脱線ばかりするIS   作:生カス

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次のサブタイどうしよう? イルカセラピーの話でも書くか


22話 ここに書くこと思いつかねえ

--さーたん視点

 

『非常事態発令! トーナメントの全試合は中止! 警戒レベル:甲と認定! 来賓と生徒の避難を最優先に! 教師部隊は鎮圧のためにすぐに配置について下さい! 対処できない場合はプランBを……』

 

 あ? ねえよそんなもん。と言いたくなる緊急アナウンスを聞き流しながら、えぐられた左腕を抑えて痛みに耐える。イベントあるごとに緊急事態になるけど、この学校祟られてんじゃないのか? ここの学校元々墓地だったとかないよな?

 

「晴明、大丈夫なのか、その腕?」

 

「大丈夫じゃねえから早く終わらせて医務室行きてえんだよ」

 

「……すまない、俺」

 

「謝りたいなら今度飯でも奢ってくれ、ステーキな」

 

「……そうだな、一刻も早く終わらせよう」

 

 状況を整理しよう。今目の前にいるのは、織斑曰く千冬様の現役時代のIS……確か雪片だかなんだかをコピーした、黒い何かだ。千冬様の現役時代がどうだったか俺は知らないが、さっきの動きを見ても、俺たちよりかなり強いことは明白だった。今はこっちの出方を伺ってるのか動かず、遠くからこちらを見ているだけだ。

 対してこっちはシールドエネルギーほぼ無しのが2人、代表候補生のシャルル君もいれど、彼女を顔を見ると、余裕のないことが伺える。どうしようもなく分が悪いのは確実だろう。そして何より

 

 

 

『ンーッ!ンンンーッッッ!!!』

 

 

 

 中の人(ラウラさん)がそろそろ本格的に酸欠になりかけてるのである。あの調子じゃ教師が救助に来るまで間に合うかどうかも怪しい。

 

「……とにかく急ぐぞ。このままじゃみんな死んじまう。特にラウラさん」

 

「なんで事の発端のあいつが一番窮地に陥ってんだ……」

 

 大体なんなんだあの機能? 何を思ってあんな機能加えたんだ。ドイツ軍の中にバラエティ番組のディレクターでもいるのか?

 

「うわぁめっちゃべコべコ動いてるとこある。あそこに口あるんだな」

 

「……プッゴメン織斑、こんな時に……ブッフゥ」

 

「腕ちぎれかけてんのによくそんな余裕あるね!?」

 

 そうだ、忘れかけてたけど俺の腕もえらいことになってるんだった。早くしないと俺の方が出血多量で死ぬかもしれん。まあそん時はそん時で別にいいけど。

 しかしどうするか。向こうはこっちが何かアクションをしたらすぐに動き出すだろう。さっきの動きを見た限りじゃ、あの機体は相当速い。俺たちの攻撃が当たらない以前に、まずこれ以上回避できるかどうかも怪しいだろう。

 

「……一夏、こっちに来て」

 

「シャルル……」

 

 シャルル君は何か考えがあるのか、織斑に近づき、手を差し伸べた。

 

「これから、僕のリヴァイヴのエネルギーの一夏に充填する。零落白夜がもう一回使える程度には、回復できるよ」

 

「いいのか?」

 

「短期決戦なら、僕が銃でちまちま攻撃するより、一夏が一気に決めたほうが良いと思うからね。それに何より……これは一夏がやりたいんでしょ?」

 

「ああ、すまねえ、わがままに付き合わせちまって……」

 

「いいさ、たまには男の子のわがままに付き合うのも、悪くない」

 

 そう言って彼女はリヴァイヴのケーブルを白式に繋ぎ、エネルギーの送信を始めた。

 

「でも、どうにかして零落白夜を当てる方法を考えないと。普通の方法じゃあれに当てるのは厳しいよ」

 

「動きを止める方法はないか?」

 

「残念だけど、僕の装備じゃダウンの1つも取れないよ。元々そういうのに長けた装備でもないしね」

 

 無理か……じゃあどうする? このままじゃ織斑の一撃は十中八九躱される。牽制じゃダメだ、賭けにすぎる。もっと直接的な……

 

「……はい、これで僕のエネルギーは全部だよ」

 

 そう言ってシャルル君はリヴァイヴのケーブルを外した。途端彼女のISは光の粒子となり消える。全部というのは本当らしい。

 ……ん、ケーブル? ケーブル……紐……ワイヤー……

 

 

 

 それだ

 

 

 

 と、思った瞬間、ISに通信が入った。山田先生だ、ちょうどいい

 

『さ、佐丈君織斑君、何をしているんですか! 早く避難を……』

 

「先生。この近くにデカいワイヤーってありますか? なるべくたくさん」

 

『は、はい? 何言ってるんですか! そんなことより早く』

 

「いいから!」

 

『ひっ!?』

 

 普段発さない怒号を発したからか、山田先生が怯えてしまった。それに関してはこちらも四の五の言ってる暇はないのだ。勘弁してほしい。

 

「……すいません、教えてください」

 

『え、は、はい……ワ、ワイヤーなら、補修用のものがアリーナのダクトにありますけど……』

 

「ありがとうございます」

 

『あ、ちょっと待ちな』

 

 山田先生が何か言い切る前に、俺は通信を一方的に切った。あとで謝っておかないとな……

 

「何か考えがあるの?」

 

 電話の内容を聞いていたのか、シャルル君は俺にそんなことを聞いてくる。

 

「ああ、今から説明する。まあ、でもシャルル君は逃げな」

 

「……わかった」

 

 自分にもうできることはない、それがわかっていたからか、彼女は少し悔しそうな顔をしながらも、すんなりと受け入れてくれた。

 

「そしてお前は道連れに死ね」

 

「酷くない?」

 

 うるさいよ。そもそも自分でやりたいっつったんだろが。

 

「それで、どうすればいい?」

 

「ああ、なに、簡単なことさ」

 

 

 

 

「腹を決めろ」

 

 

 

 

--

 

「……」

 

 遠方にいた敵から、濃い煙と、光のクズのようなものがが立ち上るのを見て、黒い何かは臨戦態勢をとった。それが目くらまし目的のスモークグレネードとチャフということはすぐにわかった。しかし黒い何かにはそれに対してむやみに突っ込むということはしない。

 黒い何かは剣しか装備しておらず、またそれで十分だった。煙から出て、攻撃してきたところを、潰しに行けばいい。実際黒い何かはそれができるし、その確信に足りうる能力も持っていた。

 

 

 

 だから、目の前のモノにも、微動だにしなかった。

 

 

 

 レーダーに映った1つのIS反応と、チャフがあれど、それが意味をなさなくなる程の、超高熱源反応。それが眼前に現れた。晴明のラファールだ。他の2人はいない、逃げたのだろうか?

 

「さすがにむやみに突っ込んでは来ねえよな……」

 

 晴明はそう呟きながら、しかし好機とばかりに最大限まで瞬時加速のための出力を溜める。瞬時加速のみにパラメータを振った。本当の意味での特攻機体だ。

 

「いいじゃん、楽しもうぜ」

 

 彼がそう言うと、エンジンの金切声はさらに大きくなり、そして

 空気圧の中に、彼は消えた

 

「……」

 

 迫りくる亜音速の物体、それは何かには避けられないのか?

 否、たとえどれだけ速かろうと、一直線のみの動きで、最初から来る方向がわかってるものなど、避けるのは造作もない。何かはすぐに回避し、迎撃ができる。

 

 

 

 

 それが点の攻撃ならば

 

 

 

 

「!」

 

 迫りくる無数のワイヤー。あれはアリーナの補強に使われている丈夫なものだ。それが晴明の四方八方に大きく広がっている。

 気づいた頃にはもう遅い、ワイヤーは何かに絡みつき、捕縛した。

 晴明が近くに着地、というより激突する。ワイヤーのために突き出した腕はひしゃげ、傷だらけになっていた。もはや痛覚も何もない

 

「オイオイオイこっちもかよ……さあどうだ?」

 

 使い物にならなくなった両腕をブランとたらしながら、晴明が得意げにそう呟く。これでもう何かは身動きが取れない、これでもう何かは無力化できた。

 そんなことは断じてない

 バキバキと、何かを縛っていたワイヤーが千切れる。それを見て晴明は絶句した。

 

「マジかよ……」

 

 黒い何かは晴明の方を見た、瞬間、猛スピードで突進してきて、剣を突き出す。

 

「! しまっ……」

 

 晴明は防御の態勢をとるが、遅すぎた。

 

 わき腹に剣が刺さる

 激痛が走る

 視界が一瞬だけ、真っ白になった

 

「うぐっ」

 

 そんなうめき声をあげても、何かは容赦しない、剣をさらに深く刺し、肉をえぐる。

 悪寒が走り出す、血を失い過ぎたのかもしれない、死ぬかなあ、それはそれでいいけど……晴明は、薄れゆく意識の中でそんなことを考えながら、呟いた。

 

「やっぱり、俺を狙ったな」

 

 何かは、晴明に刺さった剣を抜く

 

「向かってくる俺だけを見て、俺だけを狙ったな?」

 

 何かは、それを振りかぶる

 

「他に何もないと決めつけて」

 

 そして、とどめを

 

 

 

 

 

 

「なぁ、織斑?」

 

 

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 突然、真後ろ、もう1つのIS反応。振り返り迎撃に入る。

 が、もう遅い

 

 ザンッと、切れる音が、何かの身体に、衝撃と共に伝わった。

 

 一夏は隠れていたのだ、初めから晴明のISに隠れ、何かに近づいたところで離脱する。ワイヤーは捕縛用ではない。死角を作り、何かに一夏を悟らせないようにするためのものだ。スモークもチャフも全てはそのため、晴明のやっていること全ては、ブラフだった。晴明に完全に気をとられた隙に、近距離で一気に白式を展開、零落白夜で一気にかたをつける。作戦とよべるかすら怪しい。あまりに危険な賭けだった。

 黒い何かが倒れる。限界まで破壊された証拠だ。それほどまでに、零落白夜の威力が凄まじいのだろう。

 

「大丈夫か晴明?」

 

「これが大丈夫に見えるのかお前」

 

「なんだ……大丈夫そうだな」

 

 一夏はすぐに晴明の元に駆け寄り、安否を確認する。怪我は酷いが、いつものふざけた調子の晴明を見て、一夏は胸をなでおろした。

 2人は動かなくなった黒い何かを見て、フウッと大きく息を吐いた。倒したのだ、彼らが。方法やリスクはともかく、これだけのものを彼らは2人で倒した。

 

「もうちょっとマシなやり方なかったのかよ、俺お前のブースターで焼き殺されるとこだったぞ」

 

「うるせえよ織斑。いいじゃねえか、こちとら両腕お釈迦なうえにわき腹えぐれてんだぜ」

 

 一気に緊張の糸が抜けて、お互いにそう話している、その時だ。黒い何かが、また動き出した。

 

『が……ガガ……』

 

「「!?」」

 

 まだ何かあるのか? そう思って身構えた。その時だ

 バキンッと、黒い何かは真っ二つに割れて、その中からラウラが、倒れてる晴明のちょうど上に落ちてきた。

 

「イッタァ!?」

 

「晴明!」

 

 突然上にのしかかられるのは、無論傷口に良いわけもなく、晴明は再び激痛に苛まれた。

 

「……たく、最後までひやひやする」

 

「……はあ、大丈夫か?」

 

「ああ、とりあえず、医務室でゆっくり寝たい」

 

 そろそろシャルル君辺りが救護班を呼んどいてくれているだろう。そう思いながら、2人は立てる気力もないまま、けれど心はどこか落ち着いて、その場に寝転がっていた。

 

 

 

「う……」

 

「お、ラウラさん?」

 

「う、うう……」

 

「お、気づいたか、もうちょっと静かにしてろよ、すぐに先生方が来」

 

 

 

「ウオオロロロロロロロロ……」

 

 

 

「「……」」

 

 VTシステムの弊害か、または結構な時間無呼吸だったからか、ラウラは盛大にリバースした。晴明の上で

 

「……あの、晴明」

 

「……誰か、シャワー浴びせてくれ」

 

 出血多量で朦朧とする意識の中、晴明はただただ、眠たそうにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

--ボッチー視点

 

「……ん?」

 

 ここはどこだ? 暗い……夜なのだろか? 私は何をしていた? 確か、トーナメントで戦っていて、それで……

 

「!……つッ」

 

 体を少し動かそうとしたら、激痛が走った。力を込めても、体は痛いだけで、ピクリとも動かない。首から上だけが、かろうじて動かせる程度だ。

 

「ぐっもーにん」

 

 横から低めの声が聞こえた、男の声だ。誰かと思いながら、私は自分の顔だけをそちらに向けた。

 

「佐丈、晴明……」

 

「無理すんなよ、面会謝絶レベルの負傷らしいからな、俺もアンタも」

 

 負傷? 負けたのか、私は?

 

「私は……一体……」

 

「さーてな、なんか黒い何かに包まれてたけど」

 

「黒い?」

 

「ああ、織斑曰く、雪片そっくりらしいけど」

 

「!……」

 

 雪片、その単語を聞いて、私は自分がどうなったか、確信した。

 VTシステム、モンドグロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステム。IS条約で禁止されている、禁忌のものだ。

 なんでそんなものが私のISにあって、どうして、そんなものが発動したのか。

 ……どうしてじゃない、直感で分かっている。

 

「私が、望んだから……」

 

 あの人みたいになりたかった。あの人みたいになれば、誰にも置き去りにされないで済むと思った。誰も待ってはくれない。だから、誰よりも先に行くあの人みたいになりたいと思った。

 ……なにが強さだ、笑えもしない。私はただ、独りになるのがこわかっただけだ。誰にも見向きもされず、出来損ないのまま、独りで死んでゆくのがこわくて仕方なかっただけだ。

 

「どうしたラウラさん、何か言った」

 

「……お前は、怖くないのか?」

 

「え?」

 

 困惑の声色が聞こえる。私はなぜこんなことを彼に聞いているのだろうか? わからないが、ただ私は黙っていることができなかった。

 

「なぜおまえは、お前らはそういられる? 強大な敵を前にして、自分の死が迫っているにも関わらず、どうして笑っていられるんだ?」

 

 段々と、記憶がはっきりしてくる。そうだ、私は確かにVTシステムに呑みこまれ、彼らと対峙した。その時に見たのだ。四肢が壊れ、絶対的な差を見せつけられ、それでも笑って私を見た彼を。それでも私を倒した彼らを。

 

「私は、そんな風になれない……どうしても」

 

「……」

 

「どうして、そんなふうに笑える? どうやったら、そんなふうになれる?」

 

「……」

 

「教えてくれ、どうしてなんだ?」

 

「……」

 

 

 

 

「……クカー……」

 

 

 

 

「え?」

 

 ね、寝たのかコイツ? もしかして寝たのか? 今の問答が面倒くさくなって寝たのか? ウソだろ?

 

「……本当に寝ている」

 

 どうやら私の話を聞いているうちに眠気が襲ったのか、本格的に眠りについてしまったようだ。私の真剣な話は、どうやら子守歌代わりにされてしまったらしい。

 

「……ぷっ……はは、あははは……」

 

 なぜだろう、この人といると、自分が真剣に悩んでいたことが、酷く小さいことのように思えてくる。こちらは大まじめに言ってるというのに、なんて人だ。

 

「……大きいな」

 

 私の知ってる強さとはまた違う。別の何かを持っている男。その男の、寝返りを打ったいやに大きい背中を見ながら、私はどこか心地いいまどろみに落ちて、瞼を閉じた。

 

 

 

 

--さーたん視点

 

 翌日、教室にて

 

「……で、何か弁明はあるかな、晴明君」

 

「ラーメンマンみたいじゃないこの包帯?」

 

「は?」

 

「すいません」

 

 朝のSHR、俺は包帯まみれの状態で自分の椅子に座っていた。今回は両腕を包帯でぐるぐる巻きにしているのでマミーというよりはコサックダンスだ。

 それだけならいいんだけど、今俺は目の前の清香さんに問い詰められてる。横にはかなりんさんが暗い目でただひたすら俺を見つめてる。恐い

 

「……あとちょっと処置が遅かったら切断してたかもしれないんだって」

 

「いやーラッキーだったね♪」

 

「だったね♪ じゃない! もうちょっと考えて行動しようよ! ホントに死ぬとこだったんだよ!」

 

 清香さんが涙目になりながらそうまくし立ててくる。昨日面会謝絶で会えなかった分より心配してくれてたのだろう。他人にここまでの気を配る、この人は相変わらずお優しい人なのだ。

 

「……ホントに大丈夫なの、さーたん?」

 

 後ろにいた本音さんがそう聞いてくる。この人にも何気に心配かけてしまったようだ。

 

「時間はかかるけど治るってさ、現代医学ってすごいね」

 

 そんなこんなで雑談をしていると、山田先生が入ってきた。今日もタワワに揺れるそれを見て一日の活力を養おうとしていると、何だか山田先生がげんなりしているように見えた。一体どうしたのだろうか?

 

「え、ええと……今日は皆さんに転校生を紹介します。入ってきてください」

 

 転校生? またか。いい加減にしないとテコ入れがテコ入れじゃなくなるぞ。なんてことを考えていると、そいつは入ってきた。

 

「シャルロット・デュノアです。みなさん、改めてよろしくお願いします」

 

 ……ん?

 

「え、デュノア君って女?」

 

「おかしいって思った! 美少年じゃなくて美少女だったのね!」

 

「いやまだ私は諦めない! 女装少年という可能性に懸ける!」

 

 ざわざわとざわつく教室をしり目に、俺は織斑の方を見る。すると織斑も冷や汗を垂らしていた。

 

「……おいどういうことだこれは?」

 

「き、聞いてくれ晴明。昨日シャルロットと一緒に風呂に入ってて」

 

「天誅!」

 

「「うおおォん!?」」

 

 織斑から説明を聞こうとすると、箒さんによる恐らくそれなりに理由のあるだろう暴力が織斑を襲った。俺を巻き込まないでほしい。

 

「またんか一夏ぁ!」

 

「ウオオオ最後のガラスをぶち破れぇぇぇ!」

 

 そう言いながら織斑は廊下の方へとローリングで逃げる。

 

「いーちーかくんよぉー!」

 

 しかし廊下にいる凰様によりそれはかなわなかった。ここまで来て俺のニンジャ洞察力が解を告げる。どうせいつものハーレム騒動だろう。今回は多分シャルル君、いやシャルロットさん関連。

 

「ま、待ってくれ! 話を聞いてくれ、先っちょだけ! 先っちょだけでも!」

 

「問答無用!」

 

 この光景を見ていつも通りだなあと思う俺もだいぶ麻痺しているのだろう。とりあえず今日の昼ごはんは何にしようかな(現実逃避)

 

「……あ、そうだ、このありさまじゃあ箸持てねえじゃん」

 

「え、なにいきなり……」

 

「いや、今日のご飯どうしようかなって」

 

「ふーん……ま、まあ? よかったら私が食べさせてあげ」

 

「私が手伝いましょう」

 

 と、清香さんの声を遮って、いきなり死角の方向から声が聞こえてきた。何かと思って見てみると、そこにはラウラさんがいた。

 

 ただ、何故か俺に向かってかしずいているのが嫌に気になる。

 

「あの……ラウラさん?」

 

「……え、何、どういうこと?」

 

 清香さんたちも困惑してる。それもそうだ、いきなりこんな態度になっているのを見たら誰だってそーする。俺だってそーする。

 

「……私は昨日自分の弱さを知りました。そしてその中であなたの中に強さを見出したのです」

 

 え、何? 何語りだしてんの? なにそんなですます口調なのやめて? なんかすごく痒いから。

 

「躊躇なく友を助けるその強さ! 決して怯えぬその心! そんな(あなた)たちの行動に、漢をみました!」

 

 コイツ言ってて恥ずかしくないのか?

 

「最初はどちらの元で学ぼうか迷いました。どちらも強さを持っている……しかし、あなたの厚顔無恥なその振る舞いに、私は心動かされたのです!」

 

 コイツケンカ売ってんのか?

 

 

 

 

「お願いです! 私を舎弟にしてください、アニキ!」

 

 

 

「え……」

 

「「「ええぇぇぇ!?」」」

 

 驚愕する周りをよそに、俺は事態が飲み込めきれず、『ラウラさん昔のマガジン讀んだのかな?』と、見当違いなことを考えていた。

 とりあえず言えることは、

 

 

 

 

 今日、俺に舎弟(?)ができた、ということだ。

 

 




今回長くなりました。スイマセン……

活動報告で番外編のリクエスト募集しています。良かったらどうぞ。
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