UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
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拾陸: 闇の魔法使いと不死身衆

閉じた視界の中、時折聞こえる破壊音と打撃音、そして、不気味な魔力。 桂香は全身の傷が徐々に癒えていくのを感じながら、スウッと瞼を開いた。 開けた視界に眩い光が射し込み、右手を翳して陽を遮る。 そして、瞳を下に向けて、下半身が定着したかを確かめる。

少し、下半身に切り傷などは残っているが、戦うことに支障をきたさないと理解し、起き上がる。

 

「・・・少し、体が重いが問題ないか」

 

桂香は手のひらを開いては閉じてを繰り返し、又は首を鳴らし、腕を回し、伸びをして呟く。刹那、銀色に光る剣閃が襲い掛かった。 それを、展開させた障壁で防ぎ、がら空きの腹部へと掌底を放つ。ズドンッという打撃音と骨の軋む音が響く。 そして、南雲の口から血が吐き出され、壁に激突する。 桂香は眼前に移動し四肢、そして鳩尾に拳を叩き込んだ。 が、既にそこに南雲の姿はなく、背後から衝撃を喰らい、壁が崩壊する。微かに鋭い痛みが襲うが、直ぐに、体制を整え背後の南雲に蹴りを叩き込む。 それを刀に防がれるが、両手を地面に置き、体を支えて左足で刀を打ち上げ、右足で更に蹴りを放つ。

 

「・・・クッ!?」

 

「・・・(ヤクラーティオ-)()投擲(フルゴリース)

 

左手を支えに右手を地から離し、雷槍を放つのと同時に起き上がる。 雷槍は南雲の左腕を穿ち、ちぎれる。 しかし、ちぎれるにしては音がおかしい。 それは機械のチューブを引きちぎるような音だ。

 

「・・・義手」

 

桂香はそのちぎれた左腕を見やり呟く。 対する南雲はその腕を無理矢理繋ぎ止め、計四つの剣閃を放った。避ける場所を完璧に防いだ剣閃を、桂香は剣で全て弾き返す。 そして、四本の剣を射出する。 それら全てには、それぞれ属性の違う魔力が込められている。

 

雷、風、氷、炎。 四つの属性を魔力で形成された剣に込めた魔法『四行(クァトゥオル)()星剣(ステーラ)』。 桂香が編み出した彼だけのオリジナル魔法。 威力は既に創造主で検証済みだ。

 

「・・・その程度か、少年」

 

「・・・まだだ」

 

桂香は白と黒のリングによって形成された長い銃身を構え、膨大な熱量が込められた魔力の砲撃を放つ。南雲はその熱量のエネルギー弾に驚くが、すぐさま、その場から飛び退く。 目標から狙いの外れた砲撃は建物を数軒貫き、崩壊させる。

 

「・・・威力は高いが、まだ甘い」

 

南雲は桂香の隣にトンっと降り立ち、刀で右腕を切り落とした。

 

「・・・これで魔法は使え・・・!?」

 

「-- 白雷掌」

 

桂香は右腕の断面を南雲に押し当て、叩き込む。膨大な量の雷が迸り、

 

「ぐぬぅ!?」

 

あまりの雷の強さに南雲は苦鳴をあげる。 その隙を狙い、桂香は右手を定着、そして、

 

「-- 拘束(バインド)する()戒めの鎖(カーテナ)

 

南雲の全身を絡めとった。 魔法でも魔法アプリでも解除することの出来ない桂香お手製の魔法だ。

 

「ふぅ、刀太の方は無事か?」

 

桂香は南雲から、刀太と狼の方に視線を移す。 しかし、そこには狼ではなく一人の男性がいた。 バンダナを巻いた男だ。 桂香は彼についている傷や構えから理解する。

 

「人狼族か」

 

桂香はそう呟く。

 

人狼族とは、人でありながら狼の血が流れている者の事だ。 そして、二人の戦いに決着がつく。 時だけでなく世界をも置いていくような速さで刀太に近づいたバンダナの男の腕が胸部を貫き、その手には心臓が握られていた。刹那、刀太の背から漆黒の不気味な翼が二翼現れた。 更に邪悪な魔力が刀太を中心に膨らんでいく。

 

「いや、待て、灰人!! おい、貴様! あの男を仲間だと思っているなら、今すぐあの男を止めろ!」

 

 

 

鎖で縛り付けられたままの南雲が、桂香に向かって叫ぶ。

 

「・・・〈剣帝不刀(グラディネラ)〉」

 

南雲の言葉に返事もせずに、歪で不気味な剣を顕現させ、無詠唱で闇の魔法を発動、術式礼装『剣帝の破王』を身に纏う。

 

「--星天(グラディネラ・)屑剣(ステーレ)

 

桂香は、闇の魔法で暴走した刀太に容赦のなく剣を放つ。刀太は灰人を放り投げ、射出される剣達を拳で弾き飛ばす。 そして、獣のような咆哮を発して、桂香へと襲い掛かる。 しかし、刀太がどれだけパワーアップしていたとしても、攻撃はすべて大ぶりでパターンも同じものばかりだ。 桂香は全ての攻撃を受け流し、時に刀太の胸に手を当て、闇の魔法の力を吐き出させる。 これは桂香が編み出したオリジナル魔法。 闇の魔法に対抗するための魔法。 対象の闇の魔法を逆流させ外に放出させるものだ。

 

「・・・これで、眠れ。 刀太」

 

桂香はわ闇の魔法を放出されすぎて動きが遅くなった刀太の顎に白雷掌を叩き込み、昏倒させる。 刹那、刀太の体から発せられていた不気味な魔力は消え去り、それを確認した桂香は術式礼装を解いた。

 

拘束(バインド)する()戒めの鎖(カーテナ)

 

桂香は刀太と灰人を拘束する。

 

「そちらも終わったようですね、桂香」

 

「夏凛、無事だったか」

 

桂香はこちらへと声をかけてきた夏凛の方を振り返り答える。 その後、九郎丸とルキが合流し、南雲と灰人をサイボーグと同じ場所に閉じ込め、借りた家に刀太を運び床に寝せる。

 

「これで今回の仕事は終わりか? 夏凛」

 

「えぇ、そのはず--」

 

途端、外の方で大地を揺るがすほどの爆発音が響いた。 桂香と九郎丸、夏凛の三名は外に出ると、そこには化け物がいた。 見た目は子供のような姿、しかし、少年から発せられる雰囲気は化け物そのものだ。 少年は桂香達を見つけると、三日月型の笑みを浮かべた。

夏凛、九郎丸はおろか桂香までもが、冷や汗を浮かべ、ゾワリと背筋を撫でられるような感覚に陥る。刹那、少年の姿が消えた。

 

「・・・こんにちは、そしてさようなら。 お姉さん」

 

桂香と九郎丸の間にいた夏凛の眼前に現れた少年はそう呟き、小さな弾丸を腹部へと叩き込んだ。 刹那、夏凛の体を丸い球体が覆い、収縮されていき、夏凛の姿が消滅した。桂香はすぐさま、拳を少年に叩き込む。 が、その拳はたやすく受け止められ、逆に頬を蹴り飛ばされる。 爆発音が響き、頬を中心に爆発が起こった。 少年は更に、反応に遅れた九郎丸の両眼に指を刺し視界を奪い、続けて両手をへし折り、引きちぎる。 そして、九郎丸を地面に叩きつけ、頭に足を乗せ、引きちぎった腕の断面から流れる血を飲みだす。 その姿はなんとも不気味で吐き気の催す光景だ。

 

「あ、そうえばお仕事を忘れてたよ」

 

少年は九郎丸の身体を容赦なく踏んづけて、吹き飛んだ桂香の元へと瞬間移動をしたかのように目の前に現れる。 そして、桂香の腹部へと手を差し込み、指をその中で動かす。 まるで何かを探しているかのように、ほかの臓器を気にすることなく掻き回していく。

 

「あ、あったあった!」

 

少年は無邪気な笑みを浮かべて、桂香の中から何かを掴んだまま引き抜いた。 桂香はその何かが分からなかった。 それは黒い石のようで、それは禍々しい謎のエネルギーを発しており、それは生きているかのように鼓動を鳴らしていた。 途端、桂香は体内を熱が炙るような感覚に襲われる。喉が焼け、腕が燃えるように熱くなる。頭が割れそうで、全身が破裂しそうなほどの痛み。

 

「・・・な、なにをした?」

 

「さぁ? なんだろうね、お兄さん♪」

 

少年は、ニッコリと微笑んで手に握る何かを懐にしまう。 そして、桂香の頭を掴み、

 

「不死身とはいえ、頭を潰されれば再生出来ないよね♪」

 

握りつぶさんと力を込めた。 刹那、少年目掛けて、氷で形成された槍が飛来した。 それは1本だけでなく、何百本も降り注ぐ。 桂香は焼かれる痛みに襲われながら、氷が放たれた方に視線を移すとそこには、怒りで顔を歪ませた史上最悪の闇の魔法使い:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。 そして、桂香の前に三人の不死身衆(ナンバーズ):真壁源五郎、飴屋一空、宍戸甚兵衛が立っていた。

 




さてさて、刀太覚醒に、雪姫及び不死身衆三名が参戦しましたね!
この貧民街の話はもう少しだけ続きます。

それではまた次回に!!







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