これといって無いけど、女尊男卑信者のモブ女が出ます。
なぜこうなった?
っと、イチカは思い額を押さえた。
「どうしたの? イチカ。」
「なんでこうなったんだよ!」
「いいじゃん。臨海学校用の水着決めるくらいさ。」
「だからって…。」
イチカは、チラリと横を見た。
そこには、セシリア、箒、鈴、シャルロット、ラウラがいる。
「…連れてきた意味は?」
「SPとか、私服の医者とかゾロゾロ連れて行くより、自然でしょ?」
「あー…。」
ちなみに、SPや私服の医者達は周囲に紛れてこちらを監視している。
「ごめんな…。巻き込んで…。」
「いえ、私は構いませんわ。」
「気に病むなイチカ。身体に悪いぞ。」
「悪いのは、そいつ(ツムグ)よ。」
「そうだよ。」
「…水着か…。」
イチカが謝ると、四人はそれぞれ言った。
そうして、水着選びとなった。
連れてこられた四人の水着代金は、ツムグの提案なので経費として落とすことになっている。
「なんだか納得いかないわね…。」
鈴がジトリッとツムグを睨んだ。
「まあまあ、タダで高い水着もらえるって思って…。」
「でもその経費って、国家予算でしょ?」
「プロジェクトのことを考えれば、安いもんだよ。」
ツムグは、そう言って笑う。
その不快な笑い方に、四人は引いた。
しかし時間もあるので、水着選びに移った。
イチカも男性用水着を選び、ハア…っとため息を吐いていると、いきなり横に大量の服を積んだ買い物籠が置かれた。
「これ払ってて。」
「はっ?」
「おおっと?」
どうやら女尊男卑信者らしき女が、男であるイチカに目を付けて代金を払わそうとしていた。
「なんでだよ?」
「男のくせに逆らう気?」
「馬鹿じゃねぇの? 誰が見ず知らずの他人に金払うかよ。」
「あら? そんなこと言って良いのかしら? ちょっとぉ! 警備員さーん!」
女が叫ぶと、近くにいた警備員が来た。
女は、イチカに向かってニヤニヤと笑ってから、作った泣きそうな顔をして嘘の供述を話そうとしたとき、警備員が女の腕を掴んだ。
「はっ?」
女は訳が分からずポカンッとする。
そして警備員が通信機でどこかへ連絡すると、他の警備員が来て、女は連行した。
女は、みっともなく喚き散らし、抵抗しながら引きずられて行った。
「馬鹿だね~。ここの警備員全員、今、うちのスタッフなのにさ。」
今日だけは、警備員が総入れ替え状態だったのだ。
「常習犯っぽいし、イチカが良ければこの店舗の警備体制の見直しをするけど?」
「そうしてくれ。」
自分以外の男性達が犠牲になっているのは見放せない。
しかし…、これが女尊男卑の今の世界の風潮なのだ。
「何かあったの?」
そこへ鈴が戻ってきた。
「ああ…別に…。」
「そう?」
「鈴ちゃん、選んだの?」
「ちゃん付けしないで。気持ち悪いから。」
「ふふふ。ごめんね。鈴音さん。」
「下の名前で気安く呼ばないで。」
鈴は、ギッとツムグを睨むが、ツムグはヘラヘラと笑っているだけだ。
その後、試着室から水着に着替えたラウラが直接イチカのところに来たので、イチカが咎めたりもした。
なんやかんやあったが、臨海学校にむけて水着調達は終わった。
警備員に扮装しているスタッフ達は、女尊男卑思想ではありません。
連れて行かれたモブ女は、その後ツムグからの要請でしっかりとお咎めを受けます。
女尊男卑の風潮だからと言って、手加減はしません。