UQ HOLDER! ~闇の福音と空虚の不死人   作:瑠璃色伽瑠摩@氷蓮雪乃
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今回は、貧民街にいたにも関わらず、出番のなかった夏凛と戦っていたあの男が出てきます! さて、そろそろ、フェイトとの戦いも迫ってきたわけなんですが、フェイト編が終わり次第、一話分だけ、夏凛と桂香ふたりのお話を投稿したいと思います。

それでは本編どうぞ!


弐拾参: 影を操る刺客 現る

桂香達3人は、九郎丸、夏凛、飴屋から離れた場所にあるビーチチェアに腰を下ろして先程の桜雨だけが知るIF世界での出来事とフェイトの件について話していた。

 

「それで、フェイト・アーウェルンクスは俺と刀太を連れ去ったのか?」

 

前屈みでビーチチェアに座る桂香は、グラスに注がれたオレンジジュースをストローで吸う桜雨に尋ねる。

 

「えぇ、けどアイツはあなたの事だけは僕の物だと言わなかった。 確か、あの娘の物って言ってたわ」

 

「・・・あの娘?」

 

「それしか分からない。 けど、恐らくあんたを知っている女だと思うわ」

 

「俺を知っている女・・・あいつか、雪姫か。 それともヨルダ・バォトか、いや他の創造主か? その条件に当てはまる奴が多すぎて絞れないな」

 

桂香はズキッと痛む頭を押さえながら、答えた。

 

「まぁ、分からないのは仕方ないことよ。 それよりも今はフェイト・アーウェルンクスからあんた達を守る作戦を考えないと」

 

「それもそうだな。 だが、飴屋、夏凛、俺、刀太の四人で挑んで敗北したんだろ? お前だけが知るIFの世界では」

 

「えぇ、完全なる敗北よ。 あの時、私が完全に石化していたら、終わってたわ。 全てが」

 

「おい、ちょっと待ってくれ! 全然、話についていけないんだけど!? 俺がじいちゃんの孫だから、フェイトとかいう奴に連れ去られるのか!? どういう理由でなんだよ!」

 

船に乗ってから一向に話についていけなかった刀太は我慢の限界と言わんばかりに、自身の中にあった疑問を吐き出した。

 

「そうえば、理由は知らないな。 桜雨、どうして奴は俺達二人を連れ去ろうとする?」

 

「そんなの知らないわよ。 でも、あんた達を連れ去るということはどうしても必要な理由があるんじゃないかしら。 例えば、この世界を滅ぼすための鍵があんた達とか」

 

桜雨は仮説を立てる。 その仮説はUQホルダーだけではなく、全人類にとって絶対に成し得させる訳にはいかない計画だ。これが本当であるならば、全戦力を持って、桂香と刀太を守られなければならない。 それが例え、不死人最後の命が尽きるとしても。

 

「まぁ、そんな仮説は信じたくないけどね。 そろそろ目的地に着くわ。 いい? 前回と同じ様にアンタ達二人は私と路地に向かうわよ。まず、フェイトの前に解決しておきたいことがあるから」

 

「他にもあるのか?」

 

「えぇ、と言ってもそれは三人になってから話すわ」

 

「お〜い、三人とも? 目的地に着いたから船降りるよ」

 

先に船から降りてこちらに手を振り声をかけている飴屋に、今行く、と返答して桂香達は船から降りた。

 

アマノミハシラの近くにある駅。桂香達三人は前回と同じく入港手続きに向かう九郎丸・飴屋とわかれ、人気の少ない路地に居た。

 

「で? もう一つの問題はなんだ?」

 

「そうね、けどその前に質問。 あんた達は前回の私の死に方を覚えてる?」

 

「あぁ、首を切られて死んだ」

 

桂香は自身の首に親指を当て、短剣で首を裂くように左から右へと手をスライドさせた。

 

「そう、あれは変な暗殺者による一撃よ。恐らく相当の手練と見ていいと思う」

 

「ん? って事は、そいつのせいでお前は7回も死んだのか? けどよ、それなら俺を早いとこ連れて帰ればよかったじゃねぇか」

 

「やろうとしたわよ! 桂香は私の能力を理解しているから連れて帰れたけど、アンタだけは毎回それを振り切ってすっ飛んでったんでしょ!! この猪突猛進バカ!!」

 

「えーと、なんか悪い」

 

刀太は桜雨の怒りにバツの悪い顔をして謝る。 その時だ。 桜雨の背後の建物から、黒色の全身タイツに黒髪をして片目に眼帯を付けた男性が元からそこにいたかの様に現れた。桂香は未だ気づかずに桜雨から説明を受ける刀太の間、その中心めがけて剣を一つ射出した。 キィッンと金属音が響き、剣が弾かれる。

 

「うわぁ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

刀太と桜雨が悲鳴に似た声を上げる。 だが、桂香はそれに目もくれずに、再び剣を射出するが、それも弾かれる。暗殺者が持つ得物は大きく湾曲した刀身に指を入れるリングの持ち手が特徴的なポケットナイフ。それで剣を弾くのだから相当の手練だ。

 

「刀太、桜雨を守れ」

 

「あ、あぁ!」

 

まだ状況に追いつけない刀太に桜雨を任せ、桂香は無詠唱で魔法を発動する。 途端、彼の両手を覆うように星屑で形成された剣が姿を現す。その星屑の剣から尋常ではないほどの冷気が発せられている。路地の周りだけが極寒の地へと変わった様な寒さに、刀太、桜雨、暗殺者の三名の体が震える。その中で暗殺者は狂気じみた研究者のような笑顔を浮かべる。

 

「くひ、ははははははは!! 凄い! これ程に、死を感じる魔法は久しぶりだよ!くひ」

 

暗殺者は、おもちゃを買って貰った子供のように瞳をキラキラとさせて叫ぶ。対する桂香はそんな暗殺者に襲いかかる。 一撃、二撃と叩き込む。 だが、暗殺者はそれを楽しそうに躱す。しかし、六撃目が暗殺者のナイフに当たる。 桂香はすかさず地面へと叩きつける。 暗殺者は尋常ではない力に圧っされ、背から地面に強打する。桂香は倒れた暗殺者の首に短くした星屑の剣を押し当てて尋ねる。

 

「お前は誰だ? なぜ桜雨を狙う?」

 

「そういう君は空洞桂香だね? いやあ、お見事。 さすが南雲のおっさんをやっつけただけはあるねぇ」

 

「質問してるのはこっちだ。 早く答えろ、お前は誰だ?」

 

桂香は短剣を握る手に力を込めて、更に地面に暗殺者を押し付ける。

 

「お〜コワイコワイ、分かったよ。

僕はP(民間)M(軍事)SC(警備)S(会社)(パワフル)()(ハンド)』隊員、(チャウ)星仔(シンチャイ)

夏凛ちゃんと()らせてもらった者だよん」

 

男はヘラヘラとした顔で名乗る。 桂香は、『力の手』の名前を聞いて、納得する。

 

「夏凛と戦った人形遣いか?」

 

「影使いって言ってよ。 え? 君、夏凛ちゃんのご同輩なの? いいな〜」

 

「おい、桂香! 早くそいつを倒せ!」

 

状況を理解したらしい刀太が桜雨を背に守りながら叫んだ。 桂香は短剣を首に添えたまま、返答する。

 

「言われなくても分かっている。 お前は桜雨をしっかりと守ってろ。 それに、こいつに尋ねたいこともあるからな」

 

「僕に尋ねたいこと? それって、何のことかなぁ? 君が知りたいような情報はないと思うけど」

 

「それは俺が決めることだ。 いいから答えろ。 お前が桜雨を狙う理由を」

 

「いやなに、愛しの夏凛ちゃんがここに来るって聞いて挨拶に来たんだけど、途中で君達不死身衆(ナンバーズ)を見つけてね。 君達と一緒に歩いてたその子も不死身の化け物なのかなーとか思ったら、ゾクゾク来ちゃって抑えがきかなくってさ、『つい』だよ『つい』」

 

超星仔はニヤッと笑い答える。 頬が微かに朱に染まり興奮しているのが見てとれた。 その姿に桜雨はビクッと身体を震わす。

 

「・・・なるほどな、俺が言うのもなんだが、イカレてるな、お前」

 

「僕がイカレてる? くひ、はははははははは!! 君、面白いこと言うねぇ。 けどさぁ、僕は別に自分が異常だなんて思ってないんだ。 むしろこれが正常だよ、僕にとっては」

 

「相当イッテるみたいだな、クズが」

 

「はははは、そろそろこのままというもの疲れてきたから、早く終わらしてもらうよ」

 

超星仔はそうつぶやくのと同時に、自身の影の中へと消えていった。 この時、桂香は握る短剣を投擲しようとするが、そこで気づく。 あの男の首にあてがっていた短剣を握る腕に、彼が持っていたナイフが突き刺さり、地面に縫い止められていた。 それにより、剣の投擲を諦め、腕に刺さるナイフを引き抜く。 しかし、その動作の間に、超星仔の暗殺は完遂する。但し、それが桂香と刀太だけしかその場にいなかった場合だが。

 

「甘いなぁ、近衛刀太君と空洞桂香君。 やはり不死人さんは詰めが甘い」

 

超星仔は桜雨の首筋にナイフをあてがい、ニヤリと笑う。

 

「ぐ、てめぇ!!」

 

「おっと、近衛刀太君。 君が動けば、この不死身の化け物を殺しちゃうよ?」

 

とても楽しそうに快楽を求める暗殺者は告げる。 その時だ。 超星仔の肩を誰かが叩いた。

 

「ん? だ--」

 

振り向く瞬間、暗殺者の腹部に拳が叩き込まれる。 鈍い音が響き、超星仔の体が宙に浮く。 そして、腹部を殴った男、飴屋は、フッと口元に笑みを刻み、

 

「お兄さん、ウチのお姫様に手を出してもらっちゃ困りますね。 高くつきますよ」

 

刹那、何十発という拳が超星仔を襲った。 容赦も躊躇いもない一発一発が一外科必殺並みの威力の高速の殴打が炸裂し、トドメと言わんばかり、吹き飛ぶ超星仔目掛けて目からレーザーを放った。 そして爆発し、男の姿は跡形もなく消え失せた。





前書きに書いた通り、フェイト編、終わり次第、桂香と夏凛ふたりのお話を一話分投稿します。 と言っても、すぐに出せるわけではありません。 というのも、話はまだ考えてないからです。 とりあえず、貧民街編とフェイト編の間の話とだけは言っておきます。

それでは、また次回に!!







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