決して忘れてたわけじゃないですよ?
ただ他の作品を書くのに夢中になってただけです。
今回は、ラウラとの1回目の戦い。(非公式)
あの授業以降、タッグトーナメントに向けた訓練を行っているのだが、シャルロットの調子がすこぶる悪くなった。
「大丈夫か、デュノア。」
「だ、…大丈夫。」
「無理すんなって…、顔が青いぞ。」
シャルロットは、しきりに右手を気にしていた。
右手でツムグの首を絞めて折ったので…いや、折らされたので、その感触が無くならないのだ。
「だから言ったろ。あいつがおまえのこと助けたのはただの気紛れだったんだってな。」
「どうしてあんなことを…。」
「さぁな。あいつの考えることは分かんねぇ。」
「それでもおかしいよ。」
「あいつは、狂ってる。」
イチカが吐き捨てるように言った。
「みんな口を揃えて言うぜ。あいつは、狂ってるってな。」
「あの人は…、一体何なんだろう?」
「化け物…っとしか言えねえよ。」
「本当に…人じゃないんだね…。」
「ああ。あんなのが人間だったら世も末だぜ。」
だが遺伝子的には、人間なのだ。認めたくない事実であるが。
「酷い言われようだな~。シクシク…。」
「何が酷いだ。事実だろうが。」
イチカの近く(※現在数メートル離れてる)から離れられないツムグの嘘泣きにイチカは、ツムグを睨みながら冷徹に切り捨てた。
「だいたい、あんたの気まぐれで、どれだけの人間が泣かされてると思ってんだよ。」
「さぁねぇ? 少なくとも星の数? 俺が“俺”になった時からだと、それくらいはいるんじゃない?」
一転して腹を抱えてケラケラと笑いながら言うツムグの顔を見て、シャルロットは、ゾッとするものを感じた。
するとツムグが、シャルロットを見て、首を傾げてニヤッと笑った。
「それとも? 俺とも出会わない方が幸せだった? シャルロット・デュノア。」
「っ…。」
悲観していた自分の身の上のことを解決させてくれたことは感謝している。だが……。
「やめろよ。デュノア。こいつに…好意なんて持つのは。」
「ぼ、僕は…。」
「今は、タッグトーナメントのことだけ考えようぜ。」
「うん…。」
「応援してるよ。」
「あんたは、もう黙れよ。」
「はいはい。」
それからは、本当にツムグは、終始笑顔ではあったものの、ずっと黙っていた。
三十分後ぐらいだろうか、ツムグがイチカに首と顎でアリーナの出入り口を示した。
「?」
イチカがそれを怪訝に思った直後だろうか。
アリーナの出入り口にいたイチカの体調管理をしているスタッフ達が吹っ飛ばされた。
「なに!?」
「織斑一夏! 私と戦え!」
ラウラ・ボーデヴィッヒだった。
「おまえ!」
イチカは、スタッフや医師達が倒れて呻いているのを見て、激昂した。
「安心しろ。命に別状はない。」
「おまえ、医者じゃねーだろうが!」
自分と戦うというワガママのために他人が傷つこうと構わない構えの彼女の態度に、イチカは怒鳴った。
「ボーデヴィッヒ殿。残念ですが許可はおろせません。」
「どけ。」
守代が前に出て冷静な声で言うが、ラウラは聞かない。
むしろ、展開している彼女の愛機であるシュヴァルツェア・レーゲンのごついリボルバーカノンの砲身を使って守代を横に弾いた。
弾かれた守代の身体をツムグが受け止めた。
「ボーデヴィッヒ!」
「イチカ~。思いっきりやっちゃえ。」
「はあ!?」
止めるかと思いきや、戦ってもいいぞとツムグが後押ししたので、思わずツムグの方を見た。その直後、弾丸がイチカに向かって飛んできた。
「イチカ!」
「…チッ!」
イチカは、すんでのところで首をずらして避けた。
「後悔するなよ…!」
「私に勝てたならな!」
雪片を構えたイチカを見て、ラウラはニヤリッと笑った。
シャルロットは、オロついたものの、このままでは危険だと判断し、動こうとしたがなぜか動けなかった。
まさか…っと思い、ツムグを見ると、ツムグは、ニッコニコ笑ってこちらを見ていた。
「俺が勝ったら謝れよーーーーー!」
「はあああああああああ!」
イチカの言葉に答えず、ラウラは、プラズマ手刀で向かってきたイチカを迎え撃つ。
斬撃がぶつかり合い、火花が飛び散る。
何度目かの斬撃で、シュヴァルツェア・レーゲンの左肩が破壊された。
「ちぃっ! やるな!」
「さっさと降参しやがれーーーーー!」
「くっ!」
イチカの速さに、さすがにマズいと感じたのか、ラウラは距離を取ろうとした。
だが、逃がすかとイチカが接近する。
その瞬間、イチカの体の動きが止まった。
「我がシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前では、貴様など…。」
「おい…。この程度か?」
「なに?」
「この程度なら…、あいつ(ツムグ)の重力操作に比べればどうとでもねぇよ!!」
「なっ!?」
イチカは、強引に、気合いだけで、シュヴァルツェア・レーゲンの最大の特徴であるAIC(停止結界)を破った。
しかし、機体に負担がかかり、SEが削られた。
「破っちまえばこっちのもんだぁぁぁぁぁ!」
「ぐっ!」
「そこまでだ!」
イチカが雪片を振り下ろそうとした直後、千冬の大声がアリーナに響き渡った。
「きょ、教官?」
「……はあ…、遅いよ、千冬姉…。」
やれやれとイチカは剣を下ろした。
千冬と共に、教員や救援隊が駆け込み、倒れているスタッフ達や医師達を介抱、千冬は、ラウラに近づいた。
ラウラは、素早くISを解除して、ビシッと背筋を伸ばした。
千冬は、そんなラウラの前に来て。
「イチカ。ここは私達に任せろ。おまえは、椎堂ツムグ達と共にアリーナの外へ。」
「分かった。」
「貴様、逃げ…。」
「黙れ、ボーデヴィッヒ!」
「しかし、教官!」
「貴様のやったことは! 世界機構に喧嘩を売る、とんでもない一大事だ! 貴様は、ドイツを滅びしたいのか!」
イチカがシャルロットとツムグと共にアリーナから出て行く中、そんな千冬の怒声が聞こえていた。
幸い、スタッフ達や医師達は命別状は無かった。
だが、何人かは骨にヒビが入るなど、大なり小なり怪我を負ったため、ラウラは、独房での謹慎と反省文を数百枚ほど書かされることになった。
また、ドイツにも正式な抗議が入り、ツムグの臓器移植計画に力を入れている世界機構に参加していたドイツは、肩身が狭くなったのは言うまでもない。
なにせ危うく計画の第一献体であるイチカに危害を加えて、それが原因で死なせるかもしれなかったからだ。
この件は、独房にいるラウラにもきっちりと伝えられたが、彼女がそれを理解し反省したかどうかは分からない。
だが、また同じ事をすれば、軍からの強制退役と、専用機の没収と聞いて、さすがに事の重大さには気づいたのか、顔色を悪くしたらしい。
それを間接的にスタッフから聞いたイチカは、もうあんなことはないだろうということでホッとしていたのだった。
千冬を狂信している頃のラウラなら、これくらいはやりかねないな…って勝手に思ったのでこんなことをさせてしまいました。
決してラウラのアンチではありません!
イチカは、自分が置かれている状況には大きな不満はあるけど、その状況を作っている人間達が傷ついてしまうのを見捨てるほど正義感を捨ててはいません。
AICを気合いで破ったのは、捏造です。ツムグの超能力による重力操作での特訓は、話に書いてないだけで、やらされてます。その結果、停止結界ごときじゃ止まらないほど力がつきましたっということにしています。ただし、反動でSEが削れたりするなど機体に負担がかかるということにしました。