

 

 親友からかかってきた電話には、オーディションに落ちたという報告。だが、それは喜ばしいことだ。

 

 でも、これはなんだ?

 

「オーディションなんて、受けてさえないのに…… ?」

 

 合格通知が届いたのは、ぼくのほうだったのだ――

 

 

 

 

 

 カタカタカタ……

 

 どこかでその情報が入力されていく。

 それは、紛れも無い彼女の……

 

 

 

 

 

 No.×××

 【香月(かづき) (るい)

 

 現在高校二年生

 超高校級の【記入してください】

 

 誕生日 2月28日

 星座 うお座

 身長 168㎝

 体重 53kg

 胸囲 86㎝

 血液型 AB

 

 好きなもの 芳香浴

 嫌いなもの ドリアン

 

 

 

 

 

 

 

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