オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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201 終点、回送、折り返し

歴史を喰らい消滅させる力というのは、存在として不安定なイマジンに刺さる。

デスイマジンをタロス達と野上良太郎に倒させる下準備としてその他を消してしまえば、万に一つもあるわけもなく。

恙無く今年の敵対勢力は消滅した。

 

喉元過ぎれば熱さを忘れる、などと言うが。

総じて、今年はそれなりに平和な年だったのではないだろうか。

無論、少なからぬ被害者は存在するし、微細な歴史改変の影響は消えていないのだろう。

だが、派手な歴史改変になるレベルの破壊は特異点の力で修復される事で起きなかった事になったし、人口減少率も極端に低い。

表向きの記録としては、少し変わり種の怪人が少数暴れ回り、何事もなく警察に鎮圧、射殺されただけ。

最近は調子乗った後は素直に捕縛されるオルフェノクが増えてきていたので、その点では珍しがられるかもしれないが、その程度の話でしかない。

 

またしても人類は知らぬ間に勝利を飾ってしまった訳だ。

この地上の支配種族は伊達ではない。

……しかし、俺自身がそんな風に胸を張れる程の何かをしたかといえばそうでもない。

ライダーパスにガオウライナーなど、得たものはそれなりに大きいが、手応えがあったかといえば首を傾げる。

 

カイ率いるイマジン軍団からこの歴史を守り抜いたのが誰なのかと言えば、それは間違いなくこの時代の桜井侑斗と野上愛理だろう。

俺、いや、それどころか野上良太郎とデンライナーの面々ですら、かの夫婦の策略にいっちょ噛みした程度の話でしかない。

無論、その場合は多少の犠牲は増えたかもしれないし、俺はそもそもその多少が嫌で手を出しているのだが……。

 

勿論、謎は多く残る。

ゼロライナーの出処、桜井侑斗と野上愛理がカイの目論見と特異点の鍵についての知識をどのように得たか。

これは、正直もう探りようが無い。

二人は特異点ではなく、今、カイとその契約イマジンが消滅するという結末に至るまでにどの程度の改変を受けたかすら定かにはできない。

首謀者の片割れである桜井侑斗は消滅し、もう片方である野上愛理は桜井侑斗との繋がりを完全に失った。

 

ガオウライナーという自由裁量で動かせる万能のタイムマシンこそあるものの、過去と未来を行ったり来たりしながら活動していた相手の足跡を辿るのは地道で、なおかつ好奇心を満たせる以上の見返りも無い。

そもそも、ゼロノスカードを使い切って歴史から消滅した現代の桜井侑斗は歴史を辿っても痕跡を見つけるのは難しいだろう。

桜井侑斗目掛けて放流されて倒されたイマジンもまた、歴史改変を受けて別の理由で死んだことになっている筈だ。

 

歴史改変と時間移動を繰り返しながら戦うというのはそういうことで、この結末まで含めて分岐点の鍵を隠し通したのは、天晴と言っていい。

できれば、勝ったからには何かしらの形で本人達も報われても良いのでは無いか、とも思うが。

そう都合良く幸不幸の収支が合わないのもまた人生なのかもしれない。

 

事前知識の通りとはいえ、今年は知らぬ場所で知らん奴が立てた作戦にタダ乗りして勝ちを拾えた。

勿論、生き残ることが第一であり、そこに達成感を必要とするなんてのは心の贅肉というやつではあるのだが。

デカい障害を自らの手で殺して安心する、というのは、わかりやすい。

最後までモゴモゴと呻いていたカイが泡のように消えていく感触は虚無感を更に強めていた。

煮え切らない決着だ。

後悔の残る年だった、とまでは言わないし、別の決着が良かったかと言われるとそこまでではないのだが。

 

などと考えていたのは、どうも別に俺だけでは無かったようで。

数カ月ぶりに野上良太郎とサシで対面する事になった。

契約を持たない特異点である野上良太郎。

カイによる侵略戦争も終わっているので、あれやこれやと発言に気を使う必要もない。

少なくともこの場での出来事が未来に何らかの記録媒体に残ることも無いからだ。

 

とはいえ。

じゃあ俺から何か野上良太郎に言いたいことがあるかと言うとそうでもない。

今年のイマジンとの戦いありがとう、という程の感謝がある訳でもない。

感想戦をしようにも、今回のイマジンとの戦い、俺がハンドアウト4なら野上良太郎はハンドアウト3くらいの立場かな、くらいのものだし。

ありがとうというよりは良く頑張ったな、というのが素直な感想だし、俺の立場からそれを言う義理も無いしなぁ。

一応、お疲れ様会のようなものという事で、ここのコーヒー代くらいは出しているが。

 

「あの」

 

間延びした沈黙を破ったのは野上良太郎からだった。

彼が訥々と語り出したのは、カイとその部下のイマジンはどうなったのか、という疑問。

デンライナーの関係者に話すには明確な被害者としてハナさんが居て気不味く、オーナーは曖昧で持って回った言い回しをする。

そこで、イマジンと敵対関係ではあるが恨みつらみを持っていなさそうで、かつそれなりに事情に詳しそうな俺と話しに来たらしい。

 

なるほど、まぁ、かつて仮面ライダー電王という物語を外から観ていた俺からしても電王の設定周りは難解だった。

渦中で戦いながら情報を整理する間もなく戦い続けてきた彼が、全て終わった後に結局あれ何だったんだよとなるのも分からんではない。

俺自身が未だ時間と空間の法則を全て手中に収めているわけではない以上、かなりの推測を含む話になってしまう、という前提を言い含めた上で、一つ断言できる事がある。

 

「まず、カイは生きている」

 

えっ、と、僅かに腰を上げて驚く野上良太郎。

続けて、カイが再び歴史改変を仕掛けてくる事は無い事を告げると、すとんと腰を下ろし、続きを促してきた。

 

あの日、歴史改変に使える手駒を全て消費したカイは、自らが発生する可能性を作り出せずに消滅した。

というのが、世間というか視聴者の中でなんとなーく受け入れられている結論だと思う。

だが、これが不正解である事は物語の序盤も序盤によりにもよってデンライナーのオーナーから告げられている。

 

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オーナーの語ったこの特異点が共通で持つ特性から考えれば、カイの世界線乗っ取りの成否は、カイの存在そのものにはなんの影響も与えない。

それはカイのアナザーとも言えるハナが証明している。

なんとなれば、媒体によっては野上愛理が今後残された若い桜井侑斗と結ばれることは無い、と明言される事すらある。

特異点は一度発生したという歴史が存在したが最後、産まれた世界線が消滅しても消えることは無い。

歴史改変による影響を受けない、というのはそういう話だ。

だから、カイはあの方法では殺せない。あの方法では特異点は死ねないのである。

 

「じゃぁ、なんでカイは消えたんですか?」

 

「歴史が少し変わった結果、ハナちゃんがコハナちゃんになったでしょ?あれと同じ」

 

とはいえ、どう変化した結果消えたのか、というのは断定できない。

例え両親が結ばれる世界で無くてもハナが産まれる事が決まっているのなら、もはや何でもありだ。

新幹線理論すら必要無い。

だがそれもそうだ。

子供になる、産まれるのが遅くなる、というのがありなら、見た目は変わらないけど実は人格そのままに遺伝子は別物になっていてもケチを付けられない。なにせ見分けがつかないからだ。

なんなら産まれるのが遅くなり過ぎて受精卵とかそれ以前のものになって、その結果として泡のように消えたように見えた、というのもありえなくは無い。

 

「或いは、特異点で無くなる事で、本来産まれるべき世界線に戻った、とか、どうかな」

 

「特異点でなくなる?」

 

「仮説だけど」

 

特異点は歴史改変で消せないが、産まれたその日を消されると消滅する、という珍説を掲げていた男がいた。

実際、それは歴史改変に影響されない、という特性と矛盾するのでは?と散々言われ続けてきた訳だが。

だが、この歴史改変が特異点に向けられたものでは無かったとしたらどうだろうか。

特異点の産まれた日を消していたのではなく、特異点が特異点として発生した、という事実の側に歴史改変が刺さり、結果として特異点の特性が発揮される前に特異点が産まれた、というイベントそのものが消滅、結果として特異点が消滅したように見えた。

 

「でも、それも特異点への歴史改変になるんじゃ」

 

「特異点の発生と特異点と呼称される事になる個人の生命としての発生が別なら?」

 

特異点が如何なる存在であるか正確に把握する者はほとんど居ない。

生まれる前から遺伝子的に特異点になる運命があるのか、はたまた生まれ落ちた瞬間に特異点になるのか。

はっ、と、何かに気付いた顔で野上良太郎は呟く。

 

「特異点として産まれてくる歴史が消えて、特異点が特異点ではない人間として産まれてくる?」

 

そう。

そして、特異点と特異点でない常人の人生は大きく異なるはずだ。

何しろこの世界、必ずしも時が未来に進む訳でもなく、そこら中に歴史改変者が暗躍し、個人所有のタイムマシンが探せばざらにある。

微小な過去改変は日常的に繰り返されている筈だ。

デジャビュと呼ばれる現象も改変前の世界の記憶が流入した結果かもしれない。

物忘れと思っていたものは歴史改変に取り残された結果かもしれない。

そして、そんな世界で改変を受け続ける人生と改変を受け付けない人生は大きく変わっていく事だろう。

少なくとも、特異点の人生を追っていく方法では特異点で無くなった後の人生を追う事は難しい筈だ。

結果として、特異点は特異点で無くなった時点で元の特異点とは別の人生を歩んだ個人として別の場所に再配置される。

これを見て、ガオウは特異点を殺す方法であると勘違いしたのではないだろうか。

 

「そもそも、カイの不幸は特異点であった事だ。例えばイマジンはどこに行ったと思う?」

 

「消えた……わけじゃないですよね。カイの力で消えた世界から引き寄せてたんだから……」

 

カイのやっていた事は、Aさんが分かれ道を右に曲がった世界で、左に曲がった世界のAさんの精神を召喚したようなものだ。

自分の歴史を守るために未来から来た決死隊だなどと笑わせる。

カイが引っ張り出してイマジンに仕立てない限り、Aは右に曲がった世界線にしか居ない。

世界線が唯一無二である世界ならイマジンは存在しないもしもの世界の残像でしかないし、世界線が分岐するというのならなおのこと、平行世界に精神だけ連れて行かれたカイの人生とは無関係な拉致被害者のようなものだ。

 

「平行世界があると仮定するなら、カイは特異点として産まれなかった場合のなんてことの無い一般人として彼の世界でよろしくやってる。で、世界が分岐の無い一本の路線だったと仮定すると……彼のコンパチ存在に合流したと見るべきかな」

 

今後、ハナが何気なく会話の中で『私、そういう顔、してるでしょ?』くらいの事を言い始めるくらいの影響は出るかもしれない。

 

「うわ、うわぁ……」

 

カイ、消えた後は残滓としてハナに取り込まれた説、普通にあると思う。

死んだ死んでないを明確にしようとすると特異点歴史改変受けない問題が立ちはだかるからな。

というより、そう考えた方が少なくとも野上良太郎の精神面での負担は少ないだろう。

消滅したなら良し、特異点でない普通の青年として別の世界で生活してても良し、ハナに取り込まれてても良し。

どんなルートだとしても、奴がこの時代に対する侵略者として現れることはもう無いのだ。

 

「だから、そう深刻に考えることも無いと思うよ。勿論、気休めで言ってるだけだけど」

 

「気休め、ですか」

 

「そうそう」

 

カイや未来人である敵対イマジンの生死を気にしている風では無いが、野上良太郎はタロス達イマジンとの交流も持っている。

カイは自分の目的を告げる場面もあった筈だし、方法はともかくとして動機は否定されるような物でも無かった。

結果的に、一人の人間の道を閉ざしてしまったのではないか、という不安が出てきたとしてもおかしくはない。

 

実際、カイが生きているというのは気休めも良いところだ。

特異点ではない場合のカイが何処かの世界で生きていようが、カイの要素がハナに混入していようが。

未来からの侵略者、過去がないという空虚さに突き動かされ、別の時空を滅ぼし、自らも何処で消滅するかもわからないまま、過去も未来も持たぬが故に必死になることすら出来ないまま足掻いた男は、もう何処にも居ない。

それは結局のところ死んでいるのと大差ない。

 

たぶん、野上良太郎はその事実にうっすらと思い至った上で、気持ちの整理をつける為に、部外者である俺と話をしにきたのだろうと思う。

未来からの侵略者が死んでようが、何処かで別人として生きていようが。

彼はこれからもこの時代で生きていくのだ。

 

暫く、コーヒーを飲みながら時間潰しの為の他愛も無い世間話をして、ふと野上良太郎は立ち上がった。

時計はそろそろゾロ目を指し示そうとしている。

いい頃合いなのだろう。

 

「今日は、ありがとうございました」

 

「いいよいいよ。この後はデンライナーに?」

 

「はい」

 

ライダーパスを返却しに行くのだろう。

別に、このまま持っていても何処からも文句は出ない。

が、返しに行く。

真面目な男だ。

電車に乗ってぶらり途中下車の旅、という生き方ではないのだろう。

 

「それじゃぁ、また」

 

何処か晴れやかな顔つきでドアを開け、時の列車に乗り込んでいく。

扉を閉じれば、後は店内に流れる有線の曲だけが小さく響くのみ。

 

特異点野上良太郎は仮面ライダー電王であった。

彼の戦った敵、イマジンを率いるカイは歴史改変と自らの出生を願う特異点だ。

彼はこの世界の存続と、身近な世界の平穏の為に戦ったのだ。

 

戦士としてこれからも戦い続けてくれ、と願うには、彼の働きは十分過ぎる。

少し惜しい気もするが。

さらば野上良太郎。

今後はこの時代の脅威を相手に自衛しながら平穏に生きるといい。

 

―――――――――――――――――――

 

ところで。

カイがどうにかなっても消えないイマジンというのも存在する。

この時代で独自に記憶に残った個体とかが主になる。

カイが落ち目と思って時の砂漠に潜伏して好き勝手始める馬鹿などもそうか。

まぁ、今となってはイマジンの直接的な脅威というのも相対的に下がってはいるので放置してもいいのだけど。

 

カイは実質死んだ。

だが、残されたイマジンはイマジンでそれぞれ適当に悩みながら生きている。

ここにも一人。

 

「私は……無力……!」

 

ばしーん、と、悔しげな表情の難波さんが自室のテーブルを叩くとその袖から砂状霊的物質がばさばさと零れ落ちる。

難波さん謎イマジン憑依形態だ。

勝手に難波さんの肉体を乗っ取るなと言ってやりたいところだが、正直憑依形態でも普段の難波さんとそんなにかわらんので怒りにくい。

難波さん自身納得した上で憑依させているのだろうか、野上良太郎が乗っ取られてる時にある乗っ取られてる側の霊的副音声が聞こえない。

なんというか、特に理由はないのだが、難波さんも中で同じ悔しげな表情をしているのだろうなというのが何となくわかるのだ。

 

「私は、わたしはっ、炊き込みご飯にも劣るダメイマジンなんだぁっ!」

 

それは調理の仕方次第というか美味しさで良し悪し変わらんか?

そんな俺の内心を知らず、わっ、と机に突っ伏して泣き出すイマジン憑依難波さん。

霊的視覚でよくよく見たところ、二人のシンクロ率は非常に高く、イマジン側に勝手に肉体を乗っ取られてるというより、二人の心情が重なりすぎてるが故に自動的に憑依合体してしまっているように見える。

 

なんか、難波さんの戦闘反応が無かったからこの一年は平穏に生きてたものと思ったが、憑依したイマジンともども何かに挑み、力強く悔しがる程度には挫折を味わっていたらしい。

人生色々だ。

 

「何が目的だったのかは知らないけど、直接的に手を出さずに口出しするだけならそんなもんじゃないか?」

 

「もっとなんとかなったよ!私が、私にもっとやる気とか勇気とか意気地とか度胸とかがあれば……私のばか!臆病者、馬鹿愚か者ぉ……うぅ……乗りたい風に遅れる……まぬけ……」

 

それ全部無かったならいっそ過去に飛ばない方が良かったんでない?

いや、過去に飛んで何かをやろうという程度にはそれらが満ち満ちていたけど、それでも口出しだけで何かを変えるには不足していた、という事なのだろう。

足りないものを列挙する度、イマジンと憑依合体した難波さんの気持ちも重く重く沈み落ちていくようだ。

イマジン側の失敗にそこまで共感して落ち込むことができるなんて、流石難波さんは共感力が高い優しい人だ。

 

「なんでも良いけど、つまり目的は果たせなかったんだな?」

 

「うん……この歴史はもうダメ……私の辿った未来をそのままなぞるだけの、反省も躍進も無い、安定の道を進んで、引き出物のカタログの上に未開封のバームクーヘンを置いてソファに座り込んだまま一時間くらい着替えもせずに呆然とする未来が来るの……」

 

「そうか」

 

こいつの本来の時間軸で何がどういう悲劇が起きたかはわからんが、個人的な範囲をどうにかしたかった、というのはなんとなくわかった。

世界がどうこうならない小規模な範囲での歴史改変なら正直止める気も無いんだよな。

なんならデンライナー組ですらちょっとした歴史改変をちょこちょことやらかしてる訳で。

 

「そこまで悔しいなら難波さんと交渉して身体借りて直接的に歴史改変してきたら?」

 

「えっ?!」

 

「勿論、ヤバそうな歴史改変するなら止めるけど、なんか個人的な話なんだろ?それとも、その改変は俺やその周辺の未来に悪影響が?そこんとこどうなの難波さん」

 

『うぇぇ?わたし!?』

 

謎イマジンにシンクロしてる最中にいきなり話を振られたからか、難波さんの魂が少し身体からブレて憑依イマジンの如く肉体からはみ出た状態で狼狽える。

 

「聞いてるんでしょこいつの目的」

 

『きっ、聞いてるし、こいつが叶えに行く分には、良いかなっ、て、思う、けど』

 

霊体のまま両手の指先をイジイジと合わせながらそっぽを向いて控えめに肯定する難波さん。

一年くらい共にいたからか、イマジンの願いを叶えても良いと思えるようになった、という話なのだろう。

まるで野上良太郎とタロス達の如く。

なんかホントに今年は知らんとこで知らんイベントが無数に乱立してるな。

 

「はぁ?!それはちょっと話が変わってくるじゃん!人任せにするとか本当に心まで負け犬になったの?!」

 

『まっ、まだ私は負けて無いもん!』

 

「まだって言う辺りでもう心が負けてるって言うの!未来負け女!」

 

『もう負けてる既負け女に言われたくないですぅーっ!』

 

女性、恐らく女性同士の口喧嘩はテンポ感が早いなぁ。

双方に実体があったら掴み合い殴り合いの喧嘩に発展していてもおかしくはない勢いを保ったまま、何をどうするのかの具体的な名称は完全に伏せられた罵り合いが繰り広げられる。

そういえばイマジンとこういう関係性を築いていた特異点は居なかったなぁ。

いや別に野上良太郎も桜井侑斗も通年で監視していた訳では無いから画面越しに観ていた関係性しか知らんけど。

 

「丁度よくカイもその契約イマジンもいなくなったから、変な歴史改変で横入りされることも無いし、ちょちょいと改変しに行くか?」

 

ものによっては俺にとってセーフでもデンライナー側ではアウトみたいなのもあるかもしれんけど。

それは怒られが発生してから修整すれば良いだけの話だ。

そんな風に軽く考えていると、一通りわちゃわちゃした後の難波さんとイマジンが互いに複雑な表情で見つめ合い、再び憑依形態になる。

 

『「よ、よーし、じゃ、じゃあ、そこまで言うなら……」』

 

何故か憑依形態で俺の正面に立つ難波さん。

イマジン側がこの時代では中々見ないレベルで呪術その他に長けてるから多少危ないが、難波さんが許容してるからこちらを害する意図は無いのだろう。

もじもじ、じりじり、落ち着きなく身動ぎしながら、しどろもどろに言葉を紡ぐ。

 

「『あ、あのね、えっと、その、実は、わ、わたし……』」

 

「うん」

 

言葉の続きを待っていると、難波さんの肉体からしゅぽんと間抜けな音を立ててイマジンが抜け出した。

契約を果たしたイマジンの如く完全な実体化を果たした、というより、難波さんへの憑依を辞めた結果として時間移動形態としてのイマジンの姿に戻った、というところだろうか。

こうして砂状ではない完全体を見るに、イマジンとしてはとても珍しいわかりやすい女性型。

薄緑のドレス、いや、ロマンティックチュチュ?

それでいてイマジンのボディに落とし込んでいるからか華美さは控えめに見える。

モチーフはなんだろうか。

花嫁か、バレリーナ?

それにしてはちょい地味?

いや、そんなことはどうでもいいか。

 

『私は私の時代で、私の時間から現状をどうにかする事にしたから!この時代のことは、この時代で!解決してね!』

 

ビシッ、とこちらに人差し指を突きつけ、わけのわからん、何となく前向きに聞こえる台詞を吐く謎イマジン。

 

「はぁ、まぁ、お前がそれでいいなら、良いけど」

 

「えっ、ちょっ」

 

一年の間を難波さんと共に過ごし、こいつの中で何かが変わったのか、それとも最初から自分の手で時間を弄くり回すつもりは無かったのか。

時間移動者なのに殊勝な心掛け。

俺も過去に行くことがあったらかくありたいものだ。

なんだか難波さんは驚いているようだが、憑依する系の相棒との別れというのはどんなジャンルでも唐突なものだ。

かのマヨネーズ好きな古式魔法使いも相棒との別れはそんなんだった気がするし。

そういう意味では今年の難波さんは実に仮面ライダーをしている気がする。

 

『あと、けっ、Xデイは、なか……友人Nが仕事で来れなくなって、友人代表スピーチをする羽目になるから、本当に頑張ってね!頭が真っ白になって逆に感動の名スピーチが出てきちゃうから!円盤にされて配布されるわよ!バイバイ!』

 

最後に、難波さんにだけ伝わるのであろうよくわからん話を一方的にまくし立て、謎イマジンはバレエのステップの様な動きを見せてこの時間軸から消滅した。

恐ろしく高度な禹歩。

微塵隠れの術(ティルトウェイト)の本来の完成形、完全な武術呪術混合型時間移動術だ。

ワンステップだけで時間移動可能なのか、それともこっちに来るのと帰るのまで含めた複数ステップを異なるタイミングで踏んでいるのか。

 

いやぁ、本当に一年もかけて何をしに来たか分からんやつだったが、最後に良いもん魅せてくれたなぁ。

将来的に人類はその身一つで時間を支配し飛び越える事ができるようになるって言うんだから、未来は明るい。

我々もそんな未来に向かって日々精進していかなければな。

あと、

 

「す、スピーチ……感動の?わ、わたしが?」

 

ものすごく青褪めた難波さんは如何したものか。

本当にあのイマジンに何もされていないのか、落ち着いたら改めて聞き取りを行わなければ。

 

 

 

 

 

 




電王完結させるのにまる二年掛けたとかマ?

☆無言退場カイ
劇場版合わせで考えるとあの年の1月1日がカイの誕生日でそれをカイがイマジン砲で消し飛ばして消滅、と考えるのが丸い
丸いんだけど、コハナとかいう存在のせいで別に特異点が不変でもない事が明らかになってしまっているので別の形でカイは生まれているかもしれないし本筋であるハナの一部になったかもしれない
実際、歴史改変への耐性があるとか言われてるけど改変された世界に取り残されてしまう辺り実は欠点寄りの特異体質でしかないよなぁ
かといって哀れに思えるほど原作で殊勝な態度をしていないし、パーソナリティに掘り下げる部分が無いので会話パートが許されなかった

☆戦い抜いた上で綺麗にベルト返却エンドを迎えた原作主人公
イマジンとの戦いを終え、電王として戦う必要がなくなった野上良太郎がパスをオーナーに返してデンライナーを降り、自転車で走る良太郎を並走するゼロライナーやデンライナーからタロス達含むレギュラー乗員が笑顔で別れの挨拶をする(一部再会を約束する)エンディング、すげぇ大団円って感じで好きなんすよね
え?結局演者を変えて度々引っ張り出される?
続編を出せば売れるコンテンツの辛いところだなサム……
なおこの世界だと臨気に目覚めているため、やろうと思えば実はライダーパス無しでライナーフォームに似た姿に変身できる
修行の成果やね

☆追い詰められた結果として元の時代に逃げ帰り、ひとまずバームクーヘンを食べ始めた謎のイマジン
できらぁ!え?!この時代で代わりに告白を!?
一抜けぴ!
とりあえず泣きながら時間旅行に旅立った時点よりは前向きになれたらしい
憑依者である難波祝の記憶、バレエのジゼルより森の妖精ウィリを鋳型としたウィリイマジンとでも言うべき存在だが、ウェディングドレスを着ているとも言われる原典のそれと異なり、所謂結婚式に客として呼ばれた側が着ていくお呼ばれドレスと言われるデザインに落とし込まれている
名スピーチも収録されている式全体を記録した円盤は後に本来スピーチを披露する筈だった友人代表Nの手元にも届き、深い罪悪感を刻みつけたという
結婚されたからって諦めると思うなよ!というところまで半ばやけくそ気味に開き直ったので結果的にノーダメかもしれない
実は体内にある魔石の効果により寿命による死別待ちができるので今は負けてるけど将来的に勝つのではないかという学派も存在する

☆勢いイマジンと一緒に告白するつもりが直前で一抜けされた挙句に最悪の未来要素を一つ追加されて口の中カラッカラ
潤さなきゃ……(スピリタスグビーッ
青褪めた顔も血行が良くなるので合理的判断
実はアルコールは度数が高いほうが気化しやすいので短時間で酔いが覚めやすい
という言説を会社の飲み会で披露したら最近勧誘した葛城おじさんに滾々と説教を食らった
人材を集める才能がある
恋愛の才能?
恋人と呼ばれた時にその関係は恋ではなくなると言うので、つまり恋愛の才能はあるのでは?
だからたしかめたりしないでそっとこのままでいようとしてるんですね(1敗)

☆全て終わった後で諸々の顛末を双方から聞かされたグジル
くっそー、それ最後の無様なとこだけ見たかったわ
途中経過見てたらたぶん尻叩いてただろうけど
みたいな内心を押し隠してふーん、みたいなつれないリアクションで済ませた
やっぱ年上お姉さんルートが正史かぁと納得


終わった!電王が終わった!
劇場版とか拾おうと思えば拾えるけど、流石にキバに進みます!
キバは構成としてはシンプルなので電王編よりはスムーズに進行できたら良いですね
まぁ主人公が無制限タイムマシン持った状態で過去と未来を行ったり来たりする構成の話の二次創作をするので結局電王編と難易度は変わらない疑惑もありますけども
タイムパラドックスの話とかをそんなにしないのでキバ編はざっくばらんにいきましょう
その前に幕間とか挟むかもわかんないです
それでもよろしければ、次回も気長にお待ちください
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