ハイ、あけましておめでとうございます。
すいませんいそがしくて遅くなりました。祠チャレンジで忙しくて遅くなりました。おかげでハートが9個まで増えました。はいスイマセン。
--さーたん視点
あの後の放課後、俺は学園の片隅にある、あまり使われていないガレージに来ていた。別に趣味でここに来たわけじゃない。
「……来たか、遅いぞ佐丈晴明」
俺を見るなり険しい顔でそういう、件のインスタ女子……じゃなく、ドイツ代表候補生のラウラさんに呼ばれたのだ。
「どーもラウラさん。どしたんよ、こんなところに呼び出して?」
「しれたこと、来るべき織斑一夏との対戦に備え、作戦を練るのだ」
ラウラさんは真剣にそう言うが、俺としては彼女には何としても負けて欲しい。彼女の勝敗で俺の焼肉が決まるのだ。何としても負けるように誘導しなくちゃいけない。自分で言ってて最悪だと思うけどそれはまあいいだろう。
「んで作戦って、具体的にはもう何かめどはついてたりするの?」
「ふむ、時間的な猶予が少ないからな、なるべく短期間で済むものが良い」
確かにあまり時間はない。試合まであと一週間もないわけだし、そろそろこの章終わらせないと読者が飽き……じゃなくて、あまり準備に時間をとられるわけにはいかないしな。
「とにかく、手段は選んでられん。何としても織斑一夏を精神的に追い詰め、教官にはドイツに戻ってもらわねば」
「……ホント千冬様のこと好きなアンタ」
今までの言動でも感じてはいたが、この子の千冬様に対する執着は相当なものだ、崇拝してるとすら言った方がいいかもしれない。でもそのせいで千冬様本人はげんなりしちゃっているんだよな、面白いからいいけど。
「まあそれはいいけど、そんな都合のいい作戦なんてできるのかい?」
「それを考えたいから貴様を呼んだ。貴様は織斑一夏のことをよく知ってるだろうから、やつの精神を効率的に攻めるための情報を提供して欲しいのだ」
「えー、そんなこと言われてもなー……」
正直ISって点で言えばアイツの専用機、確か白式だかなんだかは弱点だらけらしいけど、織斑自身のメンタル面での弱点って言われると、あまり思いつかない。まあ俺はどっちかって言うとラウラさんには負けて欲しいから、正直にないって言えばいいだけだけど……
「……なあお前さん、俺の情報が欲しいって言ったけど、それが嘘だったらどうすんだ? 一応俺アイツの友達だし、アイツを勝たせるためにお前さんに嘘をつくかもしれないんだぜ?」
考えてみればこの人は曲がりなりにも従軍経験のある人だ。それもそれなりの地位にいた人らしいし、情報戦の心得くらい持っていても不思議じゃない。どういうふうに嘘を見破るのか、ここで確かめておいた方がいいだろう。
「ふん……その程度のことなら、既に対策は立てている」
そう言うとラウラさんは、おもむろに携帯端末を取り出し、少し弄り始めた。
「どうした、通知?」
「いや、それもあるがそうじゃない。貴様に見せたいリストがあるのだ……む、ミスド100円セールか、あとで行かねば」
結構思考ダダ漏れだなこのひと。軍人って情報漏えいとか無いようににそのへん訓練されるもんだと思ってたけどいいのかな?
……100円セールか、フレンチクルーラあったら俺も行こう。
「で、見せたいものとは?」
「言ったろう? 貴様を篭絡すると」
ああ、言ってたなそんなこと、もう忘れてたけど。前は花を贈ってくれたけど、今回はどんなことをしてくるのか……
少し楽しみに思っていると彼女は、俺に携帯の画面を見せてきた。画面には、何やらラウラんと同じ眼帯を付けた。かわいい女の子たちの写真が表示されている。
「それは黒兎隊の隊員たちだ。この中から好きな奴を選ぶといい。何なら私でもいいぞ」
「……え、ウソそう言う……?」
え、なに? 篭絡ってもしかしてそんな直接的なレベルの話?
……ラウラさんのあの顔を見る限り、どうやら本気なようだ。えー、花からいきなり段階上げ過ぎじゃない? 焦ってんのかしら?
「あのラウラさん。そう言うのはいくら何でもやめた方がいいと思うんだけど……」
「この非常事態だ、手段は選べんさ。それに彼女らには了承もとってある。貴様が心配するようなことはない」
「花の話はどうしたんだよ?」
「花とは飾るものだ。取引に使う物じゃあない。貴様が私のモノになった時、その証左として贈らせてもらうさ」
相変わらず意味不明にイケメンなことを言いながら、ラウラさんはさらにずいっと近づき、俺に写真を見せつけてくる。
「で、この赤髪のやつなんかはどうだ? エミーリアと言うんだが、なかなかに良いスタイルを持っているぞ」
「い、いや、いきなりそんなこと言われても……えーそんな簡単に、進んでんなー今の子……」
興味はある、興味は大いにあるが、そんないきなり言われても心の準備ができない。我ながらめんどくさい性格だとは思うが、童貞なので許してほしい。
「なんなのだ進んでるとかなんとか? 何の話をしているのだ?」
「え? いやだって、好きな子を選べって、そう言うことじゃ……」
「………ッ!」
ラウラさんは俺の言ってる意味に気づいたようで、顔を真っ赤にして怒りだした。
「ば、バカもの何を考えているのだ! 節操と言うものをわきまえろ!」
若干理不尽な気もするが、この反応を見るに、どうやら俺が考えていたような意味ではないらしい。ああよかったびっくりした、どうなることかと思ったよ。
……ちょっと残念……じゃない、全然残念じゃないうん……うん………
「……じゃあなんなんだ一体? 言っとくけど俺にも信念があるんだ、ちょっとやそっとじゃ揺るがないぜ?」
「む? 妙に強気だな……」
「まーね……」
先程は少し面食らってしまったが、誤解とわかった以上もはや恐れることはない。俺には焼肉という信念があるのだから……
「むう……勝ったら黒兎隊の縦セーター写真集をプレゼントするという程度じゃ、ダメか」
「俺ボロクソにするよ織斑のこと」
ゴメンナサイ千冬様、頑張ったけど、ラウラさんの篭絡にはかなわなかったよ。
これはしょうがないことなんだ、縦セーターには抗えない魔力があるのだから、どうしようもなく仕方のない結果なんだこれは。
「やってくれるのか?」
「ああ、策はあるぜ。だからこの子とこの子と……あとこのそばかすの子のを重点的に頼む」
「エミーリアと、ゲルトとヘルマだな。わかった伝えておく。して、策とは?」
「ああ、それだけど……」
周りに誰がいるわけでもないが、俺はラウラさんにより、耳打ちをして、作戦の概要を話した。
「……で……と……すれば……」
「ふむ、ふむ……なに!」
「と、こんな感じのを考えているんだが、どうよ?」
「パーフェクトだ佐丈晴明! 貴様は思った以上の逸材だった!」
どうやらお気に召してくれたらしい。正直不安だったから良かった。
「よし、じゃあ続きはミスドでやろうぜラウラさん!」
「ああ、早く形にしないとな!」
そう言って、俺たちは作戦をより効果的なものにするため、ミスドへと向かったのだった。
作戦が決まった。どうやら明日、早速決行するらしい。こりゃどうなるのか、俺も楽しみだぜ……後は普通にだべってドーナツ食って帰った。フレンチクルーラがまだあってよかったです。
--おりむー視点
「……ん、なんだこれ?」
ある朝のSHR前、自分の机に手を入れてみると、何やら小さいものが入っているのに気づいた。はて、いつも机は空にしてからにして帰ってるはずなんだが、何か忘れてただろうか?
「どうしたの、一夏?」
隣にいるシャルルが俺の所作に気づいたのか、きょとんとした顔をこちらに寄せてきた。ちなみに今日は何故か晴明を見ない、用事があるって言ってたけど何してるんだろう?
「いや、なんかあるんだよ俺の机に。なんだ……?」
もう少し奥に手をやってそれを確かめようとすると、いきなりべチャッという感覚が手を襲った。
「うわ!? なんだ!」
「だ、大丈夫、一夏!? どうしたの!」
「いや何かべちゃって……ん?」
ビックリした拍子に思わずそれが出てきたので、それが何なのか確認してみる。
……手紙の封筒だ。なんか中がこんもりしててベチャベチャしてる。なんだこれ汚いな……一体何が入って……
……カニだ。
「……一夏、何それ?」
「……わからん、かろうじてカニの身だということはわかる」
シャルルが俺が手に持ってるカニin封筒を見てどん引きしている。しょうがないね、俺も引いてるし。
……なにこれ、なんで手紙の封筒にダイレクトにカニ入ってんの? べっちょりしてるじゃん封筒が、封筒の意味をなしてないよべっちょりしすぎて。
「どうやら手紙は見たようだな、織斑一夏」
教室の扉の方から声がした。振り向いてみると、そこにはラウラがいた。やっぱりこの手紙はコイツの仕業らしい。
「……おい、何のつもりだよこれは。もはやなんて言っていいのかわかんないぞ」
「フッ……悔しいか、織斑一夏よ?」
「言いようのない不快感があるのは確かだよ」
ホントもう何この子? どういう経緯でこれをするに至ったの?
「それを寄越せ」
「え、あ、はい……」
それ……て多分、このカニ手紙だよな。処分してくれるならありがたいし、特に断る理由もないので言われるがままラウラに渡した。
そして渡したと思ったらいきなり破り始めた。ちょっと何始めたの意味わかんな……うわもう床も手もカニの汁でべったべたじゃねえかキタネエなもう……
「織斑一夏、こちらを向け」
「なんだよ一体……うわおい、なに俺の目に指こすりつけてんだやめ……カニ汁を付けるなカニ汁を!」
「お前を殺す」
「えぇ……」
『デデン!』
頭がこんがらがっていると、いきなり廊下の方からBGMみたいなのが流れてきた。またそっちの方を見てみると、何やら黒子のような奴がラジカセを持っている。
……あ、晴明だあれ。絶対晴明だアレ。わかった今回アイツの差し金なんだ。だってこんな意味不明なこと考えんのアイツしかいないもん。
「……おいどういうことだよ晴明、説明しろ」
「ほら織斑、『なんなのあの人』、『なんなのあの人』」
「言わねえよ! 意味わかんねえよホント今回!」
「フッ……」
ラウラはラウラで何でドヤ顔してんだろうか?
「今のは序の口だ。決戦を楽しみにしていろ」
そう言ってラウラは教室を出て、黒子(きっと晴明)と一緒にどこかへと去っていった。次HRなのにどこに行くんだアイツらは?
「……ね、ねえ、結局なんだったの一夏?」
さっきまでの一部始終を見ていたシャルルが何とも言えない顔をこっちに向ける。他の女子たちも何とも言えない顔をしていた。
「さあな……とりあえず」
「今度のトーナメント頑張らないと、て思ったよ……」
まるで現実から逃避するように、俺は遠い目をしながら、そんなことを呟いた。
--さーたん視点
「……やったなラウラさん」
「ああ、素晴らしいぞ佐丈晴明。見たか、やつの困惑しきった顔を? これで勝ったも同然だ!」
ホンット面白いこの人。ホンットマジ面白いこの人。まさかあそこまでノリノリでやってくれるとは思わなかった。
「それで、次はどうするのだ?」
「ああ、もう精神的ダメージは与えたからな。あとは試合に向けて準備するだけだ」
「何かやつを倒すのに有効的なものはあるか?」
「あるぜ、とっておきのが」
「本当か!」
「ああ……その方法なんだが……」
ひとしきり説明した後、ラウラさんは目を輝かせていた。どうやら相当気に入ったようだ。
「そんな技があるのか……ッ! すごいぞ佐丈晴明! それを習得すれば我々は無敵だ!」
「ああ、頑張ろうぜ!」
その日から俺は、ラウラさんにある能力を習得させるために、付きっ切りで修業に付き合った。トーナメント当日、どんな結果になるのか……俺自身予想がつかない。楽しみだ。
--きよたん視点
……タッグマッチトーナメント当日、私はかなと本音と一緒に、控室で座っていた。
これから試合に出なきゃいけないわけだけど、正直今の私たちには些末なことだった。
「……晴明君、最近ボーデヴィッヒさんとずっと一緒ね……」
かながポツリと、そんなことを呟いた。そう、かなの言う通り、ここ最近の晴明君は四六時中ボーデヴィッヒさんと共にいる。
ご飯を食べに行こうと言ったら、ボーデヴィッヒさんに話があると言って断られ、一緒に帰ろうと言ったらボーデヴィッヒさんと帰ると断られ、帰ってくるのは夜中の日付が変わるころ……ずっとボーデヴィッヒさんにつきっきりだ。
「緊急事態だよ~緊急事態だよこれは~!」
本音がうがーっと言った感じでそう叫ぶ、この子がこんな風に焦るなんて珍しいかもしれない。
「そうね、このままじゃ晴明君、寝取られちゃうわ……」
「ちょ、寝取りって……」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ~きよたん! さーたん、最近じゃ私たちとろくに会話もしてくれないし、さーたんこのままじゃボッチーに取られちゃうんだよ~!」
「だからそもそも私たちのじゃ……ボッチーて呼び方やめてあげよう、ねえ?」
まあでも、ここ最近晴明君と前よりも会話していない気がするっていうのはある。別にそれは寂しくない……わけじゃ、ない……けど………
「でも、それは飛躍しすぎじゃない? あの晴明君だよ?」
「あのさーたんがここまで1人の女の子の面倒見てるんだよ? あのめんどくさがりのさーたんが!」
「確かに、ここまで誰かと一緒にいるなんて、今までなかったわよね」
そう言えば……え、うそ、じゃあホントに……
かなが、私の不安をあおるように、大げさな身振りで話を続けた。
「おんなじ目標に向かって、共に努力する男女の2人……やがて2人には友情以上の恋慕が芽生えて……」
「そ、それはダメ……」
そう声を上げようとしたその時、後ろから声がした。
「やあ……皆さんお揃いで」
この声……晴明君だ!
「は、晴明君! ちょっと聞きたいこと……が……」
そこにいたのは晴明君だった。確かに晴明君だった。
ただ、後ろにやたらデカい、髪が天に昇っている人がいた。
「……さーたん、その人は?」
「……ラウラさんです」
なにを言ってるんだろうこのひとは?
「晴明君、ウソならもうちょっと考えてついた方がいいよ? あり得ないよ?」
「いやホントなんだよ清香さん。ホントなんだよ……」
『This way』
「ほらネイティブな英語喋ってる。絶対違うよ? ドイツ人だもんあの人絶対違うよ?」
「俺だって信じたくねえよ! こんなことになるなんて思わなかったんだよ! ハンターハンター貸しただけでこんなことになるなんて思わなかったんだよォおおッ!」
なにがあったのかは知らないけれど、とにかく彼らはどこかで間違えたのだろう。悲哀に満ちた晴明君の叫びが、控室に響き渡った。
『Follow me』
ちなみに凰様と嬢は攻撃されてないので普通にトーナメントでます。