あのね、父さん (はたけサクモ生存ルート 神無毘橋任務)   作:碧唯

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最終話 父と子

ミナト先生達と任務の報告に火影室に行くと、いつもの様に父さんは火影のマントを着て執務に追われていた。

 

こうやってみると、ミナト先生が言ってた事が嘘なんじゃないかと思えてもくる。

だって、オレは怪我してるし、オビトやリンも薄汚れてる…。

でも、父さんや補佐役、護衛小隊の人たちはかすり傷すら見当たらないからだ…。

 

ミナト先生の報告を聞いていた父さんは、オビトが写輪眼を開眼した…というところで顔を綻ばせて「オビト、おめでとう」と言った。

フガクさんも嬉しそうに、「やったな!」と言ってオビトの頭を撫でていた。

 

話しを全部聞いた父さんは、静かに微笑みながら言った。

「ミナトをあの時戻したのは正解だったようだね。カカシ、難しい状況だったが、よく判断した。お前達のチームに任せて良かったよ。四人共…ご苦労さん」

 

 

皆で揃って頭を下げて、火影室を出て行こうとしたとき、後ろで父さんの声が聞こえた。

「なぁスオウ、今日の執務はあとコレを済ませれば終わりでいいか?」

 

それを聞いて、思わずオレは振り返ってしまった…。

…それは、もう少しで帰れるってことかな?

父さんは無言で振り返ったオレに微笑んだ。

 

 

火影室を出るとミナト先生が言った。

「じゃあ、今日はオビトとリンはうちにくる?」

ミナト先生もオレ達の無言のやりとりに気付いていた様だ。

 

気付いていない、オビトとリンは「カカシは?」と不思議そうに聞いてきた。

「ん!カカシはまず病院に行って、その後はもう帰って休んだ方がいいね」

それに納得したように二人は頷いた。

 

「うん、じゃあオレ病院行ってきます!」

オレは待ちきれずに、三人に手を振って駆け出す。

 

「カカシ…病院行くのがなんでそんな嬉しいんだ…?」

オビトが後ろで呟いたのが聞こえたけど、オレは構ってられない。

さっさと病院行って、夕飯の買い物して支度しなきゃ!

 

 

病院の診察中もソワソワしっぱなしで、買い物も駆け足で終えて家に帰るとまだ父さんは帰ってなかった。ホッと一息つく暇もなく、ササっとお風呂を済ませて、父さんの為にお湯もはっておく。

 

ようやく夕飯の支度を始めて、丁度終わりかけた頃に父さんが帰ってきた。

 

ガキの頃みたいに玄関まで迎えに行きたいのを堪えて支度を続けていると、父さんが台所に来て微笑みながら言った。

「ただいま、カカシ」

 

「おかえり、父さん」どうしても頬が緩んでしまうのを一生懸命引き締めながら応えた。

 

「病院行ったのか?」オレの左頬の大きな絆創膏を見て尋ねる。

 

「うん、行ったよ。痕は残っちゃうかもって言われた」

「…そうか」痛々しそうに見つめながら呟く様に父さんは言った。

 

「ま、オレ女じゃないしね!怪我の一つや二つは歴戦の忍者の証でしょ!」

オレの年齢と歴戦という言葉が釣り合ってないのは分かってるけど、父さんを安心させたかった。

 

「フッ…、でもま…、よくやったよ!よく頑張ったね!」

そう言いながら、いつもの様にオレの頭をわしゃわしゃと撫でまわした。

「もぉー…」と言いながら、オレは半目で迷惑そうに見つめるけど、本当は嫌がってないし、父さんもオレが嫌がって無い事を分かってていつもやる。

 

「じゃあ父さん、お風呂入って来なよ。出てくる頃には準備できてるから」

「うん、済まんな。ありがとう」

 

 

お風呂から出てきた父さんと久しぶりに…本当に久しぶりに一緒の夕飯を食べて、並んで洗い物して、全部慣れた事だけど、父さんとってだけでこんなに楽しんだからね…。

 

洗い物が終わって居間の座卓で向かい合って座ると、オレはなんだか嬉しいのが続いていて饒舌になってた。

 

「あのね、父さん」

 

「ん?なんだ?」

 

「オレ、ずっと父さんみたいな忍者になりたいって言ってきたけどさ、父さんは目標の一つである事に変わりないけど…、ミナト先生も凄くて、リンはリンで医療忍者はやっぱりすごいし…、オビトは写輪眼になっても泣き虫だけどそれでもアイツもなかなかやるしさ、オレもオレらしい忍者になりたい」

 

父さんは驚いた様な顔をしたけど、目を細めて微笑みながら言った。

 

「うん、父さんはそれが一番嬉しいね。父さんは失敗も沢山してきたから…。お前の忍者としての人生はまだ始まったばかりだよ。お前が理想とする忍者は誰でもない、お前が目指すお前らしい忍者を探していくといい」

 

オレはふと疑問に思って尋ねてみた。

「ねぇ父さん、父さんの理想ってどんなの?」

 

「ん?オレの理想の忍者か…?」何故か父さんは少し照れくさそうに言った。「ま…、お前の名前そのものだな…」

 

「カカシ?…カカシが理想なの?」

オレは全く意味が分からず眉をひそめて聞き返した。

 

 

それから父さんは、オレの名前に込めた父さんの忍者の理想を話してくれた。

 

 

他人から見たら案山子は何もせずボーっと立ってるだけ。

でも実は案山子はいつも田畑を見守っている。

見守られている事すら気付かせない様に守る…それが、父さんの理想。

己のやっている事を誇示する事なく、黙々とただひたすらに…

 

 

オレは案山子の話を聞いてすごく父さんぽいなと思った…。

父さんは理想の忍者を見付け、その様に生きてきた…。

やっぱり父さんは凄いや…

 

オビトに聞かせてやりたかったよ!

いっつもオレの事「バカカシ」とか言いやがって!

そうだ、今度言われたら、この父さんの想いを教えてやろう…。

きっと二度と言えなくなるぞ!

 

オレがそんな事を考えながらニヤニヤしていると、父さんはまた微笑んで嬉しそうに言った。

 

「でもま…、今回の任務はどうやらお前にとって掛け替えの無いものになったようだね…」

 

「うん、そうだね。任務か仲間かなんてちょっと重すぎる選択を迫られたけど、オビトの言葉にハッとしたり、父さんの言葉思い出したり…。ミナト先生に助けてもらって、リンに治療してもらって…、皆に助けられてやり遂げる事ができたんだ。…ううん、今回の任務だけじゃないね。いつもそうだったんだ。父さんの言うように皆がそれぞれ役割を果たしてたんだね。今回の任務でオレはやっとそれに気付いたって事かな!」

 

オレがそう言うと、父さんは何も言わず微笑んでいた。

 

「それとね、父さんが前線で戦ってるってミナト先生に聞いて、ちょっと嬉しかったんだ。前線と奥地で場所は離れていても、父さんと一緒に戦ってる…、父さんを助ける事が出来てるんだって改めて思う事ができたからね!」

 

父さんは相変わらず何も言わなかったけど目を細めてオレを見ている顔は、どこか涙を堪えている様な気もした…。

 

 

 

父さんの息子に生まれて良かった…。

 

木ノ葉に生まれて良かった…。

 

改めてそう思った。

 

 

 

オレは木ノ葉隠れの里の忍。名をはたけカカシという。

 

この名前の通り、オレはこれからもこの里を守っていく…

 

 

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