ボクが百鬼夜行の主になったのは今から四百年前だった筈だよね。とはいえ、妖怪達を統一してから百年後くらいに『新しい体験してみようかなぁ』とか思って、仙人に成ろうと思った結果、天尊さんと意気投合して【大仙】って位を作って貰っちゃったんだよね。
まあ、位を作って貰っても神通力は使えなかったけどね。それで、
三百年ぶりの幻想郷in人里なんだけど………明らかにざわついてるよね。
…………もしかして、『ボクが何かやってしまったのだろうか?』そう思って人里の子達に近づいたんだけど、避けられてしまって心が傷付いた。
『どよ~~~ん』って感じの雰囲気だしてたら、昔ボクが作って、妹分に当たる神獣の子に渡した物を被った、妹分とはよく姿が見えないけど気配は一致するヒトが人垣を分けて此方に来てるんだけど、あの子なら嬉しいなぁ。僕はもう持たないし、そろそろ幻覚で取り繕くのも限界みたい。
「こんな処に屯しているとは、何事だ?」
あの子の声に似た、成熟した女性の声。
凛としてる声だけど、あの頃は何事にも吃驚してすぐに僕に抱きついてきた女の子が、まさか、こんなに立派に育ったなんて、嬉しくて、嬉しくて涙が出てきそうだけど、こんな人が溢れる道中で涙を溢すわけにはいかない。それに、最後に泣くなんてみっともない真似はできないからね。
「やあ、慧音。久し振りだね」
「………義姉さん?」
「色々と手間取ってしまった結果とはいえ、こんなに帰ってくるのが遅くなってごめんね」
「胸の傷は何ですか?」
「フェンリルに噛み穿たれちゃって、今は時間凍結をして一命を保ってるところかな」
「明らかに巨大な穴が空いてるではないですか! 義姉さんほどの実力を持っていながら何があったのですか!?」
「戦場に子供が迷い混んじゃって、その子を庇ったら噛まれちゃったんだ」
仙術・妖術・魔法・神通力・神力・霊力・陰陽術・呪術・薬学・氣術・錬丹術・錬金術を…………ボクが持つ全ての力の集大成と言える力、【
たぶんだけど、この傷を治せるのは、医術方面全てを網羅したスペシャリストしか居ないんじゃないかな? それでも怪しいけど。
「ごめんね。この傷は治せるモノじゃないんだ。だから、力が尽きる前に此処に戻ってきたんだけど、どうやら紫は歓迎してくれないみたい」
「戯言を吐いてるのはこの際置いておきましょう。今すぐに永遠亭に引き摺ってでも連れていくから、治ったら覚悟しなさいよ。私を含めた百鬼夜行全員で説教してやるわ。だから、説教が終わったら宴会を開くのよ。貴女が還ってきた祝いをしなくちゃならないの」
「…………はは。無理だよ。この傷は癒えることは無いんだ。フェンリルが死ぬ寸前に、呪詛を込めて噛み付いた傷だから、どうやっても治らない筈だよ。それに、治せたとしても迷惑かけちゃうから、ボクは死をえ「黙りなさい! 貴女は私達が責任を持って治すのよ。絶対に死なせないわ。貴女には私達百鬼夜行の全員が数え切れない程に迷惑をかけたわ。だから、迷惑なんて考えないで」…………ありがとう」
紫。君は妖怪の賢者って名乗ってるんだから、泣いちゃダメだよ。君が助けるって言うのなら、ボクは助かる筈だ。
だから、死ぬことを前提にした血からの消費から、生きることを前提にした血からの消費に変えなきゃね。
「紫。ボクが眠ったら運んでもらえるかな? ちょっとだて特殊な仮死化になるから。そうすれば、三年は少なくとも期限は延びる」
「わかったわ。絶対に死なせない」
本来なら、この方法は禁術なんだけどね。
天尊さんには許可もらってるけど、私が指定した禁術。
術名は【魂離仮死活生化】って言うんだけど、本来ならば幽々子に使った術の完成形だから術が切れることはないんだけど、今のボクは瀕死だから期限が決まってる。何よりも自身には効果が薄いんだよね。
皆。もし、治せたならすぐに術を解除するから、頑張ってね。僕も手伝うから。
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先月運び込まれた妖怪兼神兼仙人という歪な種族の女性のことは今でも話題となっているし、妖怪達や神々、月人を含めた大勢の者が協力すると言う異常な事が現在進行形で進んでいる。
最初に来た神は、太上老君という道教の祖神。次に来たのがギリシャ神話からゼウスとアテナが代表として来た。その次は北欧のオーディンとロキという異常な組み合わせ。その次は月に居る筈の天照や月読。他にも様々な神話から神々が協力に来た。
妖怪の方は、最初に天狗の長をしている天魔が最初に来た。その次は命蓮寺の尼、聖白蓮が来た。その次は紅魔館の吸血鬼、レミリア・スカーレット。その次は白玉楼の主人、亡霊姫の西行寺幽々子。その次は神霊廟の豊郷耳神子が頭を下げに来た。次は妖怪の賢者と言われる八雲紫とフラワーマスターと畏れられる風見幽香が
一番驚いたのが、天人の長と龍神の使いが協力を申し出たこと。
ハッキリ言って異常だと思っている。高々個人のために神話規模から一族、個人といった様々な規模の協力体制が組まれるなど、普通ではない。しかも、排他的な北欧神話に汚れを嫌う月人が態々地上に、しかも、妖怪を助けるために降りてくるなど、この私ですら思いもしない。
「コレは何なの?」
「彼女を助けようと協力している、神々や妖怪達、天人、妖精達が集めた薬草や霊薬、秘薬に神造薬の数々よ。彼女が助けた北欧の神々からは特に多く届いてるわ」
彼女が狂犬病に掛かった間抜けなフェンリルを殺したのは聞いているし、そのフェンリルに噛まれ、死にかけてるのも知っている。
彼女は私達を助けてくれたから、私も彼女を助けようと思っているし、死力を尽くして方法を探してる。…………が、決定的に足りない物がある。
彼女の魂が見つかっていない。しかし、彼女の身体は確かに仮死状態になっている。それを解けば身体はすぐに死に向かうだろう。
方法は見つけた。しかし、彼女の魂が何処かに行ってしまっている。
それを見付けなくては治療はできない。
「彼女の魂は何処に在るかわかるかしら?」
「魂が無い? ちょっと待ってくれるかしら。それは本当?」
「ええ、本当よ。彼女の魂が一月前から何処かへ消えているのよ。何か心当たりはあるかしら?」
「そうね。取り敢えずは今日の丑の刻まで待ちましょう。そうすれば、彼女が姿を現すわ」
「亡霊姫と関わりがあるのね」
「私の知っている術が完成しているのならば、生体機能を持った実体で姿を現す筈よ」
生体機能を持つ実体を身体とは別に魂のみで作り出す術。それは最早、著名な神話の主神クラスが、大儀式を行うモノの筈なのだけど…………
彼女は一体何を目指しているのかしら?
丑の刻になって彼女が現れたら、治療を始めましょうか。
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ちょっと待って!
なんで紫は兎も角、永琳が目の前に居るのかな!?
「一つ良いかな?」
「どうぞ」
「なんで永琳が幻想郷に居るの?」
「貴女が責任放棄した竹林に隠れ住んでいたから。と言えば理解できるかしら?」
仕様がないと思うんだけど…………
だって、あの竹林幾ら進んでもマトモに奥に進めないし、何よりも彼処に行くと面倒事があるって僕の勘が告げてたから、僕は紫に適当に任せただけだから、紫が調べれば良かったんだと思うなぁ。なんて。
「そ、ひょうだね。だ、だから、その笑顔やめてほしいなぁ。なんて思うんだけど、ダメかなぁ?」
「どんな笑顔かしら? こんな感じかしらねぇ?」
…………怖い。どのくらい怖いかって言うと、寝起きに松岡●造が布団に入っているくらい怖いよ!!
「今はそのくらいにしなさいよ。治療を始めるわよ。早く身体に戻って仮死化解きなさい」
「わ、わかった! ね、ねぇ、紫。説教は後で良いよね? ね?」
「治療後に病室に行くわ。覚悟なさい」
どうしよう。死んだ方が良かったかもしれない。
紫の説教だけなら良いんだろうけど、【魂離仮死活生化】する前に百鬼夜行全員で説教って言ってたから、華扇や藍、紫に幽香、さとりや昴………直ぐ上げられるだけでも6人は確定してるよぉ。
「え、永琳は説教しないよね?」
「ええ。
勿論するわよ」
「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」