ゲーマー夫婦が転生したようです   作:天狼レイン

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 どうも皆様、こんばんは(投稿時間)。
 前回の同族に対しての愚痴り祭りに引き続き、今回は転生した二人の心境(記憶無し)をお送りします。

 ぶっちゃけた話をすると今回の話、書きにくかった。あんな感じのがすらすら書けるようになったらペース上がりそうです。
 とはいえ、次回は早いと思います。だって暗くないですから。

 さて、それでは本編。手を抜いてはいませんが、感想とか評価あればどうぞ。個人的には評価は感想と共にお願いしたいですね。低評価の理由とか知ってると手直しもできますし


叫心(つながり) 1×1=

 

 

 

 

 

 

 

 小さい頃、俺はどうしてか自分の身体に感動すら覚えた。

 

 両腕がちゃんとついていることに嬉しさを感じた。

 呼吸が苦しくなくて、空気を吸えることが愛おしく思えた。

 食事が満足に出来ることが当たり前なのに涙が溢れた。

 左眼がちゃんと辺り一帯を映し出して、見たい景色を見せてくれた。

 骨は痛むこともなく、キチンと身体を支えてくれた。

 全身の皮膚が何処からどう見てもマトモで、悪い部分はなかった。

 

 そう、これは誰がどう考えても当たり前であるべきことだ。生まれて障害を抱えてしまい、満足に過ごすことができない。そういう場合は仕方がないことだ。

 だが、俺はそうではないというのに、その当たり前がどうしてか感謝したいくらいに嬉しくて堪らなかった。

 

 本当にどうしてそう思うのかが分からない。

 本当にどうしてそう感じるのかが分からない。

 本当にどうしてそう涙が溢れるのかが分からない。

 どうして、どうしてどうして、どうしてどうしてどうして————

 

 

 

 ————満足しているはずなのに、この『心』は満足していないのだろう。

 

 

 人間が満たされることのない欲望の塊だからか? ————違う。

 人間が満たされることのない生物だからか? ————違う。

 人間が満たされることのない一生しか歩めないからか? ————断じて違う。

 

 大切な家族がいる。————素晴らしいことだ。

 大切な友人がいる。————素晴らしいことだ。

 衣食住、全てに問題はなく元気に生きている。————とても素晴らしいことだ。

 

 だけど、やっぱり何かが足らない。自我を獲得・思考するようになってはや十数年。

 ずっとそれが知りたくて、分かりたくて考え続けてきた。

 

 食事を摂る時も。

 風呂に浸かる時も。

 勉強を取り組む時も。

 恐らく寝ている時も。

 様々な行動を取っている最中にも、ずっと考えてきた。

 

 気がつけば、表面上も内面上もしっかり取り組んでいるように見えてしまう程、様々なことが偽れるようになっていた。

 それが例え、俺にとって大切なことであったとしても。

 

 

 ————俺という人間(プレイヤー)は、ずっとその『違和感(ゲーム)』に(いど)み続けていた。

 

 

 制限時間は寿命が尽きるまで。難易度は当然最高難易度。ナイトメア? ノーホープ? まさしく死にゲー? ハッ生温い。

 そんなものよりもっと難解で複雑で、しかし何処か単純なはず。

 そんなものを常に相手し続けてきた。今まで生きてきた人生の殆どをそれに費やしてきた。馬鹿だと思うだろう? 罵ってくれても構わない。

 だが、それにマトモに受け答えする余裕すらないんだ。

 

 だからこそ、ある日のことだ。

 ふと、そんな違和感など感じるだけ感じて無視し続けても良いんじゃないのかと思い始めた。

 人間だからこそよく行なってしまう手段の一つ。

 そう、『諦める』だ。諦めてしまえば、とても楽だろう。

 今から人生を思いっきり楽しめるんだぜ? これ以上ない答えだ。

 そう思う程に疲れていたのだろう。

 

 考えても見てくれ。ずっと(いど)み続けてきたんだぜ?

 自我を獲得・思考し始めてから十数年。休むことなくずっとだ。

 なのに、答えどころかヒントになりそうなものすら見つかった試しはない。単純に俺の知力じゃ足りないってのも考えられるだろう。

 それでもヒントや関連性、繋がる何かすら見つけられないのは異常だ。

 ハッキリ言ってクソゲーの中でも最高峰の難易度だろう。

 不便なところも無ければ、不自由だと感じたことはない。

 まるで勝ち組のような人生を送っておいて、まだ足りないってのか? 

 烏滸がましいにも程がある。

 何かこれが狂おしい程に欲しいと思った訳でもなく、何かこれが全く手に入らないから憤っている訳でもない。

 

 

 ただ単純に————足りないのだ。

 本当にそれで良いのかと『心』が叫んでいる。

 

 

 だから当然、思考することを放棄しようとした途端、罰が下った。

 自分が自分ではなくなるような恐怖をこれでもかと感じることになったのだ。

 

 ちゃんとついている両腕の存在を満足に認識できない。

 満足にできていた筈の呼吸が満足にできず喘いでいる。

 食事が満足にできていた筈なのに口に入っても吐き出してしまう。

 景色を見せていた筈の左眼が見えている筈なのに満足に見えない。

 骨が異常な程に痛み、満足に支えてくれない。

 悪いところが一つもない筈の全身の皮膚が焼けるように激痛を発している。満足感など有りはしない。

 

 どうしてこんなにも辛いのだろう。

 どうしてこんなにも苦しいのだろう。

 どうしてこんなにも痛いのだろう。

 どうしてこんなにも届かないのだろう。

 どうしてこんなにも————こんなにも()()()のだろう。

 

 五体満足な筈の身体が、突然即効性の高い不治の病にでもかかり、骨の髄まで蝕まれたように痛く苦しく辛い。

 こんなこと、絶対に()()()()()()()()()()()()()

 それに対して『心』が何かを叫んでいる。分からない。知らない。理解できない!

 

 だからと言ってどうしろというのだ。

 耐え続けろと? 想像を絶する病状これに? そんなもの、それこそクソゲーだ。

 仕方がない。こんな病状に耐えられる筈がない。

 だから大人しく、試しに無視しようとした難題をもう一度思考することにした。

 

 すると、どうだろう。

 俺を苦しめていた病状全てが綺麗さっぱり無くなった。

 可笑しな話だ。正直、気が狂ってしまったのかと思った程だ。

 本気で狂死しそうになっていた俺がけろりとしている光景に、父さんは安心し、母さんは気味悪がり、妹と弟は不思議そうにしていた。

 そりゃそうだ。俺だって夢なら醒めて欲しいぐらいだ。

 しかし、そうは言っても難題を思考することを諦めれば、またあれが繰り返されるだろう。

 折角家族が心配してくれているのに、またそうなってしまえば、流石に見ていられないだろう。気味悪がって愛想を尽かすに違いない。

 

 ならば、どうするべきか。答えは既に出ていた。

 二十歳になるまでは難題に(いど)み続けよう。その後はすっぱり諦めてしまおう。

 それぐらいになれば、自立だってできる筈だ。

 後は勝手に狂死しようがあまり迷惑にはならない。

 元からそういう面があったのだと家族が言ってくれれば、それで事は片付く。

 

 だから、あと四年間。その四年間に俺は賭けた。

 何処か二度目の人生に感じる不思議な思いを抱えながら。

 

 

 ————『心』が叫んでいる。

 

 

 足りないものが何か、それを思い出し知りたくて。

 

 国立魔法大学付属第一高校。その入学式、早朝。

 一度別れた運命が、二人をもう一度巡り合わせた。

 

 

 

 

 

 ———*———*———

 

 

 

 

 

 小さい頃、私はどうしてかずっと物足りなかった。

 

 食事が満足に取れない環境だったから? ————違う。

 住む場所が劣悪だったから? ————違う。

 衣服がボロボロで新しいものを買えなかったから? ————違う。

 必要なものを買うことができないほど貧乏だから? ————違う。

 勉学が満足に学べず、交友関係も良くなかったから? ————絶対違う。

 

 物足りないなんて口が裂けても言えないくらい、問題らしい問題のない至って普通の生活を送っていた。それなのに、私は物足りなかった。

 何かが足りない。それも決定的な何か。私を私と認識させる、これがなければ認識できないとまで言い切れる何かが無い。

 

 ずっとそれが何かを求めてきた。知りたいと願っていた。

 だからその正体に迫るものが本当に意外なものだったと分かった時、少し驚いた。

 でもなんだかすごく嬉しかった。消えてない。忘れていないんだって。

 

 

 ————常にそこにあったのは『心』。

 

 

 具体的に表現できない何か。

 人間ですらそれが何かを完全に理解し切れていない特殊で特別な独自言語。互いの相互理解を含めた、あらゆる認識など、それこそ具体的には言えない本当に不思議で面白く————とても、暖かい。

 

 さも当然のように存在する『心』。

 しかし、不思議と以前はそれが無かったような気がしていた。

 これこそ可笑しな話だと思う。有るべきものがない。

 それはまるで、私が人間ですら無かったのかもしれないと『心』の何処かで思っているから————いや、そう確信しているからなのかもしれない。

 

 けれど、『心』は()()()()()()()()()()

 その『心』が今もずっと後悔と孤独を叫んでいる。

 ごめんね、ごめんねと。

 何を謝っているのか、それが何なのか分からないとしても。

 いつもそれに手を伸ばし、もう少しで分かりそうなのに、手は届かず、空を掴む。

 

 本当にとても不思議だった。

 物足りないと思うことすら烏滸がましい充実した生活を送り、勉学には困らず、知識は物心ついた頃から覚えてきた。

 特に欲しい知識は好きなだけ覚えて、最早覚えていないものはないと言い切れた。

 私はそれだけ充実し満足している。

 

 それなのに『(わたし)』は満足していない。

 強く後悔と寂しさを胸に満たす。

 早く気がついて欲しい。本当に求めているのはそんなことではない。

 もっと大切なものなんだと訴えかけるように。

 最早矛盾以外の何物でもない。強欲過ぎると罵られもするだろう。

 けれど、真実、そんなつもりは一切なく、自覚していない碌でなしではないと断じて言い切れた。

 

 これらは全ては物心ついた頃からずっと繰り返されている。

 私自身が思考することを覚えてから。分からないからこそ知りたい。

 人間の中でも知識が欲しい者達のように、理解したいから理解する為の知能を欲していた。

 

 恐ろしい話。気がつけば、物心ついて僅か数ヶ月。

 赤子のような言葉ではなく、言語を話すことができた。

 その時の両親の顔はすごく怖がっていたのをよく覚えている。

 後々その理由を知ったからこそ、やってはいけないことだったのかな、と思うようになった。

 

 だから一度そこで歩みを止めた。

 でも、すぐに歩みを始めた。両親のことを心配するよりも、もっと大切なものがあると『心』が強く教えてくれた。

 本当に可笑しな話だと私も思う。

 『心』はあくまでそういうものではない。

 

 それでも、私には『心』がそれだけのものには思えなかった。

 もっと色んなことを、大切なものを教えてもらった気がしている。

 少しずつ、分からなかった答えに手が伸び始めている。

 今では、それが願いであることも。それが誰かはまだわからない。

 

 だけど、そんなことは関係ない。

 他ならぬこの『心』が叫んでいる。決して忘れてはならない大切な人。

 誰よりも愛おしく、ずっとそばにいると約束した————。

 強く想い、強く願い、強く後悔した。

 なんでそばから離れちゃったんだろうと。

 私ではない誰かが、今も泣いている。

 素敵なお嫁さんになれなかったことも。

 お姉ちゃんとの約束を破ってしまったことも。

 

 そして————また独りにしてしまったことも。

 奪わないと決めたその笑顔を奪ってしまっているはずなんだと、強く後悔して。

 

 私はそんなことがあったかもしれないなんて知らない。

 でも、この『心』は間違いないと叫んでいる。

 

 あんな幕引き最期なんて認めたくない。

 どうしても“次”が欲しい。それが我儘なのは、当然分かっている。

 それでも欲しいのだ。私ではない『(わたし)』が繰り返し、強く想う。

 

 しかし、結局のところ、私自身には何故そう思うのかが分からない。

 こんな話、きっと誰が聞こうと正気の沙汰とは思えない。

 とてもじゃないけど、納得も同情も出来はしない。

 

 それに加えて、私自身が自らの存在証明をしようとしなかった。

 例え『心』があって、それがずっとそう願い思い叫んでいても、自分自身がそれを意地でも否定すれば、終わっていた筈だったと思う。

 私は私。私以外の誰でもない。だから貴方は黙っていて。

 そう言うだけでも自分自身の存在証明にはなりえた。

 

 そう、不思議な話をすれば、私は私が本当に私自身なのかすら疑問に思っていた。まるで自己矛盾だ。

 自分が自分ではないと思っている時点で可笑しい壊れているに違いない。

 

 

 なのに————何処か、酷く懐かしい。

 

 

 誰かからお前は壊れていると言われた気がしている。

 でもそんな壊れた私を、ずっとそばにいて欲しいといってくれた人がいた気がしている。

 そして————その壊れた私を、壊れたと言った誰かも認めてくれた気がしている。

 当然〝気がしている〟だらけで証拠も確信もない。

 

 

 それでも、この『心』が正しいと他でもない私自身が叫んでいるから。

 今度こそ、あの日の約束を守ってみせるから。

 今度こそ、そばに居続けてみせる。

 

 

 ————だから、もう二度とその手を離さない。

 

 

 私が誰なのか、それすらも今は悩み続けよう。

 きっとその人に会えば、全てを思い出せると信じているから。

 

 その人が教えてくれたであろう、この『心』が強く望む瞬間を。

 色褪せることのない大切な時間を、今度こそ————

 

 国立魔法大学付属第一高校。その入学式、早朝。

 一度別れた運命が二人をもう一度巡り合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





前半
リク・ドーラ(転生)
前世の記憶無し(違和感を感じている)

後半
シュヴィ・ドーラ(転生)
前世の記憶無し(一部混雑中)

 口調が違ったりするのは、転生後にかつての記憶が戻っていない別人としてだからです。まぁ転生してすぐに出会うのもいいんですが、少し待ちがあった方がいいかなと思った次第です。
 分かりにくくてすみません。ぶっちゃけシュヴィパートは混乱してました。


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