その要因となった王妃イグレインを中心とした悲劇の物語。
私の別作品
アーサー王の息子に生まれたが救いが無い件について
の裏設定的なものです。
また、設定の一部変更でモルガンはゴルロイスの娘になっており、ウーサー王に義理の娘として認知されていることをご了解ください。
ブリテンの王権たる王妃イグレイン。
副賞にして象徴たる彼女を妻にすることが、当時のブリテンにおける王の絶対必要要素であった。
彼女の美しさとその権威に目が眩み、故に魔術師マーリンと共に、
ブリテンと世界の平和と支配を夢見たユーゼル王、またの名をウーサー王。
アーサー王の父親たる彼は、マーリンの手を借りて、イグレインの夫であるゴルロイス王へと姿を変えて、
同じく姿を誤魔化したウルフィウスとマーリンを従えてイグレインの寝室に入り、彼女と夜を共にした。
だが、彼が子種を放ったその時、マーリンの術が解け、イグレインは絡み合った相手が夫の宿敵であった事を知った。
悲鳴を上げて座り込むイグレインに、ウーサーはゴルロイスの首を持ってこさせて見せつけた。
心が壊れかけた状態で、マーリンによって無理矢理命を絶つことを封じられて子を産んだイグレインは、
死ぬ事も出来ず、夫の敵の子を産まされた絶望を呪いの様に嘆き、そしてモルガンと言うゴルロイスとの間に生まれた娘を育て上げた。
そしてモルガンは母親の悲しみを作った義父ウーサー王と弟アーサーに何時の日にか復讐する事を誓った。
彼女は本来、第2のイグレインとして、ゴルロイスの系譜を継いで夫となる男性と共に、
ブリテンを祝福する役割を奪われただけでなく、母親の嘆きの元へ復讐を決意するほどに優しい少女だった。
また、モルガン達はイグレインの娘として、また、彼女達が
それがどういう意味を持つかは敢えて此処では語らない。
だが、それも彼女の憎悪の一因であったことは間違いはない。
かくして母親と姉達に望まれぬ、そして新たなブリテンの支配者たちに望まれた次代の王アーサーは、
漸く、せめて自分の子であるからには愛そうとイグレインが思った矢先にイグレインの元から引き離された。
これには、マーリンとウーサー王による、愛情の無い母親の元には置けないという判断と、
そして次代の王となるに必要な要素を、マーリンがアーサー王の養育を委託させた相手の元で間接的に教えるにあたって、実の親の存在が邪魔になった事が起因していた。
しかし、ウーサー王もアーサー王には次代の王としてしか期待をしていなかった事を鑑みれば、
イグレインにとってすれば、最早悲劇を通り越した狂劇であった。
そんなイグレインの嘆きを慰めるのは彼女がゴルロイスとの間に作った子供達だけだった。
そしてマーリンによって母体の中から影響を受け、母体から出ては彼に委託を受けた者に育て上げられたアーサー王は、
父親と同じように国王の箔付となる女、ギネヴィアを妻とした。
優しさや友情はあったにせよ、知らず知らずのうちに、国の為に、夫の為に妻を犠牲にした先王の血を引いていたアーサー王に耐えきれず、
遂にはギネヴィアはランスロットの優しさに溺れ、彼と共に国を棄てる事になった。
それは、アーサー王自身が国の中核となった時においては影響は少なかったとはいえ、
その時代の王権の
王国の滅亡を決定づける
彼女との間に、子供が生まれ、そして生存していれば、
もしかすればブリテンは存続したのかも知れない。
何と言うか、ウーサー王とマーリンは割と屑っぽいかもしれません。