七月に入ったら七夕ウィーグが始まるのだ、翌日の八日だって七夕みたいなものだろう!(謎理論)
ま、例の如く時間を蹴倒しての投稿です。
短い&速攻で書いたので細かいところには目を瞑って下さい。
では、どうぞ。
昔の人はロマンチストだ。
暗闇に光る数えきれない数の星々に形を与え、物語を与え、願いを込めた。
それが星座。
そして今日は七月七日の七夕の日。
織姫と彦星が年に一度だけ会う事を許された優しくも悲しい一日。
まぁ、そうなった原因は二人にあるのだから悲しむのは少し違う気もするけれど、でも、いい加減許してあげてもいいんじゃないかな?
「ゼシカ、短冊に書くお願い事は決まった?」
「えっ!?う、うん!決まったわよ!」
手にした長方形の紙を、隣に立つ彼に見えないよう後ろに隠す。
なんでも、誰が書いた願い事なのかが分かると叶いにくくなるらしい。
単なる噂ではあるけれど、どうせなら叶う確率を少しでも高くしたい。
「あっ…ごめんね、確か見ない方がいいんだったっけ」
「そ、そうそう。だからあなたのも見えないようにしてね?」
「うん」
彼は微笑んで頷くと、目の前にある葉竹の裏に回り込んで私に見えないように短冊を掛けた。
「確か、高ければ高い位置ほど叶いやすくなるんだっけ?」
「ヤンガスが言うにはそうらしいよ」
「また微妙なトコロね…。まぁいいわ。今回は信じてみましょう」
「あはは、ゲルダさんも言ってたし大丈夫じゃないかな」
「そうなの?なら問題なさそう。
っと、あなた?何か、踏み台みたいなのって無かったかしら?どうせならてっぺんに掛けたいんだけど背が届かなくて」
「ああ、それなら…ちょっと待ってね」
そう言うと彼は反対側から私の側まで来て。
「え、ちょっ!うわわわ!」
「よっ、と。どう?これで届きそう?」
「え?あ、と、届くわね。ちょっと高過ぎるくらい…じゃなくて!」
置き場のない脚をばたつかせる。
何故か彼は踏み台を持ってこないで私を肩車したのだ。
急にされたものだから、びっくりしたなんてレベルじゃない。
「こっちの方が早いかなって。嫌だった?」
「べ、別に嫌って訳じゃないけど…
ただ、言ってくれないと危ないっていうか…その、恥ずかしいっていうか…」
「どうして?ゼシカはそんなに重くないし、僕の力も殆ど落ちてないから大丈夫だよ?」
「重っ…!あのねぇ!」
デリカシーの無い彼の発言に反射的に睨みつける。
しかし、当の本人はきょとんとした顔を向けて来た。
そのあまりの表情に私の中にあった怒りはどこかに消えてしまう。
こういうのってずるいと思う。
「…はぁ、まぁいいわ。
それよりあなた。書いたお願い事って叶うと思う?」
「うーん、どうだろうね。
けど、これだけ掛けてあればきっと一つくらいは叶うんじゃ無いかな」
彼につられて葉竹に視線を向ける。
そこには私や彼の短冊の他に、ヤンガスやククール、モリーさんやゲルダさんにミーティア姫やトロデ王の短冊も飾られている。
とは言っても、誰がどれを願ったのかは知らないのだけれど。
でも、大体の想像はつく。
「…あの、『鈍感男をどうにかしてほしい』っていうのはゲルダさんのかしら。苦労してるのね」
「となると、『アイツはもっとはっきり説明してほしいでゲス』はヤンガスのだね…って、短冊にも書くんだ」
「あっはは!ヤンガスは根っからの山賊ね!」
「みんながみんなそういう訳じゃ無いと思うけど…っと、『世界中の女性と仲良くしたい』は…ククールとモリーさんのどっちだろう?」
「あー…いや待って、こっちにも似たようなのがあるわね。
全く、モリーさんには三人のバニーちゃんたちがいるんだから充分でしょうに」
「ククールもそろそろ身を固めた方がいいんじゃないかな、なんて」
「ま、無理でしょーね。ククールは一生あのままよ」
「手厳しいね。
うん?『時々、お馬さんに戻れるようにして下さい。…時々ですよ?』って、これはミーティア姫のだ」
「ミーティア姫も変なことお願いするわね…戻れた時は『もう二度と嫌ですー!』とか言ってた気がするのに。
あら、これは多分トロデ王のね」
「どれどれ?『また皆と旅をしたいわい。今度は命掛けではなく、世界中の観光としてのぅ』…か」
彼と顔を見合わせる。
みんなで旅をしていた時は確かに観光をしてる余裕は無かった。
一つの町とかに長く滞在することはあっても、それは観光では無くてダンジョンを攻略するためで、心の余裕があった時なんて全くと言っていいほどなかった。
「…そうね、その内みーんなで色んな所を見て回りたい。楽しい思い出なんて殆どないから尚更」
「だね。その時は、ミーティア姫にも美味しいものを沢山食べて欲しい。旅してた頃はきっといい物なんて食べれてなかっただろうし」
そう、馬の姿だった頃のミーティア姫が食事をする時は決まってトロデ王と二人きりだった。
余裕のある時はトロデ王が果物を持って行ってたけれど、そうではなかった時とかに何を食べていたのかはまるで知らない。
「そうね、私もそう思う。…うん。今度またミーティア姫を連れ出して、美味しいもの巡りでもしてくるわ!ゲルダさんも連れて!」
「その時は僕にも教えてよ?前は何も教えてくれなかったんだから」
「分かってるわよ。その方が色々都合もいいでしょうしね」
「頼むよ?」
「はいはい、大丈夫よー、っと、風も強くなって来たし、そろそろ部屋に戻らない?
みんなも待ってるでしょうし」
風でなびく髪をおさえ、彼の方を見ようとした時、向かい側に掛けられていた短冊が翻る。
「うん、そうしようか」
「…ごめん、やっぱりもう少しいましょう?なんとなく風に当たりたい気分なの」
「?
いいよ、僕も同じ気分だったし」
どこか嬉しそうに聞こえる彼の言葉を耳に、私は自分の書いた願い事を思い出す。
「(心が繋がってる、ね)」
「何か言った?風の音で聞こえなくて」
「ううん。なんでもない。ただ、大好きよって」
輝きの散らばる悠久を見つめてそう言った。
彼は途端に顔を紅くして何かを言っていたがどうも今の私には届かない。
今彼の言っている事だってきっと凄く嬉しい言葉だ。
けれど今の私にはそれよりもほんの少しだけ嬉しい出来事があった。
『いつまでも仲良しでいられますように』
彼も私と同じ事を願っていてくれた。
こんなの、もう叶っているのと変わらない。
きっと空に浮かぶ天の川では、一つのカップルが互いに言葉を尽くして心を確かめ合っている事だろう。
それは、側から見れば胃もたれするくらい甘いひととき。
誰にも割り込めない二人だけの世界。
けれど、今の私達だって負けていないわ。
だって、私達は言葉にしなくても通じているんだもの。
ね、あなた。
いいなぁ、ゼシカを肩車したいなぁ。
てな感じで七夕編、完。
今後もこういう季節イベの話は書いていきたいですね。(前にも言った感)投稿時間は
…まぁ、うん。気にしないようにしましょう!
ちなみに作者のお願い事は『ゼシカと結婚する』です。
…短冊掛けてないけど、叶いますよね?ね?
ではまた次の更新で!