ぼくは今日はどうしようか、と考えた結果。改めてはじめに配られた凶器をちゃんと調べてみることにした。
…… 食堂から人がいなくなる頃合いを、見計らって。
ぼくはひとまず目的を話さずに、食堂から人がいなくなるまで待つことにした。
それまでは軽い雑談で場を持たせ、最後まで残っていた茶柱さんたちが仲良く連れ立って外に行くのを見送る。そして、それについていく真宮寺くんのことも…… なんか、ストーカーしてるみたい。あとで茶柱さんに投げてもらう必要があるんじゃないかな。正直…… ぼくは近寄りたくない。ああいう人は苦手だ。民俗学の話は面白いらしいし、悪い人じゃないのは分かってるんだけど…… どうしてもね。
「ぼくたちだけになっちゃったね」
「そうっすね。どうします? 俺たちもどこか移動するっすか?」
「それともおやつでも作る?」
提案してくる2人に首を振って食堂の隅を指差す。
「もう一度、凶器を調べてみよう」
この話をするのにも、結構勇気が必要だった。
きみはまだ事件が起こると思っているの? と、そう言われるのが嫌で…… 前の赤松さんみたいに責められてしまうんじゃないかという懸念が何度も頭の中を駆け巡って、口から出すのにも時間がかかった。
「前の事件のときは分かりやすく凶器がなくなっていたから良かったけど、もしまた事件が起こったときに…… 多数ある中の1つだけがなくなっていた、とかなったら手がかりが見つけにくくなる。だから、ちゃんと数を確認しておくべきだと思うんだ」
そう、たとえば薬のカプセル。多数あるカプセルの1つが抜かれていたとしても恐らく気づかれることはない。裁縫セットだってそうだ。針の一本でも抜かれたら分からない。
そうなったらあのときの二の舞だ。
…… というのは建前で、とにかくなんでも情報が欲しいだけなんだけどね。
だって、ぼくは次のコロシアイが始まるのを待っているんだから。
この調査もコロシアイが起きたときの備えというのが本音だ。そして、建前的にはコロシアイが起きないためと彼らに提案している。
「…… 分かったっす。みんなの安全のためにも調査は大事っすね」
「うん、別にコロシアイが起きてほしいわけじゃないけど…… 調査は大事だよ。そうだよね」
確かめるように、さも当然のように嘘をついて…… それから眉を寄せて困惑していた白銀さんを見つめる。
彼女は赤松さんのときも責めはしなかったけど、ぼくと同じように地下道を行くことに否定的だった。
もしかしたら、〝 コロシアイが起きたときのため 〟の保険なんて嫌がられたかもしれない……
「1回コロシアイも起きちゃってるもんね…… リスト作る? ノート作るのとか結構得意だよ」
「リストかあ…… あったほうがいいかもね」
「倉庫のほうは数が多すぎて無理かしれないっすけど、ここの凶器くらいならなんとかできそうっすね」
それじゃあ、数の多いものから…… とぼくは食堂の一角に手を伸ばす。
まずは百田くんが持ってきた薬を入れるカプセルだ。
「結構たくさんあるね」
「20はあるみたいっす」
「えっと、記録はどうしようか?」
白銀さんの指摘に思わず 「あ」 と声を出す。
倉庫にでも行けばメモできるものがあるだろうか?
「ああ、それならモノパッドにメモ機能があったっすよ。録音とかもできますし、案外便利っす」
「え、あ…… そういえばいろいろできたね」
思わぬ提案に戸惑ったけど、そういえばにチャット機能みたいな細かいこともできるんだった。
「じゃあそれでやろうか」
「うん、じゃあカプセルが20…… と」
カプセルだけで20もあったんだね。
他に数がありそうなのは…… 白銀さんの裁縫セットかな。
「針はマチ針も含めて9本すね」
「え、9本?」
なんだか中途半端な数字に、ぼくはもやもやするものをかんじて繰り返す。
「マチ針が4本、普通の針が5本っす」
「えっと、空いてる箇所とかない? さすがに中途半端だと思うんだけど……」
「一本ずつ収納するタイプじゃないっすから、なくなっているかは分からないっすね」
もしかしたら、既に1本抜かれているのか?
…… でも確かめる術はない。ぼくらが覚えておけばいいのかもしれないけど、正直不安だ。
「夕食のときに聞いてみればいいっす」
「そう、だね」
そうだよね。聞けばいいことだ。針だけで人を殺すのはそう簡単なことじゃないんだから。
「スズランの花瓶は中の水ごともう捨てちゃったし、カンディルもスズランの毒で死んでるから…… そういえば、東条さんのデッキブラシってどうなってるんだろう?」
確か、デッキブラシのブラシ部分が金属の刃でできているんだったよね。使いにくそうな刺突武器だなって思った印象がある。
「これで掃除したら床に獣の爪痕みたいに残りそうっすね」
ああ、そういうシチュエーションの事件とかもあるよね。
巨大な獣が事件を起こしたように見えて実はフェイク…… みたいなやつ。探偵漫画とかだと結構見る気がするよ。
あとは部屋で争ったように見せかける偽装とかもあるな。
「ん、この刃の部分…… ナイフみたいな柄も根元にあるんすね」
デッキブラシを裏返して見ていた天海くんが呟き、白銀さんと2人で覗き込む。よく見てみると、まるでナイフが埋まってるようになっていた。柄の部分も装飾のように赤い宝石が……
「これ、ボタンじゃないかな」
「あ、待って」
いつの間にか白銀さんが伸ばした腕が、赤い宝石をグッと押していた。途端に金属音と共に一本のナイフが床に落ちる。
ぼくたちはそれを見て、言葉を失った。
「暗器…… ってやつかな」
そう呟くのが精一杯だった。
メイドさんって言えばやっぱりナイフなんだなとか、ということはこのデッキブラシにナイフが10本分隠されていたのか、とかいろいろ思うことはあるけど、記録することが増えたのは変わらない。
ナイフを1本ブラシの柄に取り付ければ元の通り槍として使うこともできるらしい。
天海くんのリボルバーは…… なくなればすぐに分かるか。
重水は大量に飲んでもそう効果はない。
星くんの鉄球は目立つからなくなったら分かるし…… そもそもこれを使って撲殺できる人は限られている。力の強い人でないと無理だ。
入間さんのレンチも同様。よほど力を込めて殴らない限り殺すことなどできないだろう。
春川さんの金箔の模擬刀はもはや常連凶器と化しているけど、これも撲殺武器だから力がないと無理だ。しかも学級裁判に不利な証拠が残りやすい。こんなもの使って殺そうとする人がいるとすれば、突発的な犯行のときくらいだろう。
アンジーさんの水晶玉も…… 砲丸投げ選手とか、野球選手みたいな人がいない限り使い物にならないだろう。
テニス選手の星くんはすでにいないし、仮に彼がいたとしてもラケットに当たった瞬間この高額なガラス玉は粉砕されると思う。
「ゴン太くんのはどうだろうね」
「ああ、ハウツー本っすか?」
そう言って天海くんがみんなで作った棚の上段から本を取った。
これに洗脳作用なんかがあれば即お焚き上げ案件なんだけど、春川さんが読んでも問題ないって言ってたし…… ゴン太くんはこんなものに焚き付けられるほどバカじゃない。あの人は案外頭の回転が早いから侮っているモノクマはバカなのかと思う。
中を読んでみても文面は前見たときと同じだ。みんなのために殺してあげよう! それがみんなのためになるよ! みたいな内容が延々と書き連ねてある。
読んでも洗脳はされないけど、頭は痛くなってきそうだ。
「ちょうどスプレーとライターがあることですし、焼却処分でもするっすか?」
「え…… 燃やしちゃうの?」
「ちょっと待ったー!」
驚いた白銀さんの声に被せるようにモノクマがどこからともなく現れた。
「ゴミ処理は開けた場所で安全にやらないと校則違反にしちゃうよ! スプレーのガスに点火なんて危ない火遊びはコロシアイ以外には認めませんからね!」
そこはコロシアイでも禁止しておいてよね……
「本当は渡した凶器の処分も違反にしてやろうかと思ってたけど、そんな校則作ってなかったからね…… ショボーン。それにオマエラったら初日にスズランもお魚さんもダメにしちゃってるし!」
スズランの毒でカンディルは殺しちゃったからね……
あとは吹き矢か。毒の入った小瓶と吹き矢でセットだったかな。
確か中段に……
「そうそう! だから周りに燃えうつりそうな場所でお焚き上げはいけないよ? ねー、香月さん」
「ぅえ?」
変な声が出た。
不意を突かれてベラドンナの瓶を倒して、慌てて元に戻す。
「な、なんのことかなぁ」
「あれあれー? なにか心当たりでもあるのかな? うぷぷぷぷ」
しまった!
そう思ったときにはもう遅い。顔色がさっと変わって、そして目が泳ぐ。なんて嘘が下手くそなんだ。こんなんじゃ2人にバレバレじゃないか。
上目でそっと確認してみると、2人とも首を傾げるようにしてモノクマを見ていた。ぼくへの視線は意識して外してくれているみたいで天海くんがモノクマに向かって一歩踏み出した。
ぼくの場合、こういうときに見られてしまうと余計頭の中が混乱するって分かっている対応だ。本当によく分かってくれているよ。
けど、モノクマはニヤニヤしながら追撃にかかってくる。
「あーあ、せっかく香月さんがコロシアイ起こしてくれると思ったのになー。トリカブトなんてこっそり摘んでたから応援してたのに酷いよねー!」
やっぱりそれのことか。
ぼくがやろうとしていたのは、〝 危険な植物を除去した場合補充されるのか 〟の検証だ。それをきちんと説明すればいいことも理解している。きっとそれを2人が信じてくれるだろうことも。
…… ともかく、モノクマは追い払わないと。
「あれは最初から処分するつもりだったんだよ…… 校則違反じゃないなら、いいんでしょ?」
「コロシアイのために用意してるものなんだからそうホイホイ燃やされたら困るのー!」
「分かった、分かったよ…… もう知りたいことはもう分かってるから早く帰って」
勇気を出してモノクマを追い出しにかかる。天海くんの後ろに隠れながら、というなんとも情けない格好だけど。
「あ、そうっす…… モノクマ。香月さんの研究教室の凶器はあの雨漏りっすよね。なら、赤松さんの研究教室の凶器はなんなんすか? 俺たちは知る権利があると思うんすけど」
「…… こっちにも教える権利はあっても義務はないんだよね。自力で見つけないと面白くないでしょ?」
「……」
なにを言いだすかと思えば…… 確かに赤松さんの研究教室はまだ凶器が明らかになっていない。でも、モノクマにも教える気はない…… と。気づいた人物だけがその凶器を使う権利を得るということにしたいのかな。
「それと、ここにある凶器を誰か持ち出した人はいるっすか?」
「教えると思うの?」
モノクマはそのまま興味を失ったとばかりに食堂から出て行く。
ポテポテという間の抜けた足音がしばらく、静かになった食堂にも届いていた。
「…… 持ち出されている可能性は高いっすね」
足音が完全に聞こえなくなってから天海くんがポツリと言葉を漏らす。ため息と一緒に押し出されたその言葉はぼくらの胸の中にストンと落ちるように入った。
「よく、そんな判断できるね……」
「もしかして裁縫針のことを聞いたのかな? 地味に気になってたから助かったけど……」
白銀さんと天海くんを見つめると、首肯が返される。
裁縫針は9本。中途半端な数だから持ち出されている可能性が高い。
「もし、もし針が持ち出されているとすれば…… お2人はどう使うと思うっすか?」
「うーん…… 針だとこう、暗殺者みたいに首にブスッととかかなあ…… 漫画やアニメだと普通に針を武器にしてるけど、あれを再現するのって物理的に難しいと思うんだよね」
真っ直ぐ飛ばすのも難しいし、と実感のこもった体験談を白銀さんが話す。詳しく話を聞くと、針飛ばしの再現はダーツで鍛えたようだ。さすが超高校級のコスプレイヤー。キャラの再現へのこだわりがすごい。
「コスプレのためにいろいろ習ってるからお金も結構使っちゃうのがたまに傷かもね」
「白銀さんはスポンサーついてるんすから、その辺はもう大丈夫なんじゃないっすか?」
「うん。でもスポンサーつくまでは大変だったよ…… いろいろバイトして習い事のお金稼いで…… ってこれは関係ないよね。隙あらば自分語り。オタクの習性かも……」
「ううん、体験談とか楽しいからもっと聞かせてほしいくらいだよ」
白銀さんのフォローを入れつつ、最後に残った最原くんと赤松さんの凶器を手に取る。
最原くんのは硫酸。赤松さんのは月光という曲の楽譜だ。
「赤松さんの楽譜は研究教室の凶器とも関係あるかもしれないっすね」
「見るからに関係ありますって感じだもんね……」
ハウツー本は大したことがなかったけど、今度こそ洗脳音楽だったりするかもしれないので注意だ。
赤松さん自身がコロシアイ否定派だからあまり危険視はしていないけど。
硫酸はなあ…… どこかに流すわけにはいかないし…… 毒ってわけでもないから減ったりすることもない。瓶が割れないように厳重に保管しておくくらいしかできないよね。
ところで。
「…… トリカブトのことは聞かないの?」
ぼくから話題に出す。
大丈夫。2人は大丈夫。
決意したんだから。2人を信じて、そして最善の選択を。この問題を説明せずに放置するのは最善だなんて言えない。前と同じ、逃げてるだけになってしまうから。
「じゃあ聞くっす。さっきの話を詳しく聞かせてください」
こちらをまっすぐ見る彼の瞳には兄のような優しさではなく、1人の人間としての真摯な思いが浮かんでいる。
なら、迷わない。迷う必要なんて、最初からない。
「検証だったんだよ」
「検証?」
白銀さんの声に頷く。
「植物園の一角には毒の植物が蔓延してる。それを駆除できたら万々歳。できなくても、モノクマがすぐさま植物を補充するのかが分かる。結果は、翌日には誰にも知られることなく大量のトリカブトが、それも開花状態で…… 完全に〝 元に戻っていた 〟んだ。もちろん、収穫したトリカブトはそのままだったけど」
誰にも違和感がないように、収穫前と全く同じ状態のトリカブト。
だから植物園の凶器を処分することは悪手だと判断することになった。いたちごっこになってしまう上に、恐らくぼくの体力が持たない。
それに、そんなことばかりしてたらモノクマに狙い撃ちにされてしまいそうで怖かったというのもある。
臆病な気質はそう簡単には変えられないから、諦めるしかなかった。
「先に言ってくれればよかったと思うんだけど……」
眉をハの字にした白銀さんが言いかけるけど、それを天海くんが優しく遮る。
「できなかったんすね」
「…… うん」
ここまでくれば、彼にはお見通しだ。
この検証を表沙汰にできなかったのは…… 星くんのことがあったからだ。
「事件が起こってしまったんすね、そのときに」
「…… そうだよ」
それでもやはり体が震える。
「う、疑われるのが怖くて…… ぼく、なにも言えなかった。だって、あんなもの持ってたらぼくがクロにされちゃうと思って…… ぼくがスケープゴートになってたかもしれないって」
「スケープゴート…… ?」
天海くんの不思議そうな声にあっ、と声が出る。
「学級裁判は、実行犯がクロになるんすよね? それでスケープゴートにされるわけないですし…… ?」
「あ、待って待って天海くん!」
止めてももう遅い。
口から出してしまった言葉はもう戻せないんだから。
「…… 〝 ぼくが 〟スケープゴートにされたかもしれない? 東条さんがスケープゴートだったって、言いたいんすか?」
「……」
頭の回転が早すぎる。
いや、ぼくが迂闊すぎたのか。
「…… 首謀者が、関与してるはずなんだ」
だから、観念して口を破った。ひとつだけ嘘を吐いたまま。
「星くんが自殺なんてするはずがないんだ。ぼくはそれを信じてる。だから、自殺しようとして昏倒…… それから溺死なんて、おかしいと思うんだ」
ぼくが消し去った証拠のことは漏らさず、結論だけを共有する。
「〝 証拠はないけど…… 〟ぼくはそう思ってる」
「首謀者が、全てセッティングしたってことっすか?」
「うん、星くんになんらかの理由をつけてベラドンナを摂取させて昏倒させたんだと思ってる。それから、星くんの頭が雨漏りのちょうど真下に来るように位置を調整しておいた…… 研究教室には鍵がかからないからやりたい放題だったはずだよ。倒れた位置が偶然雨漏りの真下だったなんて不自然だ」
天海くんは顎に手を当てて考えたあと、頷く。
「そっか…… 私も、偶然は不自然だと思ってたんだけど…… 首謀者か…… モノクマが関与してこなくても、首謀者は関与してくるってことだよね? それって、怖いね」
「うん…… だからこうして調査してるんだよ」
肯定を返して手を強く握る。
胸の前で祈るように手を組むと…… とうとう2人からの否定は返ってこなかった。
「なら、才囚学園調査団でも設立するっすか」
「え…… ?」
「わあ、3人だけの秘密倶楽部かな? 地味にそういうの憧れがあったんだよね。私は賛成だな」
天海くんが手のひらを下にして差し出すと、白銀さんもその上に手を重ねる。
ぼくはそれを呆然としながら目を瞬かせた。
「香月さんも、ほら」
「3人だけの秘密の調査団っす」
この人たちは、もう。どうしてそんなにも、優しいんだろう。
ぼくはあと何回泣けばいいんだろうね。あと何回、笑えばいいんだろうね。
「うん」
「リーダーは香月さんっす」
「えっ、そ、そういうのはちょっと……」
「大丈夫っすよ。ちゃんと支えるんで」
「そうそう、こういう場合多少臆病な子のリーダーだと成功フラグが立つから自信持って!」
2人に向けられた笑顔に、自然と笑みがこぼれた。
重ねられた2人の手の上に、ぼくのそれを乗せる。
「才囚学園調査団、結成…… ってことでいいのかな?」
「うん、よろしくね」
「ルールは3つ。首謀者探しの調査をすること。みんなには内緒にすること。そして、たまにお茶することっすね」
「いつもとやってることは変わらないかもしれないけど、心構えの話だもんね」
ああ、確かにいつもとなにも変わらない。
けど、それと同時になにかが変わった。
この人たちのためにぼくは頑張りたい。
「ありがとう」
疑わないでくれて、ありがとう。
秘密の共有をした調査団。秘密の倶楽部。
お互いに秘密にしていることもまだあるけど、秘密のない関係なんて現実にあるかどうかさえも怪しい、嘘くさいものはいらない。
この世界で築けた絆は、ぼくの宝物になるだろう。
…………
「うん、いい
乾いた拍手が部屋にこだまする。
その音に反応してか、モノクマの大きな目玉だけが声の主を捉え、部屋に響く音をマイクで拾った。
そして声に返事をするように喋りだした。
「楽しそうだねー。でもあんまり余計なことはしないでほしいんだよね。だって首謀者ばっかり関わった事件なんて面白くないでしょ? マッチポンプは世間のニーズに適ってないよ」
「いやいや、そんなのバレなければいいんだよ。大丈夫、これが理想のダンガンロンパになるはずだから」
声の主はモノクマを小馬鹿にするように言葉を返した。
「理想ばっかり高くてもねー」
それを受けてモノクマもどこか呆れたような声を出す。
すると、途端に声の主は機嫌を悪くしたように声を低くする。
「首謀者はこっちなんだから、文句ばっかりつけてないで働いてよ」
「はあ、仕方ないなあ」
首謀者様のためだから仕方ないね、とモノクマ…… それも首だけの巨大な個体は応答した。
「…… ふふ」
モノクマが観念したことで、その顔に張り付いた笑みがより深みを増していく。
その先には複数のモニター。その中のどれもが、その人にすれば宝物のように大切なものなのだ。
「…… ダンガンロンパはこうでなくっちゃ、話にならないな」
どこか隠された部屋で、誰かさんが嬉しそうに呟いた。
皆様いかがお過ごしでしょうか。暑い日が続き、台風も到来してきているようですので、熱中症や体調不良にはくれぐれもお気をつけくださいませ。
書きたいものが多いという諸事情により、来週の更新予定日を再来週の8月11日に伸ばさせていただきたく存じます。
「錆の希望的生存理論」 のほうでも8月10日に更新があるため、同時進行で集中的に仕上げてきたいと思っております。
どうかご了承くださいますよう、宜しくお願い致します。