いきなり臨海学校編突入です。
このネタの束は、筆者なりに考えた白っぽい束?かな。
イチカは、顔半分にツムグの血を被った状態で突っ立っていた。
「チッ! これじゃあ死なないか!」
「出会い頭にショットガンか…。久しぶりだね。」
頭を半分吹っ飛ばされて再生しながら残っていた口で喋るツムグ。下手なホラーよりメチャクチャ怖い。ツムグの血をイチカが被ったのだ。たまたま斜め後ろにいたばっかりに。
大型ショットガンを手にしているのは、ウサ耳型の機械をつけた美しい女性だった。
篠ノ之束。
苗字で分かるが箒の姉であり、インフィニット・ストラトス、通称ISを作った張本人だ。
ウサギとは…、このことか…っとイチカは無表情でそう考えた。
「ところで出会い頭にショットガンされた理由は?」
「お前がイッ君にしたこと、全部知ってるからな! しかもうまいこと隠してるけど、良からぬこと考えてるだろ!」
「だとしたら?」
「殺す!」
そう叫ぶなり大型のISを展開した束が、ツムグを叩き潰そうとする。
「あれ~、じゃあ、俺が今イチカの命を握ってることも知ってるハズじゃん? 俺が本当に死んじゃったらイチカも死ぬよ?」
「っ!?」
「世紀の天災でも、うっかりってあるんだね~。」
「うぐぐぐ…。」
「アハハハハ、それにしても俺殺す用にこんな物騒なIS作ってきちゃったの? 他人の預金をハッキングで奪ってこういったのを開発したり逃走資金にしたりして…、あんたの罪状がどんどん膨れ上がるばっかりなのに。」
「うっさいよ! そこらの人間が食う寝るに困って野垂れ死のうが束さんには関係ないもんね!」
「だってさー、イーチカ。」
「ハッ!」
「……束姉…。」
「束…。」
「イッ君…、ちーちゃん…、ち、違うの…い、今のは…。」
「どうやら、私はお前という害悪を野放しにした責任を取らねばならぬらしい…。」
「ああああああああああああああ! ごめんなさいーーーーー! 株で増やした資金を盗んだところに返すからそれでなんとか!!」
「約束しろ。必ずすると。早急にだ。」
「はいーーーーー!! やります! だから打鉄の刀おろして!」
束は、どこかに連絡してすぐに盗んできた他人の預金を返したのだった。
「けど、今更返してももう死んじゃった人は戻らないけどね~。」
「!?」
「しかも、遺族も生活が出来なくなってて一族全滅だよ。可哀想に…赤ちゃんもいたのにね…。母親が栄養失調でお乳が出なくて…。」
「束姉…。」
「ううぅ…!」
「手を合せるお墓も作れてないから、謝りようもないしね。残念でした。どうしたの? そこらの人間なんて劣等種が死のうが自分には関係ないって言った口が、なにを今頃になって大慌てしてるの?」
クックっと笑うツムグに、束はビクッと肩を震わせた。
「ついうっかりって言い訳したいだろうけど、つい口から出るってことは、普段から心の底からそう考えているからだ。なにを今更…。ま、あんたがISを作って広めちゃった時点でねぇ…。いったい、どれだけの口もきけないままで死んじゃった赤ちゃんがいたんだろうね? ISを使えない男の子だからって生かして貰えなかった子が…。」
「う…、ああああああああああああああ!!」
「おっと。」
ブルブル震えていた束が、突然大型ISの腕を振ってきたので、ツムグは後ろへ跳んで避けた。
束がいかに他人に興味が無いかを知っている千冬や箒は、束の様に驚いた。
「うるさい! 黙れ! この化け物め!!」
「は~あ、会うたびにそういうよね。ま、事実だし。化け物ってのは。自分の発明をただ認め貰いたかっただけとはいえ、あんな…マッチポンプやらかして、それに食いついて安易に変わってしまうこの世界もどーかと思うけど、開発したあんた自身は、それを背負えるだけの勇気も度胸もないんだから、そうやって他人なんかどーでもいいって態度取って常人と違うってことをアピールして逃げるしかできなかったんでしょ?」
「黙れって言ってるだろーーーー!!」
束が顔から出るもの全部撒き散らしながら叫び、大型ISの兵器門をすべて開いた。
「イチカが死んでもいいの?」
「うわっ!」
「イチカ!」
発射される前に、ツムグはイチカを掴んで前に押し出した。まるで盾にするように。途端に束がビタッと止まる。
「あーよかった、そういう激情に任せてやらかさないって理性はあって。それは大切にしていこうね? 束博士。」
「うぅ…うううううう!!」
「束…。もうやめろ。」
ISを解除しながら泣き崩れる束に、千冬が駆け寄って支えた。
イチカは、後ろを振り向くと、ツムグはニコニコしていた。だがその笑顔が非常に不快である。
「お前な…。」
「こういうやりとりは今に始まったことじゃないよ。イチカ。」
こいつ…、遊んでやがる! 死なないのを良いことに危険極まりない挑発を平然としてやがる!っとイチカは、すぐに思い至った。
束が他人などどうでもいいと装っていたが、ツムグは死ねないがためにひん曲がった根っこからの悪魔だと思ったのだった。
そうして千冬が束の相手をしている間に、臨海学校中お世話になる旅館に行ったのだった。
天は、人に大きな才能を与える代わりにどこかを欠けさせる…って諺があったような?
このネタでの束は、原作のように凡人だのを見下すように装うことで自己を保とうとしている弱い人です。
ツムグは、それを突いて挑発し、遊んでいます。自分が死なないのを良いことに好き勝手。
さて? どっちが悪だろうか?