ガールズ&パンツァー ~伝説の機甲旅団~   作:タンク

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前回のあらすじ

市街地に侵入出来た合同チームだが、M3とパンターが本隊とはぐれてしまった。
通信が全く繋がらないので、赤坂(マガジン)が元PSCの2人に捜索を命じる。

森林エリアを捜索し、M3とパンターを発見したが、パンターは自走が出来ない程損傷していたので、やむ無くM3だけを連れて帰る。

漸く揃ったと思っていた矢先、とんでもない超重戦車が合同チームの前に現れた。それは『陸上戦艦』と呼ばれた、ラーテだった!


mission11 陸上戦艦を撃沈せよ!

観客席

 

 試合を見ている観客は、突然現れた超重戦車に言葉を失っていた。画面に写し出される『陸上戦艦』見ていたみほが、小百合に詰め寄った。

 

「・・・・・酷すぎます!彼女たちは普通の戦車で戦っているのに、あんな重戦車を出すなんて!!」

 

「あら?戦車道に出場する戦車は、『1945年8月15日までに製作、試作、設計計画されたもの』とされていますわ。あの戦車は1945年に設計されたものですよ?」

 

「でも※ラーテを使わせるなんて!こんなの勝ち目無いじゃないですか!!」

 

「落ち着きなさいみほ。彼らには何てこと無いわ、きっと良い解決策を見つける」

 

 しほが宥めると、みほは大人しく席に座った。その間にも、ラーテは市街地内を蹂躙していた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

市街地エリア

 

 合同チームは目の前から迫る『ラーテ』に劣勢を強いられていた。

 

 ロケット臼砲を装備しているシュトルムティーガー、ロケットランチャーを搭載しているカリオペでも全く歯が立たず、ラーテは止まること無く進軍を続けている。

 

 大口径砲を持つ重戦車が束になって掛かっても、その装甲に傷を入れることすら出来ない。そこでかほが別の作戦を考案し、進行させていた。

 

「マガジンさん!作戦は実行出来そうですか!?」

 

「ラントミーネとゲヴェアがロケット砲担いで行ったよ!!」

 

 ラントミーネとゲヴェアはビルの屋上に来ていた。ここからロケット砲を撃ち込んでエンジンを損傷させるのだ。

 ゲヴェアが噴進砲を構え、エンジン部と思われる場所に向けて撃ち込んだ!

 

 砲弾はエンジン部に命中したが、ラーテは何事も無かったかのように走り続けている。

 

「クソッ!こちらゲヴェア!噴進砲効果無し!!繰り返す!噴進砲効果無し!!」

 

 (ゲヴェア)の報告の後、ラーテの2連装砲塔が動き出し、攻撃している宗谷たちの方を狙った!

 

「ヤバい!奴がみんなを狙っているぞ!!早く逃げろ!!」

 

 羽田(ラントミーネ)が警告したが、主砲は目の前の敵を狙っている。その瞬間!凄まじい爆音と衝撃波が、宗谷たちを襲う!

 放たれた砲弾は、近くにいた重戦車を数輌吹き飛ばし、衝撃波で建物の壁に大きなヒビを入れた。

 

「うへぇー・・・・・すげぇ衝撃。おい!大丈夫か!?」

 

 羽田(ラントミーネ)の通信を聞いたかほからの報告は、惨憺たるものだった。

 

 黒森峰の重戦車4輌戦闘不能、近くにいた味方にも通信機破損や、照準装置故障などの被害が出ている。

 たった2発だけでかなりの痛手を負ったので、ルリエーが撤退することを提案した。

 

「一旦退却しましょう!こんなに損害が出ている以上、別の作戦を練り直した方が良いですわ!」

 

「それに賛成!逃げるわよ!!戦略的退却!!」

 

 穂香もその提案に賛成し、その指示で全車が一斉に撤退していった。

 かほが双眼鏡を使ってラーテを見張ったが、今度は波止場に係留されている艦のように動かなくなった。

 

「こちらアンコウかほ。ラーテはスポット554に停車、動く気配は無いわ」

 

 無線連絡で情報を送ったが、無線の故障も相まって情報が届いたのは全体の半数弱。無線機が故障しているところは、近くにいる味方から情報を得ることになった。

 

ラーテ 戦闘室

 

「フッフッフ、この戦車は最強ね。あいつらの砲弾じゃかすり傷もつかない、私たちの圧勝よ」

 

 ラーテの車長『加藤(かとう)』はもう勝った気でいる。ここまで数十発砲弾を受けたが傷1つ無い、慢心するのも無理無いだろう。

 その横で、副車長の『巌原(かんはら)』は少々物足りない表情をしている。

 

「はぁ・・・・・あなたは勝利がほぼ確定したような戦いで良いの?私はとってもつまらないけど」

 

「良いに決まってるじゃない。敗けるよりはよっぽどマシだわ」

 

「・・・・・あっそ。それより、いつ動くの?十分だと思うけど」

 

「まだ冷やしておくわ、肝心なときに故障したら困るからね。それに、奇襲攻撃されても撃破なんて出来ないわ」

 

4号戦車 戦闘室

 

「やっぱり変かなぁ。でも、いやぁ・・・・・」

 

 作戦を練り直している間、装填手の秋山由香はずっと独り言を喋っていた。横で見ていた藍が肩を叩きながら話し掛ける。

 

「あの、さっきからずっと独り言が聞こえてきてますよ?」

 

「あ・・・・・す、すみません。気になっていることがあって、つい・・・・・」

 

「気になること、ですか?」

 

 由香はラーテが動かないことが気になるらしい。敵を見失ったのな見つけるために動くはず、それなのにあのラーテは止まっている。由香にはその行動が理解出来ない。

 

「あのラーテ、何か秘密があるんじゃないかと思います。それも、私たちの想定を越えるほど何かを」

 

「私たちの想定を越えるほど、ですか。でも、例えば?」

 

コンピューターを搭載している、とか?」

 

 操縦席に座っていた冷泉朝子が、2人の会話に割り込むように話し始めた。

 

「コンピューター・・・・・でありますか?いや、流石にそれは無いと思いますけど」

 

「ずっと止まっているのは熱を帯びたコンピューターを冷やすため。それから、今までの戦車道では規格外の2連装砲が私たちを狙って、射撃するまで約数十秒、人間業とは思えないと思うけど」

 

 朝子の考えには、由香の疑問を晴らす要素が揃っていたが、コンピューターが搭載されているとは思えない。かほにもその話をしてみたが、彼女もその考えには否定的だった。

 

「冷泉さんの言うことにも一理あるかもしれないけど、そんなことは無いと思うけど?」

 

「西住、あなたも疑問に思っているんじゃない?何かおかしいって」

 

「そ、それは・・・・・」

 

 かほ自身もラーテの動きは気になっていたが、どんなに考えても何故素早く動けるのかが分からなかった。

 

 朝子が言うように、『コンピューターが搭載されている』と言う話も全くあり得ないとは言えない。

 ここで考えていても仕方ないので、かほは夏海にその話をした。

 

「コンピューターが?まさか」

 

「私も断言は出来ないけど、もしかしたら搭載されているかもしれないじゃない。全然動かないのも納得がいく」

 

「考えが飛躍しすぎだ。きっと何かしらトラブルが発生しているんだろ」

 

 案の定否定されたが、そう決めつける前に確認はしてみた方が良いだろうと思い、今度は近くにいた赤坂(マガジン)に相談してみることにした。

 

「ラーテにコンピューター?あるわけ無いだろ。相手は※第3.5世代のM(メイン)B(バトル)T(タンク)じゃ無いんだぞ」

 

「分かってるけど、人間技とは思えないから確認してほしいの。もし搭載されていたら、戦況をひっくり返せるかもしれない。だからお願い!」

 

 かほがあまりに真剣なので、赤坂(マガジン)は少し考え込み、行く変わりに1つ提案を出した。

 

「分かった、行くよ。ただ、1つ頼みがある。戦車の構造に詳しい奴を1人貸してくれ。俺達じゃ不安だからな」

 

「えぇ、詳しい人って言われても・・・・・あ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

チリ改 戦闘室

 

「何だって!?歩兵団をラーテの中に潜入させた!?」

 

 宗谷の耳に入った報告は、あまりに衝撃的なものだった。宗谷でも実行に移すか悩む作戦を、かほは実行してしまったのだ。

 

「何でそんなリスクが高い作戦を実行させたんだ!相手に見つかったりしたら、それこそ一貫の終わりだぞ!」

 

「分かってる。でもこれは、歩兵団(彼ら)にしか出来ないことだよ?どっちに転んでも、成果を上げてくれるはず」

 

赤坂(あいつ)は戦車の構造にそこまで詳しくない!特に1度も見たことない奴が相手じゃ尚更だ!」

 

「そこは抜かりないよ。『戦車博士』も一緒に連れていってるから」

 

ホハ 荷台

 

 赤坂(マガジン)たちを乗せたホハは、作戦通りにことを運んでいた。その最中、かほから寄越してもらった『戦車博士』と一緒に作戦を再確認していた。

 

・・・で、コンピューターの存在を確認したら、『野外無線機』で連絡を取る。分かったか?えーっと・・・・・」

 

「秋山由香であります。いい加減覚えてくださいよ~」

 

「あー悪い悪い。秋山だな。今回の作戦は、お前の知識が鍵になる。頼むぞ」

 

「了解であります!!」

 

 再確認が終わったと同時にラーテの後ろに着き、歩兵団員は一斉に車内から降りる。酒田(ドライバー)には周囲の見張りと、脱出のために待機するように指示した。

 

「おぉー・・・・・こ、これが・・・・・ラーテ」

 

 ラーテを間近で見た由香は、その存在感に圧倒されてしまっている。遠井(スコープ)がポカンとしている由香を引っ張り、入り口を探し始めた。

 

 車体下部に中に潜り込んでみると、緊急脱出用のハッチがあったので、赤坂(マガジン)を先頭に突入していった。

 突入した場所は機関室のようで、辺りを見渡したが人影が全く無い。

 

「おかしいですね。ラーテは20名から40名程で運用される計画でした。それなのに人影が見当たらないのは不自然であります」

 

 由香の一言に、赤坂(マガジン)たちはやはりコンピューターで制御されていると確信した。

 そう思っていた瞬間、地震のような振動と共に、辺りの音が聞こえなくなるほどの轟音が響き渡る!

 

〔聞こえるか!?ラーテがまた動き出した!早くケリつけないと、今度は全滅するぞ!!〕

 

 ホハでの中で待機していた酒田(ドライバー)からの緊急入電が入る。

 

 どうなっているのか全く分からないが、この戦車は動き出したということは車内でも分かる。早くコンピューターを見つけなければならないが、何処にあるのか検討がつかない。

 

「恐らくですけど、これだけ大きい車体ですからコンピューターも大型の物にしないと制御しきれません!となると、この機関室の何処かに搭載されていると思います!」

 

「その考えには賛成だ!よしお前ら!この辺りを徹底的に探せ!見つけたらすぐ報告しろ!」

 

 作戦を伝えられた歩兵団員は、コンピューターを見つけるために機関室内に散った!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

4号 戦闘室

 

「どうしょう!また動きだしたよー!!」

 

 由香の代わりに装填手をやっている栞が慌て始め、かほがラーテの動きを確認する。

 ラーテは建物を破壊しながら進軍し、友軍を追い回すように走っている。その姿を見ていた藍がポツリと呟いた。

 

「それにしても・・・・・何て大きさなんでしょう。『戦艦大和』が陸を蹂躙しているみたいです」

 

 その呟きをかほの耳に入り、ラーテの動きを止める作戦を思い付いた!

 

「それだよ!ありがとう藍さん!」

 

 藍に感謝の言葉を掛けると、味方に思い付いた作戦を伝える。

 

「皆さん!聞いてください!ラーテを止める作戦を思い付きました!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ラーテ 戦闘室

 

 再び動き始めて5分程経ったが、敵が全く見当たらないので加藤は少し苛ついていた。

 さっさと倒して終わりにしたい、そう思っていた時、戦車道をしているときには聞き慣れない音が聞こえてきた。

 

「何この音・・・・・まさか、ヘリ?」

 

 外を確認してみると、ラーテの上を『カ号』が飛行していた。どういうつもりなのか、ラーテの周りを旋回しながら飛んでいる。

 

「・・・・・何なの?追い払ってやろうかしら」

 

「止めときなさい。あんな小さなオートジャイロじゃ、攻撃されても害は無いわ」

 

 巌原は相手にしないように言い聞かせたが、しつこく飛び回るカ号が鬱陶しくなってきたようで、加藤は巌原の言葉に耳を貸さず、カ号を追い掛け始めた。

 

「こちらカ号!こっちに食いついた!今から予定されたスポットに向かう!」

 

 カ号を操縦する水谷は()()()()()()()()()()、作戦を実行するために予定されたスポットに向かって移動を始めた。

 その最中に攻撃されないかヒヤヒヤしていたが、ラーテは攻撃すること無くカ号の後を追った。巌原は何か企んでいると察して加藤に尋ねる。

 

「あなた、何を企んでるの?」

 

「決まってるでしょ?カ号(あいつ)に案内してもらうのよ。あれは観測機よ、ついていけば敵の懐に潜り込める」

 

 ラーテを引き付けながら飛行するカ号は予定のスポットに到着すると、かほたちに合図を送る。

 

「今だ!今までやられた分ぶっぱなしてやれ!!」

 

 水谷の合図を聞いたかほたちは、ラーテに向かって一斉射撃を敢行し始めた。

 突然の攻撃に少し動揺した加藤だが、相手の戦車砲では攻撃が全く聞かないので、落ち着いて対処しようとするが、敵の配置を見た巌原はその攻撃に違和感を感じている。

 

「ねぇ、これおかしくない?何で敵は()()()()()()()()の?」

 

「さぁ?気にしなくても良いんじゃないの?さぁ行くわよ!ここで一気に・・

 

 その瞬間、車体が大きく左に傾き始めた!流石の加藤も突然の異常事態に慌て始めた。その時、巌原が何故こうなったのかを理解し、加藤に説明した。

 

「大和よ!『不沈艦』と言われた※戦艦大和が沈没した原因からヒントを見つけたのよ!」

 

「どう言うこと!?」

 

「大和は同じ箇所を集中的に攻撃されたことで撃沈した、相手もそれと同じ事をしている!この車体が傾いているということは、足回りがやられているわ!」

 

 巌原の読みは当たっていた。かほの作戦とはラーテの側面に集中攻撃をして、足回りを破壊することだ。

 

 ラーテの車体は、片方3本ずつの履帯で総重量千トンもある車体を支えている。その1本でも破壊されれば、重量を支えきれず履帯の少ない方から傾くので、このままでは横転してしまう。

 

「そう言うことね。でも、傾いてくれたお陰で狙いやすくなったわ!!」

 

 加藤は車体が傾いているにも関わらず、2連装砲でかほたちを狙った!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ラーテ 機関室

 

「皆さん!ありました!!コンピューターです!!」

 

 大型のディーゼルエンジンが動く機関室に、由香の叫び声が響き渡る。

 指を指す先には、旧世代の戦車には全く似合わない、箱形の電子部品が動いていた。

 

「・・・・・成る程、これだけデカいやつを搭載するなら、機関室の方が良いと言うわけか」

 

 赤坂(マガジン)はそう言うと、野外無線機でかほたちに「コンピューターを見つけた、これから破壊する」と伝え、持っていた拳銃でコンピューターを撃ち抜いた。

 銃弾を撃ち込まれたコンピューターは小さな火花を散らし、主砲は射撃寸前で停止した。

 

「何で!?今度は全システムが停止したわよ!?」

 

「・・・・・バレたのね。この戦車の秘密が」

 

「まさか、侵入されてたっていうの?」

 

「そうとしか考えられない。こんな図体してるのに、乗員はたった2人、この状態で出撃すること事態、馬鹿げた話だった。でも、これで良かったのよ。この戦車は、私たちには早すぎた」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ラーテを戦闘不能にさせることが出来た歩兵団は、ホハに乗って集合地点に向かっていた。由香は慣れない作戦行動に疲れたようで、少しぐったりとしている。

 そんな由香に、赤坂(マガジン)が労いの言葉を掛けた。

 

「ご苦労だった。お前の知識と観察眼のお陰だよ」

 

「いえ、私の知識が役立てられたなら幸いであります」

 

 赤坂(マガジン)が手を差し出すと、由香はその手を取って握手を交わした。

 握手を終えた時、宗谷たちが集合しているスポットに到着し、赤坂(マガジン)が『陸上戦艦の撃沈を確認!』と報告した。ラーテの驚異は去ったので、あとは通常攻撃でも何とかなるだろう。

 

 少し休憩してから出発しようと言った矢先に、周囲を見張っていた水原(ウッドペッカー)が叫んだ!

 

「敵戦車1輌目視で確認!ヤークトティーガーだ!敵の隊長車が目の前にいるぞ!!」

 

 宗谷たちはまさかと思いながら確認すると、確かに目の前にはヤークトティーガーが停車していた。

 ヤークトティーガーは、宗谷たちが気づいたと感づいたようで、すぐに走り出した。

 

「あ!奴が逃げるぞ!早く撃破しようぜ!」

 

 (ガトリング)に煽られるように言われ、他の生徒たちも『敵の隊長車を撃破出来る』という絶好のチャンスを逃がさないために、隊長の指示を聞かず、ホハを先頭に追い掛け始めた。

 

「ちょっと待って!ヤークトティーガーだけで私たちの前に来るのはおかしい!慎重にいかないと!!」

 

 かほは警告したが、他の生徒はその警告に耳を貸さず、ヤークトティーガーを追い掛けていった。「何か裏がある」ことは分かっていたが、このまま放置するわけにはいかないので、隊長車たちも後に続いた。

 

 ヤークトティーガーは敵の攻撃を受けながら逃げ続け、最後はKV-2の一撃を受けて白旗を上げたが、逃げたルートがあまりにも変だった。

 機動力は目も当てられないほど悪いのに、自ら追い込まれるルートを選んで進んだ。

 

 周りは戦車よりも背が高い建物が建ち並ぶ行き止まり、抜け道は幾つもあるがヤークトティーガーは通れない。ここに逃げてきたと言うことは・・・・・

 

「一体何やってんだお前ら!!そこは行き止まりだ!!しかも後ろから敵が接近しているぞ!!」

 

 空から見ていた水谷が敵の接近を知らせた。宗谷たちはすぐ逃げるために、来た道を引き換えそうと動き出した、その時だ!

 

『パパパパパン!!!』

 

 突如破裂音と白い煙が辺りを包み込み、周りが見えなくなってしまった!更に動けずにいるところに、敵の待ち伏せ攻撃が合同チームを襲う!

 

 突然起きた非常事態に、味方はほぼパニック状態に陥ってしまい、辺りを闇雲に砲撃し始めた。

 聞こえてくる砲撃が味方のなのか敵のなのか判別が出来ないので、かほは『砲撃を止めて』と叫んだが、パニック状態に陥っているので指示が全く通らなかった。

 

 このままでは戦況が悪化していくので、宗谷が空を旋回しているカ号に新たに指令を出す。

 

「水谷!!カ号を俺たちの真上につけて降下してくれ!!この煙を吹き飛ばすんだ!!」

 

「そうしたいが、煙がさっきの位置から広がっているせいで宗谷たちの現在位置が分からない!車載機銃を撃って知らせてくれ!!」

 

 宗谷は要望に答えるため、ガンポートから機銃を出して撃ち始めたが、砲撃の音が建物を通じてこだましているので空にいる水谷には全く聞こえない。

 水谷も機銃掃射の音を待っている余裕はないと判断し、高度を高めにして予想される辺りを飛び回った。

 

 煙の中にいる宗谷たちは、『見えない敵』からの攻撃に苦戦していた。こちら側からの攻撃は手応えがないのに、相手は容赦なくそして正確に攻撃してくる。

 合同チームは手応えの無い攻撃に焦り、見えない敵からの攻撃に恐怖を感じていた時、宗谷たちを探していたカ号が煙をはらった。

 

 漸く辺りが見えるようになったので見回してみると、各校の隊長車以外の戦車はほぼ全滅していた。隊長車以外で生き残っていたのは、M3、ポルシェティーガー、IS-3、ルクス、トータスの5輌だけだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

観客席

 

 観客席は、今まで起きたことがない異例の事態に騒然としていた。

 煙が辺りを覆ったので、事故でも起きたのかと言う声も上がっていたが、そう言った放送は一切無い。全てを見ていたしほが、ポツリと呟いた。

 

「・・・・・あの時と同じだわ。私が種島と初めて試合したときに・・・・・」




※解説

ラーテ

ドイツが考案していた1000t級の超重戦車。全長35メートル、全幅14メートル、高さ11メートル、装甲は最大で350ミリ。

主砲には『戦艦シャルンホルスト』の砲塔をラーテ用に改造したものを載せている。制式化すれば、歴代最大の戦車となっていた。

開発されなかった理由は、『戦地まで運ぶ手段が無い』、『重量1000トンという重さに、道路が耐えられない』。

『橋が渡れない』、『膨大な開発費が必要になる(敗戦色が濃くなっているなかで、超重戦車を造る余裕が無かった)』といった問題があったので、計画段階で終わった。


ラーテの導入は今回が初めてで、東京パンツァーカレッジが使用したものは殆どがコンピューター制御されていた。

本来は乗員40名が必要になるのに対し、コンピューター制御のお陰でたった2名だけで操作が出来た。乗員が行う操作は、操縦と射撃だけだった。


観測手(スポッター)
狙撃手(スナイパー)が撃った弾の着弾点を監視し、照準修正指示を出す役を担う。
また、観測手(スポッター)狙撃手(スナイパー)を兼ねているので、目標が姿を現すまで何時間も待たなければならないときには交代したりする。


MBT
主力戦車(MAIN(メイン)BATTLE(バトル)TANK(タンク))の事で、1945年から世代が確立した。

第1世代
避弾を考慮している『丸形の鋳造砲塔』を採用し、『ジャイロ式砲身安定装置』により走行中の射撃が可能になった。
センチュリオン、61式戦車など

第2世代
砲塔を丸形から『亀甲型鋳造砲塔』に変更し、『アクティブ投光器』による暗視装置を搭載して夜戦能力を得た。
M60パットン、レオパルト1など

第2.5世代
歴代で初めて複合装甲を採用、第3世代MBTより安価で製造が出来る。
レオパルト1A1、74式戦車など(74式は複合装甲ではない)

第3世代
ドイツ製の『ラインメタル社製 120ミリL44滑腔砲(かっこうほう)』を装備。これに加えて、一部の車輌を除いて『レーザー測遠機』を装備、そして破損時に交換が可能出来る『爆発反応装甲』を採用している。
M1エイブラムス、90式戦車など

第3.5世代
第3世代MBTをアップグレートしたものと、新規開発されたものに分けられる。複合装甲より強力な『モジュール装甲』装備、情報を共有可能な『車間情報システム(C4I化)』を搭載している。

改修によるアップグレート
既存の戦車を改修して延命を図っている。主砲、装甲、エンジン、光学機器、電気機器の改良を行っている。この改修により、重量が3トン~10トン増加した。
M1A2エイブラムス、チャレンジャー2など

新規開発
戦車技術の獲得、現用戦車の陳腐化、改修による能力向上の困難などの理由で新造された。

日本の10式戦車この世代に該当し、この時点で90式戦車は制式化から約20年、74式戦車は制式化から約36年経過していた。

74式は射撃管制装置の近代化、照準用暗視装置を搭載し、90式のようなサイドスカートを装備した『74式戦車改』への改修を検討されていた。
しかし改修は4輌のみで終わり、800輌以上配備された74式は、10式戦車と『16式機動戦闘車』の配備に伴って、年40輌ずつ退役している。

新規開発
10式戦車、メルカバMK4など

戦艦大和が沈没した原因
戦艦武蔵と戦ったアメリカ海軍は、中々沈まないので苦戦した経験を活かし、一点に攻撃を集中させて転覆させて撃沈することを狙っていた。


「今回もご愛読ありがとうございます!4号戦車通信手の武部です!」

「同じく砲手の五十鈴です。まさか一気に仲間が減るなんて・・・・・一体どうなるんでしょうか」

「大丈夫だよ!私たちが諦めなければ勝てるって!」

「・・・・・そうですね。諦めないように頑張りましょう!」

「読者のみなさん!感想と評価、宜しくお願いします!では、また次回!」
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