オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
仕方がない事だ。
何しろ俺は前も今もほぼ平成日本の育ち、多少武道の経験を齧っていようが、人の死ぬ場面を見て狼狽えずに冷静に必要な行動だけを取るというのは難しい。
腹にアマダム抱えて、火のエルの力の欠片を抱えて、これから十年? 二十年?
恐ろしい話ではあるが、まだ戦いは始まったばかり、しかも俺の実戦経験ときたら恐ろしく乏しい。
時折出会すオルフェノクを無知な同種を装って不意打ちするか、運悪く道路脇の森の中に魔化魍や童子や姫を見つけて、力技で蹴散らして一時的に人に害を与えられないように散り散りの穢に戻してやるくらいのもの。
戦う為、狩猟の為に自分たちの肉体を、そして種族としての生き方そのものすら作り変えたような連中との戦いを同じに考えてはいけない。
正確に言えば、グロンギの戦闘能力や学習能力が恐ろしいという訳ではない。
いや、後の小説版を考えれば、その学習能力の高さは恐ろしいのだけど、それは今は別に問題にならないので気にしないでもいい。
俺も、ベルトを付けてから妙に勉強が捗るし、物覚えが良くなっている。
最終的に行き着く場所が同じなら、別のアドバンテージがある分こちらの方が有利ですらある。
問題となるのは、殺した後だ。
その他の脅威と比べて、グロンギは殺した後に残る被害が大きい。
ズやメですらクウガの封印エネルギーを叩き込んだ上で封印失敗すると結構な爆発が起こるし、ゴともなれば周辺一帯に被害が出る程だ。
逆に、クウガの封印エネルギーを叩き込まずに殺した場合、奴らは普通に死体を残す。
これは割りと珍しい。
どうやっても死んだら確実に爆発して消えるもの、灰になるもの、そもそも死なない、ガラスの様に砕け散る、などなど、大体の脅威は生々しい痕跡を残さずに消え失せる。
しかも、死に方によっては人間の姿を曝け出して死ぬ場合があるようで。
これが、割りと精神をすり減らす。
相手はどう考えても和解不能な狩猟民族、しかも狩猟対象は人間であり、狩猟の理由は食べるためですらなく、言ってしまえば宗教儀式の様なものだ。
現代日本では仮に彼等を捕縛して裁判にかけることができたとして、捕縛し続けておくだけの技術が存在しない。
有り体に言えば殺すしか道がない相手だ。
だというのに、死に際には人間の様に足掻き、苦しみ、人間と同じような死に顔を晒す。
最悪だ。気分が悪くなる。
まるで俺が情け容赦のない殺人鬼のようではないか。
いや、彼等から見ればそうなのかもしれないが、それが嫌なら殺人ゲームとかやめてほしい。
ああいう殺し方をした俺にも問題があると言えばある。
極論、爆発の被害で周辺が焼け野原になったとしても、俺自身にはそれほどダメージは入らないのだから、気にせず封印エネルギーを叩き込んでしまえばいいのだ。
が、身バレする可能性は決して低くないので、バレた時に罪に問われる様な派手な周辺被害を出すのはやはり問題がある。
殺すのは難しくない。
殺した後に気分を悪くしないのは難しい。
被害を出さず気分良く殺すのはもっと難しい。
ベルト、アークルを巻いて、腹の中にアマダムを抱えて、もう暫くの時間が立つ。
いい加減、アークルから伸びた神経が脳に達してくれてもいいのではないだろうか。
それとも、昔に聞いた最終的にグロンギと同じ戦うためだけの生物兵器になる、という話が間違いだったのだろうか。
あながちありえないとも言い切れないだろう。
容易くアルティメットフォームになれてしまうこのベルトの持ち主ですら、そうなる予感を感じたなら即座に自分諸共敵を封印する判断を下せたのだ。
聖なる泉が枯れ果てない限り、戦い続けるだけで頭グロンギにはならない様な最低限の安全装置くらいは搭載している可能性だってある。
或いは火のエルの力の欠片が原因か。
無限の進化を可能とするアギトの力が、アマダムが齎す肉体の変質を捻じ曲げている可能性だって無くは無い。
オルタリングだけを自力で発生させられないのが、単純に目覚め方が足りないのか、それともアマダムに干渉する為に力を使っているからなのかは、神ならぬ俺には判別することはできない。
理由はどうあれ、俺はまだ死に際に人間の顔を見せてくるという精神攻撃に対する防御手段を持っていない。
俺の心は困った事にまだ正常に、殺した相手の無残な死に顔に対して罪悪感を覚えてしまう。
オルフェノクの連中の様に、人間体の時に首を飛ばしても数秒で燃え始めてはっきりと表情を観察する前に灰になってくれる都合のいい相手ではない以上、自力でどうにかするしかない。
……という訳で、一つの案がある。
封印エネルギーを叩き込まず、なおかつ腹を割いてゲブロンを取り出す段階になっても、然程罪悪感を感じずに済むだろうと思われる戦法だ。
できれば、実際に罪悪感を軽減できるかどうかを試したい。
次の土曜日、二月の十九日、学校が終わったら、急いで東京に向かおう。
―――――――――――――――――――
二千年二月二十四日、木曜日、警視庁。
薄暗い合同捜査本部にて、長野県警捜査一課から出向してきている一条薫警部補は、一本の映像記録を繰り返し見つめていた。
逆光を背負い、九郎ヶ岳遺跡の発掘チームを襲う、未確認生命体第0号の姿。
薄暗い遺跡の中、苛立ちから当たり散らす様に発掘チームをゆっくりと殺害する様子は凄惨だが、光源の位置の関係から、被害者も加害者もはっきりとその姿を確認する事はできない。
『クウガァ……』
怯える発掘チームの声の中、はっきりと響く0号のこの言葉を除けば……。
「また0号のビデオか」
明かりも点けられていない合同捜査本部に、一人の男が入ってくる。
杉田守道警部補、対未確認案件における現場のリーダーとも言える男だ。
「原点に立ち返れば、何かが見えるかと思って……」
勿論、そう簡単に何かの手がかりが見つかるわけもない。
だが、何もせずにいられる様な事件でもない。
焦り、とはまた違う、義務感、使命感にも似た感情か。
「捜査本部が組まれて、三週間で七匹。その内俺達がやったのはたったの一匹。しかも、内一匹は行方不明。何時迄も四号におんぶにだっこじゃ、不味いよなぁ……」
疲れを含んだ言葉と共に、長机の上に新聞が数部広げられる。
一面はどれも未確認関連の記事だ。
『未確認生命体死亡』
『第十三号の死亡を確認』
『第四号を現場で目撃』
それらの記事を見て、狼狽えるように視線を逸し、第0号の映像を停止する一条。
そう、未確認の仕業と推測される殺人事件を除外した上で、はっきりと姿が確認された七号から十三号までは、その全てが撃破を確認された訳ではない。
内一体は、民間からの目撃証言と証拠資料として回収した数枚の写真から確認したのみ。
警察が確認できた物的証拠は、被害を受けたと思しきフェリーと被害者の死体、尋常ではない力で砕かれたタイルに、夥しい量の血痕。
これだけならまだいい、四号が完全に始末したというのであれば、それ以上の被害者は増えない。
だが、そうではない。
四号と交戦した、とされている未確認の内一体は、トドメを刺された上でなお立ち上がり、その姿を消しているのだ。
そして、一条は四号……四号に『変身』する男、五代雄介本人に確認を行っている。
四号と逃亡した未確認が交戦した二月五日、午後二時半の時点で、五代雄介は現場に向かっていない。
いや、トライチェイサー2000に搭載された警察無線を聞いて初めて『自分が新しい未確認と交戦した』という情報を耳にしたのだという。
となれば、この四号というのは、四号によく似た別の未確認の一体であり、いわばこれは未確認同士の仲間割れとでも言うべき案件なのだろうが……。
(似すぎている……)
一条の視線の先にある、新聞の一部。
『凶悪! 四号の本性か』
ゴシップ紙の様な見出しに映し出された、四号にとても良く似た姿の未確認。
記事の内容は、確認するまでもない。
現場検証にも当然立ち会い、一条もその有様を確認している。
未確認生命体十二号B。
警官隊の前で突如として自爆して見せた十二号Aとまるで瓜二つな姿の、現時点では同一個体と思われている未確認だ。
鼠のそれと似た身体的特徴を持つその未確認は、数名の一般市民を殺害した時点で、現場を包囲していた警察が呼んだ応援よりも早く駆けつけた四号に呆気なく撃退されたのだという。
だが、十二号Bは四号にトドメを刺された後も爆発する事無く倒れ伏した。
そして、十二号Bの死体に対し、四号は……。
これまでの未確認とも、そして当然四号、五代雄介とも異なる異常な振る舞いを見せたその個体に、一条は苦々しく眉を顰めた。
―――――――――――――――――――
同日、文京区内、喫茶ポレポレ。
時刻は八時三十六分。
仕事前に朝食を食べに来る客がはけ、客の居ない店舗の中で、一人の青年がジャケットと針と糸を手に黙々と縫い物をしていた。
ふと、青年の手が止まる。
手に持っていたジャケットには、古代種族リントの文明で戦士『クウガ』を現す古代文字が金糸で刺繍されていた。
それを窓から差し込む光に当て、一瞬嬉しそうに微笑み、しかし、直ぐにその表情を悲しげに歪めた。
「おうどうした、湿気た顔で……なんだそりゃ」
「おやっさん……なにって、クウガだよ、クウガのマーク」
声をかけられた青年、五代雄介は笑顔でおやっさんと呼ばれる中年の男、喫茶ポレポレのマスターに向き直り、刺繍を見せつける。
「くうが? くうが美子なら知ってるけどな、鼻の横に大きなほくろがあってよ」
「そうじゃなくて……」
と、笑顔で説明しようとした雄介の笑顔が曇る。
視線はマスターの読んでいた新聞のとある記事。
それに気付いたマスターは新聞を折りたたみ、雄介の頭を軽く叩いた。
「あいてっ」
「おまえ、そんなボケッとした顔で仕事する気か? ん?」
「おやっさん……」
「そういう時はな、外の美味しい空気でも掃除しながら吸って、気分を入れ替えてだな」
「ありがとうおやっさん! ちょっと桜子さんとこ行ってくる!」
にっ、と、快活に笑って見せた後、刺繍を終えたジャケットを羽織り外へと駆け出していく。
「おっ、ちょい雄介、雄介! 店の手伝い!」
―――――――――――――――――――
同日、城南大学、考古学研究室。
時刻は九時四十八分。
院生である沢渡桜子は、警察から頼まれていた古代文字の解読結果を、友人である五代雄介に教授していた。
事前に雄介に教えていたクウガのマーク、その表音文字での表記に始まり、この古代文字を使用していた種族、その種族を獲物として危害を加えてきた種族の名前まで。
解読はかなり進行していると言っていい。
だが、それでも全ての文字を解読し終えたという訳でもない。
「……二人目、とか、そういう文章は今のところ見つけられてないの」
「そっか」
「ごめんね」
「ううん、全然! もっと全体的に進めないといけないのに、無理言っちゃったのは俺なんだから!」
「いいよ。一条さんが居るんだから、どうせ警察からもその内聞かれただろうしね」
雄介が桜子に会いに来たのは、何もクウガのマークの刺繍を見せに来ただけではない。
勿論それもあると言えばあるが、雄介は四日前から、桜子にある調べ物を頼んでいた。
二人目の戦士、二人目のクウガの記述だ。
雄介は、自分ではない四号の話を耳にした時からその存在を疑い、四日前の事件からどうしても知りたくて仕方が無かった。
警察が無線で応援を呼ぶよりも早く現場に駆けつけられたのは何故なのか。
何故あんな戦い方をしたのか。
そもそも、自分と同じ姿を持つそいつが、自分と同じくクウガなのか。
「でも、この碑文からは見つからないんじゃない? リントの戦士じゃなくて、見た目が似てるだけの未確認……グロンギかもしれないし」
二人目の戦士が、人間の味方が居る、というのは、いささか都合のいい妄想のようにも桜子には思えた。
これまでの未確認との戦いで二度しかその姿を表さず、警察との接触を可能な限り避けて行動している様に見えるそいつは、少なくとも雄介と同種の人間ではないと思えた。
悪く言っている訳ではない。
仮に雄介と同じように古代のベルトを身に纏い変身するのだとして、正体が露見した場合のトラブルを避けようとするのは、逆に普通のことだ。
そうでなくても、桜子が新聞から得た乏しい情報から、その戦士の戦い方は異端に思えた。
情報規制の為に正確な状況は報道されてはいないが、その戦士に倒された未確認は、雄介が倒したそれと異なり死体を残す。
そして、その死体は見るも無残な程に破壊されてるのだという。
それは雄介とて承知している。
一条からある程度の事情を教えられている雄介は、桜子以上に謎の戦士の戦い方の残虐性に心を痛めていた。
変身を半ば解除された状態で背中を踏みつけ心臓を槍で突き刺し、挙句に内臓をかき混ぜられた七号。
そして、十二号に至っては更に不可解な事に、トドメを指す直前に『顔面を焼き潰した』のだという。
世界中を旅した中で、少なからず人々の争いも見てきた雄介でさえ眉を顰める様な痛々しい殺し方。
とても、平和な日本で暮らす人間がするような戦い方には思えない。
「でも、たぶん、俺達と同じだと思う。だって一回目は日曜日、二回目は土曜日の深夜だよ?」
「それだけ?」
「それだけじゃなくて」
七号との戦いを、遠くからカメラを使って野次馬していた目撃者の証言によれば。
四号と思しき戦士は、七号の腹部から何かを取り出した後、変身が解けた七号の顔に手を翳していたらしい。
黒いフードを被った七号の人間体の顔は、角度の関係で写真に収める事はできなかったというが。
まるでドラマで見た、死体の瞼を閉じる様な仕草にも見えた、という。
勿論、大きく距離を取った上でカメラの望遠レンズを使って見たものだし、瞼を閉じられたかどうかは、後に七号が徐に立ち上がり、海にその身を投げ、その後も死体が上がっていない事から確認のしようも無い。
だけど、
「信じたいじゃない。きっと、悪いヤツじゃないって」
クウガとは違うかもしれない。
でも、少なくとも二回目の十二号Bとの戦いでは、殺されそうになった警察官を無言で庇い助けもしたという。
残酷な振る舞いにも、死体を傷付ける行為にも、何か理由があるかもしれない。
少なくとも、人間に危害を加えようとするまでは、信じてみたい。
五代雄介という男は、希望を信じようと、そう思うことのできる男だった。
―――――――――――――――――――
結果として、俺の思いつきは想像通りの効果を発揮した。
人間体に戻って、人間の死体の顔を晒されるのは実に精神に来るものがある。
結局、変身後と変身前の姿である事に代わりはなく、謎の石の力で肉体を変異させた古代人……人間を殺している事に代わりはないのだけど、見た目の問題というのは心理的な影響力が高い。
人間を殺したと思うか、謎の怪人を殺したと思うかで、心に掛かる負荷は大きく変わるのだ。
死ぬと火葬せずとも灰になるような生き物は人間ではないと思えるし、そもそも生まれから人間でない連中とか、死に際に現実感が無い連中はストレス無く殺せる。
であれば、グロンギの連中もまた、人間の姿を晒そうとしても晒せなくさせてしまえばいい。
未確認生命体十二号B、ズ・ネズモ・ダ。
彼(人間体はまともに確認していないけれど、ボディラインと装飾の類から恐らく男だろう)が、ズ・グジル・ギと較べて力が圧倒的に弱く、恐ろしく早いという訳でも無く、戦いの巧者という訳でもない、とても戦いやすい相手であったのも幸運だった。
基本的に超再生能力を持つグロンギ相手には持久戦で徐々にダメージを蓄積させて戦うという選択肢はない。
故に、特定部位を破壊し、その破損状態を保ったまま殺害しようと思えばかなり手間が掛かる。
練習台としては実に都合が良かった。
基本はストーム、トドメにフレイムが基本になるか。
トリニティフォームが使えるようになれば、その状態で武器を一本づつ生成して戦う事でスムーズに事が運べるとは思うのだが、それは今後の練習次第だろう。
クウガには属性攻撃の様なものがないからグロンギの耐熱性が分からなかった。
が、少なくともズ階級のグロンギであれば、顔面にフレイムセイバーが突き刺さるし、その状態で思い切り気合を入れて火を出せば、頭を灰にする事はできなくても、消し炭同然にできる事も確認した。
直後にセイバーを引き抜いてゲドルードを切断、腹を割いてゲブロンを引き抜いたので、頭部を焼く事で殺害することができるかは分からなかったが、どうせズの耐久力で試した所で余り意味はない。
変身後の状態で焼いておけば、変身が解除されたとしても焼けた頭部はそのままなのは確認できたのだ。
ストレス無くグロンギを始末するには、どうにかして顔面を跡形もなく焼いておく、というのが、現状での最適解だろう。
ぴぴぴぴ、と、セットしておいたタイマーが鳴る。
時刻は夜八時半。
この空き地から家まで歩いて十分くらい。
だが、歩く速度を遅めに取ると考えれば、この時間がギリギリだろう。
進学が決まったとはいえ、まだ消化試合の様な授業もある。
重量バランスをストームハルバードに似せた木製の棒を袋に入れ、鍛錬を終える。
その内、フレイムセイバーに重量バランスを似せた木刀も使って一刀一槍の訓練もするべきなのか……。
何の鍛錬もせずにアギトやクウガの力を万全に使いこなせれば省ける努力だが、体を動かすのは気分転換にもなるから嫌いではない。
鍛錬は、嫌いではない、のだが。
「……はぁ」
空を仰ぎ、溜息を吐く。
周りに碌に街灯がないからか、光の粒をぶち撒けたような星空が広がっている。
二月も終わる時期だというのに未だに息は白いが、雪は殆ど積もっていない。
視線を下ろす。
「────」
雪も無い、星明かりにだけ照らされた、森の中の小さな広場。
その中に、黒い、或いは白い妖精が居た。
丈の長い、足元まであるような黒いダッフルコートに身を包んだ、『蒼白い肌に、くすんだ白い髪』の少女。
闇夜にぼうっと栄える色彩の体色をした少女は、切り株に座ったまま、薪の隙間から覗く火にも似た赤い瞳を、じぃっ、と、此方に向けている。
怒りでも、喜びでも、悲しみでも、楽しみでもない。
ただ、目の前に居るから見ている。そんな眼差し。
「『ジル』、行くぞ」
此方の呼びかけに、平静な視線を向けたままこくりと頷く。
ぐ、と、足に力を入れて立ち上がり、ひょこ、ひょこ、と、覚束ない足取りで近づいてくる。
互いに手が届く、という距離に達し、少女は、此方にタオルとコートを渡してきた。
「うん……ありがとう」
「────」
戸惑いながらも礼を言うと少女は、す、と目を細め、闇夜に浮かぶ様な白い顔に、薄っすらと笑みを浮かべた。
可愛い。
彼女の出自を知らなければ、素直にそう思えただろう。
受け取ったタオルで汗を拭き、コートを羽織る。
すると、少女の白い手がコートの袖を掴む。
指先でつまむのでなく、手全体を使って思い切り掴んでいる。
だがその握力は驚くほど弱く、振り払うまでもなく、少し俺が大きく腕を振っただけでするりと袖を離してしまうだろう。
仮に、仮に彼女の遅すぎる足に合わせず歩いたなら、彼女は家までの道のりの三分の一程で力尽き、そのまま倒れ込む可能性すらある。
杖代わりになってやらねば、今の彼女は長距離を歩き抜く事すら難しいのだ。
故に、鍛錬を切り上げる時間は早めに取るし、歩く速度はかなり抑えなければならない。
何故か。
これが仮に何かの喜劇であり、俺の思考がモノローグかなにかであれば、賢明なる観客の諸君はそう思うだろう。
内、何人かは『だろうな』などと、訳知り顔で嫌らしいニヤけ面を晒しているかもしれない。
だが、この世は舞台ではなく、俺の人生の、少なくともこの時間。
何故と問うのは俺であるし、だろうなと、この始末に諦めの感情を抱くのも、やはり俺しか居ないのだ。
因果応報。
だが、死んでしまえば、浮世の咎には囚われないのか。
それとも、死してなお許されぬからこそなのか。
ああ、神よ。
来年には超能力者狩りを、そして人間狩りを始めるようなのではない、居るかどうかもわからない真っ当な善なる神よ。
もう少し、こう……、手心とか、ありませんか。
少し、ほんの少しで構わないので。
生きていきやすい人生を、お願いしたいのですが。
☆顔面にフレイムセイバー突き刺して頭の中から炎で焼き潰して動かなくなった死体のベルトを腹部毎切断して内蔵掻き分けて魔石えぐり取るマン
戦闘直後は炎を吹き出す剣を片手に下げ、血塗れの手に持った謎の石をしげしげと見つめてなんか頷いてるとかどう考えてもお近づきになりたくないですやんか
精神的負荷を極力抑え、なおかつ再利用可能な可能性のある謎の力を備えた不思議アイテムを回収し、なおかつ周辺の建物一般人警察官の方々への被害を最小限に抑える為の戦法である
中の人は猟奇殺人犯かもしれないなどと言ってはいけない
自分への甘えと保身と周囲への配慮を絶妙なバランスで両立した現時点で恐らく最良の戦法なのだ
助けられた警察官も居るみたいだけどこの戦い見ただけで印象はマイナスに振り切れるのでは?
諦めて爆発を許容するか、封印した上でトドメを指す為に封印の練習をするかすれば幸せになれるかもしれない
そもそもゲブロンとか集めてどないするねんお前……使いみち色々ありそうだけど
そんなこんなで天罰として謎のアルビノ系ヒロインが生えた
現在ゲブロン所持数二個
☆マナーモード嫌いマン
五代雄介と協力関係になった後、科捜研の人に「彼女できた?」とか言われる人
グムン君撃破直後の五代と背中を預けて座り合うところはちょっと擁護できないレベルで狙ってるとしか思えない
フェリーの乗客はグジルこと七号の鰭撃ちパンチで破裂したけど、この人はくらってもぐぅっ、って唸った後にすぐ銃を構えて応戦できる疑惑がある
実はオルフェノクとかアギトとかグロンギとか鬼とは違う方向に進化した人類なのでは?
偽四号に対する印象は悪い
当然のことじゃないですかね
☆二千の技を持つ笑顔が素敵な旅人
クウガのマークの刺繍うますぎない? たぶんあれも二千の技の一つ
五代さんキャンプ飯とか凄く上手に作りそう
世界中旅してるんだから一度や二度は魔化魍とか海外組織の怪人と出くわしてそうだなって思う
でも海外に別のライダーが居たとして、彼等は彼等で戦ってるのを知ってるから、苦しいのも悲しいのもこらえて今日も拳を振るい、みんなに笑顔を向けるのでした
そんな笑顔を曇らせた顔面焼いて内蔵抉るマンとかいうのが現れたらしい
しかも姿は四号に似せてるとか……ユグドラシル絶対許さねぇ!(冤罪)
因みにグロンギを一年殺し続けてきた事が深い心の傷となり、その後十年以上放浪の旅を続けても心の傷は癒えない模様、詳しくは小説を読もう
そんな人の笑顔を曇らせたとか、ユグドラシル絶対許さねぇ!(誤認逮捕)
☆謎のヒロイン
この世界、人間なら誰でも死亡時に一回だけ引ける蘇生ガチャがあるんだけど……回してかない?
元ネタのキャラの画像を久しぶりに検索してみたら、この子目の当たりに青い炎みたいのがあったなぁって思ってこうなった
罪の証は死ねば忘れられるが、生きて隣に居ればそうそう忘れられない
立ち位置的に準備さえ整えればいつでも殺せるし場合によっては聖なる泉の底の栓を抜く係にもなれる
逆に延命処置もあるっちゃある
諸々の説明は次回やるって昔は毎回言ってた記憶がある
次回やる
やるとは言ってない
いややる
ヤッテヤルデス
でも本編時間すすめるのが優先な