ガールズ&パンツァー ~伝説の機甲旅団~   作:タンク

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前回のあらすじ

宗谷の呼び掛けで集まった戦車道の優秀生たち。しかし、戦車は何故か47輌と言われた。48輌では?と疑問を持つ各校の隊長たちのもとに、宗谷とチームを組んだ赤坂が別のチームを率いて現れた。
彼は1式半装軌装甲兵車ホハ、そして近衛の歩兵科だった生徒9名と戦車道に挑むと告げた。宗谷は新しい仲間たちと共に、戦いに挑む!



mission5 仕組まれた戦場

 試合開始時間まで残り3分。合同チームの陣営は準備が整い、試合開始の合図を待っている。

 初めの作戦で伝えられた通り、47輌の戦車を3チームで分け、それぞれのチームを○○小隊として呼ぶことした。

 

 旭日小隊

 

 チリ改(隊長車)、M3中戦車、89式中戦車、パンター3輌、97式中戦車2輌、シャーマン3輌、シャーマンファイヤフライ、チャーチルMKIV、クルセイダー、T34/84、T34 2輌

 

 アンコウ小隊

 

 4号戦車(隊長車)、B1bis、ヘッツァー、3式中戦車、パンター3輌、CV33、M41、セモヴェンテ、クルセイダー、95式中戦車、シャーマン3輌、T34 2輌

 

 ヘビー小隊

 

 ティーガー1(隊長車)、ティーガー2、ヤークトティーガー2輌、KV-2、SU-85、SU-100、ポルシェティーガー、シュトルムティーガー、T34カリオペ、1式半装軌装甲兵車ホハ

 

 ルクスは偵察任務に就かせるため、この3つの小隊には入っていない。宗谷が戦車全体に通信し、激励の言葉を送った。

 

「全車に告ぐ、合同チーム隊長の宗谷佳だ。これより、東京パンツァーカレッジと殲滅戦を開始する。君たちにとって、種島はとても恐ろしい存在だと言うことは分かっている。だが、何も恐れるな!見かけだけに捕らわれず、自分の腕を信じて試合に望んで欲しい。以上だ」

 

 通信機を切ると、宗谷は深呼吸をしてハッチを開けて外を見渡した。後ろには、自分のために集まってくれた戦車達がその時を今か今かと待っている。絶対に、勝たなければならないと、そう決意した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 東京パンツァーカレッジ 陣営

 

「種島隊長、全車出撃準備完了しました」

 

「分かったわ。ところで、()()の用意は出来ているんでしょうね?」

 

「準備は出来ています・・・でも、本当に良いんですか?」

 

「私が良いと言ったら良いのよ。この試合は私が計画したんだから。()()()()()()()にね?」

 

 種島の目は獲物を見つめる虎のようだった。どんなことをしても、宗谷を手に入れたいのだろう。

 

〔まもなく、試合開始時間になります!出場選手は準備を済ませて待機してください!〕

 

 アナウンスの声が陣営側に響く。種島は待機するよう指示を出し、自分が搭乗するヤークトティーガーに乗り込んだ。5年前に乗っていた、あの時のヤークトティーガーだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 観客席

 

 大画面で写し出されている映像には、互いの陣営で出場準備を済ませた戦車達が開始の指示を待っていた。

 見守るために駆け付けてくれたのは、代表として西住みほとまほ、そして角谷杏。そしてその横には協会長である西住しほがいた。この4人の間にはただならぬ緊張感が漂っている。経験が長いしほでさえも、種島家との試合は緊張するものなのだろうか。

 

「お隣、失礼しますよ?西住さん?」

 

「・・・種島小百合・・・」

 

 横に来たのは優衣の母である種島小百合。黒髪の長髪を靡かせる凛としたその立ち姿は、現代を生きる大和撫子を連想させた。みほがその姿に見とれていると、しほは厳しい口調で小百合に話しかける。

 

「あなたが何を企んでいるのか、そこが気になるところだわ」

 

「あら、企むなんて、そんなことはしないわ。優衣はどう出るかは分からないけど」

 

 小百合の態度に少し苛立ちを見せるしほに、杏が間に入って宥める。

 

「落ち着いてください協会長。苛立つのは分かりますけど、ここは穏便に・・・」

 

「・・・・・分かっているわ・・・!」

 

 込み上げる怒りを何とか抑え、視線を前に向けるしほ。杏は少しホッとして、みほにこっそりと尋ねる。

 

「・・・ねぇ、何でこの2人何かあったの?」

 

「実は・・・幼なじみらしくて、学生の時は一緒に試合をしたこともあるそうなんですけど・・・・・種島さんが()()()()()使()()()勝ったそうなんです・・・どんな手を使ったのかまでは聞いてないですけど」

 

「え?それってマズくない?」

 

「ええ、お母さんは訴えたそうですけど、証拠が無いから分からないって言われて、相手にされなかったそうなんです」

 

 「だからこんなに関係が悪いのか」と杏は納得した。種島流に関してはあまり良くない噂を耳にしたことがある。どう言った手を使ったのか気になるところだが、試合の方も気になって仕方なかった。

 

 相手はあの種島流を引き継いだ種島優衣、それに対抗するのは合同チームと新たに加わった歩兵が9名、今までにない組み合わせだ。早く試合が始まらないかワクワクしたいた。

 

〔それでは!これより大洗合同チームと、東京パンツァーカレッジの殲滅戦を開始します!〕

 

 アナウンスの声が試合開始の合図を伝え、すぐに信号弾が高く上がり、「パーン!」と破裂音が会場に響き渡る。

 

〔試合、開始!!〕

 

 戦車が一斉に動き出す。総勢97輌の戦車が土埃上げ、轟音を上げながら走り始める。観客席は一気に盛り上がりを見せ、歓声や興奮の声が飛び交った。

 

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 大洗陣営

 

 試合が始まり、各自でチームを組始めた時、宗谷から通信が入った。

 

「全車予定のチームを組んで各自で散開、それぞれで市街地に向かうぞ。3つあるチームの内、1つは敵と会うことになると思うが、冷静に対処するように。以上だ」

 

 指示を送るとすぐに地図を広げる。宗谷が指揮する旭日小隊は、開轄地エリアから山を越えて市街地へ。かほが率いるアンコウ小隊は森のエリア側に寄りながら進み、ヘビー小隊は森を抜けて行くことになった。

 市街地に行く前に、黒江姉妹が搭乗するルクスが状況確認のために先行して偵察に向かうことになっている。敵に発見されないように森林のエリアから市街地へ向かっていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 森林エリア 市街地前

 

 先行したルクスが市街地前に着くまでに時間は掛からなかった。早速琴羽が双眼鏡で市街地の様子を見る。

 敵は市街地から出撃する予定だったので、そろそろ市街地を抜けて森林エリアの方に向かってくるはず。しかし、敵が来る気配はない。

 

「・・・琴音、敵見える?」

 

「見えないよ。市街地から来る様子は全く・・

 

 その時!真横から砲弾が飛び出し、車体を掠めていった!琴羽が視線を変えると、M26が5輌、こちら側に向かって進軍していた!

 

「な、何で!?あり得ないわ!どうして向こうから来るの!?」

 

 琴羽は混乱していた。ここに来るまで敵には見つかっていない、それなのに敵は正面ではなく真横から来ていた。敵が待っていたようにしか思えなかった。

 

「お姉ちゃん!ここは一旦退却しよう!今はこっちが不利だよ!」

 

 退却を促され、歯ぎしりをする琴羽。しかしバレた今は何も出来ない。出来るとすれば味方にこの状況を伝えることだけだ。

 

「くっ・・・仕方ないわね。退却よ!森の中に逃げ込んで!」

 

「分かったわ!掴まって!」

 

 敵からの猛攻から逃げ切るため、一旦逃げることを選んだ。20ミリ砲しかないルクスにM26と真っ向勝負を挑むのは厳しい。ここは障害物がある場所に逃げた方が無難だ。

 森に侵入し、何とか敵の追撃から逃れると、すぐに通信機のスイッチを入れる。

 

「全車に通信!こっちの動きが読まれていたわ!もしかしたら他のチームにも影響するかもしれない、警戒して!」

 

 琴羽からの通信を受信した宗谷は、優衣が何か企んでいると感じて全車に改めて警戒を呼び掛ける。

 

「全車に通信、もしかしたら向こうも偵察を出している可能性がある。回りに警戒しながら・・

 

「敵戦車!正面だ!!」

 

 福田が話を遮りながら叫び、宗谷がハッチを開けて正面を見る。M26が5輌、SU-152が2輌接近していた!

 

「全車戦闘態勢!装甲が薄い戦車は後方に、他の戦車は前に出て応戦しろ!」

 

 敵は先に高所を取っているため、宗谷たちの方がやや不利な状態に置かれている。それでも退却はせず、チリ改を先頭に果敢に前に出る。

 

「宗谷先輩!ここは援軍に来て貰った方が良いと思います!私たちだけでは攻略出来ませんよ!」

 

 宗谷に助言をしたのはM3のあいかだ。まだやられた戦車はいないが、この状態でこちらに勝ち目はない。幸いなことに、近くにかほが率いるチーム2がいるので、助けを呼べばすぐに来てくれるはずだ。

 

「やむを得ない、北沢!アンコウ小隊に応援を要請しろ!」

 

「了解!市街地に行くことだけに夢中になってないと良いがな!」

 

 砲撃の音が響き渡り、地面が揺れる。その中で何とか通信機のスイッチを入れる。

 

「アンコウ小隊!聞こえるか!?こちら旭日小隊!応援を要請する!」

 

〔こちらアンコウ小隊!応援にはいけないわ!こっちも交戦中よ!〕

 

「何だって!?」

 

 沙織から報告を受け、北沢は冗談を言っているように思えた。()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ、偶然にしては出来すぎている。

 

「それマジなのか!?敵は何輌だ!?」

 

「数えてないけど敵が来ているのは確かよ!まだ損害はないけど応援にいくのは無理!そっちで何とかして!」

 

 声と共に砲撃音が聞こえている、沙織が言っていることは冗談ではない。

 

「宗谷!アンコウ小隊は無理だ!ヘビー小隊は呼ぶには遠すぎるし、もう俺たちだけで何とかするしかない!」

 

「仕方ない・・・何とかして1輌でも多く撃破しろ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ヘビー小隊 森林エリア

 

 重々しい音を立てながら走る重戦車たち、今のところ敵とは出会っていない。夏海には攻撃されていると報告が入っていたが、今の場所から移動しても間に合わないと判断し、真っ直ぐに市街地に向かっていた。

 機甲歩兵団のメンバーたちはホハの荷台で暇そうにしている。銃の手入れ、各装備品の作動確認など、やるべきことは全て済ませてしまったからだ。

 

「あーあ・・・暇だなぁ。森の中ってだけあって眠くなっちまうよ」

 

 大きなあくびをする灘河(ボンベ)に続き、遠井(スコープ)も眠そうに狙撃銃を構えている。

 

「本当、全然敵が来ないね。でも、こう言うときこそ警戒しないと」

 

「スコープの言うとおりだ」

 

 自分の拳銃を分解している赤坂が口を挟んだ。

 

「だけどよ、こっちに来ないってことは、敵は全部向こうに集中しているってことだろ?来るとは思えないが」

 

「その油断が命取りになる。相手は軍隊じゃないが、ちゃんと警戒しとけ」

 

 赤坂が注意したが、この歩兵団には何処か緊張感がない。回りは戦っていると言うのに、こっちは暇を潰す始末。

 戦闘を走るティーガー1に搭乗している夏海は、地図を照らし合わせながら前を見ている。敵が全く来ないことに疑問を抱いていたが、今は前に向かって進むだけだ。

 地図を見ながら指揮を取っていたが、問題が起きた。

 

「!隊長!目の前に崖が!」

 

 操縦手がブレーキを踏んで戦車を停め、後ろを付いてきていた戦車の流れも止まってしまった。赤坂(マガジン)が異変に気づき、夏海に通信をするためにヘッドセットのスイッチを入れた。

 

「何が起きたんだ?おいドイツ重戦車第1号(ティーガー1)、どうした?隊列が止まったぞ」

 

「その呼び名やめろ、目の前に崖があるんだ。いや、崖じゃなくて溝と言うべきだろうな。戦車じゃ越えられない」

 

「溝だぁ?地図にはそんなの載っていないぞ」

 

「信じられないならこっちに来い、見た方が早いだろ?」

 

 夏海にそう言われ、ホハを降りて小走りで先頭に向かっていく。先頭に着き、回りを見渡した。確かに言っていた通り、目の前には大きな溝がある。だが改めて見直してみたが、地図には載っていなかった。

 

「・・・確かにあんたの言った通りだが、何で地図に載ってない場所がある?変だと思わないか?」

 

「この程度の崖は載せないんだろう。細かいところまで載せていたらキリが無いからからな」

 

()()()()?ざっと見て深さ3メートル弱、距離は5キロ以上あるぞ。それなのに、お前らにはこの程度って言えんのか?」

 

 赤坂(マガジン)に指摘され、夏海自信も何故載っていないのか疑問に思い始めた。ここまで来る間にもちょっとした崖や溝はあったが、地図にはちゃんと記載されていた。

 しかし、目の前にある溝だけは載っていない。更に付け加えるなら、このルートで行けば市街地までは最短で着ける。載せ忘れただけとは思えない。

 

「一旦引き返した方が良いんじゃないか?この状態で敵に見つかったら袋叩きにされるぞ」

 

「そうだな・・・一旦戻って、宗谷たちにこの状況を報告しよう。どっちかの小隊に合流出来たら一緒に行動しよう。急いで下がるぞ!」

 

 夏海が指示を出したが、KV-2に乗っているサティーが割り込んできた。

 

「下がってどうすんのよ。このまま溝に沿って移動すれば良いじゃない、どっかに橋ぐらいは掛かっているでしょ?」

 

「橋があるという保証はない。このまま行っても無駄足になるだけだ」

 

「行ってみないと分かんないでしょ?偵察隊を出せば済むじゃない」

 

「ここにあるのは重戦車ばかりだ。とても偵察には向かない」

 

 隊長同士の言い合いが始まり、他の乗員たちは動けずただ黙って眺めることしか出来なかった。側に居た赤坂は、アホらしいと感じてホハに戻って行ってしまった。

 その頃、荷台の1番後ろに座っていた水原(ウッドペッカー)が何かに気づいて双眼鏡を手に取って回りを見渡していた。勘違いかと思っていたが、その()()に気づいてヘッドセットのスイッチを入れて叫んだ。

 

「緊急事態!緊急事態!敵重戦車数輌接近!戦闘に備えろ!」

 

 その声を聞いて歩いていた赤坂(マガジン)が走って後方に戻った。目を凝らして見ると、戦車が11輌接近していた。

 

「ドイツ重戦車第1号!識別は出来ないがデケェ戦車がこっちに接近しているぞ!」

 

「分かっている!全車戦闘態勢!木を盾にして反撃しろ!」

 

 木が密集していた訳ではないが、図体が大きい重戦車にとっては狭い中で旋回しなければならないので反撃に時間が掛かる。サティーは舌打ちしている。

 

「チッ!何であいつらが先手を取ってんのよ!早く旋回しなさい!」

 

「そんな事言われましても・・・・・」

 

 ホハは味方の陰に隠れ、赤坂(マガジン)たちが反撃の準備をしていた。遠井(スコープ)が弾を込めながら赤坂に話し掛ける。

 

「コマンダー!こんな状態で、作戦通りに行くと思う!?」

 

「何もかも作戦通りに行くことなんてことはない。とにかく今は、目の前の敵に集中することだ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 市街地

 

「種島隊長、先行した友軍が攻撃を開始しました。敵の方が不利な状態にあるそうです」

 

「・・・・・クックック、この戦術は見破れない。宗谷の悔しそうな顔が見えるわ。アーッハッハッハ!!」

 

 勝利を確信したかのように高笑いをする種島に対して、他の乗員は呆れていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

 そして、試合開始の早々絶望の淵に立たされた合同チーム。種島の策略を見破れるのか!?




「えー・・・今回も読んでくれてありがとよ。機甲歩兵団副隊長のキャプテン・ドライバーだ。何故か動きを読まれて危機に陥ってるが、あの射撃バカがなんとかするだろ」

「おい!射撃バカってなんだ!」

「お、マガジンか。じゃあ撃ちまくり野郎に改名するか?」

「しねぇよ!もうちょいまともなあだ名にしろよ!」

「マガジンがこう言ってるが、今回はここで終わるそうだ。次回も読んでくれ」
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