種島が大洗を訪ねて5日後、福田のもとに聖グロのルフナが宗谷と種島の過去を知るために訪ねてきた。話す気になれなかった福田だったが、条件を受け入れてくれるなら話しても良いと約束した。
そして1週間後、ルフナはその条件を受け入れ福田は約束した通りに過去を話した。宗谷と種島は1度だけ戦い、宗谷が勝利したというのだ。
以来ずっと宗谷に付きまとい、自分の学校に引き抜こうとしているのだ。そして今、種島が再び宗谷に戦いを挑もうとしていた。
宗谷は種島から試合を持ち掛けられた。本当は相手をしたくないが、このままでは卒業するまでずっと付きまとってくると感じ、杏にこの事を伝え、試合の許可をお願いした。
杏が向こうの学園長と話をして、試合の許可が求めた。試合をするに辺り、種島から独自のルールで試合をすると言われた。
1、試合形式は殲滅戦
2、戦車の数は50対50で行う
3、旭日機甲旅団は、他校と合同チームを組んでも良い
4、使用する戦車は1945年までに設計、製造が完了しているもの。(合同チームはサイドカー等の戦車以外の車輌を使用することを許可する。ただし、使用する場合はサイドカーであっても戦車1輌と同じとする)
5、特殊な形状をしている戦車を使用する場合は、3輌まで出場可能とする(カリオペ等)
6、隊長は宗谷佳がすること
以上のルールを伝えられた宗谷は、種島にハンデとして1つ条件を付けるよう頼んだ。東京パンツァーカレッジは基本的に重戦車や、新機構を取り入れている戦車ばかりであるため、1つぐらいの条件は承知してもらいたいと言ったのだ。
その条件を聞いた種島は躊躇い無しに承諾した。承諾してくれたのは良いのだが、ここまであっさりとしていると怪しさを感じる。だが承諾してくれたのなら、こちらも躊躇いなく呼べる。早速、ある人物に話をするため公衆電話に手を掛けた。
「・・・もしもし?赤坂か?」
〔宗谷か?お前携帯ぐらい持っとけよ。公衆電話じゃ不便だろ?〕
「福田にも同じ事を言われた」と笑いながら返す宗谷、電話の相手はこの間の試合で一緒に戦った赤坂だ。試合が終わったあと地元である鹿児島に戻り、今まで通りの生活をしていた。
「お前、種島に会ったんだろ?」
「ああ、5年前と同じように勧誘された。で、お前に頼みがあるんだ」
「急に話題変えんなよ・・・で?頼みって何だ?」
「お前が近衛の時に率いていたチームの力を借りたいんだ」
「俺のチームの力を?」
赤坂は近衛の時に30人近くいた規模の大きいチームの隊長をしていた。そのチームなら、種島が率いる東京チームに対抗出来ると考えたのだ。
「力を貸すのは良いが、集まるか分かんねぇぞ?全員バラバラになったし、連絡取れない奴もいるし。ていうかよ、また戦車に乗らないといけないのか?」
「いや、今回は戦車に乗らなくて良い。近衛の時にやっていたようにやってくれ。全員集めなくても良いから、集まれるだけ集めてくれ。使う車輌はそっちに任せる」
赤坂はすぐに返事を返せなかった。4年のブランクがある上に、人数もどれだけ集まれるかも分からない。そんな状態で容易に「分かった」とは言えないのだ。10秒程の沈黙の後、ようやく返事が返って来た。
「・・・・・あの時のメンバーなら多分大丈夫だ。他にも声を掛けておくが、集まれるかは保証しないぞ?」
「ありがとう。集まれるなら助かる、よろしくな」
受話器を戻し、寮に向かって歩き始める。吹き抜ける風は心地良かったが、気分はスッキリしない。明日は大洗の生徒たちに、嬉しくない報告をしなければならないからだ。
翌日、練習が終わった後、格納庫の前に戦車科の生徒が集合していた。杏から「試合に関係する報告を宗谷くんからしてもらう」と伝えられ、宗谷が指揮台の上に立ち、腕を後ろに組んで話し始める。
「1ヶ月後に東京パンツァーカレッジと試合をすることになった。今回は他校と、この間一緒に戦った元近衛組と合同チームを結成して試合に挑む。向こうの隊長はあの種島優衣だが、恐れることはない、自信を持って試合に挑んでもらいたい」
その言葉を聞いた生徒たちには不安の声が上げた。その様子を見ていた福田が、指揮台の上に立った。
「何も気にすることはない!俺と宗谷は1度戦って勝ったんだ!みんなだって対等に戦えるさ!」
福田は励ますために声を上げたが、その声が不安の心を動かすことは出来なかった。
「あなたたちは精鋭だったから勝てたんでしょ?私はあの種島流と対等に戦える自信が無いよ・・・」
夏子の手は震えていた。夏子だけではなく、あいかたち1年生組も同じだった。この時福田は、他の女子高生にとって、種島がとても恐ろしい存在だと知った。
宗谷と視線を合わせると、宗谷が軽く頷いた。「励ましてくれてありがとう」、そう言っているように感じた。
「・・・・・今回の試合では、黒森峰、プラウダ、聖グロ、アンツィオ、知波単とチームを組む。それから、陸王、カ号も出場させるから、互いの連携が取れるよう訓練すること。以上、解散」
宗谷は指揮台から下りると、振り向かずに格納庫の中へ入っていった。福田はその様子を静かに見つめ、かほたちは荷物を纏めて帰宅していった。
岩山たち4人も荷物を纏め、帰宅するために歩きだした。
「・・・・・勝てると思うか?この戦い」
岩山が話を振り、柳川が頭を掻きながら答える。
「分かんねぇ。戦ったことのない相手だし、どの戦車で来るかも分からない。それに、西住隊長たちがあんなんじゃぁ勝利もおぼつかねぇよ」
「そこは大丈夫だよ。あいつらのことだから、きっといつも通りになるよ」
口ではそう言う岩山だったが、内心はどうなるのか気掛かりでならなかった。「きっと大丈夫」、とは言うが、本当に大丈夫なのかが問題だ。
西住邸 居間
「夏海、あなたはあの種島と一戦交えることになったけど、勝てる自信はあるの?」
まほは夏海のことを気掛かりに思い、夏海に問いかけていた。夏海は肩を後ろに引き、手をグッと握りしめた。
「・・・・・正直に言うと、勝てる自信はありません。ですが、私はあの宗谷に救われました。足を引っ張るようなことになったとしても、諦めるつもりはありません」
夏海は覚悟を決めていた。相手が誰であろうと、決して退くことはしない。どんな結果になったとしても、諦めない意思を見せた。
「それなら、きっと大丈夫よ。足を引っ張らないように頑張りなさい」
サンダース カフェテリア
「サー・・・我々が相手出来るのでしょうか?あの種島に」
2人しかいない食堂は、ちょっとした声でもよく響く。サンダース2番手であるジェシーは、リンに不安の声をぶつけた。
「分かんないね。でも、私たちがしっかりしないと
「そうですね!頑張ります!!」
「そうそう!そのいきだよ!」
プラウダ 応接室
「サティー様、宗谷と一緒にチームを組むと聞いていますが」
「ええ、あいつが大洗からいなくなったら、張り合いがなくなっちゃうからね」
「サティー様も宗谷がいなくなるのは寂しいんですね」
「っ!そ、そんなわけ無いでしょ!?あ、あんなやついなくなっても寂しくなんてないわ!」
顔を赤くするサティー、その姿を見てルリエーは微笑みを見せた。
「紅茶淹れましょうか?」
「あ、アイスでね!」
アンツィオ 戦車格納庫前
「良いかみんな!相手が何であっても、我々が屈することは無いぞ!!」
P-40の上で堂々と演説を披露する千代子だが、振り上げる拳は小刻みに震えていた。
「・・・安斎さん、怖いんですね?」
「そ、そんな事は無い!た、種島だろうが西住だろうが、こここ怖いものはない!!」
声が震えていますよ、と心の中で思ったのは言うまでもない。だが、強引に押しきろうとするので直接言うことは出来なかった。
知波単 校門
「西隊長、私あの宗谷と言う男と戦うのは不安なのですが・・・大丈夫何でしょうか?」
「はっきり言わせていただきますが、私は信用出来ません。何を考え付くか分からない男です、サイドカーやオートジャイロを出すような者ですよ?」
知波単の生徒たちは、宗谷のことを信用出来ずにいた。今まで一緒に戦ったことも無い、そしてこの間の試合では敵同士だった。信用しろと言われても出来るはずがない。
「君たちが言うことには一理ある、私にもあの男は信用して良いのか分からない。だが1つだけ、はっきり言えることがある。あの男は・・・種島より、仲間と言うものを大事にしている。いや、私以上かもしれないな」
信用出来るかは分からいと言う太鳳だが、内心は信頼出来ると思っていた。今まで試合を見てきたが、自らを犠牲にしながら仲間を守ってきた。その活躍を見てきたからこそ、信用出来ると思ったのだ。
聖グロリアーナ 中庭
「ルフナ様、どの編成で出場するのか、決めているんですか?」
リゼが紅茶を嗜むルフナに質問していた。ルフナは紅茶を一口飲むと、カップをソーサーの上においた。
「ええ。普段通りの編成で、と言いたいところなのですが、今回は新しい戦車を導入しようかと思っています。批判の声はありますが、この戦いに勝つには致し方ありません」
「新しい戦車、ですか・・・どんな戦車なんです?」
「それは見てからのお楽しみです。今言ってしまったら楽しみが無くなってしまうでしょ?」
ルフナはクスリと笑い、また紅茶を口に含んだ。リゼは「そうですね」と返事をして、カップを口につけた。
鹿児島
「・・・・・そうなんだ。この日に来れないか?頼むよ・・・そうか、分かった。ありがとう」
赤坂は手当たり次第連絡を取っていた。しかし、その努力は結果を出すことが出来ず、今の段階で呼び込めたのはたった2人だけ、流石にこれだけではチームとして成り立たない。
「・・・・・はぁ・・・仕方ねぇ、また別の奴に掛けてみるか」
赤坂は再び携帯に番号を打ち込む。その途中で、手が止まった。正直に言うと、半分諦めていた。集まらないんじゃないのか、そんな考えが頭の中を過る。
「あーやめだやめだ!そんな事考えてる場合じゃねぇ!さっさと電話掛けるか!」
1か月後、宗谷たちは東京にある会場に来ていた。会場には約2万人の観客が集まり、過去最大の盛り上がりを見せていた。報道陣も、「ここまでの盛り上がりを見せているのは初めてだ」と興奮気味に話している。
そんなことは無視しながら、宗谷たちは止まること無く歩いていく。他の学校の生徒たちも集まっているだろうと思い、早足で向かっていった。
試合会場に入り、回りを見渡す。見渡す景色は戦車で埋め尽くされていた。設置されているテントを見つけ、宗谷とかほが中に入っていく。中には各校の隊長たちが座っていた、その内の3人はやや不機嫌そうな顔で座っていた。
「遅いぞ。何をしていた」
「あんたたちが遅いから待ちぼうけ食ったわ」
「折角淹れた紅茶が冷めます」
「でも来てくれて良かったわ。さぁ
「久しぶりだな、パスタ食べないか?」
「宗谷殿、西住殿。また会う日を楽しみにしていました」
次から次へと話し出す隊長たちに戸惑いながら、席につく。座るとすぐに地図を広げた。試合会場は想像以上に広く、別のエリアに向かうだけでも時間が掛かりそうだ。
「それで?まずは何処から制圧するつもり?」
偉そうな声で地図を指で叩くにサティーに続き、今度はルフナが質問する。
「1つ疑問なのですが・・・何故私たちの戦車の出場数が
「ああ、戦車の数に関してはだな・・・俺が呼んだ仲間が使うって言うからさ、その車輌を含めて47輌なんだ。そろそろ来ると思う・・・」
その時、外から聞きなれないエンジン音と生徒たちの困惑した声と聞きなれない男たちの声が聞こえてきた。
「イェーイ!!ひっさしぶりの実戦だぜ!!」
「おお!スゲェ!主力戦車が勢揃いじゃねぇか!テンション上がるな!!」
「落ち着けバカ!大人しく座ってろ!!」
「可愛い生徒たちばっかじゃん!最高だな!」
テントの中にいた隊長たちが外に出ると、トレーラーを牽引して走るハーフトラックが目に入った。荷台にはヘルメットを被り、小銃や機関銃を持った男たちが子供のようにはしゃいでいる。
「・・・・・あれは何だ?」
夏海が呆れた声で宗谷に聞く。宗谷は頭を掻きながら苦笑いで答える。
「えーっと・・・俺が呼んだ仲間だ。あんなんでも優秀なチームだったんだぜ?」
宗谷はそう言ったが、誰が見ても優秀そうには見えない。 ハーフトラックはテントの前に止まり、荷台に乗った男たちがバタバタと降りる。
「下車だ下車!さっさと降りろ!」
「イテ!蹴るなよ!」
「慌てるな落ちるぞ!」
かほはその光景を見て言葉を失った。ゴーグルとヘッドセット付きのヘルメットを被り、緑色の戦闘服を着用し、黒く光る戦闘靴を履いている。体にはH型サスペンダーに、弾薬ポーチを5、6個程付け、手には小銃や機関銃を持っている。その内の1人が1歩前に出て、ビシッと敬礼をする。
「報告!元近衛機甲学校機甲歩兵科、特殊戦闘隊 第11班、赤坂以下11名!集合完了!!」
その報告を聞き、宗谷は敬礼をしてかほが赤坂に質問する。赤坂はこの間、戦車に乗っていたのに、何故この様な格好をしているのか分からなかったからだ。
「赤坂さん、何でそんな格好を?それに、機甲歩兵科って?」
「俺たちは元々戦車の乗員じゃないのさ。本来は歩兵、近衛では
聞きなれない言葉だらけで頭にはハテナしかない。その様子を見て、横に立っていた男が割り込んで説明する。
「あーつまりだな。俺たちは戦車の搭乗員じゃなくて、戦車に随伴する歩兵なんだよ。ここにいる連中全員が機甲歩兵科っていう科目の生徒だったんだ」
説明されてようやく理解出来た。つまり、
「歩兵!?冗談じゃないわ!こんなやつら役に立たないわよ!」
サティーが赤坂たちに指を指す。赤坂はムッとした表情を見せ、説明した男が割って入る。
「そんな事はねぇぞ!俺たちは戦車を護衛するために訓練を積んできた精鋭だぜ?それに、この内の7人は『レンジャー』だぞ!」
「良いからお前は黙ってろ、余計なことは言うな」
赤坂がゴンと頭をこずき、宗谷が赤坂に手を差し出した。
「ありがとう。おかげで勝てそうだ」
「大変だったんだからな?1つ貸しだ」
「それより、この部隊のメンバーに挨拶しなくて良いのか?」
「え?すんの?」
宗谷は無言で頷き、赤坂は照れ臭そうに頭を掻いた。
「・・・・・全たーい!回れー右!」
指示に従い、一列に並んだ男たちが一斉に振り向く。その姿は圧巻としか言えない。そして赤坂が一方前に出る。
「本日、宗谷隊長の指揮下に入った!旭日機甲歩兵団隊長、元特殊戦闘隊 第11班班長、赤坂
「同じく副隊長兼、装甲戦闘車輌操縦員、
「同じく、元重火器戦闘員!
「同じく、元歩兵救護員!
「同じく元水中奇襲戦闘員、
「お、同じく元狙撃員!と、
「同じく元突撃戦闘員、
「同じく元突撃戦闘員、
「同じく元噴進砲戦闘員、
「以上!11名・・・ん?」
赤坂は自分を含めて頭数をもう1度数え直した。宗谷に報告した人数は11人、しかし今自己紹介をした人数は赤坂を含めて9人。2人足りないことに気づいたのは、数を2度3度と数え直してからだった。
「・・・誰がいない?」
赤坂が歩兵団のメンバーに訪ねると、ガトリングこと竜が回りを見ながら答えた。
「ARの2人がいないぞ?」
「何!?あの
「良いのか?」
宗谷が心配そうに声をかけた。
「大丈夫だろ。あいつらのことだし」
「本当に良いのかよ・・・分かった、じゃあ作戦を立てるから来てくれて」
赤坂は酒田と一緒にテントの入り、他の学校の隊長達と一緒に。机に広げられた地図には、それぞれのエリアの番号と、スポットの番号が割り振られていた。エリアは大まかに分けて3種類ある、森林、市街地、そして何もない開轄地だ。
だがそれだけではない、市街地と開轄地のエリアの間には、小高い山があり、森林のエリアには崖と川がある。今まで以上に充実したエリアばかり、流石は戦車道の専門学校だ。
「私たちの戦車は47輌、そして向こうは50輌だ。数はこちらの方が少ないが、その分は戦車以外の車輌で補える」
と夏海は言ったが、サティーは赤坂と酒田を見てため息を付く。
「補える?歩兵で?しかも彼らが乗っているのはハーフトラックよ。1発でも攻撃が当たったらおしまいじゃない」
「あれは※ホハって言うんだ。あのハーフトラックにもちゃんと名前があるんだよ」
「名前はどうだって良いのよ。言っとくけど、私はあんたたちと行動するのはお断りよ」
「ケッ、こっちだってお前と一緒に行動すんのはお断りだっての」
宗谷は赤坂とサティーの言い合いに耳を貸さず、作戦を立てようと考え込んでいた。
宗谷は出場する戦車のリストを見た。
大洗
4号、ヘッツァー、ポルシェティーガー、3号突撃砲、M3、3式中戦車、B1、89式中戦車、ルクス、チリ改
黒森峰
ティーガー1、ティーガー2、ヤークトティーガー2輌、パンター6輌、シュトルムティーガー
聖グロリアーナ
チャーチルMKIV、クルセイダー2輌、重戦車トータス
プラウダ
T34 4輌、T34/85、IS-2、SU-85、SU-100、KV2
サンダース
M4シャーマン6輌、シャーマンファイヤフライ、T34カリオペ
アンツィオ
CV33、セモヴェンテM41
知波単
97式中戦車、95式軽戦車2輌
この内重戦車が8輌、シュトルムティーガー、トータスなど新たに導入した重戦車が2輌。そして中戦車、軽戦車を合わせて35輌。そしてその他の車輌が3輌だ。リストをじっと眺め、戦車の編成を伝える。
「よし、編成はこうする。チームを3つに分けて、1チームを重戦車だけで固める。旭日機甲歩兵団は重戦車チームに加わってくれ」
「ハァ!?私は嫌よ!こんなやつらとチームなんて組みたくないわ!」
チーム編成を聞かされてサティーが反発した、重戦車チームに含まれているKV-2に搭乗するので、嫌でも歩兵団と一緒になる。赤坂はサティーに呆れていた。
「決めるのは隊長だぞ。我が儘言うんじゃねぇ」
「うるさいわね!あんたみたいに生意気やつと一緒のチームなんて嫌よ!」
「ハッ、見た目だけじゃなくて頭の中も子供か?」
「な!何ですって!?」
サティーが殴り掛かろうとして、ルリエーが慌てて押さえた。サティーは押さえつけられながら、赤坂を罵倒する。
「歩兵なんて必要無いわ!この戦車道で必要なのは戦車よ!戦車!あんたみたいにただ突っ込むことしか出来ないやつなんて、いらないのよ!!」
「サティー様、それくらいにしてあげてください。彼らも一緒に戦う仲間なんですよ?」
ルリエーに慰められ、サティーはフンと鼻で返事をしてプイッと顔を壁の方に向けた。
「1つ疑問なのですが、何故歩兵がいるのでありますか?こう言っては失礼ですが、本当に必要なのですか?」
太鳳もサティーと同じ意見のようだ。確かに、この戦車道に必要とは思えない。
そう言われた赤坂は、懐かしそうにヘルメットに描かれた近衛の校章を見た。校章は掠れ、赤と白だけではなく、下地の灰色や草の緑色も混じっている。ボロボロのなったその校章は、厳しい訓練を積んできたと、物語っている。
「・・・お前らは歩兵なんて必要無いと思っているかも知れないが、お前らが思う以上に歩兵は必要な存在になる」
「どういう事なの?」
かほが赤坂に質問し、赤坂は胸元に付けていた色褪せている金色のバッジを机の上に置いた。2丁の小銃が、斜め左前を向いている戦車の前でクロスしている変わったデザインのバッジだ。
「俺たちはただの歩兵じゃない。戦車の護衛が主な任務だが、必要なら戦車の撃破も敢行するチームだ。全員がそれぞれどの役割を果たすのか言ってただろ?」
そう言われ、さっきの自己紹介の時を思い返した。言われて気づいたが、重火器戦闘員や歩兵救護員、噴進砲戦闘員など、それぞれで役割が違っていたことは確かだが・・・
「だから?戦車に勝てるって言うわけ?」
黙っていたサティーが再び赤坂に顔を向ける。
「あと2人来てくれれば、戦車が50輌だろうが100輌だろうがまとめて相手出来るぜ。このバッジに誓ってな」
赤坂は腕を組んで肩を後ろに引き、ニヤリと笑った。それなりに自信があるようだ。
「・・・・・話が大分それたけど・・・作戦を伝えるぞ?」
言い合いになっていたので中々話せなかったが、ようやく作戦を伝えられそうでホッとした宗谷だった。
「・・・と、最初の作戦はこれでいく。質問は?」
宗谷から作戦が伝えられたが、全員の顔は曇っていた。3チームで別れ、それぞれで市街地に向かい、到着と同時に歩兵と戦車を各配置に展開させ、敵を討つという。1つ問題点を挙げるとすれば、全車が目的地に着けるかどうかだ。
「1つ聞くが、全滅する可能性は無いのか?」
赤坂の質問に、宗谷はこう答えた。
「全滅はあり得ない。ここにいる生徒は優秀なやつばかりだ、返り討ちにしてくれるさ」
その言葉を聞かされ、かほたちは少し緊張が解れた。宗谷は仲間を信じている。
「・・・まぁ、お前がそう言うんなら優秀な連中なんだろうな。心配した俺がバカだったよ」
「よし!行くぞみんな!」
「「「「「「「「「「パンツァー、フォー!!!」」」」」」」」」
「・・・・・パンツァー・・・おー・・・」
突然の掛け声に付いていけなかった赤坂だった。
※解説
ホハ
戦後は改造され、ゴミ収集車として戦後の復興に役立てられた。
「今回も最後まで読んでくれてありがとよ!コマンダー・マガジンこと、赤坂だ!いよいよあの種島と戦うことになるが、俺たちは絶対に勝つぞ!感想、評価待ってるぜ!」